JP4061872B2 - エンジンの排気浄化装置 - Google Patents

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジンの排気浄化装置に関し、特に排気通路にNOx捕捉剤を備えた排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術と解決すべき課題】
エンジン排気通路の途中にNOxを吸収・捕捉する機能を備えた触媒または捕捉剤(以下これらを「NOx捕捉剤」という。)を介装した排気浄化装置が提案されている(特開2000-352309号公報参照)。この排気浄化装置は、リーン雰囲気下でNOxを吸収し、理論空燃比もしくはリッチ雰囲気下でNOxを放出するというNOx捕捉剤の性質を利用して、燃費性能に有利なリーン空燃比での運転を行いながら三元触媒によるNOxの還元作用を確保している。すなわち通常はリーン燃焼運転を行い、この間にNOx捕捉剤に捕捉しておいたNOxを、一時的に空燃比をリッチ化することで放出および還元処理する。
【0003】
このような排気浄化装置において、NOx捕捉剤に捕捉したNOxの量に対してリッチ化時間が過小であるとNOx浄化が不十分となり、リッチ化時間が過大であるとCO、HCエミッションや燃費が悪化する。このため、前記従来の装置では、NOx捕捉剤の下流側に排気中の酸素濃度を検出する空燃比センサまたは酸素センサを設け、その出力に基づいて所定の手法によりNOx捕捉剤に捕捉されたNOx量を演算し、捕捉量が予め定めた量に達したところでその量に応じた時間だけリッチ化制御を行うようにしている。また、同様の目的で、NOx捕捉剤下流側の排気中の酸素濃度を検出し、リッチ化制御開始後に排気がリーンからリッチになったときにNOxの放出が完了したと判定するようにしたものもある(国際公開94/17291参照)。
【0004】
この種の排気浄化装置では、前述のとおりNOx捕捉量を捕捉剤下流の酸素濃度に基づいて判断しているところから、酸素濃度を検出するセンサが故障すると正常な制御が行えなくなり、排気エミッションや燃費性能に悪影響が及ぶ。本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、NOx捕捉剤の下流側に設けられる酸素センサなどの酸素濃度検出手段の故障の有無を確実に判定し、さらに故障と判定したときに適切に空燃比制御を行いうるようにした排気浄化装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、エンジン排気通路に介装され、リーン雰囲気のときに排気ガス中のNOxを捕捉し、リッチ雰囲気のときにNOxを放出するNOx捕捉剤と、前記NOx捕捉剤下流の排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段と、リーン空燃比での運転中に、前記NOx捕捉剤に捕捉されたNOxの量が所定値以上となったときに排気ガスを一時的に理論空燃比以下とするリッチ化制御を行う空燃比制御手段とを備えたエンジンの排気浄化装置において、前記リッチ化制御の継続時間を測定する実リッチ化時間測定手段と、
前記NOx捕捉剤の酸素ストレージ能力とエンジン運転状態とに基づきリッチ化制御の継続時間を推定する推定リッチ化時間演算手段と、前記実リッチ化時間と推定リッチ化時間との比較に基づいて前記酸素濃度検出手段の故障を判定する故障判定手段と、を備え、前記空燃比制御手段は、前記酸素濃度検出手段の故障が判定されていないときは前記酸素濃度検出手段の出力に基づいてリッチ化制御を行い、前記酸素濃度検出手段の故障が判定されたときは前記推定リッチ化時間に従ってリッチ化制御を行う。
【0006】
第2の発明は、前記故障判定手段を、実リッチ化時間と推定リッチ化時間との比が、所定の下限値と上限値とのあいだに無いときに酸素濃度検出手段を故障と判定するように構成した。
【0007】
第3の発明は、前記第1または第2の発明の推定リッチ化時間演算手段におけるNOx捕捉剤の酸素ストレージ能力を、NOx捕捉剤の使用条件を代表するエンジン運転条件の履歴から推定するようにした。
【0008】
第4の発明は、前記第1または第2の発明において、故障判定手段による故障判定時には、予めNOx捕捉剤に所定の上限値以上のNOxを捕捉させておくようにした。
【0010】
第5の発明は、前記第1または第2の発明の空燃比制御手段を、酸素濃度検出手段の故障が判定されたときは、リーン空燃比での運転を禁止するように構成した。
【0011】
第6の発明は、前記第1または第2の発明の故障判定手段を、前記リッチ化制御が行われる毎に故障判定を行うように構成した。
【0012】
【発明の効果】
前記第1の発明以下の各発明によれば、測定された実リッチ化時間とエンジン運転状態等に応じて算出した推定リッチ化時間とに基づいて酸素濃度検出手段の故障を判定することが可能であり、特別な診断用の装置を付加する必要もない。また、酸素濃度検出手段の故障が判定されたときは推定リッチ化時間に従ってリッチ化制御を行うので、酸素濃度検出手段に異常が発生した状態で不適切な空燃比制御が行われる事態を回避して、排気エミッションの悪化を抑制することができる。
【0013】
第2の発明によれば、実リッチ化時間と推定リッチ化時間との比に基づいて酸素濃度検出手段の故障判定を行うようにしたことから、リッチ化時間の大小にかかわらず正確な故障判定が可能である。
【0014】
第3の発明によれば、NOx捕捉剤の劣化状態に応じて酸素ストレージ能力を推定するようにしたことから、故障判定をより精度良く行うことができる。
【0015】
第4の発明によれば、NOxの捕捉量が一定値以上という特定の条件下で酸素濃度検出手段の故障判定を行う機会を確保することができる。
【0017】
第5の発明によれば、リッチ化が必要なリーン燃焼運転を行わないので、異常な制御が行われる事態を回避して排気エミッションの悪化を抑制することができる。
【0018】
第6の発明によれば、故障判定をリッチ化制御毎に行うものとしたことから故障判定の機会を確保し、酸素センサの故障を早期を判定することができる。
ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態の機械的構成を示している。図において、1はエンジン(本体)、2はその吸気管である。吸気管2には吸気流量を検出するエアフロメータ3とスロットルバルブ開度を検出するスロットルセンサ4が介装されている。5はエンジンシリンダ内に燃料を噴射供給する燃料噴射弁、6は混合気に着火する点火プラグである。
【0020】
7は排気管であり、その途中には排気ガスを浄化するための触媒9,10が設けられている。下流側に位置する触媒10は、排気ガス空燃比がリーンのときに排気ガス中のNOxを吸着し、リッチの時に前記吸着したNOxを脱離・処理する機能を有する三元触媒である。また排気管7には第1の触媒9の上流側と第2の触媒10の下流側とに、それぞれ酸素濃度検出手段として酸素センサ8,11が設けられている。
【0021】
燃料噴射弁5と点火プラグ6は、エンジン1の冷却水温を検出する水温センサ12や回転速度を検出するクランク角センサ13の出力、前記吸入空気量、スロットル開度、酸素センサ8,11の出力に基づいてコントロールユニット14により制御される。燃料噴射量については、一般に吸入空気量とエンジン回転速度に基づいて定めた基本燃料噴射量を冷却水温等に応じて補正したものに、排気中の酸素濃度をフィードバックして所定の空燃比となるように燃料噴射弁5を駆動することで制御する。
【0022】
前記コントロールユニット14は、本発明の各種手段の機能を実現するもので、CPUおよびその周辺装置からなるマイクロコンピュータとして構成されている。以下、このコントロールユニット14により実行される酸素センサ11の診断を中心とする制御の実施形態につき、フローチャートを参照しながら説明する。
【0023】
図2は前記制御に関する第1の実施形態の処理ルーチンを表している。これは前記下流側酸素センサ11の故障診断を行なうための独立したサブルーチンを持つものであり、例えば車両の所定距離走行毎に故障診断要求がコントロールユニットより出され、本故障診断が終了するまで約10ms毎に呼び出される。なお、以下の説明およびフローチャートにおいて符号Sを付して示した数字は処理ステップ番号である。
【0024】
この制御では、まず初期設定としてイグニッションスイッチがオンとされたとき(IGNon時)にフラグFLGRSが0にクリアされる。このフラグFLGRSは触媒10に吸着されたNOxの脱離処理のための空燃比のリッチ化を行なっていることを示すものであり、空燃比リッチ化制御中には1にセットされる。
【0025】
前記初期設定の後、S1では、フラグFLGRO2DGNが1であるかを判定する。FLGRO2DGNは酸素センサ11の故障診断中であるか否かを示すフラグであり、1のときに診断中を示す。FLGRO2DGNが1の故障診断中はS3へ進み、前記FLGRSを参照する。FLGRS=1であるときは後述するS13へ進み、FLGRS=0の場合には同じく後述するS6へ進む。
【0026】
S1でFLGRO2DGN=0のときにはS2へ進み、現在所定時間リーン運転領域が継続しているか判断する。継続していない場合にはS25へ進み、通常の空燃比制御を行ない、S26でFLGRO2DGN=0として今回の処理を終了する。所定時間リーン運転領域が継続している場合にはS4以下の酸素センサ11の故障診断処理に入る。
【0027】
S4では、触媒10に吸着されているNOxおよび酸素を放出させるために、一旦通常の空燃比リッチ化制御を行ない、S5にて現在の触媒の酸素ストレージ量を示すCNTOSCをクリアしS6へ進む。S6では現在リーン運転領域にあるかを判定し、リーン運転領域でない場合にはS25に進んで通常の空燃比制御を行ない、S26でFLGRO2DGN=0として今回の処理を終了する。S6にてリーン運転領域にある場合にはS7へ進み、FLGRO2DGN=1としてS8以降の下流側酸素センサ11の故障診断を開始する。
【0028】
S8では、空燃比リーン燃焼制御を行ない、S9にて現在のエンジンの運転状態(この場合、回転数NEと負荷TTC)においてエンジンから排出される酸素とNOx量の和を示すEOOSCを図3のように予め設定されたマップから読み出す。S10ではEOOSCの積算値CNTOSCにS9で読み出した現在のエンジンの運転状態でのEOOSCを加算してCNTOSCを更新する。
【0029】
S11では現在の触媒10の劣化度合いすなわち総酸素ストレージ量の低下度合いを示す係数KRKを初期(触媒新品時)の総酸素ストレージ量OSCFLに乗じて、現時点での触媒10の総酸素ストレージ量OSCFLNOWを算出する。前記劣化係数KRKは触媒新品時に初期値として1が設定されており、その後の運転履歴に応じて図4に示した手法により減算されてゆく。このフローチャートについて説明すると、S31にて図5に示すように予め設定されたマップから現在の運転状態(NE,TTC)による触媒劣化代DLTRKを検索する。一般に触媒は高排温状態におかれることにより劣化していくため、図5でDLTRKは高回転高負荷条件ほど大きくなる特性となっている。S32では前記劣化係数KRKからDLTRKを減算し劣化係数の減算ルーチンを終了する。
【0030】
図2のS12では酸素センサ11の故障診断を開始してからの触媒10の酸素ストレージ量CNTOSCがOSCFLNOWより大きくなったか、つまり現在触媒10に完全に酸素がストレージされているか否かを判断する。CNTOSC<OSCFLNOWの場合は、まだ触媒10に現在の能力分だけ充分に酸素がストレージされていないものとして、酸素センサ11の故障診断状態のまま今回の処理を終了する。CNTOSC≧OSCFLNOWの場合は、触媒10に現在の能力分だけ充分に酸素がストレージされているものとしてS13へ進み、空燃比リッチ化制御を行なう。
【0031】
次のS14では空燃比リッチ化制御を行なっていることを示すフラグFLGRSを1とし、S15にて空燃比リッチ化制御を行なっている時間を示すカウンタCNTRSをカウントアップする。S16ではCNTRSが上限値RSMAXに達しているかを判定する。CNTRS≧RSMAXの場合には、酸素センサ11の故障により空燃比リッチ化制御の終了判定が正常に行なわれていないと判断し、S19でリッチ化制御から通常の空燃比制御に戻すとともに、S23へ進み、酸素センサ11(フローチャート内では「リアO2/S」と略記してある。以下同様。)故障と判定した後S24へ進む。なお、図示しないが、この故障判定時には例えば故障状態を示すデータを外部からアクセス可能な記憶装置に記憶させたり、あるいは警告灯を点灯させる等の措置をとる。S16にてCNTRS<RSMAXの場合はS17へ進み、酸素センサ11の出力VRO2がリッチを示すスライスレベルRSLに達したかを判定する。VRO2<RSLの場合には、まだ触媒10にストレージされた酸素、NOxが完全に放出されていないと判断し、空燃比リッチ化制御状態のまま今回の処理を終了する。VRO2≧RSLの場合は触媒10にストレージされた酸素、NOxが完全に放出されたと判断し、S18で空燃比リッチ化制御を終了させて通常空燃比制御を行なう。
【0032】
S20では、図6に示す関係から現時点での触媒10の総酸素ストレージ量OSCFLNOWに対応する要求リッチ化時間(推定リッチ化時間)FLRSを検索しS21へ進む。S21では実際に触媒10にストレージされた酸素、NOxを完全に放出させるために要した実リッチ化時間CNTRSとS20にて求めた現時点での触媒10の酸素ストレージ量OSCFLNOWに対応する要求リッチ化時間FLRSを比較し、その比CNTRS/FLRSが所定の範囲内(下限値LRSTと上限値HRSTとの間)にあるかを判定する。CNTRS/FLRSが所定の範囲内に無い場合には、空燃比リッチ化制御の終了判定が正確に行われていないものとしてS23へ進み、酸素センサ11を故障と判定する。CNTRS/FLRSが所定の範囲内にある場合にはS22へ進み、酸素センサ11は正常であるものとして、S24にて終了処理として各フラグおよびカウンタをクリアする。
【0033】
次に、酸素センサ11の故障診断に関する第2の実施形態について図7に示したフローチャートに沿って説明する。この実施形態は、触媒10に吸着されたNOxの脱離処理のための空燃比リッチ化制御を行なう毎に酸素センサ11の故障診断を行なうようにしたものである。そこで、ここでは主に空燃比リッチ化制御について説明する。
【0034】
まずS101では、空燃比をリーンからリッチに切り替えるために目標当量比TFBYAを1とし、次いでS102で空燃比フィードバック補正係数ALPHAにリッチ分RSPを加えてALPHA=1+RSPとする。S103では空燃比リッチ化制御中であることを示すフラグFLGRSを1とする。S104ではリッチ化時間のカウンタCNTRSをカウントアップし、S105で空燃比リッチ化制御中の吸入空気量QAを積算し、TQAとする。
【0035】
S106ではすでに酸素センサ11が故障と判定されているか否かを判断する。故障中の場合には酸素センサ出力から空燃比リッチ化制御の終了タイミングを正確に判定できないため、CNTRSが後述する触媒にストレージされた酸素、NOxの量から推定されるリッチ化時間OSCRSに達したら空燃比リッチ化制御をさせる。この場合、フローチャート上ではS111へ進む。酸素センサ11が正常の場合にはS107へ進む。
【0036】
S107では、リッチ化時間カウンタCNTRSが上限値RSMAXに達しているか否かを判定する。CNTRS≧RSMAXの場合には、酸素センサ11の故障により空燃比リッチ化制御の終了判定が正常に行なわれていないと判断し、S110で通常の空燃比制御を行なうとともに、S118へ進み、酸素センサ11を故障していると判定したのちS120の終了処理へ進む。S107でCNTRS<RSMAXの場合にはS108へ進み、酸素センサ11の出力VRO2がリッチを示すスライスレベルRSLに達したか否かを判定する。VRO2<RSLの場合には、まだ触媒10にストレージされた酸素、NOxが完全には放出されていないと判断し、空燃比リッチ化制御状態のまま今回の処理を終了する。VRO2≧RSLの場合には触媒10にストレージされた酸素、NOxが完全に放出されたと判断し、S109で通常空燃比制御を行ないS111へ進む。
【0037】
S111〜S113では、今回の空燃比リッチ化制御を行なう直前に触媒10にストレージされていた酸素およびNOxの量から推定される要求リッチ化時間OSCRSを計算する。まず、S111では予め図8に示したように設定されたマップを参照して、今回の空燃比リッチ化制御を行なう直前に触媒10にストレージされていた酸素およびNOxの量CNTOSCから要求リッチ化時間基本値OSCRSBを検索する。
【0038】
CNTOSCは、例えば図9のフローチャートに示したような手法で演算される。これを説明すると、まずS201では現在リーン運転中か否かを判定する。リーン運転中でない場合にはそのままルーチンを終了する。リーン運転中である場合にはS202へ進み、現在のエンジンの運転状態においてエンジンから排出される酸素とNOxの濃度の和を示すCEOOSCを、予め図10に示すように設定されたマップから読み出す。S203では、現在触媒10にストレージされている酸素およびNOxの量CNTOSCに、CEOOSCに吸入空気量QA、吸着率TRAPRT、吸着率劣化係数RKTRAPを乗じたものを加算して本ルーチンを終了する。なお、吸着率TRAPRTは現在触媒10にストレージされている酸素およびNOxの量CNTOSCをパラメータとして、図11に示す関係により求められ、また吸着率劣化係数RKTRAPは既述した触媒の劣化係数KRKをパラメータとして、図12に示す関係により求められる。
【0039】
S112では、リッチ化制御を開始してからの吸入空気量の積算値TQAから排気ガス量分のリッチ化時間補正値QAHOSを図13に示す関係から検索する。次いでS113では前述の要求リッチ化時間基本値OSCRBおよびリッチ化時間補正値QAHOSから要求リッチ化時間OSCRSを算出する。
【0040】
S114では、酸素センサ11が故障判定されているか否かを判断する。故障している場合には、リッチ化制御の終了判定を行なうため、S116へ進む。S116では、実際にリッチ化を行なっている時間CNTRSが要求リッチ化時間OSCRSに達したか否かを判定する。CNTRS≧OSCRSの場合には、今回触媒10にストレージされていた酸素およびNOxが脱離処理されたとして、S119へ進み、リッチ化制御を終了して通常の空燃比制御を行ない、S120へ進む。S116にてCNTRS<OSCRSの場合には、まだ酸素およびNOxの脱離処理が終了していないものとして、リッチ化制御を行なったまま今回の処理を終了する。
【0041】
S114にて酸素センサ11が故障していないと判断された場合には、S115で今回のNOxの脱離処理において酸素センサ11の出力から実際に要したリッチ化時間CNTRSと現在の触媒10の酸素ストレージ能力から推定される要求リッチ化時間OSCRSの比CNTRS/OSCRSが所定値の範囲内(下限値LRSTと上限値HRSTの間)にあるかを判定する。CNTRS/OSCRSが前記所定の範囲内に無い場合には、空燃比リッチ化制御の終了判定が正確に行えないので、S118へ進み酸素センサ11を故障と判定する。CNTRS/OSCRSが所定の範囲内にある場合にはS117へ進み、酸素センサ11は正常であると判定して、S120にて終了処理として各フラグ、カウンタをクリアする。
【0042】
次に、酸素センサ11の故障判定に関する第3の実施形態につき、図14に示したフローチャートに沿って説明する。この実施形態は、前述の第1または第2の実施形態に対して、酸素センサ11が故障中の場合にはリーン燃焼を禁止するようにした点で異なる。
【0043】
この処理では、まずS301で酸素センサ11が故障中か否かを既述した手法により判断する。酸素センサ11が故障中の場合には、NOxの脱離浄化のためのリッチ化制御の終了判定が正常に行われないためS305へ進み、通常の空燃比フィードバック制御を行ない今回の処理を終了する。酸素センサ11が故障中でない場合にはS302へ進み、FLGRS=1か、つまり現在リッチ化制御中であるかを判定する。リッチ化制御中である場合にはS307へ進み、そのままリッチ化制御を継続する。リッチ化制御中でない場合にはS303へ進み、現在予め定められたリーン運転領域にてエンジンが運転されているか否かを判定する。リーン運転領域にない場合にはS305へ進み、通常の空燃比フィードバック制御を行なう。リーン運転条件にあると判定された場合、S304へ進み、リーン燃焼制御を行なう。また、S306では触媒10のNOxの処理要求があるかを判定する。これは触媒10に所定量NOxが吸着されていると判断された場合に処理要求が発生するものである。NOxの処理要求がある場合にはS307へ進み、空燃比リッチ化制御を行ない、NOxの処理要求がない場合にはそのまま今回の処理を終了する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る排気浄化装置を備えたエンジンの一実施形態を示す概略構成図。
【図2】コントロールユニットにより実行される故障判定ルーチンの第1の実施形態を示すフローチャート。
【図3】エンジン回転数NEと負荷TTCとから、エンジンが排出する酸素とNOxの量の和EOOSCを与えるマップの説明図。
【図4】触媒劣化係数演算のためのサブルーチンを示すフローチャート。
【図5】エンジン回転数NEと負荷TTCとから触媒劣化代DLTRKを与えるマップの説明図。
【図6】触媒の総酸素ストレージ量OSCFLNOWと要求リッチ化時間(推定リッチ化時間)FLRSとの関係を示す特性線図。
【図7】コントロールユニットにより実行される故障判定ルーチンの第2の実施形態を示すフローチャート。
【図8】触媒のストレージ酸素およびNOxの量CNTOSCから要求リッチ化時間基本値OSCRSBを与えるマップの説明図。
【図9】触媒酸素ストレージ量演算のためのサブルーチンを示すフローチャート。
【図10】エンジン回転数NEと負荷TTCとからエンジンから排出される酸素とNOxの濃度の和CEOOSCを与えるマップの説明図。
【図11】触媒のストレージ酸素およびNOxの量CNTOSCをパラメータとして吸着率TRAPRTを与えるマップの説明図。
【図12】触媒の劣化係数KRKをパラメータとして吸着率劣化係数RKTRAPを与えるマップの説明図。
【図13】リッチ化制御を開始してからの吸入空気量の積算値TQAから排気ガス量分のリッチ化時間補正値QAHOSを与えるマップの説明図。
【図14】コントロールユニットにより実行される故障判定ルーチンの第3の実施形態を示すフローチャート。
【符号の説明】
1 エンジン(本体)
2 吸気管
3 エアフローメータ
4 スロットルセンサ
5 燃料噴射弁
6 点火プラグ
7 排気管
8 酸素センサ
9 触媒9
10 触媒(NOx捕捉剤)
11 酸素センサ
12 水温センサ
13 クランク角センサ
14 コントロールユニット

Claims (6)

  1. エンジン排気通路に介装され、リーン雰囲気のときに排気ガス中のNOxを捕捉し、リッチ雰囲気のときにNOxを放出するNOx捕捉剤と、前記NOx捕捉剤下流の排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段と、リーン空燃比での運転中に、前記NOx捕捉剤に捕捉されたNOxの量が所定値以上となったときに排気ガスを一時的に理論空燃比以下とするリッチ化制御を行う空燃比制御手段とを備えたエンジンの排気浄化装置において、
    前記リッチ化制御の継続時間を測定する実リッチ化時間測定手段と、
    前記NOx捕捉剤の酸素ストレージ能力とエンジン運転状態とに基づきリッチ化制御の継続時間を推定する推定リッチ化時間演算手段と、
    前記実リッチ化時間と推定リッチ化時間との比較に基づいて前記酸素濃度検出手段の故障を判定する故障判定手段と、を備え、
    前記空燃比制御手段は、前記酸素濃度検出手段の故障が判定されていないときは前記酸素濃度検出手段の出力に基づいてリッチ化制御を行い、前記酸素濃度検出手段の故障が判定されたときは前記推定リッチ化時間に従ってリッチ化制御を行う、
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化装置。
  2. 前記故障判定手段は、実リッチ化時間と推定リッチ化時間との比が、所定の下限値と上限値とのあいだに無いときに酸素濃度検出手段を故障と判定するように構成されている請求項1に記載のエンジンの排気浄化装置。
  3. 前記推定リッチ化時間演算手段は、NOx捕捉剤の酸素ストレージ能力を、NOx捕捉剤の使用条件を代表するエンジン運転条件の履歴から推定するようにした請求項1または請求項2に記載のエンジンの排気浄化装置。
  4. 前記故障判定手段による故障判定時には、予めNOx捕捉剤に所定の上限値以上のNOxを捕捉させておくようにした請求項1または請求項2に記載のエンジンの排気浄化装置。
  5. 前記空燃比制御手段は、酸素濃度検出手段の故障が判定されたときは、リーン空燃比での運転を禁止するように構成されている請求項1または請求項2の記載のエンジンの排気浄化装置。
  6. 前記故障判定手段は、前記リッチ化制御が行われる毎に故障判定を行うように構成されている請求項1または請求項2に記載のエンジンの排気浄化装置。
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