JP2012031761A - 触媒異常診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】触媒の硫黄被毒による一時的異常を恒久的異常と区別し、誤診断を防止する。
【解決手段】触媒の性能指標値OSCmを実測する。その一方で、触媒に与えられてきたストレスSTR1を推定し、推定されたストレスに対応した性能指標値OSCeを、ストレスSTRと性能指標値OSCとの間の所定の関係Lから推定する。実測値OSCmと推定値OSCeとの間の乖離ΔOSCemを所定値βと比較し、触媒が異常か否かについての仮の判定を行う。硫黄被毒した触媒を最終的に異常と誤診断することを回避することができる。
【選択図】図7
【解決手段】触媒の性能指標値OSCmを実測する。その一方で、触媒に与えられてきたストレスSTR1を推定し、推定されたストレスに対応した性能指標値OSCeを、ストレスSTRと性能指標値OSCとの間の所定の関係Lから推定する。実測値OSCmと推定値OSCeとの間の乖離ΔOSCemを所定値βと比較し、触媒が異常か否かについての仮の判定を行う。硫黄被毒した触媒を最終的に異常と誤診断することを回避することができる。
【選択図】図7
Description
本発明は、触媒の異常診断に係り、特に、内燃機関の排気通路に配置された触媒の異常を診断する装置に関する。
例えば自動車用内燃機関において、その排気系には排気ガスを浄化するための触媒が設置されている。この触媒は使用時間の増大につれ経時劣化し、次第に初期の性能を失っていく。過度に性能が低下した触媒を使用し続けることは環境上好ましいことではない。そこで触媒の異常診断をオンボードで行い、排ガスエミッションが悪化した車両の走行を未然に防止するようにしている。
触媒の異常診断においては、典型的に、現状の触媒の性能を表す指標値すなわち性能指標値を実測し、この実測した性能指標値を所定値と比較して触媒が正常か異常かを判定する。
ところで、燃料中に含まれる硫黄(S)の影響により触媒が硫黄被毒(S被毒ともいう)することがある。S被毒が発生すると、その未発生時に比べ、性能指標値の実測値が低下し、見掛け上触媒が劣化したようになる。しかしながらS被毒は、硫黄濃度の低い燃料が再給油されたり、高温且つリッチな雰囲気に触媒が曝されたりすると、解消する。
S被毒による触媒の性能低下は一時的且つ回復可能なものである。よって触媒の異常診断においては、かかるS被毒による一時的異常を、本来診断すべき回復不能な恒久的異常(熱劣化)と誤って診断しないようにする必要がある。
なお特許文献1では、NOxトラップ触媒におけるイオウ付着量を走行距離に応じて推定すると共に、使用ガソリン燃料がハイオクタンかレギュラーかによって、同一走行距離に対し異なるイオウ付着量を推定するようにしている。しかし、レギュラーガソリンにマンガンを添加してオクタン価を上昇させる場合のように、燃料のオクタン価とS濃度との間には必ずしも相関関係が無い。よって特許文献1の技術では必ずしもイオウ付着量を正確に推定できる訳ではないと考えられる。
本発明は以上の事情に鑑みて創案されたものであり、その一の目的は、触媒のS被毒に起因する回復可能な一時的異常を回復不能な恒久的異常と区別し、誤診断を未然に防止し得る触媒異常診断装置を提供することにある。
本発明の一の態様によれば、
内燃機関の排気通路に配置された触媒の異常を診断する装置であって、
前記触媒の性能指標値を実測する実測手段と、
前記触媒に与えられてきたストレスを推定するストレス推定手段と、
前記ストレスと前記性能指標値との間の所定の関係から、推定された前記ストレスに対応した前記性能指標値を推定する推定手段と、
前記性能指標値の実測値と推定値との間の乖離を算出する乖離算出手段と、
算出された前記乖離を第1所定値と比較して、前記触媒が異常か否かについての仮の判定を行う仮判定手段と、
を備えることを特徴とする触媒異常診断装置が提供される。
内燃機関の排気通路に配置された触媒の異常を診断する装置であって、
前記触媒の性能指標値を実測する実測手段と、
前記触媒に与えられてきたストレスを推定するストレス推定手段と、
前記ストレスと前記性能指標値との間の所定の関係から、推定された前記ストレスに対応した前記性能指標値を推定する推定手段と、
前記性能指標値の実測値と推定値との間の乖離を算出する乖離算出手段と、
算出された前記乖離を第1所定値と比較して、前記触媒が異常か否かについての仮の判定を行う仮判定手段と、
を備えることを特徴とする触媒異常診断装置が提供される。
触媒の性能指標値とは、触媒の性能を表す指標値をいい、例えば触媒の酸素吸蔵容量や特定排ガス成分の浄化率等をいう。またストレスとは、触媒が過去に受け、触媒を劣化方向に導くような負担あるいは負荷をいう。ストレスと性能指標値との間の関係は予め実験的に求めることができるので、当該関係を用いることにより、推定ストレスに対応した性能指標値を推定することが可能である。
性能指標値の実測値と推定値との間の乖離は、実測値が予め想定されていたよりもどの程度異常側にズレたかを示すことができる。よって乖離を第1所定値と比較することにより、S被毒に起因する実測値の大きなズレを検知することができる。乖離と第1所定値との比較結果に応じて、触媒が異常との仮の判定を行うことにより、S被毒した触媒を最終的に異常と誤診断することを回避することができ、また異常原因特定等の適切な措置を講じることができる。
これにより、触媒のS被毒に起因する回復可能な一時的異常を回復不能な恒久的異常と区別し、誤診断を未然に防止することができる。
好ましくは、前記触媒異常診断装置は、前記仮判定手段が仮異常判定をしたとき、前記触媒の再生を行う再生手段をさらに備える。これにより、触媒がS被毒していた場合にそのS被毒の影響を解消できる。
好ましくは、前記触媒の再生後、前記実測手段が前記触媒の性能指標値を再実測する。これにより、触媒がS被毒していた場合にS被毒解消後の性能指標値の再実測値を得ることができる。
好ましくは、前記触媒異常診断装置は、前記性能指標値の実測値と再実測値との乖離が第2所定値より大きいとき、前記触媒が硫黄被毒していたと判定する硫黄被毒判定手段をさらに備える。
再生前の実測値と再生後の再実測値との乖離が大きいときには、再生前の触媒がS被毒していたということができる。よって実測値と再実測値との乖離が第2所定値より大きいとき、触媒がS被毒していたと判定する。これにより実測値がズレていた原因を特定できる。
好ましくは、前記触媒異常診断装置は、前記硫黄被毒判定手段が前記触媒を硫黄被毒していたと判定したとき、燃料の硫黄濃度を推定する硫黄濃度推定手段をさらに備える。
好ましくは、前記触媒異常診断装置は、推定された前記硫黄濃度に基づき、排気ガス影響による硫黄被毒の影響を除去すべく、前記再実測値およびこれの比較対象となる異常判定値のうちの一方を補正する硫黄補正手段と、補正された一方と補正されてない他方とを比較して前記触媒が正常か異常かを最終判定する判定手段と、をさらに備える。
詳しくは後述するが、S被毒には、排気ガス中のSOxに由来する排気ガス影響によるものと、触媒表面上に蓄積したSOxに由来する蓄積影響によるものとの二種類がある。このうち後者は再生によって解消するが、前者は再生によっても解消しない。そこで前者のS被毒の影響を解消すべく、再実測値およびこれの比較対象となる異常判定値のうちの一方を補正する。これにより前者のS被毒の影響を取り除いて診断精度を向上できる。
好ましくは、前記実測値が第3所定値以下のとき、前記乖離算出手段が前記乖離の算出を行う。これにより不必要な再生等を回避し、不必要な燃料消費等を避けることができる。
好ましくは、前記触媒異常診断装置は、前記ストレスと前記性能指標値との間の前記関係を補正するストレス補正手段をさらに備え、
前記仮判定手段が仮異常判定をしなかったとき、前記ストレス補正手段が前記関係を前記実測値に合わせて補正する。
前記仮判定手段が仮異常判定をしなかったとき、前記ストレス補正手段が前記関係を前記実測値に合わせて補正する。
ストレスと性能指標値との関係は実状とズレる場合がある。仮判定手段が仮異常判定をしなかったときには、S被毒の虞がなく、性能指標値の実測値は実状を表していると考えられる。よって、前記関係を実測値に合わせて補正することにより、前記関係の実状とのズレを解消することができる。
好ましくは、前記触媒異常診断装置は、前記ストレスと前記性能指標値との間の前記関係を補正するストレス補正手段をさらに備え、
前記硫黄被毒判定手段が前記触媒を硫黄被毒していたと判定しなかったとき、前記ストレス補正手段が前記関係を前記再実測値に合わせて補正する。
前記硫黄被毒判定手段が前記触媒を硫黄被毒していたと判定しなかったとき、前記ストレス補正手段が前記関係を前記再実測値に合わせて補正する。
硫黄被毒判定手段が触媒を硫黄被毒していたと判定しなかったときには、S被毒の虞がなく、性能指標値の再実測値は実状を表していると考えられる。よって、前記関係を再実測値に合わせて補正することにより、前記関係の実状とのズレを解消することができる。
好ましくは、前記触媒が、酸素吸蔵能を有する触媒であり、前記性能指標値が、前記触媒の酸素吸蔵容量である。好ましくは、前記触媒は、三元触媒および吸蔵還元型NOx触媒の少なくとも一方を含む。
本発明によれば、触媒のS被毒に起因する回復可能な一時的異常を回復不能な恒久的異常と区別し、誤診断を未然に防止することができるという、優れた効果が発揮される。
以下、本発明の好適実施形態を添付図面に基づき詳述する。
図1は、本実施形態の構成を概略的に示す。図示されるように、内燃機関たるエンジン1は、シリンダブロック2に形成された燃焼室3の内部で燃料および空気の混合気を燃焼させ、燃焼室3内でピストン4を往復移動させることにより動力を発生する。本実施形態のエンジン1は自動車用多気筒エンジン(1気筒のみ図示)であり、火花点火式内燃機関、より具体的にはガソリンエンジンである。
エンジン1のシリンダヘッドには、吸気ポートを開閉する吸気弁Viと、排気ポートを開閉する排気弁Veとが気筒ごとに配設されている。各吸気弁Viおよび各排気弁Veは図示しないカムシャフトによって開閉させられる。また、シリンダヘッドの頂部には、燃焼室3内の混合気に点火するための点火プラグ7が気筒ごとに取り付けられている。
各気筒の吸気ポートは吸気マニホールドを介して吸気集合室であるサージタンク8に接続されている。サージタンク8の上流側には吸気集合通路をなす吸気管13が接続されており、吸気管13の上流端にはエアクリーナ9が設けられている。そして吸気管13には、上流側から順に、エンジンに流入する単位時間当たりの空気量すなわち吸入空気量Ga(g/s)を検出するためのエアフローメータ5と、電子制御式スロットルバルブ10とが設けられている。なお吸気ポート、吸気マニホールド、サージタンク8及び吸気管13により吸気通路が形成される。
吸気通路、特に吸気ポート内に燃料を噴射するインジェクタすなわち燃料噴射弁12が気筒ごとに配設される。インジェクタ12から噴射された燃料は吸入空気と混合されて混合気をなし、この混合気が吸気弁Viの開弁時に燃焼室3に吸入され、ピストン4で圧縮され、点火プラグ7で点火燃焼させられる。
一方、各気筒の排気ポートは、排気マニホールドを介して排気集合通路をなす排気管6に接続されている。これら排気ポート、排気マニホールド及び排気管6により排気通路が形成される。排気管6には、その上流側と下流側に、酸素吸蔵能を有する三元触媒からなる触媒、即ち上流触媒11及び下流触媒19が直列に設けられている。例えば、上流触媒11は排気マニホールドの直後に配置され、下流触媒19は車両の床下などに配置される。
上流触媒11の上流側及び下流側に、それぞれ、酸素濃度に基づいて排気ガスの空燃比(排気空燃比)を検出する空燃比センサ、即ち触媒前センサ17及び触媒後センサ18が設けられている。図5に示すように、触媒前センサ17は所謂広域空燃比センサからなり、比較的広範囲に亘る空燃比を連続的に検出可能で、その空燃比に比例した値の信号を出力する。他方、触媒後センサ18は所謂酸素センサ(O2センサ)からなり、理論空燃比を境に出力値が急変する特性(Z特性)を持つ。
上述の点火プラグ7、スロットルバルブ10及びインジェクタ12等は、制御手段としての電子制御ユニット(以下ECUと称す)20に電気的に接続されている。ECU20は、何れも図示されないCPU、ROM、RAM、入出力ポート、および記憶装置等を含むものである。またECU20には、図示されるように、前述のエアフローメータ5、触媒前センサ17、触媒後センサ18のほか、エンジン1のクランク角を検出するクランク角センサ14、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ15、その他の各種センサが図示されないA/D変換器等を介して電気的に接続されている。ECU20は、各種センサの検出値等に基づいて、所望の出力が得られるように、点火プラグ7、インジェクタ12、スロットルバルブ10等を制御し、点火時期、燃料噴射量、燃料噴射時期、スロットル開度等を制御する。
上流触媒11及び下流触媒19は、これに流入する排気ガスの空燃比A/Fが理論空燃比(ストイキ、例えばA/Fs=14.6)のときにNOx ,HCおよびCOを同時に高効率で浄化する。よってこの特性に合わせて、ECU20は、エンジンの通常運転時、上流触媒11及び下流触媒19に流入する排気ガスの空燃比がストイキに一致するよう、燃焼室3に供給される混合気の空燃比(具体的にはインジェクタ12からの燃料噴射量)を触媒前センサ17の出力に基づきフィードバック制御する。
ここで、異常診断の対象となる上流触媒11についてより詳細に説明する。なお下流触媒19も上流触媒11と同様に構成されている。図2に示すように、触媒11においては、図示しない担体基材の表面上にコート材31が被覆され、このコート材31に微粒子状の触媒成分32が多数分散配置された状態で担持され、触媒11内部で露出されている。触媒成分32は主にPt,Pd等の貴金属からなり、NOx ,HCおよびCOといった排ガス成分を反応させる際の活性点となる。他方、コート材31は、排気ガスと触媒成分32との界面における反応を促進させる助触媒の役割を担うと共に、雰囲気ガスの空燃比に応じて酸素を吸放出可能な酸素吸蔵成分を含む。酸素吸蔵成分は例えば二酸化セリウムCeO2やジルコニアからなる。なお、「吸蔵」と同義で「吸収」または「吸着」を用いることもある。
例えば、触媒内の雰囲気ガスが理論空燃比よりリーンであると、触媒成分32の周囲に存在する酸素吸蔵成分が雰囲気ガスから酸素を吸収し、この結果NOxが還元され、浄化される。他方、触媒内の雰囲気ガスが理論空燃比よりリッチであると、酸素吸蔵成分に吸蔵されていた酸素が放出され、この放出された酸素によりHCおよびCOが酸化され、浄化される。
この酸素吸放出作用により、通常のストイキ空燃比制御に際して実際の空燃比がストイキに対して多少ばらついたとしても、このばらつきを吸収することができる。
ところで、新品状態の触媒11では前述したように多数の触媒成分32が均等に分散配置されており、排気ガスと触媒成分32との接触確率が高い状態に維持されている。しかしながら、触媒11が劣化してくると、一部の触媒成分32に消失が見られるほか、触媒成分32同士が排気熱で焼き固まって焼結状態になるものがある(図の破線参照)。こうなると排気ガスと触媒成分32との接触確率が低下し、浄化率を落としめる原因となる。そしてこのほかに、触媒成分32の周囲に存在するコート材31の量、即ち酸素吸蔵成分の量が減少し、酸素吸蔵能自体が低下する。
このように、触媒11の劣化度と触媒11の酸素吸蔵能低下度との間には相関関係がある。
[異常診断の基本方法]
触媒11の酸素吸蔵能は、現状の触媒11が吸蔵または放出し得る酸素量である酸素吸蔵容量(OSC;O2 Storage Capacity、単位はg)の大きさによって表すことができる。すなわち、触媒の劣化度が小さく酸素吸蔵能が高いほど、酸素吸蔵容量は大きくなり、触媒の劣化度が大きく酸素吸蔵能が低いほど、酸素吸蔵容量は小さくなる。
触媒11の酸素吸蔵能は、現状の触媒11が吸蔵または放出し得る酸素量である酸素吸蔵容量(OSC;O2 Storage Capacity、単位はg)の大きさによって表すことができる。すなわち、触媒の劣化度が小さく酸素吸蔵能が高いほど、酸素吸蔵容量は大きくなり、触媒の劣化度が大きく酸素吸蔵能が低いほど、酸素吸蔵容量は小さくなる。
よってこの酸素吸蔵容量を計測あるいは実測し、当該実測値に基づいて触媒の異常を診断する方法、すなわちCmax法が一般的に採用されている。このCmax法が本実施形態の異常診断の基本方法をなす。
このように、本実施形態では、触媒の性能がその酸素吸蔵能の大きさ、具体的には酸素吸蔵容量OSCの大きさによって表される。よって触媒の性能を表す指標値すなわち性能指標値は、酸素吸蔵容量OSCの値そのものである。酸素吸蔵容量OSCの実測値が大きいほど触媒の性能は高く、酸素吸蔵容量OSCの実測値が小さいほど触媒の性能は低いといってよい。
もっとも、触媒の性能指標値は酸素吸蔵容量OSC以外であってもよい。例えば、本実施形態のような三元触媒の場合、CO、HC、NOxの三者を同時に浄化できるので、CO浄化率、HC浄化率およびNOx浄化率の少なくとも一つを性能指標値としてもよい。また、酸素吸蔵能を有する触媒としては、三元触媒の他に吸蔵還元型NOx触媒(NSR: NOx Storage Reduction)もある。吸蔵還元型NOx触媒は、排気空燃比がリーンであるときに排気中のNOxを吸蔵し、排気空燃比が理論空燃比又はリッチであるときに吸蔵NOxを放出して還元処理する触媒である。従って性能指標値として酸素吸蔵容量OSCを用いる場合、吸蔵還元型NOx触媒を診断対象の触媒に含めることができる。言い換えれば診断対象の触媒は、三元触媒および吸蔵還元型NOx触媒の少なくとも一方を含むことができる。
本発明において、診断対象の触媒とその性能指標値に関する限定は特にない。従って種々の触媒と、各々の触媒に対応した様々な性能指標値(例えば特定排ガス成分の浄化率)との組合せが、採用可能である。
さて、異常診断に際してはまず、ECU20によりアクティブ空燃比制御が実行される。すなわちECU20は、触媒上流側の空燃比、具体的には燃焼室3内の混合気の空燃比を、中心空燃比であるストイキA/Fsを境に、リッチおよびリーンに交互に制御する。これにより、触媒11に供給される排気ガスの空燃比も、リッチおよびリーンに交互に制御されることとなる。
また、アクティブ空燃比制御および診断は、所定の前提条件が満たされているときに限って実行される。この前提条件については後述する。
以下、図3及び図4を用いて、上流触媒11の酸素吸蔵容量の実測方法を説明する。
図3(A)において、破線は目標空燃比A/Ft、実線は触媒前センサ17の出力(但し触媒前空燃比A/Ffへの換算値)を示す。また図3(B)において、実線は触媒後センサ18の出力(但しその出力電圧Vr)を示す。
図示するように、時刻t1より前では、空燃比をリーンに切り替えるリーン制御が実行されている。このとき、目標空燃比A/Ftはリーン空燃比A/Fl(例えば15.1)とされ、触媒11には、目標空燃比A/Ftと等しい空燃比のリーンガスが供給されている。このとき触媒11は酸素を吸蔵し続けているが、飽和状態即ち満杯まで酸素を吸蔵した時点でそれ以上酸素を吸蔵できなくなる。この結果、リーンガスが触媒11を通り抜けて触媒11の下流側に流れ出す。こうなると触媒後センサ18の出力がリーン側に変化し、出力電圧Vrが所定のリーン判定値VL(例えば0.2V)に達した時点t1で、目標空燃比A/Ftがリッチ空燃比A/Fr(例えば14.1)に切り替えられる。これにより空燃比制御はリーン制御からリッチ制御に切り替えられ、目標空燃比A/Ftと等しい空燃比のリッチガスが供給されるようになる。
リッチガスが供給されると、触媒11は吸蔵酸素を放出し続ける。やがて触媒11から吸蔵酸素が放出され尽くすとその時点で触媒11は酸素を放出できなくなり、リッチガスが触媒11を通り抜けて触媒11の下流側に流れ出す。こうなると触媒後センサ18の出力がリッチ側に変化し、出力電圧Vrが所定のリッチ判定値VR(例えば0.6V)に達した時点t2で、目標空燃比A/Ftがリーン空燃比A/Flに切り替えられる。これにより空燃比制御はリッチ制御からリーン制御に切り替えられ、目標空燃比A/Ftと等しい空燃比のリーンガスが供給されるようになる。
再び、触媒11が満杯まで酸素を吸蔵し、触媒後センサ18の出力電圧Vrがリーン判定値VLに達すると、その時点t3で、目標空燃比A/Ftがリッチ空燃比A/Frに切り替えられ、リッチ制御が開始される。
こうして、触媒後センサ18の出力が反転する毎に、リーン制御とリッチ制御とが交互に繰り返し実行される。隣り合うリーン制御とリッチ制御の組をアクティブ空燃比制御の1周期とする。アクティブ空燃比制御は所定のN周期(Nは2以上の整数)実行される。
ここでリーン判定値VLは、リーン制御からリッチ制御への切替タイミングを規定する値である。このリーン判定値VLは、図5にも示すように、触媒後センサ出力のストイキ相当値Vstよりも小さい(リーン側の)値に予め定められている。
同様に、リッチ判定値VRは、リッチ制御からリーン制御への切替タイミングを規定する値である。このリッチ判定値VRは、図5にも示すように、触媒後センサ出力のストイキ相当値Vstよりも大きい(リッチ側の)値に予め定められている。
このアクティブ空燃比制御の実行中、次の方法で触媒11の酸素吸蔵容量OSCが計測或いは実測される。
触媒11の有する酸素吸蔵容量が大きいほど、酸素を吸蔵或いは放出し続けることのできる時間が長くなる。つまり、触媒が劣化していない場合は触媒後センサ出力Vrの反転周期(例えばt1からt2までの時間)が長くなり、触媒の劣化が進むほどその反転周期は短くなる。
そこで、このことを利用して酸素吸蔵容量OSCが次のようにして実測される。図4に示すように、時刻t1で目標空燃比A/Ftがリッチ空燃比A/Frに切り替えられた直後、僅かに遅れて実際値としての触媒前空燃比A/Ffがリッチ空燃比A/Frに切り替わる。そして触媒前空燃比A/FfがストイキA/Fsに達した時点t11から、次に触媒後センサ出力Vrが反転する時点t2まで、次式(1)により、所定の演算周期毎の酸素吸蔵容量dOSCが逐次的に算出され、且つこの酸素吸蔵容量dOSCが時刻t11から時刻t2まで逐次的に積算される。こうして、リッチ制御時における最終積算値としての酸素吸蔵容量OSC、すなわち図4にOSCbで示す放出酸素量が実測される。
Qは燃料噴射量であり、空燃比差ΔA/Fに燃料噴射量Qを乗じるとストイキに対し不足又は過剰分の空気量を算出できる。σは空気に含まれる酸素割合(約0.23)を表す定数である。
リーン制御時にも同様に酸素吸蔵容量、すなわち図4にOSCaで示す吸蔵酸素量が前式(1)に従って実測される。そしてリッチ制御とリーン制御が交互に行われる度に、放出酸素量と吸蔵酸素量が交互に実測される。
こうして複数ずつの放出酸素量と吸蔵酸素量との実測値が得られたならば、次の方法により触媒の正異常判定が行われる。
まずECU20は、これら放出酸素量と吸蔵酸素量との実測値の平均値を算出する。そしてこの平均値を所定の異常判定値αと比較する。ECU20は、平均値が異常判定値αより大きいときには触媒11を正常と判定し、平均値が異常判定値α以下のときには触媒11を異常と判定する。なお触媒を異常と判定した場合、その事実をユーザに知らせるため、チェックランプ等の警告装置(図示せず)を起動させるのが好ましい。
ここで、アクティブ空燃比制御および診断を実行するための前提条件について説明する。まず前提条件には、(1)吸入空気量Gaと触媒温度Tcとが所定の関係を満たしている、という条件が含まれる。吸入空気量Gaはエアフローメータ5で検出される。触媒温度Tcは、エンジン運転状態(例えば回転速度と負荷)に基づきECU20により推定されるが、温度センサで直接検出してもよい。
エンジンが定常運転している場合、即ちエンジンの回転速度と負荷がほぼ一定の場合、吸入空気量Gaと触媒温度Tcとの間には一定の相関関係が存在する。他方、両者が大きくかけ離れているときは、エンジンが定常運転状態になく、加速又は減速即ち過渡運転が行われている状態とみなせる。
そこで定常運転時の吸入空気量Gaと触媒温度Tcとの関係を予めマップ化し、マップ値を中心とした所定範囲内に両者の実際値があるときに、定常運転中であるとして診断を許可する。逆に、その所定範囲内に両者の実際値がないときは、非定常運転中であるとして診断を禁止する。こうすることで一定以上の診断精度を確保可能となる。このように条件(1)は、実質的に、エンジンが定常運転中であるという条件を意味する。
また前提条件には、(2)少なくとも上流触媒11が活性化している、(3)触媒前センサ17および触媒後センサ18が活性化している、(4)現トリップ中で診断が未完了である、の各条件が含まれる。
(2)については、推定触媒温度Tcが所定の活性温度域に入っていれば、成立する。(3)については、ECU20によって推定される触媒前センサ17および触媒後センサ18の素子温度が所定の活性温度域に入っていれば、成立する。(4)について、トリップとは、エンジンの1回の始動から停止までの期間をいう。本実施形態では1トリップ当たりに少なくとも1回、診断を実行するようにしており、現トリップ中で未だ診断が1回も完了していない場合に(4)が成立する。
これら条件(1)〜(4)の全てが満たされたとき、前提条件が満たされたとする。またこれら条件(1)〜(4)のうちいずれかが満たされていないとき、前提条件が満たされていないとする。
[本実施形態の異常診断方法]
次に、本実施形態の異常診断方法をより具体的に説明する。
次に、本実施形態の異常診断方法をより具体的に説明する。
本実施形態では、触媒11が与えられてきたストレス、より詳しくは、ある時点において触媒11が使用開始時からその時点までに与えられてきたストレスを推定する。ストレスとは、触媒が過去に受け、触媒を劣化方向に導くような負担あるいは負荷をいう。本実施形態では、触媒11の温度(推定触媒温度Tc)、触媒11の使用時間、および触媒11に供給された排気ガスの空燃比(触媒前センサ17で検出された触媒前空燃比A/Ff)に基づき、ECU20が所定のマップまたは関数に従ってストレスSTRを推定する。触媒11の温度が高いほど、また触媒11の使用時間が長いほど、また触媒11に供給された排気ガスの空燃比がリーンであるほど、触媒11の劣化が進行するからである。なお触媒11の高温時にフューエルカットが行われたときには触媒の劣化進行が極めて著しい。高温リーン下では触媒の貴金属からなる触媒成分32が著しく酸化される。
例えばECU20は、エンジン運転中、所定の演算周期毎に、1周期当たりのストレス(これを瞬間ストレスという)を算出すると共に、この瞬間ストレスを積算して、ある時点の推定ストレスSTRの値を算出する。ECU20は、所定のマップ等を利用して、触媒11の温度が高いほど、また触媒11に供給された排気ガスの空燃比が大きい(リーンである)ほど、大きな瞬間ストレスを算出する。そしてこの瞬間ストレスの積算時間が長いほど、即ち触媒11の使用時間が長いほど、ある時点での推定ストレスSTRの値は大きくなる。ストレスSTRの推定はエンジン運転中に常時行われる。
一方、ストレスSTRと、触媒性能指標値である酸素吸蔵容量OSCとの関係が、予め実験的に定められ、図6に示すようなマップの形(関数でもよい)でECU20に記憶されている。当該関係は図中の線Lで示される。以下、図中の線Lを関係若しくはマップ値といい、図示されるマップをストレスマップという。当然ながら、ストレスSTRが大きいほど触媒が劣化するので、酸素吸蔵容量OSCの値は小さくなる。
次に、ECU20は、推定ストレスSTRに対応した触媒性能指標値すなわち酸素吸蔵容量OSCを、ストレスマップから推定あるいは算出する。この推定あるいは算出は必要に応じて行われるが、エンジン運転中に常時行ってもよい。
一方、ECU20は、酸素吸蔵容量OSCの実測値と推定値との間の乖離を算出する。すなわち、図7に示すように、推定ストレスSTRがSTR1である時点において、酸素吸蔵容量OSCの値(本実施形態では複数ずつの放出酸素量と吸蔵酸素量との平均値)が実測された場合に、ECU20は、その実測値OSCmと、推定ストレスSTR1に対応した推定値OSCeとの乖離ないし差分を算出する。乖離ΔOSCemはΔOSCem=OSCe−OSCmから求められる。図示例では、実測値OSCmが推定値OSCeを下回っている。
次に、ECU20は、算出された乖離ΔOSCemを、第1所定値としての仮異常判定値β(>0、図7参照)と比較して、触媒11が異常か否かについての仮の判定を行う。ΔOSCem>βのときは、触媒11が異常という仮の判定すなわち仮異常判定を行い、ΔOSCem≦βのときは仮異常判定を行わない。
実測値OSCmと推定値OSCeとの間の乖離ΔOSCemが大きいということは、触媒11が予め想定されていたよりも異常側にあることになる。そしてその異常原因として、一つには触媒11のS被毒が考えられ、もう一つには触媒11の真の劣化が考えられる。但しこの段階ではそのいずれかであるかを特定することはできず、単に両者の疑いがあるだけである。そこで乖離ΔOSCemが仮異常判定値βよりも大きいときには、異常原因を特定するため、暫定的に仮異常判定し、異常との最終判定を行わないようにしている。これによりS被毒に起因する回復可能な一時的異常を、回復不能な恒久的異常すなわち劣化と区別し、誤診断を未然に防止することができる。
特に近年では、貴金属量(触媒成分32の量)を低減した触媒が開発過程にあり、このような低貴金属触媒ではS被毒による誤診断が起こりやすい。本実施形態はこうした低貴金属触媒を使用した場合の誤診断防止に大変有効である。
一方、異常原因が真の劣化である場合などには、ストレスマップに示されたようなストレスSTRと酸素吸蔵容量OSCとの関係が実状とズレている可能性がある。よってこの場合には、当該関係、具体的にはストレスマップを補正する。この補正については後述する。
以上が本実施形態の異常診断の概要であるが、その詳細については次項で述べることとする。
[本実施形態の異常診断処理]
図8には、ECU20が実行する異常診断処理のフローチャートを示す。まず最初のステップS101では、触媒11の酸素吸蔵容量OSCの値が実測されたか否かが判断される。すなわち、上述の前提条件が満たされ、アクティブ空燃比制御が実行され、この最中に複数ずつの放出酸素量と吸蔵酸素量との値が計測され、これらの平均値が求められて酸素吸蔵容量の実測値OSCmが得られたかどうかが判断される。
酸素吸蔵容量の実測値OSCmが得られていなければ待機状態となり、酸素吸蔵容量の実測値OSCmが得られたならば、ステップS102に進む。
図8には、ECU20が実行する異常診断処理のフローチャートを示す。まず最初のステップS101では、触媒11の酸素吸蔵容量OSCの値が実測されたか否かが判断される。すなわち、上述の前提条件が満たされ、アクティブ空燃比制御が実行され、この最中に複数ずつの放出酸素量と吸蔵酸素量との値が計測され、これらの平均値が求められて酸素吸蔵容量の実測値OSCmが得られたかどうかが判断される。
酸素吸蔵容量の実測値OSCmが得られていなければ待機状態となり、酸素吸蔵容量の実測値OSCmが得られたならば、ステップS102に進む。
ステップS102では、酸素吸蔵容量の実測値OSCmが、第3所定値としての閾値αx(図7参照)以下か否かが判断される。この閾値αxは前述の異常判定値αより大きい値である。ここでは、たとえ触媒がS被毒していたとしても正常とみなせるほどに十分大きな実測値OSCmが得られたかどうかを判断している。なお閾値αxは異常判定値αと等しい値としても良い。
実測値OSCmが閾値αxより大きいときには、十分大きな実測値OSCmが得られたとして、詳細は後述するが、ステップS113以降に進んで直接最終的な正異常判定がなされる。他方、実測値OSCmが閾値αx以下のときにはステップS103に進む。
ステップS103では、現時点での推定ストレスSTRに対応した酸素吸蔵容量の推定値OSCeがストレスマップから算出されると共に、この推定値OSCeと実測値OSCmとの乖離ΔOSCemが算出される。そして算出された乖離ΔOSCemが、仮異常判定値β(>0)より大きいか否かが判断される。
乖離ΔOSCemが仮異常判定値βより大きいときには、実測値OSCmが推定値OSCeを大きく下回っているので、ステップS104に進んで仮異常判定がなされる。即ちこのときには、触媒11がS被毒しているかあるいは劣化している可能性があるので、ステップS104に進んで、触媒11が異常であるとの仮の判定がなされる。この仮異常判定の後、ステップS105に進む。
乖離ΔOSCemが仮異常判定値βより大きいときには、実測値OSCmが推定値OSCeを大きく下回っているので、ステップS104に進んで仮異常判定がなされる。即ちこのときには、触媒11がS被毒しているかあるいは劣化している可能性があるので、ステップS104に進んで、触媒11が異常であるとの仮の判定がなされる。この仮異常判定の後、ステップS105に進む。
他方、乖離ΔOSCemが仮異常判定値β以下のときには、ステップS117に進んで後述するストレスマップの補正が行われる。
ステップS105〜S107では、仮に触媒11がS被毒していた場合にこれを解消するため、触媒11の再生すなわちS再生が行われる。まずステップS105では、推定触媒温度Tcが、比較的高温の所定温度Tc1より高いか否かが判断される。推定触媒温度Tcが所定温度Tc1以下の場合には待機状態となり、推定触媒温度Tcが所定温度Tc1より高い場合にはステップS106に進む。
ステップS106では、燃焼室3内の混合気の空燃比がストイキよりリッチな値に制御され、すなわち空燃比A/Fがリッチ化される。これにより、触媒11に供給される排気ガスの空燃比もストイキよりリッチとなり、高温且つリッチという条件が整って、触媒11に付着していた硫黄成分が脱離放出される。
次のステップS107ではS再生が終了したか否か、すなわち、推定触媒温度Tcが所定温度Tc1より高いという条件下でリッチ化が所定時間行われたか否かが判断される。
S再生が終了してないときにはステップS106に戻って空燃比リッチ化が継続され、S再生が終了したときにはステップS108に進む。
S再生が終了してないときにはステップS106に戻って空燃比リッチ化が継続され、S再生が終了したときにはステップS108に進む。
ステップS108では、ステップS101と同様の方法で、触媒11の酸素吸蔵容量OSCの値が再実測されたか否かが判断される。すなわち、S再生終了後に前提条件が満たされると、アクティブ空燃比制御が開始され、あとはステップS101に関して説明したのと同様の方法で酸素吸蔵容量OSCが再実測される。この再実測値OSCm2が得られたかどうかがここでは判断されている。
再実測されていなければ待機状態となり、再実測されたならばステップS109に進む。
再実測されていなければ待機状態となり、再実測されたならばステップS109に進む。
ステップS109では、ステップS101で得られた実測値OSCmと、ステップS108で得られた再実測値OSCm2との乖離すなわち回復量ΔOSCmm2が算出され、この回復量ΔOSCmm2が第2所定値としての回復判定値γより大きいか否かが判断される。回復量ΔOSCmm2はΔOSCmm2=OSCm2−OSCmから求められる。
回復量ΔOSCmm2は、S再生実行の結果、実測値OSCmがどの程度増大あるいは回復したかを示す値である。これに関して図9を用いて説明する。
図9において、(A)は酸素吸蔵容量の推定値OSCe、(B)はS再生前の酸素吸蔵容量の実測値OSCm、(C)はS再生後の酸素吸蔵容量の再実測値OSCm2で触媒がS被毒していた場合、(D)はS再生後の酸素吸蔵容量の再実測値OSCm2で触媒がS被毒しておらず劣化していた場合をそれぞれ示す。
図示するように、実測値OSCmは推定値OSCeより著しく小さく、その差は仮異常判定値βより大きい。これに対し、S被毒していた場合の再実測値OSCm2は、S再生の結果、実測値OSCmより大きく増大しており、回復量ΔOSCmm2は大である。対照的に、S被毒しておらず劣化していた場合の再実測値OSCm2は、S再生してもそれ程変わらず、実測値OSCmより僅かに増大するのみで、回復量ΔOSCmm2も小である。
よってこの特性を考慮し、図8に示すように、回復量ΔOSCmm2が回復判定値γ(図9も参照)より大きいときには、ステップS110において、触媒はS被毒していたとの判定すなわちS被毒判定が行われる。他方、回復量ΔOSCmm2が回復判定値γ以下のときには、ステップS116において、触媒はS被毒ではなく劣化しているとの判定すなわち劣化判定が行われる。
ここで、図9(C)のS被毒の場合についてより詳しく説明する。S再生の後、再実測値OSCm2は、推定値OSCeを上回ることもあるが、多くの場合には図示されるように推定値OSCeほどまでには増大しない。これは次に述べるS被毒のメカニズムに関連している。
まず前提として、触媒の劣化のみにより酸素吸蔵容量の実測値が低下する要因として、次の三つが挙げられる。
(1)触媒の酸素吸蔵容量(キャパシティ)自体の低下
(2)リーン雰囲気下での酸素吸蔵速度の低下
(3)リッチ雰囲気下での酸素放出速度の低下
(1)触媒の酸素吸蔵容量(キャパシティ)自体の低下
(2)リーン雰囲気下での酸素吸蔵速度の低下
(3)リッチ雰囲気下での酸素放出速度の低下
また、触媒における酸素吸放出反応は下記のようにして起こる。図10(A)に示す酸素吸蔵反応の場合、排気ガス中の酸素O2は、酸素吸蔵成分を含むコート材31に直接付着ないし吸着する。他方、図10(B)に示す酸素放出反応の場合、コート材31に付着ないし吸着していた酸素O2は、貴金属からなる触媒成分32を介してコート材31から放出される。上記(1)、(2)の要因はコート材31の性能のみに依存するといってほぼ差し支えない。
他方、コート材31に対するSOx(硫黄酸化物)の吸着により酸素吸蔵容量は低下するが、元来触媒が有する酸素吸蔵容量は非常に大きいので、現実問題として、SOx吸着による影響は少ないと考えられる。高硫黄濃度の燃料を使用したとき酸素吸蔵容量実測値が低下する主な要因は、上記(3)の酸素放出速度の低下、および酸素放出量の低下にあると考えられる。酸素を放出できなければその分吸蔵もできないからである。従ってS被毒影響のポイントは酸素放出の点にあると考えられる。
図11に示すように、元々のS被毒の原因は排気ガス中に含まれるSOxであり、これがコート材31や触媒成分32に付着してS被毒をもたらす。但し、触媒成分32(貴金属)とSOxとの結合力は弱く、触媒成分32に直接付着したSOxの影響度は小さい。
一方、硫黄成分がSOxとしてコート材31や触媒成分32に付着しただけでは、触媒活性度低下への影響は少なく、それ程問題視する必要はない。むしろ、問題視すべきは下記の反応である。
触媒が活性であると、SOxが触媒成分32上で酸化または還元される。図12はこの還元の様子を示し、(A)は還元前、(B)は還元後である。還元の結果、SOxから分解された酸素が排気ガス中のHCおよびCOと反応し、H2OとCO2が生成されている。
しかしながら、このとき触媒温度が十分な高温でないと、(B)に示すように、SOxが還元されるときにS(硫黄)のみが触媒成分32上に残留し、触媒成分32を被覆する。このSによる被覆が、触媒成分32を介する反応を阻害し、上記(3)の酸素放出速度の低下ひいては酸素放出量の低下をもたらし、酸素吸蔵容量実測値を低下させる主な要因となる。
ところで、触媒成分32上に残留するSの原因となるSOxについては、図13(A)に示すような排気ガス中のSOxと、図13(B)に示すようなコート材31(および触媒成分32)上に蓄積したSOxとがある。そこで便宜上、前者によるS被毒を排気ガス影響によるS被毒と称し、後者によるS被毒を蓄積影響によるS被毒と称し、両者を区別する。
排気ガス影響によるS被毒は、排気ガス中にSOxが存在する限り解消せず、高硫黄濃度の燃料を使い続ける限り起こるもので、S再生しても解消しない。他方、蓄積影響によるS被毒は、S再生を実行することにより解消する。
そして、酸素吸蔵容量実測値を低下させる主な原因となるのは、後者、すなわち蓄積影響によるS被毒である。このときには大量のSOxがコート材31および触媒成分32上に蓄積するからである。
図9に戻って、S再生を行うと蓄積影響によるS被毒は解消するので、(B)に示すS再生前の実測値OSCmから(C)に示すS再生後の再実測値OSCm2までの回復量ΔOSCmm2(図中矢印Aで示す)は、蓄積影響によるS被毒の解消分に相当する。しかしながら、S再生を行っても排気ガス影響によるS被毒は解消しないので、(C)に示すS再生後の再実測値OSCm2は(A)に示す推定値OSCeまでには到達あるいは回復しない。これら推定値OSCeと再実測値OSCm2との差(図中矢印Bで示す)が、排気ガス影響によるS被毒分に相当する。かような理由で、S再生後でも再実測値OSCm2が推定値OSCeまでには増大しないことが多いのである。
さて、図8に戻って、ステップS110でS被毒判定が行われた場合、ステップS111に進んで燃料のS濃度が推定される。このS濃度の推定は、回復量ΔOSCmm2と、S再生間の積算吸入空気量ΣGaとを用いて行われる。
回復量ΔOSCmm2が大きいということは、コート材31および触媒成分32上に多くのSOxが蓄積していたことになる。そして単位時間当たりのSOx蓄積量は燃料のS濃度が高いほど多くなる。
他方、吸入空気量が多いと燃料噴射量も多くなり、単位時間当たりのSOx蓄積量が多くなる。そこで、前回のS再生終了時から、ステップS105〜S107で行われるS再生の開始時までの間の吸入空気量の積算値ΣGaで、回復量ΔOSCmm2を除してなる値を、S濃度推定パラメータL=ΔOSCmm2/ΣGaとして設定する。このS濃度推定パラメータLは燃料のS濃度に相関する値である。なぜなら、例えば回復量ΔOSCmm2が大きく積算吸入空気量ΣGaが小さいほど、燃料の硫黄濃度は高いといえるからである。
よって、S濃度推定パラメータLと燃料のS濃度との関係を予め実験的に求め、マップ等の形でECU20に記憶しておく。そして、実際に得られた回復量ΔOSCmm2と積算吸入空気量ΣGaからS濃度推定パラメータLを算出し、S濃度推定パラメータLに対応したS濃度をマップ等から求める。こうして、燃料のS濃度を推定することが可能である。
なお、S再生には、ステップS105〜S107で行われるような強制再生の他、通常運転に伴って偶発的に(いわゆる成り行きで)高温且つリッチの条件が整うことによりなされる自然再生がある。自然再生は典型的には高負荷運転時に行われる。上述の前回のS再生は、強制再生および自然再生のいずれをも含むものである。
こうして燃料のS濃度が推定された後には、ステップS112に進んで、再実測値OSCm2が補正される。前述したように、再実測値OSCm2は、排気ガス影響によるS被毒の影響で、触媒が現に有する酸素吸蔵容量の値より小さくなっていると考えられる。よって排気ガス影響によるS被毒の影響を除去し、再実測値OSCm2をそのような現状の値に増大するため、補正が行われる。この様子を図14に示す。(A)が補正前の再実測値OSCm2を示し、(B)が補正後の再実測値OSCm2を示す。
具体的には、S濃度と補正値との関係を予め実験的に求め、マップ等の形でECU20に記憶しておく。そして、実際に推定されたS濃度に対応した補正値をマップ等から求める。補正値を再実測値OSCm2に乗算または加算し、再実測値OSCm2を増大補正する。乗算の場合、補正値は1より大きい値であり、加算の場合、補正値は正の値である。S濃度が高いほど再実測値OSCm2がより大きくなるよう、補正が行われる。
再実測値OSCm2を増大補正する代わりに、異常判定値αを減少補正してもよい。この様子を図15に示す。αが補正前の異常判定値であり、α’が補正後の異常判定値である。
前記同様、S濃度と補正値との関係を予め実験的に求め、マップ等の形でECU20に記憶しておく。そして、実際に推定されたS濃度に対応した補正値をマップ等から求める。補正値を元々の異常判定値αに乗算または加算し、異常判定値αを減少補正する。乗算の場合、補正値は0より大きく1より小さい値であり、加算の場合、補正値は負の値である。S濃度が高いほど異常判定値αがより小さくなるよう、補正が行われる。
次いで、ステップS113において、補正後の再実測値OSCm2と異常判定値αとが比較される。或いは、再実測値OSCm2を補正しないで異常判定値αを補正した場合には、再実測値OSCm2と補正後の異常判定値αとが比較される。このように、再実測値OSCm2と異常判定値αのうち、補正された一方と補正されてない他方とが比較される。
補正後の再実測値OSCm2が異常判定値α以下の場合、ステップS114にて触媒は異常との最終判定がなされる。他方、補正後の再実測値OSCm2が異常判定値αより大きい場合、ステップS115にて触媒は正常との最終判定がなされる。
或いは、再実測値OSCm2が補正後の異常判定値α以下の場合、ステップS114にて触媒は異常との最終判定がなされる。他方、再実測値OSCm2が補正後の異常判定値αより大きい場合、ステップS115にて触媒は正常との最終判定がなされる。
一方、ステップS102において、実測値OSCmが閾値αxより大きいと判断された場合、ステップS113に進んで直接最終判定がなされる。この場合、実測値OSCmも異常判定値αも補正されず、これらが単純に比較される。もっとも、閾値αxが異常判定値αより大きい(または等しい)ので、実測値OSCmは当然ながら異常判定値αより大きい。従ってこの場合にはステップS115にて触媒は正常との最終判定がなされることになる。
ところで、ステップS103で乖離ΔOSCemが仮異常判定値β以下と判断された場合(すなわちステップS104の仮異常判定がなされない場合)、およびステップS116で劣化判定がなされた場合には、S被毒の虞はないもののストレスマップが実状とズレている可能性があるので、ステップS117においてストレスマップが補正される。
まず便宜上、ステップS103からステップS117に進んでストレスマップが補正される場合を説明する。図16には、ステップS101で得られた実測値OSCmが、ストレスマップ上のOSC値すなわちマップ値Lに対し増大側にズレているとき(すなわち乖離ΔOSCemが負のとき)を示す。このときには、予め想定されていたよりも触媒の劣化が進んでいないことになる。よって一つの方法として、マップ値Lは、破線で示すように一律に増大補正される。すなわち、実測値OSCmに対応するストレスSTR1に対して、実測値OSCmと同一のマップ値Lが得られるように、マップ値L全体が増大補正される。こうしてマップ上のストレスSTRおよび酸素吸蔵容量OSCの関係は、実測値OSCmに合わせて補正されることとなる。
好ましい増大の仕方については、図示例のように、ストレスSTR1の位置では増大幅を実測値OSCmとマップ値Lの差と等しくし、他の位置では、マップ値Lの変化特性に合わせて、増大幅を変化させる。ストレスがSTR1より小さくなるほど増大幅を少なくし、ストレスがSTR1より大きくなるほど増大幅を多くする。代替的に、ストレスSTR1の位置における実測値OSCmとマップ値Lの差を、全てのストレスの位置における増大幅としてもよい。
代替的なもう一つの方法として、マップ値Lの基本となるストレスSTRを減少補正してもよい。この場合、実測値OSCmと等しいマップ値Lに対応した、STR1より小さいストレスSTR1’が求められ、STR1とSTR1’との差(STR1−STR1’)が求められる。そして推定触媒温度Tc等に基づき推定されたストレスから、その差が減算され、これにより得られた減少補正後のストレスが、以降ストレスとして用いられる。補正後のストレスから、ストレスマップを利用して、対応する推定値OSCeを得る。
次に図17を用いて、実測値OSCmがマップ値Lに対し減少側にズレているとき(すなわち乖離ΔOSCemが正のとき)を説明する。このときには、予め想定されていたよりも触媒の劣化が進んでいることになる。よって一つの方法として、マップ値Lは、破線で示すように一律に減少補正される。すなわち、実測値OSCmに対応するストレスSTR1に対して、実測値OSCmと同一のマップ値Lが得られるように、マップ値L全体が減少補正される。こうしてマップ上のストレスSTRおよび酸素吸蔵容量OSCの関係は、実測値OSCmに合わせて補正されることとなる。
好ましい減少の仕方については、図示例のように、ストレスSTR1の位置では減少幅を実測値OSCmとマップ値Lの差と等しくし、他の位置では、マップ値Lの変化特性に合わせて、減少幅を変化させる。ストレスがSTR1より小さくなるほど減少幅を少なくし、ストレスがSTR1より大きくなるほど減少幅を多くする。代替的に、ストレスSTR1の位置における実測値OSCmとマップ値Lの差を、全てのストレスの位置における減少幅としてもよい。
代替的なもう一つの方法として、マップ値Lの基本となるストレスSTRを増大補正してもよい。この場合、実測値OSCmと等しいマップ値Lに対応した、STR1より大きいストレスSTR1’が求められ、STR1とSTR1’との差(STR1’−STR1)が求められる。そして推定触媒温度Tc等に基づき推定されたストレスに、その差が加算され、これにより得られた増大補正後のストレスが、以降ストレスとして用いられる。補正後のストレスから、ストレスマップを利用して、対応する推定値OSCeを得る。
ステップS103からステップS117に進んでストレスマップが補正された場合、その後ステップS113に進んで、ステップS101で得られた実測値OSCmと異常判定値αとが比較される。この比較結果に応じて、ステップS114またはステップS115において、触媒が異常または正常と最終判定される。
他方、ステップS116からステップS117に進んでストレスマップが補正される場合、実測値OSCmの代わりに再実測値OSCm2が用いられ、再実測値OSCm2に合うようにストレスマップが補正される。そのやり方は前記同様である。そしてその後ステップS113に進んで、再実測値OSCm2と異常判定値αとが比較される。この比較結果に応じて、ステップS114またはステップS115において、触媒が異常または正常と最終判定される。
このように、触媒のS被毒の虞がない場合に、実測値OSCmまたは再実測値OSCm2に合うようにストレスマップを補正するので、ストレスマップを常に実状と合うように補正、更新することができ、ストレスマップの実状とのズレを解消することができる。そしてストレスマップを実状に合った正確な状態に維持し、酸素吸蔵容量OSCの推定精度を向上すると共に、当該推定値OSCeを用いた乖離判断(ステップS103)等の精度を向上することができる。
特に本実施形態では、実測値OSCmが閾値αx以下という、実測値OSCmが小さく誤診断が起こり易い状況でのみストレスマップを補正するので、診断精度の向上に有利であると共に、不必要に補正を行うことを回避できるという利点がある。
さらに、乖離ΔOSCemが仮異常判定値βより大きい場合しかS再生を実行しないので、不必要な燃料消費を避けられ、不必要なエミッション悪化を避けられると共に、触媒を不必要に劣化させてしまうことを防止できる。すなわち、S再生時には空燃比をリッチ化するので、燃料消費量が多くなり、COおよびHCの排出量が増加する。また、一般的にはS再生時に空燃比をリッチとリーンに強制的に繰り返し切り替えることもあり、こうすると触媒が高温且つリーン雰囲気に曝されたときに、その劣化が大きく進行する。本実施形態では特定の場合しかS再生を実行しないので、S再生としてそのような手法を採用した場合に、不必要な触媒の劣化進行を防止することができる。
本実施形態では実測値OSCmが閾値αx以下の場合しかS再生を実行しないので、このことも不必要な燃料消費回避等に有利である。
以上、本発明の実施形態について詳細に述べたが、本発明の実施形態は他にも様々なものが考えられる。例えば内燃機関の用途や形式等は任意であり、自動車用以外であってもよいし、直噴式等であってもよい。
本発明には、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
1 内燃機関
6 排気管
11 上流触媒
12 インジェクタ
17 触媒前センサ
18 触媒後センサ
20 電子制御ユニット(ECU)
6 排気管
11 上流触媒
12 インジェクタ
17 触媒前センサ
18 触媒後センサ
20 電子制御ユニット(ECU)
Claims (10)
- 内燃機関の排気通路に配置された触媒の異常を診断する装置であって、
前記触媒の性能指標値を実測する実測手段と、
前記触媒に与えられてきたストレスを推定するストレス推定手段と、
前記ストレスと前記性能指標値との間の所定の関係から、推定された前記ストレスに対応した前記性能指標値を推定する推定手段と、
前記性能指標値の実測値と推定値との間の乖離を算出する乖離算出手段と、
算出された前記乖離を第1所定値と比較して、前記触媒が異常か否かについての仮の判定を行う仮判定手段と、
を備えることを特徴とする触媒異常診断装置。 - 前記仮判定手段が仮異常判定をしたとき、前記触媒の再生を行う再生手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の触媒異常診断装置。 - 前記触媒の再生後、前記実測手段が前記触媒の性能指標値を再実測する
ことを特徴とする請求項2に記載の触媒異常診断装置。 - 前記性能指標値の実測値と再実測値との乖離が第2所定値より大きいとき、前記触媒が硫黄被毒していたと判定する硫黄被毒判定手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項3に記載の触媒異常診断装置。 - 前記硫黄被毒判定手段が前記触媒を硫黄被毒していたと判定したとき、燃料の硫黄濃度を推定する硫黄濃度推定手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項4に記載の触媒異常診断装置。 - 推定された前記硫黄濃度に基づき、排気ガス影響による硫黄被毒の影響を除去すべく、前記再実測値およびこれの比較対象となる異常判定値のうちの一方を補正する硫黄補正手段と、補正された一方と補正されてない他方とを比較して前記触媒が正常か異常かを最終判定する判定手段と、をさらに備える
ことを特徴とする請求項5に記載の触媒異常診断装置。 - 前記実測値が第3所定値以下のとき、前記乖離算出手段が前記乖離の算出を行う
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の触媒異常診断装置。 - 前記ストレスと前記性能指標値との間の前記関係を補正するストレス補正手段をさらに備え、
前記仮判定手段が仮異常判定をしなかったとき、前記ストレス補正手段が前記関係を前記実測値に合わせて補正する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の触媒異常診断装置。 - 前記ストレスと前記性能指標値との間の前記関係を補正するストレス補正手段をさらに備え、
前記硫黄被毒判定手段が前記触媒を硫黄被毒していたと判定しなかったとき、前記ストレス補正手段が前記関係を前記再実測値に合わせて補正する
ことを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の触媒異常診断装置。 - 前記触媒が、酸素吸蔵能を有する触媒であり、前記性能指標値が、前記触媒の酸素吸蔵容量である
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の触媒異常診断装置。
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