JP4061228B2 - 布製おむつ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、体が不自由な人が着用する布製おむつに関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平10−99360号公報
【特許文献2】
実用新案登録番号第3034065号公報
【特許文献3】
特開平11−146893号公報
病人や、体力がない高齢者等は、寝たきりで介護を受ける場合がある。この場合は、自力でトイレに行くことができず、おむつを着用している。おむつは、おむつカバーとおむつパッドを組み合わせたものや、おむつカバーと吸水部が一体化された使い捨てタイプ等が用いられている。近年は福祉施設などで、環境への配慮や廃棄処分に費やすコスト面から、使い捨てタイプよりも繰り返し利用可能なタイプが見直されている。これに伴い、漏れのない布製おむつが求められている。
【0003】
従来のおむつカバーは、伸縮性がほとんど無い防水性の生地で作られ、腰から股を覆いながら通過し腹部に達する長方形の本体と、上記本体の腰部分の両脇に設けられ上記本体の長手方向に対してほぼ直角に側方へ延出する一対の押さえ片が設けられている。本体の長手方向に沿って平行な一対の側縁部には、横漏れ防止ギャザーが設けられている。一対の押さえ片の先端には、互いに着脱自在に係止される面ファスナが設けられ、本体の腹部側端部には、上記押さえ片に着脱自在に係止する面ファスナが設けられている。
【0004】
このようなおむつカバーの使用方法は、まずおむつカバーを展開した状態で本体の内側に吸水性を有するおむつパッドを当てる。そして、着用者を左右に体位変換させながら、最終的に仰向けになっている腰の下に、おむつパッドとおむつカバーを敷く。この後、おむつパッドまたは従来からあるドビー織りおむつで陰部全体を覆い包むように折り曲げ、さらにおむつカバーも折り曲げて股を通過して腹部まで覆い、腰の両枠に位置する一対の押さえ片を腹部の両側から腹部前面に巻きまわし、腹部前面で面ファスナにより互いに係止する。
【0005】
また、従来のおむつパッドは、少なくとも体表面に接しないおむつ外面は、防水性または撥水性を有する生地などで作られた防水部を有し、両足内側付け根付近には発水性や防水性のある生地が足の付け根の内側に向かって立設されて密着するダム部が形成されている。ダム部の内側には、吸水性を有する布地等で作られた吸水部が設けられている。防水部と、吸水部は縫製により一体化されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術の場合、おむつカバーは伸縮性がなく、お尻の周囲を包んでいるだけなので、足の根元に隙間ができやすく、隙間から尿等の排泄物が漏れることもある。また、排泄物が漏れないように、横漏れ防止ギャザーの縁取り部材をゴムなどで強化して、身体を締め付けるようにすると、その部分が痛くなったり、跡がついたり、血行障害による縟瘡の原因になる場合がある。さらに、横漏れ防止ギャザーは足の付け根を一周しないため、完全に隙間をなくすことはできないものであった。
【0007】
これら尿漏れの問題は、衣類の着替え、シーツの交換も併せて発生することを意味する。この結果、取替えのための手間と、大量の洗濯物が出る。これは不経済であると同時に、何にもましておむつの装着者には不快であり、風邪の原因になる場合もあった。
【0008】
この問題を解決するものとして、特許文献1に開示されているねたきり老人用おしめカバーがある。このねたきり老人用おしめカバーは、防水性を有し伸縮性を有しない生地で作られ、ウエスト部分から大腿部の途中までを覆う半ズボン形である。大腿部の前面に、裾からウエストを結ぶ線上に分割線が形成されている。分割線の両側縁部は、互いに重ねられ、面ファスナで着脱自在に係止されている。裾には、ゴム紐が一周して設けられ、排泄物がもれないように大腿部に密着している。
【0009】
しかし、このねたきり老人用おしめカバーも、伸縮性がないため内側のおむつパッドを確実に保持することが出来ない恐れがあり、一度排尿され自重で重くなったおむつパッドの場合は、下がりやすく保持しにくい構造となっている。また、裾にゴム紐が設けられて大腿部を締め付けるため、大腿部が痛くなったり、跡がついたり、血行が悪くなるなどの影響がある。
【0010】
また、従来のおむつパッドは、吸水部が尿等の水分を含んだ場合、水分が吸水部から、ミシン糸に浸透して防水部の外側に移動することがあった。さらに、寝返りなどの体位変換が起こると、体圧が加わり、おむつカバーの防水部のミシン穴から水分が漏れ出ることもあった。そして、着用者が仰向けに寝ている場合、重力の法則に従い、吸水性のある生地に含まれる水分が時間経過と共に背中側に集中する。従来の成形おむつではこの部位にダム構造がなく、吸水しきれなくなった尿が背中側から大量に漏れ出す問題があった。
【0011】
また、最近の防水部と吸水部を一体構造にしたおむつパッドの場合も、防水部と吸水部とを一体にするためのミシン糸やミシン穴から水分が漏れ出たり、背中側にはダム構造がないので、大量に尿が漏れ出る問題があった。さらに、洗濯の脱水時には防水部が壁となり、水切れも悪く、水切れむらが起きやすい。しかも乾燥時には、防水部等が、吸水部表面からの蒸発を阻害し、乾燥時間が極めて長くなる。一般家庭で使用する場合は、乾燥の悪さから、予備の枚数を多く準備しなければならず不経済であった。また、おむつのレンタル事業者にとって、乾燥時間が長いと乾燥設備の増強が必要となる上、乾燥のための熱源となる化石燃料の使用量も多くなり、ランニングコストの上昇につながるため、提供価格がアップする問題も大きい。
【0012】
一方、近年多く使用されている紙製おむつは、使い捨てで、その材料には高分子吸水ポリマー、防水用プラスチックフィルム、パルプ、ゴム等が使用されており、リサイクルし難い構造となっている。また、使用済みおむつは、収集時に周囲に飛び散る場合もあり、公衆衛生上問題がある上、焼却処分場では、病院や施設から大量に排出される使用済みおむつの水分により、焼却炉内の温度低下が起きやすく、ダイオキシンの発生原因になる。それを防止するために、化石燃料を付加しており、二酸化炭素の増加を招き、地球環境保護の観点からも影響が大きい。
【0013】
また、排尿回数が少なく一回の排尿量が極めて多い着用者の対応として、従来から使用されている綿製のドビー織おむつの内面に紙製パッドをおき、吸水させる方法が取られている。この構造では、紙製パッドからオーバーフローした尿は、綿製のドビー織おむつに吸収される。しかし、綿製ドビー織おむつには防水布がなく、おむつカバーと体との隙間から尿漏れが起きる問題があった。さらに水状便の場合は、紙表面で、固形分が目詰まりを起こし、高分子吸水ポリマーが吸水できず、漏れ原因のひとつになっている。
【0014】
この発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、着用感が良好で確実に排泄物を保持し、横漏れのないおむつカバーとおむつパッドを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明は、防水性を有せず伸縮性を有し、通気性、吸湿性、速乾性を有する生地で形成されたおむつカバーと、上記おむつカバー内にセットされ防水性を有する生地で形成された防水収納袋とこの記防水収納袋に入れる吸水性のパッド本体を備えたおむつパッドから成る布製おむつである。
【0016】
この発明の布製おむつは、伸縮性を有する生地で作られウエスト部分から大腿部の途中までを覆う半ズボン形に形成され、各大腿部の前側で、裾からウエストに達する分割線により分割され、上記分割線から前中心側を前身頃とし、上記分割線から後中心側を後身頃とし、上記後身頃には、上記分割線側縁部に沿って取り付けられた第一の面ファスナと、上記前身頃の上記分割線側縁部に取り付けられ上記第一の面ファスナに係止される第二の面ファスナと、上記第一の面ファスナまたは上記第二の面ファスナのうちフック状のエレメントを有する雄部材を着脱可能に覆う覆い部材が設けられているおむつカバーを備える。
【0017】
上記後身頃の上記分割線の側縁部に連続し上記前身頃の裏側面に重ねられ少なくとも腹部を覆う内側押さえ部と、上記内側押さえ部のウエスト部分から前中心側へ延出する帯状のベルト部と、上記ベルト部の一方の先端の表側面に取り付けられた第三の面ファスナと、上記ベルト部の他方の裏側面に取り付けられ上記第三の面ファスナに係止される第四の面ファスナが設けられている。
【0018】
上記後身頃の上記分割線の両側縁部に各々上記内側押さえ部が形成され、少なくとも一方の上記内側押さえ部は上記第一の面ファスナと上記第三の面ファスナを形成する面ファスナ生地で一体に設けられている。
【0019】
上記覆い部材は、上記面ファスナの雄部材に隣接してこの雄部材に係止されるループ状のエレメントを有する面ファスナの雌部材が設けられ、上記雄部材と上記雌部材を互いに係止して上雄部材が露出しないようにしている。
【0020】
また、上記覆い部材は上記おむつカバーに取り付けられた筒状の覆い布であり、上記面ファスナの雄部材は上記覆い布に挿通された伸縮性の帯部材に取り付けられ、上記帯部材に引っ張る力を加えると帯部材が上記覆い布から延出して上記雄部材が露出する。
【0021】
さらにこの発明の布製おむつは、撥水または防水生地で成形された防水収納袋と、上記防水収納袋に入れる吸水性のパッド本体が設けられているおむつパッドを備え、上記防水収納袋には、上記パッド本体の裏面全体を覆う底部と、上記底部の周囲に連続し上記パッド本体の表面の縁部を所定幅で覆うダム部と、上記ダム部の内側に形成され上記パッド本体が露出する開口部が設けられている。
【0022】
また、上記防水収納袋は、上記おむつパッドの着用者の、体表面に接する内面にのみ縫い糸や針穴が設けられ、上記着用者の体表面に接しない外面には縫い糸や針穴がなく防水性を高めたものである。
【0023】
また、上記開口部の少なくとも一部には、上記開口部を内側に収縮するための弾性部材が設けられている。
【0024】
上記防水収納袋の上記ダム部は、上記おむつパッドの着用者の後側に位置する後部が、上記ダム部のその他の部分よりも幅広に形成されている。
【0025】
この発明の布製おむつは、おむつカバーが伸縮性を有する生地で作られウエスト部分から大腿部の途中までを適度に緊締して内側のおむつパッドを身体に密着させ、排泄物を確実に保持する。おむつカバーは身体に確実に密着して横漏れを防ぎ、着用感も良好となる。そしておむつパッドは、発水性または防水性を有する生地で作られた防水収納袋が、尿等の漏れを確実に防止する。防水収納袋は後側のダム部が幅広に形成され、後側からの漏れを防ぐ。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1〜図8はこの発明の一実施形態を示すもので、この実施形態のおむつ10は、図1〜図4に示すおむつカバー12を備えている。おむつカバー12は伸縮性、通気性、吸汗性、速乾性を有する生地で作られ、適度な緊締力を有している。おむつカバー12はウエストから大腿部の途中までを覆う半ズボン形であり、各大腿部の前面に裾16からウエスト部18にかけて連続した分割線20により分割され、この分割線20で展開される。そして、おむつカバー12は、分割線20で区切られた前中心側の前身頃24と、背面側の腰から臀部さらに体側部を覆う後身頃22を備え、分割線20で分割された後身頃22と前身頃24とが、クロッチ部材26により繋がれている。図2は、各部材を分解しその裏面を示したものである。
【0027】
後身頃22は左右対称形であり、裾16には、後中心に股の形状にU字形に切り欠かれて後股下部28が設けられている。後身頃22の、左脇部22aには、前身頃24の後述する第二面ファスナ54に係止される第一面ファスナとしての内側押さえ部30が、左脇部22aに沿って縫い付けられている。内側押さえ部30は、面ファスナのループ部機能が設けられた雌部材の生地で作られ、面ファスナのループは生地の表側面に設けられている。そして、内側押さえ部30の幅は、裾16からウエスト部18に近づくに従い、徐々に広く形成されている。内側押さえ部30の側縁部30aには、後身頃22のウエスト部18の延長線に沿って側方に突出する帯状のベルト部32が連続して設けられている。
【0028】
ベルト部32の先端付近には、図3に示すように、ベルト部32の裏面側に、後述するベルト部48に係止される雄部材の第四面ファスナ34が、帯部材であるテープ36を介して設けられている。テープ36は、例えば織ゴムである。テープ36は、長手方向の約半分がベルト部32の端部から側方へ突出するように、ミシン糸38で取り付けられている。第四面ファスナ34は、テープ36の、ベルト部32から側方に突出した部分に取り付けられている。テープ36は、ベルト部32の先端の少し外側にテープ36の長手方向に対して直角に折り目40が設けられ、折り目40で裏側に二つ折りにした状態で、折り目40の近傍をミシン糸42で縫い合わさせている。これによりテープ36は折り目40で二つ折りしやすい構造となる。テープ36を折り目40で二つ折りしたとき、第四面ファスナ34に対面する位置に、第四面ファスナ34の覆い部材である雌部材の第五面ファスナ44が設けられている。そして、テープ36の先端は、折り返して縫い合わされて、取手37となる。取手37は、テープ36を折り目40で折り返したり伸ばしたりして第四面ファスナ34と第五面ファスナ44の係合や係合解除を行うときに保持する。
【0029】
なお、第四面ファスナ34を覆う覆い部材は、テープ36の反対側に設けられた第五面ファスナ44以外に、図4に示すように筒状の覆い布70でもよい。この場合、第四面ファスナ34は、伸縮性を有する織ゴム72の中央付近に取り付けられている。織ゴム72の一端部は折り返されて取手74となる。織ゴム72の反対側の端部は、覆い布70の内側をベルト部32の先端側から内側に向かって挿通され覆い布70から出た位置を織ゴムミシン止め位置71としてベルト部32に、縫い付けられている。そして、第四面ファスナ34を使うときに、取手74を外側に引くと織ゴム72が延びて第四面ファスナ34が覆い布70から露出する。使用しないときは、織ゴム72が元の長さに復元し、第四面ファスナ34は覆い布70の内側に入り、覆われる。
【0030】
後身頃22の、右脇部22bには、左脇部22aと同様に前身頃24の後述する第二面ファスナ62に係止される第一面ファスナとしての内側押さえ部46が、右脇部22bに沿って縫い付けられている。内側押さえ部46は、面ファスナのループ部機能が設けられた雌部材の生地で作られている。内側押さえ部46の側縁部46aには、後身頃22のウエスト部18の延長線に沿って突出する帯状のベルト部48が連続して設けられている。ベルト部48は、内側押さえ部46と同じ面ファスナのループ部機能が設けられた生地であり、左脇部22aの内側押さえ部30に設けられた第四面ファスナ34が着脱自在に係止される第三面ファスナとなる。
【0031】
後身頃22の後股下部28には、クロッチ部材26が縫い合わされている。クロッチ部材26は細長い矩形に形成され、クロッチ部26の一側縁部は後股下部28に、他方の側縁部は前身頃24の後述する前股下部51に縫い合わされている。
【0032】
前身頃24は左右対称形であり、裾50には、前中心に股の形状にU字形に切り欠かれて前股下部51が設けられている。前身頃24の、左脇部24aと右脇部24bは、裾部50からウエスト部52にかけて、互いに離れる方向へ斜めに傾斜して形成されている。左脇部24aには、裾付近50、ウエスト部付近52、中間付近の3ヶ所に、第二面ファスナ54が設けられている。各第二面ファスナ54は、図3の第四面ファスナ34と同様に、テープ56を介して取り付けられ、テープの折り目58の反対側に、第二面ファスナ54の覆い部材である雌部材の第五面ファスナ60が、各々設けられている。
【0033】
前身頃24の右脇部24bには、左脇部と同様に裾付近50、ウエスト部付近52、中間付近の3ヶ所に、第二面ファスナ62が設けられている。第二面ファスナ62は、第二面ファスナ54と同様に、テープ64、折り目66、第五面ファスナ68が、各々設けられている。
【0034】
次に、おむつカバー12に入れて使用するおむつパッド76について図5〜図8に基づいて説明する。まず、図5に示すように、おむつパッド76は、撥水または防水の生地で作られた防水収納袋78が設けられている。防水収納袋78は、細長い矩形の底面82と、底部82の周縁部に連続し表側に折り返されるダム部84が一周して設けられている。ダム部84には、長手方向の一端部であり身体の前側に位置する前部84aと、前部84aに対して直角に位置する一対の側縁部84b,84cと、前部84aの反対側の後部84dが設けられている。前部84aの幅は、例えば5cm、側縁部84b,84cは3.5cmに形成されている。そして、後部84dはより広い幅に、例えば10cmに形成されている。前部84aと、側縁部84b,84c、後部84dは、縫製部85で縫い合わされている。ダム部84の中央には、開口部86が設けられ、開口部86の、ダム部84の側縁部84b,84cの縁には、弾性部材である織ゴム88が取り付けられている。ダム部84の前部84a、後部84dは、縫製部87が設けられている。また、介助者が生地の表裏を間違えないよう、織ゴム88を縫い付けるミシン糸の、表糸と裏糸の色を変えるなどの工夫がされても良い。
【0035】
防水収納袋78の内側には、開口部86から出し入れされるパッド本体89が設けられている。パッド本体89は、図6、図7に示すように、防水収納袋78の内側にほぼ隙間なく入れられる大きさであり、防水収納袋78の底部82とほぼ同じ大きさの矩形に形成されている。
【0036】
パッド本体89は、身体側に位置する表面生地90と、身体の反対側に位置するネット状生地92と、表面生地90とネット状生地92の間に挟まれる吸水生地94が、積層されて設けられている。表面生地90は、例えば起毛素材のポリエステル生地を使用することで、濡れた感じがしにくい。吸水生地94は、キュプラ23%とポリエステル77%をニードルパンチした不織布を複数枚積層したものである。キュプラを混紡させることで保水力を向上させる。ネット状生地92は、ポリエステルのネット状であり、ネット状にすることで吸水生地94の乾燥速度を上げる効果がある。積層された各生地の周縁部は、ジグザグミシン糸96で縁取りされ連結されている。パッド本体89の内側には、長手方向に沿って2本の直線ミシン糸98が設けられ、ずれ等が防止されている。
【0037】
次に、おむつ10の使用方法について説明する。まずおむつカバー12を、裏側を上にしてベッドなどおむつ10を交換する場所の上に展開し、あらかじめ防水収納袋78に入れられたパッド本体89を当てる。ここでパッド本体89の、防水収納袋78への入れ方は、まずパッド本体89の、表面生地90を上方にしてパッド本体89の一端部を防水収納袋78の開口部86から後部84dに差し込み、次に他端部を防水収納袋78の前部84aに差し込み、前部84aと後部84dを長手方向に引き、側縁部84b,84cをパッド本体89に被せてセットを完了する。
【0038】
そして、着用者が仰向けに横になっている腰の下に、おむつパッド76とおむつカバー12を敷く。そして着用者が仰向けに横になっている腰の下に、おむつパッド76とおむつカバー12を敷く。そして、おむつパット76を折り曲げて股を通過して腹部まで覆う。次に、内側押さえ部46を身体の右側前面に折り、ベルト部48を腹部の中心まで巻きまわす。次に内側押さえ部30を身体の左側前面に折り、ベルト部32をベルト部48に重ねながら腹部の中心まで巻きまわし、第四面ファスナ34をベルト部48に係止する。このとき、ベルト部32,48でおむつパット76を腰に押さえつける。
【0039】
次に、後身頃22の後股下部28から前身頃24を前に引き出す。前身頃24の第二面ファスナ54を内側押さえ部30に係止させ、第二面ファスナ62を内側押さえ部46に係止させる。
【0040】
排泄物が出た後は、おむつカバー12を逆の手順で外す。おむつパッド76を交換して再びおむつカバー12を着用させる。おむつカバー12とおむつパッド76は、洗濯をして何度も繰り返し使用する。おむつカバー12を洗濯するときは、ベルト部32の第四面ファスナ34は、テープ36の折り目40に沿って折り返し、第五面ファスナ44に係止する。また、第二面ファスナ54も同様にと第五面ファスナ60に各々係止させ、また第二面ファスナ62も第五面ファスナ68に各々係止させる。これにより、面ファスナの雄部材である第四面ファスナ34、第二面ファスナ54、第二面ファスナ62のフック部分が、ほかの衣類等に絡まることを防ぐ。おむつパッド76は、防水収納袋78の開口部86が織ゴムにより伸縮するため、洗濯している最中にパッド本体89が防水収納袋78から外れ、きれいに洗われるとおもに、脱水や乾燥が効率よく行われる。
【0041】
また、図8のように防水収納袋78には、パッド本体89の下に、紙製吸水パッド100を重ねて入れ、使用してもよい。
【0042】
この実施形態のおむつ10によれば、おむつカバー12は伸縮性を有する生地で作られウエストから大腿部の途中までを覆って、適度に緊締するため、排泄物を吸収するためのおむつパット76を確実に保持することができる。排泄物がおむつカバー12の外側にもれることがなく、清潔で衛生的である。おむつカバー12は全体に緊締力があり、局部的に締め付けることがなく、痛くなったり血行が悪くなる恐れがない。内側押さえ部30,46は、面ファスナのループが全面に設けられ、任意の位置に第二面ファスナ54,62を係止することができ、着用者の体形に適した位置に係止することができる。おむつカバー12を洗濯するときは、面ファスナの雄部材である第四面ファスナ34、第二面ファスナ54、第二面ファスナ62が、覆い部材である第五面ファスナ44,60,68に係止され、フック部分ほかの衣類等に絡まることを防ぎ、ほかの部分の生地やほかの洗濯物に引っかかることがなく、痛みを防ぎ、使用期間を長く保つことができる。第四面ファスナ34、第二面ファスナ54,62は、テープ36,56,64を介して取り付けられているため、各面ファスナが痛んだときは、各テープを取り外し、簡単に交換することができる。
【0043】
また、おむつパッド76は防水収納袋78で確実に漏れを防ぎ、より確実におむつ10の外への漏れを防ぐことができる。防水収納袋78は、全体がダム構造となり、また後部84dが長く形成されているため、着用者が仰向けに寝ているときに後側からの漏れを確実に防ぐことができる。おむつパッド76は防水収納袋78の開口部86で着用者の皮膚に接しているため、直接尿に触れる部分が少なく、尿による皮膚表面のたんぱく質分解によって起こる、縟瘡範囲を少なくすることができる。防水収納袋78は、底部82にミシン糸やミシン穴が生じず、ミシン糸からの浸透により尿漏れや、寝返りなどの体位交換による体圧から発生するミシン穴からの尿漏れを、防ぐことができる。防水収納袋78とパッド本体89が別体であり、洗濯機内で互いに分離するように設計してあるため、水切れが極めてよく、乾燥時には吸水生地94表面からの水分蒸発も阻害されず乾燥速度が速い。一般家庭で使用するときも、おむつパッド76の乾燥が容易であり、このため予備のおむつパッド76を少なくすることができる。防水収納袋78は、パッド本体89の下に紙製吸水パッド100を重ねて使用することができ、これにより一回の排尿量が極めて多い着用者にも、紙製吸水パッド100の吸水量を付加して対応可能となる。水状便の場合も、パッド本体89表面で、固形分をキャッチできるため、紙製吸水パッド100の高分子吸水ポリマーが効率よく吸水でき、漏れの発生を防ぐことができる。
【0044】
なお、この発明のおむつは、上記実施の形態に限定されることがなく、各部材の形状や面ファスナの位置、数、大きさ等、自由に変更可能である。各部材の係止手段は、面ファスナ以外に簡単で強い強度で係止するものであればよい。使用するおむつパットは、使い捨てタイプのみを使用してもよい。
【0045】
【発明の効果】
この発明の布製おむつによれば、確実に排泄物をおむつ内に保持し、外側にもれることを防ぎ、衛生的で介護が容易なものとなる。しかも、着用感が良好であり、動きやすく、見た目も良好なものである。
【0046】
また、おむつパッドはおむつカバーの伸縮力により体表面とおむつパッドの間に空間が空かず、防水収納袋内で確実に漏れを防ぎ、おむつパッドの外への漏れを防ぐ。特に、防水収納袋は、全体がダム構造となり、着用者が仰向けに寝ているときにも漏れを確実に防ぐことができる。また、おむつパッドの防水収納袋は、ミシン糸やミシン穴が外側になく、ミシン糸からの浸透により尿漏れや、寝返りなどの体位交換による圧力から発生するミシン穴からの尿漏れを防ぐ。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態の布製おむつの正面図である。
【図2】 この実施形態の布製おむつのおむつカバーの分解図である。
【図3】 この実施形態のおむつカバーの第四面ファスナの斜視図である。
【図4】 この実施形態のおむつカバーの第四面ファスナの変形例を示す斜視図である。
【図5】 この実施形態の布製おむつのおむつパッドの斜視図である。
【図6】 この実施形態の布製おむつのパッド本体の斜視図である。
【図7】 図6のA−A線断面図である。
【図8】 この実施形態のおむつパッドの紙製吸水パッドを併用した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 おむつ
12 おむつカバー
16 裾
18 ウエスト部
20 分割線
22 後身頃
24 前身頃
26 クロッチ部材
28 後股下部
30,46 内側押さえ部(第一面ファスナ)
32,48 ベルト部
34 第四面ファスナ
36 テープ
38,42 ミシン糸
40 折り目
44,60,68 第五面ファスナ(覆い部材)
50 裾
51 前股下部
52 ウエスト部
54,62 第二面ファスナ
56,64 テープ
58,66 折り目
70 覆い布
72 織ゴム
74 取手
76 おむつパッド
78 防水収納袋
82 底面
84 ダム部
86 開口部
88 織ゴム
89 パッド本体
90 表面生地
92 ネット状生地
94 吸水生地
96 ジグザグミシン糸
98 直線ミシン糸
100 紙製吸水パッド

Claims (3)

  1. 防水性を有せず通気性を有し伸縮性を有した生地で形成されたおむつカバーと、上記おむつカバー内にセットされ防水性を有する生地で形成された防水収納袋と、この記防水収納袋に入れる吸水性のパッド本体を備えたおむつパッドとから成り
    上記おむつカバーは、ウエスト部分から大腿部の途中までを覆う半ズボン形に形成され、各大腿部の前側で裾からウエストに達する一対の分割線で分割され、この分割線の前中心側を前身頃とし、この前身頃より後側を後身頃とし、
    上記後身頃には、上記各分割線側縁部に沿って取り付けられた第一の面ファスナと、上記前身頃の上記分割線側縁部に取り付けられ上記第一の面ファスナに係止される第二の面ファスナと、上記第一の面ファスナまたは上記第二の面ファスナのうちフック状のエレメントを有する雄部材を着脱可能に覆う覆い部材が設けられ、
    上記後身頃の上記分割線の両側縁部に連続し上記前身頃の裏側面に重ねられ少なくとも腹部を覆う一対の内側押さえ部と、上記内側押さえ部のウエスト部分から前中心側へ延出する帯状のベルト部と、上記ベルト部の一方の先端の表側面に取り付けられた第三の面ファスナと、上記ベルト部の他方の裏側面に取り付けられ上記第三の面ファスナに係止される第四の面ファスナが設けられ、
    上記防水収納袋は、上記パッド本体の裏面全体を覆う底部と、上記底部の周囲に連続し上記パッド本体の表面の縁部を覆うダム部と、上記ダム部の内側に形成され上記パッド本体が露出する開口部が設けられ、上記おむつパッドの着用者の体表面に接する内面にのみ縫い糸や針穴が設けられ、上記着用者の体表面に接しない外面には縫い糸や針穴がなく、上記開口部の少なくとも一部には上記開口部を内側に収縮するための弾性部材が設けられ、上記防水収納袋の上記ダム部は、上記おむつパッドの着用者の後側に位置する後部が、上記ダム部のその他の部分よりも幅広に形成されていることを特徴とする布製おむつ。
  2. 少なくとも一方の上記内側押さえ部は、上記第一の面ファスナと上記第三の面ファスナを形成する面ファスナ生地で一体に設けられ、上記覆い部材には、上記面ファスナの雄部材に隣接してこの雄部材に係止されるループ状のエレメントを有する面ファスナの雌部材が設けられ、上記雄部材と上記雌部材を互いに係止して上記雄部材が露出しないようにしたことを特徴とする請求項1記載の布製おむつ。
  3. 上記覆い部材は上記おむつカバーに取り付けられた筒状の覆い布であり、上記面ファスナの雄部材は上記覆い布に挿通された伸縮性の帯部材に取り付けられ、上記帯部材に張力を加えると帯部材が上記覆い布から延出して上記雄部材が露出することを特徴とする請求項1記載の布製おむつ。
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