JP4060908B2 - 指紋読取光学系 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、指紋読取光学系に関し、特に、光軸に対して斜めに傾いた指受け面の指紋像を偏心光学系を用いて受光素子上に収差補正を行って結像させる明るい指紋読取光学系に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
指紋読取光学系としては、従来より直角プリズムを用い、その斜面に押し当てられた指の指紋像を光学系を介して撮像するものが提案されている(例えば特開昭55−13446号)。しかしながら、このような直角プリズムを用いて指紋像を採取する場合、物体面が光軸に対して斜めに傾いているため、台形歪みや歪曲収差が発生してしまう。そこで、特開塀8−334691号のものにおいては、テレセントリック光学系を用いて光軸に対して斜めに傾いた指受け面の指紋像を台形歪み、歪曲収差を補正して読み取っている。すなわち、図6に示すように、直角プリズム75の斜面76に押し付けられた指6の指紋の像は、直角プリズム75の入射面78から入射した照明光が斜面76で全反射することにより光束上に採取され、その光束は入射面78に対して直角な射出面77から射出され、レンズ群71、その後側焦点にピンホール79が配置された絞り72、絞り72のピンホール79を前側焦点とするレンズ群73からなるテレセントリック光学系を介してCCD74上に結像され、指紋像が光電的に読み取られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、テレセントリック光学系を用いた上記従来例においても、光学系として、プリズム以外に複数のレンズよりなるテレセントリック光学系を必要とし、光学系が複雑で高価になると共に、テレセントリック光学系により台形歪みや歪曲収差なしにCCD74上に結像するため、光束が絞りのピンホールにより大幅に制限されるため、光学系は暗いものになっていた。
【0004】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、光軸に対して斜めに傾いた指受け面の指紋像を偏心光学系により収差補正を行って受光素子上に結像させる明るい指紋読取光学系を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の指紋読取光学系は、光源と、前記光源からの光を被検者の指が接する指受け面にて全反射するように構成されたプリズム部材と、前記指受け面の指紋像を形成する結像光学手段と、前記指紋像を受光する受光手段とを有する指紋読取光学系において、前記プリズム部材が、前記指受け面の他に前記指受け面での全反射作用によって発生する偏心収差を補正する作用を持った回転非対称面形状を備えた光学作用面を備え、前記光学作用面の回転非対称面形状は、前記指受け面によって反射される前の光軸と反射された後の光軸の双方を含む1面のみを対称面とする自由曲面形状に構成されていることを特徴とするものである。
【0006】
この場合、プリズム部材が、少なくとも光源からの光を入射させる入射面と、指受け面と、指受け面で全反射された光を射出する射出面とを有し、光学作用面が射出面に設けられているものとすることも、少なくとも光源からの光を入射させる入射面と、指受け面と、指受け面とは別にプリズム部材内の光束を内部反射させる少なくとも1面の反射面と、その反射面で反射された光を射出する射出面とを有し、光学作用面が反射面の少なくとも1面に設けられているものとすることもできる。また、本発明の指紋読取光学系の受光手段で受光した被検者の指紋像を、記憶手段に記憶されている参照用データと比較する比較手段と、その比較結果を表示する表示手段とを備えた指紋読取装置とすることもできる。
【0007】
本発明においては、プリズム部材が、指受け面の他に指受け面での全反射作用によって発生する偏心収差を補正する作用を持った回転非対称面形状を備えた光学作用面を備えているので、テレセントリック光学系を用いなくとも光軸に対して斜めに傾いた指受け面の指紋像を台形歪み、歪曲収差を補正して読み取ることがきる。しかも、光束をテレセントリック光学系の絞りにより制限する必要もないので、光学系が明るく読み取り感度に優れている。さらに、読取光学系を単一のプリズムブロックで構成でき、構成が簡単になると共に安価に構成できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の指紋読取光学系の原理と実施例について説明する。
図1及び図2は後で詳しく説明する本発明のそれぞれ実施例1、実施例2の指紋読取光学系の断面図である。本発明の指紋読取光学系は、これらの図に示すように、光源5と、被検者の指6が接する指受け面2を備えたプリズム部材1と、光源5からの光11がプリズム部材1の指受け面2に臨界角以上で入射し、指紋が接しなかった部分から全反射された光13による指紋像を受光するCCD等の2次元撮像素子10とからなる。本発明の指紋読取光学系においても、光源5からの光11は指受け面2に斜めに入射し、全反射光13は斜めに出て行く。そのため、指紋の位置する物体面は光学系の光軸14に対して垂直でなく斜めに傾いており、物体面は偏心していることになる。指受け面2上に接した指6の指紋の像は、図1の場合、プリズム部材1に設けられたパワーを有する反射面3と屈折面4とによって撮像面が光軸14に略垂直に配置されたCCD10上に結像される。また、図2の場合は、プリズム部材1に設けられたパワーを有する屈折面4と、プリズム部材1とCCD10との間に配置された屈折面21、22を有するレンズ20とによって同様の配置のCCD10上に結像される。
【0009】
以上のように、本発明においては、物体面である指受け面2が光軸14に対して偏心しており、像面であるCCD10が偏心していないため、台形歪みや歪曲収差等の収差なしに指紋像を結像するためには、結像光学系を構成するプリズム部材1の反射面3、屈折面4等は偏心した面でなければならない。以下、この理由を説明する。
【0010】
まず、以下の説明において用いる座標系について説明する。
図1に示すように、物体面2中心を通り、絞り中心を通過し、像面10中心に到達する光線を軸上主光線とし、その光線によって光軸14を定義する。そして、物体面2中心に垂直でプリズム部材1内部に向かう方向をZ軸の正方向、そのZ軸と直交しかつ物体面2に沿う方向で光線の進む方向をY軸の正方向と定義し、Z軸と直交しかつY軸と直交する軸をX軸とし、右手座標系を構成する方向をX軸の正方向と定義する。
【0011】
一般に、球面レンズのみで構成された球面レンズ系では、球面により発生する球面収差と、コマ収差、像面湾曲等の収差をいくつかの面でお互いに補正しあい、全体として収差を少なくする構成になっている。一方、少ない面数で収差を良好に補正するためには非球面等が用いられる。これは、球面で発生する各種収差自体を少なくするためである。しかし、物体面が偏心しているような偏心光学系においては、偏心により発生する回転非対称な収差を回転対称光学系で補正することは不可能である。
【0012】
物体面が光軸に対して偏心した場合、回転非対称な収差が発生し、これを回転対称な光学系でのみ補正することは不可能である。この偏心により発生する回転非対称な収差には、台形歪みや歪曲収差、像面湾曲、さらに、軸上でも発生する非点収差、コマ収差がある。
【0013】
本発明の読取光学系においては、このような回転非対称な収差を、結像光学系を構成するプリズム部材1の反射面3又は屈折面4として、偏心した回転非対称面形状を用いる。そして、それらの面として対称面を1つのみ有する面対称自由曲面を使用することが望ましい。ここで、本発明で使用する自由曲面とは、以下の式で定義されるものである。
【0014】
Figure 0004060908
ただし、Cm (mは2以上の整数)は係数である。
【0015】
上記自由曲面は、一般的には、X−Z面、Y−Z面共に対称面を持つことはないが、本発明ではxの奇数次項を全て0にすることによって、Y−Z面と平行な対称面が1つだけ存在する自由曲面となる。例えば、上記定義式(a)においては、C4 ,C6 ,C9 ,C11,C13,C15,C18,C20,C22,C24,C26,C28,C31,C33,C35,C37,・・・の各項の係数を0にすることによって可能である。
【0016】
また、yの奇数次項を全て0にすることによって、X−Z面と平行な対称面が1つだけ存在する自由曲面となる。例えば、上記定義式(a)においては、C3 ,C6 ,C8 ,C10,C13,C15,C17,C19,C21,C24,C26,C28,C30,C32,C34,C36,・・・の各項の係数を0にすることによって可能であり、また、以上のような対称面を持つことにより製作性を向上することが可能となる。
【0017】
上記Y−Z面と平行な対称面、X−Z面と平行な対称面の何れか一方を対称面とすることにより、偏心により発生する回転非対称な収差を効果的に補正することが可能となる。図1、図2のように、指受け面2がX軸の周りで傾き、その面に入射する光軸12と反射された後の光軸14の双方を含む面がY−Z面である場合には、このY−Z面のみを対称面とする自由曲面形状にすることにより、前記の物体面が光軸に対して偏心することにより発生する回転非対称な台形歪みや歪曲収差、像面湾曲、非点収差、コマ収差を補正することができる。
【0018】
次に、本発明の指紋読取光学系の具体的な実施例について説明する。実施例1〜4の指紋読取光学系の断面図をそれぞれ図1から図4に示す。図中、1はプリズム部材、5は光源、10は2次元撮像素子としてのCCD、2はプリズム部材1に設けられた指受け面2で、何れの実施例も平面で構成されている。3はプリズム部材1に設けられた結像光学系の一部を構成する回転非対称反射面で、何れの実施例も正パワーを有する。4はプリズム部材1に設けられた結像光学系の一部を構成する正パワーを有する屈折面であり、何れの実施例も球面で構成されている。31はプリズム部材1に設けられた結像光学系の一部を構成する回転非対称屈折面で、正パワーを有する。20はプリズム部材1とは別に配置された屈折面21、22からなる正レンズで、結像光学系の一部を構成している。32はプリズム部材1に設けられた結像光学系の一部を構成する第2の回転非対称反射面である。また、7はプリズム部材1に設けられた光源5からの照明光11をプリズム部材1内に受け入れる入射面であり、8、9はプリズム部材1に設けられた反射面であり、プリズム部材1内に受け入れられた照明光11を指受け面2に向けて反射させる反射面である。12は指受け面2に入射する照明光11の光軸、13は指受け面2で全反射され指紋像を搬送する光、14はその光13の光軸である。
【0019】
実施例1においては、図1に断面を示すように、プリズム部材1は、光源5からの照明光11を受け入れる入射面7、入射面7から受け入れられた照明光11を指受け面2に対して斜め方向から平行光として入射させる凹面反射面8、指受け面2で斜め方向に全反射された光13を正パワーで反射させる偏心した回転非対称反射面3、回転非対称反射面3の正パワーと共に結像光学系を構成し、光軸14に対して同軸の正パワーの屈折面4からなり、照明光学系と結像光学系とを一体に構成している。この実施例の構成パラメータは後記するが、屈折面4の位置に絞りが配置されており、光軸14に対して傾いた物体面である指受け面2からの光13は、偏心した回転非対称反射面3と同軸の屈折面4との合成正パワーにより、光軸14に対して垂直に配置されたCCD10上に結像され、台形歪み、歪曲収差等が補正された指紋像が撮像される。この実施例では、回転非対称反射面3が、指受け面2によって反射される前の光軸12と反射された後の光軸14の双方を含むY−Z面のみを対称面とする前記の(a)式で定義される自由曲面となっている。
【0020】
実施例2においては、図2に断面を示すように、プリズム部材1は、光源5からの照明光11を受け入れ、指受け面2に対して斜め方向から平行光として入射させる正パワーの入射面7、指受け面2で斜め方向に全反射された光13を正パワーで屈折させる偏心した回転非対称屈折面31からなり、プリズム部材1の回転非対称屈折面31とCCD10の間に正レンズ20が光軸14と同軸に配置されている。この実施例の構成パラメータは後記するが、正レンズ20の第2面22の位置に絞りが配置されており、光軸14に対して傾いた物体面である指受け面2からの光13は、偏心した回転非対称屈折面31と同軸の正レンズ20との合成正パワーにより、光軸14に対して垂直に配置されたCCD10上に結像され、台形歪み、歪曲収差等が補正された指紋像が撮像される。この実施例では、回転非対称屈折面31が、指受け面2によって反射される前の光軸12と反射された後の光軸14の双方を含むY−Z面のみを対称面とする前記の(a)式で定義される自由曲面となっている。
【0021】
実施例3においては、図3に断面を示すように、プリズム部材1は、コリメートされた不図示の光源からの照明光11を受け入れ指受け面2に対して斜め方向から入射させる平面の入射面7、指受け面2で斜め方向に全反射された光13を正パワーで反射させる偏心した回転非対称反射面3、回転非対称反射面3の正パワーと共に結像光学系を構成し、光軸14に対して同軸の正パワーの屈折面4からなり、照明光学系と結像光学系とを一体に構成している。この実施例の構成パラメータは後記するが、屈折面4の位置に絞りが配置されており、光軸14に対して傾いた物体面である指受け面2からの光13は、偏心した回転非対称反射面3と同軸の屈折面4との合成正パワーにより、光軸14に対して垂直に配置されたCCD10上に結像され、台形歪み、歪曲収差等が補正された指紋像が撮像される。この実施例では、回転非対称反射面3が、指受け面2によって反射される前の光軸12と反射された後の光軸14の双方を含むY−Z面のみを対称面とする前記の(a)式で定義される自由曲面となっている。
【0022】
実施例4においては、図4に断面を示すように、プリズム部材1は、光源5からの照明光11を受け入れる入射面7、入射面7から受け入れられた照明光11を第2反射面9に対して斜め方向から入射させる第1反射面8、第1反射面8から反射された照明光11を指受け面2に対して斜め方向から平行光として入射させる正パワーの第2反射面9、指受け面2で斜め方向に全反射された光13を正パワーで反射させる偏心した回転非対称反射面3、回転非対称反射面3で反射された光を再度反射させる偏心した第2の回転非対称反射面32、回転非対称反射面3及び第2の回転非対称反射面32と共に結像光学系を構成し、光軸14に対して同軸の正パワーの屈折面4からなり、照明光学系と結像光学系とを一体に構成している。この実施例においては、X−Z面に対して、第1反射面8と第2の回転非対称反射面32、第2反射面9と回転非対称反射面3を対称に構成することができ、また、光源5と屈折面4近傍に配置される絞りとを対称に配置することができる。この実施例の構成パラメータは後記するが、屈折面4の位置近傍に絞りが配置されており、光軸14に対して傾いた物体面である指受け面2からの光13は、偏心した回転非対称反射面3と偏心した第2の回転非対称反射面32と同軸の屈折面4との合成正パワーにより、光軸14に対して垂直に配置されたCCD10上に結像され、台形歪み、歪曲収差等が補正された指紋像が撮像される。この実施例では、回転非対称反射面3と第2の回転非対称反射面32が、指受け面2によって反射される前の光軸12と反射された後の光軸14の双方を含むY−Z面のみを対称面とする前記の(a)式で定義される自由曲面となっている。
【0023】
以下、上記実施例1〜4の構成パラメータを示すが、その構成パラメータにおいて、図1に示すように、物体面2中心を通り、絞り中心を通過し、像面10中心に到達する光線を軸上主光線とし、その光線によって光軸14を定義する。そして、物体面2中心を原点とし、物体面2中心に垂直でプリズム部材1内部に向かう方向をZ軸の正方向、そのZ軸と直交しかつ物体面2に沿う方向で光線の進む方向をY軸の正方向と定義し、Z軸と直交しかつY軸と直交する軸をX軸とし、右手座標系を構成する方向をX軸の正方向と定義する。
【0024】
実施例1〜4では、このY−Z平面内で各面の偏心を行っており、また、各回転非対称自由曲面の唯一の対称面をY−Z面として構成している。そして、偏心面については、その面頂位置の光学系の原点(物体面2中心)からのX軸、Y軸、Z軸方向の偏心量(それぞれx、y、z)と、その面の中心軸(自由曲面については、前記の(a)式のZ軸)のX軸、Y軸、Z軸それぞれを中心とする傾き角(°)(それぞれα、β、γ)とが与えられている。なお、その場合、αとβの正はそれぞれの軸の正方向に対しての反時計回りを、γの正はZ軸の正方向に対しての時計回りを意味する。また、面間隔が記載されている面については、その面と次の面の軸上間隔を意味している。なお、記載のない非球面に関する係数はゼロである。また、面と面の間に媒質の屈折率はd線(波長587.56nm)の屈折率を示す。長さの単位はmmである。
【0025】
Figure 0004060908
【0026】
Figure 0004060908
【0027】
Figure 0004060908
【0028】
Figure 0004060908
【0029】
なお、以上の実施例では、指受け面2は平面としたが曲面にしてもよい。さらに、結像光学系を構成する面として、プリズム部材1を形成する回転非対称反射面3、32だけでなく、回転非対称反射面3、32と回転非対称屈折面31の組み合わせによるようにしてもよい。さらに、実施例1、3、4のような配置において、プリズム部材1とCCD10の間に正レンズを配置するようにしてもよい。この場合は、回転非対称反射面3、32が受け持つ正パワーが減少するので、設計の自由度が上がる。
【0030】
さて、本発明の指紋読取光学系を用いた指紋読取装置は、図5(a)にシステムの概略を、同図(b)にデータ処理のフローの概略を示したように構成することができる。すなわち、CCD10で撮像された被検者の指紋像であるCCDデータ23はCPU15に入力され、CCDデータ23はCPU15中の比較手段25(実際にはソフトウエアによって行われる。)によりCPU15に付属した記憶手段24に記憶されている参照用データを読み出して比較され、その比較結果が表示手段26に表示される。表示手段26の具体例としては、音声表示装置であるスピーカー16と、画像表示装置であるCRT17と、ランプ表示装置18とがあげられ、これら三者共CPU15に接続されており、その比較結果が何れかの表示装置あるいは全ての表示装置に表示される。
【0031】
以上、本発明の指紋読取光学系をいくつかの実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【0032】
以上の本発明の指紋読取光学系は例えば次のように構成することができる。
【0033】
〔1〕 光源と、前記光源からの光を被検者の指が接する指受け面にて全反射するように構成されたプリズム部材と、前記指受け面の指紋像を形成する結像光学手段と、前記指紋像を受光する受光手段とを有する指紋読取光学系において、
前記プリズム部材が、前記指受け面の他に前記指受け面での全反射作用によって発生する偏心収差を補正する作用を持った回転非対称面形状を備えた光学作用面を備えていることを特徴とする指紋読取光学系。
【0034】
〔2〕 上記〔1〕において、前記プリズム部材が、少なくとも前記光源からの光を入射させる入射面と、前記指受け面と、前記指受け面で全反射された光を射出する射出面とを有し、前記光学作用面が前記射出面に設けられていることを特徴とする指紋読取光学系。
【0035】
〔3〕 上記〔1〕において、前記プリズム部材が、少なくとも前記光源からの光を入射させる入射面と、前記指受け面と、前記指受け面とは別に前記プリズム部材内の光束を内部反射させる少なくとも1面の反射面と、前記反射面で反射された光を射出する射出面とを有し、前記光学作用面が前記反射面の少なくとも1面に設けられていることを特徴とする指紋読取光学系。
【0036】
〔4〕 上記〔1〕から〔3〕の何れか1項において、前記光学作用面の回転非対称面形状は、前記指受け面によって反射される前の光軸と反射された後の光軸の双方を含む1面のみを対称面とする自由曲面形状に構成されていることを特徴とする指紋読取光学系。
【0037】
〔5〕 上記〔1〕から〔4〕の何れか1項において、前記プリズム部材は前記結像光学手段を兼ねており、別の光学素子を含まないことを特徴とする指紋読取光学系。
【0038】
〔6〕 上記〔1〕から〔4〕の何れか1項において、前記プリズム部材は前記結像光学手段の一部を兼ねており、さらに別の光学素子が含まれることを特徴とする指紋読取光学系。
【0039】
〔7〕 上記〔1〕から〔6〕の何れか1項記載の指紋読取光学系の前記受光手段で受光した被検者の指紋像を、記憶手段に記憶されている参照用データと比較する比較手段と、その比較結果を表示する表示手段とを備えた指紋読取装置。
【0040】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の指紋読取光学系によると、プリズム部材が、指受け面の他に指受け面での全反射作用によって発生する偏心収差を補正する作用を持った回転非対称面形状を備えた光学作用面を備えているので、テレセントリック光学系を用いなくとも光軸に対して斜めに傾いた指受け面の指紋像を台形歪み、歪曲収差を補正して読み取ることがきる。しかも、光束をテレセントリック光学系の絞りにより制限する必要もないので、光学系が明るく読み取り感度に優れている。さらに、読取光学系を単一のプリズムブロックで構成でき、構成が簡単になると共に安価に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の指紋読取光学系の断面図である。
【図2】本発明の実施例2の指紋読取光学系の断面図である。
【図3】本発明の実施例3の指紋読取光学系の断面図である。
【図4】本発明の実施例4の指紋読取光学系の断面図である。
【図5】本発明の指紋読取光学系を用いた指紋読取装置の1例の概略の構成を示す図である。
【図6】従来の1つの指紋読取光学系の断面図である。
【符号の説明】
1…プリズム部材
2…指受け面(物体面)
3…回転非対称反射面
4…屈折面
5…光源
6…被検者の指
7…入射面
8、9…反射面
10…CCD(2次元撮像素子)
11…光源からの照明光
12…照明光の光軸
13…指受け面で全反射された光(指紋像を搬送する光)
14…結像光学系の光軸
15…CPU
16…スピーカー
17…CRT
18…ランプ表示装置
20…レンズ
21、22…屈折面
23…CCDデータ
24…記憶手段
25…比較手段
26…表示手段
31…回転非対称屈折面
32…第2の回転非対称反射面

Claims (4)

  1. 光源と、前記光源からの光を被検者の指が接する指受け面にて全反射するように構成されたプリズム部材と、前記指受け面の指紋像を形成する結像光学手段と、前記指紋像を受光する受光手段とを有する指紋読取光学系において、前記プリズム部材が、前記指受け面の他に前記指受け面での全反射作用によって発生する偏心収差を補正する作用を持った回転非対称面形状を備えた光学作用面を備え、前記光学作用面の回転非対称面形状は、前記指受け面によって反射される前の光軸と反射された後の光軸の双方を含む1面のみを対称面とする自由曲面形状に構成されていることを特徴とする指紋読取光学系。
  2. 請求項1において、前記プリズム部材が、少なくとも前記光源からの光を入射させる入射面と、前記指受け面と、前記指受け面で全反射された光を射出する射出面とを有し、前記光学作用面が前記射出面に設けられていることを特徴とする指紋読取光学系。
  3. 請求項1において、前記プリズム部材が、少なくとも前記光源からの光を入射させる入射面と、前記指受け面と、前記指受け面とは別に前記プリズム部材内の光束を内部反射させる少なくとも1面の反射面と、前記反射面で反射された光を射出する射出面とを有し、前記光学作用面が前記反射面の少なくとも1面に設けられていることを特徴とする指紋読取光学系。
  4. 請求項1〜3の何れか1項記載の指紋読取光学系の前記受光手段と、前記受光手段で受光した被検者の指紋像を、記憶手段に記憶されている参照用データと比較する比較手段と、その比較結果を表示する表示手段とを備えた指紋読取装置。
JP18810497A 1997-07-14 1997-07-14 指紋読取光学系 Expired - Fee Related JP4060908B2 (ja)

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