JP4058742B2 - 3レベル電力変換装置 - Google Patents
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すなわち、出力電圧パルスのステップ数が増加することにより、見かけ上のスイッチング周波数が高められ、歪の少ない出力を得られる。素子に印加される電圧が2レベルに比べて約半減するため、比較的低耐圧のスイッチング素子を使える。素子印加電圧の減少に伴い、素子まわりの発生損失を低減できる等である。
ところで、上記3レベルインバータの出力電圧パルスの発生制御法として、以下のような方式がある。
(1)ニュー デベロップメンツ オブ 3 レベル ピーダブリュエム ストラ テジーズ「New Developments of 3−Level PWM Strategies」(EPE’89Record,1989)の412頁、図1(非特許文献1)には、ダイポーラ変調(出力電圧の半周期内にパルスをゼロ電圧を介して正負交互に出力することにより出力電圧を表現)と呼ばれる変調方式,ユニポーラ変調(出力電圧の半周期中に単一極性のパルスを出力することにより出力電圧を表現)と呼ばれる変調方式及び上記ダイポーラ変調とユニポーラ変調を1周期中に混在させる変調方式(以下、本明細書では、部分ダイポーラ変調と称する)が提案されている。
(2)ピーダブリュエム システム イン パワー コンバーターズ:アン エク ステンション オブ ザ サブハーモニック メソッド「PWM Systems in Power Converters:An Extension of the“Subharmonic”method」(IEEE Trasaction on Industrial Electoronics and Control Instrumentation, Vol.IECI−28,No.4,November 1981)の316頁、図2(b)(非特許文献2)には、出力電圧の半周期が複数の単一極性のパルスで構成され、この中央部分からパルス間のスリットを埋めるようにパルス数を減少させることにより出力電圧を表現する変調方式(以下、本明細書では過変調と称する)が提案されている。
(3)スタディ オブ 2 アンド 3 レベル プリカルキュレイティド モデュレーションズ「Study of 2 and 3−Level Precalculated Modulations」(EPE’91 Record,1991)の411頁、図16(非特許文献3)には、0から100%まで出力電圧をカバーするための出力電圧パルス発生制御方法が提案されている。
ところで、上記従来技術(1)は、ゼロを含む微小電圧が制御可能なダイポーラ変調、中速領域(中電圧)をカバーするユニポーラ変調手段、最大電圧をカバーする1パルスまでを切換えているので、ゼロ電圧から最大電圧を出力することができ、基本波の連続性も保ちうるが、ユニポーラ変調と1パルスとの切換え時に出力電圧の高調波が不連続になり、周波数の急激で大きな変化による騒音が発生するという問題があった。
また、上記従来技術(2)に示された技術では、ゼロ電圧から最大電圧を表現することができないという問題があった。
ところで、上記従来技術(1)は、出力電圧の基本波を連続制御させるため、基本波の位相及び電圧に対応したパルスデータをメモリに記憶させ、このデータに基づいて各変調に対応したパルス列を出力するものであるので制御が複雑である。さらに、上記従来技術(3)は、ユニポーラ変調において、基本波の半周期に存在するパルスの数を切換える変調方式であるので、制御の複雑化を招くという問題がある。
さらに、上記従来技術は、変調方式やパルス数を切換えるときに不快な不連続音が発生するという問題があった。
本発明の課題は、3レベルインバータの出力電圧をゼロから最大まで制御可能で、インバータ出力電圧を連続かつスムーズに行える3レベルのパルス発生制御を実現し、3レベルインバータを電気車に搭載したときに発生する不連続音を防止することにある。
3レベルインバータ(NPCインバータともいう)は、直流電源電圧(電気車の場合は架線電圧)を直列接続されたコンデンサで2つの直流電圧に分圧することにより、高電位,中間電位及び低電位の3つの電圧レベルを作り、主回路スイッチング素子のオン・オフ動作により、これら3レベルの電圧をインバータ出力端子に選択的に導出するものである。
図1において、4は直流電圧源である直流架線(電車線)、50は直流リアクトル、51及び52は直流電圧源4の電圧から中間電位点O(以下、中性点と呼ぶ)を作り出すため分割配置したクランプコンデンサである。7a,7b及び7cは自己消弧可能なスイッチング素子より構成され、このスイッチング素子に与えるゲート信号に応じて高電位点電圧(P点電圧),中性点電圧(O点電圧)及び低電位点電圧(N点電圧)を選択的に出力するスイッチングユニットである。この例では、スイッチングユニット7aは70から73の自己消弧可能なスイッチング素子(ここではIGBTとしたが、GTO,トランジスタ等でも良い)、74から77の還流用整流素子、78及び79の補助整流素子より構成する。また、負荷は誘導電動機6の場合を示した。スイッチングユニット7b及び7cも、7aと同様の構成である。
スイッチングユニット7aを構成するスイッチング素子70から73は、表1に示すように3通りの導通パターンに従いオン・オフ動作する。すなわち、直流側のP点電位を出力する出力モードPでは、70,71がオン,72,73がオフで、出力電圧はEd/2となり、中性点電位を出力する出力モードOでは、71,72がオン,70,73がオフで、出力電圧としてゼロ電位が出力され、N点電位を出力する出力モードNでは、70,71がオフ,72,73がオンで、出力電圧は−Ed/2となる。
表1中に各出力モードにおける主回路1相分(スイッチングユニットとクランプコンデンサ)の等価回路を示した。スイッチングユニットは、等価的に3方向の切換えスイッチと見なせる。ここで、素子の導通状態を1,0の2値で表わすスイッチング関数Sp,Snを用いると、
出力モードPのとき Sp=1,Sn=0
出力モードOのとき Sp=0,Sn=0
出力モードNのとき Sp=0,Sn=1
と表現できる。このとき、スイッチング関数Sp,Snと、スイッチング素子70,71,72,73に与えるゲート信号Gpu,Gpx,Gnx,Gnu(オフ信号を0,オン信号を1とする)の関係は、次式で表せる。
なお、3レベルインバータの主回路の詳細は、特開昭51−47848号公報,特開昭56−74088号公報などに記載されている。
しかしながら、従来から知られているユニポーラ変調方式では、インバータ周波数が低く、微小な出力電圧の制御が要求される領域(VVVF制御領域の起点付近)では、スイッチング素子の最小オン時間によって定まる最小出力パルス幅よりも小さな電圧パルスを実現することができず、図2の破線で示すように、指令より大きな電圧を出力してしまうことになる。
例えば、インバータ出力電圧の電圧パルスが全てスイッチング素子の最小オン時間Tonにより定まる最小パルス幅である場合を考えると、このときの出力電圧実効値Eは、
上記(数2)によれば、Fc=500kHz,Ton=100μsのとき、E=0.1Emaxであり、この場合、最大出力電圧Emaxの10%以下の電圧は制御できないことになる。そのため、ユニポーラ変調だけでは制御可能な出力電圧の下限値が制限され、連続的な電圧制御が困難であるという問題があった。
一方、ユニポーラ変調で出力し得る最大電圧Eは、理想的な正弦波変調の限界点(変調率A=1)で
となる。例えば、Fc=500Hz,Toff=200μsのとき、E=0.707Emaxであり、この場合には、最大出力電圧Emaxの約70%までしかカバーできないことになる。この時、1パルスモードのパルス幅を調整できないとすると、基本波が不連続となり、また、1パルスモードのパルス幅が調整可能とすると、パルスの幅を小さくして連続性を保とうとするため、今度は、高調波の連続性が失われてしまう。
この電圧範囲をカバーする変調方式は種々考えられるが、パルス発生制御の容易さ,ユニポーラ変調との整合性,出力電圧に含まれる高調波の連続性等の観点から過変調(過変調モード)が最も効果的であるといえる。過変調領域では、出力電圧半周期の電圧パルス列の中央部分(基本波瞬時値のピーク付近)におけるパルス間の狭幅スリットを徐々に埋めることにより、出力電圧を1パルス付近まで拡大することを可能としている。
そこで、過変調制御から、過変調の延長ではないパルス幅制御(つまり、変調率を無限大としない1パルスモードの作りかた)による電圧制御が可能な1パルス制御に移行させる。これにより、過変調と1パルス制御の間で、所定のタイミングでの移行を可能とし、基本波電圧の連続的な移行が実現される。
すなわち、図2に示すように、誘導電動機6を図示のようにV/F=一定で制御すると、起動時からF1までダイポーラ変調を用い、インバータ周波数がF1に達した時点でユニポーラ変調領域に移行し、F2で過変調領域、さらにF3で1パルス領域に順次移行させる。
出力電圧の基本波成分に比例した基本変調波aは、上位の電流制御手段からのインバータ周波数指令Fi*と出力電圧指令E*に基づいて次式より作成する。
スイッチング素子の最小オフ時間が無視できるほど小さい場合には、ap,anの瞬時値が1以上のとき最大のパルスを出力する(後述の過変調)。
ここで、バイアスBの設定は移行制御において極めて重要であることがわかる。Bの値によりダイポーラ変調領域とユニポーラ変調領域との移行制御が実現され、
(a)A/2≦B<0.5のとき ダイポーラ変調
(b)B=0 のとき ユニポーラ変調
となる。
一方、過変調制御では、変調率Aを1以上まで高め、出力電圧の半周期の中央部分のパルス間のスリット(ゼロ電圧出力期間)を抑制して、出力電圧を向上させる。
さらに電圧指令を高めた場合には、過変調モードから1パルスモードに移行する。この動作については、以下の実施例の中で説明する。
このように、ダイポーラ変調,ユニポーラ変調及び過変調を統一した電圧指令に基づいて実現し、最大出力となる1パルスまでの連続移行制御が可能となる。
図1は、前述のスイッチングユニットを制御して、3レベルの電位を有する交流電圧を出力するパルス幅変調装置の例である。
図1において、1は出力電圧関連情報及び移行制御情報に従ってダイポーラ変調波形、あるいはユニポーラ変調波形、あるいは過変調波形を出力する多パルス発生手段、2は出力電圧関連情報に従って1パルス波形を出力(1パルスモード)する1パルス発生手段、3は各PWMモードを連続的に移行させる移行制御手段である。移行制御手段3の出力であるゲート信号は、図示しないゲートアンプを介して各相のスイッチングユニット内のスイッチング素子に与えられ、オン・オフ制御される。これら多パルス発生手段1,1パルス発生手段2、及び移行制御手段3から構成されるパルス幅変調手段が本発明の特徴部分である。
なお、この例では、パルス幅変調手段に取り込まれる出力電圧関連情報は、上位の電流制御手段8から与えられる。この電流制御手段8は、電流指令から電流調節手段81によって誘導電動機6のすべり周波数指令Fs*を作成(電流指令値と実電動機電流との偏差による)し、誘導電動機6に取り付けられた回転周波数検出手段61によって検出された誘導電動機の回転周波数Frと前記Fs*とを加えてインバータ周波数指令Fi*を作成する。
さらに、このFi*と3レベルインバータの直流電圧Ed(PN間電圧で、クランプコンデンサ電圧の和vcp+vcnに等しい)に基づいて、出力電圧設定手段82は出力電圧指令E*を作成する。
この出力電圧設定手段82は、Edが低い場合(Ed=Ed1)には傾きを大きく、Edが高い場合(Ed=Ed3)には傾きを小さく設定し、常に出力電圧が要求通りとなるようにして、図2に示した出力電圧特性を実現するものである。これら電流制御手段は、出力電圧の瞬時値を出力するものであっても良い。
図4に、パルス幅変調手段の全体構成例を示す。ここで、多パルス発生手段1は、基本変調波発生手段11,バイアス重畳手段12,正負分配手段13,基準信号発生手段14、及びパルス発生手段15から構成される。
基本変調波発生手段11は、出力電圧関連情報として受け取ったインバータ周波数指令Fi*を位相演算手段112によって時間積分することにより位相θを求め、このθにおける正弦値sinθを求める。一方、出力電圧関連情報の1つである電圧指令E*から振幅設定手段111により基本変調波の振幅A(変調率)を演算出力し、1/2したのちsinθと掛け合わせて振幅が1/2の瞬時の基本変調波a/2を作成して出力する。バイアス重畳手段12は、このa/2に移行制御手段3の多パルス移行制御手段31からのバイアスBを加算及び減算し、2本の正負バイアス変調波abp及びabnを作成して出力する。
さらに、上記正負バイアス変調波abp,abnを、正負分配手段13によって、abp,abnのうち正の部分はapに、abp,abnのうち負の部分はanに分配・合成することにより、ダイポーラ変調からユニポーラ変調にかけての出力電圧基本波成分の連続性を維持した正負変調波ap,anが作成される。
この正負変調波ap,anに基づいて、パルス発生手段15は、パルス発生周期が2Toのスイッチング関数Sp,Snを生成する。基準信号発生手段14が、スイッチング周波数指令Fsw*に従い、パルス発生周期Toを定める。ここで、Fsw*とToの関係は次式で表せる。
図6において、パルスタイミング設定手段151は、ap,an,aoff,To(an,aoff については後述する)に基づいて、Spの立上がりタイミングTpup、及びSnの立下がりタイミングTndnを次式より求める(処理1)。
すなわち、パルスタイミング設定手段151が自動的にユニポーラから過変調に移行させるのでaoffを出力するユニポーラ/過変調移行制御手段312を設ける必要がない。
スイッチング関数発生手段152は、周期Toの基準信号を発生し、これに同期して上記Tpup,TndnまたはTpdn,Tnupを基に、Sp,Snをセットする。
ところで、過変調制御では、出力電圧半周期の中央部分のパルス間のスリットを埋めることにより最大電圧状態を維持し、変調波のゼロクロス近傍のみでPWM制御を行っている。そのため、この領域では変調率Aと実際に出力される出力電圧が非線形となり、変調率Aを直線的に増加させても、出力電圧はこれに追従して直線的に増加しない。
そこで、変調率Aの設定を非線形化することにより、過変調時の出力電圧の線形化を図る。すなわち、PWM制御部分でのスイッチング周波数が十分に高いものとすれば、出力電圧の基本波実効値Eと変調率Aの関係は次式で表せる。
SPM=0のとき 多パルス側
SPM=1のとき 1パルス側
に切換えられる。図12に、1パルス/多パルス切換え制御手段313の一例を示す。この例では、電圧指令E*がE1Pを越えたとき多パルスモードから1パルスモードへ移行させ、E*がEMPより小さくなったとき1パルスモードから多パルスモードへ移行させるようにヒステリシスを設けている。これにより、不用意なPWMモードの移行を抑制し、過渡変動の少ない安定した出力電圧が得られるようにしている。
1パルス発生手段2は、位相演算手段21、及びパルス発生手段22から構成される。位相演算手段21の動作は111と全く同じでよく、21を省略して111の出力を利用してもよい。
本実施例では、出力電圧をゼロ電圧から最大電圧まで連続的かつスムーズに調整することが可能となり、さらに、高精度で安定した出力電圧を提供できる効果がある。
この理由は、多パルス領域において同期式を採用している前述した従来技術では、第1に位相の管理のための制御が複雑、第2に何らかの制御の要請から出力電圧指令を正弦波から歪ませる必要がある場合(図1において、インバータ周波数Fi*や出力電圧指令E*が電気車制御上の要請により調整されている場合等)出力電圧指令を忠実に再現できないという問題がある。
つまり、第1の問題は、同期式は、インバータ周波数の整数倍のパルスを出力させるため、各パルスモード毎に位相と発生パルスの関係を有するテーブルを備え、パルスモードとインバータ周波数から得られる位相とからパルス発生位相を読み出して出力するようにしている。この位相の管理に要する計算量やパルスモードごとのメモリは膨大なものとなり、制御の複雑化を招いてしまう。
また、第2の問題は、従来技術に示された同期式は、90°分のパルスデータをもっているが、データは出力電圧が正弦波になるよう作成されているので、出力電圧を指令通りに正確に表現しえないという問題がある。
すなわち、第1の問題に対しては、パルスの発生のためにインバータ周波数に拘束されずに独立してパルスを発生させることができる。つまり、図4において、スイッチング周波数指令Fsw*をインバータ周波数指令Fi*とは独立に設定することができる(図4、基準発生14はインバータ周波数に独立している)。
このため、パルス発生のための複雑な制御手続きを要しなく、制御を簡略化することができる。
また、第2の問題に対しては、非同期式であると、位相毎にデータを持つ必要がなくなり、瞬時の電圧指令に相当するパルスを出力することができるようになったので、歪正弦波であっても忠実に表現することができる。また、上記したように位相演算等に関する制御が簡略した分、逐次電圧指令に相当したパルスを出力するための演算を行うことができるようになり、演算周期を短くすることができるので、さらに忠実度を増すことができる。
また、非同期式にすると、スイッチング周波数がインバータ周波数に依存しないため、スイッチング周波数の変化を最小限にすることができ、同期式にみられるパルスモード切換え前後における音質の変化(異音,不快音)を最小限にすることができるという効果もある。
このような構成とすることにより、過変調時においてもより安定した電圧を供給可能となる。
図14は、本発明の実施例2を示す。
実施例1を拡張して、図16に示すように、ダイポーラ変調とユニポーラ変調の間に、両変調波形が混在する部分ダイポーラ変調を導入すれば、さらに、出力電圧とスイッチング周波数のスムーズさを増すことができる。
バイアス重畳と正負分配の効果により、バイアスBがダイポーラ変調でもユニポーラ変調でもない範囲(0<B<A/2)に設定されたとしても、基本変調波の要求通りの電圧を過不足なく再現することが可能である。この場合、出力電圧のピーク付近はユニポーラ変調で、すそ野はダイポーラ変調である部分ダイポーラ変調となる。このときの正側変調波ap及び負側変調波anは、
上記性質を利用して、変調率Aの増加に従ってバイアスBを徐々に減少させれば、ダイポーラ変調からユニポーラ変調まで部分ダイポーラ変調を介して連続的に移行できる。当然ながら、その逆も可能である。
これは、5種のPWMモードをインバータ周波数指令Fi*と電圧指令E*の両方に依存して移行させるものである。すなわち、Fi*<FoかつE*<Eoのときダイポーラ変調、Fo≦Fi*<F1かつEo≦E*<E1のとき部分ダイポーラ変調、Fi*≧F1かつE1≦E*<E2のときユニポーラ変調、E2≦E*<E3のとき過変調、E*≧E3のとき1パルスとする。これにより、例えば回生起動時や再力行時のように、周波数が高い高速域で出力電圧をソフトスタートする場合においても、ダイポーラ変調→部分ダイポーラ変調→ユニポーラ変調→過変調→1パルスという移行条件が満足され、安定した電圧立ち上げが可能となる。また、空転再粘着時においても回生起動時と同様の効果が挙げられる。さらに、いかなる運転状態においても、パルスモード切換え時の電動機からの異音の発生を最小限に止められる効果がある。
ところで、鉄道車両用電気車制御装置に用いられるインバータでは、インバータ周波数Fi*の可変範囲は0〜300Hz程度である。出力電圧が最大となるインバータ周波数Fcvは、インバータ周波数可変上限の1/5〜1/3で、Fcvの上限は約100Hz程度である。非同期でパルスを発生する際に、スイッチング周波数周りに発生する高調波と、インバータ周波数の基本波との干渉による出力電流の変動を避けるには、Fcvの10倍程度のスイッチング周波数、つまり1kHz以上のスイッチング周波数が必要となる。
さらに、騒音(前述の異音等)低減には、スイッチング周波数の変動を最小限に押さえることが効果的であり、過変調の導入により、多パルス領域でのスイッチング周波数の変動を1〜2Fi以内にすることができる。
当然ながら、マイクロプロセッサ等を用いれば、上記パルス幅変調手段の一部または全てをプログラム化して、ソフトウェア的に実現することも可能である。
以上は全て誘導電動機負荷の場合を例にとって説明したが、これに限らず他の交流電動機においても同様の効果が期待できる。また、以上は全てインバータを対象とした説明であったが、これらのインバータの出力端子をリアクタンス要素を介して交流電源と接続し、交流を直流に変換する自励式コンバータとして動作させることも可能である。この場合も、インバータの場合と同様の効果が期待できる。
Claims (1)
- 複数のスイッチング素子のスイッチング制御により直流を3レベルの電位を有する交流相電圧に変換する電力変換器と、該電力変換器のスイッチング素子を周波数指令と電圧指令に基づく複数モードで制御する制御装置を備えた電力変換装置において、
前記複数モードは、前記電力変換器の出力相電圧の基本波の半周期に複数の単一極性のパルス列を前記電力変換器の相に発生させるユニポーラ変調モードと、前記電力変換器の出力相電圧の基本波の半周期で複数の単一極性のパルス列の中央部からパルス間のスリットを埋めるようにパルス数を減少させたパルス列を前記電力変換器の相に発生させる過変調モードと、前記電力変換器の出力相電圧の基本波の半周期に同一極性の1つのパルスを前記電力変換器の相に発生させる1パルスモードとを有し、
これらモード間を前記周波数指令と前記電圧指令の両方に依存して移行させる手段を備えたことを特徴とする電力変換装置。
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