JP4058200B2 - 磁気ディスク装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気ディスク装置に係り、特に、情報を読み書きするために複数積層された回転するディスクと、それぞれのディスク間でディスクに対して情報の読み書きを行うヘッドを移動できるように支えるロータリーアクチュエータとを収納した磁気ディスク装置のハウジング構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の磁気ディスク装置では、ディスク間を流れる空気の乱れによってフラッタと呼ばれるディスクの振動が発生する。フラッタが発生したディスク上にヘッドが位置付けられる際、情報を読み書きするためのトラックに対するヘッドの位置決め精度が低下する。
【0003】
従来技術(1)として特開平10−162548号公報においては、ディスク内周から外周に向かって強制的な空気の流れを発生させる方法が記載されている。また従来技術(2)として、回転するディスクと、そのディスクを囲み同心円状に形成したシュラウドと呼ばれるハウジングとの間隔を狭める方法がある。シュラウドとは、磁気ディスク装置の内側に配置される磁気ディスクやヘッドの位置付けを行なうアクチュエータ等の部品をカバーするハウジングの一部であって、ディスクの側面を囲むものである。
【0004】
回転するディスク周辺の空気の流れとしては、ディスクの回転に引きずられ周方向に空気が流される一次流れと、ディスク表面付近は外周側へ、ディスクとディスクの間では内周側へと流れる二次流れが発生する。この二次流れは不安定な空気の乱れであるため、従来技術(1)はディスク内周から外周に向う強制的な空気の流れを発生させて二次流れによる不安定な空気の流れを低減し、フラッタの発生を押さえるようにしたものである。
【0005】
従来技術(2)では、各々のディスクに対して、ディスクとシュラウドとの間隔が広いときに発生するディスク上下面での空気の出入りを、ディスクとシュラウドとの間隔を狭めて抑制し、上下面間の圧力差が時間的に変動することを無くし、フラッタを低減する方式である。
【0006】
この他に、フラッタ低減以外の目的で、従来技術(3)特開平7−320478号公報には、磁気ディスク装置のハウジング内における空気流の循環を利用するハウジング構造が記載されており、粉塵をフィルターで除去し、ハウジング内を冷却する方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ディスク間を流れる空気の乱れによって発生するフラッタは、磁気ディスク装置のハウジング構造が同じならば、ほぼディスク半径と回転数の2乗に比例して増大する。従って、磁気ディスクの高容量化に必要なトラック間隔の減少、及び高速化に必要な回転数の増加を行う上で、ヘッドの位置決め精度に悪影響を及ぼすフラッタを低減するハウジング構造が必要である。
【0008】
またディスク回転にかかわる駆動電力は、磁気ディスク装置のハウジング構造が同じならば、ほぼ回転数の3乗とディスク半径の5乗に比例する。従って、前記フラッタと同様に、磁気ディスク装置の高速化に必要な回転数の増加を行う上で、回転駆動力に対して負荷となる空気流れを低減し、ディスク駆動電力を低減するハウジング構造が必要である。
【0009】
ところで、ディスクの内周から外周に向かって強制的な空気の流れを発生させる方法には以下に示す問題点がある。ディスクの内周から外周に向かって強制的な空気の流れを発生させる方法では、積層されるディスクとディスクの間に挿入されるロータリーアクチュエータのアームの厚さが、ディスク同士の間隔の半分以上に大きくなったとき、ロータリーアクチュエータのアームがディスク内周から外周に向う空気の流れをせき止めてしまうので効果がなくなる。
【0010】
また、回転するディスクと同心円状に形成したシュラウドと呼ばれるハウジングとディスクの間隔を狭める方法には以下に示す問題点がある。
【0011】
シュラウドとディスクの間隔を狭める方法では、ロータリーアクチュエータのアームが挿入されても、ディスク上下面での空気の出入りにより発生する圧力差の時間変動は押さえることができるのでフラッタ発生原因の一つは解決できる。しかしながら、アームが挿入されたときには、アームはディスクに引きずられて周方向に流れる空気の一次流れもせき止める。このため、アーム上流側には高圧部分が、アーム下流側には低圧部分が発生する。
【0012】
さらに、アーム上流側で周方向に流れてきた空気が、アームによって内周側に曲げられ、高速な内周向きの流れを生じる。アーム先端では、この内周向きの流れは再び外周側に戻ろうとするため、アーム下流側の流れと混合して乱流を発生し、アーム上流側の高圧と低圧の圧力差が変動する。この圧力変動はフラッタの原因となるだけではなく風乱と呼ばれるアームを揺動させる変動力が発生する原因となる。このアーム揺動もまた磁気ディスク装置のヘッドの位置決め精度を低下させる原因である。
【0013】
以上、従来技術に開示されたディスク内周から外周に向かって強制的な空気の流れを発生させる方法、およびシュラウドとディスクの間隔を狭める方法では、いずれの方式においてもアーム挿入時の圧力変動を低減できない点が問題である。
【0014】
一方、前記従来技術(3)の、磁気ディスク装置内の空気の循環を利用する方法では以下に示す問題点がある。
【0015】
アームの下流側にできた低圧部分はディスク外から空気を引き込む。このため、アーム下流側をシュラウドで覆いアーム下流側とシュラウドとの隙間を狭くすると、高速の空気がこの隙間を通してディスク間に流れ込み大きな圧力変動を生じる。アーム上流と下流を連結する流路があると、アーム上流と下流の圧力差は減少する。従って、アームを挿入することによる圧力損失は軽減されるため、ディスク回転にかかわる駆動電力は低減される。
【0016】
しかしながら、ロータリーアクチュエータの回転軸や、アクチュエータ駆動用のボイスコイルモータ内部の隙間で、アーム上流と下流を連結する流路が形成されると、狭く曲がりの多い流路となるので、前記と同様な理由によりディスク間に大きな圧力変動を生じる。前述の流路は、粉塵の除去や発熱部分であるボイスコイルモータを冷却するには効果が有る。しかし、流れの乱れを発生しやすい複雑な構造物であるアーム部分やボイスコイルモータの内部を流れることは、風乱やフラッタを増大させる可能性が大きい。また、比較的小型な磁気ディスク装置では、ボイスコイルモータの冷却は必要がない。
【0017】
そこで本発明の目的は、アームを挿入したことによる圧力変動を抑えてフラッタを低減することができるハウジング構造を備えた磁気ディスク装置を提供することである。また、本発明の他の目的は、アーム上流と下流を新たな圧力変動を発生させずに空気の流れを連結して、駆動電力の低減を行えるハウジング構造を備えた磁気ディスク装置を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、回転軸上に積層された複数の磁気ディスクと、磁気ヘッドを支持して前記磁気ディスク間に挿入されるアームと、前記アームを移動させるロータリーアクチュエータと、前記磁気ディスクを囲むシュラウド部分を有するハウジングと、を備えた磁気ディスク装置において、前記磁気ディスクの回転によって生じて前記磁気ディスクの間を流れる空気の流れに対して前記アームの下流側に、前記シュラウド部分から開放され前記アームの全体を前記磁気ディスクの外側に移動可能にする空間と、前記空気の流れに対して前記アームの上流側の前記シュラウドに、前記磁気ディスクの側面とシュラウドの間隔よりも広い幅を有する開口部と、前記ロータリーアクチュエータを駆動するボイスコイルモータと、前記ボイスコイルモータの後方を通り前記開口部と前記空間とを連通させる連結流路とを備えた構成とした。
【0019】
ハウジング構造として、アーム下流側にシュラウドで覆わない空間を設け、さらにアーム上流側と前記アーム下流側のシュラウドで覆わない空間を連結する流路を設けて、この流路に整流効果を持たせるため流路幅の5倍以上の深さであって、連結流路に長さが流路幅の5倍以上の直線区間を持たせた構成とした。
【0020】
また上記目的を達成するために、連結流路は、前記直線区間の間隔Dに対して回転軸と平行な方向に5D以上の深さを有する構成としてもよい。
【0021】
また上記目的を達成するために、連結流路は、前記直線区間の間隔Dに対して少なくとも長さが5D以上の直線区間を有する構成としてもよい。
【0022】
また上記目的を達成するために、連結流路は、前記直線区間の間隔Dに対して回転軸と平行な方向に5D以上の深さを有し、かつ少なくとも長さが5D以上の直線区間を有する構成としてもよい。
【0023】
また上記目的を達成するために、カバーは、少なくとも前記ボイスコイルモータの側面を覆う構成としてもよい。
【0024】
また上記目的を達成するために、カバーは、前記ボイスコイルモータのコイル部を内包する部品であって少なくとも側面は前記ボイスコイルモータ内に前記連結流路から空気流が流れ込まないように閉鎖されている構成としてもよい。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を、図1〜図3を用いて説明する。図1は本発明の磁気ディスク装置の構成を示す横部分断面図である。
【0026】
図2は本発明の磁気ディスク装置のハウジング構造を説明する縦部分断面図である。図3は本発明の連結流路の有無、それぞれの場合における圧力変動と消費電力を比較した図である。
【0027】
図1に示したように、本発明の磁気ディスク装置は以下の構成を備える。磁気ディスク1は、図示しないスピンドルモータに接続された磁気ディスク回転軸2に複数枚積層して固定されている。アーム4は、アーム回転軸3を中心に駆動する。アーム4を駆動するために、アーム回転軸3側のアーム4には図示いていないコイルが設けられ、ハウジング10側に設けられた磁石(ここでは、便宜上ボイスコイルモータ6と称す)とそのコイルとでロータリーアクチュエータを構成している。アーム4の先端には磁気ディスク読み書きヘッド5が設けられている。モータカバー21は、ロータリーアクチュエータを構成するボイスコイルモータ6の周囲を覆うように構成されたハウジングの一部である。
【0028】
これらの他に、必要に応じて磁気ヘッド5の入出力用の信号配線7と信号配線端子8と、磁気ディスク内の空気を清浄するためのフィルタ9などの部品が磁気ディスク装置ハウジング10内に収められ、ハウジング外部から分離され密閉されている。本実施例では、フィルタ9を設けており、フィルタ9への空気導入口及び排出口をディスク1の外周を覆うシュラウドの一部に設けている。しかし、フィルタ9を設けずに構成してもよいことは言うまでもない。
【0029】
図1においてディスクの回転方向を矢印13のように定めると、ディスクとディスクの間の空気の流れはこの矢印13の方向となる。この矢印13の方向に対して、アーム4の上流側は図中で紙面に向かってアーム4の左側と定義し、同じくアーム4の下流側は図中でアーム4の右側と定義する。アーム4の下流側でありディスク1の外周より外側に設けられたアーム下流空間11には、シュラウドを設けずにシュラウドから開放された空間であって、ロータリーアクチュエータのアーム4の全体がディスク1の外側に軸3を中心として移動可能なだけの空間を確保している。
【0030】
また図1に示すように、磁気ヘッド5の入出力用の信号配線7と信号配線端子8はこの空間に配置されている。シュラウド12aは、ディスク1と同心円となる形状を有するハウジング10の一部である。シュラウド12bは、磁気ディスク装置のハウジング構造の一部を形成し、本発明の実施の一形態においては、モータカバー21の一部でもある。このシュラウド12bは、シュラウド12aと同様に、ディスク1と同心円となる形状を有する。ここで、同心円となる形状とは、ディスク1が固定される回転軸2より等距離の壁面を有する形状をいう。
【0031】
またこの本発明の一形態においては、シュラウド12aと12bは、アーム下流空間11やフィルタ9への空気導入路などの場所以外で、ディスク1と同心円となるように形成されている。モータカバー21は、アーム上流側のシュラウド12bより上流側に、磁気ディスク装置ハウジング10の内壁と間隔を持ち、シュラウドの開口部12cが形成されるように配置される。
【0032】
更に、連結流路15は、このシュラウド開口部12cからアーム下流空間11までの間で、モータカバー21とハウジング10の側面が平行な間隔を保つように構成することで形成される。モータカバー21のアーム上流側に位置するシュラウド12bは、ボイスコイルモータ6側への空気の流れを遮断するように、アーム4の必要な回転を阻害しない範囲で、アーム4の近くまで設ける。なおモータカバー21はハウジング10と一体で成形しても良いし別ピースとして形成し組み立てても良い。
【0033】
本実施例でのハウジング内の空気の流れは、図1に矢印14で示す通りである。ディスク1の回転により隣り合うディスク間において周方向矢印13の方向に流れてきた空気はアーム4でせき止められアーム4の上流側に圧力の高い部分を生じる。一方アーム4の下流側では空気の圧力が低くなり、アーム下流側空間11からディスク間に空気を導き入れようとする。ここで連結流路15は高圧なアーム4の上流側と低圧な下流側を連絡するので14の矢印のように空気の移動が起こる。
【0034】
次に、連結流路15の形状を図2及び図6を用いて説明する。図2は本発明の磁気ディスク装置のハウジング構造の縦部分断面図であり、ロータリーアクチュエータに関する部分は省略してある。図6は連結流路の直線区間の長さと流路幅の比による空気流の流入角の関係を求めたものである。
【0035】
図2に示すように連結流路15は、シュラウド12とディスク1の間隔h(図中19)よりも広い幅D(図中17)で、ディスク1の積層された深さと同じかそれ以上の深さH(図中18)に渡り平行な壁を持つている。なお、深さHは幅Dの5倍以上とする。深さHを幅Dの5倍以上とすることにより、図1のシュラウド開口部12cから連結流路15に流入する気流の向きがアーム4の位置によって変化しても、シュラウド開口部12cでの圧力損失をほぼ一定に保つことができるので、連結流路15を設けたことによる圧力変動の低減効果をアーム4の位置に関係なく持たせることができる。
【0036】
さらに連結流路15には図1に示すように長さL(図中16)だけの直線区間を持たせた。長さLは、幅Dの5倍以上とした。シュラウド開口部12c側のモータカバー21の一部であって連結流路15とシュラウド12bとが接する先端部において、連結流路15に流入してくる流れが剥離して脈動流を発生する場合がある。しかしこの脈動流が発生しても、長さLを幅Dの5倍以上とすることにより、長さLの直線区間で流速変動を減衰させることができる。気流の乱れを引き起こす剥離は主にシュラウド開口部12cで発生するので、このシュラウド開口部12cよりも下流側に直線区間が有ればよく、この直線区間以外では連結流路15の幅Dは深さHの5分の1以下でなくてもよくその断面は図2に示すような長方形でなくてもよい。
【0037】
前記連結流路の長さ等の関係を図6を用いて説明する。
図中のグラフの横軸は連結流路内へ流入してくる空気の流れの流入角を示している。磁気ディスク装置では開口部の取り付け方やロータリーアクチュエータのアームの位置によりこの流入角が変化する。流入角は、ディスク1の接線を基準とする角度である。本説明においては、連結流路15が内側に形成される磁気ディスク装置の側面に最も近いディスク1の端部における接線が基準となる。連結流路15の圧力損失により連結流路15に空気が流入できる流入角が601の線で示されている。従って、図中601よりも左側の領域603で本発明の連結流路の効果が現れることになる。
【0038】
一方、図6の縦軸は直線区間の長さと流路幅の比L/Dを示している。曲線602は各流入角に対して、連結流路内の気流の乱れが一定値になるのに必要な直線区間Lに相当するL/Dの値を示す曲線である。この曲線602よりも上側の領域で連結流路に整流効果が有る。この図に示されるように、図中の601と602の交点はほとんどの場合でL/Dが5付近であり、L/Dが5以上であれば開口部の取り付け方やロータリーアクチュエータのアームの位置によらず連結流路内に空気の流れが発生し、しかも直線区間で、乱れが減衰され整流効果がある事が分かる。
【0039】
以上、図6に示される解析結果は、直線区間の流路幅Dが深さHの1/5以下のときの結果であり、H/Dが5以上ではほとんど同様な結果となる。H/Dが5よりも小さい場合には、連結流路の圧力損失が大きくなる。このため、ロータリーアクチュエータのアームの位置によっては、連結流路内に気流が発生せず、本発明の効果が得られない場合がある。また同様に連結流路Dの幅がシュラウド隙間hよりも狭いと、連結流路の圧力損失が大きくなり、やはり本発明の効果が得られない場合がある。従って、先に述べたように連結流路の直線区間は、流路幅Dがシュラウド隙間hより広く、直線区間の長さLは5D以上同じく深さHも5D以上とすることにより,開口部の取り付け方やロータリーアクチュエータのアームの位置によらず本発明の効果を得ることができる。
【0040】
これにより、アーム4の高圧な上流側と低圧な下流側の圧力差は低減される。さらに、連結流路15の直線区間で流れが整流されるため、乱れの無い気流がアーム下流側空間11に流入して減速され、隣り合うディスク間にディスク1の回転に沿った流れを阻害しないように徐々に流入していく。以上のように本発明のハウジング内の空気の流れは、アーム4の上流側と下流側の圧力差で表われる、アーム挿入による圧力損失を低減し、ディスク1の回転に要する駆動トルクを低減し、風乱の原因であるアーム4の上流側と下流側の圧力差時間変動の振幅も低減する。さらに、アーム下流で隣り合うディスク間に流入する空気の流れの乱れも少なくなりフラッタが低減される。
【0041】
次に本発明の効果を非定常流れ解析により確認した結果の一例について図3を用いて説明する。図3(1)は、直径65mmのディスクで、シュラウドとディスクの間隔hが0.7 mm、12000回転毎分で回転させたときの結果である。
【0042】
形状1は図3(2)の構成からなる。形状2は図3(3)の構成からなる。また、形状3は図3(4)の構成からなる。図3(1)は、この3種類の形状における、位置決め精度に対するフラッタの影響度(304)と同じく位置決め精度に対する風乱の影響度(305)、及びディスク1枚あたりの回転に要する消費電力比(306)とについて比較している。図3(2)〜(4)に示した構成において、ハウジング形状以外は、同一の形状をしている。
【0043】
形状1は本発明の連結流路15が無くシュラウド12がアーム4の下流側を覆っている形状の結果である。形状1では、図3(2)中、矢印300のようにアーム回転軸3とボイスコイルモータ6の隙間を空気が流れる。
【0044】
形状2と形状3は本発明の連結流路15を持ち、この幅Dが2mmで、深さHは20mmある。形状2は本発明のモータカバー21を平板で構成したものであり、連結流路の直線区間Lが約10mmである。また形状2はロータリーアクチュエータの回転軸3とロータリーアクチュエータのボイスコイルモータ6の間にできる隙間を閉じていない。従って、ほとんどの空気は図中矢印301のように流れるが、一部ボイスコイルモータ内を図中矢印302のように流れる。
【0045】
形状3は前記隙間を閉じているので、図中矢印303のように空気は流れる。位置決め精度に対するフラッタの影響度(304)と同じく位置決め精度に対する風乱の影響度(305)と消費電力比(306)は形状1の時を100%として示している。図3から明らかに本発明の連結流路15により、フラッタと風乱の影響が減少し、消費電力も低減されていることがわかる。
【0046】
本発明の他の実施例を、図4を用いて説明する。図4は本発明を適用した他の実施例における磁気ディスク装置の構成を示す横断面図である。本実施例では図1に示された実施例と連結流路15の形成の仕方が異なる。
【0047】
シュラウド部分12aやフィルタ9などの部品は図1と同様である。また、アーム下流空間11にはシュラウドを設けずに、ロータリーアクチュエータのアーム4の全体がディスク1の外側に軸3を中心として移動可能なだけの空間が確保されている。また図1に示された構成と同様にように、磁気ヘッド5の入出力用の信号配線7と信号配線端子8はこの空間に配置する。
【0048】
図4に示されるように、本実施例におけるモータカバー21は、ハウジング10のシュラウドをアーム4の上流側まで延長した上で開口部12cの部分を切除している。連結流路15を形成する整流板20はハウジング10と別に製作した平板をハウジング10の内壁と平行になるように取り付けることで連結流路15を形成する。
【0049】
図4の実施例では、さらに連結流路15の直線区間の下流で、平板20を折り曲げてボイスコイルモータ6内への空気の流れを妨げるように成形している。さらに整流板20と対を成す連結流路15の壁面もハウジング10の内壁でなくてもよく、整流板20と同様に平板をハウジング10に取り付けることにより形成してもよい。本実施例によれば、複雑なハウジング10の形成を行うことなく簡単に図1の前記の実施例と同様の効果が得られる。
【0050】
本発明の更に他の実施例を、図5を用いて説明する。図5は本発明を適用した他の実施例における磁気ディスク装置の構成を示す横断面図である。
【0051】
本実施例では図1に示された実施例と連結流路15とアーム上流側シュラウド12bの形成の仕方が異なる。シュラウド部分12aやフィルタ9などの部品は図1と同様である。アーム下流空間11にはシュラウドを設けずに、ロータリーアクチュエータのアーム4の全体がディスク1の外側に軸3を中心として移動可能なだけの空間が確保される。また図1に示されると同様にように、磁気ヘッド5の入出力用の信号配線7と信号配線端子8はこの空間に配置する。
【0052】
図1や図4に示された実施例では、モータカバー21を設けることで連結流路15とアーム上流側シュラウド12bを構成したが、本実施例ではモータカバー21を設けずに、ハウジング10の内壁をシュラウド12aから、フィルタ9への空気導入口及び排出口を除いて、開口部12cを設ける場所までディスク1と同心円のシュラウドとし、その他の内壁面は平面状に形成する。
【0053】
次にボイスコイルモータ6のケーシング22のディスク側の側面12bをディスク1と同心円弧となるように形成する。また側面21aのようにケーシング22のハウジング10側の側面を、ハウジング10の内側側面の平面状部分と平行になるように平面状に成形する。この時、側面12bと側面21aは、図5の奥行き方向0に連続した面で、少なくとも連結流路15からボイスコイルモータ内へ空気が流入できないように閉鎖されている。
【0054】
このように形成したケーシング22を持つボイスコイルモータを磁気ディスク装置のハウジング11に固定することでモータカバー21を設けなくても図1の実施例で説明した連結流路15を構成することができる。よって本実施例によれば、複雑なハウジング10の形成を行うことなく、ボイスコイルモータを変えることで簡単に図1の前記の実施例と同様の効果が得られる。
【0055】
【発明の効果】
本発明により、磁気ディスク装置において、ロータリーアクチュエータのアームを挿入した時に発生する圧力変動を抑えてフラッタと風乱を低減し、アーム上流と下流を新たな圧力変動を発生せず、駆動電力を低減できるハウジング構造の磁気ディスク装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気ディスク装置の構成を示す横断面図である。
【図2】本発明の磁気ディスク装置のハウジング構造を説明する縦断面図である。
【図3】本発明の連結流路の有無における圧力変動と消費電力を比較した図である。
【図4】本発明の磁気ディスク装置の構成を示す横断面図である。
【図5】本発明の磁気ディスク装置の構成を示す横断面図である。
【図6】連結流路の直線区間の長さと流路幅の比による空気流の流入角の関係を表すグラフである。
【符号の説明】
1…磁気ディスク
2…磁気ディスク回転軸
3…クチュエータ回転軸
4…アーム
5…ヘッド
6…ボイスコイルモータ
7…信号配線
8…信号配線端子
9…フィルタ
10…ハウジング
11…アーム下流空間
12…シュラウド
15…連結流路
21…モータカバー
Claims (6)
- 回転軸上に積層された複数の磁気ディスクと、磁気ヘッドを支持して前記磁気ディスク間に挿入されるアームと、前記アームを移動させるロータリーアクチュエータと、前記磁気ディスクを囲むシュラウド部分を有するハウジングと、を備えた磁気ディスク装置において、
前記磁気ディスクの回転によって生じて前記磁気ディスクの間を流れる空気の流れに対して前記アームの下流側に、前記シュラウド部分から開放され前記アームの全体を前記磁気ディスクの外側に移動可能にする空間と、前記空気の流れに対して前記アームの上流側の前記シュラウドに、前記磁気ディスクの側面とシュラウドの間隔よりも広い幅を有する開口部と、前記ロータリーアクチュエータを駆動するボイスコイルモータと、前記ボイスコイルモータの後方を通り前記開口部と前記空間とを連通させる連結流路とを備えたことを特徴とする磁気ディスク装置。 - 請求項1記載の磁気ディスク装置において、前記連結流路は、その幅Dに対して回転軸と平行な方向に5D以上の深さを有することを特徴とする磁気ディスク装置。
- 請求項1記載の磁気ディスク装置において、前記連結流路は、その幅Dに対して少なくとも長さが5D以上の直線区間を有することを特徴とする磁気ディスク装置。
- 請求項1記載の磁気ディスク装置において、前記連結流路は、その幅Dに対して回転軸と平行な方向に5D以上の深さを有し、かつ少なくとも長さが5D以上の直線区間を有することを特徴とする磁気ディスク装置。
- 請求項1記載の磁気ディスク装置において、前記ボイスコイルモータの側面を覆うカバーを有し、前記連結流路は前記カバーと前記ハウジング内壁の間に形成されることを特徴とする磁気ディスク装置。
- 請求項1記載の磁気ディスク装置において、前記ボイスコイルモータの側面を覆うカバーを有し、前記カバーは、前記ボイスコイルモータのコイル部を内包する部品であって少なくとも側面は前記ボイスコイルモータ内に前記連結流路から空気流が流れ込まないように閉鎖されていることを特徴とする磁気ディスク装置。
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