JP2000156068A - 磁気ディスク装置 - Google Patents

磁気ディスク装置

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JP2000156068A
JP2000156068A JP11199782A JP19978299A JP2000156068A JP 2000156068 A JP2000156068 A JP 2000156068A JP 11199782 A JP11199782 A JP 11199782A JP 19978299 A JP19978299 A JP 19978299A JP 2000156068 A JP2000156068 A JP 2000156068A
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和夫 酒井
Morinori Togashi
盛典 富樫
Masayuki Kaiho
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気ディスク装置において、磁気ヘッドを支
持するアームを挿入したことにより発生する圧力変動を
抑え、ディスクフラッタを低減してディスク駆動電力を
低減する。 【解決手段】 ディスクの回転に伴ってディスク表面を
流れる気流に対してアーム下流側に、ディスク側面を覆
うハウジング構造の一部であるシュラウドにより覆われ
ずに開放された空間を設けて、アーム上流側の空間とア
ーム下流側のシュラウドから開放された空間を連結する
流路を設けて、この流路に気流の整流効果を持たせるた
めの直線区間を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気ディスク装置に
係り、特に、情報を読み書きするために複数積層された
回転するディスクと、それぞれのディスク間でディスク
に対して情報の読み書きを行うヘッドを移動できるよう
に支えるロータリーアクチュエータとを収納した磁気デ
ィスク装置のハウジング構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の磁気ディスク装置では、ディスク
間を流れる空気の乱れによってフラッタと呼ばれるディ
スクの振動が発生する。フラッタが発生したディスク上
にヘッドが位置付けられる際、情報を読み書きするため
のトラックに対するヘッドの位置決め精度が低下する。
【0003】従来技術(1)として特開平10−162
548号公報においては、ディスク内周から外周に向か
って強制的な空気の流れを発生させる方法が記載されて
いる。また従来技術(2)として、回転するディスクと、
そのディスクを囲み同心円状に形成したシュラウドと呼
ばれるハウジングとの間隔を狭める方法がある。シュラ
ウドとは、磁気ディスク装置の内側に配置される磁気デ
ィスクやヘッドの位置付けを行なうアクチュエータ等の
部品をカバーするハウジングの一部であって、ディスク
の側面を囲むものである。
【0004】回転するディスク周辺の空気の流れとして
は、ディスクの回転に引きずられ周方向に空気が流され
る一次流れと、ディスク表面付近は外周側へ、ディスク
とディスクの間では内周側へと流れる二次流れが発生す
る。この二次流れは不安定な空気の乱れであるため、従
来技術(1)はディスク内周から外周に向う強制的な空
気の流れを発生させて二次流れによる不安定な空気の流
れを低減し、フラッタの発生を押さえるようにしたもの
である。
【0005】従来技術(2)では、各々のディスクに対し
て、ディスクとシュラウドとの間隔が広いときに発生す
るディスク上下面での空気の出入りを、ディスクとシュ
ラウドとの間隔を狭めて抑制し、上下面間の圧力差が時
間的に変動することを無くし、フラッタを低減する方式
である。
【0006】この他に、フラッタ低減以外の目的で、従
来技術(3)特開平7−320478号公報には、磁気デ
ィスク装置のハウジング内における空気流の循環を利用
するハウジング構造が記載されており、粉塵をフィルタ
ーで除去し、ハウジング内を冷却する方法が開示されて
いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ディスク間を流れる空
気の乱れによって発生するフラッタは、磁気ディスク装
置のハウジング構造が同じならば、ほぼディスク半径と
回転数の2乗に比例して増大する。従って、磁気ディス
クの高容量化に必要なトラック間隔の減少、及び高速化
に必要な回転数の増加を行う上で、ヘッドの位置決め精
度に悪影響を及ぼすフラッタを低減するハウジング構造
が必要である。
【0008】またディスク回転にかかわる駆動電力は、
磁気ディスク装置のハウジング構造が同じならば、ほぼ
回転数の3乗とディスク半径の5乗に比例する。従っ
て、前記フラッタと同様に、磁気ディスク装置の高速化
に必要な回転数の増加を行う上で、回転駆動力に対して
負荷となる空気流れを低減し、ディスク駆動電力を低減
するハウジング構造が必要である。
【0009】ところで、ディスクの内周から外周に向か
って強制的な空気の流れを発生させる方法には以下に示
す問題点がある。ディスクの内周から外周に向かって強
制的な空気の流れを発生させる方法では、積層されるデ
ィスクとディスクの間に挿入されるロータリーアクチュ
エータのアームの厚さが、ディスク同士の間隔の半分以
上に大きくなったとき、ロータリーアクチュエータのア
ームがディスク内周から外周に向う空気の流れをせき止
めてしまうので効果がなくなる。
【0010】また、回転するディスクと同心円状に形成
したシュラウドと呼ばれるハウジングとディスクの間隔
を狭める方法には以下に示す問題点がある。
【0011】シュラウドとディスクの間隔を狭める方法
では、ロータリーアクチュエータのアームが挿入されて
も、ディスク上下面での空気の出入りにより発生する圧
力差の時間変動は押さえることができるのでフラッタ発
生原因の一つは解決できる。しかしながら、アームが挿
入されたときには、アームはディスクに引きずられて周
方向に流れる空気の一次流れもせき止める。このため、
アーム上流側には高圧部分が、アーム下流側には低圧部
分が発生する。
【0012】さらに、アーム上流側で周方向に流れてき
た空気が、アームによって内周側に曲げられ、高速な内
周向きの流れを生じる。アーム先端では、この内周向き
の流れは再び外周側に戻ろうとするため、アーム下流側
の流れと混合して乱流を発生し、アーム上流側の高圧と
低圧の圧力差が変動する。この圧力変動はフラッタの原
因となるだけではなく風乱と呼ばれるアームを揺動させ
る変動力が発生する原因となる。このアーム揺動もまた
磁気ディスク装置のヘッドの位置決め精度を低下させる
原因である。
【0013】以上、従来技術に開示されたディスク内周
から外周に向かって強制的な空気の流れを発生させる方
法、およびシュラウドとディスクの間隔を狭める方法で
は、いずれの方式においてもアーム挿入時の圧力変動を
低減できない点が問題である。
【0014】一方、前記従来技術(3)の、磁気ディス
ク装置内の空気の循環を利用する方法では以下に示す問
題点がある。
【0015】アームの下流側にできた低圧部分はディス
ク外から空気を引き込む。このため、アーム下流側をシ
ュラウドで覆いアーム下流側とシュラウドとの隙間を狭
くすると、高速の空気がこの隙間を通してディスク間に
流れ込み大きな圧力変動を生じる。アーム上流と下流を
連結する流路があると、アーム上流と下流の圧力差は減
少する。従って、アームを挿入することによる圧力損失
は軽減されるため、ディスク回転にかかわる駆動電力は
低減される。
【0016】しかしながら、ロータリーアクチュエータ
の回転軸や、アクチュエータ駆動用のボイスコイルモー
タ内部の隙間で、アーム上流と下流を連結する流路が形
成されると、狭く曲がりの多い流路となるので、前記と
同様な理由によりディスク間に大きな圧力変動を生じ
る。前述の流路は、粉塵の除去や発熱部分であるボイス
コイルモータを冷却するには効果が有る。しかし、流れ
の乱れを発生しやすい複雑な構造物であるアーム部分や
ボイスコイルモータの内部を流れることは、風乱やフラ
ッタを増大させる可能性が大きい。また、比較的小型な
磁気ディスク装置では、ボイスコイルモータの冷却は必
要がない。
【0017】そこで本発明の目的は、アームを挿入した
ことによる圧力変動を抑えてフラッタを低減することが
できるハウジング構造を備えた磁気ディスク装置を提供
することである。また、本発明の他の目的は、アーム上
流と下流を新たな圧力変動を発生させずに空気の流れを
連結して、駆動電力の低減を行えるハウジング構造を備
えた磁気ディスク装置を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、回転軸上に積層された複数の磁気ディスク
と、磁気ヘッドを支持して前記磁気ディスク間に挿入さ
れるアームと、前記アームを移動させるロータリーアク
チュエータと、前記アームが移動可能に前記磁気ディス
クの側面を囲む前記磁気ディスクと同心円弧状のシュラ
ウド部分を有するハウジングと、からなる磁気ディスク
装置において、前記磁気ディスクの回転によって生じて
前記磁気ディスクの表面を流れる空気の流れに対して前
記アームの下流側に前記シュラウド部分から開放された
空間と、前記空気の流れに対して前記アームの上流側の
前記シュラウドに、前記磁気ディスクとシュラウドの間
隔よりも広い幅を有する開口部と、前記シュラウドの一
部を構成して前記ロータリーアクチュエータを駆動する
ボイスコイルモータを覆い、前記開口部と前記開放空間
とを連通させる連結流路を前記ハウジング内壁との間に
形成するカバーとを備え、前記連結流路は前記開口部か
ら所定長さの直線区間を有する構成とした。
【0019】ハウジング構造として、アーム下流側にシ
ュラウドで覆わない空間を設け、さらにアーム上流側と
前記アーム下流側のシュラウドで覆わない空間を連結す
る流路を設けて、この流路に整流効果を持たせるため流
路幅の5倍以上の深さであって、連結流路に長さが流路
幅の5倍以上の直線区間を持たせた構成とした。
【0020】また上記目的を達成するために、連結流路
は、前記直線区間の間隔Dに対して回転軸と平行な方向
に5D以上の深さを有する構成としてもよい。
【0021】また上記目的を達成するために、連結流路
は、前記直線区間の間隔Dに対して少なくとも長さが5
D以上の直線区間を有する構成としてもよい。
【0022】また上記目的を達成するために、連結流路
は、前記直線区間の間隔Dに対して回転軸と平行な方向
に5D以上の深さを有し、かつ少なくとも長さが5D以
上の直線区間を有する構成としてもよい。
【0023】また上記目的を達成するために、カバー
は、少なくとも前記ボイスコイルモータの側面を覆う構
成としてもよい。
【0024】また上記目的を達成するために、カバー
は、前記ボイスコイルモータのコイル部を内包する部品
であって少なくとも側面は前記ボイスコイルモータ内に
前記連結流路から空気流が流れ込まないように閉鎖され
ている構成としてもよい。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を、図1〜図
3を用いて説明する。図1は本発明の磁気ディスク装置
の構成を示す横部分断面図である。
【0026】図2は本発明の磁気ディスク装置のハウジ
ング構造を説明する縦部分断面図である。図3は本発明
の連結流路の有無、それぞれの場合における圧力変動と
消費電力を比較した図である。
【0027】図1に示したように、本発明の磁気ディス
ク装置は以下の構成を備える。磁気ディスク1は、図示
しないスピンドルモータに接続された磁気ディスク回転
軸2に複数枚積層して固定されている。アーム4は、ア
ーム回転軸3を中心に駆動する。アーム4を駆動するた
めに、アーム回転軸3側のアーム4には図示いていない
コイルが設けられ、ハウジング10側に設けられた磁石
(ここでは、便宜上ボイスコイルモータ6と称す)とそ
のコイルとでロータリーアクチュエータを構成してい
る。アーム4の先端には磁気ディスク読み書きヘッド5
が設けられている。モータカバー21は、ロータリーア
クチュエータを構成するボイスコイルモータ6の周囲を
覆うように構成されたハウジングの一部である。
【0028】これらの他に、必要に応じて磁気ヘッド5
の入出力用の信号配線7と信号配線端子8と、磁気ディ
スク内の空気を清浄するためのフィルタ9などの部品が
磁気ディスク装置ハウジング10内に収められ、ハウジ
ング外部から分離され密閉されている。本実施例では、
フィルタ9を設けており、フィルタ9への空気導入口及
び排出口をディスク1の外周を覆うシュラウドの一部に
設けている。しかし、フィルタ9を設けずに構成しても
よいことは言うまでもない。
【0029】図1においてディスクの回転方向を矢印1
3のように定めると、ディスクとディスクの間の空気の
流れはこの矢印13の方向となる。この矢印13の方向
に対して、アーム4の上流側は図中で紙面に向かってア
ーム4の左側と定義し、同じくアーム4の下流側は図中
でアーム4の右側と定義する。アーム4の下流側であり
ディスク1の外周より外側に設けられたアーム下流空間
11には、シュラウドを設けずにシュラウドから開放さ
れた空間であって、ロータリーアクチュエータのアーム
4の全体がディスク1の外側に軸3を中心として移動可
能なだけの空間を確保している。
【0030】また図1に示すように、磁気ヘッド5の入
出力用の信号配線7と信号配線端子8はこの空間に配置
されている。シュラウド12aは、ディスク1と同心円
となる形状を有するハウジング10の一部である。シュ
ラウド12bは、磁気ディスク装置のハウジング構造の
一部を形成し、本発明の実施の一形態においては、モー
タカバー21の一部でもある。このシュラウド12b
は、シュラウド12aと同様に、ディスク1と同心円と
なる形状を有する。ここで、同心円となる形状とは、デ
ィスク1が固定される回転軸2より等距離の壁面を有す
る形状をいう。
【0031】またこの本発明の一形態においては、シュ
ラウド12aと12bは、アーム下流空間11やフィル
タ9への空気導入路などの場所以外で、ディスク1と同
心円となるように形成されている。モータカバー21
は、アーム上流側のシュラウド12bより上流側に、磁
気ディスク装置ハウジング10の内壁と間隔を持ち、シ
ュラウドの開口部12cが形成されるように配置され
る。
【0032】更に、連結流路15は、このシュラウド開
口部12cからアーム下流空間11までの間で、モータ
カバー21とハウジング10の側面が平行な間隔を保つ
ように構成することで形成される。モータカバー21の
アーム上流側に位置するシュラウド12bは、ボイスコ
イルモータ6側への空気の流れを遮断するように、アー
ム4の必要な回転を阻害しない範囲で、アーム4の近く
まで設ける。なおモータカバー21はハウジング10と
一体で成形しても良いし別ピースとして形成し組み立て
ても良い。
【0033】本実施例でのハウジング内の空気の流れ
は、図1に矢印14で示す通りである。ディスク1の回
転により隣り合うディスク間において周方向矢印13の
方向に流れてきた空気はアーム4でせき止められアーム
4の上流側に圧力の高い部分を生じる。一方アーム4の
下流側では空気の圧力が低くなり、アーム下流側空間1
1からディスク間に空気を導き入れようとする。ここで
連結流路15は高圧なアーム4の上流側と低圧な下流側
を連絡するので14の矢印のように空気の移動が起こ
る。
【0034】次に、連結流路15の形状を図2及び図6
を用いて説明する。図2は本発明の磁気ディスク装置の
ハウジング構造の縦部分断面図であり、ロータリーアク
チュエータに関する部分は省略してある。図6は連結流
路の直線区間の長さと流路幅の比による空気流の流入角
の関係を求めたものである。
【0035】図2に示すように連結流路15は、シュラ
ウド12とディスク1の間隔h(図中19)よりも広い
幅D(図中17)で、ディスク1の積層された深さと同
じかそれ以上の深さH(図中18)に渡り平行な壁を持
つている。なお、深さHは幅Dの5倍以上とする。深さ
Hを幅Dの5倍以上とすることにより、図1のシュラウ
ド開口部12cから連結流路15に流入する気流の向き
がアーム4の位置によって変化しても、シュラウド開口
部12cでの圧力損失をほぼ一定に保つことができるの
で、連結流路15を設けたことによる圧力変動の低減効
果をアーム4の位置に関係なく持たせることができる。
【0036】さらに連結流路15には図1に示すように
長さL(図中16)だけの直線区間を持たせた。長さL
は、幅Dの5倍以上とした。シュラウド開口部12c側
のモータカバー21の一部であって連結流路15とシュ
ラウド12bとが接する先端部において、連結流路15
に流入してくる流れが剥離して脈動流を発生する場合が
ある。しかしこの脈動流が発生しても、長さLを幅Dの
5倍以上とすることにより、長さLの直線区間で流速変
動を減衰させることができる。気流の乱れを引き起こす
剥離は主にシュラウド開口部12cで発生するので、こ
のシュラウド開口部12cよりも下流側に直線区間が有
ればよく、この直線区間以外では連結流路15の幅Dは
深さHの5分の1以下でなくてもよくその断面は図2に
示すような長方形でなくてもよい。
【0037】前記連結流路の長さ等の関係を図6を用い
て説明する。図中のグラフの横軸は連結流路内へ流入し
てくる空気の流れの流入角を示している。磁気ディスク
装置では開口部の取り付け方やロータリーアクチュエー
タのアームの位置によりこの流入角が変化する。流入角
は、ディスク1の接線を基準とする角度である。本説明
においては、連結流路15が内側に形成される磁気ディ
スク装置の側面に最も近いディスク1の端部における接
線が基準となる。連結流路15の圧力損失により連結流
路15に空気が流入できる流入角が601の線で示され
ている。従って、図中601よりも左側の領域603で
本発明の連結流路の効果が現れることになる。
【0038】一方、図6の縦軸は直線区間の長さと流路
幅の比L/Dを示している。曲線602は各流入角に対し
て、連結流路内の気流の乱れが一定値になるのに必要な
直線区間Lに相当するL/Dの値を示す曲線である。こ
の曲線602よりも上側の領域で連結流路に整流効果が
有る。この図に示されるように、図中の601と602
の交点はほとんどの場合でL/Dが5付近であり、L/
Dが5以上であれば開口部の取り付け方やロータリーア
クチュエータのアームの位置によらず連結流路内に空気
の流れが発生し、しかも直線区間で、乱れが減衰され整
流効果がある事が分かる。
【0039】以上、図6に示される解析結果は、直線区
間の流路幅Dが深さHの1/5以下のときの結果であ
り、H/Dが5以上ではほとんど同様な結果となる。H
/Dが5よりも小さい場合には、連結流路の圧力損失が
大きくなる。このため、ロータリーアクチュエータのア
ームの位置によっては、連結流路内に気流が発生せず、
本発明の効果が得られない場合がある。また同様に連結
流路Dの幅がシュラウド隙間hよりも狭いと、連結流路
の圧力損失が大きくなり、やはり本発明の効果が得られ
ない場合がある。従って、先に述べたように連結流路の
直線区間は、流路幅Dがシュラウド隙間hより広く、直
線区間の長さLは5D以上同じく深さHも5D以上とす
ることにより,開口部の取り付け方やロータリーアクチ
ュエータのアームの位置によらず本発明の効果を得るこ
とができる。
【0040】これにより、アーム4の高圧な上流側と低
圧な下流側の圧力差は低減される。さらに、連結流路1
5の直線区間で流れが整流されるため、乱れの無い気流
がアーム下流側空間11に流入して減速され、隣り合う
ディスク間にディスク1の回転に沿った流れを阻害しな
いように徐々に流入していく。以上のように本発明のハ
ウジング内の空気の流れは、アーム4の上流側と下流側
の圧力差で表われる、アーム挿入による圧力損失を低減
し、ディスク1の回転に要する駆動トルクを低減し、風
乱の原因であるアーム4の上流側と下流側の圧力差時間
変動の振幅も低減する。さらに、アーム下流で隣り合う
ディスク間に流入する空気の流れの乱れも少なくなりフ
ラッタが低減される。
【0041】次に本発明の効果を非定常流れ解析により
確認した結果の一例について図3を用いて説明する。図
3(1)は、直径65mmのディスクで、シュラウドと
ディスクの間隔hが0.7 mm、12000回転毎分で回転
させたときの結果である。
【0042】形状1は図3(2)の構成からなる。形状
2は図3(3)の構成からなる。また、形状3は図3
(4)の構成からなる。図3(1)は、この3種類の形
状における、位置決め精度に対するフラッタの影響度
(304)と同じく位置決め精度に対する風乱の影響度
(305)、及びディスク1枚あたりの回転に要する消
費電力比(306)とについて比較している。図3
(2)〜(4)に示した構成において、ハウジング形状
以外は、同一の形状をしている。
【0043】形状1は本発明の連結流路15が無くシュ
ラウド12がアーム4の下流側を覆っている形状の結果
である。形状1では、図3(2)中、矢印300のよう
にアーム回転軸3とボイスコイルモータ6の隙間を空気
が流れる。
【0044】形状2と形状3は本発明の連結流路15を
持ち、この幅Dが2mmで、深さHは20mmある。形
状2は本発明のモータカバー21を平板で構成したもの
であり、連結流路の直線区間Lが約10mmである。ま
た形状2はロータリーアクチュエータの回転軸3とロー
タリーアクチュエータのボイスコイルモータ6の間にで
きる隙間を閉じていない。従って、ほとんどの空気は図
中矢印301のように流れるが、一部ボイスコイルモー
タ内を図中矢印302のように流れる。
【0045】形状3は前記隙間を閉じているので、図中
矢印303のように空気は流れる。位置決め精度に対す
るフラッタの影響度(304)と同じく位置決め精度に
対する風乱の影響度(305)と消費電力比(306)
は形状1の時を100%として示している。図3から明
らかに本発明の連結流路15により、フラッタと風乱の
影響が減少し、消費電力も低減されていることがわか
る。
【0046】本発明の他の実施例を、図4を用いて説明
する。図4は本発明を適用した他の実施例における磁気
ディスク装置の構成を示す横断面図である。本実施例で
は図1に示された実施例と連結流路15の形成の仕方が
異なる。
【0047】シュラウド部分12aやフィルタ9などの
部品は図1と同様である。また、アーム下流空間11に
はシュラウドを設けずに、ロータリーアクチュエータの
アーム4の全体がディスク1の外側に軸3を中心として
移動可能なだけの空間が確保されている。また図1に示
された構成と同様にように、磁気ヘッド5の入出力用の
信号配線7と信号配線端子8はこの空間に配置する。
【0048】図4に示されるように、本実施例における
モータカバー21は、ハウジング10のシュラウドをア
ーム4の上流側まで延長した上で開口部12cの部分を
切除している。連結流路15を形成する整流板20はハ
ウジング10と別に製作した平板をハウジング10の内
壁と平行になるように取り付けることで連結流路15を
形成する。
【0049】図4の実施例では、さらに連結流路15の
直線区間の下流で、平板20を折り曲げてボイスコイル
モータ6内への空気の流れを妨げるように成形してい
る。さらに整流板20と対を成す連結流路15の壁面も
ハウジング10の内壁でなくてもよく、整流板20と同
様に平板をハウジング10に取り付けることにより形成
してもよい。本実施例によれば、複雑なハウジング10
の形成を行うことなく簡単に図1の前記の実施例と同様
の効果が得られる。
【0050】本発明の更に他の実施例を、図5を用いて
説明する。図5は本発明を適用した他の実施例における
磁気ディスク装置の構成を示す横断面図である。
【0051】本実施例では図1に示された実施例と連結
流路15とアーム上流側シュラウド12bの形成の仕方
が異なる。シュラウド部分12aやフィルタ9などの部
品は図1と同様である。アーム下流空間11にはシュラ
ウドを設けずに、ロータリーアクチュエータのアーム4
の全体がディスク1の外側に軸3を中心として移動可能
なだけの空間が確保される。また図1に示されると同様
にように、磁気ヘッド5の入出力用の信号配線7と信号
配線端子8はこの空間に配置する。
【0052】図1や図4に示された実施例では、モータ
カバー21を設けることで連結流路15とアーム上流側
シュラウド12bを構成したが、本実施例ではモータカ
バー21を設けずに、ハウジング10の内壁をシュラウ
ド12aから、フィルタ9への空気導入口及び排出口を
除いて、開口部12cを設ける場所までディスク1と同
心円のシュラウドとし、その他の内壁面は平面状に形成
する。
【0053】次にボイスコイルモータ6のケーシング2
2のディスク側の側面12bをディスク1と同心円弧と
なるように形成する。また側面21aのようにケーシン
グ22のハウジング10側の側面を、ハウジング10の
内側側面の平面状部分と平行になるように平面状に成形
する。この時、側面12bと側面21aは、図5の奥行
き方向0に連続した面で、少なくとも連結流路15から
ボイスコイルモータ内へ空気が流入できないように閉鎖
されている。
【0054】このように形成したケーシング22を持つ
ボイスコイルモータを磁気ディスク装置のハウジング1
1に固定することでモータカバー21を設けなくても図
1の実施例で説明した連結流路15を構成することがで
きる。よって本実施例によれば、複雑なハウジング10
の形成を行うことなく、ボイスコイルモータを変えるこ
とで簡単に図1の前記の実施例と同様の効果が得られ
る。
【0055】
【発明の効果】本発明により、磁気ディスク装置におい
て、ロータリーアクチュエータのアームを挿入した時に
発生する圧力変動を抑えてフラッタと風乱を低減し、ア
ーム上流と下流を新たな圧力変動を発生せず、駆動電力
を低減できるハウジング構造の磁気ディスク装置を実現
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気ディスク装置の構成を示す横断面
図である。
【図2】本発明の磁気ディスク装置のハウジング構造を
説明する縦断面図である。
【図3】本発明の連結流路の有無における圧力変動と消
費電力を比較した図である。
【図4】本発明の磁気ディスク装置の構成を示す横断面
図である。
【図5】本発明の磁気ディスク装置の構成を示す横断面
図である。
【図6】連結流路の直線区間の長さと流路幅の比による
空気流の流入角の関係を表すグラフである。
【符号の説明】
1…磁気ディスク 2…磁気ディスク回転軸 3…クチュエータ回転軸 4…アーム 5…ヘッド 6…ボイスコイルモータ 7…信号配線 8…信号配線端子 9…フィルタ 10…ハウジング 11…アーム下流空間 12…シュラウド 15…連結流路 21…モータカバー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 滋男 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内 (72)発明者 酒井 和夫 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内 (72)発明者 富樫 盛典 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 海保 真行 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転軸上に積層された複数の磁気ディスク
    と、磁気ヘッドを支持して前記磁気ディスク間に挿入さ
    れるアームと、前記アームを移動させるロータリーアク
    チュエータと、前記アームが移動可能に前記磁気ディス
    クの側面を囲む前記磁気ディスクと同心円弧状のシュラ
    ウド部分を有するハウジングと、からなる磁気ディスク
    装置において、 前記磁気ディスクの回転によって生じて前記磁気ディス
    クの表面を流れる空気の流れに対して前記アームの下流
    側に前記シュラウド部分から開放された空間と、前記空
    気の流れに対して前記アームの上流側の前記シュラウド
    に、前記磁気ディスクとシュラウドの間隔よりも広い幅
    を有する開口部と、前記シュラウドの一部を構成して前
    記ロータリーアクチュエータを駆動するボイスコイルモ
    ータを覆い、前記開口部と前記開放空間とを連通させる
    連結流路を前記ハウジング内壁との間に形成するカバー
    とを備え、前記連結流路は前記開口部から所定長さの直
    線区間を有することを特徴とする磁気ディスク装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の磁気ディスク装置におい
    て、前記連結流路は、前記直線区間の間隔Dに対して回
    転軸と平行な方向に5D以上の深さを有することを特徴
    とする磁気ディスク装置。
  3. 【請求項3】請求項1記載の磁気ディスク装置におい
    て、前記連結流路は、前記直線区間の間隔Dに対して少
    なくとも長さが5D以上の直線区間を有することを特徴
    とする磁気ディスク装置。
  4. 【請求項4】請求項1記載の磁気ディスク装置におい
    て、前記連結流路は、前記直線区間の間隔Dに対して回
    転軸と平行な方向に5D以上の深さを有し、かつ少なく
    とも長さが5D以上の直線区間を有することを特徴とす
    る磁気ディスク装置。
  5. 【請求項5】請求項1記載の磁気ディスク装置におい
    て、前記カバーは、少なくとも前記ボイスコイルモータ
    の側面を覆うことを特徴とする磁気ディスク装置。
  6. 【請求項6】請求項1記載の磁気ディスク装置におい
    て、前記カバーは、前記ボイスコイルモータのコイル部
    を内包する部品であって少なくとも側面は前記ボイスコ
    イルモータ内に前記連結流路から空気流が流れ込まない
    ように閉鎖されていることを特徴とする磁気ディスク装
    置。
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