JP4057398B2 - ボタン穴かがりミシン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、上軸駆動・メス駆動クラッチ装置、メス解除クラッチ装置、早送り装置、布クランプ装置、上糸緩め装置を備えたボタン穴かがりミシンに係り、特に、ボタン穴かがりミシンの縫い形成、早送り伝達系に対してミシン駆動軸からの回転速度を変化させ、その回転トルクを伝達、遮断するボタン穴かがりミシン用クラッチ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、細長く延びるスリットs(図19(a))の一端に拡大鳩目孔eが終端し、スリットsの両側にはそれに直交する平行な縫目a,a′が形成され、この縫目は放射状縫目bとオフセット縫目c,c′により連結され、鳩目穴eは、これらの縫目c,c′,bにより包囲されているボタン穴かがりが慣用されている。また、鳩目穴eを形成しない場合には縫目a,a′は縫目bと連結され(図19(b))いわゆる眠りボタン穴かがりに形成される。
【0003】
これらのボタンかがりを行なうミシンはきわめて長い発展歴史を有し、種々の型式のものが開発され、かつ発表されている。このようなボタン穴かがりミシンには、機械制御のミシン(例えば、特許文献11〜特許文献17参照)と、電子制御のミシン(例えば、特許文献18〜特許文献23参照)とがある。機械制御のミシンは、精度・品質が要求されるボタン穴かがりに好適であり、電子制御のミシンは精度・品質がそれほど要求されないボタン穴かがりに好適である。これは、機械制御のボタン穴かがりミシンは縫目の精度・品質を要求され構成部品の精度や組立技術が確立されているからであり、また、電子制御のボタン穴かがりミシンは、縫目を作り出す部分以外の構成部分を、制御が比較的簡単な電子部品で構成して高速回転で運転できるからである。
【0004】
【特許文献1】
特許第25276号公報
【特許文献2】
特許第26968号公報
【特許文献3】
特許第36153号公報
【特許文献4】
特許第94060号公報
【特許文献5】
特許第118369号公報
【特許文献6】
特許第118405号公報
【特許文献7】
特許第123686号公報
【特許文献8】
特許第135034号公報
【特許文献9】
特公昭30−1125号公報
【特許文献10】
特公昭25−536号公報
【特許文献11】
特公昭28−3541号公報
【特許文献12】
特公昭47−27462号公報
【特許文献13】
特公昭26−730号公報
【特許文献14】
特公昭26−4886号公報
【特許文献15】
特公昭27−2893号公報
【特許文献16】
特公昭30−1126号公報
【特許文献17】
特公昭30−5834号公報
【特許文献18】
特開平8−117464号公報
【特許文献19】
特開平9−294884号公報
【特許文献20】
特開2001−96084号公報
【特許文献21】
特開2001−137584号公報
【特許文献22】
特開2001−162070号公報
【特許文献23】
特開2002−200377号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、機械制御のミシンでは、駆動伝達の切換えを行なうためのクラッチには複雑な機構が必要であった。また、機械制御のミシンでは、一般的には先メス(最初に布にボタン穴を切断してから縫目を形成すること)、後メス(布に縫目を形成してからボタン穴を切断すること)、メスのみ(布にボタン穴を切断すること)、メスなし(布に縫目を形成すること)を選択するためのモード切換機構を備えておらず、この機能を備えた特殊なミシンにおいては機構が複雑になっていた。さらに、布押えのための布クランプ機構はオペレータによる操作性が悪かった。
【0005】
一方、電子制御のミシンでは、制御のための電子デバイスが高価であり、ミシンを廉価に提供できなかった。
【0006】
本発明はこのような従来の難点を解決するためになされたもので、機械制御と電子制御の長所を併せ持った廉価なボタン穴かがりミシンを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明のボタン穴かがりミシンは、布を布クランプ手段と共に保持する布テーブルを含むミシン本体と、針を支持する針棒のための上下動機構および針振り機構を有する針棒駆動機構、ルーパおよびスプレッダを駆動するルーパ・スプレッダ機構および針棒、ルーパ・スプレッダを旋回させる旋回機構を含み布にボタン穴かがりを行なう縫目形成装置と、上下動機構を駆動する上軸と、ルーパ・スプレッダ機構を駆動する下軸と、布にボタン穴を形成するメス機構と、布テーブルのための早送り機構および縫目送り機構を有する制御カム機構と、上軸に連動して針振り機構、下軸および縫目送り機構を駆動する縦軸とを有するボタン穴かがりミシンであって、正逆転可能な上軸駆動モータから上軸駆動モータの正転時にはトルクをクラッチ手段の第1のワンウエイクラッチを介して上軸に伝達して縫目送り機構を介して縫目送りをして縫目形成装置により縫目形成を行なうと共に、上軸駆動モータの逆転時にはクラッチ手段の第2のワンウエイクラッチからメス駆動部を介してメス機構に伝達して布にボタン穴を形成するための電子制御部を設けたものである。
【0008】
このように構成された本発明のボタン穴かがりミシンによれば、電子制御部が上軸駆動モータを正転させることによりクラッチ手段の第1のワンウエイクラッチが能動となりその回転を上軸に伝達させて縫目送り機構を介して縫目形成装置により縫目形成を行ない、上軸駆動モータを逆転させることによりクラッチ手段の第2のワンウエイクラッチが能動となりその回転をメス駆動部を介してメス機構に伝達させて布にボタン穴を形成することができる。
【0009】
また、本発明のボタン穴かがりミシンにおいては、メス駆動部とメス機構との間にメス機構がロックしたとき原点に手動復帰させるメス解除クラッチを介在したものである。これにより、メス機構が異物噛みこみなどによりロックした場合に、メス解除クラッチによりメス駆動部からの駆動力を遮断することができるので、メス機構を原点に手動復帰させることができる。
【0010】
また、本発明のボタン穴かがりミシンにおいては、早送り時にはトルクを制御カム機構に伝達して早送り機構を駆動して布テーブルを早送りさせるため電子制御部により制御される早送りモータを設けたものである。これにより、非常時にミシンを停止して布テーブルを原点に早送りで復帰させることができるようになる。
【0011】
また、本発明のボタン穴かがりミシンにおいては、布クランプ手段の押え金を、布のクランプ状態を解除する非クランプ状態と布をクランプするクランプ状態との間で開閉させる押え金開閉機構を駆動するため電子制御部により制御される押え金駆動モータを設けたものである。これにより、縫目送りにおいて電子制御部で押え金駆動モータを制御して押え金開閉機構を駆動することにより、布クランプ手段によって布をクランプ状態、非クランプ状態にすることができる。
【0012】
また、本発明のボタン穴かがりミシンにおいて電子制御部には、メス駆動部の動作を検知しメス機構をサイクル運動させるためのメスセンサ、布テーブルの動作を検知し縫・早送りを切換えるための縫・早送りセンサ、制御カム機構の動作を検知し制御カムを原点に復帰させるための制御カム停止センサ、押え金開閉機構の動作を検知し押え金を上下の開閉位置に移動するための押え金上下センサ、下軸の動作を検知し上軸駆動モータを停止するための上軸停止センサからの信号がそれぞれ印加されているものである。これにより、これらセンサからの検出信号に基ずき電子制御部は一連の縫目送り動作を行うことができる。
【0013】
また、本発明のボタン穴かがりミシンにおいては、針糸を糸巻から縫目形成時に針糸の糸調子を行う糸調子器を経由し天秤を介して針に刺し通し、早送りモータは、正転時には早送り時にトルクを制御カム機構に伝達して早送り機構を駆動して布テーブルを早送りさせ、逆転時には糸調子器を制御する正逆転可能であり、縫目形成時に糸調子器の糸張力を維持し、縫目形成後で早送り時前に早送りモータを逆転させることにより起動されて糸調子器の糸張力を解放する糸緩め装置を設けたものである。これにより、早送り時に針糸を抵抗なく引き出すことができるので、針の折損を防止することができる。
【0014】
また、本発明のボタン穴かがりミシンにおいて糸緩め装置は、早送りモータを逆転させることにより能動とされるワンウエイクラッチと、ワンウエイクラッチにより駆動される起動カム(二段カム)と、起動カムにより糸調子器の糸張力を解放し、この糸張力解放状態を縫目形成までに保持し、縫目形成時に上軸により回動され糸調子器の糸張力を維持するための2方向揺動カムフロワ機構とを有するものである。これにより、早送りモータを逆転させることにより能動とされたワンウエイクラッチが、起動カムを駆動させ2方向揺動カムフロワ機構を作動して、糸調子器の糸張力を解放し、この糸張力解放状態を縫目形成までに保持したり、縫目形成時に上軸により回動され糸調子器の糸張力を維持したりすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のボタン穴かがりミシンにおける好ましい実施の形態例について図面を参照して詳述する。
【0016】
このボタン穴かがりミシンは図1、図2、図3、図4、図5に示すように、布を布クランプ手段である布クランプ機構1000と共に保持する布テーブル3を含むミシン本体1、4と、針11を支持する針棒20のための上下動機構850および針振り機構30aを有する針棒駆動機構10a、ルーパ809およびスプレッダ810を駆動するルーパ・スプレッダ機構800および針棒20、ルーパ・スプレッダ部を旋回させる旋回機構370aを含み布にボタン穴かがりを行なう縫目形成装置10と、上下動機構850を駆動する上軸22と、ルーパ・スプレッダ機構800を駆動する下軸61と、布にボタン穴を形成するメス機構80と、布テーブル3のための早送り機構103および縫目送り機構330を有する制御カム機構300(図12)と、上軸22に連動して針振り機構30a、下軸61および縫目送り機構330を駆動する縦軸27とを有するものである。
【0017】
このようなボタン穴かがりミシンは、支台1と、この支台1に固定されたテーブル受台2と、テーブル受台2上に摺動自在に装架された布テーブル3と、テーブル受台2との間に布テーブル3を摺動自在に挟んで、テーブル受台2上に装架されたアーム4とを含む。支台1およびアーム4はミシン本体を構成している。支台1は、後方において、支台1から突出するピン9に抜出し防止を図って固着されたブッシュ8aがベースカバー8に枢着され、一方、前方において、その底部の脚がベースカバー8の突起支持部(図示せず)上に当接することにより枢動可能にベースカバー8に装着されている。
【0018】
支台1には、概略的に言って、スリットsおよび鳩目穴e(図19(a))の周囲に縫目かがりをする縫目形成装置10と、これらのスリットsおよび鳩目穴eをカットするメス機構80とが組み込まれ、ボタン穴かがりミシンは、これらの装置および機構に所定の動力を伝達し、あるいは制御し、その動作の安全を図る各種機構が設けられている。
【0019】
縫目形成装置10はミシンのアーム4および支台1の前方に設けられている。この縫目形成装置10は、縫針11を担持する針棒20を上下動し、旋回させ、かつ横振りさせる針棒駆動機構10aおよびこれと協働するルーパ・スプレッダ機構800並びに針棒20とルーパ・スプレッダ部を180゜旋回させる180゜旋回機構370aにより構成される。
【0020】
アーム4の上部には上軸22が軸受を介して軸承されている。このアーム4に取り付けられたユニバーサル軸受には、縫針11を担持する針棒20が揺動自在に軸承されている。これにより、針棒20は横振り、旋回かつ上下動自在に保持される。
【0021】
針棒駆動機構10aのうち、針棒20を横振りさせる針振り機構30aについて説明する。上軸22に連動して針振り機構30aを駆動する縦軸27が設けられている。即ち、上軸22に固着された傘歯車26は、縦軸27に固着された傘歯車28と噛合し、縦軸27に駆動力を伝達する。
【0022】
次に、縫目形成装置10のうち、ルーパ・スプレッダ機構800について説明する。縦軸27の下端には傘歯車60が支承され、下軸61を回転させるために下軸61の中間点に固定された傘歯車62に噛合されている。下軸61はルーパタイミング継手61aが介在され、その一端には一体とされたルーパ揺動カム63とスプレッダ作動カム64が固定されている。ルーパ揺動カム63は第1のカムフロアに、スプレッダ作動カム64は第1のカムフロアに嵌合される第2のカムフロアにそれぞれ係合されている。第1のカムフロアの取付板に設けられたルーパ二又はルーパ揺動軸68を旋回自在に連結している。第2のカムフロアのスプレッダ二又は取付板の開口から遊出して、ルーパ揺動軸68内に挿入されたスプレッダ作動軸71に旋回自在に連結されている。ルーパ揺動軸68及びスプレッダ作動軸71の上端には、ルーパ、スプレッダ等が組み込まれるルーパ・スプレッダ回転台801が固定される。このルーパ・スプレッダ回転台801は180゜旋回機構370aにより旋回される。
【0023】
次に、縫目形成装置10のうち、針棒20及びルーパ・スプレッダ回転台801を180゜旋回させる180゜旋回機構370aについて説明する。制御カム機構300を構成する主カム301の内側カム溝323には、カムフロワが嵌合して主カム301により制御される。このカムフロワは支台1の円弧状の長孔を通って延びるピンによって回転自在に軸支されている。このピンは扇歯車(針・ルーパ旋回歯車)359の一側の取付孔に固定されている。扇歯車359はその支持孔に偏心軸を嵌合し、支台1の孔を介して止めネジにより支台1に回転自在に支持されている。
【0024】
カムフロワにより扇歯車359を介して枢動される針棒・ルーパ・スプレッダ旋回軸370はアーム4に設置された上メタル、及び支台1に設置された下メタルにより軸支されている。針棒・ルーパ・スプレッダ旋回軸370には平歯車が固定され扇歯車359と噛合している。針棒・ルーパ・スプレッダ旋回軸370の上部及び下部には、平行リンクアーム374a、374bがそれぞれ固定されている。平行リンクアーム374aと針棒回転台49とには、針棒・ルーパ・スプレッダ旋回軸370より針棒20を旋回させる平行四節リンク375a−375bがそれぞれ枢着されている。一方、平行リンクアーム374bとルーパ・スプレッダ回転台801に固定される平行リンクアーム374gには、針棒・ルーパ・スプレッダ旋回軸370よりルーパ、スプレッダ等が組み込まれるルーパ・スプレッダ回転台801を、針棒回転台49と共に同期旋回させる平行四節リンク374j−374kがそれぞれ枢着されている。
【0025】
次に、布にボタン穴を形成するメス機構80について説明する。
【0026】
メス機構80は図1、図6に示すように、メス5と、これに噛合可能なカウンターメス5aとから成る。メス5は受台2(図3、図5)に固定されたメス取付台5cに着脱自在に取着されている。カウンターメス5aを装着するメスアーム6は受台2に枢着されている。メスアーム6はバネ81によりカウンターメス5aが上昇する方向へ弾撥されている。このメスアーム6の他端はレバー88に枢着されている。レバー88の一端に圧力調整のためのボルト91が螺着され、ボルト91の先端はメスアーム6の圧力作用受座92に座着されている。レバー88の他端にはニードルベアリングを用いたカムフロア93が軸支されている。カムフロア93はメスカム軸95に固定されたメスカム97に係合してレバー88を枢動する。
【0027】
また、メス機構80と、メス駆動部1200との間にはメス機構80がロックしたとき原点に復帰させるメス解除クラッチ1250を介在している。ここで、図7、図8、図9に示すように、メス駆動部1200はクラッチ機構500のメス駆動プーリ508と、第1のメス駆動ベルトB3によってメス駆動プーリ508の回転トルクが伝達される大プーリ120aおよびその回転トルクを他のプーリに伝達する小プーリ120bが並設されるメス減速プーリ120と、第2のメス駆動ベルトB4によってメス減速プーリ120の小プーリ120bの回転トルクが伝達されるメス駆動軸プーリ119と、このメス駆動軸プーリ119が一端に固定され他端にメスウォーム1201が固定されたメス駆動軸1202と、メスウォーム1201に噛合されメス機構80のメスカム軸95(図6)上に回動自在に嵌挿されたメスウォームホイール1203とから構成されている。
【0028】
メス解除クラッチ1250は、メスウォームホイール1203に固定されたメス駆動連結腕1251と、メス駆動連結腕1251に並設されメスカム軸95に固定されたメス駆動連結受1252と、メス駆動連結受1252に並設されメスカム軸95に摺動可能に嵌挿されたメスモード切換ツマミ1253と、メスモード切換ツマミ1253に固定されると共にメスカム軸95上を摺動するメス駆動連結キー台1257と、メス駆動連結キー台1257に固定されるメス駆動連結キー1254とを備え、メス駆動連結キー1254はメス駆動連結台1252の角溝1252a内を摺動可能に係合してメスモード切換ツマミ1253を押し込むことによってメス駆動連結キー1254の先端がメス駆動連結腕1251の凹部1251aに係合するように構成されている。なお、メスモード切換ツマミ1253は内設されたバネによって押込み方向に向かって弾撥されている。これにより、メスモード切換ツマミ1253を押し込むと、クラッチ機構500のメス駆動プーリ508からの回転トルクが伝達され(図9(a))、メスモード切換ツマミ1253を引っ張ると、クラッチ機構500のメス駆動プーリ508からの回転トルクが遮断される(図9(b))。したがって、メス機構80が異物噛みこみなどによりロックした場合に、メス解除クラッチ1250によりメス駆動部1200からの駆動力を遮断することができるので、メス機構80を原点に手動復帰させることができる。
【0029】
また、メス駆動連結受1252の外周にはメスカム原点体1255が嵌合して位置調節可能に固定され、メス駆動連結受1252が回転することをメスカム原点体1255によって検出するメスセンサ1501が機枠FRに固定されている。これにより、メスセンサ1501からの検知信号に基づき後述する上軸駆動モータM1を介してクラッチ機構500を制御することができるので、メス駆動部1200の動作を検知しメス機構80をサイクル運動させることができる。
【0030】
次に、クラッチ手段であるクラッチ機構500について詳述する。
【0031】
このクラッチ機構500は図1、図7、図8、図10に示すように、上軸22を回転させる上軸駆動モータM1からのトルクを縫目形成装置10とメス機構80とに伝達するもので、縫目送り時には正逆転可能な上軸駆動モータM1からトルクを正転時には第1のワンウエイクラッチ503を介して上軸22に伝達して縫目送り機構330および縫目形成装置10により縫目形成を行なうと共に、逆転時には第2のワンウエイクラッチ504からメス駆動部1200を介してメス機構80に伝達して布にボタン穴を形成することができる。
【0032】
具体的には、上軸22上に中空のクラッチ駆動軸506が回動可能に嵌め込まれ、このクラッチ駆動軸506上の一端に第1のワンウエイクラッチ503が嵌め込まれ、この第1のワンウエイクラッチ503で回転可能なように上軸駆動クラッチ体507が上軸22に固定される。また、クラッチ駆動軸506上の他端には第2のワンウエイクラッチ504が嵌め込まれ、この第2のワンウエイクラッチ504で回転可能なようにメス駆動クラッチ体505が当該第2のワンウエイクラッチ504上に嵌め込まれる。なお、メス駆動クラッチ体505にはメス駆動プーリ508が固定され、第2のワンウエイクラッチ504が能動となることにより回転するメス駆動クラッチ体505と共に回転する。さらに、クラッチ駆動軸506上の上軸駆動クラッチ体507とメス駆動クラッチ体505との間には、クラッチ駆動プーリ501が嵌め込まれクラッチ駆動軸506に固定されている。このようなクラッチ機構500は、後述する早送り機構103が布テーブル3を早送りさせる、その前または後に逆転する上軸駆動モータM1からクラッチ駆動ベルトB1を介してクラッチ駆動プーリ501に伝えられた逆転トルクを第2のワンウエイクラッチ504を介してメス機構80のカウンターメス5aを駆動させ、縫目送り時には、正転させる上軸駆動モータM1からクラッチ駆動ベルトB1を介してクラッチ駆動プーリ501に伝えられた正転トルクを第1のワンウエイクラッチ503を介して上軸22、縦軸27、下軸61に伝達して縫目送り機構330および縫目形成装置10により縫目形成を行なうことができる。
【0033】
このような上軸駆動モータM1の制御は、後述する電子制御部2000によって行なわれる。
【0034】
なお、ハンドル101aは上軸22に固定され、仮に針棒20が停止位置で上死点にない時に、該上軸22をクラッチ駆動プーリ501と共に時計方向に回転せしめて上軸原点、布テーブル原点、メス機構原点、布クランプ原点の各機構原点に復帰させるものである。
【0035】
次に、制御カム機構300について説明する。
【0036】
制御カム機構300は図1、図3、図5に示すように、円板状の制御カムである主カム301を含み、この主カム301が支台1のカム受に装架され、ベッド2によってカバ−されている。主カム301は支台1の孔に軸支されている。主カム301の外周には早送り用平歯車309が形成されている。この早送り用平歯車309は後述する早送り縦軸102に嵌合された従動部である早送り平歯車182に噛合している。
【0037】
カム301の上面には布テーブル3を送るためのカム溝310が形成されている。布テーブル3の送り取付孔には、ローラおよびカムフロワ316が軸支されている。このローラは受台2の直線ガイドに嵌合されて、布テーブル3の送り運動の際の横振れを防止して直線運動をさせるためのものである。一方、カムフロワ316は、主カム301のカム溝310に嵌合して後述の布テーブル送りを行なうものである。カム溝310は後述する停止カムによる布テーブル3の停止位置を含む所定範囲例えば布テーブル3の送りを停滞させる等径カム部分(ストップ位置)と、その径方向反対側にある不等速変位ゾ−ン(鳩目部分の送り)と、これとの間に介在する等速変位ゾ−ン(スリットおよびオフセット部の送り)から形成されている。
【0038】
カム301の下面には、針棒20およびルーパ、スプレッダ等が組み込まれるルーパ・スプレッダ回転台801を旋回させるための内側カム溝323およびベッド3を横振りさせ鳩目のオフセットを形成する外側カム溝324とが設けられている。
【0039】
このような制御カム機構300の動作を検知し主カム301を原点に復帰させるため図11に示すように、主カム停止部230が設けられている。この主カム停止部230は、制御カム停止センサ1503が主カム301の下面に設けられた主カム原点溝325に係合する主カムストッパ235によって回転する主カム原点体236を検知可能な機枠FRの位置に、制御カム停止センサ取付板238を介して設けられている。具体的には、主カムストッパ235は機枠FRに固定された主カムストッパ取付腕237に主カムストッパ取付軸235cによって軸着され、この軸を中心にして回動するようになっているが、一端に形成されたストッパ部235bがバネ(図示せず)によって常時、主カム301方向に弾撥されている。また、主カム原点体236が機枠FRに主カム原点体軸236cによって軸着され、この軸を中心にして回動するようになっている。このような主カムストッパ235の中間部には主カム原点体駆動ピン235dが設けられ、この主カム原点体駆動ピン235dに係合する主カム原点体駆動溝236aが主カム原点体236の上部に形成されている。この主カムストッパ235のストッパ部235bが主カム301の主カム原点溝325に係合すると、主カム原点体236が主カム原点体軸236cを中心にして所定方向に回転するので、主カム原点体236の下部に形成されているセンサ作動部236bによって制御カム停止センサ1503が作動検知するので、その検知に基づき電子制御部2000が主カム301を原点に復帰させる。なお、主カムストッパ235のストッパ部235bを主カム301の主カム原点溝325から離脱させるには、図11中、主カム301を矢印A方向に回転させることにより、主カムストッパ235の他端に形成された主カムストッパ解除レバー235aが、機枠FRに固定された主カムストッパ解除ねじ235eに当接して回転が規制されるので、以後、主カムストッパ235のストッパ部235bは反対方向へ回転を開始して主カム301の主カム原点溝325から離脱することになる。
【0040】
縦軸27は主カム301の中心を通って延在している。次に、布テーブル3の早送り機構103および縫目送り機構330並びに縫目送りの際の間歇ブレ−キ機構について説明する。
【0041】
早送り機構103は図1、図12に示すように、主カム301の早送り用平歯車309に噛合する早送り平歯車182と、早送り平歯車182に固定され早送りモータM2のトルクを早送りモータプーリ183、早送りベルトB2及び早送りプーリ184を介して伝達する早送り縦軸102と、下軸61に固定されたブレ−キカム202および早送り縦軸102を制動する制動部193から成る主カムブレーキ186とを有している。
【0042】
後述するモ−ド切換スイッチ210からの命令により、早送り時には早送りモータM2、早送りモータプーリ183、早送りベルトB2、早送りプーリ184、早送り縦軸185、早送り平歯車182、主カム301に至る早送り伝達系が構成される。これにより、非常時にミシンを停止して布テーブル3を原点に早送りで復帰させることができるようになる。また、縫目形成時には、針11が布に係合している間は下軸61、ブレーキカム202、制動部193、早送り平歯車182、主カム301へ至る間歇ブレーキ系(機構)が構成される。なお、縫い速度調節は縫い速度調節器211によって行なうことができる。
【0043】
縫目送り機構330は図1、図5、図14に示すように、制御カム機構300に含まれる円板状の主カム301の中心を通って延在する縦軸27から歩進駆動部330bを介して主カム301を歩進する動力伝達系を有する。この歩進駆動部330bは、縦軸27に固着された主カム縫い送り三角カム330aと、主カム縫い送り三角カム330aに嵌合され該主カム縫い送り三角カム330aにより揺動される駆動レバー332と、駆動レバー332に枢着され主カム301を一方向クラッチ305によって歩進駆動する従動レバー334と、駆動レバー332の揺動位置を調節する縫目送り調節器330dとから構成されている。縫目送り調節器330dは、その縫目の一部、例えば鳩目穴e(図19(a))において縫目数を増減できる縫目数増減部330eを備えている。
【0044】
次に、図1に示すように、鳩目、眠り切換機構900について説明する。
【0045】
この鳩目、眠り切換機構900は布テーブル3を横振りさせて鳩目穴かがり(図19(a))に、また横振りさせずに眠り穴かがり(図19(b))に切換えるものである。概略的に言って、鳩目、眠り切換機構900は、制御カム機構300に含まれる主カム301のカム溝324により制御されるカムフロワを有する鳩目駆動腕903と、鳩目駆動腕903からクラッチを介して布テーブル3を横方向に振るテーブル横振り腕922と、クラッチを作動せしめる鳩目・眠り穴切換レバー909aとを有する。鳩目・眠り穴切換レバー909aは前述の縫目送り機構330の縫目数増減部330eに連動している。即ち、鳩目、眠り切換機構900はその鳩目・眠り穴切換レバー909aにより縫目数増減部330eと連動している。
【0046】
次に、図13、図14に示すボタン穴長さ調節機構974について説明する。
【0047】
この機構はボタン穴の長さ(図19(a)、(b))を所望の寸法に調節するためのものである。要約すれば、ボタン穴長さ調節機構974は、布テーブル3上に配設されて(図2、図3)、縫目形成の開始時および終了時を規制する制御カム981を有して位置調節可能な範囲内で移動可能な角コマ移動子980と、この範囲を調整するネジにより構成された左右縫目調整器986と、カムに係合可能で早送りおよび縫目形成を切換えるクラッチ機構500を作動するカムフロワ978とを有している。以下、これを詳述する。
【0048】
即ち、クラッチ機構500を駆動する電子制御部2000へ縫い早送り切替信号を出力する縫・早送りセンサ1502は、ボタン穴長さ調節機構974における軸973の下端部に固着される縫い・早送りセンサ板966の作動を検出する。軸973は、支台1およびベッド2によって支承されたメタル975により軸支されている。メタル975は止ネジにより支台に止着されている。布テーブル3の案内溝には指針(ツマミ)990を止ネジ990aによって止着された取付台982が滑動自在に装着されている。また、取付台982の2個の突起によって形成された溝には、縫目形成の開始時および終了時を規制する制御カム981を突設した角コマ移動子980が遊嵌されている。角コマ移動子980は取付台982の溝における左右縫目調整器986により調整された範囲内で移動可能である。この左右縫目調整器986がネジ穴に螺合することにより、取付台982の溝内における上述の範囲を変え、従って角コマ移動子980の位置調節が可能である。調節ナット985は左右縫目調整器986に螺着されてその弛み防止を行なうものである。指標988aを刻設したボタンホ−ル長さ指標プレ−ト988が布テーブル3上面に止ネジにより止着されている。前述の布テーブル3の案内溝に角頭が嵌合されたネジが取付台982の一端にある長孔およびボタンホール長さ指標プレート988の孔を通って延びてツマミ989に螺合される。取付台982、角コマ移動子980、ネジは止ネジにより布テーブル3の裏面に取付けられた蓋983aによって保持されている。角コマ移動子980の制御カム981はレバー976の揺動端に段付ネジ979により枢支されたカムフロワ978に係合可能で、早送りおよび縫目形成を切換えるクラッチ機構500を作動せしめるものである。レバー976の支点は前述の軸973にノックピンによって止着されている。軸973は、前述のバネの弾撥力により偏倚されており、従ってカムフロワ978は常態では蓋983aの側縁983cに係止されている。
【0049】
このようなボタン穴長さ調節機構974は図1に示すように、主カム301のカム溝994によって駆動するボタン穴のスリットs(図19(a)、(b))端を閂止縫いするためのテーパ閂止駆動機構993と連動するように設けられ、ボタン穴長さ調節器989およびテーパ閂止長さ調節器991を有している。また、テーパ閂止駆動機構993はテーブル横振腕922と連動するように設けられ、当該テーパ閂止駆動機構993を動作させるためのテーパ閂止切換レバー992を有している。
【0050】
次に、モ−ド切換スイッチ210について説明する。
【0051】
このスイッチは、いわゆる先メス(最初に布にボタン穴を切断してから縫目を形成すること)、後メス(布に縫目を形成してからボタン穴を切断すること)、メスのみ(布にボタン穴を切断すること)、メスなし(布に縫目を形成すること)を選択するにあたりタイミングよくメス機構80を作動あるいは不作動させるものである。
【0052】
基本的に言って、モ−ド切換スイッチ210は、電子制御部2000の予め組み込まれた制御ルーチンを選択的に切り替えるスイッチである。このモ−ド切換スイッチ210は、選択されたメスモードに従って電子制御部2000からの制御により、早送り機構103が布テーブル3を早送りさせる、その前または後に逆転する上軸駆動モータM1からクラッチ駆動ベルトB1を介してクラッチ駆動プーリ501に伝えられた逆転トルクを第2のワンウエイクラッチ504を介してメス機構80のカウンターメス5aを駆動させ、縫目形成を行なうのに正転トルクの伝達切換えをするものである(図1、図7、図8、図10)。
【0053】
さらに、電子制御部2000にミシンの作動開始を指示するスタート釦225がアーム4に設けられている。このスタート釦225を押圧することにより電子制御部2000にミシンの作動開始信号を出力してミシンの作動を開始させることができる。
【0054】
次に、布クランプ機構1000について説明する(図2、図3、図4、図5)。
【0055】
この機構はボタン穴かがりを行なう布をクランプすると共に、当該布をかがり時にボタン穴のスリットs(図19(a)、(b))方向と直角方向に先メスの際にボタン穴形成後にスリットsを拡開し、あるいは後メスの際に布に拡開張力を与えて適正な縫合せをするためのものである。この布クランプ機構1000は図15、図16に示すように、要するに、布テーブル3上に横方向に摺動自在に設けられ、かつバネにより内方に向けて弾撥されている一対の押え板1021と、押え板1021に枢着されて該押え板1021と共に布をクランプする一対の押え脚1023及び押え金1025とを有している。
【0056】
また、布クランプ機構1000は、一端が布テーブル3に枢着され他端が一対の押え脚1023にそれぞれ連結され、かつバネの弾撥力により保持される非クランプ状態と、このバネの弾撥力に抗してクランプ状態を保持する押え金開閉機構1400を有する。押え金開閉機構1400は、押え金駆動モータM3によって駆動するもので、押え金駆動モータM3の回転トルクが押え駆動プーリ1451、押え駆動ベルト1452、押え駆動カムプーリ1453を介して押え駆動カム1454に伝達され、この押え駆動カム1454に係合されている押え駆動カムフロワ1455がカム作用により移動すると、押え駆動カムフロワ1455が固定されている押え駆動腕1456が押え二又リンク1459を揺動させるので、この押え二又リンク1459に連結されている押え圧力腕1008を介して押え作動腕1461も揺動する。これにより、押え作動腕1461に係合している一対の押え脚1023を介して押え金1025を開閉することができる。
【0057】
また、押え開閉機構1400により該非クランプ状態又はクランプ状態が保持されたとき、押え開閉機構1400に連動して押え金駆動モータM3をオン・オフするスイッチング機構1470と、メス機構80のメス取付台に係合され布に切断されたボタン穴部分を拡開する平行移動機構とが設けられている。スイッチング機構1470は、押え金開閉機構1400の押え駆動腕1456に固定された押え作動センサ板1471と、この押え作動センサ板1471の移動により押え金1025の開閉状態を検出する押え金上センサ1504、押え金下センサ1505とから構成されている。これにより、押え金上センサ1504、押え金下センサ1505からの検知信号に基づき電子制御部2000が押え金駆動モータM3をオン・オフすることができるので、縫目送りにおいて電子制御部2000で押え金駆動モータM3を制御して押え金開閉機構1400を駆動することにより、布クランプ機構1000によって布をクランプ状態、非クランプ状態にすることができる。
【0058】
また、ボタン穴かがりミシンは図1、図8、図12、図17に示すように、針糸を糸巻から縫目形成時に針糸の糸調子を行う糸調子器843を経由し天秤841を介して針11に刺し通し、早送りモータM2は、正転時には正転トルクを制御カム機構300に伝達して早送り機構103を駆動して布テーブル3を早送りさせ、逆転時には糸調子器843を制御する正逆転可能であり、縫目形成時に糸調子器843の糸張力を維持し、縫目形成後で早送り時前に早送りモータM2を逆転させることにより起動されて糸調子器843の糸張力を解放する糸緩め装置1600を設けている。
【0059】
この糸緩め装置1600は、早送りモータM2を逆転させることにより能動とされるワンウエイクラッチ1601と、ワンウエイクラッチ1601により駆動される起動カム1602と、起動カム1602により糸調子器843の糸張力を解放し、この糸張力解放状態を縫目形成までに保持し、縫目形成時に上軸22により回動され糸調子器843の糸張力を維持するための2方向揺動カムフロワ機構1650とを有している。
【0060】
具体的には、二段カムになっている起動カム1602が、早送り機構103の早送り縦軸185にワンウエイクラッチ1601を介して固定され、この起動カム1602のカム作用により作動する糸緩め作動爪1603が糸緩め縦ロッド1604に固定されている。糸緩め縦ロッド1604は糸緩めクランク1605の一端に連結され、糸緩めクランク1605の他端は糸緩め横ロッド1607に連結されている。この糸緩め横ロッド1607は、機枠FRに軸着され上軸22に固定された糸緩め駆動カム1612に対して糸緩めレバー1610によって係合する糸緩め腕1608に連結されている。この糸緩め腕1608は、早送りモータM2が逆転すると、起動カム1602のカム作用により糸緩め縦ロッド1604が引っ張られるので、糸緩めクランク1605が機枠FRに回動自在に支持されている糸緩めクランクピン1606を中心にして時計方向へ回転して糸緩め横ロッド1607を引っ張り、糸緩め腕1608を反時計方向へ回転させる。これにより、糸緩め腕1608に連結されている糸緩めロッド1613が糸調子器843に作用して糸張力を解放することになる。即ち、早送りモータM2を逆転させることにより能動とされたワンウエイクラッチ1601が、起動カム1602を駆動させ2方向揺動カムフロワ機構1650を作動して、糸調子器843の糸張力を解放し、この糸張力解放状態を縫目形成までに保持したり、縫目形成時に上軸22により回動され糸調子器843の糸張力を維持したりすることができる。したがって、早送り時に針糸を抵抗なく引き出すことができるので、針の破損を防止することができる。
【0061】
また、図1、図14に示すように、下軸61の動作を検知し上軸駆動モータM1を停止するための上軸停止センサ1506が、下軸61に固定された内振り停止体(停止センサ板)950の回転を検知できる機枠FRの位置に固定されている。これにより、上軸停止センサ1506からの上軸停止信号に基づき電子制御部2000が上軸駆動モータM1を制御することができるので、縫いの内振り位置を決定することができる。
【0062】
このように構成されたボタン穴かがりミシンの電子制御部2000により実行される穴かがり縫製制御について、図19のフローチャートに基づき以下説明する。
【0063】
ミシンの電源を投入すると(ステップ101)、原点チェック(針棒復帰、布テーブル復帰、押え復帰)を実行し(ステップ102)、すべてが原点復帰していれば、布クランプ用の押え釦226が押下されているか否かをチェックする(ステップ103)。押え釦226が押下されていれば、布クランプ機構1000を駆動させ布をクランプする(ステップ104)。ここで、再度、押え釦226が押下されているか否かをチェックし(ステップ105)、押下されていれば次のステップに移行し、押下されていなければ再度、ステップ103の前まで戻る(ステップ106)。押え釦226が押下されていると判断した場合に、スタート釦225が押下されると(ステップ107)、モード切換スイッチ210によるモード切換がメスのみなのか(ステップ108)、先メスなのか(ステップ109)を判断し、メスのみの場合はメス駆動部1200及びメス機構80により布を切断のみ行なう(ステップ110)。また、先メスが選択されている場合には、メス駆動部1200及びメス機構80により布を切断後(ステップ111)、布テーブル3を所定の縫い位置まで移動し(ステップ112)。布テーブル3が所定の縫い位置まで移動すると、縫・早送りセンサ1502が検知して布テーブル3が停止し、縫目形成装置10の上下動機構850、針振り機構30aを有する針棒駆動機構10a、ルーパ・スプレッダ機構800および旋回機構370aを駆動させて穴かがり縫いを行なう(ステップ113、114)。
【0064】
穴かがり縫いが終了すると、縫・早送りセンサ1502がその終了を検知するので(ステップ115)、縫目形成装置10を停止して糸緩め装置1600を駆動させ、糸調子器843の糸張力を解放させる(ステップ116)。糸調子器843の糸張力を解放後、布テーブル3を早送りで原点位置まで戻し、制御カム停止センサ1503が検出することにより原点復帰となり、布テーブル3は停止する(ステップ117、118、119)。
【0065】
なお、モード切換スイッチ210によるモード切換が後メスの場合には、穴かがり縫いが終了した後にメス駆動部1200及びメス機構80により布を切断する(ステップ120)。
【0066】
このように、縫目形成装置10の部分は、従来からの高精度に完成された機械制御機構(例えば特公平7−38903号公報に記載された縫目形成装置、特開平9−131484号公報に記載された縫目形成装置)によって構成して縫目の精度・品質を確保し、縫目形成装置10以外のクラッチ機構500、メス機構80、布クランプ機構1000、早送り機構103などは、制御が比較的簡単な電子部品を使用して高速運転を可能としたので、機械制御と電子制御の長所を併せ持つことができる。
【0067】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のボタン穴かがりミシンによれば、機械制御と電子制御の長所を併せ持っているので、廉価なミシンを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のボタン穴かがりミシンの好ましい実施の形態例を示すブロック図。
【図2】 本発明のボタン穴かがりミシンの好ましい実施の形態例を示す右斜視図。
【図3】 図2のボタン穴かがりミシンの各装置・機構を示す右斜視図。
【図4】 本発明のボタン穴かがりミシンの好ましい実施の形態例を示す左斜視図。
【図5】 図4のボタン穴かがりミシンの各装置・機構を示す左斜視図。
【図6】 本発明のボタン穴かがりミシンに適用されるメス機構を示す分解斜視図。
【図7】 本発明のボタン穴かがりミシンの動力系を示す分解斜視図。
【図8】 本発明のボタン穴かがりミシンの動力系を示す分解斜視図。
【図9】 本発明のボタン穴かがりミシンに適用されるメス駆動部を示す斜視図で、(a)は連結時の図、(b)は解除時の図。
【図10】 本発明のボタン穴かがりミシンに適用されるクラッチ手段を示す断面図。
【図11】 本発明のボタン穴かがりミシンに適用される主カム停止部を示す斜視図。
【図12】 本発明のボタン穴かがりミシンに適用される早送り機構及び糸緩め装置を示す斜視図。
【図13】 本発明のボタン穴かがりミシンに適用されるボタン穴長さ調節機構を示す平面図。
【図14】 本発明のボタン穴かがりミシンに適用される内振り停止部を示す斜視図。
【図15】 本発明のボタン穴かがりミシンに適用される布クランプ手段を示す斜視図。
【図16】 本発明のボタン穴かがりミシンに適用される布クランプ手段を示す斜視図。
【図17】 本発明のボタン穴かがりミシンに適用される糸緩め装置を示す斜視図で、(a)は糸調子器に作用して糸張力を付与している図、(b)は糸調子器に作用して糸張力を解放している図。
【図18】 本発明のボタン穴かがりミシンに適用される電子制御部による穴かがり縫製制御を示すフローチャート図。
【図19】 ボタン穴かがりミシンによってかがられるボタン穴を示す説明図で、(a)は鳩目穴を有するボタン穴の図、(b)は鳩目穴を有しないボタン穴の図。
【符号の説明】
1‥‥‥支台(ミシン本体)
3‥‥‥布テーブル
4‥‥‥アーム(ミシン本体)
10‥‥‥縫目形成装置
10a‥‥‥針棒駆動機構
11‥‥‥針
20‥‥‥針棒
22‥‥‥上軸
27‥‥‥縦軸
30a‥‥‥針振り機構
61‥‥‥下軸
80‥‥‥メス機構
103‥‥‥早送り機構
300‥‥‥制御カム機構
330‥‥‥縫目送り機構
370a‥‥‥旋回機構
500‥‥‥クラッチ手段
503‥‥‥第1のワンウエイクラッチ
504‥‥‥第2のワンウエイクラッチ
800‥‥‥ルーパ・スプレッダ機構
809‥‥‥ルーパ
810‥‥‥スプレッダ
841‥‥‥針糸天秤
843‥‥‥糸調子器
850‥‥‥上下動機構
1000‥‥‥布クランプ手段
1200‥‥‥メス駆動部
1025‥‥‥押え金
1250‥‥‥メス解除クラッチ
1400‥‥‥押え金開閉機構
1501‥‥‥メスセンサ
1502‥‥‥縫・早送りセンサ
1503‥‥‥制御カム停止センサ
1504‥‥‥押え金上センサ
1505‥‥‥押え金下センサ
1506‥‥‥上軸停止センサ
1600‥‥‥糸緩め装置
1601‥‥‥ワンウエイクラッチ
1602‥‥‥起動カム
1650‥‥‥2方向揺動カムフロワ機構
2000‥‥‥電子制御部
M1‥‥‥上軸駆動モータ
M2‥‥‥早送りモータ
M3‥‥‥押え金駆動モータ

Claims (7)

  1. 布を布クランプ手段(1000)と共に保持する布テーブル(3)を含むミシン本体(1、4)と、針(11)を支持する針棒(20)のための上下動機構(850)および針振り機構(30a)を有する針棒駆動機構(10a)、ルーパ(809)およびスプレッダ(810)を駆動するルーパ・スプレッダ機構(800)および前記針棒、ルーパ・スプレッダを旋回させる旋回機構(370a)を含み前記布にボタン穴かがりを行なう縫目形成装置(10)と、前記上下動機構を駆動する上軸(22)と、前記ルーパ・スプレッダ機構を駆動する下軸(61)と、前記布にボタン穴を形成するメス機構(80)と、前記布テーブルのための早送り機構(103)および縫目送り機構(330)を有する制御カム機構(300)と、前記上軸に連動して前記針振り機構、前記下軸および前記縫目送り機構を駆動する縦軸(27)とを有するボタン穴かがりミシンであって、
    正逆転可能な上軸駆動モータ(M1)から前記上軸駆動モータの正転時にはトルクをクラッチ手段(500)の第1のワンウエイクラッチ(503)を介して前記上軸に伝達して前記縫目送り機構を介して縫目送りをして前記縫目形成装置により縫目形成を行なうと共に、前記上軸駆動モータの逆転時には前記クラッチ手段の第2のワンウエイクラッチ(504)からメス駆動部(1200)を介して前記メス機構に伝達して前記布にボタン穴を形成するための電子制御部(2000)を設けたことを特徴とするボタン穴かがりミシン。
  2. 前記メス駆動部と前記メス機構(80)との間に前記メス機構がロックしたとき原点に手動復帰させるメス解除クラッチ(1250)を介在したことを特徴とする請求項1記載のボタン穴かがりミシン。
  3. 早送り時にはトルクを前記制御カム機構に伝達して前記早送り機構を駆動して前記布テーブルを早送りさせるため前記電子制御部により制御される早送りモータ(M2)を設けたことを特徴とする請求項1記載のボタン穴かがりミシン。
  4. 前記布クランプ手段(1000)の押え金(1025)を、前記布のクランプ状態を解除する非クランプ状態と前記布をクランプするクランプ状態との間で開閉させる押え金開閉機構(1400)を駆動するため前記電子制御部により制御される押え金駆動モータ(M3)を設けたことを特徴とする請求項1記載のボタン穴かがりミシン。
  5. 前記電子制御部には、前記メス駆動部の動作を検知し前記メス機構をサイクル運動させるためのメスセンサ(1501)、前記布テーブルの動作を検知し縫・早送りを切換えるための縫・早送りセンサ(1502)、前記制御カム機構の動作を検知し前記制御カムを原点に復帰させるための制御カム停止センサ(1503)、前記押え金開閉機構の動作を検知し前記押え金を上下の開閉位置に移動するための押え金上下センサ(1504、1505)、前記下軸の動作を検知し前記上軸駆動モータを停止するための上軸停止センサ(1506)からの信号がそれぞれ印加されることを特徴とする請求項1乃至請求項4何れか1項記載のボタン穴かがりミシン。
  6. 針糸を糸巻から前記縫目形成時に前記針糸の糸調子を行う糸調子器(843)を経由し天秤(841)を介して前記針に刺し通し、
    前記早送りモータは、正転時には早送り時にトルクを前記制御カム機構に伝達して前記早送り機構を駆動して前記布テーブルを早送りさせ、逆転時には前記糸調子器を制御する正逆転可能であり、
    前記縫目形成時に前記糸調子器の糸張力を維持し、前記縫目形成後で前記早送り時前に前記早送りモータを逆転させることにより起動されて前記糸調子器の糸張力を解放する糸緩め装置(1600)を設けたことを特徴とする請求項3乃至請求項5何れか1項記載のボタン穴かがりミシン。
  7. 前記糸緩め装置は、前記早送りモータを逆転させることにより能動とされるワンウエイクラッチ(1601)と、前記ワンウエイクラッチにより駆動される起動カム(1602)と、前記起動カムにより前記糸調子器の糸張力を解放し、この糸張力解放状態を前記縫目形成までに保持し、前記縫目形成時に前記上軸により回動され前記糸調子器の糸張力を維持するための2方向揺動カムフロワ機構(1650)とを有することを特徴とする請求項6記載のボタン穴かがりミシン。
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