JP4057134B2 - アクティブ型除振装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアクティブ型除振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、半導体製造工場などにおいて使用される超微細加工に用いる製造装置や超高倍率の電子顕微鏡などの精密機器は、振動を極端に嫌う装置であり、振動がこの種の装置に悪影響を及ぼすのを防止するために除振装置が使用されている。
除振装置は、外部の振動などに影響されることなく高度の静止状態を維持することのできる定盤を備え、この定盤上に、振動を嫌う装置の全体またはその装置のうちの特に振動を嫌う部分を取り付けて用いる。
【0003】
このような振動を嫌う装置に悪影響を及ぼす振動には、大きく分けて次の3種類のものがある。
(A)外部環境に通常的に発生している微振動。例えば、振動を嫌う装置を設置した建物の近くを走行する車両や、周辺の建設工事による地盤振動、その建物に設置された空調設備やエレベータ及びその他の機械の作動によって発生する振動、それに、その建物内を人が歩行することによって発生する振動などである。(B)振動を嫌う装置そのものが発生する振動。例えば、この振動を嫌う装置が半導体リソグラフィ工程で用いられるステップ・アンド・スキャン型のウェーハ露光装置であった場合を例に説明すると、ウェーハ上の1箇所の露光領域の露光を行う毎に、ウェーハを載置したウェーハ・ステージとマスクを載置したマスク・ステージとが水平方向に走査されるために加速及び減速され、その際に発生する揺動によって微振動が発生する。
(C)地震による振動。この振動の振幅及び加速度は小さなものから大きなものまでさまざまであり、したがってこの振動には、微振動から大振動までが含まれ得る。
【0004】
多くの除振装置は、上記(A)及び(B)の微振動を吸収して、振動を嫌う装置がそのような微振動の影響を受けないようにすることを目的として設計されており、上記(C)の地震による振動のうち比較的大きな振動に対応することは、最初から予定していない。
例えば、半導体デバイスの集積度が現在ほど高くなく、露光装置などが扱うパターンの線幅が現在ほど細かくなかった頃は、パッシブ型除振装置が多く使用されていた。
パッシブ型除振装置では、露光装置などの振動を嫌う装置を取付ける定盤が空気ばねや防振ゴムなどの弾性支持手段を介して、床面に固定された基台上に固定されており、その弾性支持手段の撓みによって外部からの微振動が吸収され、また、その弾性支持手段と定盤及びそれに取り付けされた装置の質量とによって形成される振動系の共振周波数を適当に設定することにより、露光装置などが発生する微振動の振幅が抑制されるようにしていた。
【0005】
ところが、このようなパッシブ型除振装置は、その弾性支持手段が有する固有振動数以下の低振動領域の振動に対しては除振効果が得られず、逆に振動を増幅してしまうおそれがあり、この弾性支持手段の固有振動数を下げるには限度があった。そして、半導体の集積度が上昇してパターンの微細化が進行するにつれて、このようなパッシブ型除振装置の除振能力では不充分となってきたため、最近ではアクティブ型除振装置が多用されている。
【0006】
アクティブ型除振装置としては、図6に示すように、床面に固定された基台10上において定盤12を複数のピエゾアクチュエータ14、16を介して支持するとともに、これらピエゾアクチュエータ14、16によって定盤12に上下及び水平方向の変位を与え、この定盤12に上下及び水平方向の振動の加速度を検出する複数の振動センサ18、20を取り付けて構成されたものがある。ピエゾアクチュエータ14、16と定盤12の間にはこれらピエゾアクチュエータ14、16に作用するせん断力を吸収する弾性体17を設けてピエゾアクチュエータ14、16の破損を防止している。なお、図6の紙面前後方向にも不図示のピエゾアクチュエータが水平方向のアクチュエータとして設けられている。
このアクティブ型除振装置では、各振動センサ18、20の検出出力S1、S2を振動計増幅器22で増幅し、その増幅された検出出力に基づいて制御装置24がフィードバックやフィードフォワードなどの技法を用いてピエゾアクチュエータ14、16を駆動するために必要な駆動信号を生成し、これら駆動信号をアクチュエータ駆動アンプ26で増幅して駆動信号Dとしてピエゾアクチュエータ14、16及び不図示の前後方向のアクチュエータに与えることで、定盤12に取付けられた被除振体に発生する振動を小さく抑えるようにしている。
【0007】
また、図7に示すように、上述したピエゾアクチュエータの代わりに空気圧によって駆動されるエアーアクチュエータ28、30を用いたものもある。このアクティブ型除振装置は、各振動センサ18、20の検出出力を振動計増幅器22で増幅し、その増幅された検出出力に基づいて制御装置24が先と同様の技法を用いてエアアクチュエータ28、30を駆動するために必要な駆動信号を生成し、この駆動信号に基づいてエアアクチュエータ圧力制御装置32が空気圧Aを生成してエアアクチュエータ28、30及び不図示の前後方向のエアアクチュエータに与えることで、定盤12に取付けられた被除振体に発生する振動を小さく抑えるようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述したピエゾアクチュエータを利用したアクティブ型除振装置では変位量の少ないピエゾ素子を積層構造とすることによりピエゾアクチュエータが所望の変位量を得るようにしている。このように積層構造で形成されたピエゾアクチュエータは、せん断力や引っ張り力が作用すると容易に破損してしまうおそれがあるので、過大な力が作用しないようにピエゾアクチュエータを保護する機構が必要となっている。
一方、上述したエアーアクチュエータを利用したアクティブ型除振装置では、ピエゾアクチュエータを用いたアクティブ型除振装置とは違って、取り扱いに注意する必要はないが、エアーアクチュエータが流体(空気)を用いているため、高周波領域の応答性が悪く高周波領域の除振能力が劣るだけでなく、エアアクチュエータの変位特性が複雑な非線形性を有しているため、制御装置がエアアクチュエータを駆動するための駆動信号を生成する制御(演算処理)が複雑にならざるを得ないという欠点がある。また、エアアクチュエータを駆動するためには、比較的容量の大きなエアコンプレッサーが必要となり装置の設置スペースが大きくなりがちであり、このエアコンプレッサーの電力消費がかさみコストもかかるという問題がある。
【0009】
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、除振能力に優れ、アクチュエータが破損されることがなく、アクチュエータの駆動制御が簡単で、設置スペースとコストが少なくて済むアクティブ型除振装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明は、基台上において上下及び水平方向に移動可能に支持され被除振体が取付けられる定盤と、前記定盤の上下及び水平方向の加速度を検出する振動センサと、前記基台と定盤との間に設けられ前記定盤に上下方向の変位を加えて定盤を上下方向に変位させる第1のアクチュエータと、前記基台と定盤との間に設けられ前記定盤に水平方向の変位を加えて前記定盤を水平方向に変位させる第2のアクチュエータと、前記第1のアクチュエータと前記定盤の間に設けられ前記第1のアクチュエータに作用するせん断力を吸収する第1の弾性体と、前記第2のアクチュエータと前記定盤の間に設けられ前記第2のアクチュエータに作用するせん断力を吸収する第2の弾性体と、前記振動センサで検出した上下及び水平方向の加速度に基づいて前記第1及び第2のアクチュエータを駆動させて前記被除振体の振動を除去するアクティブ型除振装置において、前記第1及び第2のアクチュエータは超磁歪アクチュエータから構成されており、前記定盤と前記基台との間に設けられ、前記被除振体を含む前記定盤の重量を、前記被除振体を含む前記定盤が上下動できる状態で支える支持手段と、前記基台に設けられ、前記第1のアクチュエータを前記基台上に保持するとともに、前記第1のアクチュエータの、その変位方向における位置を調整することによって、非駆動状態の前記第1のアクチュエータがその変位方向において前記定盤から受ける予圧縮力を調整する第1の調整手段と、前記基台に設けられ、前記第2のアクチュエータを前記基台上に保持するとともに、前記第2のアクチュエータの、その変位方向における位置を調整することによって、非駆動状態の前記第2のアクチュエータがその変位方向において前記定盤から受ける予圧縮力を調整する第2の調整手段と、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータによって前記定盤に加えられる変位量を計測する変位量計測手段と、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータに所定周波数かつ所定振幅の駆動信号を入力する手段と、前記基台と定盤との間に設けられ前記定盤の上下方向の移動量を規制する上下規制手段と、前記基台と定盤との間に設けられ前記定盤の水平方向の移動量を規制する水平規制手段とを備え、前記支持手段は、前記基台と前記定盤の間に配設された空気ばねと、前記空気ばねに空気を与えるエアコンプレッサーと、前記エアコンプレッサーから前記空気ばねに与える空気圧を制御する空気圧制御弁とを備えることを特徴とする。
また、本発明は、前記第1の弾性体は、上下方向に加わる荷重に対しては剛く、かつ、水平方向に加わる荷重に対しては柔らかいものであり、前記第2の弾性体は、上下方向に加わる荷重に対しては柔らかく、かつ、水平方向に加わる荷重に対しては剛いものであることを特徴とする。
また、本発明は、前記定盤の上下方向の位置を検出する複数のレベルセンサと、前記各レベルセンサから入力される検出信号に基づいて前記空気圧制御弁を制御することで前記エアコンプレッサーが前記空気ばねに与える空気圧を制御して前記定盤の高さ方向の位置を一定に保持する定盤位置制御手段を備えたことを特徴とする。
また、本発明は、前記定盤は平面視直方形をなす板状を呈しており、前記第1のアクチュエータは、前記定盤の下面の四隅近傍に対応する位置にその変位方向が上下方向となるようにそれぞれ設けられたものであり、前記第2のアクチュエータは、前記定盤の四隅の対向する一対の隅部の近傍に対応する箇所においてに前記一対の隅部を挟んで隣接するようにそれぞれ設けられ、かつ、前記一対の隅部を挟んで隣接するそれぞれの前記第2のアクチュエータの変位方向が水平面内で互いに直角をなす方向となるように構成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータの予圧縮力を計測する予圧縮力計測手段を備えたことを特徴とする。
また、本発明は、前記予圧縮力計測手段は、前記第1の弾性体及び前記第2の弾性体のたわみ量に基づいて予圧縮力を計測するものであることを特徴とする。
また、本発明は、前記予圧縮力計測手段は、前記超磁歪アクチュエータに設けられたひずみゲージに基づいて測定されるひずみ量に基づいて予圧縮力を計測するものであることを特徴とする。
た、本発明は、前記超磁歪アクチュエータを磁気シールドで覆ったことを特徴とする。
また、本発明は、前記磁気シールドが純鉄で形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明では、超磁歪アクチュエータによって構成された第1及び第2のアクチュエータが定盤に与える変位が駆動信号に対して最も効率よく発生し、かつ、駆動信号に対して発生する変位の直線性がよくなる条件を満たすように、すなわち除振能力が最も優れた状態となるように第1及び第2のアクチュエータの予圧縮力を第1及び第2の調整手段によって調整することができる。また、上下規制手段と水平規制手段によって上下及び水平方向への基台の移動量が規制されるので、第1及び第2のアクチュエータにかかるせん断方向及び引っ張り方向の力が制限される。
また、支持手段が、基台と前記定盤の間に配設された空気ばねと、前記空気ばねに空気を与えるエアコンプレッサーと、前記エアコンプレッサーから前記空気ばねに与える空気圧を制御する空気圧制御弁とを備えるものである場合には、定盤の高さ方向の位置を調整することができる。
また、前記第1のアクチュエータが基台に保持されたアクチュエータ保持部と前記アクチュエータ保持部から進退するロッドを備え、前記第1の調整手段は、前記アクチュエータ保持部を前記第1のアクチュエータの前記変位方向においてその位置を調整するように構成されている場合には、第1のアクチュエータの予圧縮力を調整することができる。
また、前記第2のアクチュエータが基台に保持されたアクチュエータ保持部と前記アクチュエータ保持部から進退するロッドを備え、前記第2の調整手段は、前記アクチュエータ保持部を前記第2のアクチュエータの前記変位方向においてその位置を調整するように構成されている場合には、第2のアクチュエータの予圧縮力を調整することができる。
また、前記第1の弾性体が、上下方向に加わる荷重に対しては剛く、かつ、水平方向に加わる荷重に対しては柔らかいものであり、前記第2の弾性体が、上下方向に加わる荷重に対しては柔らかく、かつ、水平方向に加わる荷重に対しては剛いものである場合には、第1のアクチュエータにかかるせん断方向の微振動が第1の弾性体で吸収され、第2のアクチュエータにかかるせん断方向の微振動が第2の弾性体で吸収される。
前記定盤の上下方向の位置を検出する複数のレベルセンサと、前記各レベルセンサから入力される検出信号に基づいて前記空気圧制御弁を制御することで前記エアコンプレッサーが前記空気ばねに与える空気圧を制御して前記定盤の高さ方向の位置を一定に保持する定盤位置制御手段を備えた場合には、定盤の高さ方向の位置が一定に保持される。
また、前記定盤は平面視直方形をなす板状を呈しており、前記第1のアクチュエータは、前記定盤の下面の四隅近傍に対応する位置にその変位方向が上下方向となるようにそれぞれ設けられたものであり、前記第2のアクチュエータは、前記定盤の四隅の対向する一対の隅部の近傍に対応する箇所においてに前記一対の隅部を挟んで隣接するようにそれぞれ設けられ、かつ、前記一対の隅部を挟んで隣接するそれぞれの前記第2のアクチュエータの変位方向が水平面内で互いに直角をなす方向となるように構成されている場合には、定盤が各第1のアクチュエータ及び各第2のアクチュエータによって変位を与えることでこの定盤に取付けられた被除振体の振動が除去される。
また、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータによって前記定盤に加えられる変位量を計測する変位量計測手段を備えた場合には、定盤に加えられる変位量を計測することができる。
また、前記変位量計測手段が、前記振動センサの検出信号に基づいて前記変位量を求めるものであった場合には、振動センサの検出信号から定盤の変位量を得ることができる。
また、前記変位量計測手段が、前記第1のアクチュエータによって変位を与えられる前記定盤の箇所の変位量を測定する第1の変位計と、前記第2のアクチュエータによって変位を与えられる前記定盤の箇所の変位量を測定する第2の変位計とによって構成される場合には、第1及び第2の変位計によって定盤の上下及び水平方向の変位量を計測することができる。
また、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータの予圧縮力を計測する予圧縮力計測手段を備えた場合には、第1及び第2のアクチュエータの予圧縮力を計測することができる。
また、前記予圧縮力計測手段が、前記第1の弾性体及び前記第2の弾性体のたわみ量に基づいて予圧縮力を計測するものである場合には、第1及び第2の弾性体のたわみ量から第1及び第2のアクチュエータの予圧縮力を計測することができる。
また、前記予圧縮力計測手段は、前記固体アクチュエータに設けられたひずみゲージに基づいて測定されるひずみ量に基づいて予圧縮力を計測するものである場合には、固体アクチュエータに生じるひずみ量からこのアクチュエータの予圧縮力を計測することができる。
また、前記固体アクチュエータが超磁歪アクチュエータである場合には、この超磁歪アクチュエータが比較的強度が強く温度変化に対して強いから取り扱いが容易である。
また、超磁歪アクチュエータを磁気シールドで覆った場合には、この超磁歪アクチュエータから発せられる磁界が超磁歪アクチュエータの外部に放射されることを防止することができる。
また、前記磁気シールドが純鉄で形成されている場合には、この純鉄によって超磁歪アクチュエータから発せられる磁界が超磁歪アクチュエータの外部に放射されることを防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明のアクティブ型除振装置の実施の形態における概略構成を示す縦断面図、図2はその平面図であり定盤を取り除いた状態を示している。なお、図1、図2において従来例を示す図6、図7と同一の部分には同一の符号を付しその説明を省略する。
本発明に係るアクティブ型除振装置100は、床面11に設置される平面視直方形をなす底壁10A及びこの底壁10Aの4つの側辺から上方に立設された側壁10Bを備えた基台(ベースフレーム)10と、この基台10よりも小さな平面視直方形をなす板状を呈し、この基台10の側壁10Bにその側面が囲まれた状態で、基台10の底壁10Aの上面に配設された4個の空気ばね40によって上下及び水平方向に移動可能に支持された、被除振体を取付けるための定盤12とを備えている。
各空気ばね40は、不図示のエアコンプレッサーから与えられる空気圧が不図示の空気圧制御弁によって制御されることでその上下方向の寸法が調整されるようになっている。空気ばね40、エアコンプレッサー及び空気圧制御弁によって被除振体及び定盤12の重量を、被除振体及び定盤12が上下動できる状態で支持する支持手段が構成されている。
【0013】
上面からみて矩形状を呈する定盤12の底面120には、定盤12における上下方向の加速度を検出する3個の振動センサ18と水平方向の加速度を検出する3個の振動センサ20がそれぞれ底面120の縦横の中心線上とほぼ重なる位置に配設されている。
【0014】
基台10の底壁10A上において、定盤12の下面の四隅近傍に対応する位置には、この定盤12に上下方向の変位を加えて上下方向に変位させるための第1のアクチュエータ42がそれぞれ1個ずつ合計4個配設されている。また、基台10の側壁10Bにおいて、定盤12の側面の四隅近傍に対応する位置には、この定盤12に水平方向の変位を加えて水平方向に変位させるための第2のアクチュエータ44がそれぞれ1個ずつ合計4個配設されている。
【0015】
第1のアクチュエータ42及び第2のアクチュエータ44は、超磁歪アクチュエータによって構成されており、与えられる駆動信号に基づいてケース46の長手方向に伸長する歪み(磁歪)を生じる不図示の超磁歪素子と、この超磁歪素子を収容してこの超磁歪素子を外部から保護するケース46と、この超磁歪素子に結合されてケース46の端部からケース46の長手方向に進退するロッド48とを備えている。
この超磁歪素子は、磁界の影響を受けた場合にその磁歪量が大きな合金材料により構成されている。
また、この超磁歪アクチュエータは、それに与えられる駆動信号の大きさに対する磁歪量である変位特性がほぼ線形であるため、この超磁歪アクチュエータを駆動するための駆動信号を生成する処理は比較的簡単でよいという利点がある。
【0016】
各第1のアクチュエータ42は、軸心方向を上下方向に向けて配設されており、そのロッド48の上端は、弾性体50を介して定盤12の底面120に取付けられている。この弾性体(特許請求の範囲の第1の弾性体に相当)50は、第1のアクチュエータ42の変位方向(上下方向)に対しては剛く、第1のアクチュエータ42の変位方向と直交する方向(水平方向)には柔らかい特性を備えた例えばゴムなどから構成されるものであり、第1のアクチュエータ42に対してその変位方向に作用する力をそのまま定盤12に伝える一方、変位方向と直交する方向に作用するせん断力とせん断方向の微振動については吸収する作用を果たしている。
【0017】
図3に詳しく説明するように、各第1のアクチュエータ42は、底壁10Aにボルトなどで取付けられたアクチュエータ取付部1000に保持されている。
アクチュエータ取付部1000は、その下部に設けられた固定片1002がボルト1004などによって底壁10Aに固着されている。アクチュエータ取付部1000の下部から立設された側壁1006によって囲まれた収容空間1007が形成されており、この収容空間1007には、ケース46部分にアクチュエータ保持部49Aが取付けられた第1のアクチュエータ44が上下方向、すなわちロッド48の進退方向に沿って移動可能な状態で収容保持されている。そして、上記収容空間1007の下部には、アクチュエータ保持部49Aの後端に面して水平方向に延在する中間壁1008が形成されており、アクチュエータ保持部49Aの後端は、この中間壁1008に螺合された調整ねじ1010の先端に当接するようになっている。
【0018】
したがって、この調整ねじ1010を回転することにより、第1のアクチュエータ42の変位方向におけるアクチュエータ保持部49Aの位置を調整することができるようになっている。
つまり、第1のアクチュエータ42を固定したアクチュエータ保持部49Aの位置を調整ねじ1010によって調整することにより、非駆動状態の第1のアクチュエータ41がその変位方向に対して定盤12から受ける予圧縮力を調整できるようになっている。ここで、アクチュエータ保持部49Aを保持するアクチュエータ取付部1000と調整ねじ1010は特許請求の範囲の第1の調整手段に相当している。
なお、この実施の形態では、基台10と定盤12の間において、調整ねじ1010、アクチュエータ42及び弾性体50をこの順番で配置しているが、調整ねじ1010、アクチュエータ41及び弾性体50の配置は上記順番に限定されない。
【0019】
また、基台10の底壁10Aの上面には、定盤12の上下方向の位置を検出するためのレベルセンサ60が3個配設されており、このレベルセンサ60の検出出力に基づいて、エアコンプレッサーから各空気ばね60に与える空気圧を空気圧制御弁で調整することによって、定盤12の高さ方向の位置を一定に保持する定盤位置制御手段が構成されている。
このエアコンプレッサーが定盤12の高さ方向の位置を一定に保持するために空気ばね12に与える空気量は、ごくわずかな量で済むため、従来のエアアクチュエータを用いたアクティブ型除振装置の場合に比較して、エアコンプレッサーは空気容量が少ない小型のものでよく電力消費量も少なくて済む。
【0020】
各第2のアクチュエータ44は、軸心方向を水平方向に向けて配設されており、そのロッド48の前端は、第1のアクチュエータ42の場合と同様に弾性体(特許請求の範囲の第2の弾性体に相当)51を介して定盤12に取付けられている。この弾性体51は、第2のアクチュエータ44の変位方向(水平方向)に対しては剛く、第1のアクチュエータ42の変位方向と直交する方向(上下方向)には柔らかい特性を備えたものであり、第2のアクチュエータ44に対してその変位方向に作用する力をそのまま定盤12に伝える一方、変位方向と直交する方向に作用するせん断力及びせん断方向の微振動を吸収する作用を果たしている。
【0021】
各第2のアクチュエータ44のケース46は、基台10の側壁10Bに保持されるアクチュエータ保持部49に固定されており、このアクチュエータ保持部49は、側壁10Bにおいてロッド48の進退方向に沿った任意の位置で固定されるようになっている。このアクチュエータ保持部49は、その後端が側壁10Bに設けられた壁部10Cに螺合された調整ねじ54の先端に常時当接するように付勢されている。
【0022】
したがって、この調整ねじ54を回転することにより、第2のアクチュエータ44の変位方向におけるアクチュエータ保持部49の位置を調整することができるようになっている。
つまり、第2のアクチュエータ44を固定したアクチュエータ保持部49の位置を調整ねじ54によって調整した後、このアクチュエータ保持部49を側壁10Bに固定することにより、非駆動状態の第2のアクチュエータ44がその変位方向に対して定盤12から受ける予圧縮力を調整できるようになっている。ここで、アクチュエータ保持部49を保持する側壁10Bと壁部10Cに螺合された調整ねじ54は特許請求の範囲の第2の調整手段に相当している。
なお、この実施の形態では、基台10と定盤12の間において、調整ねじ54、アクチュエータ44及び弾性体51をこの順番で配置しているが、調整ねじ54、アクチュエータ44及び弾性体51の配置は上記順番に限定されない。
【0023】
各第2のアクチュエータ44は、それぞれ隣り合う第2のアクチュエータ44の変位方向が水平面内で互いに直角をなす異なる4つの方向となるように配設されている。
【0024】
定盤12の底面120と基台10の間には、定盤12の上下及び水平方向の移動を規制する規制手段58が2個設けられている。
各規制手段58は、定盤12の底面120から下方に延出され中間部に半径方向に延出された円盤部582を備える棒状体580と、基台10の上面においてこの棒状体580に対応する位置に設けられ、円盤部582の上下の面に当接することにより円盤部582の軸方向(上下方向)の移動を規制する第1の面と、円盤部582の円周面に当接することにより円盤部582の円周方向(水平方向)の移動を規制する第2の面とを備えた規制体584とから構成されている。
この規制手段58によって定盤12の上下及び水平方向の移動量が規制されるが、この移動量は、定盤12が移動した場合に、第1及び第2のアクチュエータ42、44が破損しないような寸法に設定されている。なお、規制手段58は特許請求の範囲の上下規制手段及び水平規制手段に相当している。
【0025】
振動計増幅器22は、各振動センサ18、20から入力される上下及び水平方向の加速度を示す検出信号Sを増幅するものである。
制御装置24は、振動計増幅器22から入力された上下及び水平方向の加速度を示す検出信号Sに基づいて、その振動を定盤12に取付けられた被除振体から除去するために必要な第1及び第2のアクチュエータ42、44の駆動量に相当する駆動信号を演算生成するものである。前述したように、超磁歪アクチュエータにより構成される各アクチュエータ42、44は、それらに与えられる駆動信号に対する駆動量(発生する変位の大きさ)がほぼ線形の特性を有しているため、制御装置24によって検出信号から駆動信号を演算生成するための処理が簡単なでよい。
アクチュエータ駆動アンプ27は、この駆動信号を増幅した駆動信号Dを第1及び第2のアクチュエータ42、44に入力して駆動させるものである。
【0026】
図4は本発明に係るアクティブ型除振装置の実際の構成を示す正面図、図5はその平面図であり定盤及び定盤に取付けられる取付け板を取り除いた状態を示している。
図4に示すように、定盤12は平面視直方形をなす板状を呈しており、定盤12の底面120はこの底面120とほぼ同形状の取付け板13に取付けられている。
【0027】
図5に示すように、第1のアクチュエータ42は、定盤12の下面120の四隅近傍に対応する位置にその変位方向が上下方向となるようにそれぞれ設けられている。
第2のアクチュエータ44のロッド48は、不図示の弾性体及びそれに取着された取付け部441を介して取付け板13に固定されている。
したがって、各第2のアクチュエータ44は、定盤12の四隅の対向する一対の隅部の近傍に対応する箇所においてに一対の隅部を挟んで隣接し、定盤12の四隅の対向する一対の隅部の近傍に対応する箇所に駆動力が伝達されるように設けられており、かつ、一対の隅部を挟んで隣接するそれぞれの第2のアクチュエータ44の変位方向が水平面内で互いに直角をなす方向となるように構成されている。
【0028】
基台10の底壁10A上には、基台10の対向する長辺に沿って3個ずつ合計6個の空気ばね40と、空気ばね40の間に位置する5個の規制手段58と、振動センサ18、20からの検出信号を増幅するための振動計増幅器22と、各空気ばね40と連通しており、エアコンプレッサーに接続されこれら空気ばね40にエアコンプレッサーからの空気圧を供給する供給口41とが設けられている。取付け板13の下面13Aには、上下及び水平方向の加速度を検出するための振動センサ18、20がそれぞれ3個づつ取付けられている。
図4、図5に示した構成においては、定盤12の底面120の下方に、全ての部品、すなわち振動増幅器22、空気ばね40、供給口41、第1及び第2のアクチュエータ42、44、及び規制手段58が配設されている。
【0029】
次に、作用、効果について説明する。
まず、初めに超磁歪アクチュエータとこれに与える予圧縮力について説明する。
一般的に、超磁歪アクチュエータにおいては、その超磁歪アクチュエータに与えられる駆動信号に対して、この磁歪アクチュエータの変形量(伸び、縮み)がもっとも大きく、かつ、超磁歪アクチュエータの変形量が線形に変化する状態にすることが超磁歪アクチュエータの性能を最大限に生かす上で好ましい。超磁歪アクチュエータでは、これに与える予圧縮力を最適値に調整することにより、この超磁歪アクチュエータを上述した好ましい状態にすることができる。
【0030】
この実施の形態においては、第1及び第2のアクチュエータ42、44を上述した好ましい状態に調整することで次のような利点が生じる。
すなわち、第1及び第2のアクチュエータ42、44に与えられる駆動信号に対して、第1及び第2のアクチュエータ42、44が定盤12に与える変位量がもっとも大きくなるから、より大きな外部振動に対してその振動を除去することができる。
また、第1及び第2のアクチュエータ42、44に与えられる駆動信号に対して、第1及び第2のアクチュエータ42、44が定盤12に与える変位量が線形に変化するので、第1及び第2のアクチュエータ42、44が定盤12に与える変位量が駆動信号に対して忠実に発生するので、アクチュエータの駆動制御がより忠実に行われる。
つまり、第1及び第2のアクチュエータ42、44の予圧縮力を最適に調整することで、この除振装置の除振能力が最も優れた状態にすることができる。
【0031】
したがって、まず、第1のアクチュエータ42、第2のアクチュエータ44の予圧縮力の調整を行う。この予圧縮力は、各アクチュエータを構成する超磁歪アクチュエータが非駆動時に定盤12から受ける荷重のことを示している。
【0032】
超磁歪アクチュエータの予圧縮力の調整(磁歪量の最適化)は、所定周波数かつ所定振幅の駆動信号(例えば正弦波信号)を各アクチュエータ42、44に入力した状態で、最も定盤12が振動される、すなわち定盤12の変位が大きくなるように各アクチュエータ42、44の予圧縮力を調整することによって行われる。
第1及び第2のアクチュエータ42、44の予圧縮力は、調整ねじ1010、54を回転させてそれぞれ第1、第2のアクチュエータ42、44の変位方向におけるアクチュエータ保持部49A、49の位置を変えることによって容易に調整することができる。
【0033】
なお、第1及び第2のアクチュエータ42、44によって定盤12に加えられる変位量を計測する変位量計測手段は、例えば、各振動センサ18、20から検出される加速度の検出信号に基づいて変位量を計測することで実現できる。
また、変位量計測手段として、第1のアクチュエータ42によって変位を与えられる定盤12の箇所の変位量を測定する第1の変位計と、第2のアクチュエータ44によって変位を与えられる定盤12の箇所の変位量を測定する第2の変位計とを設けてもよい。
【0034】
また、第1及び第2のアクチュエータ42、44の予圧縮力を計測するための予圧縮力計測手段を設ければ、第1及び第2のアクチュエータ42、44の予圧縮力の最適な値を把握することができる。
このような予圧縮力計測手段としては、例えば第1及び前記第2の弾性体50、51のたわみ量に基づいて予圧縮力を計測するものであってもよい。
また、予圧縮力計測手段は、第1及び第2のアクチュエータ42、44に設けられたひずみゲージに基づいて測定されるひずみ量に基づいて予圧縮力を計測するものであってもよい。
【0035】
各アクチュエータ42、44の予圧縮力調整が終了すれば、振動増幅器22、制御装置24、アクチュエータ駆動アンプ27の電源を投入することにより、
このアクティブ型除振装置100が稼動する。
床面11を伝わってきた振動により定盤12とこれに取付けられた被除振体が振動すると、各振動センサ18、20が定盤の振動を示す加速度を検出し、それら加速度を示す検出信号を振動増幅器22に入力する。振動増幅器22は、制御装置24に増幅した検出信号を入力する。この制御装置24は、振動計増幅器22から入力された上下及び水平方向の加速度を示す検出信号Sに基づいて、その振動を定盤12に取付けられた被除振体から除去するために必要な第1及び第2のアクチュエータ42、44の駆動量に相当する駆動信号を演算生成してアクチュエータ駆動アンプ27に入力する。このアクチュエータ駆動アンプ27は、この駆動信号を増幅した駆動信号Dを第1及び第2のアクチュエータ42、44に入力して駆動させる。これにより、定盤12に取付けられた被除振体の振動が除去され、被除振体は高度な静止状態を維持する。
【0036】
また、このアクティブ型除振装置100が稼動している際に、このアクティブ型除振装置の除振能力を超える振動(例えば地震などによる振動)が床面11から基台10に伝わった場合には、定盤12が大きく振動しようとするが、規制手段58の作用により、定盤12の上下及び水平方向の移動量が確実に規制される。したがって、各アクチュエータ42、44が大きなせん断力及び引っ張り力を受けて破損することが防止される。
【0037】
上述した実施の形態のアクティブ型除振装置によれば、その除振能力が最も優れた状態となるように第1及び第2のアクチュエータ42、44の予圧縮力を調整することができるので、被除振体の重量などの条件が変わった場合には、これらの予圧縮力を適切に調整することにより除振能力を最大限に発揮することができる。
また、この実施の形態によれば、従来のエアアクチュエータを用いたアクティブ型除振装置と違ってその変位特性がほぼ線形であるため、アクチュエータの駆動制御が簡単であり、エアアクチュエータと異なり流体を使用していないので、高周波領域の振動に対する除振能力が低下することもない。
また、従来のエアアクチュエータを用いたアクティブ型除振装置と違って、大きなエアコンプレッサーが不要なので、設置スペースが少なくかつ動作電力も少なくて済む。
【0038】
なお、第1及び第2のアクチュエータ42、44として超磁歪アクチュエータを用いたが、この超磁歪アクチュエータは、内部に永久磁石やコイルを有しているため、その動作中に強力な磁界を発生する。このため、その磁界が除振装置の近傍に存在する磁界の影響を嫌う他の装置に放射されないように純鉄などから形成される磁気シールドで覆うことが好ましい。
また、磁気シールドを第1及び第2のアクチュエータ42、44のケース46によって構成すれば、ケース46の他に磁気シールドを別途設ける必要がないという利点もある。
また、本実施の形態では、第1及び第2のアクチュエータ42、44として超磁歪アクチュエータを用いたが、その他の固体アクチュエータを用いてもよい。超磁歪アクチュエータ以外の固体アクチュエータとしては、温度による熱膨張で動作するもの、電界による電歪、圧電歪で動作するもの、光による光誘起相転移で動作するものなどがある。
なお、超磁歪アクチュエータ以外の固体アクチュエータも、超磁歪アクチュエータと同様に、それに与えられる駆動信号の大きさに対する変位特性がほぼ線形であるため、この固体アクチュエータを駆動するための駆動信号を生成する処理は比較的簡単でよい。また、固体アクチュエータとそれに加える予圧縮力の関係も前述した超磁歪アクチュエータの場合と同様である。
また、固体アクチュエータの1つであるピエゾアクチュエータは、超磁歪アクチュエータに比較して温度環境の変化に対する影響を受けやすい欠点があるため、温度環境の変化がある場所で使用する場合には、例えばこのような温度環境の変化に対して影響を受けにくい超磁歪アクチュエータを用いることが好ましい。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように本発明は、基台上において上下及び水平方向に移動可能に支持され被除振体が取付けられる定盤と、前記定盤の上下及び水平方向の加速度を検出する振動センサと、前記基台と定盤との間に設けられ前記定盤に上下方向の変位を加えて定盤を上下方向に変位させる第1のアクチュエータと、前記基台と定盤との間に設けられ前記定盤に水平方向の変位を加えて前記定盤を水平方向に変位させる第2のアクチュエータと、前記第1のアクチュエータと前記定盤の間に設けられ前記第1のアクチュエータに作用するせん断力を吸収する第1の弾性体と、前記第2のアクチュエータと前記定盤の間に設けられ前記第2のアクチュエータに作用するせん断力を吸収する第2の弾性体と、前記振動センサで検出した上下及び水平方向の加速度に基づいて前記第1及び第2のアクチュエータを駆動させて前記被除振体の振動を除去するアクティブ型除振装置において、前記第1及び第2のアクチュエータは超磁歪アクチュエータから構成されており、前記定盤と前記基台との間に設けられ、前記被除振体を含む前記定盤の重量を、前記被除振体を含む前記定盤が上下動できる状態で支える支持手段と、前記基台に設けられ、前記第1のアクチュエータを前記基台上に保持するとともに、前記第1のアクチュエータの、その変位方向における位置を調整することによって、非駆動状態の前記第1のアクチュエータがその変位方向において前記定盤から受ける予圧縮力を調整する第1の調整手段と、前記基台に設けられ、前記第2のアクチュエータを前記基台上に保持するとともに、前記第2のアクチュエータの、その変位方向における位置を調整することによって、非駆動状態の前記第2のアクチュエータがその変位方向において前記定盤から受ける予圧縮力を調整する第2の調整手段と、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータによって前記定盤に加えられる変位量を計測する変位量計測手段と、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータに所定周波数かつ所定振幅の駆動信号を入力する手段と、前記基台と定盤との間に設けられ前記定盤の上下方向の移動量を規制する上下規制手段と、前記基台と定盤との間に設けられ前記定盤の水平方向の移動量を規制する水平規制手段とを備え、前記支持手段は、前記基台と前記定盤の間に配設された空気ばねと、前記空気ばねに空気を与えるエアコンプレッサーと、前記エアコンプレッサーから前記空気ばねに与える空気圧を制御する空気圧制御弁とを備える構成とした。
【0040】
そのため、超磁歪アクチュエータによって構成された第1及び第2のアクチュエータが定盤に与える変位が駆動信号に対して最も効率よく発生し、かつ、駆動信号に対して発生する変位の直線性がよくなる条件を満たすように、すなわち除振能力が最も優れた状態となるように第1及び第2のアクチュエータの予圧縮力を第1及び第2の調整手段によって調整することができる。また、上下規制手段と水平規制手段によって上下及び水平方向への基台の移動量が規制されるので、第1及び第2のアクチュエータにかかるせん断方向及び引っ張り方向の力が制限されるので、第1及び第2のアクチュエータの破損が防止される。また、従来のエアアクチュエータを用いたアクティブ型除振装置と違って、第1及び第2のアクチュエータの変位特性がほぼ線形であるため、アクチュエータの駆動制御が簡単であり、エアアクチュエータと異なり流体を用いていないため、高周波領域の振動に対する除振能力が低下することもない。また、従来のエアアクチュエータを用いたアクティブ型除振装置と違って、大きなエアコンプレッサーが不要なので、設置スペースが少なくかつ動作電力も少なくて済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアクティブ型除振装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】第1の調整手段の構成を示す説明図である。
【図4】本発明のアクティブ型除振装置の実際の構成を示す正面図である。
【図5】図4の平面図である。
【図6】ピエゾアクチュエータを用いた従来のアクティブ型除振装置の説明図である。
【図7】エアアクチュエータを用いた従来のアクティブ型除振装置の説明図である。
【符号の説明】
100 除振装置
10 基台
11 床面
12 定盤
18 振動センサ
20 振動センサ
40 空気ばね
42 第1のアクチュエータ
44 第2のアクチュエータ
48 ロッド
49A、49 アクチュエータ保持部
50、51 弾性体
58 規制手段
60 レベルセンサ

Claims (11)

  1. 基台上において上下及び水平方向に移動可能に支持され被除振体が取付けられる定盤と、前記定盤の上下及び水平方向の加速度を検出する振動センサと、前記基台と定盤との間に設けられ前記定盤に上下方向の変位を加えて定盤を上下方向に変位させる第1のアクチュエータと、前記基台と定盤との間に設けられ前記定盤に水平方向の変位を加えて前記定盤を水平方向に変位させる第2のアクチュエータと、前記第1のアクチュエータと前記定盤の間に設けられ前記第1のアクチュエータに作用するせん断力を吸収する第1の弾性体と、前記第2のアクチュエータと前記定盤の間に設けられ前記第2のアクチュエータに作用するせん断力を吸収する第2の弾性体と、前記振動センサで検出した上下及び水平方向の加速度に基づいて前記第1及び第2のアクチュエータを駆動させて前記被除振体の振動を除去するアクティブ型除振装置において、
    前記第1及び第2のアクチュエータは超磁歪アクチュエータから構成されており、
    前記定盤と前記基台との間に設けられ、前記被除振体を含む前記定盤の重量を、前記被除振体を含む前記定盤が上下動できる状態で支える支持手段と、
    前記基台に設けられ、前記第1のアクチュエータを前記基台上に保持するとともに、前記第1のアクチュエータの、その変位方向における位置を調整することによって、非駆動状態の前記第1のアクチュエータがその変位方向において前記定盤から受ける予圧縮力を調整する第1の調整手段と、
    前記基台に設けられ、前記第2のアクチュエータを前記基台上に保持するとともに、前記第2のアクチュエータの、その変位方向における位置を調整することによって、非駆動状態の前記第2のアクチュエータがその変位方向において前記定盤から受ける予圧縮力を調整する第2の調整手段と、
    前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータによって前記定盤に加えられる変位量を計測する変位量計測手段と、
    前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータに所定周波数かつ所定振幅の駆動信号を入力する手段と、
    前記基台と定盤との間に設けられ前記定盤の上下方向の移動量を規制する上下規制手段と、
    前記基台と定盤との間に設けられ前記定盤の水平方向の移動量を規制する水平規制手段とを備え
    前記支持手段は、前記基台と前記定盤の間に配設された空気ばねと、前記空気ばねに空気を与えるエアコンプレッサーと、前記エアコンプレッサーから前記空気ばねに与える空気圧を制御する空気圧制御弁とを備える、
    ことを特徴とするアクティブ型除振装置。
  2. 前記第1の弾性体は、上下方向に加わる荷重に対しては剛く、かつ、水平方向に加わる荷重に対しては柔らかいものであり、前記第2の弾性体は、上下方向に加わる荷重に対しては柔らかく、かつ、水平方向に加わる荷重に対しては剛いものであることを特徴とする請求項1記載のアクティブ型除振装置。
  3. 前記定盤の上下方向の位置を検出する複数のレベルセンサと、前記各レベルセンサから入力される検出信号に基づいて前記空気圧制御弁を制御することで前記エアコンプレッサーが前記空気ばねに与える空気圧を制御して前記定盤の高さ方向の位置を一定に保持する定盤位置制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のアクティブ型除振装置。
  4. 前記定盤は平面視直方形をなす板状を呈しており、前記第1のアクチュエータは、前記定盤の下面の四隅近傍に対応する位置にその変位方向が上下方向となるようにそれぞれ設けられたものであり、前記第2のアクチュエータは、前記定盤の四隅の対向する一対の隅部の近傍に対応する箇所においてに前記一対の隅部を挟んで隣接するようにそれぞれ設けられ、かつ、前記一対の隅部を挟んで隣接するそれぞれの前記第2のアクチュエータの変位方向が水平面内で互いに直角をなす方向となるように構成されていることを特徴とする請求項1記載のアクティブ型除振装置。
  5. 前記変位量計測手段は、前記振動センサの検出信号に基づいて前記変位量を求めるものであることを特徴とする請求項1記載のアクティブ型除振装置。
  6. 前記変位量計測手段は、前記第1のアクチュエータによって変位を与えられる前記定盤の箇所の変位量を測定する第1の変位計と、前記第2のアクチュエータによって変位を与えられる前記定盤の箇所の変位量を測定する第2の変位計とによって構成されることを特徴とする請求項1記載のアクティブ型除振装置。
  7. 前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータの予圧縮力を計測する予圧縮力計測手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のアクティブ型除振装置。
  8. 前記予圧縮力計測手段は、前記第1の弾性体及び前記第2の弾性体のたわみ量に基づいて予圧縮力を計測するものであることを特徴とする請求項記載のアクティブ型除振装置。
  9. 前記予圧縮力計測手段は、前記超磁歪アクチュエータに設けられたひずみゲージに基づいて測定されるひずみ量に基づいて予圧縮力を計測するものであることを特徴とする請求項記載のアクティブ型除振装置。
  10. 前記超磁歪アクチュエータを磁気シールドで覆ったことを特徴とする請求項記載のアクティブ型除振装置。
  11. 前記磁気シールドが純鉄で形成されていることを特徴とする請求項10記載のアクティブ型除振装置。
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