JP4057108B2 - ダイキャスト金型用材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,アルミニウム(Al)又はAl基合金からなるAl含有金属のためのダイキャスト機に於ける金型や,その他の直接溶湯に接触する,スリーブ,シリンダープランジャー,押出しピン,さらに中子等の部材の材料(以下,これ等を総称してダイキャスト金型用材料と呼ぶ)に関し,詳しくは,ダイキャスト金型用材料の製造に用いるのに適した粉末冶金法によって鍛造等の塑性加工されたW−Mo合金材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム(Al)ダイキャスト金型については,サーメット材料として,W+Moを合金添加金属とする数多くの提案がなされているように,際立って良い材料が見い出されていないのが現状である。この理由は,溶融Al自身が非常に腐蝕性を有する金属であるからである。
【0003】
一方,Fe,Ni,Cr,Co系をベースとしたサーメット合金では,その耐蝕性を満足出来ていないのが現状である。
【0004】
従来,鉄鋼用溶湯材料のダイキャストの鋳型物の材料にサーメット合金を用いたもの代表例として,特公昭61−49378号公報(以下,文献1と呼ぶ)に開示されたものがある。
【0005】
具体的に,文献1の請求項1には,(イ)TiとWの複合炭化・窒化物固溶体が1〜10%,(ロ)分散相形成成分として,Mg,Zr,Al,Y,Hfの酸化物のうち1〜2種以上で,0.05〜2%の(イ)及び(ロ)を含有し残りがWであるダイキャスト金型部材用サーメットが開示されている。
【0006】
また,文献1の請求項2には,(ハ)TiとWの複合炭窒化物固溶体:1〜10%と,(ニ)分散相形成成分として,Mg,Zr,Al,Y,Hfの酸化物のうち1〜2種以上:0.05〜2%,更に(ホ)結合形成成分としてMo:1〜10%で,(ハ),(ニ),及び(ホ)を含有した残りがWのサーメットが開示されている。
【0007】
また,文献1の請求項3には,(ヘ)TiとWの複合炭窒化物固溶体:1〜10%で,(ト)Mg,Zr,Al,Y,Hfの酸化物のうち1〜2種以上:0.05〜2%,更に(チ)結合成分としてCr:1〜10%を含有し,(ヘ),(ト),及び(チ)の残りがWのサーメット合金が開示されている。
【0008】
また,文献2の請求項4には,TiとWの(リ)複炭窒化物固溶体:1〜10%,(ヌ)Mg,Zr,Al,Y,Hfの酸化物のうちの1〜2種以上:0.05〜2%と,(ヲ)Mo:1〜10%,Cr:1〜10%で残りがWのサーメット合金が開示されている。
【0009】
さらに,文献1には,前記各合金は,耐摩耗性,耐塑性変形性,耐酸化性,耐熱衝撃性,及び耐蝕性を具備すると述べられている。しかし,文献1には,Al及びその合金に適用することに関しては,全く述べられていない。
【0010】
また,一般に,Alの溶湯のダイキャスト金型用材料は,耐摩耗性,耐蝕性,及び耐熱衝撃性が要求されている(以下,ダイキャスト金型用材料要求特性と呼ぶ)。一般に,ダイキャスト法は高い生産性で,寸法精度の高い,鋳物を製造する事が出来る事から,Al,Cu及びこれらの合金の鋳物の製造に用いられている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,本発明者らの検証の結果,前述したTi,W等の複炭窒化物を使ったサーメット材は,Al及びその合金の溶湯の腐蝕については,残念ながら,短寿命となってしまうことが分った。特に,この原因はTi,W等の複炭窒化物の耐蝕性は良いがCr等のサーメット合金を作る為の液相焼結体(文献1では,結合相形成分と呼んでいる金属)がZn及びAlには,短寿命である事が分った。
【0012】
よって,文献1の金型では,Cuの耐蝕性はあまり問題とならないがAl及びその合金の溶湯は激しい腐蝕性を有しており,現在は,Al及びその合金のダイキャスト金型用材料については,なかなか適当な材料が見い出されていない。
【0013】
そこで,本発明の技術的課題は,Al又はAl基合金等のAl含有金属に対して,耐腐食性を備えた寿命の長いサーメット合金からなるダイキャスト金型用材料を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は,前記課題を解決するために,種々テストを繰り返した結果,どのようなwt%でも固溶体合金を作るW−Mo合金に,Caの酸化物(CaO)をドープし,鍛造したものが,Alの溶湯を鋳込んだダイキャスト金型用材料として,非常に長寿命になることを見出だし,本発明を為すに至ったものである。
【0015】
即ち、本発明によれば、Al又はAl基合金からなるアルミニウム含有金属ダイキャストを製造するための金型用材料において、0.05〜4.0wt%のCaと5〜95wt%のWと残部がMoとからなる組成のW−Mo合金で、前記W−Mo合金中の前記CaはCaOとしてドープされており、且つ密度が理論密度比99.5%以上であることを特徴とするダイキャスト金型用材料が得られる。
【0016】
また,本発明によれば,前記ダイキャスト金型用材料において、不純物として,Fe,Ni,Cr,Co,Ti,Ta,Nbのうちの少なくとも一種を0.05wt%以下含有することを特徴とするダイキャスト金型用材料が得られる。
【0017】
また,本発明によれば,前記ダイキャスト金型用材料において,インゴットから少なくとも70%の加工率で圧延及び鍛造のうちの少なくとも一方の塑性加工が施されていることを特徴とするダイキャスト金型用材料が得られる。
【0018】
ここで,本発明において,ダイキャスト金型用材料とは,ダイキャスト機に於ける金型や,その他の直接溶湯に接触する,スリーブ,シリンダープランジャー,押出しピン,さらに中子等の部材の材料を呼ぶ。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
まず,Wのブルーオキサイドと呼ばれているWO2.8-2.9 の酸化物粉末とMoのブラウンオキサイドと呼ばれているMoO2 の酸化物粉末を用意して,塩化カルシウム水溶液を用意し,粉末冶金法によるドープ釜にドープ液を入れ,撹拌,混合,乾燥を行う『ドーピング』を行う。なお,この時,W−Moの組成(wt%)を0〜100%の範囲内に調節したオキサイドを用意する。その各々のオキサイドにCa量を変化させてドープする。このドープドオキサイドを所定のボートに入れ,水素を流した還元炉にそのボートを挿入して,ドープドCa(実際はCaOの粒子)のW−Mo合金粉約3〜5μmを作る。次に,この粉末を用いラバーに充填し,水圧プレスにて丸棒圧粉体を作り水素雰囲気中の間接焼炉内で約1800°×20時間焼結し,インゴットを作った。このW−MoインゴットのWの組成は,Wが0〜100%の範囲内で,各々のW/Mo比率に対して残留するCa(CaOの形態である)の量を0〜4%(wt%)迄変化させたインゴットを作製した。その後,各々のインゴットから鍛造上りの板厚の比率である加工率を70%以上になる迄,熱間溝ロール圧延加工を行い,直径(D)22mm×長さ(L)110mmの丸棒材料を作製した。
【0021】
この丸棒材料を機械加工により,D20×L100mmに仕上げ,これをAlダイキャスト機の金型中子として用い,鋳型キャビティに組込んだ状態で,中子材の鋳肌面粗さが許容値を外れた時点をもって,使用寿命とした。これらの結果を下記表1に示した。
【0022】
【表1】
【0023】
上記表1の結果から,Caをドープする事により,しかもW−Mo合金にする事によって,ダイキャスト金型用材料の長寿命化が図れる事が判明した。実験として50,000回を越えるものは,テストが大変なので長寿命であり50,000回でストップした。なお15,000回未満のものは短寿命とした。
【0024】
比較の為に,上記表1のW/Mo=50%/41%に4.00%Caをドープした材料に,金属元素Fe,Ni,Cr,Co,Ti,Ta,Nbの単独又は複合の合量で5.0%入れて焼結したサーメット合金も,第1の実施の形態と同様の寸法で評価した。その結果,比較材料は,ショット数が500回と,非常に短かい寿命であった。これは明らかにFe,Ni,Cr,Co,Ti,Ta,Nb等の金属元素を入れることによりしかも焼結したままのサーメット合金にする事により,Alの溶液(湯)に,耐えられない事が分った。
【0025】
ちなみに上記表1のW/Mo合金のFe,Ni,Cr,Co,Ti,Ta,Nb合量は0.05%(500ppm)以下のトレース程度の残量であった。
【0026】
又,上記表1のCaが4.0%を越えるものは割れが発生し圧延加工が不能であった。
【0027】
次に,本発明の実施の形態によるダイキャスト金型用材料の寿命の加工率への依存性について調査した。具体的には,上記実施の形態と同様に作製した組成50%WでCaが4%で残部がMoの材料を用いて,加工率による寿命テストを行った。その結果を下記表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】
上記表2から明らかなように,加工率70%未満のものは密度が低く,空孔を有している為,そのテスト結果からダイキャスト金型材としては不適である事が分った。さらに,上記表2から,加工率が70%未満のものは,寿命が短くなる事が分った。この理由は,70%以上の加工率で理論密度になる事に基因しているものと考えている。
【0030】
以上説明したように,本発明の実施の形態において,W/Mo合金(Fe系金属元素が少ない高純度のもの)にCaをドープしたものであって,Caが0.05〜4.0wt%で,しかもW/Mo合金でWの組成(wt%)が5〜95%で残部としてMoを有する材料で,しかもインゴットより断面減少率で70%以上の加工率を有するAlダイキャスト金型用材料が,耐蝕性に対して優れている事が判明した。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によれば,Al又はAl基合金からなるAl含有金属に対して,耐腐食性を備えた寿命の長いサーメット合金からなるダイキャスト金型用材料を提供することができる。
【0032】
また,本発明によれば,粉末冶金法のプロセスで,充分製造可能であり工業化が容易であるダイキャスト金型用材料を提供することができる。
Claims (3)
- Al又はAl基合金からなるアルミニウム含有金属ダイキャストを製造するための金型用材料において、0.05〜4.0wt%のCaと5〜95wt%のWと残部がMoとからなる組成のW−Mo合金で、前記W−Mo合金中の前記CaはCaOとしてドープされており、且つ密度が理論密度比99.5%以上であることを特徴とするダイキャスト金型用材料。
- 請求項1に記載のダイキャスト金型用材料において、不純物として、Fe,Ni,Cr,Co,Ti,Ta,Nbのうちの少なくとも一種を0.05wt%以下含有することを特徴とするダイキャスト金型用材料。
- 請求項1に記載のダイキャスト金型用材料において、インゴットから少なくとも70%の加工率で圧延及び鍛造のうちの少なくとも一方の塑性加工が施されていることを特徴とするダイキャスト金型用材料。
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JP25321397A JP4057108B2 (ja) | 1997-09-18 | 1997-09-18 | ダイキャスト金型用材料 |
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