JP4056714B2 - 車両用デファレンシャルサポート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用デファレンシャルサポートに係り、特に、所定の必要強度を確保しつつ軽量化を図る技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
左右の駆動輪に動力を分配する差動装置をボデーまたはサスペンション装置に固定する手段として、(a) 長手形状の筒状の本体部と、(b) その本体部の両端に一体的に設けられ、ボデーまたはサスペンション装置に一体的に連結される一対の連結部と、を有する車両用デファレンシャルサポートが知られている。本体部は、一般に断面が角形で長手方向において略弓形状に湾曲させられており、その弓形状が下方へ凸となる姿勢で配設されて差動装置を下側から支持するようになっている。
【0003】
図5は、このような従来の車両用デファレンシャルサポートの一例で、(a) は斜視図、(b) は(a) におけるB−B断面を示す図である。この車両用デファレンシャルサポート100は、長手方向において弓形状に湾曲させられているとともに断面が略四角形の筒状の本体部102と、その本体部102の両端に溶接などで一体的に固設された円筒形状の一対の連結部104とから成り、本体部102には一対のデフ取付座110が一体的に溶接固定されている。図6は、差動装置112をリヤ側のサスペンション装置114に固定する場合の一例で、車両用デフャレンシャルサポート100は、本体部102の弓形状が下方へ凸となる姿勢で車両の幅方向に配設され、差動装置112がデフ取付座110を介してボルト等により本体部102に一体的に固定されるとともに、両端の連結部104がゴム等の弾性体製のブッシュを介してサスペンション装置114に一体的に連結されることにより、本体部102が差動装置112を下側から支持してサスペンション装置114に固定する。サスペンション装置114は、フレーム116を介して図示しない車両のボデーに取り付けられるようになっており、車両用デファレンシャルサポート100はそのフレーム116などのボデー側部材に取り付けられる。
【0004】
図5に戻って、上記本体部102は、一対のアッパ部材106およびロワ部材108にて構成されている。これらのアッパ部材106およびロワ部材108は、それぞれ金属板材を所定形状にプレス加工したもので、断面がコの字形状となるように曲げ加工されたアッパ部材106の開口部を塞ぐようにロワ部材108を重ね合わせた状態で、それ等の両側部にそれぞれ外側へ突き出すように設けられたフランジ106f、108fが溶接により一体的に接合されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような車両用デファレンシャルサポート100は、路面と干渉(接触)する恐れがあるため十分な強度が必要で、本体部102のアッパ部材106やロワ部材108として厚板材料が用いられているとともに、十分な接合強度を得るためにフランジ106f、108fを設ける必要があり、全体として質量が大きくなるという問題があった。また、このように質量が大きくなると、低周波振動を生じるようになり、車両振動特性が悪化して乗り心地や運転操作性が悪くなるとともに異音発生の要因となる。
【0006】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、所定の必要強度を確保しつつ軽量化を図るとともに、併せて低周波振動に起因する異音の発生などを抑制することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、第1発明は、(a) 長手形状の筒状の本体部と、(b) その本体部の両端に一体的に設けられ、ボデーまたはサスペンション装置に一体的に連結される一対の連結部と、を有し、(c) 前記本体部が車両の幅方向となる姿勢で配設されて、左右の駆動輪に動力を分配する差動装置を支持する車両用デファレンシャルサポートであって、(d) 前記筒状の本体部は、略全長に亘って断面が角形であるとともに、長手方向の両端部付近では車両上下方向に長い縦長で、中央部分では車両前後方向に長い横長とされ、その間の断面形状が滑らかに連続的に変化している一方、長手方向において略弓形状に湾曲しており、その弓形状が下方へ凸となる姿勢で配設されて前記差動装置を下側から支持するもので、(e) その本体部は、丸パイプを液圧成形によって前記断面形状に成形するとともに長手方向において前記弓形状となるように成形したものであり、且つ、 (f) その丸パイプは前記液圧成形により全長に亘って周長が拡大され、前記本体部の全体がその液圧成形によって加工硬化させられていることを特徴とする。
【0011】
【発明の効果】
このような車両用デファレンシャルサポートにおいては、丸パイプを液圧成形により所定形状に成形することによって本体部が構成されているため、その液圧成形に伴う加工硬化で強度が高くなり、所定の必要強度を維持しながら肉厚の薄い丸パイプを採用することが可能で、溶接接合のためのフランジが不要になることと相まって軽量化を図ることができる。また、軽量化で質量が低減されると振動周波数が高くなるため、共振により振動が発生する車速が高くなり、通常走行時の車両振動特性が改善されて、乗り心地や運転操作性が向上するとともに異音の発生が抑制される。
【0012】
また、本体部の断面形状が略全長に亘って角形であるため、丸パイプの液圧成形により全長に亘って加工硬化で強度が高くなるとともに、角形断面によって本体部の座屈(折れ曲がり)が効果的に抑制され、必要強度を確保しながら更に軽量化を図ることが可能で、車両振動特性が更に向上する。
【0013】
また、液圧成形により丸パイプの全長に亘って周長が拡大され、本体部の全体が加工硬化させられているため、全体に強度が向上し、必要強度を確保しながら一層の軽量化を図ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の車両用デファレンシャルサポートは、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)型車両や4輪駆動型車両の後輪側の差動装置を支持するものに好適に適用されるが、前輪側の差動装置を支持するものにも適用され得る。差動装置は、差動装置を内蔵している終減速装置であっても良い。
【0015】
この車両用デファレンシャルサポートは、一対の連結部を介して直接ボデーに取り付けられるものでも良いが、サスペンション装置のボデー側部材などに取り付けられるものでも良い。連結部は、ゴムブッシュなどの弾性体を介してボデーなどに取り付けることが望ましい。また、本体部と別体に構成された連結部を溶接などで本体部に一体的に固設しても良いが、本体部の端部を偏平に潰したり所定形状にプレス加工するなどして、本体部と一体に連結部を構成することもできる。
【0016】
本体部の断面形状は、特に断りがない限り本体部の長手方向に対して直角な断面形状を意味する。
【0017】
弓形状は、滑らかな円弧状に湾曲していることが望ましいが、所定の傾斜角度で折り曲げられた複数の直線部分により全体として弓形状が形成されるようになっていても良い。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例である車両用デファレンシャルサポート10を示す図で、(a) は斜視図、(b) 〜(d) はそれぞれ(a) におけるB−B断面、C−C断面、D−D断面を示す図であり、C−C断面は長手方向の中央部分の断面である。この車両用デファレンシャルサポート10は、長手方向において弓形状に湾曲させられているとともに断面が略四角形の筒状の本体部12と、その本体部12の両端に溶接により一体的に固設された円筒形状の一対の連結部14とから構成されており、本体部12には丸パイプ16を主体として構成されている一対のデフ取付座18が溶接により一体的に固設されている。図1の(b) に示すB−B断面は、デフ取付座18部分の断面で、丸パイプ16の下端部は塑性加工によって大径に拡管されている。
【0020】
本体部12は、丸パイプを液圧成形によって四角形の角形断面に成形するとともに長手方向において弓形状となるように成形したもので、全長に亘って周長が拡大され、全体に加工硬化させられている。また、前記連結部14が固設される両端部付近では(d) に示すように上下方向に長い縦長の角形断面とされている一方、略円弧状に滑らかに湾曲させられている中央部分では(c) に示すように横長の角形断面とされ、断面形状は長手方向において滑らかに連続的に変化している。図2は、液圧成形装置20を説明する模式図で、素材となる丸パイプ22は一対の金型24、26により位置決めされるとともに、一対のシール治具28、30によって両端開口部が閉塞され、供給路32から水等の液体が所定の圧力で丸パイプ22内に供給されることにより、その内圧によって丸パイプ22は金型24、26の成形面24f、26fに押圧され、その成形面24f、26fに対応する所定形状に塑性変形させられる。本体部12は、例えば単一の金型24、26により角形断面の成形と同時に弓形状に成形されるが、複数種類の金型を用いてそれ等を別工程で液圧成形することもできるし、液圧成形以外のプレスによる曲げ加工などを組み合わせて目的形状に成形するようにしても良い。
【0021】
そして、このような車両用デフャレンシャルサポート10は、前記図6において車両用デファレンシャルサポート100の代わりに用いられ、差動装置112をサスペンション装置114に取り付ける。すなわち、本体部12の弓形状が下方へ凸となる姿勢で車両の幅方向に配設され、差動装置112がデフ取付座18を介してボルト等により本体部12に一体的に固定されるとともに、両端の連結部14がゴム等の弾性体製のブッシュを介してサスペンション装置114に一体的に連結されることにより、本体部12が差動装置112を下側から支持してサスペンション装置114に固定する。
【0022】
このような車両用デファレンシャルサポート10によれば、丸パイプ22を液圧成形により所定形状に成形することによって本体部12が構成されているため、その液圧成形に伴う加工硬化で強度が高くなり、所定の必要強度を維持しながら肉厚の薄い丸パイプ22を採用することが可能で、溶接接合のためのフランジが不要になることと相まって軽量化される。
【0023】
特に本実施例では、本体部12の断面形状が全長に亘って角形であるため、丸パイプ22の液圧成形による加工硬化で強度が高くなるとともに、角形断面によって本体部12の座屈(折れ曲がり)が効果的に抑制され、必要強度を確保しながら十分な薄肉化、軽量化を図ることができる。また、丸パイプ22の全長に亘って周長が拡大され、本体部12の全体が加工硬化させられているため、全体に強度が向上し、必要強度を確保しながら一層の軽量化を図ることができる。
【0024】
因みに、図3は、本実施例の車両用デファレンシャルサポート10(本発明品)と、同程度の強度が得られる従来品(図5の車両用デファレンシャルサポート100)との質量を比較して示した図で、本発明品は従来品に比較して20%以上軽量化できた。
【0025】
また、軽量化で質量が低減されると、図4に示すように振動周波数が高くなるため、共振により振動が発生する車速が高くなり、通常走行時の車両振動特性が改善されて、乗り心地や運転操作性が向上するとともに異音の発生が抑制される。
【0026】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である車両用デファレンシャルサポートを示す図で、(a) は斜視図、(b) 〜(d) はそれぞれ(a) におけるB−B断面、C−C断面、D−D断面を示す図である。
【図2】液圧成形装置の一例を説明する模式図である。
【図3】本発明品および従来品の質量の一例を比較して示す図である。
【図4】車両用デファレンシャルサポートの質量と振動周波数との関係を示す図である。
【図5】従来の車両用デファレンシャルサポートの一例を示す図で、(a) は斜視図、(b) は(a) におけるB−B断面を示す図である。
【図6】車両用デファレンシャルサポートを用いて差動装置をサスペンション装置に固定する場合の一例を説明する図である。
【符号の説明】
10:車両用デファレンシャルサポート 12:本体部 14:連結部
22:丸パイプ 112:差動装置 114:サスペンション装置
Claims (1)
- 長手形状の筒状の本体部と、
該本体部の両端に一体的に設けられ、ボデーまたはサスペンション装置に一体的に連結される一対の連結部と、
を有し、前記本体部が車両の幅方向となる姿勢で配設されて、左右の駆動輪に動力を分配する差動装置を支持する車両用デファレンシャルサポートであって、
前記筒状の本体部は、略全長に亘って断面が角形であるとともに、長手方向の両端部付近では車両上下方向に長い縦長で、中央部分では車両前後方向に長い横長とされ、その間の断面形状が滑らかに連続的に変化している一方、長手方向において略弓形状に湾曲しており、該弓形状が下方へ凸となる姿勢で配設されて前記差動装置を下側から支持するもので、
該本体部は、丸パイプを液圧成形によって前記断面形状に成形するとともに長手方向において前記弓形状となるように成形したものであり、
且つ、該丸パイプは前記液圧成形により全長に亘って周長が拡大され、前記本体部の全体が該液圧成形によって加工硬化させられている
ことを特徴とする車両用デファレンシャルサポート。
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2001
- 2001-05-01 JP JP2001134613A patent/JP4056714B2/ja not_active Expired - Fee Related
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