JP4055095B2 - レンズ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はレンズ装置に係り、特にレンズの駆動を手動と電動で行うことができるレンズ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、テレビカメラ、スチルカメラ等のレンズ装置として、レンズ鏡筒の周部に回動自在に設置された操作リング(操作部材)の手動操作と、カメラに搭載されたモータによる電動操作の両方の操作でフォーカス調整やズーム調整を行うことができるようにしたものが知られている。
【0003】
特許2597707号公報には、このような手動操作と電動操作を特別な切り換え操作なく使用できるようにしたレンズ鏡筒が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許2597707号公報に記載されているレンズ鏡筒では、手動操作により回動される操作リングと電動操作により駆動されるモータとの間の動力伝達を遮断するための構造が複雑になるという欠点があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、簡単な構造で、手動操作と電動操作の両操作によるレンズ駆動を可能にしたレンズ装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、操作部材が回動操作されると、該操作部材の回動力を動力伝達機構を介して撮影光学系の所定のレンズに伝達し、該レンズを光軸方向に移動させるレンズ装置において、前記操作部材と一体形成又は連結され、前記操作部材と連動して回動する回動部材であって、該回動部材の所定面に所定配列の磁極を形成する第1の回動部材と、前記第1の回動部材の前記所定面に対向して回動自在に配置され、前記所定面に対向する面に所定配列の磁極を形成する第2の回動部材であって、該形成される磁極と前記第1の回動部材に形成される磁極により生じる磁力によって、前記第1の回動部材と連結する第2の回動部材と、前記第2の回動部材を回動させるモータと、を備え、前記第1の回動部材の磁極及び前記第2の回動部材の磁極のうち少なくとも一方の磁極を電磁石で形成し、該電磁石に電流を供給することにより前記第1の回動部材と前記第2の回動部材とを磁力的に連結させて前記モータによる前記レンズの駆動を可能にし、前記電磁石の電流を遮断することにより、前記第1の回動部材と前記第2の回動部材との磁力的な連結を解除して前記操作部材による前記レンズの駆動を可能にすることを特徴としている。
【0006】
本発明によれば、モータの動力を電磁力を利用してレンズに伝達するようにしたため、構造が簡単であると共に、例えば、モータに駆動電圧が与えられている時といない時を自動で判別してモータからレンズへの動力伝達をオン・オフ制御することにより操作者が特別な切り替え操作を行うことなく手動操作と電動操作のうち所望の操作を使用してレンズを駆動することができるようになる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るレンズ装置の好ましい実施の形態を詳述する。
図1乃至図3は、本発明に係るレンズ装置に適用されるモータの動力伝達機構の原理を示した図である。これらの図に示す動力伝達機構は、モータ10で発生した回転力を一方の回動部材12から他方の回動部材14に伝達する機構である。モータ10の出力軸は、回動部材12に連結され、モータ10の出力軸が回転するとこれと連動して回動部材12が回転する。回動部材12は、電磁石16と反磁性体18とで円筒状に形成され、これらの電磁石16と反磁性体18は、所定幅、所定間隔置きに交互に配設される。電磁石16は、コイルに電流を流すことによって磁界を発生させるもので、回動部材14が対向して配置される端面12A側にN極を生じさせる。
【0008】
一方、回動部材14は、図2に示すように回動部材12の端面12Aと対向する位置に回動自在に配置される。また、回動部材14の端面14Aが回動部材12の端面12Aと非接触となるように配置される。回動部材14は、永久磁石20と反磁性体22とで円筒状に形成され、これらの永久磁石20と反磁性体22は、それぞれ上記回動部材12の電磁石16と反磁性体18に対応して所定幅、所定間隔置きに交互に配設される。永久磁石20は、回動部材12と対向する端面14A側をN極として配設される。
【0009】
これにより、回動部材12の各電磁石16に電流を供給すると、回動部材12と回動部材14の対向する端面12A、14AからそれぞれN極による磁界が発生し、図3に示すように、回動部材12の端面12Aと回動部材14の端面14Aとから発生する磁界24がギア歯の様にかみ合わされる。この結果、回動部材12の電磁石16と回動部材14の反磁性体22とが対向する位置、即ち、回動部材12の反磁性体18と回動部材14の永久磁石20が対向する位置で回動部材12と回動部材14が磁力により連結される。そして、この状態で回動部材12がモータ10によって回動すると、これと連動して回動部材14が回動する。一方、電磁石16の電流を遮断すると、磁界24による回動部材12と回動部材14の磁力による連結が解除され、回動部材12を回動させても回動部材14は回動せず、また、回動部材14は自由に回動することが可能となる。
【0010】
以上の動力伝達機構により、モータの動力の伝達を電磁石の電流で制御することができる。
尚、上述の説明では、回動部材12に電磁石を使用し、回動部材14に永久磁石を使用するようにしたが、電磁石と永久磁石の使用を逆にしてもよいし、両方の回動部材12、14で電磁石を使用してもよい(後掲する図4のレンズ装置に上記動力伝達機構を適用する場合においても同様である)。
【0011】
また、上述の説明では、回動部材12と回動部材14の対向する端面12A、14AにN極を生成するようにしたが、S極でもよく、また、一方の回動部材をN極、他方の回動部材をS極とし、異極同士が引き合う力で回動部材12と回動部材14とを係合させてもよい(後掲する図4のレンズ装置に上記動力伝達機構を適用する場合においても同様である)。
【0012】
更に、上記説明では、回動部材12を回動させて回動部材14を磁力により回動させるようにしたが、回動部材12を固定とし、リニアモータの原理を利用して、回動部材12の磁界を変動させて回動部材14を回動させてもよい。回動部材12の磁界を固定とし、回動部材14の磁界を変動させて回動部材14を回転さてもよい(後掲する図4のレンズ装置に上記動力伝達機構を適用する場合においても同様である)。
【0013】
図4は、上述のようなモータの動力伝達機構をカメラのレンズ装置に応用した場合の要部断面図であり、例えばズームレンズを手動操作と電動操作の両方で操作できるようにした場合の構成を示している。同図に示すように、ズームレンズ30は、移動枠32に保持される。移動枠32の後端部外周にはヘリコイドネジ34が形成され、このヘリコイドネジ34は、固定筒36の前端部内周面に形成されたヘイリコイドネジ38に螺合される。従って、移動枠32が回動するとヘイリコイドネジ34、38の作用によって移動枠32が光軸方向に移動し、ズームレンズ30が光軸方向に移動する。
【0014】
また、移動枠32の外周面には、光軸方向のキー溝40、40が形成され、これらのキー溝40、40に回動部材44の内周面に固着されたキー42、42が光軸方向に移動自在に嵌合される。回動部材44は、図1乃至図3に示した回動部材14に相当するもので、回動部材44の後端面44Aには永久磁石のN極が所定幅で所定間隔置きに配置される。回動部材44の外周面は、カメラマンの手動によって回動操作されるズームリング46の内周面に固着される。尚、ズームリング46は、図示しない固定筒に回動自在に支持される。従って、ズームリング46がカメラマンによって回動操作されると、回動部材44が回動し、キー42を介して移動枠32が回動する。そして、移動枠32が回動することでヘリコイドネジの作用によって移動枠32が光軸方向に前後動し、ズームレンズ30が光軸方向に前後動するようになっている。
【0015】
一方、回動部材44の後端面44Aに対向した位置には、固定筒36の外周面に回動自在に嵌装された回動部材50が前記後端面44Aと離間して配置される。この回動部材50は、図1乃至図3に示した回動部材12に相当するもので、その前端面50Aには電磁石によって所定幅、所定間隔置きにN極が発生される。回動部材50の後端外周面にはギア52が形成され、このギア52には、固定筒36に固着されたモータ54の出力軸のギア56に噛合される。また、回動部材50の各電磁石には、ブラシ58を介して電流が供給されるようになっている。
【0016】
従って、回動部材50の電磁石に電流を供給することにより、上述したように回動部材44と回動部材50の磁界によって形成されるギア歯がかみ合い、この状態で、モータ54を駆動することにより、回動部材50が回動し、上述と同様にズームレンズ30が光軸方向に移動するようになっている。
以上の如く構成されたレンズ装置によれば、回動部材50の電磁石への電流を遮断することにより、回動部材44と回動部材50の間の動力伝達を遮断することができ、ズームリング46の回動操作が可能となる。このときズームリング46を回動操作することで、ズームレンズ30を手動により移動させることができる。
【0017】
一方、回動部材50の電磁石に電流を供給することにより、回動部材44と回動部材50を磁界によるギア歯により連動させることができ、モータ54による電動操作が可能となる。このとき、カメラマンは、ズームコントローラ等を使用してモータ54の回動を制御することで、ズームレンズ30を電動により移動させることができる。
【0018】
また、回動部材50の電磁石に電流を供給するか否か、即ち、ズームレンズ30をズームリング46によって手動で操作するか、モータ54によって電動で操作するかは、スイッチ操作で切り換えるようにしてもよいが、レンズ装置又はカメラの制御回路で自動で制御することも可能である。例えば、ズームコントローラ等による電動操作が行われていない状態、つまり、モータ54に駆動電圧が印加されていない状態を検出した場合に、制御回路は、回動部材50の電磁石への電流を遮断し、回動部材44と回動部材50の磁力による連結を解除する。これにより、回動部材44を自由に回動できるようにし、ズームリング46によるズームレンズ30の手動操作を可能にする。一方、ズームコントローラ等による電動操作が開始された状態、つまり、モータ54に駆動電圧が印加されている状態を検出した場合には、制御回路は、回動部材50の電磁石に電流を流して回動部材44と回動部材50を磁界によるギア歯によって係合させる。これにより、モータ54で発生する駆動力を回動部材44に伝達し、モータ54によるズームレンズ30の電動操作を可能にする。
【0019】
以上のような制御回路の制御によってズームレンズ30の操作を特別な切り換え操作なく手動操作と電動操作に迅速に切り換えることができる。
尚、上記実施の形態では、円筒状の回動部材12(50)と回動部材14(44)の端面を対向させて配置したが、回動部材12、14の形状や、互いに対向する回動部材における面の位置はこれに限らない。
【0020】
また、本発明は、ズームレンズを手動操作と電動操作の両方で操作できるようにする場合だけでなく、フォーカスレンズ等の他のレンズを手動操作と電動操作の両方で操作できるようにする場合にも適用できる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るレンズ装置によれば、モータの動力を電磁力を利用してレンズに伝達するようにしたため、構造が簡単であると共に、例えば、モータに駆動電圧が与えられている時といない時を自動で判別してモータからレンズへの動力伝達をオン・オフ制御することにより操作者が特別な切り替え操作を行うことなく手動操作と電動操作のうち所望の操作を使用してレンズを駆動することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係るレンズ装置に適用されるモータの動力伝達機構の構成を示した説明図である。
【図2】図2は、本発明に係るレンズ装置に適用されるモータの動力伝達機構の構成を示した説明図である。
【図3】図3は、本発明に係るレンズ装置に適用されるモータの動力伝達機構の構成を示した説明図である。
【図4】図4は、本発明に係るレンズ装置の一実施の形態を示した要部断面図である。
【符号の説明】
10、54…モータ
12、14、44、50…回動部材
16…電磁石
20…永久磁石
18、22…反磁性体
30…ズームレンズ
32…移動枠
46…ズームリング
Claims (1)
- 操作部材が回動操作されると、該操作部材の回動力を動力伝達機構を介して撮影光学系の所定のレンズに伝達し、該レンズを光軸方向に移動させるレンズ装置において、
前記操作部材と一体形成又は連結され、前記操作部材と連動して回動する回動部材であって、該回動部材の所定面に所定配列の磁極を形成する第1の回動部材と、
前記第1の回動部材の前記所定面に対向して回動自在に配置され、前記所定面に対向する面に所定配列の磁極を形成する第2の回動部材であって、該形成される磁極と前記第1の回動部材に形成される磁極により生じる磁力によって、前記第1の回動部材と連結する第2の回動部材と、
前記第2の回動部材を回動させるモータと、
を備え、前記第1の回動部材の磁極及び前記第2の回動部材の磁極のうち少なくとも一方の磁極を電磁石で形成し、該電磁石に電流を供給することにより前記第1の回動部材と前記第2の回動部材とを磁力的に連結させて前記モータによる前記レンズの駆動を可能にし、前記電磁石の電流を遮断することにより、前記第1の回動部材と前記第2の回動部材との磁力的な連結を解除して前記操作部材による前記レンズの駆動を可能にすることを特徴とするレンズ装置。
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