以下、図面を参照して、本発明の実施形態の一例を説明する。
図1(a)は本発明の撮像装置の実施形態の一例であるデジタルカメラ1を正面側から見た斜視図、図1(b)は図1(a)に示すデジタルカメラ1を背面側から見た斜視図である。
図1(a)に示すように、本実施形態のデジタルカメラ1は、正面側に、沈胴位置と撮影位置との間で光軸方向に移動して撮影倍率を変更するズーム式のレンズ鏡筒2が搭載されている。レンズ鏡筒2の外周側には、ズーム操作リング101が回転操作可能に設けられ、ズーム操作リング101の近傍には、電動によるズーム駆動と手動によるズーム駆動とをユーザ操作により切り替えるための切替部材102が設けられている。
また、デジタルカメラ1の上面部には、電源ボタン103、レリーズボタン104、ズームレバー105、モードダイヤル106、露出補正ダイヤル107、及びポップアップ式のストロボユニット108が設けられている。デジタルカメラ1の正面側から見て右側の側部には、ポップアップレバー109が設けられ、ポップアップレバー109を操作することにより、ストロボユニット108の発光部がポップアップして発光可能状態にすることができる。
図1(b)に示すように、デジタルカメラ1の背面部には、LCD等で構成される表示ユニット110、各種操作ボタン群111、及びグリップ部112が設けられている。また、デジタルカメラ1の背面部から見て右側の側部には、外部機器と接続するための端子を開閉可能に覆う端子カバー113が設けられている。
図2は、図1(a)に示すデジタルカメラ1の分解斜視図である。図2に示すように、デジタルカメラ1を正面側から見てレンズ鏡筒2の左側には、電池収納ユニット118が設けられ、レンズ鏡筒2の右側には、ストロボユニット108が設けられている。電池収納ユニット118及びストロボユニット108は、それぞれ内部フレーム114に固定されている。
ストロボユニット108には、ストロボユニット108と係合するポップアップレバー109を有する側面カバー115が設けられている。電池収納ユニット118の背面には、不図示の基板が固定され、基板には、CPU、メモリ、外部接続コネクタ、画像処理LSI等が実装されるとともに、レンズ鏡筒2が接続される。レンズ鏡筒2には、撮影光学系を構成するレンズ群、レンズ駆動機構、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子が組み込まれている。
デジタルカメラ1の正面側には、正面カバーユニット117、及びズーム操作リング101が設けられ、ズーム操作リング101の内周部には、ズーム操作リング101と一体に回転するクッション材等からなるリング状の弾性部材116が固定されている。ズーム操作リング101は、正面カバーユニット117に対して弾性部材116とともに回転操作可能に支持されている。
正面カバーユニット117には、切替部材102が取り付けられている。切替部材102は、前述したように、手動によるズーム駆動と電動によるズーム駆動とをユーザ操作により切り替えるための部材である。切替部材102は、正面カバーユニット117に対して不図示のクリック機構を有する切替機構によって位置規制されている。正面カバーユニット117の組み付け時には、切替部材102は、ギア連結切替機構3と係合するようになっている。
図3(a)は内部フレーム114に固定されたレンズ鏡筒2を正面側から見た図、図3(b)はレンズ鏡筒2を正面側から見た図である。図3に示すように、レンズ鏡筒2の図の右下部には、レンズ鏡筒2をズーム駆動するためのギアボックス4が配置され、底面部には、モータ401が配置されている。モータ401は、背面部に設けられたギア列402〜408(図9参照)を介して駆動筒224(図4参照)に連結される。モータ401の上面側で、かつギア列402〜408(図9参照)の正面側には、ギア連結切替機構3が取り付けられている。
図4は、レンズ鏡筒2の沈胴位置での断面図である。図5は、レンズ鏡筒2の撮影位置での断面図である。図6は、レンズ鏡筒2の分解斜視図である。
図4乃至図6に示すように、レンズ鏡筒2は、1群ユニット210、2群レンズ保持部213、3群ユニット216、4群レンズ保持部217、及び5群レンズ保持部218の5群レンズで構成されている。2群レンズ保持部213と3群ユニット216との間には、撮影時の光量調整部材である絞りユニット214が設けられている。1群ユニット210、2群レンズ保持部213、絞りユニット214、及び5群レンズ保持部218は変倍系のレンズ群である。
1群ユニット210は、第1レンズ201を保持する1群レンズ保持部212と、1群レンズ保持部212を保持し、第1レンズ201を保護するバリア部材を有する1群地板211とを備える。2群レンズ保持部213は、第2レンズ202を保持する。3群ユニット216は、第3レンズ203を保持する3群レンズ保持部215と、不図示のシャッタ部材を有する3群地板216aとを備える。3群ユニット216は、防振機構を有し、撮影中に3群レンズ保持部215が光軸と直交する方向に移動することで、撮影時の手振れなどを補正する。
4群レンズ保持部217は、フォーカスレンズを構成する第4レンズ204を保持する。5群レンズ保持部218は、第5レンズ205,206を保持し、4群レンズ保持部217を光軸方向に沿って移動可能に保持する。各群のレンズを光軸方向に移動させることにより、ズーム動作が行われる。
図6に示すように、レンズ鏡筒2は、ズーム機構を構成するカバー筒225と、カバー筒225にビス等により締結されるセンサホルダユニット219とを有する。センサホルダユニット219には、図4乃至図6に示すように、センサプレート227を介して撮像素子208が保持されている。撮像素子208の正面側(被写体側)には、センサホルダユニット219とセンサゴム226との間に挟持された光学フィルタ207が配置されている。
また、センサホルダユニット219には、図6に示すように、モータ401とギア列403〜408(図9参照)が設けられている。モータ401の駆動軸には、ギア(ピニオン)402が固定され、モータ401の駆動によってギア402が回転し、この回転がギア列403〜408を介して駆動筒224に伝達されることにより、レンズ鏡筒2が光軸方向に駆動される。ギア列403〜408は、本発明の伝達機構の一例に相当する。
図4及び図5に示すように、5群レンズ保持部218には、4群レンズ保持部217が光軸方向に直進移動可能に支持されている。4群レンズ保持部217には、ナット部217aが設けられ、ナット部217aは、ばね217bによって4群レンズ保持部217に対して光軸方向に付勢された状態で4群レンズ保持部217と一体的に光軸方向に沿って移動可能になっている。
5群レンズ保持部218には、4群レンズ保持部217を駆動するためのねじ軸が形成された駆動源218aが設けられている。また、5群レンズ保持部218には、図6に示すように、光軸と平行に配置されたメインガイド軸218bと回転規制用のサブガイド軸218cとが圧入等により固定されている。
この一対のガイド軸218b,218cには、それぞれ4群レンズ保持部217に形成されたガイド部217c,217dが光軸方向に移動可能に嵌合されている。そして、5群レンズ保持部218に設けられた駆動源218aが駆動されると、ナット部217aが螺合されたねじ軸が回転して、4群レンズ保持部217が光軸方向に駆動される。これにより、4群レンズ保持部217及び5群レンズ保持部218がフォーカスレンズ機構として機能する。
図4及び図5に示すように、2群レンズ保持部213、3群ユニット216、4群レンズ保持部217、及び5群レンズ保持部218の外周側には、移動カム筒222が設けられている。移動カム筒222の内周部には、図6に示すように、軌跡の異なる3種類のカム溝222aが形成されている。3種類のカム溝222aには、2群レンズ保持部213、絞りユニット214、及び3群ユニット216の外周部に形成されたフォロアピン213a,214b,216bがそれぞれ係合して追従するようになっている。
また、移動カム筒222の内周部には、各レンズ群が移動する際に回転を規制する直進ガイド筒221が設けられている。直進ガイド筒221と移動カム筒222とは、バヨネット結合されて光軸方向で略一体的に移動し、移動カム筒222は、直進ガイド筒221に対して相対的に回転可能となっている。
直進ガイド筒221には、図6に示すように、光軸方向に延びる直進溝221a,221b,221cが形成されている。この直進溝221a,221b,221cによって、2群レンズ保持部213、絞りユニット214、及び3群ユニット216は、回転規制された状態で光軸方向に直進移動する。
移動カム筒222の外周側には、1群ユニット210の1群地板211が配置されている。1群地板211の内周部には、フォロアピン211b(図5参照)が形成され、フォロアピン211bは、移動カム筒222の外周部に形成されたカム溝222aに係合して追従するようになっている。また、1群地板211の内周部には、直進ガイド溝211aが形成され、直進ガイド溝211aには、直進ガイド筒221に形成されたガイド突起221dが光軸方向に移動可能に嵌合されている。これにより、1群ユニット210が回転規制された状態で光軸方向に直進移動する。
以上の構成により、移動カム筒222が回転することにより、移動カム筒222に追従する1群ユニット210、2群レンズ保持部213、絞りユニット214、及び3群ユニット216が回転規制された状態で光軸方向に直進移動する。
1群ユニット210の外周側には、化粧筒220が移動カム筒222と一体に設けられている。移動カム筒222の外周側には、固定カム筒223が配置され、固定カム筒223の外周側には、駆動筒224が配置され、駆動筒224の外周側には、カバー筒225が配置されている。固定カム筒223は、図4乃至図6に示すように、カバー筒225とセンサホルダユニット219とに挟み込まれた状態で固定配置される。
図7は、固定カム筒223の内周側の展開図である。図8は、駆動筒224の内周側の展開図である。
図7に示すように、固定カム筒223の内周部には、カム溝223a、及び光軸方向に延びる直進ガイド溝223d1,223d2が形成されている。カム溝223aには、移動カム筒222のフォロアピン222b(図6参照)が係合し、直進ガイド溝223d1,223d2には、直進ガイド筒221の直進規制部221e(図6参照)が光軸方向に移動自在に係合している。また、固定カム筒223には、スリット状の貫通カム223bがカム溝223aと同じ軌跡で形成されている。
図8に示すように、駆動筒224の内周部には、光軸方向に延びる駆動溝224dが形成され、駆動溝224dには、移動カム筒222のフォロアピン222bが移動可能に係合する。駆動溝224dの被写体側の先端部(図中上端部)は、駆動筒224の被写体側の先端部(図中上端部)まで達しない位置に配置されている。これにより、駆動筒224の被写体側の端部から外部の有害光が侵入するのを防止している。また、移動カム筒222の光軸方向への移動量は、この駆動溝224dにより規制されることになる。移動カム筒222のフォロアピン222bは、固定カム筒223の貫通カム223bに対して光軸方向に所定の間隔をあけた位置に配置される。
駆動筒224の外周部には、ギア部224g(図6参照)が形成され、ギア部224gには、モータ401の駆動力がギア列402〜408を介して伝達される。これにより、移動カム筒222は、固定カム筒223のカム溝223aに追従して回転しながら光軸方向に移動する。
直進ガイド筒221は、移動カム筒222と一体に光軸方向に移動するが、直進ガイド部221eが固定カム筒223の直進ガイド溝223d1,223d2に移動可能に嵌合することによって回転規制されている。これにより、直進ガイド筒221は、回転規制された状態で光軸方向に直進移動する。
また、図6及び図8に示すように、駆動筒224の内周部には、5群駆動用カム溝224aが形成され、5群駆動用カム溝224aには、5群レンズ保持部218の外周部に形成されたフォロアピン218dが係合して追従するようになっている。固定カム筒223には、図6及び図7に示すように、光軸方向に延びる貫通穴223eが形成され、この貫通穴223eにフォロアピン218dが係合することにより、5群レンズ保持部218が回転規制される。
また、図6及び図8に示すように、駆動筒224の内周部には、駆動筒駆動用カム溝224cが形成され、駆動筒駆動用カム溝224cには、固定カム筒223の外周部に形成されたフォロアピン223jが係合して追従するようになっている。駆動筒224の駆動筒駆動用カム溝224cは、図8に示すように、平坦部とリフト部を有し、図の収納位置に対して撮影位置が撮像素子208側に光軸方向に変位するように形成されている。そのため、駆動筒224が回転すると、固定カム筒223のフォロアピン223jが駆動筒駆動用カム溝224cに追従することで、駆動筒224が光軸方向被写体側に移動する。
図9(a)はモータ401から駆動筒224への駆動力の伝達経路を説明する図、図9(b)は図9(a)に示すスリップギア405,406の分解斜視図である。
図9(a)を参照して、モータ401の駆動力は、駆動軸に取り付けられたギア(ピニオン)402からギア列403〜408を介して駆動筒224のギア部224gへ減速されて伝達され、これにより、駆動筒224が回転する。
ギア列402〜408は、2つのスリップギア405,406を有する。2つのスリップギア405,406のうち、大径のスリップギア405が入力ギアとされ、小径のスリップギア406が出力ギアとされている。スリップギア405は、スリップギア406に対して軸方向に移動可能に支持されている。
図9(b)に示すように、スリップギア405,406には、それぞれ接する面に同数の凸部405a,406aと凹部405b,406bが設けられ、凸部405a,406aと凹部405b,406bとは斜面部405c,406cで接続されている。スリップギア406に対するスリップギア405の軸方向の駆動は、ギア連結切替機構3により行われ、斜面部405c,406cが互いに当接することにより、スリップギア405からスリップギア406に回転が伝達される。
また、ギア407の回転は、ギア409,410を介してギア411に伝達される。ギア411の一部は、回転方向に複数のスリットを有する円板形状に形成され、スリットに配置されたフォトインタラプタ412,413によって駆動筒224の回転量を検出している。
図10(a)は電動によるズーム駆動状態でのギア連結切替機構3とスリップギア405,406との関係を示す断面図、図10(b)はスリップギアの空転状態を示す断面図である。図10(c)は手動によるズーム駆動状態でのギア連結切替機構3とスリップギア405,406との関係を示す断面図、図10(d)はズーム駆動を手動から電動へ切り替える際のスリップギアの押し込み開始状態を示す断面図である。
図10(a)に示すように、スリップギア405は、ギア付勢ユニット5によりスリップギア406の方向(−Z方向)へ向けて付勢された状態で軸方向(±Z方向)に移動可能に支持されている。ギア付勢ユニット5は、Z方向において正面レバー504を固定端として、背面レバー502がスライド可能に支持されている。この状態では、スリップギア405,406の斜面部405c,406cが互いに当接し、ズーム駆動を電動で行うことが可能となる。
図10(a)の状態において、駆動筒224が回転できない状態でモータ401からの入力を受けた場合等には、ギア列403〜408に過大な負荷がかかる。この場合、図10(b)に示すように、スリップギア406に対してスリップギア405が斜面部405c,406cのくさび作用によって+Z方向へ移動する。
このときのスリップギア405の+Z方向の移動力がギア付勢ユニット5の−Z方向の付勢力よりも大きくなると、ギア付勢ユニット5の背面レバー502が+Z方向へ押される。これにより、スリップギア405,406の凸部405a,406aと凹部406b,405bとの係合が解除され、スリップギア405のみが空転し、スリップギア406は停止した状態となる。
ギア列403〜408への過大な負荷が除去されると、ギア付勢ユニット5の−Z方向の付勢力により再びスリップギア405,406の凸部405a,406aと凹部406b,405bとが係合して斜面部405c,406cが互いに当接する。これにより、図10(a)に示す状態に戻り、電動によるズーム駆動を行うことが可能となる。なお、ギア付勢ユニット5の詳細については、図15を用いて後述する。
ギア列403〜408に負荷がかかる例としては、レンズ鏡筒2の繰り出し時に繰り出し方向に障害物があり、駆動筒224が回転できない状態でモータ401から駆動力が入力される場合などがある。このような場合でも、図10(b)に示すように、スリップギア405を空転させることにより、ギアの破損を防止することができる。
また、ギア付勢ユニット5によるスリップギア405への付勢を解除することで、スリップギア405からスリップギア406への回転の伝達経路が遮断される。この状態では、スリップギア406以降のギア列407,408及び駆動筒224は、手動により回転させることができる。
本実施形態では、図10(c)に示すように、ギア付勢ユニット5によるスリップギア405への付勢を解除して、駆動筒224をモータ401以外の外力により回転可能とすることで、手動によるズーム駆動を可能にしている。また、図10(a)に示すように、ギア付勢ユニット5によりスリップギア405が付勢された状態では、通常の電動によるズーム駆動を可能にしている。なお、図10(d)に示す、ズーム駆動を手動から電動へ切り替える際のスリップギアの押し込み開始動作については、図15を用いて後述する。
図11(a)はギアボックス4に取り付けられるギア連結切替機構3の分解斜視図、図11(b)は図11(a)に示すギア連結切替機構3を構成するギア付勢ユニット5の分解斜視図である。
図11(a)に示すように、ギア連結切替機構3は、ギア付勢ユニット5、支持部材301、規制シャフト302、ワッシャ303、及び規制シャフト付勢ばね304を有し、ギアボックス4の正面部に対してビス等により固定される。
図11(b)に示すように、ギア付勢ユニット5は、シャフト501、背面レバー502、付勢ばね503、及び正面レバー504を有し、組立後、Eリング505で固定することでユニット化されている。シャフト501には、図の右側の端部を除いてDカット形状部501aが形成されている。
このDカット形状部501aに背面レバー502、付勢ばね503、及び正面レバー504の順番で軸方向に挿入して正面レバー504を押しこみ、付勢ばね503が所定量圧縮された状態でEリング505をシャフト溝部501bに取り付ける。これにより、正面レバー504を固定端として、背面レバー502がシャフト501の軸方向にスライド可能に支持される。かかる支持状態では、Dカット形状部501aに係合するD形状の貫通穴を有する正面レバー504と背面レバー502は、同位相で回動可能になっている。
付勢ばね503は、前述したように、スリップギア405に対する軸方向の付勢力を発生しつつ、図11(b)に示すように、背面レバー502に形成された溝部502bに一方の端部503aが挿入され、他方の端部503bが正面カバー504に突き当てられる。これにより、付勢ばね503に捩り方向のチャージ力が発生してギア付勢ユニット5が回転方向に付勢される。
次に、図12を参照して、手動によるズーム操作時の駆動筒224の動作について説明する。図12(a)はズーム操作リング101及びレンズ鏡筒2の収納位置での断面図、12(b)はズーム操作リング101及びレンズ鏡筒2の撮影位置(繰り出し位置)での断面図である。
図12(a)に示す状態では、レンズ鏡筒2の駆動筒224は、ズーム操作リング101の内周部に固定された弾性部材116に対して軸方向に離間配置されている。このため、ズーム操作リング101を回転操作しても駆動筒224に回転が伝達されず、レンズ鏡筒2が繰り出すことはない。本実施形態では、レンズ鏡筒2の収納位置からの撮影位置への繰り出し動作や撮影位置から収納位置への繰り込み動作は電動で行われるため、電動によるズーム駆動時にはズーム操作リング101の回転が駆動筒224に伝達されないようにするためでもある。
また、弾性部材116による駆動筒224(レンズ鏡筒2)への更なる負荷の増加を回避することにより、レンズ鏡筒2の電動による円滑な繰り出し動作が可能となり、レンズ鏡筒2の繰り出しや繰り込みの駆動電流が増大するのを回避することができる。更に、レンズ鏡筒2の収納位置において、高温高湿状態の長期放置等で弾性部材116を係合や圧接させないことによって、弾性部材116の劣化の進行を抑制している。
図12(b)に示す状態では、レンズ鏡筒2の繰り出し動作で駆動筒224が図8で説明したように光軸方向被写体側に移動している。これにより、ズーム操作リング101の内周部に固定した弾性部材116に駆動筒224を光軸方向に係合させることで、ズーム操作リング101の回転が駆動筒224に伝達可能となる。このため、ズーム操作リング101を回転操作することで、ズーム操作リング101の回転が駆動筒224に伝達され、変倍系のレンズ群が光軸方向に移動することにより、手動によるズーム駆動が可能となる。
次に、図13乃至図15を参照して、ギア連結切替機構3の動作について説明する。図13(a)は、切替部材102が電動側に操作されたときのギア付勢ユニット5及び規制シャフト302の動作を説明する正面図である。図13(b)は、切替部材102が手動側に操作されたときのギア付勢ユニット5及び規制シャフト302の動作を説明する正面図である。
規制シャフト302は、正面レバー504のシャフト501の軸を中心とする回動動作に連動して軸方向に移動する。そして、規制シャフト302は、電動によるズーム駆動時には、駆動筒規制部302aがレンズ鏡筒2から離れる方向へ移動し(図13(a))、手動によるズーム駆動時には、駆動筒規制部302aがレンズ鏡筒2に近づく方向へ移動する(図13(b))。これにより、駆動筒224の回転範囲が制限される。なお、駆動筒224の回転範囲の制限については、図14を用いて後述する。また、切替部材102による正面レバー504の位相を切り替えについては、図15を用いて後述する。
図14(a)は、切替部材102が電動側に操作されたときのギア付勢ユニット5及び規制シャフト302の動作を説明する断面図である。図14(b)は、切替部材102が手動側に操作されたときのギア付勢ユニット5及び規制シャフト302の動作を説明する断面図である。
図14に示すように、規制シャフト302に形成された段差部302bには、ワッシャ303を係止され、ワッシャ303の周縁部は、正面レバー504の溝部504bに係合している。これにより、切替部材102の操作に連動して正面レバー504が回動すると、規制シャフト302は、支持部材301のガイド穴301aに沿って、駆動筒224に対して図の±X方向に進退移動する。
カメラ起動時や図14(a)に示す電動によるズーム駆動時、レンズ鏡筒2の収納時においては、規制シャフト302の駆動筒規制部302aは、駆動筒224から離間して配置され、駆動筒224は、回転範囲が非規制状態となる。規制シャフト302には、付勢ばね304とEリング305が取り付けられ、付勢ばね304は、固定端側となる支持部材301とEリング305との間に付勢された状態で挟持される。この付勢力は、図の+X方向、すなわち駆動筒224の回転範囲を非規制状態とする方向へ作用し、駆動筒224へ規制シャフト302を接触させない。
図14(b)に示す手動によるズーム駆動時には、駆動筒224に形成した係合溝224bに規制シャフト302の駆動筒規制部302aが係合することで、駆動筒224の回転範囲が制限される。この回転範囲の規制により、レンズ鏡筒2が撮影位置から収納位置に繰り込まれることを防いでおり、図12に示す弾性部材116と駆動筒224との係合が保障される。これにより、ユーザは、駆動筒224の回転範囲を意識することなく、ズーム動作が可能な範囲において手動によるズーム駆動を行うことができる。
図15(a)は、切替部材102が電動側に操作されたときのギア付勢ユニット5及び規制シャフト302の動作を説明する斜視図である。図15(b)は、切替部材102が手動側に操作されたときのギア付勢ユニット5及び規制シャフト302の動作を説明する斜視図である。
図15(a)に示す状態では、背面レバー502の押圧面502aが入力ギアとしてのスリップギア405の付勢突起部405dの先端を押さえ、更に付勢ばね503の付勢力は、押圧面502aが付勢突起部405dを押さえる方向に作用している。これにより、図10(a)に示すように、スリップギア405,406の凸部405a,406aと凹部406b,405bとが係合され、モータ401による電動ズーム駆動が可能となる。
図15(b)に示す状態では、図の+X方向にスライド操作した切替部材102の突起部102aに正面レバー504の当接部504aが押し込まれ、ギア付勢ユニット5は、シャフト501を軸にして反時計回り方向に回動する。これにより、図10(c)に示すように、背面レバー502の押圧面502aによるスリップギア405の付勢突起部405dの押さえ込みが解除される。この状態では、モータ401から駆動筒224への回転伝達経路が遮断され、ズーム操作リング101の回転操作による手動ズーム駆動が可能となる。
図15において、電動ズーム駆動及び手動ズーム駆動のいずれの場合においても、正面レバー504の当接部504aには、付勢ばね503の付勢力により切替部材102の突起部102aが当接している。このため、切替部材102のガタつきを抑えることが可能となる。
切替部材102の操作量は、背面レバー502の必要な回動量と駆動筒224の係合溝224bの深さによって決定される。すなわち、図15(a)及び図14(a)に示す電動によるズーム駆動状態でかつレンズ鏡筒2の沈胴状態では、規制シャフト302に対向する位置には係合溝224bが存在せず、規制シャフト302は、駆動筒224の外周面224fに対向する。そして、規制シャフト302が駆動筒224の外周面224fに当接することで、規制シャフトの302の移動が規制され、規制シャフト302に正面レバー504を介して連結されている切替部材102の手動側への操作も規制される。これにより、カメラ起動時には、必ず電動によるズーム駆動状態から起動することができ、誤操作を防止することができる。
本実施形態では、駆動筒224の係合溝224bの回転方向の範囲を光学ズームの至近側から望遠側までとすることで、レンズ鏡筒2の収納状態では、切替部材102を手動側へ切り替えることができないようになっている。これにより、電源オン時には、必ず電動によりレンズ鏡筒2の繰り出し動作が行われ、撮影までの時間を短縮することが可能となる。
また、撮影状態で切替部材102を手動側から電動側に戻した場合には、ギア付勢ユニット5は、付勢ばね503から常に図15の時計周り方向に付勢力を受けているため、背面レバー502は、スリップギア405の付勢突起部405dを押しこみながら回動する。このとき、図10(d)に示すように、スリップギア405の付勢突起部405dには、傾斜面が形成され、相手側の背面レバー502にも傾斜面502cが形成されている。これにより、背面レバー502による付勢突起部405dの押し込みが容易となり、スリップギア405とスリップギア406とを位相が合った状態で係合させることができる。
この背面レバー502の回動による傾斜面を利用したスリップギア405の押し込み機構は、スリップギア405を軸方向に押し込む機構と比較して、機構の簡略化及び省スペース化を図ることができ、カメラの小型薄型化を実現することができる。
以上説明したように、本実施形態では、非撮影領域である沈胴位置から撮影領域に電動で移行する間にレンズ鏡筒2の駆動筒224がズーム操作リング101の内周部の弾性部材116に係合する。これにより、ズーム操作リング101の回転が駆動筒224に弾性部材116を介して伝達可能になり、この状態で切替部材102を操作して電動又は手動によるズーム駆動を行うことができる。
これにより、手動によるズーム駆動と電動によるズーム駆動とを簡単な機構で切り替えることができ、レンズ鏡筒2ひいてはカメラ1の小型薄型化を実現することができる。また、ズーム操作リング101の回転を弾性部材116を介して駆動筒224に伝達するため、ズーム操作リング101の回転操作とレンズ駆動との間にタイムラグが生じるのを防止することができる。
なお、本発明の構成は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、ズーミングおけるレンズ駆動の手動/電動の切替について例示したが、これに限定されず、フォーカシングにおけるレンズ駆動の手動/電動の切替であってもよい。
また、上記実施形態では、撮像装置としてデジタルカメラを例示したが、これに限定されず、デジタルビデオカメラやその他の撮像装置であってもよい。