JP4054624B2 - 固体撮像装置およびその信号読み出し方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体撮像装置およびその信号読み出し方法に関し、より詳細には、MOS型固体撮像装置およびその信号読み出し方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体撮像装置は、信号電荷の読み出し方式の違いにより、CCD型とCMOS型に大別できる。
【0003】
後者のCMOS型固体撮像装置は、前者のCCD型固体撮像装置に比べて消費電力量が小さい点に優位性がある。近年、CMOS型固体撮像装置が数多く提案されている。
【0004】
CMOS型固体撮像装置は、APS(Active Pixel Sensor)と呼ばれる、画素内で信号を増幅するタイプのものが大半を占める。この場合、1画素は複数個のトランジスタで構成されているため、高精細な画像を得るために画素サイズを小さくすると、開口率が低くなって1画素の受光量が低下する。
【0005】
一方、MOS型と呼ばれる、画素をトランジスタ1個で構成するPPS(Passive Pixel Sensor)タイプの固体撮像装置があり、この場合は、上記したAPSタイプのもののような不具合がない。ところが、このPPSタイプのものは、信号電荷を垂直信号線に読み出す方式を採用しており、この場合、垂直信号線には大きな寄生容量が接続しているため、信号電圧が非常に小さくなり、信号対雑音比が悪くなる。
【0006】
上記MOS型固体撮像装置の欠点を補う信号読み出し方法として、固体HARP用高S/N信号読み出し回路の検討結果が報告されている(映像情報メディア学会技術報告:ITE Technical Report Vol.25,No.54,P.P.81〜86,IPU2001-63)。
【0007】
上記の回路の全体構成を図1に示し、そのうちの1列分の画素の信号電荷が出力に至るまでの、1垂直信号線分の回路構成を図2に示す。なお、図2では、1列に配列される複数の画素のうち1つの画素のみを示し、他の画素は省略している。
【0008】
図1に示すように、回路は、画素1が2次元アレイ状に配列され、垂直走査器(垂直走査回路)2および水平走査器(水平走査回路)3からのクロック信号によって駆動、制御される。なお、垂直走査器2および水平走査器3には、コントローラ4より所定の制御信号が送られる。
【0009】
画素1は、光を受光して電荷を生成するフォトダイオード1a、フォトダイオード1aをリセットするための画素リセットスイッチ1b、フォトダイオード1aに蓄積された電荷の垂直信号線への取り出しを制御するための垂直選択スイッチ1cとで構成され、垂直選択スイッチ1cは垂直信号線6に接続されている。
【0010】
垂直選択スイッチ1cをオンするためにゲート(ゲート電極)に印加するクロックは、垂直走査器2の出力を振幅制御クロック生成部7を通すことで生成される。振幅制御クロック生成部7は、クロック振幅制御回路7a、インバータ7b、7dおよびnMOSスイッチ7cより構成される。
【0011】
電荷転送回路5は、垂直信号線6へ取り出した電荷の転送を制御するための転送トランジスタ5aと、転送トランジスタ5aに負帰還をかける反転型増幅器5bと、転送トランジスタ5aを飽和領域で動作させる電圧に設定するための容量リセットスイッチ5cとで構成される。転送トランジスタ5aは、垂直信号線6上に設けられている。反転型増幅器5bは、入力に転送トランジスタ5aのソースが接続され、出力が転送トランジスタ5aのゲートに接続されている。容量リセットスイッチ5cは、転送トランジスタ5aのドレインに接続されている。
【0012】
さらに、転送トランジスタ5aの後段にはバッファ回路8aが設けられている。
【0013】
ここで、図2中、記号Cvは、垂直選択スイッチの拡散容量の1列の画素数分と垂直信号線6の配線容量の和である垂直信号線の浮遊容量を示し、記号Cpはバッファ回路8aの入力部寄生容量を示す。
【0014】
さらに、バッファ回路8aの後段には雑音低減化回路8bが設けられている。なお、参照符号3aは、水平走査器(水平走査回路)3で駆動される水平選択スイッチを示し、参照符号3bは、電荷を読み出す水平信号線を示す。
【0015】
上記のように構成された1垂直信号線分の回路の電荷読み出し動作について、さらに図3に示す電位分布図を参照して、以下説明する。
【0016】
図3(a)は、フォトダイオード1aに蓄積した信号電荷が垂直選択スイッチ1cをオンすることで垂直信号線6に読み出される様子を示す。
【0017】
信号電荷をフォトダイオード1aに蓄積するに先立ち、画素リセットスイッチ1bにより、フォトダイオード1aは、リセット電圧(電位)Vr1に設定されている。これにより、前フレーム分の信号電荷が仮に残留していてもリセットされるため、画面の残像の生成が抑制されている。
【0018】
フォトダイオード1aに信号電荷が蓄積した状態で、振幅制御クロック生成部7を通して、垂直選択スイッチ1cのゲートにフォトダイオード1aのリセット電圧Vr1よりも閾値分高く設定した振幅のクロックを印加し垂直選択スイッチ1cをオンすることで、信号電荷のみを読み出すことができる。
【0019】
ここで、信号電荷を電荷転送回路5に読み出すためには、信号電荷転送前の垂直信号線6の電圧(電位)がフォトダイオード1aのリセット電圧Vr1よりも高くなければならない。この垂直信号線6の電圧は、反転型増幅器5bの動作入力電圧(電位)がリセット電圧Vr1よりも高くなるように設定されることで実現される。
【0020】
図3(b)は、垂直信号線6上を信号電荷が転送され、さらに、転送トランジスタ5aにより入力部寄生容量Cpに読み出される様子を示す。
【0021】
ここで、信号電荷を垂直信号線6から入力部寄生容量Cpに読み出すためには、バッファ回路8aの入力のリセット電圧(電位)Vr2が信号電荷転送直前の垂直信号線6の電圧よりも高くなければならない。そのためには、反転型増幅器5bの動作入力電圧をリセット電圧Vr2よりも低くなるように設定する必要がある。
【0022】
信号電荷が読み出されることにより反転型増幅器5bの入力電圧が低下すると、その電圧変化分が増幅されて反転型増幅器5bから出力され、しかもその出力電圧(電位)が上昇するため、転送トランジスタ5aのゲート電圧が大きくなる。したがって、転送トランジスタ5aには大きな電流が流れ、垂直信号線6上の信号電荷の転送が高速で行われる。電荷転送過程が、このように高速で行われる動的過程であるため、実際には、垂直信号線6の電圧は殆ど変化しない。
【0023】
図3(c)は、入力部寄生容量Cpに信号電荷が全て転送された状態を示す。
【0024】
図3(b)の状態で信号電荷が転送される過程において、信号電荷が転送されるに従い垂直信号線6の電圧が徐々に上昇すると、今度は転送トランジスタ5aのゲート電圧が小さくなる。そして、図3(c)に示すように、入力部寄生容量Cpに信号電荷が全て転送されると、図3(a)の状態に戻る。
【0025】
このようにして、垂直信号線6の浮遊容量Cvの影響を受けずにフォトダイオード1aからバッファ回路8aの入力部寄生容量Cpへ信号電荷が転送される。
【0026】
入力部寄生容量Cpはフォトダイオード1aの等価容量に比べて十分小さくすることが可能なため、図3(c)に示すように信号電圧を増幅することができる。
【0027】
このため、上記の信号読み出し方法は、前記したAPSタイプのものと同様に、信号レベルを大きくすることで高い信号対雑音比(以下、S/Nと表記する。)を得ることができる。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の信号読み出し方法は、クロック振幅制御回路7aが各行に配置されるため、このクロック振幅制御回路7aの出力クロックばらつきが問題となる。
【0029】
すなわち、出力クロックばらつきが垂直信号線6に読み出される信号電荷のばらつきとなって現われるため、画面上で横縞状の固定パターン雑音となる。
【0030】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、垂直選択スイッチのゲートに印加するクロックの振幅の行間のばらつきを解消することにより、固定パターン雑音を軽減することができる固体撮像装置およびその信号読み出し方法を提供することを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る固体撮像装置は、入射した光を電荷に変換するフォトダイオードと、該フォトダイオードで発生した該電荷を読み出す垂直選択スイッチと、該フォトダイオードをリセットするリセットスイッチとを備え、画素が2次元アレイ状に配列され、各列の画素の電荷が垂直信号線を通して並列に読み出され、各列に配列された電荷転送回路およびバッファ回路を通して出力として取り出される固体撮像装置において、行列の全ての垂直選択スイッチのゲートのそれぞれにクロックを印加する1つの共通の振幅制御クロック生成部が設けられ、前記振幅制御クロック生成部は、前記フォトダイオードのリセット電位よりも垂直選択スイッチの閾値電圧分だけ高い出力電圧を発生するように構成されるとともに、前記出力電圧を各行の垂直選択スイッチのゲートに印加するための行選択スイッチが各行に設けられ、該行選択スイッチは、垂直走査器より出力される走査クロックによりオンオフされるように構成されてなることを特徴とする。
【0035】
また、本発明に係る固体撮像装置の信号読み出し方法は、請求項1記載の固体撮像装置の信号読み出し方法であって、1つの共通の振幅制御クロック生成部により行列の全ての垂直選択スイッチのゲートのそれぞれにクロックを印加し、前記振幅制御クロック生成部でフォトダイオードのリセット電位よりも垂直選択スイッチの閾値電圧分だけ高い出力電圧を発生し、該出力電圧を該垂直選択スイッチのゲートに印加するとともに、前記出力電圧は、各行に設けた行選択スイッチを介して前記垂直選択スイッチのゲートに印加され、該行選択スイッチのオンオフを垂直走査器より出力される走査クロックで行うことを特徴とする。
【0040】
【発明の実施の形態】
本発明に係る固体撮像装置の好適な実施の形態(以下、本実施の形態例という。)について、図を参照して、以下に説明する。なお、本実施の形態例において、図1、2で示した従来例と同一の構成要素については同一の参照符号を付すとともに重複する説明を省略する。
【0041】
本実施の形態例に係る固体撮像装置の回路の全体構成を図4に示す。
【0042】
本実施の形態例に係る固体撮像装置は、垂直スイッチ1cのゲートに印加する振幅制御クロック生成部19が図1、2で示した従来例の振幅制御クロック生成部7と相違する。
【0043】
本実施の形態例に係る固体撮像装置は、全画素の垂直スイッチ1cの共通の振幅制御クロック生成部19が1つのクロック振幅制御回路10を含む回路で構成されている。
【0044】
クロック振幅制御回路10の出力は、各行にそれぞれ1つずつ設けられた行選択スイッチ12のドレインに接続している。行選択スイッチ12のソースが行選択線14に接続している。各行の行選択線14に各列の垂直選択スイッチ1cのゲートが接続している。
【0045】
一方、垂直走査器2より出力される走査クロックは、行選択スイッチ12のゲートに接続するとともに、インバータ16を介してnMOSスイッチ18のゲートに接続している。nMOSスイッチ18は、ドレインが行選択線14に、ソースがグラウンドに接続されている。
【0046】
上記のように構成した本実施の形態例に係る固体撮像素子は、垂直走査器2より出力される走査クロックがHレベルのとき、行選択スイッチ12がオン、nMOSスイッチ18がオフとなり、行選択線14は、クロック振幅制御回路10の出力と等しい電位となる。一方、垂直走査器2より出力される走査クロックがLレベルのとき、行選択スイッチ12がオフ、nMOSスイッチ18がオンとなり、行選択線14はグラウンドレベルとなる。
【0047】
これにより、垂直走査器2より出力される走査クロックに同期したタイミングで、振幅がクロック振幅制御回路10の出力に等しいクロックを各垂直選択スイッチ1cのゲートに供給することができ、垂直選択スイッチ1cのゲートに印加するクロックの振幅の行間のばらつきに起因する固定パターン雑音を解消することができる。
【0048】
ここで、クロック振幅制御回路10の一例について、図5を参照して説明する。
【0049】
図5に示すクロック振幅制御回路10aにおいて、入力電圧を光電変換部1aのリセット電位Vr1と等しく設定し、nMOSトランジスタ20のサイズを垂直選択スイッチ1cと等しくし、nMOSトランジスタ22に流れる電流Ibを小さくとることにより、フォトダイオード1aのリセット電位Vr1よりも垂直選択スイッチ1cの閾値分だけ高い電圧を得ることができる。
【0050】
そして、上記の振幅がクロック振幅制御回路10aの出力に等しいクロックを垂直選択スイッチ1cのゲートに印加することにより、バイアス電荷を転送することなく、信号電荷のみを転送することができる。
【0051】
なお、このクロック振幅制御回路10a自体は、前記した固体HARP用高S/N信号読み出し回路の検討結果の中で報告されているものと同じである。
【0052】
本発明において、クロック振幅制御回路10は、上記のクロック振幅制御回路10aに限らず、フォトダイオード1aのリセット電位Vr1よりも垂直選択スイッチの閾値分だけ高い電圧を発生するものであれば、種々の態様のものを適用可能である。
【0053】
【発明の効果】
本発明に係る固体撮像装置およびその信号読み出し方法によれば、1つの共通の振幅制御クロック生成部により行列の全ての垂直選択スイッチのゲートのそれぞれにクロックを印加するため、垂直選択スイッチのゲートに印加するクロックの振幅の行間のばらつきに起因する固定パターン雑音を解消することができる。
【0054】
また、本発明に係る固体撮像装置およびその信号読み出し方法によれば、振幅制御クロック生成部でフォトダイオードのリセット電位よりも垂直選択スイッチの閾値電圧分だけ高い出力電圧を発生し、出力電圧を該垂直選択スイッチのゲートに印加するため、、バイアス電荷を転送することなく、信号電荷のみを転送することができる。
【0055】
また、本発明に係る固体撮像装置およびその信号読み出し方法によれば、出力電圧は、各行に設けた行選択スイッチを介して垂直選択スイッチのゲートに印加され、行選択スイッチのオンオフを垂直走査器より出力される走査クロックで行うため、垂直走査器より出力される走査クロックに同期したタイミングで、出力電圧を垂直選択スイッチのゲートに印加することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の固体撮像装置の回路の全体構成について、一部省略して示した図である。
【図2】 図1の固体撮像装置の回路のうち1垂直信号線を取り出して示した図である。
【図3】 図1の固体撮像装置の信号電荷読み出し方法を説明するための電位分布図である。
【図4】 本実施の形態例に係る固体撮像装置の回路の全体構成について、一部省略して示した図である。
【図5】 図4の固体撮像装置のクロック振幅制御回路の構成の一例を示した図である。
【符号の説明】
1 画素
1a フォトダイオード
1b 画素リセットスイッチ
1c 垂直選択スイッチ
2 垂直走査器
3 水平走査器
3a 水平選択スイッチ
3b 水平信号線
4 コントローラ
5a 転送トランジスタ
5b 反転型増幅器
6 垂直信号線
8a バッファ回路
8b 雑音低減化回路
10、10a クロック振幅制御回路
12 行選択スイッチ
14 行選択線
16 インバータ
18 nMOSスイッチ
19 振幅制御クロック生成部
20、22 nMOSトランジスタ
Claims (2)
- 入射した光を電荷に変換するフォトダイオードと、該フォトダイオードで発生した該電荷を読み出す垂直選択スイッチと、該フォトダイオードをリセットするリセットスイッチとを備え、画素が2次元アレイ状に配列され、各列の画素の電荷が垂直信号線を通して並列に読み出され、各列に配列された電荷転送回路およびバッファ回路を通して出力として取り出される固体撮像装置において、
行列の全ての垂直選択スイッチのゲートのそれぞれにクロックを印加する1つの共通の振幅制御クロック生成部が設けられ、
前記振幅制御クロック生成部は、前記フォトダイオードのリセット電位よりも垂直選択スイッチの閾値電圧分だけ高い出力電圧を発生するように構成されるとともに、
前記出力電圧を各行の垂直選択スイッチのゲートに印加するための行選択スイッチが各行に設けられ、
該行選択スイッチは、垂直走査器より出力される走査クロックによりオンオフされるように構成されてなることを特徴とする固体撮像装置。 - 請求項1記載の固体撮像装置の信号読み出し方法であって、
1つの共通の振幅制御クロック生成部により行列の全ての垂直選択スイッチのゲートのそれぞれにクロックを印加し、
前記振幅制御クロック生成部でフォトダイオードのリセット電位よりも垂直選択スイッチの閾値電圧分だけ高い出力電圧を発生し、該出力電圧を該垂直選択スイッチのゲートに印加するとともに、
前記出力電圧は、各行に設けた行選択スイッチを介して前記垂直選択スイッチのゲートに印加され、該行選択スイッチのオンオフを垂直走査器より出力される走査クロックで行うことを特徴とする固体撮像装置の信号読み出し方法。
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