JP4309639B2 - 固体撮像装置およびその画素信号の読み出し方法 - Google Patents

固体撮像装置およびその画素信号の読み出し方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体撮像装置およびその画素信号の読み出し方法に関し、より詳細には、MOS型固体撮像装置およびその画素信号の読み出し方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体撮像装置は、信号電荷の読み出し方式の違いにより、CCD型とCMOS型に大別される。
【0003】
後者のCMOS型固体撮像装置は、前者のCCD型固体撮像装置に比べて消費電力量が小さい点に優位性がある。近年、CMOS型固体撮像装置が数多く提案されている。
【0004】
CMOS型固体撮像装置は、APS(Active Pixel Sensor)と呼ばれる、画素内で信号を増幅するタイプのものが大半を占める。この場合、1画素は複数個のトランジスタで構成されているため、高精細な画像を得るために画素サイズを小さくすると、開口率が低くなって1画素の受光量が低下する。
【0005】
一方、MOS型と呼ばれる、画素をトランジスタ1個で構成するPPS(Passive Pixel Sensor)タイプの固体撮像装置があり、この場合は、上記したAPSタイプのものの不具合がない。ところが、このPPSタイプのものは、信号電荷を垂直信号線に読み出す方式を採用しており、この場合、垂直信号線には大きな寄生容量が接続しているため、信号電位が非常に小さくなり、信号対雑音比が悪くなる。
【0006】
上記MOS型固体撮像装置の欠点を補う信号読み出し方法として、固体HARP用高S/N信号読み出し回路の検討結果が報告されている(非特許文献1参照。)。
【0007】
上記の回路の全体構成を図1に示し、そのうちの1列分の画素の信号電荷が出力に至るまでの、1垂直信号線分の回路構成を図2に示す。なお、図2では、1列に配列される複数の画素のうち1つの画素のみを示し、他の画素は省略している。
【0008】
図1に示すように、回路は、画素1が2次元アレイ状に配列され、垂直走査器(垂直走査回路)2および水平走査器(水平走査回路)3からのクロック信号によって駆動、制御される。なお、垂直走査器2および水平走査器3には、コントローラ4より所定の制御信号が送られる。
【0009】
図2に示す1垂直信号線分の回路は、複数列の画素1および電荷転送回路5を備える。なお、図2中、1列分の画素1のみ表示し、他の列の画素は表示を省略している。
【0010】
画素1は、光を受光して電荷を生成するフォトダイオード1a、フォトダイオード1aをリセットするための画素リセットスイッチ1b、フォトダイオード1aに蓄積された電荷の垂直信号線への取り出しを制御するための垂直選択スイッチ1cとで構成され、それぞれ垂直信号線6に接続されている。なお、参照符号7は各行ごとにそれぞれ1個配列される電圧制御回路を示す。垂直選択スイッチ1cをオンするためにゲート(ゲート電極)に印加するクロックは、垂直走査器2の出力を電圧制御回路7を通すことで生成される。
【0011】
電荷転送回路5は、垂直信号線6へ取り出した電荷の転送を制御するための転送トランジスタ5aと、転送トランジスタ5aに負帰還をかける反転型増幅器5bと、転送トランジスタ5aを飽和領域で動作させる電位に設定するための容量リセットスイッチ5cとで構成される。転送トランジスタ5aは、垂直信号線6上に設けられている。反転型増幅器5bは、入力に転送トランジスタ5aのソースが接続され、出力が転送トランジスタ5aのゲートに接続されている。容量リセットスイッチ5cは、転送トランジスタ5aのドレインに接続されている。
【0012】
さらに、転送トランジスタ5aの後段にはバッファ回路8aが設けられている。
【0013】
ここで、図2中、記号Cvは、垂直選択スイッチの拡散容量の1行の画素数分と垂直信号線6の配線容量の和である垂直信号線の浮遊容量を示し、記号Cpはバッファ回路8aの入力側の寄生容量を示す。
【0014】
さらに、バッファ回路8aの後段には雑音低減化回路8bが設けられている。なお、参照符号3aは、水平走査器(水平走査回路)3で駆動される水平選択スイッチを示し、参照符号3bは、電荷を読み出す水平信号線を示す。
【0015】
上記のように構成された1垂直信号線分の回路の電荷読み出し動作について、さらに図3に示す電位分布図を参照して、以下説明する。
【0016】
図3(a)は、フォトダイオード1aに蓄積した信号電荷が垂直選択スイッチ1cをオンすることで垂直信号線6に読み出される様子を示す。
【0017】
信号電荷をフォトダイオード1aに蓄積するに先立ち、画素リセットスイッチ1bにより、フォトダイオード1aは、リセット電位Vr1に設定されている。これにより、前フレーム分の信号電荷が仮に残留していてもリセットされるため、画面の残像の生成が抑制されている。
【0018】
フォトダイオード1aに信号電荷が蓄積した状態で、電圧制御回路7を通して、垂直選択スイッチ1cのゲートにフォトダイオード1aのリセット電位Vr1よりも閾値分高く設定した電位のクロックを印加し垂直選択スイッチ1cをオンすることで、信号電荷のみを読み出すことができる。
【0019】
ここで、信号電荷を電荷転送回路5に読み出すためには、信号電荷転送前の垂直信号線6がフォトダイオードのリセット電位Vr1よりも高い電位Vでなければならない。この垂直信号線6の電位Vは、反転型増幅器5bの動作領域における入力電位がリセット電位Vr1よりも高くなるように設定されることで実現される。
【0020】
図3(b)は、垂直信号線6上を信号電荷が転送され、さらに、転送トランジスタ5aにより寄生容量Cpに読み出される様子を示す。
【0021】
ここで、信号電荷を垂直信号線6から寄生容量Cpに読み出すためには、バファ回路8aの入力のリセット電位Vr2が信号電荷転送直前の垂直信号線6の電位Vよりも高くなければならない。そのためには、反転型増幅器5bの動作領域における入力電位をリセット電位Vr2よりも低く設定する必要がある。
【0022】
信号電荷が読み出されることにより反転型増幅器5bの動作領域における入力電位が低下する。そして、その電位変化分が増幅されて反転型増幅器5bから出力され、しかもその出力電位が上昇するため、転送トランジスタ5aのゲート電位が大きくなる。したがって、転送トランジスタ5aには大きな電流が流れ、垂直信号線6上の信号電荷の転送が高速で行われる。電荷転送過程が、このように高速で行われる動的過程であるため、実際には、垂直信号線6の電位は殆ど変化しない。
【0023】
図3(c)は、寄生容量Cpに信号電荷が全て転送された状態を示す。
【0024】
図3(b)の状態で信号電荷が転送される過程において、垂直信号線6の電位が信号電荷が転送されるに従い徐々に上昇すると、今度は転送トランジスタ5aのゲート電位が小さくなる。そして、図3(c)に示すように、寄生容量Cpに信号電荷が全て転送されると、図3(a)の状態に戻る。
【0025】
以上説明した信号電荷の読み出し方法は、上記したように垂直選択スイッチ1cのゲートに印加するクロックの電位をフォトダイオードのリセット電位Vr1よりも垂直選択スイッチ1cの閾値分だけ高くなるように制御することで、信号電荷のみの読み出しを可能としている。したがって、信号電荷以外のバイアス電荷を転送したときに生じ得るダイナミックレンジの低下を招くことがない。
【0026】
また、以上説明した信号電荷の読み出し方法は、上記したように電荷転送過程において垂直信号線6の電位が殆ど変化しないため、垂直信号線5の浮遊容量Cvの影響を受けることなく、フォトダイオード1aからバッファ回路8aの寄生容量Cpに信号電荷が転送される。
【0027】
また、このとき、バッファ回路の寄生容量Cpはフォトダイオードの等価容量に比べて十分小さくすることができるため、図3(c)に示したように、小さい寄生容量Cpに信号電荷を転送することで信号電位を増幅することができる。
【0028】
したがって、信号レベルをAPSタイプと同様に大きくすることができ、これにより、高いS/N比を実現することができる。
【0029】
【非特許文献1】
映像情報メディア学会技術報告
:ITE Technical Report Vol.25,No.54,P.P.81〜86,IPU2001-63
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の信号電荷の読み出し方法は、各画素ごとに設けた垂直選択スイッチ1cの閾値にバラツキがあると、固定パターン雑音となって現われてしまう。
【0031】
また、各行に設けた電圧制御回路7の特性バラツキが読み出される信号電荷量のバラツキとなるため、画面上に横縞状の固定パターン雑音となって現われてしまう。
【0032】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、固定パターン雑音を低減することができる固体撮像装置およびその画素信号の読み出し方法を提供することを目的とする。
【0033】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る固体撮像装置は、入射した光を電荷に変換するフォトダイオードと、該フォトダイオードで発生した該電荷を読み出す垂直選択スイッチとで構成された画素が2次元アレイ状に配列され、水平走査回路と垂直走査回路によって駆動される固体撮像装置において、垂直信号線を介して前記垂直選択スイッチの出力側に接続される電荷転送回路であって、前記垂直信号線を介して前記垂直選択スイッチの出力側にソースが接続される転送トランジスタと、当該転送トランジスタのゲート−ソース間に挿入される反転型増幅器と、前記転送トランジスタのドレインに接続される容量リセットスイッチとを備え、列毎に配設される電荷転送回路と
画素外に配設され、前記垂直選択スイッチと前記電荷転送回路との間の垂直信号線に第1端子が接続されるとともに第2端子にリセット電位が印加され、前記フォトダイオードをリセットする画素リセットスイッチとを含み、前記垂直走査回路により1水平走査期間中に3個のクロック生成され前記3個のクロックの1個目は前記フォトダイオードから信号を読み出すためのクロックであり、3個目のクロックは前記1個目のクロックと同一レベルのクロックであって前記フォトダイオードをリセットするためのクロックであり、各行の前記垂直選択スイッチのゲートに該クロック印加され前記電荷転送回路を通して画素信号が並列に読み出される
【0034】
これにより、従来のように各行に設けた電圧制御回路を介して各行の垂直選択スイッチのゲートにクロックを印加する必要がないため、各行に電圧制御回路を設けた場合に起こり得る電圧制御回路の特性バラツキの影響を受けることがなく、画面上に横縞状の固定パターン雑音が現われることを軽減することができる。
【0042】
【発明の実施の形態】
本発明に係る固体撮像装置および画素信号の読み出し方法の好適な実施の形態(以下、本実施の形態例という。)について、図を参照して、以下に説明する。
【0043】
本実施の形態例に係る固体撮像装置の回路の全体構成を図4に示し、そのうちの1列分の画素の信号電荷が出力に至るまでの、1垂直信号線分の回路構成を図5に示す。なお、図5では、1列に配列される複数の画素のうち1つの画素のみを示し、他の画素は省略している。
【0044】
本実施の形態例に係る固体撮像装置の回路において、図1および図2に示した従来の回路と同一の構成要素については同一の参照符号を付すとともに重複する説明を省略する。
【0045】
本実施の形態例に係る固体撮像装置の回路は、画素リセットスイッチの配置が従来の回路と相違する。
【0046】
すなわち、画素10は、フォトダイオード1aおよび垂直選択スイッチ1cで構成されている。そして、垂直信号線6の画素1の列の端部と電荷転送回路5との間に画素リセットスイッチ12が1個のみ接続されている。但し、これに限定することなく、従来例のように各画素ごとに画素リセットスイッチを設けてもよい。
【0047】
また、前記した従来の回路において各列に設けられていた電圧制御回路7は本実施の形態例に係る固体撮像装置の回路には設けられておらず、各列の垂直選択スイッチ1cは、垂直走査器2によって直接駆動される。
【0048】
上記のように回路が構成される本実施の形態例に係る固体撮像装置の画素信号の読み出し方法について、さらに図6の工程図、図7のクロックパターン図および図8ならびに図9の電位分布図を参照して説明する。
【0049】
実際には、1水平期間では信号電荷読み出し、画素リセットの順で動作するが、ここでは説明の都合上、画素リセット動作から先に述べる。
【0050】
以下の各番号▲1▼〜▲6▼は、図7のクロックパターン図に付した各工程の番号と対応している。
【0051】
▲1▼ まず、画素リセットスイッチ12および垂直選択スイッチ1cのそれぞれのゲートに印加するクロックΦRS1およびΦをそれぞれHレベルにしてオンし、フォトダイオード1aを電位Vr1にリセットする(図6中、S1)。このとき、各ゲートに与えるクロックのレベル電位をVddとする。図8(a)には、この状態の垂直選択スイッチ1cおよび画素リセットスイッチ12の電位分布を示す。但し、クロックΦRS1およびΦのレベルは、垂直選択スイッチ1cおよび画素リセットスイッチ12のそれぞれが線形領域で動作するレベル、すなわち、リセット電位Vr1にスイッチの閾値分を加えた値よりも大きなものであれば、適宜のレベルに設定することができ、レベル電位をVddに限定するものではない。
【0052】
▲2▼ つぎに、画素リセットスイッチ12および垂直選択スイッチ1cのそれぞれのゲートに印加するクロックΦRS1およびクロックΦをそれぞれL(Low)レベルにしてオフする(図6中、S2)。図8(b)には、このときの垂直選択スイッチ1cおよび画素リセットスイッチ12の電位分布を示す。
【0053】
▲3▼ つぎに、垂直選択スイッチ1cのゲートに印加するクロックΦを▲1▼のときのHレベル(電位Vdd)よりも低いレベル(電位V)にするとともに、容量リセットスイッチ5cのゲートに印加するクロックΦRS2をHレベルにしてオンする(図6中、S3)。なお、クロックΦRS2の電位は、容量リセットスイッチ5cを構成するトランジスタの極性により、0またはVddのいずれもとりうる。
【0054】
このとき、クロックΦの電位Vをフォトダイオード1aのリセット電位Vr1に閾値分を加えた値よりもさらに大きな値とすることにより、フォトダイオード1aの電位がリセット電位Vr1よりも大きな値の電位Vra、すなわち、電位Vから閾値分を減じた値にリセットされる。また、容量リセットスイッチ5cをオンすることで、垂直信号線6の電位が反転型増幅器5bの入出力特性によって定まる、電位Vraよりも大きな定常値の電位Vrcにリセットされる(図6中、S3)。なお、この動作をさせるためには、図8(b)の段階で垂直信号線6の電位Vr1が電位Vrcよりも小さいことが必要である。図8(c)には、このときの垂直選択スイッチ1cおよび画素リセットスイッチ12の電位分布を示す。
【0055】
▲4▼ つぎに、垂直選択スイッチ1cおよび容量リセットスイッチ5cをオフし、光電変換された信号電荷をフォトダイオード1aに蓄積する(図6中、S4)。図8(d)には、このときの垂直選択スイッチ1cおよび画素リセットスイッチ12の電位分布を示す。
【0056】
▲5▼ 上記リセット、信号電荷蓄積動作から1フレーム後、容量リセットスイッチ5cをオンし、信号電荷の転送先である寄生容量Cp端を電位Vr2にリセットする(図6中、S5)。図9(a)には、このときの垂直選択スイッチ1cおよび転送トランジスタ5aの電位分布を示す。
【0057】
▲6▼ つぎに、垂直選択スイッチ1cのクロックΦを▲3▼のフォトダイード1aリセット時と同じ電位Vで印加し、信号電荷を垂直信号線6に読み出す(図6中、S6)。その後は、電荷転送回路5の動作原理に従い、信号電荷が寄生容量Cpに転送される。図9(b)には、このときの垂直選択スイッチ1cおよび転送トランジスタ5aの電位分布を示す。
【0058】
なお、▲3▼および▲6▼において、垂直選択スイッチ1cのクロックΦを、同一の電位Vにすることなく、それぞれ、リセット電位Vr1にスイッチの閾値分を加えた値よりも大きなものであれば、個別に適宜のレベルに設定してもよい。
【0059】
また、記述を省略したが、上記▲5▼、▲6▼の動作に合わせて雑音低減化回路8bを動作させ、容量リセットスイッチ5cに起因するリセット雑音を低減する。雑音低減化回路8bによる雑音と信号のサンプルホールドが完了した後、再び▲1▼に戻って、フォトダイオード1aのリセット動作を行う。
【0060】
ここで、従来例の電圧制御回路7を介することなく、垂直選択スイッチ1cのゲートに直接印加するクロックを生成する垂直走査器(垂直走査回路)2の具体的な構成例を2例示す。
【0061】
垂直走査器2の第1の例について、図10の回路構成および図11のクロックパターン図を参照して説明する。
【0062】
垂直走査器2は、前記したように、1水平走査期間中に、振幅の異なる2種類のクロックを3個出力し、垂直選択スイッチ1cに供給する。以下、動作を順を追って説明する。
【0063】
走査クロック発生回路14は、各段当たり1個のクロックΦを1段目から順に出力し、ゲートスイッチ16、18のゲートに供給する。
【0064】
ゲートスイッチ16、18のドレインからクロックΦp1、Φp2を入力する。クロックΦp1は、図7のクロックΦのクロックパターンのうち電位Vのクロックに同期したクロックであり、クロックΦp2は、図7のクロックΦのクロックパターンのうち電位Vddのクロックに同期したクロックである。クロックΦ、Φp1、Φp2の振幅(電位)はVddである。
【0065】
ゲートスイッチ16のソースはNOR回路20の入力端子およびnMOSトランジスタ22に接続されている。なお、ゲートスイッチ16からnMOSトランジスタ22に至るラインには、波形整形、タイミング調整のための偶数個のインバータを挿入してもよい。
【0066】
ゲートスイッチ18のソースはNOR回路20の他方の入力端子およびインバータ24を介してpMOSトランジスタ26のゲートに接続されている。なお、ゲートスイッチ18からpMOSトランジスタ26に至るラインには、波形整形、タイミング調整のための奇数個のインバータを挿入してもよい。図10では、インバータ1個を挿入した例を示している。
【0067】
NOR回路20の出力は、CMOSインバータ28に入力されている。nMOSトランジスタ22およびpMOSトランジスタ26は、CMOSインバータ28の電源電位V、Vddを選択するスイッチとなっている。
【0068】
クロックΦp1またはクロックΦp2がHレベルのとき、CMOSインバータ28が振幅Vまたは振幅Vddのクロックを出力する。この出力クロックが垂直選択スイッチ1cに入力される。図11に垂直走査器2のクロックパターンを示す。
【0069】
つぎに、垂直走査器2の第2の例について、図12の回路構成を参照して説明する。第2の例の回路の機能は第1の例と同じである。なお、第1の例と同じ構成要素については同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0070】
垂直走査器2の第2の例の回路は、走査クロック発生回路14と、各行に配置されたゲート回路30と、行外に1個単独に配置されたクロックパターン生成回路32とで構成されている。
【0071】
クロックパターン生成回路32は、第1の例の回路からゲートスイッチ16、18を除いた構成となっている。このクロックパターン生成回路32の出力は、クロックΦp1に同期した振幅Vのクロックと、クロックΦp2に同期した振幅Vddのクロックとから生成されるクロックとなる。
【0072】
ゲート回路30は、インバータ34と、pMOSトランジスタ36およびnMOSトランジスタ38で構成された転送ゲート40と、nMOSトランジスタ42を有する。
【0073】
走査クロック発生回路14の1段目から順次出力されるクロックΦは、インバータ34を介してpMOSトランジスタ36およびnMOSトランジスタ42に、また、直接nMOSトランジスタ38に入力される。なお、走査クロック発生回路14からインバータ34に至るラインには、波形整形、タイミング調整のための偶数個のインバータを挿入してもよい。
【0074】
ゲート回路30は、第1の例のゲートスイッチ16、18と同じ役割を担っており、クロックパターン生成回路32で生成したクロックを走査クロック発生回路14の出力クロックΦに同期して、1行目から順に走査するクロックパターンに変換する。クロックパターンは、第1の例について示した図11と同じものである。
【0075】
垂直走査器2の第2の例は、クロックパターン生成回路32を行外に出しているため、第1の例に比べて回路規模が小さくなり、また、クロックパターンの生成を1つの回路で行うため、特性バラツキが抑制される。
【0076】
なお、ここでは、振幅の異なる2種類のクロック3個を各ライン(垂直信号線)に順番に出力するための回路を示したが、これに限定するものではなく、振幅の異なる数種類のクロック数個を各ラインに順番に出力する構成としてもよいことは勿論である。
【0077】
以上説明した本実施の形態例に係る固体撮像装置および画素信号の読み出し方法は、垂直選択スイッチ1cの閾値にバラツキがあったとしても、信号電荷蓄積開始時と信号電荷読み出し終了時のフォトダイード1aの電位が同じVより閾値分だけ低い電位に設定されているため、垂直選択スイッチ1cの閾値のバラツキの影響を受けることなく、信号電荷のみを読み出すことができる。このため、垂直選択スイッチ1cの閾値のバラツキに起因する固定パターン雑音が抑制される。
【0078】
また、垂直走査器2から、振幅の異なる2種類のクロックを3個出力し、各行の垂直選択スイッチ1cの列に順次供給するため、従来例のように電圧制御回路を各列に設ける必要がなく、電圧制御回路を各列に設けたときに生じ得る画面上の横縞状の固定パターン雑音が軽減される。
【0079】
また、フォトダイオード1aのリセット電位を画素リセットスイッチ12で設定される電位とは異なる値に設定するため、従来例のように画素リセットスイッチを各画素ごとに設けたときに生じ得る固定パターン雑音が軽減される。
【0080】
なお、本発明の画素信号読み出し方法は、本実施の形態例の構成に限らず、本発明のリセット方法を他の適宜の信号電荷読み出し方法と組み合わせて用いてもよく、また、本発明の信号電荷読み出し方法を他の適宜のリセット方法と組み合わせて用いてもよい。
【0081】
また、本発明の垂直走査器のクロック生成回路は、本実施の形態例の第1および第2の例に限らず、レベルの異なる複数種類のクロックよりなる垂直走査クロックを生成する場合に適用することができる。また、本構成を水平走査器に適用して、レベルの異なる複数種類のクロックよりなる水平走査クロックを生成することもできる。
【0082】
【発明の効果】
本発明に係る固体撮像装置によれば、入射した光を電荷に変換するフォトダイオードと、該フォトダイオードで発生した該電荷を読み出す垂直選択スイッチとで構成された画素が2次元アレイ状に配列され、水平走査回路と垂直走査回路によって駆動される固体撮像装置において、垂直信号線を介して前記垂直選択スイッチの出力側に接続される電荷転送回路であって、前記垂直信号線を介して前記垂直選択スイッチの出力側にソースが接続される転送トランジスタと、当該転送トランジスタのゲート−ソース間に挿入される反転型増幅器と、前記転送トランジスタのドレインに接続される容量リセットスイッチとを備え、列毎に配設される電荷転送回路と
画素外に配設され、前記垂直選択スイッチと前記電荷転送回路との間の垂直信号線に第1端子が接続されるとともに第2端子にリセット電位が印加され、前記フォトダイオードをリセットする画素リセットスイッチとを含み、前記垂直走査回路により1水平走査期間中に3個のクロック生成され前記3個のクロックの1個目は前記フォトダイオードから信号を読み出すためのクロックであり、3個目のクロックは前記1個目のクロックと同一レベルのクロックであって前記フォトダイオードをリセットするためのクロックであり、各行の前記垂直選択スイッチのゲートに該クロック印加され前記電荷転送回路を通して画素信号が並列に読み出されるため、各行に電圧制御回路を設けた場合に起こり得る電圧制御回路の特性バラツキの影響を受けることがなく、画面上に横縞状の固定パターン雑音が現われることを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の固体撮像装置の回路の全体構成について、一部省略して示した図である。
【図2】 図1の固体撮像装置の回路のうち1垂直信号線を取り出して示した図である。
【図3】 図1の固体撮像装置の信号電荷読み出し方法を説明するための電位分布図である。
【図4】 本実施の形態例に係る固体撮像装置の回路の全体構成について、一部省略して示した図である。
【図5】 図4の固体撮像装置の回路のうち1垂直信号線を取り出して示した図である。
【図6】 図4の固体撮像装置の信号電荷読み出し方法を説明するための工程図である。
【図7】 図4の固体撮像装置の信号電荷読み出し方法を説明するためのクロックパターン図である。
【図8】 図4の固体撮像装置の信号電荷読み出し方法を説明するための電位分布図であり、リセット段階について説明したものである。
【図9】 図4の固体撮像装置の信号電荷読み出し方法を説明するための電位分布図であり、信号電荷読み出し段階について説明したものである。
【図10】 図4の固体撮像装置の垂直走査器の第1の例の回路を示した図である。
【図11】 図10の垂直走査器のクロック生成方法を説明するためのクロックパターン図である。
【図12】 図4の固体撮像装置の垂直走査器の第2の例の回路を示した図である。
【符号の説明】
1a フォトダイオード
1c 垂直選択スイッチ
2 垂直走査器
3 水平走査器
5 電荷転送回路
5a 転送トランジスタ
5b 反転型増幅器
5c 容量リセットスイッチ
6 垂直信号線
10 画素
12 画素リセットスイッチ
14 走査クロック発生回路
16、18 ゲートスイッチ
20 NOR回路
22、38、42 nMOSトランジスタ
24、34 インバータ
26、36 pMOSトランジスタ
28 CMOSインバータ
30 ゲート回路
32 クロックパターン生成回路
40 転送ゲート

Claims (2)

  1. 入射した光を電荷に変換するフォトダイオードと、該フォトダイオードで発生した該電荷を読み出す垂直選択スイッチとで構成された画素が2次元アレイ状に配列され、水平走査回路と垂直走査回路によって駆動される固体撮像装置において、
    垂直信号線を介して前記垂直選択スイッチの出力側に接続される電荷転送回路であって、前記垂直信号線を介して前記垂直選択スイッチの出力側にソースが接続される転送トランジスタと、当該転送トランジスタのゲート−ソース間に挿入される反転型増幅器と、前記転送トランジスタのドレインに接続される容量リセットスイッチとを備え、列毎に配設される電荷転送回路と
    画素外に配設され、前記垂直選択スイッチと前記電荷転送回路との間の垂直信号線に第1端子が接続されるとともに第2端子にリセット電位が印加され、前記フォトダイオードをリセットする画素リセットスイッチと
    を含み、
    前記垂直走査回路により1水平走査期間中に3個のクロック生成され前記3個のクロックの1個目は前記フォトダイオードから信号を読み出すためのクロックであり、3個目のクロックは前記1個目のクロックと同一レベルのクロックであって前記フォトダイオードをリセットするためのクロックであり、各行の前記垂直選択スイッチのゲートに該クロック印加され前記電荷転送回路を通して画素信号が並列に読み出される、固体撮像装置。
  2. 前記3個のクロックの2番目のクロックは、前記1番目と前記3番目のクロックよりもレベルの高いクロックである、請求項1に記載の固体雑像装置。
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