JP4054416B2 - 金型洗浄装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は温度制御機構を備えた合成樹脂成形金型の洗浄装置に関し、詳しくは、金型の樹脂成形面等に付着する樹脂カスやガス焼け等の付着物を短時間で確実に除去することが出来るようにした金型洗浄装置において、洗浄槽内に収容する電解洗浄液の温度を最適温度に制御して、電解洗浄液による洗浄効果を向上させるものである。
【0002】
【従来の技術】
合成樹脂用金型は、樹脂製品の成形量に伴ってその内面に樹脂カスや、ガスによる焼け跡等の付着物が付着し、これらの付着物は、後に樹脂成形する製品の離型を悪くして、成形不良につながる等の不都合が生じる。よって、成形用金型は定期的に取り外して洗浄し、上記付着物を除去しなければならない。
【0003】
従来、この種の成形金型用の洗浄装置として、本出願人は先に特開平7−214570号において図14および図15に示す洗浄装置を提供している。この洗浄装置は電解洗浄と超音波洗浄とを併用して金型の洗浄を短時間で効率良く行うことができる利点を有するものである。図14および図15中において、1は洗浄槽、2は洗浄槽内に着脱自在に挿入する金型保持カゴ、3は洗浄槽内に吊り下げるプラス側電極であり、マイナス極側となる上記金型保持カゴ2内に保持された金型5との間に電流を流すと共に、洗浄槽1の底面に取り付けた超音波振動子4により洗浄槽内の電解洗浄液を超音波振動を発生させ、よって、電解洗浄と超音波洗浄とを併用して、金型5の洗浄を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した金型洗浄装置は電解洗浄と超音波洗浄とを併用しているため、極めて効率良く短時間で金型の付着物を除去でき、洗浄効果が優れた利点を有するものであるが、洗浄液の温度制御機構を具備していないため、使用環境の温度条件によっては洗浄効果が劣る場合があると共に、洗浄液の温度によっては金型表面に問題を発生させる場合がある。
【0005】
即ち、洗浄液の温度は30℃〜70℃、特に、60℃〜70℃まで加熱すると洗浄力が増加するが、70℃を越えると、洗浄液として強アルカリ洗浄液を用いているため、金型を形成する炭素鋼が強アルカリ液と反応して、アリカリ焼と称する茶色いシミで金型表面が覆われる問題が発生する。この洗浄装置を高温地域で使用すると、洗浄液の温度が70℃以上に達する場合があり、よって、洗浄液の温度を70℃を越えないように制御する必要がある。
【0006】
一方、洗浄液の温度が30℃よりも低いと洗浄力が劣り、所要の洗浄効果を得るには洗浄時間が長くかかる問題がある。また、気象条件によっては、洗浄液を加熱しないと30℃に達しない場合が多い。
【0007】
本発明は上記した問題に鑑みて、洗浄槽内の強アルカリ溶液かなる電解洗浄液の温度を30℃〜70℃の範囲となるように制御して、洗浄力を高め、短時間で効率よく金型の洗浄が行えるようにすることを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、第1に、電解洗浄液を収容する洗浄槽内に被洗浄物である金型を浸漬し、該金型をマイナス側、洗浄槽内に浸漬した電極をプラス側に接続して電流を供給して電解洗浄を行う金型洗浄装置において、
上記洗浄槽の外周面あるいは/および内周面に沿って、発熱抵抗線を合成ゴム、シリコンゴムシートの間に配した面状ヒータあるいはベルトヒータを取り付けて、洗浄槽の外周面あるいは/および内周面に熱面を形成する一方、
電解洗浄液の温度を検出する温度センサーを設け、該温度センサーを制御装置に接続し、温度センサーに検出した温度に応じて、上記ヒータをオン・オフ制御して、上記電解洗浄液の温度を50℃〜70℃の範囲に自動制御し、かつ、
上記電解洗浄液として、アンモニア化合物は含まず、水酸化ナトリウムあるいは/および水酸化カリウム、EDTAのアルカリ塩グルコン酸ナトリウムを含むアルカリ溶液を用いていることを特徴とする金型洗浄装置を提供している。
【0009】
記ベルトヒータ(テープヒータ)の場合は、洗浄槽の外周面あるいは/および内周面に螺旋状に巻き付けて、熱面を構成するようにしている。また、これらヒータにはサーモスタットを取り付けていることが好ましい。
【0010】
上記のように、洗浄槽の外周面あるいは/および内周面に沿ってヒータを取り付けて熱面を形成しておくと、該ヒータにより洗浄槽内に収容する電解洗浄液の温度を洗浄力の強い30℃〜70℃の範囲に容易に制御することができる。よって、金型の洗浄を効率よく短時間で行うことができる。特に、熱面を形成して、面状加熱を行うと、洗浄液の温度分布を均一化できると共に、温度制御を迅速に行え、かつ、温度密度、精度とも向上させることができる利点がある。また、洗浄槽の外周面に沿って面状に取り付けるとスペースを取らず、洗浄装置の大型化を防止できると共に、内周面に沿って取り付けた場合もスペースをとらず洗浄槽内の洗浄容積を減少しない利点がある。
【0011】
また、本発明は、第2に、電解洗浄液を収容する洗浄槽内に被洗浄物である金型を浸漬し、該金型をマイナス側、洗浄槽内に浸漬した電極をプラス側に接続して電流を供給して電解洗浄を行う金型洗浄装置において、
上記電解洗浄液を収容した洗浄槽の電解洗浄液の内部に、石英、セラミック、ステンレス、チタン、あるいは、鉄や真鍮にクロームメッキを施したパイプ型のヒータを着脱自在に投入し、
電解洗浄液の温度を検出する温度センサーを設け、該温度センサーを制御装置に接続し、温度センサーに検出した温度に応じて、上記ヒータをオン・オフ制御して、上記電解洗浄液の温度を50℃〜70℃の範囲に自動制御し、かつ、
上記電解洗浄液として、アンモニア化合物は含まず、水酸化ナトリウムあるいは/および水酸化カリウム、EDTAのアルカリ塩グルコン酸ナトリウムを含むアルカリ溶液を用いていることを特徴とする金型洗浄装置を提供している。
【0012】
上記のようにヒータを着脱自在に電解洗浄液中に投入するタイプとすると、温度条件により必要に応じてヒータを投入して電解洗浄液を所要温度に加熱することができる。また、所要温度に達した後は洗浄槽から取り出しておくと、洗浄時に邪魔にならず、使い勝手を良くすることができる。
【0013】
記温度センサーを制御装置に接続し、該制御装置にタイマーを付設して、使用前日からタイマーでセットし、始業時間には洗浄液の温度が0℃〜70℃の範囲の所要温度となるようにすることも好ましい。
【0014】
本発明は、第3に、電解洗浄液を収容する洗浄槽内に被洗浄物である金型を浸漬し、該金型をマイナス側、洗浄槽内に浸漬した電極をプラス側に接続して電流を供給して電解洗浄を行う金型洗浄装置において、
上記電解洗浄液として、アンモニア化合物は含まず、水酸化ナトリウムあるいは/および水酸化カリウム、EDTAのアルカリ塩グルコン酸ナトリウムを含むアルカリ溶液を用い、
上記洗浄槽の内周面に沿って、温度制御用パイプを少なくとも1周配管し、該温度制御パイプの入口と出口を温度制御源と配管で接続し、該温度制御源より温度制御したエア、水、油等の熱媒体流体を上記温度制御用パイプに流通させ、かつ、
電解洗浄液の温度を検出する温度センサーを設け、該温度センサーを制御装置に接続し、温度センサーに検出した温度に応じて、上記温度制御用パイプと温度制御源とを接続する配管に介設したバルブを開閉し、上記電解洗浄液の温度を50℃〜70℃の範囲に自動制御していることを特徴とする金型洗浄装置を提供している。
【0015】
温風あるいは冷風を供給する場合は、上記温度制御用パイプに少なくとも1つの噴き出し口を設け、該温度制御用パイプに供給する温風あるいは冷風を電解洗浄液中に噴出させるようにしている。なお、温水あるいは冷水は電解洗浄液中に噴出させずに、洗浄液中を循環させた後に外部に放出してもよい。さらに温度制御源へ循環させてもよい。
【0016】
洗浄液を加熱するために温水を供給する場合には、60℃〜100℃の温水、あるいは100℃〜200℃に加熱した温油を、ステンレス、鉄、チタンなどの金属製のポンプを用い循環させている。また、温水は、瞬間湯沸器方式あるいはボイラーで加熱した温水を予備槽に一旦供給し、該予備槽より洗浄槽に供給することが好ましい。温風あるいは冷風は温風・冷風発生器で発生させたものを用いている。
【0017】
洗浄槽内で内周面に沿って配管する温度制御パイプは底面側に沿って1周させた後に上面開口端から突出させて配管と連続させても良いし、内周面に沿って底面より上端まで螺旋状に巻き付けてもよい。また、該パイプに噴き出し口を設けて、温風あるいは冷風を供給する場合は、噴き出し口は1カ所でも良いし、所要間隔をかけて複数個の噴き出し口を設けてもよい。
【0018】
上記エア、水、油等の熱媒体流体を用いて温度制御する場合も、洗浄槽内に温度センサーを配置して、洗浄槽内に収容した電解洗浄液の温度を検出すると共に、上記温度センサーを制御装置に接続し、温度センサーに検出した温度に応じて、上記温度制御用パイプと温度制御源とを接続する配管に介設したバルブを開閉し、上記電解洗浄液の温度を30℃〜70℃の範囲に自動制御することが好ましい。
【0019】
さらに、上記電解洗浄液の温度が30℃未満、好ましくは50℃未満の時は加熱用の温度制御源より温水あるいは温風を供給し、70℃を越える時は冷却用の温度制御源より冷水あるいは冷風を供給する構成としている。即ち、洗浄槽内に配管したパイプを加熱用あるいは冷却用に併用している。
【0020】
さらにまた、上記洗浄槽を外カバーで覆い、該外カバーにルーバーを設けている。即ち、洗浄槽を外カバーで覆う場合には、該外カバーと洗浄槽の間に熱が籠もって加熱するため、ルーバーを設けて放熱している。
【0021】
上記洗浄槽内の電解洗浄液に超音波振動を発生させる振動子を設けていることが好ましい。即ち、洗浄槽内での金型の洗浄は電解洗浄のみでも効果があるが、さらに超音波振動による洗浄を組み合わせると、洗浄力が強めることができる。
【0022】
上記洗浄槽内に収容する電解洗浄液は、水酸化ナトリウムあるいは/および水酸化カリウム、EDTAのアルカリ塩、グルコン酸ナトリウムを含むアルカリ溶液からなり、該電解洗浄液を循環あるいは洗浄層内に貯留している。上記EDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)のアルカリ塩としては、EDTAのカルボン酸基の水素原子の全部あるいは一部がアルカリ金属原子で置換された化合物であり、具体例としては、EDTA2ナトリウム塩、EDTA4ナトリウム塩を挙げることができる。
【0023】
より詳しくは、本発明に係わる洗浄装置は、上記温度制御機構と共に、
洗浄槽内の電解洗浄液を振動させる上記超音波振動子と、
内部に被洗浄物となる金型を収容し、該金型と共に上記洗浄槽内に挿脱自在に装着して上記電解洗浄液に浸漬されるメッシュ状の金属製のカゴと、
上記電解洗浄液内に挿脱自在に浸漬する電極と、
上記電極に陽極(+)を供給すると共に上記カゴを介して金型に陰極(−)を供給する給電機構と、
洗浄水を洗浄槽の底面から排出してポンプで洗浄槽の上面へと戻す循環配管と、
洗浄槽の上面を作業時に閉鎖するカバー、作業停止時に閉鎖する蓋を備えていることが好ましい。さらに、上記循環配管には、ポンプの上流側に、内部にろ布を備えた浄化タンクを介在させ、排出した電解洗浄液を洗浄して上記循環用ポンプにより、洗浄槽内に供給することが好ましい。
なお、上記ろ布を備えた浄化タンクはポンプの下流側に設ける場合もある。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施形態を参照して詳細に説明する。
図1乃至図9が本発明の金型洗浄装置の第1実施形態を示し、該洗浄装置は超音波方式と電解方式の洗浄方法を併用して、金型5に付着した樹脂等の付着物を短時間で確実に除去するようにしている。
【0025】
洗浄装置は、キャスター付のフレーム10の上部仕切板10a上の一側部に洗浄槽11を固定しており、他側部に電源器12、制御器13、循環ポンプ14の所要の駆動装置を搭載し、かつ、下部仕切板10b上に浄化タンク16、電解用変換器17などを搭載して、フレーム10の外周面を外カバー18で閉鎖している。
【0026】
上記洗浄槽11は上面開口のボックス形状で、その外周面の略全面に沿ってシリコンゴムヒータからなる面状ヒータ15を取り付け、該面状ヒータ15を上記制御器13を介して電源器12に接続し、所要時にオンして洗浄槽11を介して内部に収容する電解洗浄液20を60℃に加熱するようにしている。
【0027】
上記面状ヒータ15は2枚のシリコンラバーシートの間に発熱抵抗線を配して一体化したもので、厚さ約1.5mmで可撓性を有し、洗浄槽11の外面に止具を用いて固定している。上記発熱抵抗線に通電することにより約200度に加熱するものを用いている。
【0028】
上記電解洗浄液20は水に水酸化ナトリウムあるいは/および水酸化カリウムにグルコン酸ナトリウム等を混合したアルカリ溶液を用いている。該電解洗浄液20は洗浄槽11内に、被洗浄物である金型5の量に応じて所要レベルまで収容しており、所要時に洗浄槽11の底壁11aに設けた取出口11bより循環管30に排出し、浄化タンク16内に導いて濾過した後、循環ポンプ14で吸い上げて、洗浄槽11の上面開口へと投入して循環させるようにしている。なお、電解洗浄液の量は、洗浄槽11にゲージ(図示せず)を取り付けて制御しても良いし、洗浄槽11の内周面にマーキングを施して制御しても良い。
【0029】
洗浄槽11内には温度センサー19を取り付けて、電解洗浄液20の温度を常時検出し、該検出値を上記制御器13に入力し、検出値が上限設定値(本実施形態では70℃に達すると、上記面状ヒータ15への通電をオフしている。また、検出値が下限設定値(本実施形態では50℃)に達すると、面状ヒータ15への通電をオンしている。さらに、制御器13にはタイマー(図示せず)を設置して、始業前から作動させて、始業時には電解洗浄液20の温度が50℃〜70℃の範囲で約60℃になっているようにしている。なお、電解洗浄液の温度は上記範囲に限定されず、30℃〜70℃の範囲であれば好適に使用できる。
【0030】
上記洗浄槽11はステンレス製で、その上面開口を囲む外周フランジ部の上面にジュラコンからなる絶縁ベース21を取り付けている。該洗浄槽11の内部には金属製の金型保持カゴ22を、その支持腕22aを上記絶縁ベース21に吊り下げて着脱自在に吊り下げるようにしており、かつ、洗浄槽11内で、洗浄槽11の底面、内周面にカゴ22が接触しないようにしている。該金型保持カゴ22はパンチングメタルからなる底部22bより上記支持腕22aを突設し、該支持腕22aに設けた上部屈折部22cを絶縁ベース21上に載置して取り付けている。其の際、上記絶縁ベース21の対向する2辺上に取り付けたステンレス製の給電板23に一部の支持腕22aを位置きめ載置している。なお、金型保持カゴ22の支持腕22aは洗浄槽11の内面と接触して通電しないように絶縁被覆を施しており、上記給電板23との接触部分のみ絶縁被覆を設けていない。
【0031】
上記給電板23は図8に示すように、絶縁ベース21内を貫通する長尺な通電ボルト24で絶縁ベース21に固定し、通電ボルト24の下端をブスバー25に連結し、該ブスバー25を電解用変換器17のマイナス側電極に接続している。上記ブスバー25は耐熱性を有するチューブ26で外装している。
【0032】
同様に、上記絶縁ベース21の他の対向する2辺上に、同様の給電板27を取り付けて、前記マイナス側給電板23と同様に、通電ボルト、ブスバー、電解用交換気17のプラス側電極と接続している。この給電板27上には、図5および、図9に示すように、洗浄槽11の中央部に着脱自在に軸架する導電支持棒28の両端が位置決め載置される。
【0033】
上記導電支持棒28には、長さ方向に一定間隔をあけて取付穴28aを設け、これら取付穴28aに、上部縦軸29aの下端を横方向に2又に分岐させ、これら分岐部29bの先端を下向きに屈曲させ、その下端に円形の電極板29cを揺動可能に取り付けた電極材29を上下長さ調整可能に取り付け、導電支持棒28に間隔をあけて並列に吊り下げた電極板29cが金型および保持カゴ22と接触しないようにしている。即ち、上部縦軸29aの外周面にネジを形成しておき、該上部縦軸29aを取付穴28aに挿入し、該上部縦軸29aに蝶螺子34を締め付けて導電支持棒28に取り付けることにより、螺子締め位置を変えて、円形電極板29cの高さを調節している。
【0034】
上記電解用変換器17は交流の電源器12と接続し、電流を交流から直流に変換して電解洗浄用の上記電極と金型保持カゴ22に電流を供給している。なお、電源器12と電解用変換器17とは一体として構成したものを用いてもよい。上記のように、電極材29を電解用変換器17のプラス側、上記金型保持カゴ22をマイナス側に接続することにより、電解洗浄液20を介して通電させて電解方式の洗浄を行うようにしている。
【0035】
上記導電棒28、電極材29の上部縦軸29a、分岐軸29bは鉄またはステンレス等により形成し、円形の電極板29cはグラファイト(100%の炭素を1500℃で焼結したもの)で形成している。また、電極板29cの下面以外は表面を絶縁処理しているが、給電板27と接触させる導電棒28の両端は露出させて電気接続がなされるようにしている。
【0036】
さらに、上記洗浄槽11の底面には、超音波方式の洗浄を行う超音波を発生する振動子(図示せず)を取り付け、該振動子を電源器22と接続し、洗浄槽11内の電界洗浄液20に超音波振動を発生させるようにしている。
【0037】
さらに、上記フレーム10に取り付ける外カバー18にはルバー40を設け、フレーム内部に熱が籠もらないようにして、洗浄槽11や超音波振動子の異常加熱を防止している。さらに、外カバー18には電線コードを引っかけるフック42を設け、電源器12と外部電源(図示せず)とを接続するワイヤー43を引っかけるようにしている。さらに、外カバー18には操作盤および表示盤の取付用凹部45を設け、該凹部に各種表示器41Aおよび作業時間設定用のタイマー等の操作器41Bを設置しており、該表示用凹部45を透明カバー46で開閉自在としている。さらにまた、外カバー18には電極材29の設置ボックス47を着脱自在に保持する保持部(図示せず)を設け、使い勝手をよくしている。
【0038】
また、洗浄槽11の上面開口外周の絶縁ベース21には、作業時に、洗浄槽開口に向かってシュート状に収縮する形状の幅広の樋48を着脱自在に取り付けている。該樋48は耐アルカリ性のチタンやステンレス製または樹脂製としており、金型や金型保持カゴを洗浄槽11から持ち出す度に、金型やカゴに付着して持ち出される洗浄液を樋48で受け止めて洗浄槽11へ戻すようにしている。さらに、作業時に、洗浄槽11より洗浄液がオーバーフローしても、樋48により外部へ水漏れを防止し、洗浄槽11へと戻るようにしている。
【0039】
さらに、洗浄槽11の上面開口に取り付けるカバー49を設けており、該カバーにガス排出管60を接続している。該カバー49を洗浄槽に被せると、作業時に発生するガスが拡散するのを防止できると共に、外部へ排出することができる。また、作業停止時に被せておくと、ゴミ等が洗浄槽11内に落下するのを防ぐことができる。
【0040】
上記構成からなる洗浄装置では、作業時に、まず、洗浄槽11に電解洗浄液20を投入し、ついで、金型保持カゴ22に洗浄する金型5を搭載して洗浄槽11内に取り付けるとともに、電極材29を洗浄槽11に取り付ける。其の際、金型保持カゴ22は給電板23と接続させると共に電極材29は給電板27と接続させる。ついで、洗浄槽11の外周面に取り付けた面状ヒータ15をオンして加熱し、洗浄槽11内の電解洗浄液20を約60℃まで加熱する。なお、以後、面状ヒータ15は、温度センサー19と制御器13とで、オン/オフが自動制御され、電解洗浄20を約60℃に保つ。
【0041】
電解洗浄液が60℃に達した後に、作業タイマーを作動させて、給電板23、27から金型保持カゴ22と電極材29とに通電し、電解洗浄液20を通して、金型保持カゴ22に保持された金型5の電解洗浄を行う。このとき、電解用変換器17の電圧を調整し、出力する直流電圧を設定している。
【0042】
上記タイマーで設定した作業時間が経過すると、通電が自動停止され洗浄作業を終了する。金型5の付着物が完全に除去出来なかった場合には、再度、タイマー設定して洗浄作業を行う。
【0043】
電解方式と超音波方式の洗浄方法を併用した本発明の洗浄装置は、超音波方式の洗浄方法により、金型5の外部より樹脂カス等の付着物に振動を与えて付着物を破壊すると共に、電解方式の洗浄方法により内部より発生する水素ガスにより金型5から付着物を浮き上がらせ、付着物を金型5より剥離して除去する。かつ、其の際、電解洗浄液20を約60℃に加熱しているため、強い洗浄力を発揮させることができる。
【0044】
図10(A)(B)は上記第1実施形態の変形例を示し、図10(A)では、面状ヒータ15にかえてベルトヒータ15’を用いている。該ベルトヒータ15’は第1実施形態と同様にシリコンゴムシートの間に発熱抵抗体を通したものをベルト状に構成しており、該ベルトヒータ15’を洗浄槽11の外周面に底面側より上端にかけて螺旋状に巻き付けて熱面を形成している。図10(B)は洗浄槽11の外周面に第1実施形態と同様な面状ヒータ15を取り付けると共に、内周面の底部側にベルトヒータ15’を一周巻き付け、洗浄槽11の内外両面より加熱している。
【0045】
図11は第2実施形態を示し、洗浄槽11の電解洗浄液20内にパイプ形状の石英ヒータ50を必要時に投入し、直接的に電解洗浄液を所要温度に加熱している。この投げ込み型のヒータとしては、石英ヒータの他に、セラミック、ステンレス、チタン、あるいは、鉄や真鍮にクロームメッキを施したパイプ型のヒータ等が好適に用いられる。
【0046】
図12は第3実施形態を示し、洗浄槽11の内周面に底面側より上端にかけて温度制御用のパイプ52を螺旋状に巻き付けている。該パイプ52の底面側先端は閉鎖端とし、洗浄槽11の上端開口より突出した先端を配管53を介して温度制御源54に接続している。パイプ52は一定間隔をあけて噴き出し口52aを設けている。また、上記配管53には開閉バルブ55を取り付け、制御器13により開閉を自動制御している。上記温度制御源54は温風発生器からなり、発生させた温風を配管53を通して洗浄槽11内のパイプ52に導通し、電解洗浄液20内に温風を噴き出すようにしている。
【0047】
上記のように電解洗浄液20内に温風を噴き出すことにより電解洗浄液を迅速に加熱できると共に、電解洗浄液の量を増加させず、洗浄槽11より電解洗浄液がフローすることを防止できる。
【0048】
図13は第3実施形態の変形例を示し、上記温風に変えて温水を供給している。この場合には、洗浄槽11内に噴き出し口を設けていない温度制御用パイプ52’を配管し、循環用配管56を介して温水発生器57に接続している。
【0049】
なお、気温の高い地域で使用し、洗浄液が加熱しなくても70℃を越える場合には、上記温風あるいは温水に変えて、冷風あるいは冷水を供給している。また、上記温風発生器を温風と冷風とを選択的に発生させることができる構成して、電解洗浄液の検出温度に応じて、温風あるいは冷風を送るようにしてもよい。即ち、電解洗浄液の温度が30℃未満の時は加熱用の温度制御源より温水あるいは温風を供給し、70℃を越える時は冷却用の温度制御源より冷水あるいは冷風を供給する構成としている。
【0050】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明に係る温度制御機構を備えた金型洗浄装置によると、洗浄槽内に収容する電解洗浄液を0℃〜70℃、好ましくは60℃の近傍に保持できるため、電解洗浄液の洗浄力を高めることができ、その結果、金型に付着した樹脂カス等の付着物を短時間に確実に除去することができる。
【0051】
即ち、洗浄槽の外周面に面状ヒータを取り付けると、スペースを取ることなく洗浄液を所要温度に保持できる。また、洗浄槽内に必要に応じて投入するヒータを用いると、所要時に迅速に洗浄液を加熱することができる。さらに、洗浄槽内に温度制御用パイプを取り付けて、温風、温水、あるいは冷風、冷水を洗浄液中を循環させる構成としても、洗浄液を所要温度に迅速に加熱あるいは冷却することができる。
【0052】
さらに、洗浄槽内に温度センサーを取り付け、該温度センサーを制御器に接続して、温度センサーの検出値に応じてヒータを自動制御すると、洗浄作業中、洗浄液を所要温度に確実に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の洗浄装置の第1実施形態を示す概略平面図である。
【図2】 図1の概略右側面図である。
【図3】 図1の概略正面図である。
【図4】 上記洗浄装置の使用時の斜視図である。
【図5】 図1の洗浄装置の要部斜視図である。
【図6】 図5の一部拡大斜視図である。
【図7】 金型保持カゴの斜視図である。
【図8】 給電機構を示す概略図である。
【図9】 洗浄槽の上面に樋を取り付けた状態の斜視図である。
【図10】 (A)(B)は第1実施形態の変形例を示す概略断面図である。
【図11】 第2実施形態を示す概略断面図である。
【図12】 第3実施形態を示す概略断面図である。
【図13】 第3実施形態の変形例を示す概略断面図である。
【図14】 従来例の斜視図である。
【図15】 上記従来例の要部断面図である。
【符号の説明】
5 金型
10 フレーム
11 洗浄槽
12 電源器
13 制御器
15 面状ヒータ
22 金型保持カゴ
23、27 給電板
28 導通支持棒
29 電極材
50 石英ヒータ
52 温度制御用パイプ
53 温風発生器

Claims (8)

  1. 電解洗浄液を収容する洗浄槽内に被洗浄物である金型を浸漬し、該金型をマイナス側、洗浄槽内に浸漬した電極をプラス側に接続して電流を供給して電解洗浄を行う金型洗浄装置において、
    上記洗浄槽の外周面あるいは/および内周面に沿って、発熱抵抗線を合成ゴム、シリコンゴムシートの間に配した面状ヒータあるいはベルトヒータを取り付けて、洗浄槽の外周面あるいは/および内周面に熱面を形成する一方、
    電解洗浄液の温度を検出する温度センサーを設け、該温度センサーを制御装置に接続し、温度センサーに検出した温度に応じて、上記ヒータをオン・オフ制御して、上記電解洗浄液の温度を50℃〜70℃の範囲に自動制御し、かつ、
    上記電解洗浄液として、アンモニア化合物は含まず、水酸化ナトリウムあるいは/および水酸化カリウム、EDTAのアルカリ塩グルコン酸ナトリウムを含むアルカリ溶液を用いていることを特徴とする金型洗浄装置。
  2. 電解洗浄液を収容する洗浄槽内に被洗浄物である金型を浸漬し、該金型をマイナス側、洗浄槽内に浸漬した電極をプラス側に接続して電流を供給して電解洗浄を行う金型洗浄装置において、
    上記電解洗浄液を収容した洗浄槽の電解洗浄液の内部に、石英、セラミック、ステンレス、チタン、あるいは鉄や真鍮にクロームメッキを施したパイプ型のヒータを着脱自在に投入し、
    電解洗浄液の温度を検出する温度センサーを設け、該温度センサーを制御装置に接続し、温度センサーに検出した温度に応じて、上記ヒータをオン・オフ制御して、上記電解洗浄液の温度を50℃〜70℃の範囲に自動制御し、かつ、
    上記電解洗浄液として、アンモニア化合物は含まず、水酸化ナトリウムあるいは/および水酸化カリウム、EDTAのアルカリ塩グルコン酸ナトリウムを含むアルカリ溶液を用いていることを特徴とする金型洗浄装置。
  3. 電解洗浄液を収容する洗浄槽内に被洗浄物である金型を浸漬し、該金型をマイナス側、洗浄槽内に浸漬した電極をプラス側に接続して電流を供給して電解洗浄を行う金型洗浄装置において、
    上記電解洗浄液として、アンモニア化合物は含まず、水酸化ナトリウムあるいは/および水酸化カリウム、EDTAのアルカリ塩グルコン酸ナトリウムを含むアルカリ溶液を用い、
    上記洗浄槽の内周面に沿って、温度制御用パイプを少なくとも1周配管し、該温度制御パイプの入口と出口を温度制御源と配管で接続し、該温度制御源より温度制御したエア、水、油等の熱媒体流体を上記温度制御用パイプに流通させ、かつ、
    電解洗浄液の温度を検出する温度センサーを設け、該温度センサーを制御装置に接続し、温度センサーに検出した温度に応じて、上記温度制御用パイプと温度制御源とを接続する配管に介設したバルブを開閉し、上記電解洗浄液の温度を50℃〜70℃の範囲に自動制御していることを特徴とする金型洗浄装置。
  4. 上記金型を保持した金属製の金型保持カゴを洗浄槽内の電解洗浄液に浸漬すると共に、これら金型の上方から該金型と接触しないように上下長さ調節可能の電極材を吊り下げ、該電極材と上記金属製の金型保持カゴとを電源のプラス側とマイナス側とに接続し、上記電解洗浄液を介して通電して上記金型の電解洗浄を行う構成としている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の金型洗浄装置。
  5. 上記電極材は鉄、ステンレスあるいはチタンからなり、該電極材の下端に取り付ける電極板を鉄、ステンレス、チタンあるいはグラファイトから形成している請求項4に記載の金型洗浄装置。
  6. 上記金型は合成樹脂成形用の金型である請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の金型洗浄装置。
  7. 上記洗浄槽を外カバーで覆い、該外カバーにルーバーを設けている請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の金型洗浄装置。
  8. 上記洗浄槽内の電解洗浄液に超音波振動を発生させる振動子を設けている請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の金型洗浄装置。
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