JP4053180B2 - フロントフォークにおけるオイルロック構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、フロントフォークの最圧縮時における衝撃を緩和するオイルロック構造の改良に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】
自動二輪車の前輪側に架装されるフロントフォークは、その最圧縮時に車体側チューブと車軸側チューブとの間における衝突を回避する、すなわち、衝撃を緩和するように設定されるが、この衝撃緩和は、従来、オイルロック構造で具現化されることが多い。
【0003】
そして、このオイルロック構造は、たとえば、車軸側チューブのボトム部に固定状態に配在されているオイルロックピースが上方から下降して来る車体側チューブの下端部の内周に保持されているオイルロックカラーの内周側に嵌合するように設定されている。
【0004】
そしてまた、このオイルロック構造は、オイルロックピースとオイルロックカラーとの間での嵌合が高速下に発現される場合には、オイルロックピースとオイルロックカラーとの間に出現する隙間を油が通過するときの抵抗が、すなわち、絞り抵抗が大きくなり、車体側チューブの下降速度を、すなわち、フロントフォークの圧縮速度を抑える一方で、オイルロックピースの背後側などに区画されるオイルロック室に立つロック圧で車体側チューブの下降を、すなわち、フロントフォークのそれ以上の圧縮を強制的に阻止するとしている。
【0005】
それゆえ、一般的に言って、このオイルロックピースとオイルロックカラーからなるオイルロック構造によってフロントフォークにおける最圧縮時の衝撃を緩和し得ることになるが、その一方で、フロントフォークが最圧縮状態から伸長状態に反転するときに負圧音が発生される危惧がある。
【0006】
すなわち、上記した言わば従来のオイルロック構造にあっては、オイルロックピースが車軸側チューブのボトム部に固定状態に配在されていて、このオイルロックピースに被さるようにオイルロックカラーが嵌合する。
【0007】
そして、オイルロック室は、上記の隙間を通る油の流れが阻止されることで、ロック圧を発生させ、このロック圧でフロントフォークの最圧縮を阻止する。
【0008】
このことからすると、フロントフォークが最圧縮状態から伸長状態に反転するときにも、両者間の隙間を通る油の流れ、すなわち、オイルロック室への油の吸い込みも阻止されることになる。
【0009】
それゆえ、フロントフォークが最圧縮状態から反転して伸長する場合には、オイルロック室が負圧状態になり、したがって、言わば外側から強制的に油を吸い込むことになり、その結果、油の吸い込み音、すなわち、負圧音が発生することになる。
【0010】
のみならず、フロントフォークが最圧縮状態から伸長状態に反転し始める当初には、オイルロック室に負圧が発生することから、フロントフォークの伸長開始が円滑に実現されない不具合もある。
【0011】
そこで、この負圧音の発生を阻止すべく、たとえば、オイルロックピース周りにロック圧が立つことを可能にする一方で油の吸い込みを許容するチェック弁を配在するとの提案がある。
【0012】
しかしながら、このチェック弁を配在する提案にあっては、オイルロックピース周りの構造を複雑にする不具合がある他に、チェック弁に油中のゴミが詰まるような場合には、所定のロック圧を立てることが不可能になる危惧がある。
【0013】
この発明は、上記した事情を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、所定の衝撃緩和を実現し得るのはもちろんのこと、オイルロックピース周りの構造を複雑にせずして、負圧音の発生を抑制するのに最適となるオイルロック構造を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、この発明の手段は、 車軸側チューブ内に車体側チューブを出没自在に挿入し、車軸側チューブの軸芯部にシートパイプを起立させ、このシートパイプの下端部の外周に筒状のオイルロックピースを挿入し、車体側チューブの下端部の内周にオイルロックカラーを保持し、このオイルロックカラーを車体側チューブの最下降時に上記のオイルロックピースの外周に嵌合して衝撃を緩和させるフロントフォークにおけるオイルロック構造において、シートパイプの下端部に直径方向に貫通する長孔を形成し、オイルロックピースをシートパイプの下端部の外周に上下移動自在に挿入すると共に当該オイルロックピースの内周側に直径方向にむけて固着したガイドピンを上記長孔内に上下移動自在に挿入し、更に、 シートパイプの内周側に調整パイプを上下動自在に挿入し、当該調整パイプの上端で車体側チューブを伸側方向に附勢する懸架ばねの下端を担持しながら下端をガイドピンに係止させたことを特徴とする。
【0015】
この場合、調整パイプの下端が筒状のシート部材を介してガイドピンに当接させているのが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、図示した実施の形態に基づいて、この発明を説明するが、この発明によるオイルロック構造にあっても、前記した従来のオイルロック構造の場合と同様に、自動二輪車の前輪側に架装されるフロントフォークに具現化されている。
【0017】
なお、以下に図示する各実施の形態において、その構成が同様となるところについては、各図毎において同一の符号を付するのみとして、要する場合を除き、その詳しい説明を省略する。
すなわち、本発明のフロントフォークは、従来と同じく、車軸側チューブ内に車体側チューブを出没自在に挿入し、車軸側チューブの軸芯部にシートパイプ3を起立させ、このシートパイプ3の下端部の外周に筒状のオイルロックピース4を挿入し、車体側チューブの下端部の内周にオイルロックカラー5を保持し、このオイルロックカラー5を車体側チューブの最下降時に上記のオイルロックピース4の外周に嵌合して衝撃を緩和させるものである。
そして、本発明では、シートパイプ3の下端部に直径方向に貫通する長孔3eを形成し、オイルロックピース4をシートパイプ3の下端部の外周に上下移動自在に挿入すると共に当該オイルロックピース4の内周側に直径方向にむけて固着したガイドピン10を上記長孔3e内に上下移動自在に挿入している。
更に、 シートパイプ3の内周側に調整パイプ14を上下動自在に挿入し、当該調整パイプ14の上端で車体側チューブを伸側方向に附勢する懸架ばね13の下端を担持しながら下端をガイドピン10に係止させている。
この実施の形態では、調整パイプの下端が筒状のシート部材15を介してガイドピン10に当接させている。
【0018】
以下詳しく説明する。
すなわち、まず、図1に示すように、フロントフォークは、下端側部材たる車軸側チューブ、すなわち、アウターチューブ1内に上端側部材たる車体側チューブ、すなわち、インナーチューブ2を出没可能に挿通させている。
【0019】
そして、アウターチューブ1の軸芯部にはシートパイプ3を固定状態に配在させ、このシートパイプ3の下端部の外周にこの発明によるオイルロック構造を構成するオイルロックピース4を摺動可能に介装している。
【0020】
また、インナーチューブ2は、下端部の内周に上記のオイルロックピース4と共にこの発明によるオイルロック構造を構成するオイルロックカラー5を保持していて、このオイルロックカラー5がインナーチューブ2の最下降時にその内周側に上記のオイルロックピース4を嵌合させるとしている。
【0021】
少し説明すると、まず、アウターチューブ1は、図示しないが、下端が自動二輪車の前輪の車軸に連結され、インナーチューブ2は、同じく図示しないが、上端部が自動二輪車の車体に連繋されながらハンドルを固着させるブラケットに連結される。
【0022】
そして、アウターチューブ1に対してインナーチューブ2が出没可能に挿通されるとし、このとき、インナーチューブ2の下端外周に介装されている軸受6がアウターチューブ1の内周に摺接して摺動性を保障している。
【0023】
つぎに、シートパイプ3は、アウターチューブ1におけるボトム部1aの軸芯部に下方外部から挿通される締付ボルト7の下端縮径部3aへの螺合で、アウターチューブ1の軸芯部に固定状態に起立されている。
【0024】
そして、このシートパイプ3は、図2にも示すように、下端部近傍に、すなわち、後述するオイルロックピース4の上端に近隣する部位にそこを貫通して内周側と外周側との連通を可能にし、圧側減衰力の発生を可能にするオリフィスとしての通孔3bを有している。
【0025】
また、このシートパイプ3は、図3にも示すように、上端側がインナーチューブ2の下端側の内周側に臨在されていて、この状態下に、上端拡径部3cの外周に介装されているシール8がインナーチューブ2の内周に摺接することで、この上端拡径部3cのいわゆる上方側と下方側との連通を遮断している。
【0026】
さらに、このシートパイプ3は、上端拡径部3cの下方となる上端近傍部にそこを貫通して内周側と外周側との連通を可能にして伸側減衰力の発生を可能にするオリフィス3dを有している。
【0027】
ちなみに、この図3に示す状態は、フロントフォークがほぼ伸切状態にあるときだが、このときには、上記の上端拡径部3cと後述するオイルロックカラー5との間に配在されている衝撃緩和用の伸切ばね9が最収縮に近い状態にある。
【0028】
オイルロックピース4は、図2に示すように、上記したシートパイプ3の下端部の外周に摺動可能にかつその間での油の流れが阻止される状態に介装されていて、同一の肉厚で適宜の長さの円筒状に形成される本体部4aと、この本体部4aの上端に一体に連設されて上方に延在され外周面をテーパー面4bとする油孔桿部4cとを有している。
【0029】
そして、このオイルロックピース4にあって、本体部4aの下端面がこのオイルロックピース4における受圧面を形成していている。
【0030】
なお、上記の油孔桿部4cは、上端側になるに従い肉厚を徐々に薄くするようにして上記のテーパー面4bを形成している。
【0031】
ところで、このオイルロックピース4は、本体部4aにいわゆる掛け渡されるように水平に、すなわち、直径方向に配在されて、内周側に固着されたガイドピン10を有している。
【0032】
そして、このガイドピン10は、オイルロックピース4の本体部4aが摺接するシートパイプ3の下端部に開穿された長孔3eに挿通している。
【0033】
ちなみに、この長孔3eは、シートパイプ3の軸線方向に沿うように開穿されていて、上記のガイドピン10がこの長孔3e内で上昇するときに、これを妨げない長さを有するように設定されている(図4参照)。
【0034】
また、長孔3eの下端位置は、オイルロックピース4が下降していて、ボトム部1aに着座している状態のときに、ガイドピン10の下端に接触しない位置となるように設定されている(図2参照)。
【0035】
なお、上記のガイドピン10の両端は、オイルロックピース4の外周に突出しないように設定されているのはもちろんである。
【0036】
オイルロックカラー5は、前記したインナーチューブ2の下端部の内周に保持されているが、上下端が加圧変形されたほぼ筒状に形成されていて、下端がインナーチューブ2の下端内周にカシメ固着されることで保持されるとし、上端部の内周に伸側減衰バルブ11を有している。
【0037】
そして、このオイルロックカラー5は、言わば本体部となる中間部の内径を前記したオイルロックピース4における本体部4aの外径に一致させている。
【0038】
ちなみに、前記した伸側減衰バルブ11は、オイルロックカラー5の上端部の内周側に上下動可能に収装されていながら上端側に配在のノンリタンスプリング12(図3参照)で下降方向に附勢されていわゆる着座した状態に、すなわち、バルブ閉の状態に維持されている。
【0039】
そして、この伸側減衰バルブ11は、シートパイプ3の外周に摺接する下端側の内周に油漏れを許容する隙間(図示および符示せず)を有し、シートパイプ3の外周に対向することになる上端側の内周に下方の隙間に連通する環状溝11aを有していて、シートパイプ3の外周との間に環状隙間(符示せず)を形成している(図3参照)。
【0040】
また、この伸側減衰バルブ11は、上端側の外周側に切欠部11bを有していて(図3参照)、この伸側減衰バルブ11が上昇したときに、この伸側減衰バルブ11の下方側の油が上方側に滞りなく流れ得るように配慮している。
【0041】
なお、この伸側減衰バルブ11の配在で、シートパイプ3の外周側であってこの伸側減衰バルブ11の上方側に伸側油室R1が区画されると共に、同じくシートパイプ3の外周側であってこの伸側減衰バルブ11の下方側に圧側油室R2が区画され、このとき、シートパイプ3の内周側は、いわゆるリザーバ室R3とされる。
【0042】
それゆえ、以上のように形成されたフロントフォークにあっては、自動二輪車に架装された状態で以下のように伸縮作動する。
【0043】
すなわち、まず、ライダーが搭乗した状態の自動二輪車が良路たる平坦路を走行する場合の伸長時には、インナーチューブ2がアウターチューブ1内から突出して伸側油室R1が収縮され、この伸側油室R1からの油がオリフィス3dを通過してリザーバ室R3に流出される。
【0044】
このとき、オリフィス3dを油が通過することで伸側の減衰力が発生すると共に、この実施の形態にあっては、減衰バルブ11の内周とシートパイプ3の外周との間での隙間流れが許容されていて、この隙間流れによる伸側の減衰力も発生する。
【0045】
なお、このとき、圧側油室R2で不足する量の油がリザーバ室R3から通孔3bを介して補給される。
【0046】
つぎに、同じく平坦路を走行する場合の圧縮時には、インナーチューブ2がアウターチューブ1内に没入し、このとき、伸側油室R1で不足する油が圧側油室R2から減衰バルブ11を開放して流入すると共に、インナーチューブ2の没入量に相当する量の油が圧側油室R2から通孔3bを通過してリザーバ室R3に流出される。
【0047】
そして、通孔3bを油が通過することで圧側の減衰力が発生する。なお、上記の減衰バルブ11の開放時には、減衰力発生はない。
【0048】
さらに、自動二輪車が悪路を走行するなどで、フロントフォークが大きいストロークで、しかも、高速で伸縮する場合には、以下のように作動する。
【0049】
まず、大きいストロークでの伸長時には、インナーチューブ1の下端部の内周に保持されているオイルロックカラー5の上端が伸切ばね9に当接し、この伸切ばね9が収縮することで、最伸長時の衝撃が緩和される。
【0050】
つぎに、大きいストロークでの圧縮時には、インナーチューブ1の下端部の内周に保持されているオイルロックカラー5がアウターチューブ1におけるボトム部1aに配在されているオイルロックピース4に被さるように嵌合する。
【0051】
このとき、嵌合の開始時には、図示しないが、オイルロックカラー5の内周とオイルロックピース4の外周との間に形成される隙間を介して言わばボトム部1a側からの油がリザーバ室R3側に流出し、油が上記の隙間を通過することによる絞り抵抗でフロントフォークの圧縮速度が抑えられる。
【0052】
その一方、上記の隙間を油が通過することによる絞り抵抗の発生で、オイルロックカラー5を保持するインナーチューブ2によってアウターチューブ1のボトム部1aにオイルロック室Rが区画されると共に、このオイルロック室Rにおけるロック圧でフロントフォークのそれ以上の圧縮が阻止される。
【0053】
【0054】
そして、上記したオイルロック室Rにおけるロック圧の発生時には、この発明にあって、オイルロックピース4の下端面にオイルロック圧が作用して、オイルロックピース4がシートパイプ3に副って上昇可能とされているから、図4に示すように、オイルロックピース4が上昇した状態になる。
【0055】
それゆえ、この発明にあっては、オイルロックピース4が上昇するときには、このオイルロックピース4が上昇した分だけ、オイルロックカラー5とオイルロックピース 4 との嵌合ストロークが大きくなると言い得る。
【0056】
一方、フロントフォークが最圧縮状態から反転して伸長するときには、オイルロックピース4がシートパイプ3に副って昇降可能とされているから、上昇していたオイルロックピース4が速やかに下降し得て応答性に優れることになり、したがって、オイルロック室Rにおける負圧現象を抑制し得て負圧音の発生を抑制し得ると共に、フロントフォークが速やかに伸長作動し得ることになる。
【0057】
上記したところからすれば、この発明によるオイルロック構造を構成するオイルロックピース4とこれが関与するシートパイプ3については、図5に示すように構成されるとしても良い。
【0058】
すなわち、前記したところでは、オイルロックピース4がガイドピン10を有し、シートパイプ3がこのガイドピン10を挿通させる長孔3eを有してなるとしているが、これに代えて、オイルロックピース4が長孔4dを有し、ガイドピン10がシートパイプ3に固着され、このガイドピン10の両端が上記の長孔4dに挿通されてなるとしても良い。
【0059】
ちなみに、この場合には、オイルロックピース4において、長孔4dは、テーパー面4bを有する油孔桿部4cに干渉せずして、本体部4aに開穿されるのはもちろんである。
【0060】
また、この長孔4dは、オイルロックピース4の軸線方向に沿うように開穿されていて、オイルロックピース4が上昇するときに、ガイドピン10に接触して上昇が妨げられない長さを有するように設定されている。
【0061】
また、長孔4dの上端位置は、オイルロックピース4が下降していて、いわゆるボトム部1aに着座している状態のときに、ガイドピン10の上端に接触しない位置となるように設定されている。
【0062】
このとき、ガイドピン10の両端は、オイルロックピース4の外周に突出しないように設定されているのはもちろんである。
【0063】
ところで、図示する実施の形態のフロントフォークにあっては、シートパイプ3の内周側に上下動可能に収装されて上端がこのフロントフォークを伸長させる懸架ばね13の下端を担持しながら下端がガイドピン10に係止される調整パイプ14を有している。
【0064】
すなわち、この調整パイプ14は、全体的にはシートパイプ3と同様にパイプ状に形成されていて、拡径されながら変形された上端をばね受部14aとし、下端をシート部材15の介在下にガイドピン10に当接させている。
【0065】
このとき、この調整パイプ14は、上記のシートパイプ3との間に油の流路としての隙間を有しており、上記のシート部材15がこの隙間を維持する、すなわち、調整パイプ14をセンタリングするスペーサとして機能している。
【0066】
そして、図示する実施の形態では、調整パイプ14は、上記の隙間とその内周側との連通を許容する通孔14bを有してなるが、上記の隙間が流路として十分に機能する場合には、この通孔14bの配在が省略されても良い。
【0067】
ちなみに、上記のシート部材15は、ガイドピン10に当接される調整パイプ14の下端を保護するように機能すると共にいわゆる座としても機能する。
【0068】
それゆえ、上記の調整パイプ14を有するオイルロック構造にあっては、フロントフォークが高速で最圧縮状態まで作動する場合は、オイルロック室Rのロック圧が高くなり、この高圧がオイルロックピース4の下端面に作用し、オイルロックピース 4 を上昇させる。そして、オイルロックピース5が上昇するときに、このオイルロックピース4が有するガイドピン10の上昇によって調整パイプ14が上昇することになり、図3中に仮想線図で示すように、この調整パイプ14の上端たるばね受部14aに担持されている懸架ばね13の下端が上昇されて、この懸架ばね13のばね力が大きくなる。
【0069】
その結果、フロントフォークの高速での最圧縮時には、オイルロックピース4とオイルロックカラー5との嵌合ストロークが増大するのに加えて、懸架ばね13のばね力が大きくなることから、より一層効果的な衝撃緩和をなし得ることになる。
【0070】
このことからすれば、この種の従来のオイルロック構造において、オイルロックピースとオイルロックカラーとが設定通りの絞り抵抗を発揮し得るように高い精度管理の下に形成されて組み付けられる場合に比較して、この実施の形態によるオイルロック構造にあっては、絞り抵抗が僅かに低下されるとしても、すなわち、所定の絞り抵抗を得るための隙間管理について高い精度管理が要求されなくても、ばね力が増大されることで、結果として、所望の衝撃緩和効果を得ることが可能になると言える。
【0071】
それゆえ、この実施の形態によるオイルロック構造にあっては、従来のオイルロック構造に比較して、オイルロックピース4について、オイルロックカラー5との間における精度管理に高度性が要求されずして所定のオイルロック効果を得られることになる。
【0072】
また、この実施の形態によるオイルロック構造にあっては、フロントフォークが最圧縮状態から反転して伸長するときに、懸架ばね13の附勢力が調整パイプ14を介してオイルロックピース4に作用しているから、上昇していたオイルロックピース4がより一層速やかに下降し得ることになり、応答性を一層良くすることになる。
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【発明の効果】
この発明にあって、シートパイプの内周側に上下動可能に収装されて上端が車体側チューブを伸側方向に附勢する懸架ばねの下端を担持しながら下端がガイドピンに係止される調整パイプを有しているから、オイルロックピースが上昇するときには、ガイドピンの上昇によって調整パイプが上昇し、この調整パイプの上端に担持されている懸架ばねの下端が上昇されてばね力が増大される。
【0079】
その結果、フロントフォークの高速での最圧縮時には、オイルロックピースとオウルロックカラーとの嵌合ストロークの増大に加えて、懸架ばねのばね力が大きくなることから、より一層効果的な衝撃緩和をなし得ることになる。
【0080】
それゆえ、この種の従来のオイルロック構造において、オイルロックピースがオイルロックカラーとの間における設定通りの絞り抵抗を発揮し得るように高い精度管理の下に形成されて組み付けられる場合に比較して、この発明によるオイルロック構造にあっては、絞り抵抗が僅かに低下されるとしても、すなわち、所定の絞り抵抗を得るための隙間管理について高い精度管理が要求されなくても、ばね力が増大されることから、結果として、所望の衝撃緩和効果を得ることが可能になると言える。
【0081】
したがって、上記の調整パイプを有するオイルロック構造にあっては、従来のオイルロック構造に比較して、オイルロックピースについて、オイルロックカラーとの間における精度管理に高度性が要求されずして所定のオイルロック効果を得られる点で有利となる。
【0082】
また、上記の調整パイプを有するオイルロック構造にあっては、フロントフォークが最圧縮状態から反転して伸長するときに、懸架ばねの附勢力が調整パイプを介してオイルロックピースに作用していることから、より一層速やかに伸長作動し得て応答性に優れることになる。
【0083】
その結果、この発明によれば、所定の衝撃緩和を実現し得るのはもちろんのこと、オイルロックピース周りの構造を複雑にせずして、負圧音の発生を抑制し得て、その汎用性の向上を期待するのに最適となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施の形態によるフロントフォークをほぼ伸切状態で示す部分断面正面図である。
【図2】 図1のフロントフォークにおける車軸側チューブのボトム部分を拡大して示す縦断面図である。
【図3】 図1のフロントフォークにおける車体側チューブの下端部分を拡大して示す縦断面図である。
【図4】 図1のフロントフォークが最圧縮状態にあるときのオイルロック構造を図2と同様に示す図である。
【図5】 この発明によるオイルロック構造を構成するオイルロックピースの他の実施の形態を部分的に示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 車軸側チューブとしてのアウターチューブ
1a ボトム部
2 車体側チューブとしてのインナーチューブ
3 シートパイプ
3a 下端縮径部
3b オリフィスとしての通孔
3c 上端拡径部
3d オリフィス
3e,4d 長孔
4 オイルロックピース
4a 本体部
4b テーパー面
4c 油孔桿部
5 オイルロックカラー
6 軸受
7 ボルト
8 シール
9 伸切ばね
10 ガイドピン
11 減衰バルブ
11a 環状溝
11b 切欠部
12 ノンリタンスプリング
13 懸架ばね
14 調整パイプ
14a ばね受部
14b 通孔
15 シート部材
R オイルロック室
R1 伸側油室
R2 圧側油室
R3 リザーバ室
Claims (2)
- 車軸側チューブ内に車体側チューブを出没自在に挿入し、車軸側チューブの軸芯部にシートパイプを起立させ、このシートパイプの下端部の外周に筒状のオイルロックピースを挿入し、車体側チューブの下端部の内周にオイルロックカラーを保持し、このオイルロックカラーを車体側チューブの最下降時に上記のオイルロックピースの外周に嵌合して衝撃を緩和させるフロントフォークにおけるオイルロック構造において、シートパイプの下端部に直径方向に貫通する長孔を形成し、オイルロックピースをシートパイプの下端部の外周に上下移動自在に挿入すると共に当該オイルロックピースの内周側に直径方向にむけて固着したガイドピンを上記長孔内に上下移動自在に挿入し、更に、 シートパイプの内周側に調整パイプを上下動自在に挿入し、当該調整パイプの上端で車体側チューブを伸側方向に附勢する懸架ばねの下端を担持しながら下端をガイドピンに係止させたことを特徴とするフロントフォークにおけるオイルロック構造。
- 調整パイプの下端が筒状のシート部材を介してガイドピンに当接させている請求項1のフロントフォークにおけるオイルロック構造。
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