JP4053096B2 - 低カロリーフィリング組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は低カロリーの菓子用フィリング(filling) 組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
チョコレートフィリングに適する菓子組成物は、本願出願人によるオーストラリア特許出願54,868/90 から公知である。これらのエマルジョンの水性相の水含有率は高いので(約75重量%以上)、これらの組成物は、分散水性相は50μm を越えない粒度を有する、20℃で少なくとも1600のヘイトン(Haighton)によるC値を有するハード(hard)脂肪エマルジョンを含んでいなければならず、そうでなければ、これらの組成物をフィリング脂肪として使用したとき漏れの問題が生じるだろう。さらに、それらの全ての実施例によって説明されているように、バリヤー層が必要である。エマルジョンの脂肪含有率は20〜50重量%である。
【0003】
これらのエマルジョン中で使用できるハード脂肪は、パルミチン酸及び/又はステアリン酸の2-オレイルトリグリセリドに富んだ植物性脂肪である。これらの脂肪は、例えば、カカオ脂、イリペ(illipe)、シア、又はサル脂肪から得るのが適切である。また、天然又は合成脂肪の酵素的再配列によって製造されたハード脂肪を使用することもできる。
【0004】
C値に関する要件を満たすために、上述の脂肪の高融点(即ち、ステアリン)フラクション又は中間フラクションを使用しなければならない。
【0005】
米国特許第 4,410,552号から、封入されたフィリング(encapsulated filling)が知られている。ここでは、フィリングは、フィリング中に気体を導入することによるフィリングの膨化の結果、低い密度を有する。これらのフィリングの最大水分含有率は20%である。このようにして、改良された口当たりと風味特性とを示す安定な生成物が得られる。しかしながら、このフィリングは通気されなければならない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは上述の組成物と比較してより低いカロリー値を有し、菓子中で使用されたとき、非常に良好な結果をもたらす新規な低カロリーフィリング組成物を見出だした。
【0007】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明は、まず第1に、生成物全体の0〜60重量%を構成するコーティング層を設けられた低カロリー菓子用フィリング組成物であって、前記フィリング組成物が、5〜50重量%の脂肪含有率を有する脂肪連続エマルジョンであって、残部の水含有率が10〜60重量%であり、残は、さらに、酸度調整剤、増粘剤、増量剤、乳化剤、甘味料、風味剤、着色剤、保湿剤、及び防腐剤から成る成分の少なくとも1種の90〜40重量%から成る脂肪連続エマルジョンを含む、フィリング組成物に関する。
【0008】
好ましい菓子用フィリング組成物は、脂肪含有エマルジョンが通気されていないものである。
【0009】
本明細書においては、特に指示しないかぎり、「脂肪」という用語は一般的な意味での食用の脂肪物質のことであって、例えば大豆油、ヒマワリ油、パーム油、ココナツ油、魚油、豚脂、及び獣脂のような本質的にトリグリセリドから成る天然の又は合成の脂肪及び油(これらは一部又は全部が既に水素添加処理、或いは別の方法で改質されていてもよい)、及び例えばホホバ油及び水素添加されたホホバ油などのワックスのようなトリグリセリドに似た性質を持つ無毒の脂肪物質(これらの物質は非消化性でもよい)、そして以下で詳細に説明するポリオール脂肪酸ポリエステルなどを含む。脂肪及び油という用語は互換的に使用される。
【0010】
本明細書中において、「ポリオール」という用語は、少なくとも4つの遊離水酸基を含む全ての脂肪族又は芳香族化合物を意味する。このようなポリオールには特に糖ポリオールの群が含まれ、それらは糖類、即ちモノ−、ジ−、及びオリゴサッカリド、対応する糖アルコール及び少なくとも4つの遊離の水酸基を有するそれらの誘導体を含む。糖ポリオールの例には、グルコース、マンノース、ガラクトース、キシロース、フルクトース、ソルボース、タガトース、リブロース、キシルロース、マルトース、セロビオース、ラフィノース、スクロース、エリスリトール、マンニトール、ラクチトール、ソルビトール、キシリトール、及びα−メチルグルコシドがある。一般に用いられかつ好ましい糖ポリオールはスクロースである。
【0011】
本明細書中において、「ポリオール脂肪酸ポリエステル」という用語は、平均して、ポリオールの水酸基の70%より多くが脂肪酸でエステル化されているポリエステル又はそれらの混合物を意味するものである。本明細書において、「非消化性(indigestble) 」とは人体が対象物質の約70%以上を消化しないことを意味する。
【0012】
脂肪は植物性脂肪であるのが好ましい。植物性ポリオール脂肪酸ポリエステルとは、植物由来の脂肪酸から誘導されたポリオール脂肪酸ポリエステルである。
【0013】
脂肪含有率は重要ではないが、低カロリー組成物の目的を考慮すれば、脂肪の量がフィリング組成物全体の50重量%を越えないことが必須であり、5〜40重量%が好ましく、10〜30重量%が最も好ましい。
【0014】
残部の水含有率は自由に決定することができない。なぜなら、高すぎる水含有率、即ち、60重量%より高い水含有率は、水っぽい口当たり及び水分の菓子生成物のコーティングへの拡散(これは生成物の崩壊の原因となる)のような望ましくない生成物特性をもたらすからである。従って、脂肪エマルジョンの残部の水含有率は10〜60重量%であり、10〜50重量%が好ましく、15〜25重量%が最も好ましい。組成物全体の水含有率は5〜57重量%であるのが好ましい。
【0015】
同時に、エマルジョンのpHは 5.5を越えないのが好ましい。このようにして、良好な細菌学的挙動を良好な風味及び良好な水損失特性と結び付けることができる。
【0016】
50重量%未満の脂肪含有率と残部の最大60重量%の水含有率とを組み合わせるためには、その他の成分がエマルジョン中に存在しなければならない。そのような成分は、必要なカロリー低減特性及び乳化特性、並びに上述のpHを示す油中水エマルジョンを形成するそれらの能力に基づいて選択されなければならない。
【0017】
クエン酸のような酸度調整剤;例えば、ゼラチン、加水分解ゼラチン、カゼイン、カゼイネート、植物性蛋白質、又は公知の源からの変性蛋白質などの蛋白質、じゃがいも澱粉、コーンスターチ、とうもろこし澱粉、タピオカ澱粉、キサンタンガム、異なるカラジーナンガム、ペクチン、寒天、ポリデキストロース、マルトデキストリン、加水分解澱粉、及び改質澱粉などの炭水化物のような増粘剤、のような成分の少なくとも1種がエマルジョンの残部中に存在するとき、上述の要件が達成できることが判明した。
【0018】
増粘剤が存在できる量は、0〜70重量%で変化でき、好ましくは 0.2〜30重量%であり、最も好ましくは5〜25重量%である。増粘剤はゲル化特性を示すことができ、そのような場合、増粘剤は臨界ゲル化濃度の1〜8倍の量で存在する。
【0019】
ゼラチンは高価であり、またゼラチンの存在はユダヤ教の法にかなった食事ではないことを意味するので、残部中にゼラチンが存在することは不利な点であるから、本発明者らはいかにすればゼラチンの使用を避けることができるかも研究した。
【0020】
これは本発明のもう1つの実施態様をもたらした。それによれば、本発明による、コーティング層を設けられた低カロリー菓子用フィリング組成物であって、5〜50重量%の脂肪含有率を有する脂肪連続エマルジョンであって、エマルジョンの95〜50重量%である残部が、
10〜60重量%の水、
90〜40重量%のゼラチン以外の増粘剤であって、所望により、酸度調整剤、増量剤、乳化剤、甘味料、風味剤、着色剤、保湿剤、及び防腐剤から成る群の1種以上の成分と混合されたもの、
を含み、エマルジョン中において重量比率(増粘剤+甘味料)/水が 1.5より大である、エマルジョンを含む。
【0021】
使用できる増粘剤は、
カゼイン、カゼイネート、植物性蛋白質、又は変性蛋白質などの蛋白質、
じゃがいも澱粉、コーンスターチ、とうもろこし澱粉、タピオカ澱粉、キサンタンガム、異なるカラジーナンガム、ペクチン、寒天、マルトデキストリン、加水分解澱粉、及び改質澱粉のような炭水化物、
から成る群から選択される。
【0022】
増粘剤が、所望によりマルトデキストリン及び/又は甘味料と混合された、ポリデキストロースから成るとき、非常に良好な低カロリーフィリングが得られる。特に、エマルジョン中の重量比率(ポリデキストロース+マルトデキストリン+甘味料)/水が2〜9のとき、非常に適する低カロリー菓子用フィリングが得られる。最も好ましい低カロリー菓子用フィリング組成物においては、ポリデキストロースとマルトデキストリンは 0.7より大の重量比率で存在する。
【0023】
エマルジョン中において使用できるもう1つの成分は増量剤である。増量剤は、とりわけ、カカオ粉末のような粉末又は微結晶セルロース、不溶性繊維、フィブルライン(fibruline )(登録商標)、アビセル(Avicel)(登録商標)のような植物性繊維、からす麦繊維又はそれらの混合物である。増量剤の量は一般に0〜50重量%であり、15〜40重量%が好ましい。
【0024】
乳化剤も組成物中に存在できる。これらの乳化剤は公知の乳化剤のいずれでもよいが、ハイモノ(hymono)[クエスト・インターナショナル(Quest Internatio-nal)]、レシチン、DATAエステル(=ジアセチル酒石酸エステル)、ラクトダン(=グリセロール乳酸エステル)、又はそれらの混合物のようなモノグリセリドから選択するのが適切である。乳化剤の量は 0.1〜2重量%であり、 0.2〜1.5 重量%が好ましい。
【0025】
甘味料は、エマルジョンのカロリー摂取の調節を可能にする重要な成分のもう1つの群である。適する甘味料はスクロース、ラクトース、フルクトース、グルコースであるが、アスパルテーム(aspartame) 、サッカリン、アセスルフェーム(acesulfame)−K、スクラロース(sucralose) 、又はアリテーム(alitame) のような高強度甘味料も使用できる。甘味料の好ましい量は 0.005〜60重量%であるが、高強度甘味料を使用した場合、この量はわずか 0.005〜10重量%である。
【0026】
保湿剤の使用もカロリー摂取及びフィリング組成物のその他の特性の調節を可能にする。非常に適する保湿剤はグリセロール及び吸湿性の食品級無機又は有機塩である。保湿剤は、残部の0〜70重量%の量で存在するのが好ましく、15〜40重量%が特に好ましい。
【0027】
エマルジョン中に存在することのできるその他の成分は風味剤、着色剤、及び防腐剤である。防腐剤は 0.005〜4重量%の量で存在するのが好ましく、ソルベート塩、ベンゾエート塩、アスコルビン酸、尿素又はその誘導体から選択するのが適切である。
【0028】
上述の成分は、上述の範囲内において、環境温度で少なくとも4週間、好ましくは12週間以上、微生物学的にかつ構造的に安定な低カロリーフィリング組成物が得られるような量で使用される。
【0029】
本明細書中においては、脂肪連続エマルジョンという用語によって、水連続エマルジョンの領域も存在するが、エマルジョンの塊が主に脂肪連続である二連続( bi-con-tinuous )エマルジョンも含まれることは注意されなければならない。また、二重(duplex)エマルジョンも脂肪連続エマルジョンのその他の例であり、ここでは、非常に小さい脂肪粒子を含有している水滴が存在する。
【0030】
使用するのが好ましい脂肪は、カカオ脂、イリペ、シア、パーム、サル、大豆、綿実、パーム核、ココナツ、菜種、ヒマワリ、その他の軟質フラクションから有利に選択又は誘導できる。これらの脂肪を硬化又は(化学的又は酵素的に)エステル交換することによって製造された脂肪又はそれらの混合物も使用できる。特に、これらの脂肪のより軟質のフラクション(=オレインフラクション)は非常に有用である。
【0031】
脂肪は、N5 =10〜95、N20=10〜90、N35≦5のNMR固体脂指数特性(NMRパルス、安定化)を示すのが好ましい。
【0032】
上述の発見のもう1つの態様において、本発明者らは、N25(安定化):N25(非安定化)の比率とN20値(安定化)に関して使用された脂肪の特性が、組成物の特性に大きな影響を与えることを発見した。従って、本発明は、生成物全体の0〜60重量%を構成するコーティング層を設けられた低カロリー菓子用フィリング組成物であって、10〜30重量%の脂肪含有率を有する脂肪連続エマルジョンであって、エマルジョンの残部である90〜70重量%が、10〜60重量%の水と、所望により、酸度調整剤、増量剤、乳化剤、甘味料、風味剤、着色剤、保湿剤、及び防腐剤から成る群の少なくとも1種以上の成分と混合された、90〜40重量%の増粘剤を含む脂肪連続エマルジョンを含み、使用された脂肪が、1.5 以上のN25(安定化)/N25(非安定化)の比率と70未満のN20値(安定化)を示す、フィリング組成物に関する。
【0033】
最良の生成物を与える脂肪は、少なくとも 1.8のN25(安定化):N25(非安定化)の比率を示す。好ましいN20値(安定化)は65未満である。上述の要件を満足する全ての脂肪を使用できる。しかしながら好ましい脂肪は多型脂肪(poly-morphic)である。典型的な例は、カカオ脂又はカカオ脂均等物とその他の脂肪、好ましくは少なくとも10重量%のバター脂肪又はバター脂肪フラクション、との混合物である。しかしながら、(80:20〜20:80の比率の)パーム油中間フラクションとパーム油オレインの混合物の使用も良好な結果を与える。
【0034】
脂肪のN値は、標準的パルスNMR法に従って測定する。脂肪のN値は、安定化をする前と後に測定する。「非安定化」は、N値が以下の過程の後測定されたことを意味する:80℃で溶融、60℃で30分間、0℃で1時間、測定温度の25℃で30分間。安定化脂肪は、80℃で溶融、60℃で15分間、0℃で60分間、26℃で16時間、20℃で24時間、0℃で60分間、測定温度の25℃(又はその他の測定温度)で60分間の後、測定した。少なくとも35のN20値(安定化)を有する脂肪を使用するのが好ましい。
【0035】
これらのN値の比とN20値(安定化)は、本発明の範囲外の脂肪を使用する場合の貯蔵寿命と比較して封入された生成物の貯蔵寿命が長くなることを確実にし、さらに、エマルジョン混合物の加工性を改善する。
【0036】
本発明によるフィリング脂肪組成物を使用することによって、従来的フィリング脂肪組成物と比較して50%以上のカロリーの減少を達成できる。
【0037】
使用される増粘剤及び/又は増量剤の粒度が 0.1〜50μm 、特に1〜20μm 、の場合に、安定性と風味特性に関して最良の結果が得られる。
【0038】
フィリング組成物は、菓子生成物中で使用されるとき、封入された形態で使用されるのが好ましい。「封入された(encapsulated)」という表現は、コーティング層又は殻(shell)(好ましくはチョコレートから成るか、又はチョコレートを含むもの)によってフィリング組成物が囲まれていることを意味する。このような場合、殻、特にチョコレートの殻は、生成物全体の20〜50重量%を構成する。殻中におけるフィリング組成物の使用が依然として殻の崩壊の問題を生じる場合、これらの問題はバリヤー層、好ましくは3 g. mil m . d. mm Hg未満の水蒸気透過性を有するバリヤー層によって、フィリング組成物を殻又はコーティング材料から分離することによって解決できる。
【0039】
使用可能なバリヤー材料の例は、セラック(Shellac) 、N20>50(NMRパルス、安定化)を有するハード脂肪、密ろう、カンデリラろう、カルナバろうのような天然ワックス、脂肪と糖とN20>50を有する高融点スクロースポリ脂肪酸エステルの組み合わせである。
【0040】
ここで、本発明を以下の実施例によって説明する。
【0041】
【実施例】
比較例1
23%の脂肪を含み、以下の表に示す組成を有する2種類のフィリングを製造した。脂肪は、N5=37, N20=12, 及びN35<2を示した。
【0042】
Figure 0004053096
【0043】
両方のフィリングは、60℃でプレミックスを調製し、プレミックスを1000 rpmで運転されているボテーター(Votator) (登録商標)C-ユニット(ピン攪拌器)に通し、その後、それぞれ 155と1400 rpmで運転されている2つのボテーター(登録商標)A-ユニット(スクレープドサーフェイス熱交換器)に通し、最後に、それぞれ1400と 900 rpmで運転されている2つのボテーター(登録商標)C-ユニットに通すことによって処理した。系を通しての生成物の流速は25g/分であった。これら5個の装置に対する処理温度(出口温度)は、それぞれ、39℃、5℃、6℃、9℃、及び20℃であった。
【0044】
フィリングの脂肪連続性は、導電率測定によって、及び生成物上に粉末染料の混合物を噴霧することによって確認した。使用した染料は、マラカイトグリーンとスーダンIII であった。前者の染料は水溶性であり、後者の脂溶性である。従って、脂肪連続生成物はスーダンIII を溶解し、赤橙色を示す。同様に、水連続生成物はマラカイトグリーンを溶解し、青緑色を示す。
【0045】
フィリングAとフィリングBの両方が染料混合物を噴霧されたとき赤橙色を示した。これは脂肪連続生成物が含まれていることを示している。
【0046】
フィリングをミルクチョコレートの殻[フェルシン(Felchin) (登録商標)、5/8 インチ ミルクチョコレート半殻(half-shell)]に入れ、それにチョコレートのふたをつけ(backed off)、そしてミルクチョコレートで密封した。充填された殻を20℃で貯蔵し、変化を視覚的に観察した。
【0047】
1週間後、フィリングAを含む殻は割れ、フィリングが出てきた。しかしながら、フィリングBを含む殻は、貯蔵4週間後までは同様な割れを生じなかった。
【0048】
両方のフィリングのカロリー量は、通常の脂肪に基づく菓子フィリングの400 〜 600 kcal/100 g に対して、 300 kcal/100 g 未満であった。
【0049】
比較例2
チョコレートの殻(フェルシン(登録商標)、5/8 インチ ミルクチョコレート半殻)をセラック(shellac) のエタノール溶液を充填し、デカントし、乾燥させる方法によって、セラックを前記殻の内側にコーティングした。
【0050】
フィリングを比較例1のようにして調製し、上述のようにして調製した殻の中に入れた。これらにチョコレートのふたをつけ、前述のようにして貯蔵した。
【0051】
4週間後フィリングAを含む殻は割れたが、フィリングBを含む殻は16週間後まで割れなかった。
【0052】
比較例3
比較例1を繰り返したが、55%の完全に水素添加された大豆油(スリップ融点65℃)と45%の僅かに硬化された大豆油(スリップ融点28℃)のブレンドから誘導されたスクロース脂肪酸ポリエステルであって、95%を越える転化度と20℃で63、30℃で42、及び37℃で11のN値を有するものと、95%を越える転化度を有し、環境温度より高い温度で完全に液体である僅かに硬化された大豆油(スリップ融点28℃)から誘導されたスクロース脂肪酸ポリエステルとの25:75(重量基準)混合物で脂肪を置換した。
【0053】
実施例1
22.3%の脂肪を有し、以下の表に示す組成を有するフィリングを製造した。脂肪は、N5 =37、N20=12、及びN35<2を示した。
【0054】
Figure 0004053096
【0055】
調製したプレミックスを70℃のプレミックスタンク中に保持した。フィリングを1000 rpmで運転されているボテーター(登録商標)C-ユニット(ピン攪拌器)に通し、その後、 350 rpmで運転されているボテーター(登録商標)A-ユニット(スクレープドサーフェイス熱交換器)に通し、最後に、 700 rpmで運転されているボテーター(登録商標)C-ユニットに通すことによって処理した。系を通しての生成物の流速は19g/分であった。これら3個の装置に対する処理出口温度は、それぞれ、50℃、8℃、及び16℃であった。
【0056】
フィリングの脂肪連続性は、導電率測定によって、及び生成物上に粉末染料の混合物を噴霧することによって確認した。使用した染料は、マラカイトグリーンとスーダンIII であった。前者の染料は水溶性であり、後者の脂溶性である。従って、脂肪連続生成物はスーダンIII を溶解し、赤橙色を示す。同様に、水連続生成物はマラカイトグリーンを溶解し、青緑色を示す。
【0057】
フィリングは染料混合物を噴霧されたとき赤橙色を示した。これは脂肪連続生成物が含まれていることを示している。これは共焦点走査レーザー鏡検法(confocal scanning laser microscopy)によっても確認した。
【0058】
フィリングをミルクチョコレートとダークチョコレート[ミルクの(ほとんど)入ってないチョコレート]の殻[フェルシン(登録商標)、5/8 イン ョコレート半殻(half-shell)]に入れ、それにチョコレートのふたをつけ、チョコレートで密封した。充填された殻を20℃と10℃で貯蔵し、変化を視覚的に観察した。
【0059】
6週間後、20℃の場合殻は割れ、フィリングが出てきた。10℃においては、殻は、貯蔵4か月後まで割れを生じなかった。
【0060】
フィリングのカロリー量は、通常の脂肪に基づく菓子フィリングの400 〜 600 kcal/100 g に対して、 350 kcal/100 g であった。
【0061】
実施例2
約22%の脂肪を含み、以下の表に示す組成を有する2種類のフィリングを製造した。フィリングC中の脂肪とフィリングD中の脂肪は以下の特性を示した。
【0062】
Figure 0004053096
Figure 0004053096
【0063】
プレミックスを製造し、70℃のタンク中に保持した。両方のプレミックスを1000 rpmで運転されているボテーター(登録商標)C-ユニット(ピン攪拌器)に通し、その後、それぞれ、 350 rpmと 700 rpmで運転されている2つのボテーター(登録商標)A-ユニット(スクレープドサーフェイス熱交換器)に通すことによって処理した。系を通しての生成物の流速はフィリングCについては19g/分であり、フィリングDについては8g/分であった。これら3個の装置に対する処理出口温度は、フィリングCについてはそれぞれ、50℃、8℃、及び16℃であり、フィリングDについては、50℃、14℃、及び21℃であった。
【0064】
フィリングの脂肪連続性は、導電率測定によって、及び生成物上に粉末染料の混合物を噴霧することによって確認した。使用した染料は、マラカイトグリーンとスーダンIII であった。前者の染料は水溶性であり、後者の脂溶性である。従って、脂肪連続生成物はスーダンIII を溶解し、赤橙色を示す。同様に、水連続生成物はマラカイトグリーンを溶解し、青緑色を示す。
【0065】
フィリングCとフィリングDの両方が染料混合物を噴霧されたとき赤橙色を示した。これは脂肪連続生成物が含まれていることを示している。
【0066】
フィリングをミルクチョコレートとダークチョコレート[ミルクの(ほとんど)入ってないチョコレート]の殻[フェルシン(登録商標)、5/8 イン ョコレート半殻(half-shell)]に入れ、それにチョコレートのふたをつけ、チョコレートで密封した。充填された殻を20℃と10℃で貯蔵し、変化を視覚的に観察した。
【0067】
6週間後、20℃の場合フィリングCを含む殻は割れ、フィリングが出てきた。10℃においては、フィリングCを含む殻は貯蔵4か月後まで割れを生じなかった。フィリングDの場合は、20℃と10℃で貯蔵したとき、3か月間割れなかった。
【0068】
フィリングCのカロリー量は、フィリングDの 330 kcal/100 g に対して、 350 kcal/100 g であった。
【0069】
実施例3
以下の組成を有する配合物を用いて実施例2を繰り返した:
カカオ脂 19.1%
バター油 3.4%
モノグリセリド乳化剤 0.6%
水 19.0%
ソルビン酸カリウム 0.15%
グルコースシラップ 63 DE 22.0%
ポリデキストロース:リテッセ 35.0%
風味剤 0.8%
【0070】
脂肪相の特性は、
20(安定化)=63.4
25(安定化)/N25(非安定化)=8.17
炭素数分布:
40:1.7% C52:42.1%
42:1.1% C54:30.8%
44:1.0% C56:0.9%
46:1.2% C58:0.3%
48:1.9% C60:0.1%
50:17.9%
であった。
【0071】
処理を3つのC-ユニット中で行なったが、それぞれが1000 rpmで運転され、出口温度は44℃、24℃、及び25℃であった。処理速度は27 g/分であった。充填されたフェルシンの殻は20℃と10℃の貯蔵において3か月後も完全に保存された。
【0072】
実施例4
以下の組成を使用して低カロリーフィリングを調製した:
Figure 0004053096
【0073】
処理を3つのC-ユニット中で行なったが、それぞれが1000 rpmで運転され、出口温度は44℃、25℃、及び26℃であった。処理速度は16 g/分であった。フィリングをダークチョコレートのフェルシンの殻に入れたが、殻は20℃で2か月後も完全に保存された。サンプルは好ましい風味を有していた。

Claims (24)

  1. コーティング層が生成物全体の60重量%以下を構成し、チョコレートから成るか又はチョコレートを含む前記コーティング層を設けた低カロリー菓子用フィリング組成物であって、前記フィリング組成物は、フィリング組成物全体に基づいて含有率が5〜50重量%の脂肪及び95〜50重量%の残部を有する脂肪連続エマルジョンを含み、前記残部の水含有率が残部全体の10重量%以上で、かつ40重量%未満であり、前記残部は、さらに、残部全体の90重量%以下で、かつ60重量%を超える、ゼラチン以外の少なくとも1つの増粘剤並びに甘味料、並びに酸度調整剤、増量剤、乳化剤、風味剤、着色剤、保湿剤及び防腐剤から成る群の1種以上の成分から成り、
    前記エマルジョン中の重量比率:(増粘剤+甘味料)/水が1.5より大である、低カロリー菓子用フィリング組成物。
  2. 脂肪連続エマルジョンが通気されていないエマルジョンである、請求項1の低カロリー菓子用フィリング組成物。
  3. 脂肪連続エマルジョンの脂肪含有率が5〜40重量%である、請求項1の低カロリー菓子用フィリング組成物。
  4. 残部の水含有率が、15〜25重量%である、請求項1の低カロリー菓子用フィリング組成物。
  5. 増粘剤がゲル化剤であり、その臨界ゲル化濃度の1〜8倍の量で存在する、請求項1乃至4のいずれか1請求項の低カロリー菓子用フィリング組成物。
  6. 増粘剤が、カゼイン、カゼイネート、植物性蛋白質、及び変性蛋白質から選ばれる蛋白質、並びにじゃがいも澱粉、コーンスターチ、とうもろこし澱粉、タピオカ澱粉、キサンタンガム、ペクチン、寒天、カラジーナンガム、ポリデキストロース、マルトデキストリン、加水分解澱粉、及び改質澱粉から選ばれる炭水化物から選択される、請求項1乃至5のいずれか1請求項の低カロリー菓子用フィリング組成物。
  7. 増粘剤が、ポリデキストロースのみ、又はマルトデキストリン及び甘味料と混合されたポリデキストロースであり、エマルジョン中の重量比率:(ポリデキストロース+マルトデキストリン+甘味料)/水が2〜9である、請求項1乃至6のいずれか1請求項の低カロリー菓子用フィリング組成物。
  8. ポリデキストロースとマルトデキストリンが 0.7より大きいポリデキストロース/マルトデキストリンの重量比率で存在する、請求項7の低カロリー菓子用フィリング組成物。
  9. 増量剤を、カカオ粉末から選ばれる粉末又は微結晶セルロース、不溶性繊維又は植物性繊維から選択する、請求項1乃至8のいずれか1請求項の低カロリー菓子用フィリング組成物。
  10. 増粘剤及び/又は増量剤が 0.1〜50μm の粒度を有する、請求項1乃至9のいずれか1請求項の低カロリー菓子用フィリング組成物。
  11. 乳化剤が、モノグリセリド、レシチン、DATAエステル、又はラクトダンから選択される、請求項1乃至10のいずれか1請求項の低カロリー菓子用フィリング組成物。
  12. 甘味料が、ラクトース、スクロース、フルクトース、グルコース及び高強度甘味料から選択される、請求項1乃至11のいずれか1請求項の低カロリー菓子用フィリング組成物。
  13. 脂肪が、カカオ脂、イリペ、シア、パーム、サル、大豆、綿実、パーム核、ココナツ、菜種、又はヒマワリの軟質フラクションから選択又は誘導される植物脂肪を少なくとも1種を含む、請求項1乃至12のいずれか1請求項の低カロリー菓子用フィリング組成物。
  14. 使用される脂肪が、1.5 以上のN25(安定化)/N25(非安定化)の比率と70未満のN20値(安定化)を示す、請求項13の低カロリー菓子用フィリング組成物。
  15. 25(安定化)/N25(非安定化)の比率が 1.8以上である、請求項14の低カロリー菓子用フィリング組成物。
  16. 脂肪が、カカオ脂及び/又はカカオ脂均等物及び/又はそれらのフラクションと少なくとも10重量%のその他の脂肪の脂肪ブレンドを含む、請求項15の低カロリー菓子用フィリング組成物。
  17. 脂肪が、パーム中間フラクションとパーム油オレインの80:20〜20:80の重量比率のブレンドである、請求項15の低カロリー菓子用フィリング組成物。
  18. 保湿剤がグリセロール又は吸湿性の食品級無機又は有機塩から選択される、請求項1乃至17のいずれか1請求項の低カロリー菓子用フィリング組成物。
  19. エマルジョンのpHが 5.5未満である、請求項1の低カロリー菓子用フィリング組成物。
  20. 環境温度で少なくとも4週間、微生物学的にかつ構造的に安定である、請求項1乃至19のいずれか1請求項の低カロリー菓子用フィリング組成物。
  21. 請求項1乃至20のいずれか1請求項の低カロリー菓子用フィリング組成物が、生成物全体の20〜50重量%を構成する殻の中に封入されている、封入された低カロリー菓子生成物
  22. 3 g. mil / m2 d. mm Hg未満の水蒸気透過性を有するバリヤー層によって、フィリングが殻材料から分離されている、請求項21の封入された低カロリー菓子生成物
  23. バリヤー層が、セラック(Shellac) 、N20>50(NMRパルス、安定化)を有するハード脂肪、天然ワックス、並びに脂肪と糖とN20>50を有する高融点スクロースポリ脂肪酸エステルの組み合わせから成る群から選択される、請求項22の封入された低カロリー菓子生成物
  24. フィリング組成物を含む低カロリー菓子生成物であって、少なくとも一部のフィリング組成物が請求項1乃至20のいずれか1請求項の低カロリー菓子用フィリング組成物である、低カロリー菓子生成物。
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