JP4052782B2 - 集積型光起電力装置及びその製造方法 - Google Patents

集積型光起電力装置及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、透明基板上に複数の単位素子を直列接続されて形成される集積型光起電力装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
非晶質シリコン系半導体を光活性層に用いた光起電力装置が色々な用途に用いられている。これは1枚の基板上に多数の光電変換素子をカスケード接続することにより、高電圧を取り出せるようにした集積型光起電力装置の開発に負うところが大きい。
【0003】
上記した集積型光起電力装置は、ガラスなどの透光性基板、酸化錫(SnO2)や酸化亜鉛(ZnO)などの透明導電酸化物膜、少なくとも1つの接合を有する非晶質シリコン(a−Si)や非晶質シリコンゲルマニウム(a−SiGe)などの非晶質半導体膜または微結晶半導体膜、銀(Ag)やアルミニウム(Al)などの裏面電極が順次積層されており、形成途中の各段階において基板以外の各層を複数の領域に分離することで直列接続される。そして、その集積化加工にレーザなどのエネルギービームを用いる方法が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
透光性基板上に形成され、集積型加工を行った光起電力装置においては、透明導電酸化物上に1μm以下の非常に薄い半導体層が形成される。このため、透明導電酸化物膜の分離加工端部分は、そのエッジ付近の形状やその後に形成される半導体層の均一性の影響を受けて、漏れ電流が発生して光起電力装置の出力特性を低下させてしまういわゆるリーク個所になりやすいという難点があった。
【0005】
また、エネルギービームとしてパルスレーザを用いた場合には、照射スポットを十分に重ねない限り、分割されて隣り合った透明導電酸化物膜の分割溝に互いに延伸するような残留領域が発生し、その部分が隣り合った透明導電酸化物膜間の絶縁不良をもたらし、光起電力装置の出力特性や信頼性を低下させてしまうことになるなどの問題があった。
【0006】
この発明は、上述した従来の問題に鑑みなされたものにして、漏れ電流の発生を抑制し、出力特性を向上させることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、支持基板、透明導電酸化膜、光活性層となる半導体薄膜及び裏面電極が順次積層して形成され、形成途中の各段階において支持基板以外の各層を複数の領域に分離することで、単位素子が複数個直列に接続された集積型光起電力装置において、上記透明導電酸化膜は複数の領域に分割されており、上記半導体薄膜は、上記透明導電酸化膜の分離加工部を含んで当該透明導電酸化膜上に形成されており、上記透明導電酸化膜の分離加工端部付近の酸素含有濃度が他の透明導電酸化膜の領域の酸素含有濃度より高く形成されていることを特徴とする。
【0008】
また、この発明は、上記透明導電酸化膜に酸素原子を含む気体を供給してエネルギービームを照射して上記透明導電酸化膜を複数の領域に分割するとよい。
【0009】
上記したように、複数の領域に分割された透明導電酸化物膜の分離加工端部付近の酸素含有濃度を、透明導電酸化物膜の他の領域の酸素含有濃度よりも高くすることでその領域の抵抗が増加し、その上に形成される半導体部分に微小なリーク個所ができても、光を受けて発生した電流がその部分から漏れるのを防ぐことができる。このため、光起電力装置の出力特性が低下するのを防止できる。
【0010】
また、透明導電酸化物膜の分離加工端部の酸素含有濃度が高くなっている領域の厚みを、エネルギービームの影響を受けない透明導電酸化物膜の他の領域の厚みよりも20乃至100%厚くなった部分を設けるように分離加工することで、結果的に加工端部の丸み形状がゆるくなり、その上に形成される半導体部分に微小なリーク個所の発生を抑制することができる。100%以上厚くした場合にはその部分での膜厚変化が大きくなりすぎるために、かえってその上に形成される半導体部分での微小なリーク個所が発生しやすくなってしまう。
【0011】
また、透明導電酸化物膜の分離加工端部の酸素濃度が高くなっている領域のシート抵抗を100Ω/□以上にすることで、光を受けて発生した電流がその部分から漏れるのを防ぐ効果が十分に得られるようになる。
【0012】
また、少なくともその透明導電酸化物膜の分離加工部である溝の一つにおいて、隣接する分割された透明導電酸化物領域の間の一部に加工残留物として透明導電酸化物が存在し、上記加工残留物の酸素含有濃度が、透明導電酸化物膜のエネルギービームの影響を受けない領域の酸素含有濃度よりも高くなるようにすることで、分割されて隣り合った透明導電酸化物膜の分割溝に互いに延伸するような残留領域が発生しても、その部分が隣り合った透明導電酸化物膜間の絶縁不良個所となるのを防止できる。
【0013】
この発明の集積型光起電力装置の製造方法は、支持基板、透明導電酸化膜、光活性層となる半導体薄膜及び裏面電極が順次積層して形成され、形成途中の各段階において支持基板以外の各層を複数の領域に分離することで、単位素子が複数個直列に接続された集積型光起電力装置を製造する方法において、上記透明導電酸化膜のエネルギービームの照射部付近に酸素原子を含む気体を供給して、上記透明導電酸化膜を複数の領域に分離し、その透明導電酸化膜の分離加工端部付近の酸素含有濃度を他の領域より高くすると共に、上記透明導電酸化膜の分離加工部を含んで当該透明導電酸化膜上に上記半導体薄膜を形成する工程を備えることを特徴とする。
【0014】
上記したように、透明導電酸化物膜をエネルギービームにより複数の領域に分割する際に、エネルギービーム照射部付近に酸素原子を含む気体を送りながら加工することで、比較的容易に透明導電酸化物膜の分離加工端部の酸素含有濃度を高くでき、上記の効果が実現される。
【0015】
上記酸素原子を含む気体が化学的に活性のものを用いるとよい。
【0016】
上記したように、酸素原子を含む気体を化学的に活性なものとすることで、透明導電導電酸化物膜の分離加工端部の酸素濃度を高くすることがより容易に可能となる。
【0017】
上記酸素原子を含む気体がオゾンを含むものを用いるとよい。
【0018】
上記したように、化学的に活性な酸素としてオゾンを用いることで、透明導電酸化物膜の分離加工端部の酸素濃度を高くすることがさらに容易に可能となる。
【0019】
また、エネルギービーム照射部付近を含む空間の加工時の圧力を大気圧未満にするとよい。
【0020】
また、エネルギービーム照射部付近を含む空間の加工時の圧力を大気圧未満の陰圧にすることで、化学的に活性化された酸素との反応物が雰囲気中に昇華しやすくなるために、分割されて隣り合った透明導電酸化物膜の分割溝に互いに延伸するような残留領域が発生しにくくなる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態につき図面を参照して説明する。光起電力装置の全体の概略断面構造を図1に示す。まず、実施形態1を従来例と比較して説明する。
【0022】
第1の実施形態として、図1に示すように、透明導電酸化膜12(ZnO)付きガラス基板11上に、p型a−SiC層13、i型a−Si層14、n型μc−Si15層、裏面電極16を順次形成した構造の非晶質シリコン光起電力装置について説明する。
【0023】
ガラス基板11のサイズは30cm×40cm、厚み5mmで、透明導電酸化膜12としては厚さ8000Åの酸化亜鉛(ZnO)を用いた。ZnOは公知のDCスパッタ法により、基板温度300℃、Ar:400sccmとO2:10sccmを混合した1Pa雰囲気下で、大きさ300cm2の3%Al23ドープZnOターゲットに0.1kWの電力を印加して形成した。
【0024】
この透明導電酸化膜12を、波長1.06μm、パルス周波数3kHzのNd:YAGレーザを用いて、透明導電酸化膜12の分離加工において隣り合った領域間の電気的絶縁が得られる限界ぎりぎりである2×107W/cm2のレーザパワー密度、10mm/秒の加工速度で、光起電力装置が35段集積接続となるように分割加工した。
【0025】
第1の実施形態は、レーザを用いて分割加工する際に、低圧水銀ランプを用いて空気中の酸素をオゾン化し、レーザ照射部にそのオゾンを多く含む空気を5sccmの流量で吹き付けながら加工した。
【0026】
図2は、このようにレーザにより分割加工した加工溝21部分の概略断面構造を示す図である。尚、この図2においては、透明導電酸化膜12上に形成した半導体膜13(14)(15)は示しているが、裏面電極16は図示していない。
【0027】
図2に示すように、レーザ照射により、加工溝21部分は除去され、透明導電酸化膜12は分割される。そして、分離加工部端部の近傍は溶融固化(再結晶化)し、後述するように照射したレーザ(エネルギービーム)の影響が出た領域12aが形成される。透明導電酸化膜12は、この領域12aと影響がない領域12bに分かれる。
【0028】
そして、比較のために、特に、何の気体も吹き付けずに、レーザ加工を行ったものを第1の従来例とする。この第1の従来例における加工溝21部分の概略断面構造を図3に示す。この図3においても、図2と同様に、裏面電極16は図示していない。この図3に示すように、第1の従来例のものにおいても、分離加工部端部の近傍は溶融固化(再結晶化)し、後述するように照射したレーザ(エネルギービーム)の影響が出た領域12a’が形成される。透明導電酸化膜12は、この領域12a’と影響がない領域12bに分かれる。
【0029】
さらに、第1の従来例と同じく特に何の気体も吹き付けずに、レーザパワー密度のみを下地ガラス基板に熱的影響が出ない範囲で、4×107W/cm2まで高め、加工端部の形状が図4に示すように鋭くなった場合を第2の従来例とする。この図4においても、図2と同様に、裏面電極16は図示していない。この図4に示すように、第2の従来例のものにおいても、分離加工部端部の近傍は溶融固化(再結晶化)し、後述するように照射したレーザ(エネルギービーム)の影響が出た領域12a”が形成される。透明導電酸化膜12は、この領域12a”と影響がない領域12bに分かれる。
【0030】
第1の実施形態、第1の従来例ともに照射したレーザの影響が出て、シート抵抗が変化した領域12a又は12a’の幅は加工端部から15μmであり、また、第2の従来例では領域12a”は0.5μmであった。
【0031】
第1の実施形態の場合にはその領域12aの酸素濃度が49.9原子%から50.4原子%に増加し、従来例の領域12a’、12a”については49.9原子%から49.7原子%に減少した。
【0032】
また、第1の実施形態の場合には、その領域12aのシート抵抗が20Ω/□から200Ω/□(10倍)に増加し、従来例の領域12a’、12a”についてはいずれも20Ω/□から10Ω/□(1/2)に減少した。
【0033】
また、第1の実施形態の場合には、レーザによる分離加工を行う際に加工端部から15μmの領域が半溶融状態となるために表面張力により厚みが盛り上がり、この部分12aの丸み形状がゆるくなるとともに最大の厚みが1.1μm(透明導電酸化物膜のエネルギービームの影響を受けない領域12bより38%増加)となる。これに対して、第1の従来例の場合には、この部分12a’は気体の吹き付けによる冷却効果がないためか、丸み形状がゆるくなるとともに最大の厚みが1.3μm(透明導電酸化物膜のエネルギービームの影響を受けない領域12bより63%増加)と第1の実施形態の場合よりも厚くなった。
【0034】
これに対して第2の実施形態では、半溶融状態となった領域12a”は加工端部から0.5μmの領域であり、加工端部の形状は第1の実施形態及び第1の従来例と比較して鋭くなるとともに、最大の厚みが8500Å(透明導電酸化物膜のエネルギービームの影響を受けない領域12bより6%増加)となった。
【0035】
これらの透明導電酸化膜12(ZnO)付きガラス基板11上に第1表に示す条件により、公知の平行平板のプラズマCVD装置を用いて、p、i、n各層の表1の条件で形成を行った。ここで、放電電極面積は1500cm2、電極間隔は40mmである。
【0036】
【表1】
Figure 0004052782
【0037】
さらに上記非晶質半導体層を波長0.53μm、パルス周波数3kHzのYAGレーザ第2高調波を用いて、良好な加工性が得られる2×107W/cm2のレーザパワー密度、10mm/秒の加工速度で分離した。その上に裏面電極16として厚み4000Åのアルミニウムを基板温度200℃のDCスパッタ法により、Ar:400sccmの1Pa雰囲気下で、大きさ300cm2のAlターゲットに0.1kWの電力を印加して形成する。そして、そのAl層を波長0.53μm、パルス周波数3kHzのYAGレーザ第2高調波を用いて、良好な加工性が得られる2×107W/cm2のレーザパワー密度、10mm/秒の加工速度で分離加工して、35段集積型非晶質光起電力装置を作製した。
【0038】
これらの光起電力素子のAM−1.5、100mW/cm2、25℃の条件下での出力特性を第2表に示す。
【0039】
【表2】
Figure 0004052782
【0040】
第2表より明らかに、本願発明の第1の実施形態において、本願発明を用いない場合の最適加工条件であった第2の従来例よりも特性の向上が見られた。
【0041】
次に、この発明の上記実施形態において加工するレーザスポットのエネルギー分布を変化させることで、透明導電酸化物膜12の分離加工端部21の酸素濃度が高くなっている領域12aの幅を変えた時の光起電力装置における出力特性の変化を図5に示す。
【0042】
図5より明らかに、透明導電酸化物膜12の分離加工端部の酸素濃度が高くなっている領域12aの幅が50μm以下の場合に、第2の従来例よりも特性向上が見られた。透明導電酸化物膜12の分離加工端部の酸素濃度が高くなっている領域12aの幅が50μm以上の場合には、盛り上がりが大きくなりすぎてしまい、その部分での膜厚変化が大きくなりすぎるために、かえってその上に形成される半導体部分での微小なリーク個所が発生しやすくなってしまって特性が低下したものと考えられる。また、その領域12aの透明導電酸化物膜の酸素濃度を全体的に十分に高めることができなくなることもあり不適である。
【0043】
さらに、3000乃至20000Åの範囲で、種々の厚みの透明導電酸化物膜12において第1の実施形態と同じ構造で光起電力装置の出力特性の比較をおこなったところ、透明導電酸化物膜の分離加工端部の酸素濃度が高くなっている領域12aの厚みを、エネルギービームの影響を受けない透明導電酸化物膜の他の領域12bの厚みよりも20乃至100%厚くした場合に、第2の従来例の構造による光起電力装置よりも特性向上が見られた。尚、第1の従来例の構造ではさらに特性が低かった。
【0044】
この場合も、酸素濃度が高くなっている領域12aの厚みが20%未満の時には改善の効果が十分得られず、100%を越える割合で厚くなったときには、盛り上がりが大きくなりすぎてしまい、その部分での膜厚変化が大きくなりすぎるために、かえってその上に形成される半導体部分での微小なリーク個所が発生し易くなってしまって特性が低下したものと考えられる。
【0045】
次に、ZnOの膜厚を8000Åとし、加工時にレーザ照射部に吹き付けるオゾンを多く含む空気の量を調整することにより、透明導電酸化物膜12の分離加工端部の酸素濃度が高くなっている領域12aのシート抵抗を変化させた場合の、光起電力装置の出力特性の比較を行ったところ、透明導電酸化物膜の分離加工端部の酸素濃度が高くなっている領域12aのシート抵抗が100Ω/□以上の時に、実施形態での特性向上が顕著であった。
【0046】
さらに、5乃至50Ω/□の範囲で、種々のシート抵抗の透明導電酸化物膜12において第1の実施形態と同じ構造で光起電力装置の出力特性の比較を行ったところ、透明導電酸化物膜の分離加工端部の酸素濃度が高くなっている領域12aのシート抵抗を、エネルギービームの影響を受けない透明導電酸化物膜の他の領域12bのシート抵抗よりも2倍以上に高くした場合に、第2の従来例の構造による光起電力装置よりも特性向上が見られた。尚、第1の従来例の構造ではさらに特性が低かった。
【0047】
また、加工用のエネルギービームとしてスポット状のレーザビームを用いて透明導電酸化物膜12の分離加工を行う際に、そのスポットの重なりにはある程度ゆらぎがあるため、加工速度が速くなった場合に、分離加工部である溝21の一つにおいて、図6に示すような形で隣接する分割された透明導電酸化物領域の間の一部に加工残留物として透明導電酸化物が延伸するような領域21cが存在し、その部分が隣り合った透明導電酸化物膜間の絶縁不良個所となることがあった。
【0048】
このときに第1の実施形態の場合と同じように、低圧水銀ランプを用いて空気中の酸素をオゾン化し、レーザ照射部にそのオゾンを多く含む空気を吹き付けながら加工したものを第2の実施形態、特に何の気体も吹き付けなかったものを第3の従来例とする。なお、第1の実施形態、第1の従来例及び第2の従来例での透明導電酸化物膜12の分離加工に要した時間は5分であったが、第2の実施形態及び第3の従来例での加工時間は3分と短縮された。
【0049】
これらの光起電力素子のAM−1.5、100mW/cm2、25℃の条件下での出力特性を第3表に示す。
【0050】
【表3】
Figure 0004052782
【0051】
第3表より明らかに、本願発明の第2の実施形態において、加工速度を速めることができるとともに、本願発明を用いない場合の最適加工条件であった第2の従来例よりも特性の向上が見られた。
【0052】
上記発明の効果は分割された透明導電酸化物領域の一部12cが互いに延伸することで、透明導電酸化物膜12の分離加工部21における加工幅の一部が5乃至30%狭くなっている範囲で、第2の従来例を越える特性が得られた。5%未満の領域ではその効果が十分でなく、30%を越えた場合にはこの発明の効果では十分に補償しきれなくなってしまうため、特性向上が見られなかった。ただし、この場合でも従来例よりも加工速度が速くなっている。
【0053】
以上述べた実施形態においてこの発明の効果が得られており、いわゆる集積型光起電力装置における透明導電酸化物膜12をエネルギービームにより複数の領域に分割する際に、その透明導電酸化物膜の分離加工端部付近12aの酸素含有濃度が、透明導電酸化物膜の他の領域12bの酸素含有濃度よりも高くなるように、エネルギービーム照射部付近に酸素原子を含む気体を送りながら加工することを特徴とする光起電力装置の製造方法の有用性も明らかとなっているが、積極的に空気のような気体を送らない場合には、エネルギービーム照射部付近の酸素のみで加工端部付近の透明導電酸化物膜の酸素濃度を十分に高くすることができなかった。
【0054】
すなわち、以上の実施形態においては、エネルギービーム照射部付近に酸素原子を含む気体としてオゾン化した酸素を多く含む空気を用いたが、この発明の効果はこれに限定されるものではなく、酸素源を積極的にエネルギービーム照射部付近に供給することが、この発明の構成要件であることはあきらかである。
【0055】
また、レーザビーム照射スポット部にオゾン等の活性化された酸素を多く含む空気を吹き付けながら透明導電酸化物膜の分離加工を行う際に、レーザビーム照射部付近を含む空間の加工時の圧力を大気圧未満に陰圧にすることで、吹き付ける空気の流れの制御が容易になると共に、化学的に活性化された酸素との反応物が雰囲気中に昇華しやすくなるために、分割されて隣り合った透明導電酸化物膜の分割溝に互いに延伸するような残留領域が発生しにくくなるため、再現性よく光起電力装置の製造が可能となるため好適であることがわかった。
【0056】
また、本実施形態においては透明導電酸化膜としてDCスパッタによる酸化亜鉛(ZnO)を用いたが、これはレーザのようなエネルギービームを用いた分離加工でその部分の厚みや酸素濃度を変化させやすいためであり、この発明の構成要件ではない。酸素濃度などによりその導電特性が変化する金属または金属酸化物に対して本願発明を適用しても、同様の効果が得られるのはもちろんである。
【0057】
また、上記実施形態においては非晶質シリコン及び非晶質炭化シリコン及び微結晶シリコンを構成要素とするpin接合が単一の光起電力装置への適用について述べたが、他の構成元素を含む薄膜半導体を用いた光起電力装置、pin接合を複数含む積層型光起電力装置、さらには他の構造の半導体素子でも同様の効果が得られるのはもちろんである。特に積層型光起電力装置は半導体各層の厚みが薄く、その部分に微小なリーク個所ができやすいため、光を受けて発生した電流がその部分から漏れるのを防ぐ効果がより大きいことが期待される。
【0058】
また、上記実施形態においては透明導電酸化膜の分離加工用のエネルギービームとしてレーザ光を用いたが、ECRをはじめとするマイクロ波を用いたドライエッチングを適用し、エッチング時に酸素原子を含む気体を供給してもよいのはもちろんである。
【0059】
さらに、エッチングなどにより、透明導電酸化膜を分割した後、分離加工端部近傍以外をマスクで被覆した後、分離加工端部に酸素を導入して、酸素含有濃度を高めるようにしても同様の効果が得られる。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明は、エネルギービームにより複数の領域に分割された透明導電酸化物膜の分離加工端部付近の酸素含有濃度を、透明導電酸化物膜の他の領域の酸素含有濃度よりも高くすることでその領域の抵抗が増加し、その上に形成される半導体部分に微小なリーク個所ができても、光を受けて発生した電流がその部分から漏れるのを防ぐことができる。このため、光起電力装置の出力特性を向上させることができる。
【0061】
また、少なくともその透明導電酸化物膜の分離加工部である溝のひとつにおいて、隣接する分割された透明導電酸化物領域の間の一部に加工残留物として透明導電酸化物が存在し、上記加工残留物の酸素含有濃度が、透明導電酸化物膜のエネルギービームの影響を受けない領域の酸素含有濃度よりも高くなるようにすることで、分割されて隣り合った透明導電酸化物膜の分割溝に互いに延伸するような残留領域が発生しても、その部分が隣り合った透明導電酸化物膜間の絶縁不良個所となるのを防止できるため、光起電力装置の出力特性を向上させることができる。
【0062】
また、透明導電酸化物膜をエネルギービームにより複数の領域に分割する際に、エネルギービーム照射部付近に酸素原子を含む気体を送りながら加工することで、比較的容易に透明導電酸化物膜の分離加工端部の酸素濃度を高くでき、上記効果を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明が適用される光起電力装置の全体の概略構造を示す断面図である。
【図2】この発明の第1の実施形態における透明導電酸化膜の加工部の概略断面図である。
【図3】第1の従来例における透明導電酸化膜加工部の概略断面図である。
【図4】第2の従来例における透明導電酸化膜加工部の概略断面図
【図5】第1の実施形態の構造において、透明導電酸化膜12の分離加工部の酸素濃度が高くなっている領域12aの幅を変えたときの光起電力装置の出力特性の変化を示す図である。
【図6】この発明の第2の実施形態における透明導電酸化膜加工部の概略断面図である。
【符号の説明】
11 ガラス基板
12 透明導電酸化膜(ZnO)
12a 照射したエネルギービームの影響が出て酸素濃度が変化した領域
12b 照射したエネルギービームの影響がない領域
13 p型a−SiC
14 i型a−Si
15 n型μc−Si
16 裏面金属層(Al)
21 エネルギービーム照射による加工溝

Claims (6)

  1. 支持基板、透明導電酸化膜、光活性層となる半導体薄膜及び裏面電極が順次積層して形成され、形成途中の各段階において支持基板以外の各層を複数の領域に分離することで、単位素子が複数個直列に接続された集積型光起電力装置において、
    上記透明導電酸化膜は複数の領域に分割されており、
    上記半導体薄膜は、上記透明導電酸化膜の分離加工部を含んで当該透明導電酸化膜上に形成されており、
    上記透明導電酸化膜の分離加工端部付近の酸素含有濃度が他の透明導電酸化膜の領域の酸素含有濃度より高く形成されていることを特徴とする集積型光起電力装置。
  2. 上記透明導電酸化膜に酸素原子を含む気体を供給してエネルギービームを照射して上記透明導電酸化膜が複数の領域に分割されていることを特徴とする請求項1に記載の集積型光起電力装置の製造方法。
  3. 支持基板、透明導電酸化膜、光活性層となる半導体薄膜及び裏面電極が順次積層して形成され、形成途中の各段階において支持基板以外の各層を複数の領域に分離することで、単位素子が複数個直列に接続された集積型光起電力装置を製造する方法において、上記透明導電酸化膜のエネルギービームの照射部付近に酸素原子を含む気体を供給して、上記透明導電酸化膜を複数の領域に分離し、その透明導電酸化膜の分離加工端部付近の酸素含有濃度を他の領域より高くすると共に、上記透明導電酸化膜の分離加工部を含んで当該透明導電酸化膜上に上記半導体薄膜を形成する工程を備えることを特徴とする光起電力装置の製造方法。
  4. 上記酸素原子を含む気体が化学的に活性であることを特徴とする請求項3に記載の光起電力装置の製造方法。
  5. 上記酸素原子を含む気体がオゾンを含むことを特徴とする請求項3に記載の光起電力装置の製造方法。
  6. エネルギービーム照射部付近を含む空間の加工時の圧力を大気圧未満にすることを特徴とする請求項3ないし4のいずれかに記載の光起電力装置の製造方法。
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