JP4052730B2 - 軸受装置の製造方法と軸受装置及びこれを用いたモータ - Google Patents

軸受装置の製造方法と軸受装置及びこれを用いたモータ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報機器、映像・音響機器等に使用される軸受装置及びそれを用いたモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年情報機器、映像・音響機器は、DVD(デジタルビデオディスク)に代表されるように、機器の高密度記録化が進むに伴い、これらの機器に使用されるモータについても、より高い回転精度が要求されるようになってきている。そのためモータの回転軸を支える軸受装置についてもより高い回転精度が要求されている。
【0003】
従来の焼結含油軸受を用いた軸受装置は、内径が真円に加工された軸受と、真円のシャフトが回転摺動する、いわゆるジャーナル軸受として構成されているものが大半である。焼結含油軸受はシャフトが偏心した状態で回転すると、ポンプ作用と呼ばれる油の循環作用や油のくさび効果により良好な摺動特性を示すものの、ジャーナル軸受は、軸が偏心した状態でないと半径方向の圧力が発生しないという構造上の問題により、シャフトの振れ回りが大きくなり、回転精度の確保が難しいという問題点を有していた。
【0004】
このような焼結含油軸受の問題点を改良するものとして、実開昭61−101124号公報に記載されているように、軸受内径部にスパイラル状の溝を形成し、軸回転に伴い内側へ潤滑剤を導くことにより、高度の回転精度を達成し、かつエネルギー損失を低減すると共に、軸受が焼結金属であるため溝形状の加工が容易であり、かつ低廉となるものがある。さらに、特開昭62−167921号公報および特開昭62−167922号公報には、軸受内周面に軸芯を中心とする円弧面より大きい曲率の円弧面の3面以上の組み合わせ、およびその円弧面が平面状である内径面を有する軸受であって、軸との接触が線接触となるため摩擦損失を低減できるものが記載されている。また、特開平5−115146号公報に記載された軸受は、内径面に実質的に矩形状の溝部が複数個ある焼結含油軸受であり、簡単な構造によって動圧機能の向上と低ノイズおよび低摩耗化を達成するものである。
【0005】
上記のように、既に開示されている技術は、クリアランスの低減や回転数の増大に伴う流体潤滑剤の流体抵抗の増大に対し、いずれも軸受内径溝を形成し、軸支持するクリアランスを大きくすることなく流体抵抗を低減しようとするものである。また、それに伴う溝部における動圧効果により、軸支持部の軸受剛性を高め、回転精度を高めようとするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の構成は、軸受の動圧機構により軸を中心に押さえようとする効果は得られるものの、軸の振れ回りを抑制する上で重要となる軸受両端付近の圧力は、潤滑油が軸受摺動面の外に漏れ出していくために、発生する圧力が低下し、軸の振れ回りの抑制効果が十分でなく、回転精度の確保が難しいという問題点を有していた。
【0007】
さらに、従来の軸受では軸受両端付近の潤滑油が軸受摺動面の外に漏れ出していくために、軸を中心に押さえようとする効果も減少してしまうことは述べたが、機器の小型化が進むにつれモータの小型化、薄型化が要求されている現在、軸受の長さが短くなると、その影響は特に顕著に現れる。ジャーナル軸受の特性を詳細に検討した例では、軸受直径に対する軸受長さの比が1になると軸受が十分に長い場合に比較して、軸受の動圧効果が約2分の1にまで減少するという研究結果もある。このような場合は、軸の振れ回りの抑制が難しいのはもちろんのこと、軸受の信頼性の面に置いても必要な性能を維持することさえ難しくなってきている。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり回転精度が高くかつ安価の軸受装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、焼結合金の圧粉成形時に前記内径部の一部または全部を上端側にかけて先細のテーパ状に成形し、後工程で突起を設けたピンを圧入することにより、前記軸受内径のテーパ部に複数の凹部を転写し、さらにサイジング加工の際にストレート状のピンを圧入することにより、内径を塑性変形させて前記テーパ部を、ストレート状にサイジング加工することにより、シャフトの摺動面に両端が閉塞された複数の凹部を形成するとともに、前記内径部の上端側は、前記内径部の下端側に比較して、密度が高く、空孔の小さい状態に形成するものであり、単純な工程で優れた動圧効果を発生する凹部を作成できるため、回転精度が高くかつ安価の軸受装置を提供することができる。
【0010】
さらに本発明は、後工程で突起を設けたピンを圧入して軸受け内径のテーパ部に複数の凹部を転写する上記方法に替えて、前工程の圧粉成形時に金型の内径ピンに突起を設けて一度に複数の凹部を有するテーパ状の焼結合金を形成し、その後は同様にサイジング加工するものであり、ピン圧入工程が不必要なためさらに安価な軸受装置を提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、多孔質状の焼結合金により形成された軸受本体に、シャフトと摺動する内径部が形成された焼結含油軸受の製造方法において、焼結合金の圧粉成形時に前記内径部の一部または全部を上端側にかけて先細のテーパ状に成形し、後工程で突起を設けたピンを圧入することにより、前記軸受内径のテーパ部に複数の凹部を転写し、さらにサイジング加工の際にストレート状のピンを圧入することにより、内径を塑性変形させて前記テーパ部を、ストレート状にサイジング加工することにより、シャフトの摺動面に両端が閉塞された複数の凹部を形成するとともに、前記内径部の上端側は、前記内径部の下端側に比較して、密度が高く、空孔の小さい状態に形成することを特徴とする軸受装置の製造方法で、単純な工程で、優れた動圧効果を発生する凹部が作成可能となり、回転精度が高くかつ安価の軸受装置を提供することができる。加えて軸受上端付近はサイジング量の関係で空孔が小さい状態になっており、圧力を高めることができると同時に、圧力を軸受上端付近で発生させるために、上端側の出力軸の振れ回りの抑制効果を高くすることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、多孔質状の焼結合金により形成された軸受本体に、シャフトと摺動する内径部が形成された焼結含油軸受の製造方法において、焼結合金の圧粉成型時に前記内径部の一部または全部を上端側にかけて先細のテーパ状に成形すると共に、前記テーパ部の一部または、全周に渡って、凸状に盛り上げた部分を形成し、後工程で突起を設けたピンを圧入することにより、前記軸受内径のテーパ部に複数の凹部を転写し、さらにサイジング加工の際にストレート状のピンを圧入することにより、内径を塑性変形させて前記テーパ部を、ストレート状にサイジング加工することにより、シャフトの摺動面に両端が閉塞された複数の凹部を形成すると共に、前記内径部の上端側は、前記内径部の下端側に比較して、密度が高く、空孔の小さい状態に形成し、さらに、転写加工あるいは、サイジング加工の際に前記凸状に形成した部分を押しつぶすことにより、この部分の表面の空孔率を低くしたことを特徴とする軸受装置の製造方法で、単純な工程で、優れた動圧効果を発生する凹部が作成可能となり、回転精度が高くかつ安価の軸受装置を提供することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、多孔質状の焼結合金により形成された軸受本体に、シャフトと摺動する内径部が形成された焼結含油軸受の製造方法において、焼結合金の圧粉成型時に前記内径部の一部または全部を上端側にかけて先細のテーパ状に成形すると共に、前記テーパ部の一部または、全周に渡って、凹状に窪んだ部分を形成し、後工程で突起を設けたピンを圧入することにより、前記軸受内径のテーパ部に複数の凹部を転写し、さらにサイジング加工の際にストレート状のピンを圧入することにより、内径を塑性変形させて前記テーパ部を、ストレート状にサイジング加工することにより、シャフトの摺動面に両端が閉塞された複数の凹部を形成すると共に、前記内径部の上端側は、前記内径部の下端側に比較して、密度が高く、空孔の小さい状態に形成し、さらに、転写加工あるいは、サイジング加工の際に前記凹状に形成した部分とその周辺を押しつぶすことにより、この部分の表面の空孔率を周辺より高めたことを特徴とする軸受装置の製造方法で、単純な工程で、優れた動圧効果を発生する凹部が作成可能となり、回転精度が高くかつ安価の軸受装置を提供することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記請求項1から3のいずれか1項に記載の軸受装置の製造方法により作製された軸受装置であり、回転精度が高く、かつ安価な軸受装置を提供することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、軸受内径に形成された凹部内の空孔分布を、正圧側の表面空孔率を負圧側の表面空孔率よりも小さくしたことを特徴とする請求項4記載の軸受装置であり、軸受の動圧効果をさらに高める作用がある。
【0016】
請求項6に記載の発明は、圧粉成型時に軸受の外周部に溝を設けたことを特徴とする請求項4から5のいずれか1項に記載の軸受装置であり、後工程での位置決めに使用できる、あるいは機器に組み込んだ際、空気抜き等の役割を果たし信頼性を向上させる効果がある。
【0017】
請求項7に記載の発明は、軸受外周部に設けられた溝は、幅及び深さ、あるいはそのどちらか一方を、高負荷側端面の方向に向かって漸近的に小さくしたことを特徴とする請求項6記載の軸受装置であり、軸受の信頼性を高める作用がある。
【0018】
請求項8に記載の発明は、軸受内径部には、内径が摺動面よりひとまわり大きい中逃げ部を設けることにより、2つ以上の摺動面を単一の軸受にて一体に成形したことを特徴とする請求項4から7のいずれか1項に記載の軸受装置であり、軸受を2つ以上使用した場合と比較して、安定した性能が得られ、信頼性についても向上させる効果がある。
【0019】
請求項9に記載の発明は、軸受内径部に形成された複数の摺動面は、それぞれ摺動面の軸方向長さが異なることを特徴とする請求項8記載の軸受装置であり、高信頼性と、高回転精度、低軸ロストルク等を高レベルで両立した軸受装置を提供できる。
【0020】
請求項10に記載の発明は、軸受内径に形成された複数の凹部を有し、前記凹部は、場所により形状が異なることを特徴とする請求項4から9のいずれか1項に記載の軸受装置であり、高回転精度と、低軸ロストルク等を高レベルで両立した軸受装置を提供できる。
【0021】
請求項11に記載の発明は、軸受内径に形成された複数の凹部は、回転方向に並んだ凹部の個数が、場所により異なることを特徴とする請求項4から10のいずれか1項に記載の軸受装置であり、高回転精度と、低軸ロストルク等を高レベルで両立した軸受装置を提供できる。
【0022】
請求項12に記載の発明は、軸受内径に形成された複数の凹部は、回転方向に並んだ凹部の個数が3以上の素数としたことを特徴とする請求項4から11のいずれか1項に記載の軸受装置であり、軸の共振等を抑え回転精度を高めることができる。
【0023】
請求項13に記載の発明は、軸受内径に形成された凹部内の空孔分布を、表面空孔率2〜30%の間で調整したことを特徴とする請求項4から12のいずれか1項に記載の軸受装置であり、軸受の動圧効果を有効に作用させるものである。
【0024】
請求項14に記載の発明は、軸受内径に形成された凹部の深さを、2〜100μmの間としたことを特徴とする請求項4から13のいずれか1項に記載の軸受装置であり、軸受の動圧効果を有効に作用させるものである。
【0025】
請求項15に記載の発明は、多孔質状の焼結合金により形成された軸受本体に、シャフトと摺動する内径部が形成された焼結含油軸受において、焼結合金の圧粉成形時に前記内径部の一部または全部を上端側にかけて先細のテーパ状に形成すると共に、前記テーパ部に複数の凹部を設け、サイジング加工の際にストレート状のピンを圧入することにより、内径を塑性変形させて前記テーパ部を、ストレート状にサイジング加工することにより、シャフトの摺動面に両端が閉塞された複数の凹部を形成するとともに、前記内径部の上端側は、前記内径部の下端側に比較して、密度が高く、空孔の小さい状態に形成した軸受装置であり、特別な工程を一切追加せずに優れた動圧効果を発生する凹部を作成できるため、回転精度が高くかつ安価の軸受装置を提供することができる。
【0026】
請求項16に記載の発明は、圧粉成形時の軸受内径の凹部は、圧粉成形金型の内径ピンの一部を上端側にかけて先細のテーパ状に形成すると共に、前記テーパ部にテーパ部の大きい方の外径を超えない範囲の高さで、複数の突起を設けた形状とすることにより、軸受本体に前記内径ピンの形状を転写し形成した軸受装置で、前記凹部を形成する方法を示したものである。
【0027】
請求項17に記載の発明は、請求項4から16のいずれか1項に記載の軸受装置を具備したモータであり、回転精度が高くかつ安価のモータを提供することができる。
【0028】
【実施例】
以下本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1は本実施例の軸受装置の構成を示している。
【0029】
図1(a)は圧粉成形後焼成処理された軸受1を示している。図1(a)において軸受1は鉄、銅等の金属粉末を金型で圧粉成形して構成されている。軸受1には、モータのシャフトと摺動する内径部2が形成され、さらに内径部2は上端側にかけて徐々に内径が小さくなるようにテーパ状に成形されている。ここで前記内径部2の形状は、軸受1を圧粉成形する金型の内径ピン3を図2に示すように、上側の外径を下側の外径より小さくすると同時に、中間部をテーパ状に成形することにより、この形状を軸受1本体に転写し形成されている。
【0030】
図1(b)は、内径テーパ部に凹部4が転写された後の軸受1を示している。図1(b)において軸受1には図3に示す転写ピン5が圧入されることにより、内径テーパ部に凹部4が転写される。
【0031】
この際凹部4を転写する転写ピン5の形状は比較的簡単な加工により作成できる。本実施例では転写ピン5の形状を図3に示すように先端がテーパ状のピンの先端に、スパイラル状の突起6が設けられた形状としているが、この転写ピン5を加工する際、突起6には高い加工精度が要求されるものの、その他の転写加工を行う際に軸受1に接しない部分については精度、形状共任意の加工でかまわない。
【0032】
図1(c)はサイジング加工後の軸受1を示している。図1(c)において軸受1は、外径をストレート状にサイジング加工されると同時に、内径部2はストレート状のピンを圧入することにより、内径を塑性変形させストレート状にサイジング加工される。この加工により最終的に内径部2には、スパイラル状の溝が、上端部で止まった形状(以下スクイーズ形状と称する)の凹部7が形成される。このとき、軸受内径部2上端側は、軸受内径部2下端側に比較して、サイジング量が大きくなるために材質の密度が高く、空孔の小さい状態となっている。
【0033】
サイジング加工された後の軸受1には、真空含浸等で潤滑油が含浸され、この潤滑油がシャフトの回転時にシャフトと内径面との間に供給されることにより良好な潤滑状態が確保される。
【0034】
以下はこの軸受装置の潤滑機構について図を用いて説明する。
図4はこの軸受装置の潤滑機構を模式的に表した図である。
図4(a)はスクイーズ形状の凹部7の軸方向断面を示している。凹部7は図に示した通り、回転方向にかけて、徐々に凹部の深さが浅くなるように、テーパ状に成形されると共に、各部のサイジング量の関係で、凹部の浅い部分の方面は空孔の小さい状態となっている。シャフト8が回転すると、図4(a)に示すような圧力9が発生する。凹部7の最深部以前(最深部より反回転方向部分)は他の部分より圧力が低くなり潤滑油が染み出す形になっている。そして、染み出した潤滑油は、シャフト8の回転に伴い徐々に凹部7が浅くなる方向に送られ、いわゆるくさび作用による圧力9が発生する。
【0035】
図4(b)はスクイーズ形状の凹部7を内径側から見た展開図を示している。
上記では、潤滑油の回転方向の流れによる圧力発生の機構を説明したが、本実施例の軸受では軸方向の流れとそれに伴う圧力も発生する。潤滑油は回転方向に流れると同時に一部は図4(b)に示すようにスクイーズ形状に沿って軸受1の上端方向に流れる。この潤滑油の流れはスクイーズ形状上端付近に集められ、この部分で圧力が発生する。高い圧力を発生させるためには、スクイーズ形状の上端付近の空孔が小さい状態が望ましいが、軸受上端付近はサイジング量の関係で空孔が小さい状態になっており、圧力を高めることができると同時に、圧力を軸受上端付近で発生させるために、上端側の出力軸の振れ回りの抑制効果を高くすることができる。
【0036】
本実施例の軸受装置は、これら回転方向の流れによる圧力と、軸受上端付近に発生する圧力の相乗効果により、動圧効果が高く、回転精度が高い軸受装置となる。
【0037】
なお、上記実施例の軸受1の製造方法は、後で説明する実施例7のものなどと比べ工程が一つ追加となるものの、追加する工程は転写ピン5を圧入するだけの単純な工程であり、焼結含油軸受の生産コストの安さという従来からの特徴はそのまま継承される。
【0038】
また、上記実施例は、軸受1内径にスクイーズ形状の凹部7が形成されているが、図5(a)に示すような軸受10上端側を一辺とする三角形状の凹部11を作成する。あるいは、図5(b)に示すような、くの字状の溝を回転方向に複数並べたいわゆるヘリングボーン形状の凹部13を作成する等、その他内径に転写可能な形状ならば、任意の形状、任意の深さ分布で成形可能である。これらの形状は用途、使用条件等に合わせて適した形状を選ぶことにより最適な特性の軸受装置を得ることができる。
【0039】
また、上記実施例は、1回の転写加工で凹部を転写する構成を示しているが、複数の転写ピンを使って、数回に分けて転写する。あるいは、転写ピンと軸受を相対的に回転しながら何回かに分けて加工することにより、転写ピンに設けられた突起の数より多い数の凹部を軸受に転写するといった加工も可能である。
【0040】
(実施例2)
図6は本実施例2の軸受装置の構成を示している。
図6(a)は圧粉成形後焼成処理された軸受14を示している。図6(a)において軸受14の内径部15が上端側にかけて徐々に内径が小さくなるようにテーパ状に成形されているのは上記実施例1と同様であるが、本実施例では前記テーパ部に複数の凸部16が設けられていると同時に、外径部には、上下を結ぶ溝17が数カ所形成されている。
【0041】
ここで前記内径部15の形状は、軸受を圧粉成形する金型の内径ピン18を図7に示すように、上側の外径を下側の外径より小さくすると同時に、中間部をテーパ状に成形し、さらに前記テーパ部に複数の凹部19を設けることにより、この形状を軸受14本体に転写し形成されている。
【0042】
図6(b)は、内径テーパ部に凹部20が転写された後の軸受14を示している。図6(b)において軸受14には図3に示す転写ピン5が圧入されることにより、内径テーパ部に凹部20が転写される。この際、軸受14は圧粉時に設けた外径部の溝17を基準に位置決めして加工することにより、凹部20は、圧粉成型時に設けた凸部16と同期したかたちで転写加工が行われている。本実施例では凹部20は、圧粉成型時に設けた凸部16と同期した形で転写加工が行われているため、凹部20内の空孔分布についてもコントロールが可能となっている。
【0043】
図6(c)はサイジング加工後の軸受14を示している。図6(c)において軸受14は、外径をストレート状にサイジング加工されると同時に、内径部15はストレート状のピンを圧入することにより、内径を塑性変形させストレート状にサイジング加工される。この加工により最終的に内径部15には、スパイラル状の溝が、上端部で止まったいわゆるスクイーズ形状の凹部20が形成される。このとき、軸受内径部15上端側は、軸受内径部15下端側に比較して、サイジング量が大きくなるために材質の密度が高く、空孔の非常に少ない状態となっている。
【0044】
図8は、空孔のコントロールの過程を示した図である。
図8(a)は圧粉成形後焼成処理された軸受14の軸方向断面を模式的に示した図である。図8(a)において、軸受内径には、凸部16が形成されている。この時点で軸受14はどの部分も密度はほぼ一定である。
【0045】
図8(b)は凹部20が転写加工された軸受14の軸方向断面を模式的に示した図である。図8(b)において、軸受内径に転写された凹部20は、圧粉時に設けられた凸部16の影響で傾斜面21側の密度が高まり空孔が小さい状態となっている。
【0046】
図8(c)はサイジング加工された軸受14の軸方向断面を模式的に示した図である。図8(c)において、軸受14の摺動面付近は、内径のサイジング加工により、密度が高まり空孔が小さい状態となっている。この加工により最終的には、シャフト回転時に圧力が周りより低くなる凹部20最深部付近の空孔はそのままに、圧力が高くなる凹部傾斜面21側の空孔が小さくなっている。
【0047】
この構成により、本実施例の軸受装置は上記の通り凹部20が深い部分は空孔が大きいため、潤滑油が染み出しやすく、圧力が高くなる傾斜面21側は空孔が小さく、潤滑油が浸透しにくいため、圧力を高めやすいというくさび作用を理想的に実現でき、効率的に最高圧を発生できる条件を満たすものとなっている。
【0048】
さらに、本実施例の軸受14外径部に設けられた溝17は、軸受14上端側にかけて徐々に深さ及び幅が小さくなっていく状態となっている。軸受14をモータに組み込んだ状態では、軸受14内の潤滑油が重力により下側に集中しやすいが、溝17下端付近の潤滑油は、いわゆる毛細管力により溝17下端側から溝17上端側に吸い上げられることにより、潤滑油が不足しやすい軸受14上端部に潤滑油を供給し、信頼性を高めている。また同時に、この溝17は、軸受14をモータに組み込んだ際、温度上昇等により軸受14下端側の空気と上端側の空気に圧力差が生じた場合、空気抜きの役割を果たし、軸受14内の油が外部に漏れ出すいわゆる油上がりの防止や、軸受14の表面積の増加等により、軸受14及び潤滑油を冷却するという役割も果たす。
【0049】
以上の構成により、本実施例の軸受14は、軸受の動圧効果をさらに高め、より回転精度が高く、信頼性の面でも優れた軸受装置を提供することができる。
また、上記実施例は、圧粉成型時に設けた凸部16を後工程で転写される凹部20と合わせた形状にしているが、図9に示すように圧粉成型時に後工程で転写される凹部の上端付近を全周に渡って凸状に成形した場合も、圧力が発生する凹部の上端付近の空孔を少なくする効果があり、同様の空孔分布コントロールが可能である。
【0050】
あるいは、逆に、図10に示すように圧粉成型時に後工程で転写される凹部の下端付近を全周に渡って凹状に成形した場合も、潤滑油が染み出す凹部の下端付近の空孔を大きくする効果があり、同様の空孔分布コントロールが可能である。
【0051】
なお、上記実施例は、軸受外径部に上下端を貫通する溝を形成したが、片端が閉塞された溝を形成した場合、上記に示した空気抜き等の効果は期待できなくなるものの、凹部転写時の位置決めに使用することにより、同様の加工が可能となる。
【0052】
(実施例3)
上記実施例は、単一の軸受を示したが上記実施例の軸受を複数組み合わせることにより、さらに回転精度が高い軸受装置を提供することができる。
【0053】
図11は、本実施例の軸受装置を示す。本実施例の軸受装置は、軸受ハウジング28に2つの軸受29,30が圧入固定された形となっている。軸受29,30はそれぞれ空孔が小さい方を上に取り付けられる。この際内径の凹部31,32がシャフトが一方に回転したときに動圧を発生するのに適した方向となるように配置している。この構成により、上下2つの軸受29,30で圧力を発生させることにより、軸受が1つだけの場合より軸の振れ回りを効果的に抑制できる。
【0054】
(実施例4)
図12は、本実施例の軸受装置を示す。本実施例の軸受装置は、軸受ハウジング33に一組の軸受34,35が圧入固定された形となっていることは上記実施例3と同様であるが、軸受34,35はそれぞれ空孔が小さい方を上下端として取り付けられると共に、内径に設けられた凹部36,37の形状がシャフトが一方に回転したときに動圧を発生するのに適した方向となるようにしている、具体的には上下の軸受34,35の形状が上下対称に成形されている。この構成により、凹部36,37の形状が異なるため、凹部を転写する転写ピンが二つ必要となるが、上下軸受34,35の両端面付近で圧力を発生させることにより、軸の振れ回りをさらに効果的に抑制できる。
【0055】
(実施例5)
上記実施例3,4は、前記実施例1の軸受を複数組み合わせた場合を示したが、以下は単一の軸受でさらに回転精度を高める方法について述べる。
【0056】
図13は本実施例の軸受装置の構成を示している。
図13(a)は圧粉成形後、焼成処理された軸受38を示している。図13(a)において軸受38には、モータのシャフトとの摺動部と中逃げ部を有する内径部39が形成され、さらに内径部39には上端部40に径が一段小さい部分を設けると共に、上端部40及び下端部41の2ヶ所がテーパ状に成形されている。さらに外径部42は下端部41が大きくなるようにテーパ状に成形されている。
【0057】
ここで前記内径部39の形状は、軸受38を圧粉成形する金型の内径ピン43を図14に示すように、外径を3段に形成し、1段目と2段目の間に段差を設け、さらにテーパ状に成形すると共に、2段目と3段目の間をテーパ状に成形することにより、この形状を軸受38本体に転写し成形されている。
【0058】
図13(b)は内径部39に複数の凹部44が転写加工された軸受38を示している。図13(b)において軸受38には図15に示す転写ピン45が圧入されることにより、内径部に凹部44が転写される。この転写ピン45は、外径にスパイラル状の溝が形成されたピンの外径を、先端にかけて段付きテーパ状に落とすことにより成形している。
【0059】
図13(c)は、サイジング加工されたあとの軸受38を示している。図13(c)において軸受38は図16に示す工程のように、圧粉成形時に設けられた外径の形状をストレート状にサイジング加工することにより、下端部41の内径を、ひとまわり小さくなるように加工し、さらにストレート状のピンを圧入することにより、内径を塑性変形させ内径部39がストレート状にサイジング加工される。この工程により上下2ヶ所の摺動部と各摺動部に設けられた凹部44が単一の軸受38にて一体に形成される。
【0060】
モータに組み込んだ際、上下の摺動部の凹部44は、それぞれ実施例1,2に示した効果と同様の動圧効果を示し、上下2段で動圧を発生させることにより、軸の振れ回りを効果的に抑制できる軸受装置が構成できる。
【0061】
また、本実施例では単一の軸受38にて上下摺動面が一体に形成されているため、上下摺動面の軸心が一致しているために、軸受を2つ以上を組み合わせた場合に比較して、軸のこじれ等の心配がなく、安定した性能が得られる。
【0062】
さらに、本実施例で内径部39に設けられた中逃げ部は、潤滑油の保油機構の役割を果たし、潤滑油の摺動面への供給を補う作用、さらには軸受端面への潤滑油漏れを抑える作用があり、信頼性を向上するために有効な手段である。
【0063】
なお、上記実施例では内径部39に中逃げ部を設け上下2つの摺動面を形成したが、中逃げ部を設けず、圧粉成型時に全体をテーパに成形し、後工程で上下それぞれに凹部を転写した場合、前記中逃げ部の効果は期待できなくなるものの、上下2段で動圧を発生させ、軸の振れ回りを効果的に抑制できる軸受装置が構成できる。
【0064】
なお、上記実施例は、上下2段の構成としているが、3段以上の構成も同様の方法で作成可能である。
(実施例6)
上記実施例5は軸受上端部と下端部はほぼ同一の加工が施されているが、本実施例では軸受上下の状態を意図的に変えることにより、さらに良好な特性の軸受装置を提供できる例を示す。
【0065】
図17は本実施例の軸受46を示している。本実施例の軸受は、軸受上端部47の摺動面の長さと、軸受下端部48の摺動面の長さを異ならせ、さらに上下摺動面に設けられた凹部の形状および個数を上下で異ならせている。
【0066】
モータに用いられる軸受装置は負荷が接続される出力側には、アンバランス等の負荷が強くかかるが、反出力側には大きな負荷はかからないのが普通である。本実施例では、出力側である上端部47の摺動面積を反出力側である下端部48の摺動面の面積より大きくすることにより、高負荷側の摺動面の負荷容量を大きくし、信頼性を向上させていると同時に、上端部47の凹部49の形状を動圧効果重視の形状とし、下端部48の凹部50の形状を軸ロストルクの低減重視の形状とし、さらに上下で凹部49,50の個数も異ならせることにより。上端部47で、軸の振れ回りを抑え、下端部48では、必要最低限の軸ロスにて軸を支えることにより、軸の回転精度と低軸ロストルクを高レベルで両立した軸受装置を提供することができる。
【0067】
(実施例7)
これまでの実施例では軸受内径部に設ける凹部はすべて圧粉成形後に突起を有するピンを圧入することでその突起形状が転写されるものであるが、本実施例は突起を有する金型内径ピンを使用して圧粉成形時に同時に複数の凹部を軸受内径部に設けるものである。
【0068】
図18(a)は圧粉成形後、焼成処理された軸受51を示している。
図18(a)において軸受51は鉄、銅等の金属粉末を金型で圧粉成形されて構成している。軸受51には、モータのシャフトと摺動する内径部52が形成され、さらに内径部52は上端側にかけて徐々に内径が小さくなるようにテーパ状に成形されると同時に、テーパ部53には、凹部54が形成されている。ここで前記内径部の形状は、軸受51を圧粉成形する金型の内径ピン55を図19に示すように、上側の外径を下側の外径より小さくすると同時に、中間部をテーパ状に成形すると共に、突起56を設けることにより、この形状を軸受51本体に転写し形成されている。本実施例では突起56は三角形状で断面形状も三角形状の例を示す。
【0069】
この際、内径ピン55に設けられた突起56の高さを下側の外径より高くすると、金型の離形性が悪くなるため、突起56の高さを図19の様に下側の外径と等しくするか、もしくは下側の外径より低くすることが望ましい。
【0070】
図18(b)は、サイジング加工された後の軸受51を示している。
図18(b)において軸受51は、外径をストレート状にサイジング加工されると同時に、内径部52はストレート状のピンを圧入することにより、内径を塑性変形させストレート状にサイジング加工される。このとき、軸受内径部52上端側は、軸受内径部52下端側に比較して、サイジング量が大きくなるために材質の密度が高く、空孔の非常に少ない状態となる。さらに圧粉成形時に設けた内径部52の凹部54は内径側から見て三角形状の凹部57として残り、前記凹部57の周辺の内径面は前述したとおり軸受上端側ほど空孔の少ない状態となっている。
【0071】
サイジング加工された後の軸受51には、真空含浸等で潤滑油が含浸され、この潤滑油がシャフトの回転時にシャフトと内径面との間に供給されることにより良好な潤滑状態が確保される。
【0072】
この軸受装置の潤滑機構については、凹部の形状や凹部における空孔の状態が多少異なるものの概ね図4によって実施例1で説明した潤滑機構と同一であるので省略する。
【0073】
なお、上記実施例の軸受51の製造方法は、圧粉成形する金型の内径ピン55の形状が特殊な形状となる以外は、従来の内径形状が真円の焼結含油軸受の製造方法と何ら変わるところがなく、焼結含油軸受の生産コストの安さという従来からの特徴はそのまま継承される。
【0074】
また、上記実施例は、内径ピンを図19に示すように、テーパ部に断面が三角形状の突起56を設ける形状にすることにより構成したが、図20(a)に示すように、内径ピン60のテーパ部に断面形状を軸芯を中心とする円弧面より小さい曲率の円弧面の3面以上の組み合わせた形状とすることもできる。あるいは図20(b)に示すように、内径ピン62のテーパ部になだらかな楕円状の突起を設けた形状とすることにより構成してもほぼ同様の加工が可能である。
【0075】
上記実施例は内径部52の凹部57を左右非対称な三角形状としたが、変形例として、図20(a)の内径ピン60を用いて図21(a)の様に左右対称な三角形状とすることもでき、あるいは、図20(b)の内径ピン62を用いて図21(b)の様な左右対称な楕円状とする等の左右対称な形状とすることもできる。この場合、動圧効果は若干低下するものの、シャフトの回転方向によらず一定の動圧効果が得られるため、左右両回転を必要とする軸受装置に使用することにより従来に比べて回転精度が高い軸受装置を提供することができる。
【0076】
圧粉成形時に同時に複数の凹部を形成する上記実施例7では単一の軸受を示したが、この実施例の場合も、圧粉成形後に凹部を形成する実施例3および4で説明したものと同様に、軸受を複数組み合わせた図11または図12に示す軸受装置を提供することができる。また実施例5に倣って単一の軸受で複数の軸受機能を発揮できる図13(c)に示す軸受装置も勿論提供できる。
【0077】
なお、上記実施例1〜7では、凹部の個数については詳しくは述べていないが、回転方向に並べられた凹部の個数を、素数以外に設定すると、共振等が発生しやすく、回転精度を悪化させる要因となるため、3以上の素数に設定した方が共振等が発生しにくく回転精度が高い。
【0078】
また、軸受の動圧効果を引き出すため、上記凹部内の空孔分布のレベルは、表面空孔率2〜30%で調整することが必要である。2%以下では凹部最深部付近での潤滑油の供給作用が十分に発揮できず、また30%を越えると空孔が大きくなり過ぎ、潤滑油が軸受内部に浸透してしまうために十分な圧力発生が得られなくなるという問題がある。さらに、その動圧効果を達成するため、凹部は、その深さが2〜100μmであることが必要である。深さが2μm以下では、発生する圧力が全体的に小さくなるために、十分な動圧効果が期待できず、一方100μm以上では、凹部内に潤滑油の十分な供給が得られ難いために、動圧効果がかえって低下し、やはり軸受の回転精度が下がってしまう。
【0079】
なお、上記実施例1〜7は、軸受単品について述べたものであるが、情報機器、映像・音響機器等に使用されるモータの軸受装置に上記実施例に述べた軸受装置を用いることにより、回転精度が高く、かつ安価で信頼性も高いモータを提供することができる。
【0080】
【発明の効果】
上記実施例の記載から明らかなように、請求項1から3に記載の発明によれば、多孔質状の焼結合金により形成された軸受本体に、シャフトと摺動する内径部が形成された焼結含油軸受において、焼結合金の圧粉成形時に前記内径部の一部または全部を上端側にかけて先細のテーパ状に成形し、後工程で突起を設けたピンを圧入することにより、前記軸受内径のテーパ部に複数の凹部を転写し、さらにサイジング加工の際にストレート状のピンを圧入することにより、内径を塑性変形させて前記テーパ部を、ストレート状にサイジング加工することにより、シャフトの摺動面に両端が閉塞された複数の凹部を形成するとともに、前記内径部の上端側は、前記内径部の下端側に比較して、密度が高く、空孔の小さい状態に形成したものであり、単純な工程で優れた動圧効果を発生する凹部を作成できるため、回転精度が高くかつ安価で信頼性も高い軸受装置を提供することができる。加えて軸受上端付近はサイジング量の関係で空孔が小さい状態になっており、圧力を高めることができると同時に、圧力を軸受上端付近で発生させるために、上端側の出力軸の振れ回りの抑制効果を高くすることができる。
【0081】
また圧粉成形時に軸受内径部に同時に凹部を形成し、後工程のピン圧入を省略する請求項15に記載の発明はさらに安価な軸受装置が提供できる。
さらに、これらの軸受装置をモータの軸受装置として使用することにより、回転精度が高くかつ安価で信頼性も高いモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1による軸受装置を示す断面斜視図
【図2】 本発明の実施例1による圧粉成形する金型の内径ピンの図
【図3】 本発明の実施例による転写ピンの図
【図4】 本発明の実施例1による軸受装置の潤滑機構を示す図
【図5】 本発明の実施例1のもう一つの例による軸受装置を示す半断面斜視図
【図6】 本発明の実施例2による軸受装置を示す断面斜視図
【図7】 本発明の実施例2による圧粉成形する金型の内径ピンの図
【図8】 本発明の実施例2による内径空孔コントロールの過程を示した図
【図9】 本発明の実施例2のもう一つの例による軸受装置を示す半断面斜視図
【図10】 本発明の実施例2のもう一つの例による軸受装置を示す半断面斜視図
【図11】 本発明の実施例3による軸受装置を示す断面斜視図
【図12】 本発明の実施例4による軸受装置を示す断面斜視図
【図13】 本発明の実施例5による軸受装置を示す断面斜視図
【図14】 本発明の実施例5による圧粉成形する金型の内径ピンの図
【図15】 本発明の実施例5による転写ピンの図
【図16】 本発明の実施例5による軸受装置の製造工程を示す図
【図17】 本発明の実施例6による軸受装置を示す断面斜視図
【図18】 本発明の実施例7による軸受装置を示す断面斜視図
【図19】 本発明の実施例7による圧粉成形する金型の内径ピンの図
【図20】 本発明の実施例7のもう一つの例による圧粉成形する金型の内径ピンの斜視図
【図21】 本発明の実施例7のもう一つの例による軸受装置を示す半断面斜視図
【符号の説明】
1、10、12、14、22、25、29、30、34、35、38、46、51 軸受
2、15、39、52 内径部
3、18、43、55、60、62 内径ピン
4、7、11、13、19、20、24、26、27、31、32、36、37、44、49、50、54、57 凹部
5 転写ピン
6、56 突起
8 シャフト
9 圧力
16,23 凸部
17 溝
21 傾斜面
28,33 軸受ハウジング
40,47 上端部
41,48 下端部
42 外形部
45 転写ピン

Claims (17)

  1. 多孔質状の焼結合金により形成された軸受本体に、シャフトと摺動する内径部が形成された焼結含油軸受の製造方法において、焼結合金の圧粉成形時に前記内径部の一部または全部を上端側にかけて先細のテーパ状に成形し、後工程で突起を設けたピンを圧入することにより、前記軸受内径のテーパに複数の凹部を転写し、さらにサイジング加工の際にストレート状のピンを圧入することにより、内径を塑性変形させて前記テーパ部を、ストレート状にサイジング加工することにより、シャフトの摺動面に両端が閉塞された複数の凹部を形成するとともに、前記内径部の上端側は、前記内径部の下端側に比較して、密度が高く、空孔の小さい状態に形成することを特徴とする軸受装置の製造方法。
  2. 多孔質状の焼結合金により形成された軸受本体に、シャフトと摺動する内径部が形成された焼結含油軸受の製造方法において、焼結合金の圧粉成型時に前記内径部の一部または全部を上端側にかけて先細のテーパ状に成形すると共に、前記テーパ部の一部または、全周に渡って、凸状に盛り上げた部分を形成し、後工程で突起を設けたピンを圧入することにより、前記軸受内径のテーパ部に複数の凹部を転写し、さらにサイジング加工の際にストレート状のピンを圧入することにより、内径を塑性変形させて前記テーパ部を、ストレート状にサイジング加工することにより、シャフトの摺動面に両端が閉塞された複数の凹部を形成すると共に、前記内径部の上端側は、前記内径部の下端側に比較して、密度が高く、空孔の小さい状態に形成し、さらに、転写加工あるいは、サイジング加工の際に前記凸状に形成した部分を押しつぶすことにより、この部分の表面の空孔率を低くしたことを特徴とする軸受装置の製造方法。
  3. 多孔質状の焼結合金により形成された軸受本体に、シャフトと摺動する内径部が形成された焼結含油軸受の製造方法において、焼結合金の圧粉成型時に前記内径部の一部または全部を上端側にかけて先細のテーパ状に成形すると共に、前記テーパ部の一部または、全周に渡って、凹状に窪んだ部分を形成し、後工程で突起を設けたピンを圧入することにより、前記軸受内径のテーパ部に複数の凹部を転写し、さらにサイジング加工の際にストレート状のピンを圧入することにより、内径を塑性変形させて前記テーパ部を、ストレート状にサイジング加工することにより、シャフトの摺動面に両端が閉塞された複数の凹部を形成すると共に、前記内径部の上端側は、前記内径部の下端側に比較して、密度が高く、空孔の小さい状態に形成し、さらに、転写加工あるいは、サイジング加工の際に前記凹状に形成した部分とその周辺を押しつぶすことにより、この部分の表面の空孔率を周辺より高めたことを特徴とする軸受装置の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の軸受装置の製造方法による軸受装置。
  5. 軸受内径に形成された凹部内の空孔分布を、正圧側の表面空孔率を負圧側の表面空孔率よりも小さくしたことを特徴とする請求項4記載の軸受装置。
  6. 圧粉成型時に軸受の外周部に溝を設けたことを特徴とする請求項4から5のいずれか1項に記載の軸受装置。
  7. 軸受外周部に設けられた溝は、幅及び深さ、あるいはそのどちらか一方を、高負荷側端面の方向に向かって漸近的に小さくしたことを特徴とする請求項6記載の軸受装置。
  8. 軸受内径部には、内径が摺動面よりひとまわり大きい中逃げ部を設けることにより、2つ以上の摺動面を単一の軸受にて一体に成形したことを特徴とする請求項4から7のいずれか1項に記載の軸受装置。
  9. 軸受内径部に形成された複数の摺動面は、それぞれ摺動面の軸方向長さが異なることを特徴とする請求項8記載の軸受装置。
  10. 軸受内径に形成された複数の凹部を有し、前記凹部は、場所により形状が異なることを特徴とする請求項4から9のいずれか1項に記載の軸受装置。
  11. 軸受内径に形成された複数の凹部は、回転方向に並んだ凹部の個数が、場所により異なることを特徴とする請求項4から10のいずれか1項に記載の軸受装置。
  12. 軸受内径に形成された複数の凹部は、回転方向に並んだ凹部の個数が3以上の素数としたことを特徴とする請求項4から11のいずれか1項に記載の軸受装置。
  13. 軸受内径に形成された凹部内の空孔分布を、表面空孔率2〜30%の間で調整したことを特徴とする請求項4から12のいずれか1項に記載の軸受装置。
  14. 軸受内径に形成された凹部の深さを、2〜100μmの間としたことを特徴とする請求項4から13のいずれか1項に記載の軸受装置。
  15. 多孔質状の焼結合金により形成された軸受本体に、シャフトと摺動する内径部が形成された焼結含油軸受において、焼結合金の圧粉成形時に前記内径部の一部または全部を上端側にかけて先細のテーパ状に形成すると共に、前記テーパ部に複数の凹部を設け、サイジング加工の際にストレート状のピンを圧入することにより、内径を塑性変形させて前記テーパ部を、ストレート状にサイジング加工することにより、シャフトの摺動面に両端が閉塞された複数の凹部を形成するとともに、前記内径部の上端側は、前記内径部の下端側に比較して、密度が高く、空孔の小さい状態に形成することを特徴とする軸受装置。
  16. 圧粉成形時の軸受内径の凹部は、圧粉成形金型の内径ピンの一部を上端側にかけて先細のテーパ状に形成すると共に、前記テーパ部にテーパ部の大きい方の外径を超えない範囲の高さで、複数の突起を設けた形状とすることにより、軸受本体に前記内径ピンの形状を転写し形成したことを特徴とする請求項15記載の軸受装置。
  17. 請求項4から16のいずれか1項に記載の軸受装置を具備したことを特徴とするモータ。
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