JP4052017B2 - 電流センサ異常検出装置およびその装置を備えた制御システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電流センサの異常状態を検出する電流センサ異常検出装置およびその装置を備えた制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電流センサの異常を検出する装置として、特開2000−206221号公報に開示されているような技術が知られている。上記従来技術においては、異常検出にあたっては、二次電池と負荷との間を流れる電流を電流センサで検出するとともに、二次電池の電圧を電圧センサで検出する。そして、電流センサの検出値がゼロのときに電圧センサで検出される電圧が、所定時間内に所定値以上の変動率で所定回数以上に亘って変化したときに、電流センサを異常と判定している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した電流センサの異常検出装置では、電流センサが異常か否かを判定しているだけに過ぎず、どのような異常であるかについては判定していない。
【0004】
本発明の目的は、電流センサの異常状態がどのような異常かを特定することができる電流センサ異常検出装置およびその装置を備えた制御システムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明による電流センサ異常検出装置は、二次電池の充放電電流を検出する電流センサの異常を検出するものであり、特定手段は、電流センサのセンサ本体に供給される電源電圧およびセンサ本体の出力電圧に基づいて、センサ電源およびセンサ本体を含む電流センサの異常状態を予め定めた複数の異常形態の内のいずれかに特定する。複数の異常形態は、 (a) 電源電圧の電圧範囲が第2の電源電圧範囲であってセンサ電源の異常を示す第1の異常形態と、 (b) 電源電圧の電圧範囲が正常電源電圧範囲でかつセンサ出力電圧の電圧範囲が第2のセンサ出力範囲であってセンサ本体の異常を示す第2の異常形態と、 (c) 電源電圧の電圧範囲が第1の電源電圧範囲でかつセンサ出力電圧の電圧範囲が正常センサ出力範囲である第3の異常形態と、 (d) 電源電圧の電圧範囲が正常電源電圧範囲でかつセンサ出力電圧の電圧範囲が第1のセンサ出力範囲である第4の異常形態とを有する。
また、本発明による制御システムでは、特定手段により複数の異常形態のいずれかに特定された場合に、制限手段は、特定された異常形態に応じた範囲に負荷の出力を制限する。
【0006】
【発明の効果】
本発明によれば次のような効果を得ることができる。
(1)特定手段により電流センサの異常状態を予め定めた複数の異常形態の内のいずれかに特定することができるため、単に電流センサが異常であるか否かだけでなく、どのような異常かを特定することができる。
(2)また、特定手段により複数の異常形態のいずれかに特定された場合には、負荷の出力が特定された異常形態に応じた範囲に制限されるので、負荷の出力は電流センサの異常状態に応じた適切な値に制御される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は一般的な電気車両(例えば電気自動車)の電流制御システムの概略構成を示すブロック図である。この電流制御システムには電流センサの状態を検出する電流センサ異常検出装置が備えられている。バッテリ1には負荷2が接続されている。バッテリ1を構成する二次電池には、例えばリチウムイオン電池やニッケル・カドミウム電池やニッケル・水素電池などが用いられる。負荷2は、車両に搭載されるモータやインバータなどで構成されている。車両がモータの駆動力により走行している力行モード時には、バッテリ1が放電されて負荷2のモータに電力が供給される。一方、回生モード時には、モータからの回生電力によりバッテリ1が充電される。
【0008】
バッテリ1を流れる充放電電流は電流センサ部3により検出される。電流センサ部3にはバッテリコントローラ4の電源回路4bから電力が供給される。電源回路4bから電流センサ部3に供給される電力の電源電圧は、バッテリコントローラ4のCPU4aのA/D1ポートにより検出される。3aは電流センサ部3の検出素子であり、検出素子3aの出力は増幅器3bにより増幅される。電流センサ部3から出力されたセンサ出力は、CPU4aのA/D2ポートにより検出される。なお、図1に示した例では、電源回路4bはバッテリ1の制御を行うバッテリコントローラ4内に設けられているが、バッテリコントローラ4と別個に設けても良い。
【0009】
CPU4aは、A/D1ポートにおいて一定期間Ta毎に電圧をサンプリングする。CPU4aは、サンプリングされた電圧データに対して移動平均や加重平均や単位変換等の演算処理を施す。演算結果であるセンサ電源電圧(VISENP)は、図2(a)に示すように一定期間Ta毎に得られる。同様に、CPU4aは、A/D2ポートにおいて一定期間Tb毎に電圧をサンプリングする。CPU4aは、サンプリングされた電圧データに対して移動平均や加重平均や単位変換等の演算処理を施す。演算結果であるセンサ出力電圧(VISENV)は、図2(b)に示すように一定期間Tb毎に得られる。このセンサ出力電圧(VISENV)に基づいてバッテリ1を流れる電流値が算出される。
【0010】
図1に戻って、電源回路4bのON/OFF制御はバッテリコントローラ4のCPU4aによって行われる。CPU4aは、算出されたセンサ電源電圧(VISENP)およびセンサ出力電圧(VISENV)に基づいて、電流センサ部3および電源回路4bの正常・異常状態を後述する4つのモードのいずれであるかを判定する。さらに、バッテリコントローラ4は、この判定結果に応じた出力制限または回生制限の指示S1を車両コントローラ5に出力する。CPU4aには電源回路4cから電力が供給される。なお、図示していないが、バッテリコントローラ4には記憶手段としてROMやRAMを備えている。
【0011】
車両コントローラ5は、アクセル操作量を検出するアクセルセンサ7、ブレーキ操作量を検出するブレーキセンサ8、車速センサ9の検出値に基づいて負荷2のモータのトルク指令値を演算する。車両コントローラ5にはこれら各種演算および車両制御を行うためのCPU5aやROM5b,RAM5c等を備えている。さらに、車両コントローラ5は、算出されたトルク指令値をバッテリコントローラ4から送信された出力制限指示または回生制限指示に基づいて修正する。この修正されたトルク指令値S2は負荷2に送られる。10は電流センサ異常を表示するインジケータであり、11はイグニッションスイッチ(IGN−SW)である。イグニッションスイッチ11がオンされると、車両コントローラ5の指示により電源回路4bからバッテリコントローラ4のCPU4aへ電力が供給される。
【0012】
《バッテリーコントローラ4の動作説明》
次いで、電流センサ状態、すなわち電流センサ部3および電源回路4bの正常・異常状態に応じた負荷制御について、図3,6および7のフローチャートを参照して説明する。図3はCPU4aの処理動作のメインフローを示すフローチャートである。図3に示すフローチャートは、イグニッションスイッチ11がオンされて電源回路4cからCPU4aに電力が供給されるとスタートする。
【0013】
ステップS10では、電源回路4bから電流センサ部3へ電力を供給する。ステップS20では、A/D1ポートの電圧値を上述したようにサンプリングし、センサ電源電圧(VISENP)を検出する。ステップS30では、A/D2ポートの電圧値をサンプリングしてセンサ出力電圧(VISENV)を検出する。ステップS40では、ステップS30で検出されたセンサ出力電圧(VISENV)、すなわち、車両起動時のセンサ出力電圧を初期値として記憶する。車両起動時においてはモータ負荷はゼロなので、バッテリ1を流れる電流値はゼロとなる。そのため、初期値は電流センサのオフセットになる。
【0014】
なお、本実施の形態に示す例では、電流センサ部3の仕様は測定電流域が±200Aおよび出力電圧が2.5±2Vであり、電源回路4bの仕様は電源電圧が5.0V±5%であるとして説明する。電流センサ部3および電源回路4bが正常であれば、ステップS30では電圧2.5Vがセンサ出力電圧として検出され、この電圧値2.5Vが初期値として記憶される。ここで、プラス符号の電流値は回生制御時のバッテリ1の充電電流値を表しており、マイナス符号の電流値は力行制御時の放電電流値を表している。
【0015】
ステップS50では、ステップS20およびステップS30で検出したセンサ電源電圧およびセンサ出力電圧と図4に示すマップとに基づいて、電流センサ状態(電流センサ部3および電源回路4bの状態)が後述する4つの形態のいずれであるか否かを確定する。4つの形態とは、電流センサ部3および電源回路4bが正常に機能している正常モード(CLR)と、電流センサ部3および電源回路4bの少なくとも一方が異常であって出力回生制御の厳しい制限が必要な異常モード(ISNG)と、電源回路4bが正常に機能していないが制御範囲を制限すれば走行が十分可能な制限制御モード1(LIMIT1)と、電流センサ部3が正常に機能していないが制御範囲を制限すれば走行が十分可能な制限制御モード2(LIMIT2)である。ここで、電源回路4bが正常に機能しているとは、所定の電源電圧が出力されている場合を意味する。
【0016】
ステップS50の確定作業を図4および図5を参照して説明する。なお、図4のマップおよび図5のテーブルは、バッテリコントローラ4の記憶装置(不図示)に予め記憶されている。図4に示すマップにおいて、縦軸はセンサ出力電圧(VISENV)であり、横軸はセンサ電源電圧(VISENP)である。最初に、検出されたセンサ電源電圧(VISENP)が、範囲OK1、CA1およびNG1のいずれの範囲に含まれるかを判定する。次に、センサ電源電圧(VISENP)が範囲OK1、CA1に含まれる場合には、検出されたセンサ電源電圧(VISENV)が、ラインL1とラインL1’との間の範囲OK2に含まれるか、ラインL1とラインL2との間またはラインL1’とラインL2’の間の範囲CA2に含まれるか、ラインL2よりも図示上側またはラインL2’よりも図示下側の範囲NG2に含まれるかを判定する。
【0017】
そして、図5に示すテーブルを用いて、図4のマップにおけるセンサ出力電圧(VISENV)およびセンサ電源電圧(VISENP)の位置から、電流センサ状態が正常モード(CLR)、異常モード(ISNG)、制限制御モード1(LIMIT1)および制限制御モード2(LIMIT2)のいずれであるかを確定する。図5からも分かるように、センサ電源電圧およびセンサ出力電圧の両方とも正常範囲(OK1,OK2)である場合には、電流センサ状態は正常モード(CLR)であると確定する。また、センサ出力電圧が正常範囲(OK2)であって、センサ電源電圧が正常範囲外の所定範囲(CA1)の場合には、電流センサ状態は制限制御モード1(LIMIT1)であると確定する。逆に、センサ電源電圧が正常範囲(OK1)であって、センサ出力電圧が正常範囲外の所定範囲(CA2)の場合には、電流センサ状態は制限制御モード2(LIMIT2)であると確定する。なお、所定範囲CA1,CA2はバッテリコントローラ4側で規定される許容範囲内である。
【0018】
センサ電源電圧が範囲NG1またはセンサ出力電圧が範囲NG2の場合、すなわち、センサ電源電圧およびセンサ出力電圧のいずれか一方が所定範囲CA1,CA2よりも大きくずれている場合には、電流センサ状態は異常モード(ISNG)であると確定する。また、センサ電源電圧が所定範囲CA1でセンサ出力電圧が所定範囲CA2の場合、すなわち、正常範囲からのずれはそれほど大きくは無いがセンサ電源電圧およびセンサ出力電圧の両方とも正常範囲からずれている場合にも、電流センサ状態は異常モード(ISNG)であると確定する。
【0019】
図5の分類を用いると、例えば、同じ異常モード(ISNG)であっても、センサ電源電圧が範囲NG1で、かつ、センサ出力が範囲OK2である場合には、センサ異常状態は電源回路4bが異常な第1の形態であると特定できる。逆に、センサ電源電圧が範囲OK1で、かつ、センサ出力が範囲NG2である場合には、センサ異常状態は電流センサ部3が異常な第2の形態であると特定することができる。また、センサ異常状態の第3の形態である制限制御モード1(LIMIT1)では、電源回路4bは完全な異常とは断定できないが、異常傾向にあると判断することができる。一方、センサ異常状態の第4の形態である制限制御モード2(LIMIT2)の場合には、電流センサ部3は完全な異常とは断定できないが、異常傾向にあると判断することができる。なお、上述した第1〜第4の形態に特定されると、インジケータ10には形態に応じた異常表示が行われる。
【0020】
図3のフローチャートに戻って、ステップS60ではステップS50で確定された電流センサ状態が正常モード(CLR)であるか否かを判定する。ステップS60でYESと判定されると、すなわち電流センサ状態が正常モード(CLR)であると判定されるとステップS90へ進み、NOと判定されるとステップS70へ進む。ステップS90では、電流センサ状態が正常であると判定されたので、通常の制御条件を、バッテリコントローラ4から車両コントローラ5への出力回生制限指示S1の指示条件に設定する。ここで、通常の制御条件とは、負荷2とバッテリ1の最大出力・回生可能電力範囲で車両制御を行うことである。ステップS90の処理が終了するとステップS400に進む。
【0021】
一方、ステップS60からステップS70に進んだ場合には、ステップS70において電流センサ状態が制限制御モード1(LIMIT1)および制限制御モード2(LIMIT2)のいずれかであるか否かを判定する。ステップS70でYESと判定されるとステップS100へ進み、一方、電流センサ状態が異常モード(ISNG)であってNOと判定されるとステップS80に進む。ステップS80では、制御範囲を負荷2とバッテリ1の最大出力・回生可能電力範囲の10%以下に設定し、その制限範囲を出力回生制限指示の指示条件に設定する。放電時の電力をマイナスとすれば、制限範囲は−10%〜+10%となる。なお、本実施の形態では10%以下としているが、制限条件の数値は10%に限らない。ステップS80の設定が終了したならばステップS400に進む。
【0022】
ステップS70からステップS100に進んだ場合には、ステップS100において電流センサ状態が制限制御モード1(LIMIT1)であるか否かを判定する。ステップS100でYES(LIMIT1)と判定されると、ステップS300に進んで制限制御モード1(LIMIT1)における制御の制限範囲を設定し、その制限範囲を出力回生制限の指示条件として設定する。一方、ステップS100でNO(LIMIT2)と判定されると、ステップS200へ進んで制限制御モード2(LIMIT2)における制御の制限範囲を設定し、その制限範囲を出力回生制限の指示条件として設定する。なお、ステップS200およびステップS300の設定処理に関する詳細手順は後述する。その後、ステップS400において、ステップS80,S90,S200およびS300で設定された指示条件(制限範囲)S1を車両コントローラ5に送信し、一連の処理を終了する。
【0023】
(ステップS200の詳細説明)
図6はステップS200の詳細な処理手順を示すフローチャートである。制限制御モード2(LIMIT2)は、電源回路4bは正常に動作しているが電流センサ部3に異常が見られると判断された場合の制御モードである。ステップS210では、バッテリ1を流れる電流値の下限値を設定する。前述したようにマイナス符号の電流値を放電時の電流値としたので、放電時の最大電流値を設定することになる。本実施の形態では、電流センサ部3の測定電流域(動作保証測定範囲)の放電側最大測定電流値を用いて次式(1)のように設定する。前述したように電流センサ部3の測定電流域が±200Aである場合には、設定値を例えば50%とすると、下限値は−100Aに設定される。以下では設定値を50%として説明する。
【数1】
(下限値)=(放電側最大測定電流値)×(設定値) …(1)
【0024】
続くステップS220では、電流値の上限値を次式(2)のように設定する。充電側最大測定電流値は+200Aであるから、設定値を50%とすると上限値は+100Aとなる。
【数2】
(上限値)=(充電側最大測定電流値)×(設定値) …(2)
【0025】
ステップS230では、図3のステップS40で記憶したセンサ出力電圧の初期値を読み込んで、その初期値が正常時出力電圧=2.5Vに対してマイナス側(放電側)にずれているか否かを判定する。正常時出力電圧とは、電流がゼロの時に電流センサ部3から出力されるセンサ出力電圧のことである。電流センサ部3の仕様(センサ動作保証出力電圧)は2.5±2Vであるから、正常時出力電圧は2.5Vとなる。ステップS230において放電側にずれていると判定されると、ステップS240に進んでステップS220で設定された上限値に対して補正処理を行う。
【0026】
図9はステップS240の上限値補正を説明する図である。図9においてラインL11,L12は電流センサ部3の特性を示しており、図9の縦軸は電流値、横軸はセンサ出力電圧を示している。特性L11は電流センサ部3が正常状態な場合を示している。特性L11において電流値が−200Vの時のセンサ出力電圧は0.5Vである、電流値が+200Vの時のセンサ出力電圧は4.5Vである。また、電流値=0Vのときのセンサ出力電圧は2.5Vである。
【0027】
一方、ラインL12は電流センサ部3の実際の特性を示したものである。特性L12において、電流値=0Vのときのセンサ出力値VISVは、正常状態のセンサ出力値2.5Vよりもマイナス側(放電側)にΔVだけずれている。このとき、初期値のマイナス側へのずれΔVに応じて、動作範囲(例えば、出力電圧の線形性が保たれる範囲)もマイナス側にずれていると推定される。そのため、ステップS240では、ステップS220で設定された上限値+100Aをさらにマイナス側に補正する。ここでは、補正量を20Aとし、補正後上限値を+80Aとする。なお、補正量を初期値のずれΔVに応じて設定しても良い。ステップS240の補正処理が終了したならステップS260に進む。
【0028】
一方、ステップS230においてNOと判定されると、すなわち充電側にずれていると判定されると、ステップS250に進んでステップS230で設定された下限値に対して補正処理を行う。この場合の電池特性はラインL13のようになり、ラインL11に対して充電側(プラス側)にΔVだけずれている。そのため、特性L11の場合にとは逆に、動作範囲はプラス側にずれていると推定される。ステップS250では、ステップS210で設定された下限値−100Aを補正量20Aで補正し、補正後の下限値を−80Aとする。ステップS250の補正処理が終了したならステップS260に進む。
【0029】
ステップS260では、センサ出力電圧初期値のズレ方向に応じて制限制御モード2(LIMIT2)における制限範囲を設定する。すなわち、ステップS230で放電側と判定された場合には、ステップS210の下限値とステップS240の補正後上限値を用いて、−100A<電流値<+80Aのように制限範囲を設定する。一方、ステップS230で充電側と判定された場合には、ステップS220の上限値とステップS250の補正後下限値を用いて、−80A<電流値<+100Aのように制限範囲を設定する。正常時の制御範囲−200A〜+200Aを−100%〜+100%と表現した場合には、上述した各制限範囲は−50%〜+40%、−40%〜+50%と表現できる。
【0030】
(ステップS300の詳細説明)
図7はステップS300の詳細な処理手順を示すフローチャートである。制限制御モード1(LIMIT1)は、電流センサ部3は正常に動作しているが電源回路4bに異常が見られると判断された場合の制御モードである。ステップS310では、図3のステップS40で記憶したセンサ出力電圧の初期値を読み込んで、その初期値が正常時出力電圧=2.5Vに対してマイナス側(放電側)にずれているか否かを判定する。ステップS310において放電側にずれていると判定されるとステップS320に進み、充電側にずれている(NO)と判定されるとステップS350に進む。
【0031】
最初に、ステップS310からステップS320に進んだ場合について説明する。ステップS320では、まず、センサ出力電圧の初期値のずれに応じた電流値補正分θを次式(3)により算出する。式(3)の正常センサ出力電圧とは上述した正常時出力電圧=2.5Vのことであり、初期値が放電側にずれている場合にはθ<0となる。電流値の下限値は、この電流値補正分θを用いて次式(4)のように表される。動作保証電流範囲は前述した電流センサ部3の測定電流域の絶対値であり、動作保証電流範囲=|±200A|=200Aである。ただし、係数αは0.5とする。
【数3】
θ=(センサ分解能)×(センサ出力電圧初期値−正常センサ出力電圧)…(3)
【数4】
(下限値)=(センサ分解能)×(係数α)×(センサ出力電圧初期値)−(動作保証電流範囲−電流値補正分θ) …(4)
【0032】
ステップS330では、電流値の上限値を設定する。ステップS330の上限値は、センサ出力電圧の初期値が放電側(マイナス側)にずれている場合の上限値である。制限制御モード1(LIMIT1)では電流センサ部3は正常に動作していると判断されるので、上限値をセンサ動作保証範囲の上限値=+200Aに設定する。ステップS340では、ステップS320で設定された下限値に所定値=20Aを加算したものを補正後下限値とする。
【0033】
図10は、制限制御モード1(LIMIT1)における上限値,下限値および補正後下限値を示す図であり、図9と同様の図である。図10のラインL11,L12は図9に示した特性と同一のものである。電流値I1は式(4)で算出された下限値を示している。電流値I2は補正後下限値であり、式(4)の下限値I1よりも20A高くなっている。制御範囲はI2〜+200Aである。
【0034】
一方、センサ出力電圧初期値が充電側(プラス側)にずれている場合には、ステップS310でNOと判定されてステップS350に進む。ステップS350では、電流値の下限値をセンサ動作保証範囲の下限値=−200Aに設定する。続くステップS360では、電流値の上限値を式(4)を用いて同様に算出する。すなわち、式(4)において左辺を上限値に置き換え、さらに、上限値を算出する場合には係数αを4.5とする。
【0035】
ステップS370では、センサ出力電圧初期値のズレ方向に応じて制限制御モード1(LIMIT1)における制限範囲を設定する。すなわち、ステップS310で放電側と判定された場合には、ステップS330の上限値=+200AとステップS340の補正後下限値I2を用いて、I2<電流値<+200Aのように制限範囲を設定する。一方、ステップS310で充電側と判定された場合には、ステップS350の下限値=−200AとステップS360の補正後上限値を用いて、−200A<電流値<補正後上限値のように制限範囲を設定する。
【0036】
《車両コントローラ5の動作説明》
次に、上述した制限範囲を出力回生制限指示S1として受信する車両コントローラ5の動作について、図8のフローチャートを参照して説明する。図8に示すフローチャートの処理は図1のイグニッションスイッチ11がオンされるとスタートする。ステップS600では、アクセルセンサ7からのアクセル操作量情報、ブレーキセンサ8からのブレーキ操作量情報および車速センサ9からの車速情報により車両状態を検出する。ステップS610では、ステップS600で検出された車両状態からトルク指令値を演算する。
【0037】
ステップS620では、バッテリーコントローラ4から出力回生制限指示S1として送信された制限範囲を検出する。なお、バッテリーコントローラ4から送信される制限範囲は電流センサ状態に応じた制限範囲であって、正常モード(CLR)、異常モード(ISNG)、制限制御モード1(LIMIT1)および制限制御モード2(LIMIT2)の内のいずれかである。ステップS630では、ステップS610で演算されたトルク指令値に対応する電流値が、バッテリーコントローラ4から送信された制限範囲内か否かを判定する。
【0038】
ステップS630で制限範囲内と判定されると、ステップS640へ進んでステップS610で演算されたトルク指令値をそのまま負荷2へと出力する。一方、ステップS630で制限範囲内ではないと判定されると、ステップS670へ進んで出力制限の設定を行う。ステップS670では、演算されたトルク指令値に対応する電流値が制限範囲の上限値よりも大きい場合には、上限値をトルク指令値として設定する。逆に、演算されたトルク指令値に対応する電流値が制限範囲の下限値よりも大きい場合には、下限値をトルク指令値として設定する。そして、設定されたトルク指令値を負荷2へ出力し、ステップS650へと進む。
【0039】
ステップS650では、バッテリコントローラ4から送信された制限範囲が異常モード(ISNG)に対応するものか否かを判定する。ステップS650において異常モードであると判定されると、ステップS660へ進んで電流センサ異常を表示するインジケータ10を点灯した後にステップS600へ戻る。一方、ステップS650で制限範囲が異常モード(ISNG)に対応するものでないと判定されると、ステップS600へ戻る。
【0040】
以上説明した本実施の形態は、以下のような作用効果を有している。
(a)図5に示すように、センサ出力電圧の電圧範囲とセンサ電源電圧の電圧範囲とに基づいて、電流センサ状態である電流センサ部3および電源回路4bの状態を、正常モード、異常モード、制限制御モード1および制限制御モード2に分類するようにした。図5の分類を用いると、単に電流センサが異常状態であるか否かだけでなく、電流センサ異常状態を上述した第1〜第4の形態に特定することができ、電流センサ部3および電源回路4bのいずれに異常があるかを特定することができる。その結果、電流センサ異常に対して適切な対処が容易となる。
【0041】
(b)車両コントローラ5は、バッテリコントローラ4から送信された出力回生に関する制限範囲を考慮して、トルク指令値を負荷2へと出力して負荷2を所定制限範囲内で制御するようにした。そのため、電流センサ部3や電源回路4bに異常がある場合(異常モード)や、異常傾向(制限制御モード1または制限制御モード2)がある場合には、各モードに応じた制限のもとに走行が可能となる。例えば、ドライバーが急加速するためにアクセルペダルを多く踏み込んだとき、その出力トルクを負荷2へ要求すると電流センサの動作範囲を越えてしまう場合には、出力を制限することにより動作範囲に収めるようにする。
【0042】
なお、上述した実施の形態では電気自動車を例に説明したが、本発明はハイブリッド車などにも適用することができる。また、バッテリコントローラ4において、電源回路4bと電源回路4cとを別個の回路としたが、同一に構成しても良い。
【0043】
以上説明した実施の形態と特許請求の範囲の要素との対応において、バッテリコントローラ4は電流センサ異常検出装置を、CPU4aは特定手段をそれぞれ構成している。また、車両コントローラ5は制限手段に対応している。なお、上述した特徴的な機能作用効果が得られるものであるならば、本発明は上述した実施の形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気車両の電流制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】CPU4aにおける電圧サンプリングを説明する図であり、(a)はセンサ電源電圧に関するもので、(b)はセンサ出力電圧に関するものである。
【図3】CPU4aの処理動作のメインフローを示すフローチャートである。
【図4】電流センサ状態を示す4つのモードと電源電圧およびセンサ出力電圧との関係を示す図である。
【図5】電源電圧範囲およびセンサ出力電圧範囲と各モードとの関係を示す図である。
【図6】図3のステップS200の詳細を示すフローチャートである。
【図7】図3のステップS300の詳細を示すフローチャートである。
【図8】車両コントローラ5のCPU5aの処理動作を示すフローチャートである。
【図9】図6のステップS240の上限値補正を説明する図である。
【図10】制限制御モード1(LIMIT1)における上限値,下限値および補正後下限値を示す図である。
【符号の説明】
1 バッテリ
2 負荷
3 電流センサ部
4 バッテリコントローラ
4a,5a CPU
4b,4c 電源回路
5 車両コントローラ
7 アクセルセンサ
8 ブレーキセンサ
9 車速センサ
10 インジケータ
11 イグニッションスイッチ
Claims (2)
- 二次電池の充放電電流を検出する電流センサの異常を検出する電流センサ異常検出装置であって、
前記電流センサのセンサ本体が出力するセンサ出力電圧の電圧範囲およびセンサ電源が出力する電源電圧の電圧範囲に基づいて、前記センサ本体および前記センサ電源を含む電流センサの異常状態を予め定めた複数の異常形態の内のいずれかに特定する特定手段を備え、
前記電源電圧の電圧範囲を正常電源電圧範囲、前記正常電源電圧範囲を越える第1の電源電圧範囲および前記第1の電源電圧範囲を越える第2の電源電圧範囲に分割するとともに、前記センサ出力電圧の電圧範囲を正常センサ出力範囲、前記正常センサ出力範囲を越える第1のセンサ出力範囲および前記第1のセンサ出力範囲を越える第2のセンサ出力範囲に分割し、
前記複数の異常形態は、 (a) 前記電源電圧の電圧範囲が前記第2の電源電圧範囲であって前記センサ電源の異常を示す第1の異常形態と、 (b) 前記電源電圧の電圧範囲が前記正常電源電圧範囲でかつ前記センサ出力電圧の電圧範囲が前記第2のセンサ出力範囲であって前記センサ本体の異常を示す第2の異常形態と、 (c) 前記電源電圧の電圧範囲が前記第1の電源電圧範囲でかつ前記センサ出力電圧の電圧範囲が前記正常センサ出力範囲である第3の異常形態と、 (d) 前記電源電圧の電圧範囲が前記正常電源電圧範囲でかつ前記センサ出力電圧の電圧範囲が前記第1のセンサ出力範囲である第4の異常形態とを有することを特徴とする電流センサ異常検出装置。 - 請求項1に記載の電流センサ異常検出装置と、
前記特定手段により前記複数の異常形態のいずれかに特定された場合に、前記二次電池に接続された負荷の出力を前記特定された異常形態に応じた範囲に制限する制限手段とを備えたことを特徴とする二次電池で駆動される負荷の制御システム。
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