JP4051218B2 - 有料道路の自動料金収受システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有料道路の自動料金収受システム(Electronic Toll Collection:ETC)と、レーンに進入した車両に対して自動料金収受の適否を判定する判定方法に関し、特に、車両検知器等の設置スペースが十分に確保できない場合でも的確な判定を可能にするものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ETCシステムは、各所の有料道路に導入されており、このシステムを利用できる車両は、有料道路の料金所をノンストップで通過することができる。
ETCシステムを利用するには、車両にETC車載器を取り付け、この車載器にETCカードを挿入して、料金所ゲートの通信用アンテナが設置されたETCレーンを通過しなければならない。ETC車載器には、それを取り付けた車両の車検証に記載されている車両番号や車種、車長などの情報が予め登録(セットアップ)されている。また、ETCカードは、クレジットカード会社が発行するETC専用のICカードであり、通過したゲートのIDや料金収受の記録が書き込まれる。
【0003】
このETCレーンのゲートには、ETC車載器を搭載したETC車両だけで無く、ETC車載器を持たない非ETC車両が進入する場合もある。そのため、ゲートでは、進入車両がETC車両か非ETC車両かを識別し、ETC車両に対してのみ自動料金収受処理を適用する。ETCシステムでは、このETC車両/非ETC車両の識別を的確に行う必要があり、その実現を図るために本発明者が先に提案したETCシステムが、特開2000−231645号公報に記載されている。
【0004】
この公報にも記載されているように、実用化されているETCシステムの標準料金所におけるETCレーンには、図10に示すように、車両の通過を検知する第1車両検知器S1と第2車両検知器S2とが4mの間隔を空けて設置されており、ETC車載器との無線通信に使用するアンテナ10の指向性が、この第1車両検知器S1と第2車両検知器S2との間の区間だけが無線通信領域となるように絞り込まれている。従って、通信領域の長さLpは4mである。
【0005】
このETCレーンに車両が進入し、第1車両検知器S1が車両を検知すると、その検知情報が車線制御装置12に伝えられ、車線制御装置12は路側無線装置11に無線送信を開始させる。また、第2車両検知器S2が車両を検知すると、その検知情報が車線制御装置12に伝えられ、車線制御装置12は路側無線装置11に無線送信を打ち切らせる。
ETCレーンに進入した車両がETC車両である場合には、車内のダッシュボード上などにETC車載器が設置されている。このETC車載器は、アンテナ10からの無線信号を受信すると、車両番号や車種、車長などの車検証情報や、入口ゲート通過時にETCカードに書き込まれた入口ゲートのID情報などを送信する。この情報はアンテナ10で受信され、路側無線装置11から車線制御装置12に送られる。
車線制御装置12は、進入車両から無線による応答がある場合には、自動料金収受の通信処理を行い、ETC車両が第2車両検知器S2の位置に達するまでの間に、この自動料金収受処理が完了する。
【0006】
一方、ETCレーンに進入した車両が非ETC車両である場合には、アンテナ10から無線信号を送信しても応答しない。車線制御装置12は、進入車両が第2車両検知器S2の位置に達し、アンテナ10からの無線通信を打ち切るまでの間に無線応答しなければ、進入車両を非ETC車両と識別し、この車両に対しては自動料金収受を適用しない。
このように、従来のETCシステムでは、第1車両検知器S1及び第2車両検知器S2の検知情報に基づいて、アンテナ10の無線通信のオン・オフを制御し、アンテナ10が無線通信を行っているときの通信領域に唯一の車両しか存在しない状況を作り出している。
【0007】
もしも、無線通信実行中のアンテナ10の通信領域に対象車両だけで無く、後続車両の一部が入り込んだ場合には、車両から無線応答があったとしても、対象車両が無線応答したのか、後続車両に搭載されたETC車載器が無線応答したのかが区別できないため、対象車両に対するETC車両/非ETC車両の判定が正確さを欠くことになる。
従来のETCシステムでは、こうした点を除くため、第1車両検知器S1及び第2車両検知器S2を用いて無線通信の開始・終了時期を制御し、ETC車両/非ETC車両の識別の正確性を担保している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特に都市部においては、料金所の車線スペースが狭く、第1車両検知器S1及び第2車両検知器S2の両方を設置する場所が確保できない場合や、第1車両検知器S1と第2車両検知器S2とを規定の寸法どおりに配置することができない場合などが発生している。
一方、ETCシステムを利用する車両には、ロングノーズ車も有れば小型車も有り、車両形状は多様化している。ETCシステムでは、どのような形状のETC車両に対しても、的確に自動料金収受処理を行うことが求められる。
【0009】
本発明は、こうした課題を解決するものであり、狭い配置スペースしか確保できない場所でも、各種形状の車両に対して適切に自動料金収受処理を行うことができるETCシステムを提供し、また、各種形状の車両に対して自動料金収受の適否を判定することができる判定方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明のETCシステムでは、路側アンテナを介して、通信領域に進入した車両に搭載されている車載器と無線通信を行う路側無線装置と、前記通信領域の終了位置にのみ設置された一つの車両検知器と、前記車両検知器が前記車両の車頭を検知した時点を基に、前記車両に対する自動料金収受の適否を判定する車線制御装置とを設け、前記路側無線装置は、前記車載器から、前記車両の車頭と前記車載器の通信アンテナ部の設置位置との間の距離の情報を取得し、前記車線制御装置は、車両検知器が車両の車頭を検知した時点で路側無線装置と車載器との無線通信が継続している場合に、前記距離を基に、自動料金収受の適否の判定を行う時間を延期するように構成している。
【0011】
また、路側アンテナを介して、通信領域に進入した車両に搭載されている車載器と無線通信を行う路側無線装置と、前記通信領域の中間位置にのみ設置された一つの車両検知器と、前記車両検知器が前記車両の車頭を検知した時から所定の時間が経過した時点を基に、前記車両に対する自動料金収受の適否を判定する車線制御装置とを設け、前記路側無線装置は、前記車載器から、前記車両の車頭と前記車載器の通信アンテナ部の設置位置との間の距離の情報を取得し、前記車線制御装置は、車両検知器が車両の車頭を検知した時から所定の時間が経過した時点で前記路側無線装置と前記車載器との無線通信が継続している場合に、前記距離を基に算出した延長時間が経過するまで前記車両に対する自動料金収受の適否の判定を延期するように構成している。
【0012】
また、路側アンテナを介して、通信領域に進入した車両に搭載されている車載器と無線通信を行う路側無線装置と、前記通信領域の中間位置にのみ設置された一つの車両検知器と、前記車両検知器が前記車両の車頭を検知した時から所定の時間が経過した時点を基に、前記車両に対する自動料金収受の適否を判定する車線制御装置とを設け、前記路側無線装置は、前記車載器から、前記車両の車頭と前記車載器の通信アンテナ部の設置位置との間の距離の情報を取得し、前記車線制御装置は、前記距離が閾値を超える車両に対して、前記車両検知器が前記車両の車尾を検知した時点で自動料金収受の適否を判定するように構成している。
【0014】
また、通信領域に進入した車両に対して自動料金収受の適否を判定する判定方法において、前記通信領域の終了位置にのみ設置した一つの車両検知器が前記車両の車頭を検知するまでに前記車両から無線応答がなければ、前記車両に対する自動料金収受は不適と判定し、その前に前記車両から無線応答があれば、前記車両に搭載されている車載器から前記車両の車頭と前記車載器の通信アンテナ部の設置位置との間の距離の情報を取得し、前記車両検知器が前記車両の車頭を検知した時点で前記車両との無線通信が継続している場合に、前記距離を基に算出した延長時間が経過するまで前記車両に対する自動料金収受の適否の判定を延期するようにしている。
【0015】
また、通信領域の中間位置にのみ設置した一つの車両検知器が車両の車頭を検知してから所定時間が経過するまでに前記車両から無線応答がなければ、前記車両に対する自動料金収受は不適と判定し、その前に前記車両から無線応答があれば、前記車両に搭載されている車載器から前記車両の車頭と前記車載器の通信アンテナ部の設置位置との間の距離の情報を取得し、前記車両検知器が前記車両の車頭を検知してから所定時間が経過した時点で前記車両との無線通信が継続している場合に、前記距離を基に算出した延長時間が経過するまで前記車両に対する自動料金収受の適否の判定を延期するようにしている。
【0016】
また、通信領域の中間位置にのみ設置した一つの車両検知器が車両の車頭を検知してから所定時間が経過するまでに前記車両から無線応答がなければ、前記車両に対する自動料金収受は不適と判定し、その前に前記車両から無線応答があれば、前記車両に搭載されている車載器から前記車両の車頭と前記車載器の通信アンテナ部の設置位置との間の距離の情報を取得し、前記距離が閾値を超える車両に対して、前記車両検知器が前記車両の車尾を検知した時点で自動料金収受の適否を判定するようにしている。
【0018】
このように、車載器に車両情報として、車両の全長(車長)と車頭から車載器までの距離とをあらかじめ設定して置くことにより、一つの車両検知器だけを用いて、ETCレーンに進入した車両に対する自動料金収受の適否を判定することができ、車両がどのような形状でも、適正な判定が可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態におけるETCシステムでは、一つの車両検知器を用いて、進入車両に対する自動料金収受の適否を判定する。また、ETC車載器には、この車載器を搭載する車両の車長(L0)の情報と、この車両の先端部から車載器(の通信アンテナ部)の設置位置までの距離(L1)の情報とをあらかじめ設定し、これらの情報を前記判定に利用する。
【0020】
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、図1に示すように、通信領域の終了位置に設置した車両検知器S2のみを用いるETCシステムについて説明する。
このシステムでは、通信領域の長さLpが4mとなるようにアンテナ10の指向性を絞り込み、このアンテナ10から常時無線送信を行う。
この通信領域に進入した車両がETC車両である場合は、ETC車載器からの無線応答がある。車両から無線応答があると、車線制御装置12は、路側無線装置11を通じて、この車両に搭載されたETC車載器から、登録されているL0やL1の情報を含む車両情報を読み込んだ後、自動料金収受のための路車間通信を継続する。このETC車両の車頭が車両検知器S2で検知されるまでの間に、この路車間通信が正常終了した場合は、自動料金収受処理が完了する。
【0021】
しかし、ETC車両がロングノーズ車両であると、車両の先端からETC車載器の設置位置までの距離L1が2mにも及ぶ場合があり、こうした車両では、ETC車載器が実際に通信領域を通過した距離(Lp−L1)は極めて短く、そのため、車両の車頭が車両検知器S2で検知された時点で、路車間通信が終了していない状態がしばしば発生する。
【0022】
車線制御装置12は、車両検知器S2が車両の車頭を検知した時点で路車間通信が終了していない場合には、通常速度で距離L1を走行するために必要な時間を延長時間(T2)として算出する。T2は次式(1)で算出される。
T2 = L1/v0 (1)
ここで、v0は、この料金所のETCレーンを走行する車両の標準走行速度(例えば50km/h)であり、あらかじめ設定する。
【0023】
車線制御装置12は、車両検知器S2が車両の車頭を検知した時点から計時を開始して、延長時間T2が終了するまで判定時期を遅らせる。延長時間T2の終了までの間に路車間通信が正常終了した場合は、自動料金収受処理が完了することになる。また、延長時間T2が終了しても路車間通信が終了しない場合には、この車両を異常ETC車両と判定し、この車両に対する自動料金収受処理を停止する。また、通信領域に進入した車両が非ETC車両である場合は、車両からの応答が無い。車線制御装置12は、車両検知器S2が車両の車頭を検知する時点までに車両からの応答がない場合は、この車両を非ETC車両と判定し、この車両に対して自動料金収受の処理を行わない。
【0024】
図2のフロー図は、このETCシステムでの車線制御装置12の判定処理手順を示している。
路側アンテナ10からは常時無線送信を行わせる(ステップ1)。車両からの応答の有無を監視し(ステップ2)、応答が有り、通信処理が正常終了したときは(ステップ3)、進入車両をETC車両と判定し、ETC車両に対する処理を実行する(ステップ4)。
通信処理が終了していないときは、車両検知器S2がオンになったか否かを監視し(ステップ5)、車両検知器S2がオンになるまでステップ3からの手順を繰り返す。通信処理が終了していない状態で車両検知器S2がオンになると、経過時間t2の計測を開始する。そして、経過時間t2が延長時間T2に達したか否かを識別し(ステップ6)、経過時間t2が延長時間T2に達するまでステップ3からの手順を繰り返す。通信処理が正常終了しないまま経過時間t2が延長時間T2を過ぎたときは、進入車両を異常ETC車両と判定し、非ETC車両と同等の処理を実行する(ステップ7)。
また、ステップ2において、車両からの応答が無いときは、車両検知器S2がオンになったか否かを監視し(ステップ8)、車両検知器S2がオンになるまでステップ2からの手順を繰り返す。車両からの応答が無いまま車両検知器S2がオンになったときは、進入車両を非ETC車両と判定し、非ETC車両に対する処理を実行する(ステップ9)。
このように、このETCシステムでは、一つの車両検知器を用いて、ETCレーンに進入した車両に対する自動料金収受の適否を判定することができる。このシステムでは、車両の形状がどのような場合でも、適正な判定が可能である。
【0025】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、図3に示すように、通信領域の中間に設置した車両検知器S3のみを用いるETCシステムについて説明する。
このシステムでは、通信領域の長さLpが4mとなるようにアンテナ10の指向性を絞り込み、このアンテナ10から常時無線送信を行う。
車線制御装置12は、この通信領域に進入した車両の車頭を車両検知器S2が検知すると、その時点からの経過時間の計時を開始し、経過時間が一定時間T0に達した時点で、車両からの無線応答がなかったかどうか、あるいは、路車間通信が継続しているかどうかを判定する。ここで、T0は、車両検知器S2の位置から通信領域の終了位置までの距離を標準走行速度v0で走行するために必要な時間であり、通信領域の開始位置から車両検知器S3の位置までの距離をLmとすると、T0は次式(2)で算出される。
T0 = (Lp−Lm)/v0 (2)
経過時間がT0に達するまで車両からの応答がない場合は、この車両を非ETC車両と判定する。
【0026】
また、通信領域に進入した車両がETC車両であり、経過時間がT0に達する以前にETC車両に搭載された車載器との路車間通信が正常終了した場合は、ETC車両に対応した処理が行われる。
また、ETC車両がロングノーズ車両の場合は、第1の実施形態で説明したように、経過時間がT0に達しても、ETC車載器が実際に通信領域を通過した距離は未だ短く、そのため、路車間通信が終了していない状態が発生する。
車線制御装置12は、経過時間がT0に達した時点で、まだ路車間通信が継続している場合には、路車間通信の初期段階で車両に搭載されたETC車載器から読み出したL1の情報を用いて、式(1)により延長時間T2を算出し、この車両が異常ETC車両であるか否かの判定時期をT2だけ延期する。
【0027】
図4のフロー図は、このETCシステムでの車線制御装置12の判定処理手順を示している。
路側アンテナ10からは常時無線送信を行わせる(ステップ1)。車両からの応答の有無を監視し(ステップ2)、応答が有り、通信処理が正常終了したときは(ステップ3)、進入車両をETC車両と判定し、ETC車両に対する処理を実行する(ステップ4)。
通信処理が終了していないときは、車両検知器S3がオンになった後の経過時間t0が一定時間T0に達したか否かを監視し(ステップ5)、t0がT0に達するまでステップ3からの手順を繰り返す。通信処理が終了していない状態でt0が一定時間T0に達したときは、経過時間t2の計測を開始する。そして、経過時間t2が延長時間T2に達したか否かを識別し(ステップ6)、経過時間t2が延長時間T2に達するまでステップ3からの手順を繰り返す。通信処理が正常終了しないまま経過時間t2が延長時間T2を過ぎたときは、進入車両を異常ETC車両と判定し、非ETC車両と同等の処理を実行する(ステップ7)。
【0028】
また、ステップ2において、車両からの応答が無いときは、車両検知器S3がオンになったか否かを監視し(ステップ8)、車両検知器S3がオンになったときは、経過時間t0の計時を開始し、経過時間t0が一定時間T0に達したか否かを監視する(ステップ9)。経過時間t0が一定時間T0に達するまでは、ステップ2からの手順を繰り返す。車両からの応答が無いまま経過時間t0が一定時間T0に達したときは、進入車両を非ETC車両と判定し、非ETC車両に対する処理を実行する(ステップ10)。
【0029】
このように、このETCシステムでは、通信領域の中間に設置した一つの車両検知器を用いて、ETCレーンに進入した車両に対する自動料金収受の適否を判定することができ、車両の形状がどのような場合でも、適正な判定を下すことができる。
【0030】
なお、車両検知器S3の設置位置は、通信領域の長さの中央である必要はなく、通信領域の任意の位置に設けることができる。
また、ETC車両の車載器から読み取った車両先端から車載器位置までの距離L1と、通信領域の開始位置から車両検知器S3の位置までの距離Lmとを比較し、L1>Lmである場合には、この車両の車尾を車両検知器S3が検出した時点を、異常ETC車両であるか否かの判定時期とするようにしても良い。
【0031】
図5のフロー図は、この場合の車線制御装置12の判定処理手順を示している。通信領域に進入した車両から無線応答があり、通信処理が終了していない場合に(ステップ3)、車両のETC車載器から読み取った車両先端から車載器位置までの距離L1と通信領域の開始位置から車両検知器S3の位置までの距離Lmとを比較し(ステップ50)、L1>Lmであるときは、車両の車尾を検知した車両検知器S3がオフになったか否かを監視し(ステップ52)、車両検知器S3がオフになるまでステップ3からの処理を繰り返す。
また、ステップ50において、L1>Lmでないときは、車両検知器S3がオンになった後の経過時間t0が一定時間T0に達したか否かを監視し(ステップ51)、t0がT0に達するまでステップ3からの手順を繰り返す。
通信処理が正常終了しないまま、車両検知器S3がオフになり(ステップ52)、あるいは経過時間t0が一定時間T0に達したときは(ステップ51)、進入車両を異常ETC車両と判定し、非ETC車両と同等の処理を実行する(ステップ7)。
【0032】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、図6に示すように、通信領域の開始位置に設置した車両検知器S1のみを用いるETCシステムについて説明する。
このシステムでは、車両検知器S1が車両を検知してオンになったとき、車線制御装置12が、路側無線装置11にアンテナ11からの送信を開始させる。アンテナ10の指向性は、通信領域の長さLpが4mとなるように設定されている。
車線制御装置12は、この通信領域に進入した車両の車尾を車両検知器S1が検知した時点で、車両からの無線応答がなかったかどうか、あるいは、路車間通信が継続しているかどうかを判定する。
【0033】
車両検知器S1が車両の車尾を検知するまで、車両からの無線応答がない場合は、この車両を非ETC車両と判定し、車両検知器S1が車両の車尾を検知した時点でアンテナ10からの無線通信を打ち切る。
また、通信領域に進入した車両がETC車両であり、この車両の車尾を車両検知器S1が検知する前に、この車両に搭載されたETC車載器との路車間通信が正常終了した場合は、ETC車両に対応した処理が行われる。
【0034】
しかし、ロングノーズ車両や、図6に示す小型車両のように、車尾からETC車載器までの距離(L0−L1)が短い車両では、車両検知器S1が車両の車尾を検知した時点では、ETC車載器が実際に通信領域を通過した距離は(L0−L1)に過ぎないため、路車間通信が終了していない場合がある。
車線制御装置12は、車両検知器S1が車両の車尾を検知した時点で、まだ路車間通信が継続している場合には、路車間通信の初期段階で車両に搭載されたETC車載器から読み出したL1及びL0の情報を用いて、式(3)により延長時間T1を算出し、無線通信の打ち切り時期をT1だけ延期する。
T1 = {Lp−(L0−L1)}/v0 (3)
このT1は、車両検知器S1が車両の車尾を検知した時点のETC車載器の位置から通信領域の終了位置までの距離を標準走行速度v0で走行するために必要な時間である。
【0035】
図7のフロー図は、このETCシステムでの車線制御装置12の判定処理手順を示している。
車両検知器S1がオンであるかどうかを監視し(ステップ1)、オンになると、路側無線装置11から無線通信を開始させる(ステップ2)。次いで、車両からの応答の有無を監視し(ステップ3)、応答が有り、通信処理が正常終了したときは(ステップ4)、進入車両をETC車両と判定し、ETC車両に対応した処理を行う(ステップ5)。
通信処理が継続しているときは、車両検知器S1がオフになったか否かを監視し(ステップ6)、車両検知器S1がオフになるまでステップ4からの手順を繰り返す。車両検知器S1がオフになっても通信処理が終了していないときは、経過時間t1の計測を開始する。そして、経過時間t1が延長時間T1に達したか否かを識別し(ステップ7)、経過時間t1が延長時間T1に達するまでステップ4からの手順を繰り返す。通信処理が正常終了しないまま経過時間t1が延長時間T1を過ぎたときは、無線通信を打ち切り、進入車両を異常ETC車両と判定して、非ETC車両と同等の処理を実行する(ステップ8)。
【0036】
また、ステップ3において、車両からの応答が無いときは、車両検知器S1がオフになったか否かを監視し(ステップ9)、車両検知器S1がオフになるまでステップ3からの手順を繰り返す。車両からの応答が無いまま車両検知器S1がオフになったときは、無線通信を打ち切り、進入車両を非ETC車両と判定して、非ETC車両に対応する処理を行う(ステップ10)。
【0037】
このように、このETCシステムでは、通信領域の開始位置に設置した一つの車両検知器を用いて、ETCレーンに進入した車両に対する自動料金収受の適否を判定することができ、車両の形状がどのような場合でも、適正な判定が可能である。
【0038】
なお、ここでは車両検知器S1が車両の車頭を検知した時点で、アンテナ11からの無線送信を開始しているが、第1、第2の実施形態と同様に、アンテナ11から常時無線送信を行うようにしても良い。
また、ここでは、ETC車両の(L0−L1)に応じた延長時間T1を設定しているが、(L0−L1)を閾値と比較し、(L0−L1)が閾値より小さい場合にのみ、延長時間T1を設定するようにしても良い。
【0039】
また、ここでは、第1の実施形態においては車両検知器で車頭を検知した時点、また、第3の実施形態においては車両検知器で車尾を検知した時点までに車両から応答がない場合は、この車両を非ETC車と判定しているが、車載機は通信周波数選択等の通信前の処理を行うため応答が遅れる場合もあり、この時間を見込んで、車両検知後、非ETC判定までに図8及び図9のフローに示すように遅延時間を入れるようにしても良い。
【0040】
また、本発明の各実施形態では、通信領域に一つの車両検知器を設置した場合について示しているが、通信領域に二つの車両検知器を設置した標準料金所や、二つの車両検知器が規定寸法と異なる間隔で設置された料金所などにおいても、車両検知器が故障して、一つの車両検知器しか使えないときに、本発明の方法を適用することが可能である。
また、車両検知器としては、投光器と受光器とを対峙させたものだけでなく、レーザ光の距離測定技術を応用して車両を検知する機種など、あらゆる方式の機種の使用が可能である。
【0041】
なお、この明細書で記述した通信領域を示す数値は、本発明の原理を分かりやすく説明するために例として記述したものであり、数値や構成が異なっても同様の原理に基づくものは当然全て本発明の範囲に含まれるものである。
【0042】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の自動料金収受システム及び判定方法では、一つの車両検知器を用いて、ETCレーンに進入した車両に対する自動料金収受の適否を判定することができ、また、車両の形状がどのような場合でも、適正な判定が可能である。
【0043】
従って、車線スペースが狭い料金所へのETCシステムの導入が可能になる。また、既存の料金所のETCレーンに設置されている車両検知器の一部に故障が発生した場合でも、故障していない車両検知器を使用して自動料金収受を続けることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるETCシステムの構成を示す図
【図2】本発明の第1の実施形態におけるETCシステムの処理手順を示すフロー図
【図3】本発明の第2の実施形態におけるETCシステムの構成を示す図
【図4】本発明の第2の実施形態におけるETCシステムの処理手順を示すフロー図
【図5】本発明の第2の実施形態におけるETCシステムの他の処理手順を示すフロー図
【図6】本発明の第3の実施形態におけるETCシステムの構成を示す図
【図7】本発明の第3の実施形態におけるETCシステムの処理手順を示すフロー図
【図8】本発明の第1の実施形態におけるETCシステムの処理手順を示すフロー図
【図9】本発明の第3の実施形態におけるETCシステムの処理手順を示すフロー図
【図10】従来のETCシステムの構成を示す図
【符号の説明】
S1、S2、S3 車両検知器
10 アンテナ
11 路側表示器
12 車線制御装置
Claims (6)
- 路側アンテナ部を介して、通信領域に進入した車両に搭載されている車載器と無線通信を行う路側無線装置と、
前記通信領域の終了位置にのみ設置された一つの車両検知器と、
前記車両検知器が前記車両の車頭を検知した時点を基に、前記車両に対する自動料金収受の適否を判定する車線制御装置と
を備え、前記路側無線装置は、前記車両の前記車頭と前記車載器の通信アンテナ部の設置位置との間の距離の情報を前記車載器から取得し、前記車線制御装置は、前記車両の車頭を検知した前記時点で前記路側無線装置と前記車載器との無線通信が継続している場合には、前記距離を基に、前記車両に対する自動料金収受の適否の判定を行う時間を延期することを特徴とする自動料金収受システム。 - 路側アンテナ部を介して、通信領域に進入した車両に搭載されている車載器と無線通信を行う路側無線装置と、
前記通信領域の中間位置にのみ設置された一つの車両検知器と、
前記車両検知器が前記車両の車頭を検知した時から所定の時間が経過した時点を基に、前記車両に対する自動料金収受の適否を判定する車線制御装置と
を備え、前記路側無線装置は、前記車載器から、前記車両の車頭と前記車載器の通信アンテナ部の設置位置との間の距離の情報を取得し、前記車線制御装置は、前記車両検知器が前記車両の車頭を検知した時から所定の時間が経過した前記時点で前記路側無線装置と前記車載器との無線通信が継続している場合には、前記距離を基に算出した延長時間が経過するまで前記車両に対する自動料金収受の適否の判定を延期することを特徴とする自動料金収受システム。 - 路側アンテナ部を介して、通信領域に進入した車両に搭載されている車載器と無線通信を行う路側無線装置と、
前記通信領域の中間位置にのみ設置された一つの車両検知器と、
前記車両検知器が前記車両の車頭を検知した時から所定時間が経過した時点を基に、前記車両に対する自動料金収受の適否を判定する車線制御装置と
を備え、前記路側無線装置は、前記車載器から、前記車両の車頭と前記車載器の通信アンテナ部の設置位置との間の距離の情報を取得し、前記車線制御装置は、前記距離が閾値を超える車両に対して、前記車両検知器が前記車両の車尾を検知した時点で自動料金収受の適否を判定することを特徴とする自動料金収受システム。 - 通信領域に進入した車両に対して自動料金収受の適否を判定する判定方法であって、
前記通信領域の終了位置にのみ設置した一つの車両検知器が前記車両の車頭を検知するまでに前記車両から無線応答がなければ、前記車両に対する自動料金収受は不適と判定し、その前に前記車両から無線応答があれば、前記車両に搭載されている車載器から前記車両の車頭と前記車載器の通信アンテナ部の設置位置との間の距離の情報を取得し、前記車両検知器が前記車両の車頭を検知した時点で前記車両との無線通信が継続している場合に、前記距離を基に算出した延長時間が経過するまで前記車両に対する自動料金収受の適否の判定を延期することを特徴とする判定方法。 - 通信領域に進入した車両に対して自動料金収受の適否を判定する判定方法であって、
前記通信領域の中間位置にのみ設置した一つの車両検知器が前記車両の車頭を検知してから所定の時間が経過するまでに前記車両から無線応答がなければ、前記車両に対する自動料金収受は不適と判定し、その前に前記車両から無線応答があれば、前記車両に搭載されている車載器から前記車両の車頭と前記車載器の通信アンテナ部の設置位置との間の距離の情報を取得し、前記車両検知器が前記車両の車頭を検知してから前記所定の時間が経過した時点で前記車両との無線通信が継続している場合に、前記距離を基に算出した延長時間が経過するまで前記車両に対する自動料金収受の適否の判定を延期することを特徴とする判定方法。 - 通信領域に進入した車両に対して自動料金収受の適否を判定する判定方法であって、
前記通信領域の中間位置にのみ設置した一つの車両検知器が前記車両の車頭を検知してから所定の時間が経過するまでに前記車両から無線応答がなければ、前記車両に対する自動料金収受は不適と判定し、その前に前記車両から無線応答があれば、前記車両に搭載されている車載器から前記車両の車頭と前記車載器の通信アンテナ部の設置位置との間の距離の情報を取得し、前記距離が閾値を超える車両に対して、前記車両検知器が前記車両の車尾を検知した時点で自動料金収受の適否を判定することを特徴とする判定方法。
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