JP4050931B2 - バー塗布方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バー塗布方法に関し、詳しくは、ウェブと計量バーとの接触部直前に液溜りを形成し、ここに塗布液を供給して、塗布液に分散されている例えばフィラー等の固形物の液中偏在による塗布スジの発生が防止できるようにしたバー塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
連続走行するウェブに塗布液を塗る方法としては、バーコーター、ブレード、ローラー、エアーナイフ、スライドホッパー等各種の方法が知られている。
これらの塗布方法のうちバー塗布方法は、図1に示すように、連続走行するウェブ4に塗布液3を過剰に転移させた後、余分な液を計量バー6でかき落とし所望の塗布量を得る方法である。すなわち、図1の装置では、アプリケーターロール1により塗布液バット2中の塗布液3を走行中のウェブ4に塗布される。この塗布液層5をバー支持部材7上にセットされた計量バー6により所望の膜厚に掻き落とすというものである。
【0003】
バー塗工方法に用いられる計量バー6は外径6〜25mmの円柱ロッドに0.7〜1.0mm程度の線材例えばピアノ線またはステンレス線を密に巻いたものや表面に螺旋状もしくは環状の溝切ったものが一般的である。
【0004】
しかしながら、図1に示すバー塗工方法では液付けをする部分と計量部が分かれていてそれぞれの個所に条件を設定する必要があり、煩雑なことや広いスペースが必要になる欠点がある。図中、10はウェブと計量バーの接触部のウェブ走行方向前側に滞留した泡である。
【0005】
この解消法として例えば特公昭58−4589号公報に開示されているようなウェブと計量バーの接触部直前に液溜りができるように塗布液を供給するバー塗布方法が提案されている。その概念的断面を図2に示す。
図2に示す装置は計量バー11とそれを固定支持する前ブロック12と塗布液の供給口Aを有する後ブロック13の三部材だけで構成される。したがって装置としては非常にシンプルでありまた塗布に要する設備スペースも小さくできる。前ブロック12と後ブロック13の間には供給口Aから送り込まれた塗布液が塗布幅に近い幅で流れ出る流路(スリット)が形成されている。塗布は、回転する計量バー11と接触し適正な位置関係を保ってウェブ4を走行させるとともに、液溜り9が塗工する全幅にわたって形成されるように塗布液を供給口Aから送り込むことだけで行われる。このとき計量バー11には塗布量の応じた溝が形成されておりその溝で塗布液は所定量に計量される。このように塗布の操作は非常に簡便である。
【0006】
しかしながら、図2に示される塗布方法においては液溜り9においてウェブ4の走行に伴って発生する渦により塗布液に分散されているフィラー等が計量バー11の軸方向に偏在し塗膜にフィラー等が多い部分と少ない部分とがスジ状にできるという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は操作や使用される装置が簡便で、且つ塗布液中のフィラー等固形物の偏りによるスジの発生を確実に防止し、良好な塗工が行えるバー塗布方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば下記(1)〜(3)のバー塗布方法が提供される。
(1)連続的に走行するウェブに、表面に螺旋状もしくは環状の溝を有する計量バーを用いて該ウェブの下面側から塗布液を塗布する方法において、該ウェブと該計量バーの接触部直前に液溜りができるように塗布液を供給し、かつ、該液溜まりの塗布液を強制攪拌することを特徴とするバー塗布方法。
(2)連続的に走行するウェブに、表面に螺旋状もしくは環状の溝を有する計量バーを用いて該ウェブの下面側から塗布液を塗布する方法において、該計量バーとしてさらに表面に軸に平行な溝を設けた計量バーが用いられ、かつ、該ウェブと該計量バーの接触部直前に液溜まりができるように塗布液を供給することを特徴とするバー塗布方法。
(3)連続的に走行するウェブに、表面に螺旋状もしくは環状の溝を有する計量バーを用いて該ウェブの下面側から塗布液を塗布する方法において、該計量バーとして三角柱の棒材に線材を巻きつけた計量バーが用いられ、かつ、該ウェブと該計量バーの接触部直前に液溜まりができるように塗布液を供給することを特徴とするバー塗布方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の上記(1)のバー塗布方法においては、液溜りに収まる太さの線材を計量バーと平行に配し、かつ、線材を回転させて又は計量バーと平行に左右に移動させて液溜りの液を強制攪拌させることが好ましい。この強制攪拌は連続的又は間欠的に行なってよい。
【0010】
このバー塗布方法の実施に有用なバー塗布装置は図3に示されるが、液溜り9の液を強制攪拌させるための手段は線材14である。線材14は液溜り9中に配置されており、このとき、線材14は液溜りに収まり液面より外に出ない太さを選ぶ必要がある。線材14は回転、または線材14は紙面に対し上方から下方へ及び下方から上方へ往復移動する。この線材14の回転手段または往復移動により液溜り9の塗布液は強制的に攪拌されるので安定した渦が形成されず、それによるフィラー等の液中偏在は発生しない。
【0011】
図4、図5、図6は線材の概念図であり、図4は線材にコイルを用いた例であり、図5は線材に部分的にコブを設けた例であり、図6は線材に細線を編んだワイヤーを用いた例である。いずれも線材の表面凹凸により攪拌力を向上させることができるので渦防止機能が向上する。
【0012】
図7は線材14を回転させるもので、線材14の少なくとも一方端が回転装置16に固定しており、回転装置16を働かせて線材14に回転を与える様子を表している。線材14を回転させると縦波とともに横波も発生し、液溜り9にある塗布液を強制攪拌するのでフィラー等を偏在させる渦は安定形成されない。
また、図8は線材14を往復移動させるもので、線材14の一方の端は振動発生部材15に固定してあり、他の一方の端は図示してないが、バネ部材に固定し線材14に適当な張力をあたえている。振動発生部材15を高速で往復させると線材14に横波の振動が発生し、液溜り9にある塗布液を強制攪拌するのでフィラー等を偏在させる渦は安定形成されない。
【0013】
本発明の上記(2)のバー塗布方法においては、表面に螺旋状もしくは環状の溝を有し、かつ軸に平行な溝が設けられた計量バーが用いられる。図9はこの塗布方法に有用な塗布装置の一例である。
この装置においては、計量バー21とそれを固定支持する前ブロック12と塗布液の供給Aを有する後ブロック13の三部材だけで構成される。したがって装置としては非常にシンプルであり、また塗布に要する設備スペースも小さくできる。前ブロック12と後ブロック13の間には、図2、図3の例と同様に、供給口Aから送り込まれた塗布液が塗布幅に近い幅で流れ出る流路(スリット)が形成されている。
【0014】
塗布は、計量バー21と接触し適正な位置関係を保ってウェブ10を走行させるとともに、液溜り9が塗工する全幅にわたって形成されるように塗布液を供給口Aから送り込むことだけで行われる。このとき計量バー21には、塗布量の応じた溝(螺旋状もしくは環状の溝)が形成されており、その溝で塗布液は所定量に計量される。このように塗布の操作は非常に簡便である。
【0015】
図10と図11に、本発明の計量バーの概念例と断面例を示す。バー径Dは塗布する上では特に制約はないがバーの製作や取り扱うことを考慮すれば、φ5〜φ50が好ましい。また、離れ角Rは60度〜135度が好ましく、60度より小さいと加工が難しくまたバーの強度が下がって計量に必要なバーの直線性が得られなくなる可能性がでてくる。逆に135度より大きい場合等ピッチ状スジや泡スジを抑える効果が低下する。
【0016】
離れ角Rの効果を、従来の計量バーと比較して図12に示す。図12(a)中、15は従来の計量バー6でウェブと計量バーの接触部のウェブ走行方向前側に生じる液溜りを模式的に示しており、この液溜り15が等ピッチ状スジや泡スジの要因である。本発明の計量バー21では、図12(b)に示したように、離れ角Rを設けているためにその液溜りを極めて小さく出来るので等ピッチ状スジや泡スジは発生しない。
【0017】
その一方で、本発明の計量バー21は回転させないので計量部にゴミ17が詰まり易く、それは塗布スジを引き起こす。図13に模式的にその状態を示す。このトラブルに対しては、前記の本発明の上記(1)のバー塗布方法で説明したように線材14を計量バー21と平行に設けてもよいし、また計量バーを軸方向へ往復移動させるようにしてもよい。こうした操作によりゴミを速やかに計量部を通過させることが出来るので、ゴミ詰まりによるスジの発生頻度を大幅に改善することが可能になる。
【0018】
また、この上記(2)の塗布方法では、ウェブ走行方向の計量バー21の手前にウェブと接触し且つウェブの走行と逆向きに回転するプレーンバーを配置するとともに、該プレンバーのウェブと接触する全幅にわたりクリーニングブレードを接触させてバー塗布が行なわれることが好ましい。
図14はこの様子を模式図として示したもので、プレーンバー17は、ウェブ4に付着していて計量部に送られてくるゴミ17を取り除く働きをする。さらに、クリーニングブレード19はプレーンバー18の表面に付着したゴミ17を取り除く働きをする。この操作により計量部にゴミが詰まる頻度はさらに低下する。
【0019】
続いて、本発明の上記(3)のバー塗布方法について説明する。この塗布方法では、三角柱の棒材に線材を巻きつけて表面に螺旋状もしくは環状の溝を形成した計量バーが用いられる。この計量バーには、塗布量に応じた溝が形成されているため、その溝で塗布液は所定量に計量される。
【0020】
図15に本発明の計量バーを用いた塗布方法、図16に計量バーの概念例を示す。計量バー31の棒材の断面形状は塗布する上では特に制約はないが、支持部材形状が一つで三つの頂点を使いまわし出来る点で正三角形が好ましい。また、辺の長さはバーの製作や取り扱うことを考慮すれば3mm〜30mmが好ましい。
本発明のスジ防止効果を従来の計量バーと比較して図17に示す。図17(a)中、15は従来の計量バー6でウェブ4と計量バー6の接触部のウェブ走行方向前側に生じる液溜りを模式的に示しており、この液溜り15が等ピッチ状スジや泡スジの要因である。これに対して、図17(b)にみられるように、本発明の計量バー32では三角形で頂点のRが小さいためにその液溜りを極めて小さく出来るので等ピッチ状スジや泡スジは発生しない。
【0021】
その一方で、本発明の計量バーは回転させないので計量部にゴミ17が詰まり易く、それは塗布スジを引き起こす。
図18に模式的にその状態を示す。このトラブルに対しては、前記の本発明の上記(1)のバー塗布方法で説明したように線材14を計量バー31と平行に設けてもよいし、また計量バー31を軸方向へ往復移動させるようにしてもよい。こうした操作によりゴミは速やかに計量部を通過させることが出来るのでゴミ詰まりによるスジの発生頻度を大幅に改善することが可能になる。
【0022】
また、この上記(3)の塗布方法では、ウェブ走行方向の計量バー手前に配した、ウェブ4と接触し且つウェブの走行と逆向きに回転するプレーンバー18によってウェブに付着していて計量部に送られてくるゴミ17を取り除くようにしてもよい。さらに、クリーニングブレード19はプレーンバー18の表面に付着したゴミを取り除く働きをする。その様子を図18の模式図に示す。この操作を加えることにより、計量部にゴミが詰まる頻度をさらに低くすることができる。
【0023】
【実施例】
次に実施例及び比較例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0024】
(実施例1)
塗布液:下記の成分で粘度25mpsの溶液
ポリビニルアルコール 7.0重量部
炭酸カルシウム粒子 5.0重量部
水 88.0重量部
図3に示す装置(線材には図4に示すものを使用)を用いて、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを速度100m/minで走行させ、計量バーで40cc/m2の塗布を行ったところフィラー偏りによるスジの発生は無かった。
また線材に図5、図6に示すものを用いて前記同様の塗布を行ったが、何れの装置においてもフィラー偏りによるスジの発生は無かった。
【0025】
(比較例1)
実施例1と同じ液を図2に示す装置において速度100m/min、40cc/m2の塗布行ったところ3〜5mmのピッチでフィラー偏りによるスジが発生した。
【0026】
(実施例2)
塗布液:下記の成分で粘度350mpsの溶液
ポリビニルアルコール 12.5重量部
メチルバイオレット 2.5重量部
水 85.0重量部
図14に示す装置を用いて、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを速度100m/minで走行させ、径がφ20、離れ角90度の計量バーで40cc/m2の塗布を1000m行ったところ、等ピッチ状スジや泡スジの発生はなく良好な面状が得られた。また、計量部へのゴミ詰まりによるスジの発生もなかった。
【0027】
(比較例2)
実施例2と同じ液を、図1に示す装置において、速度100m/min、40cc/m2の塗布行ったところ、2〜3mmのピッチで等ピッチ状スジが発生した。
更に、速度を落としてもピッチ状のスジは発生し続け、45m/minにてようやくピッチ状のスジの発生はなくなった。
また、1000mを塗布している間に3本の泡スジも確認された。
【0028】
(実施例3)
塗布液:下記の成分で粘度350mpsの溶液
ポリビニルアルコール 12.5重量部
メチルバイオレット 2.5重量部
水 85.0重量部
図19に示す装置を用いて、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを速度100m/minで走行させ、一辺5mmの正三角形を母材にした計量バーを用いて40cc/m2の塗布を1000m行ったところ、等ピッチ状スジや泡スジの発生はなく良好な面状が得られた。また、計量部へのゴミ詰まりによるスジの発生もなかった。
【0029】
(比較例3)
実施例3と同じ液を図1に示す装置において、速度100m/min、40cc/m2の塗布行ったところ、2〜3mmのピッチで等ピッチ状スジが発生した。
更に、速度を落としてもピッチ状のスジは発生し続け、45m/minにてようやくピッチ状のスジの発生はなくなった。
また、1000mを塗布している間に3本の泡スジも確認された。
【0030】
【発明の効果】
本発明のバー塗布方法及び装置により、特に大掛かりな装置や複雑な操作を必要とせず、バー塗工時に発生する等ピッチ状スジや泡スジを防止することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の塗布方法を適用した塗布装置例の断面図である。
【図2】従来の塗布方法を適用した他の塗布装置例の断面図である。
【図3】本発明の上記の塗布方法を適用した塗布装置例の断面図である。
【図4】上記の塗布装置に用いるコイル状線材の概念面図である。
【図5】上記の塗布装置に用いるコブを有する線材の概念面図である。
【図6】上記の塗布装置に用いる細線を編んだワイヤーの概念面図である。
【図7】本発明の塗布方法を適用した他の塗布装置例の概念面図である。
【図8】本発明の塗布方法を適用した他の塗布装置例の概念面図である。
【図9】本発明の他の塗布方法を適用した塗布装置例の断面図である。
【図10】本発明の計量バーの概念例である。
【図11】本発明の計量バーの断面図である。
【図12】本発明の計量バーに設けた離れ角;Aの効果を示す模式図である。
【図13】本発明の塗布方法で生じ易い計量部ゴミ詰まりの状態を示す模式図である。
【図14】本発明の他の塗布方法を適用した場合の作用を示す模式図である。
【図15】従来の塗布方法を適用した他の塗布装置例の断面図である。
【図16】本発明の計量バーの概念例である。
【図17】本発明の図16で示される計量バーの効果を示す模式図である。
【図18】本発明の塗布方法で生じ易い計量部ゴミ詰まりの状態を示す模式図である。
【図19】本発明の塗布方法を適用した場合の作用を示す模式図である。
【符号の説明】
1 アプリケーターロール
2 塗布液バット
3 塗布液
4 ウェブ
5 塗布液層
6 計量バー
7 バー支持部材
8 計量後の塗布液膜
9 ウェブとバーの接触部直前に形成した液溜り
10 ウェブと計量バーの接触部のウェブ走行方向前側に滞留した泡
11 計量バー
12 計量バーを固定支持する前ブロック
13 後ブロック
14 液攪拌用線材
15 振動発生部材
16 線材の回転装置
17 ウェブに付着し計量部に送られてくるゴミ
18 プレーンバー
19 クリーニングブレード
21 計量バー
31 計量バー
Claims (2)
- 連続的に走行するウェブに、表面に螺旋状もしくは環状の溝を有する計量バーを用いて該ウェブの下面側から塗布液を塗布する方法において、該ウェブと該計量バーの接触部直前に液溜りができるように塗布液を供給し、かつ、該液溜まりの塗布液を強制攪拌することを特徴とするバー塗布方法。
- 液溜まりの塗布液の強制攪拌が、該液溜まりに収まる太さの線材を計量バーと平行に該液溜りに配し、該線材を回転させ又は該計量バーに平行でかつ左右に往復移動させることにより行なうことを特徴とする請求項1記載のバー塗布方法。
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JP2002119407A JP4050931B2 (ja) | 2002-04-22 | 2002-04-22 | バー塗布方法 |
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