JP4048513B2 - 薄膜磁気ヘッドの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は薄膜磁気ヘッドの製造方法に関し、特に、ハードディスクドライブ(HDD)等の磁気記録装置或いは磁気テープ装置等に用いられる複合型薄膜磁気ヘッドを構成する誘導型ヘッドの磁気記録能力を高めるための上部磁極コア構造に特徴のある薄膜磁気ヘッドの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータの外部記憶装置であるハードディスク装置等の小型化,大容量化の要請の高まりに伴い、高密度磁気記録が可能なハードディスク装置等の研究開発が急速に進められており、この様なハードディスク装置の高記録密度化を実現するためには、線記録密度とトラック密度を向上させる必要があるが、そのためには、記録ヘッドとしては、隣接するトラックとのクロストーク等の原因となる記録にじみを防止するために誘導型の薄膜磁気ヘッドの上部磁極先端部のライトポールのコア幅をより狭く形成するための技術が必要になる。
【0003】
一方、再生ヘッドとしては記録媒体の速度に依存せず、小型ディスクに対しても適用でき、且つ、高い出力が得られる磁気抵抗効果素子(MR素子)を用いた再生専用の磁気ヘッドが注目されており、近年の高性能化の要請に応えるヘッドとして、MR素子を用いた磁気ヘッドと誘導型の薄膜磁気ヘッドとを複合化したMRヘッドが開発されており、記録ヘッドの記録ギャップと再生ヘッドの再生ギャップをそれぞれ最適化することによって、記録特性の向上と、再生分解能の向上を共に実現しようとしている。
【0004】
この様な誘導型の薄膜磁気ヘッドの上部磁極は、マスクメッキ法により一体形成した軟磁性材料層が用いられているが、ここで、図5及び図6を参照して、従来の複合型薄膜磁気ヘッドの一例を簡単に説明する。
図5参照
図5は、従来の複合型薄膜磁気ヘッドを模式的に示した要部透視斜視図であり、スライダーの母体となるAl2 3 −TiC基板(図示せず)上に、Al2 3 膜(図示せず)を介してNiFe合金等からなる下部シールド層21を設け、Al2 3 等のギャップスペーサ層(図示せず)を介してNiFe,Ti,CoZrMoの積層構造等からなる磁気抵抗効果素子22を設けて所定の形状にパターニングしたのち、磁気抵抗効果素子22の両端にAu等からなる導電膜を堆積させてリード電極23を形成する。
【0005】
次いで、再び、Al2 3 等のギャップスペーサ層(図示せず)を介してNiFe合金等からなる上部シールド層を兼ねる下部磁極層24を設け、その上にAl2 3 等からなるライトギャップ層(図示せず)を設けたのち、レジスト等の第1層間絶縁膜(図示せず)を介して水平スパイラル状のライトコイル25を形成するととともに、その両端にライト電極26を設け、次いで、レジスト等からなる第2層間絶縁膜(図示せず)を介して先端に幅細のライトポール28を設けたパターンの上部磁極層27を設ける。
【0006】
図6(a)参照
図6(a)は、ライトポール28近傍の断面図であり、このライトポール28を形成する場合には、ライトコイル25を覆う第2層間絶縁膜を形成したのち、Ti膜等からなるメッキベース層30を設け、その上にメッキフレームとなるレジストマスク31を利用して、選択的にNiFe等を電解メッキすることによって上部磁極層27及び先端部のライトポール28を形成するものである。
なお、図における矢印は、磁性膜の磁化方向である。
【0007】
次いで、レジストマスク31を除去したのち、Arイオンを用いたイオンミリングを施すことによってメッキベース層30の露出部を除去し、次いで、全面にAl2 3 膜を設けて保護膜(図示せず)としたのち、基板を切断し、ライトポール28の長さ、即ち、ギャップ深さを調整するための研削、研磨等を含めたスライダー加工を行うことにより磁気抵抗効果素子22を利用した再生用、即ち、リード用のMRヘッドと、記録用、即ち、ライト用の誘導型の薄膜磁気ヘッドとを複合化した複合型薄膜磁気ヘッドが得られる。
【0008】
この場合、ライト電極26からライトコイル25に信号電流を流すことによって発生した磁束は下部磁極層24と上部磁極層27とからなる磁極コアに導かれ、上部磁極層27の先端のライトポール28近傍においてライトギャップ層によって形成される記録ギャップによって磁束が外部に漏れ出て、記録媒体に信号が記録されることになる。
また、逆に、記録媒体からの磁束を磁極コアで検出して信号を再生することもできるものであり、上部磁極層27の先端のライトポール28の幅がトラック幅となり、このトラック幅によって面記録密度が規定される。
【0009】
一方、MRヘッドにおける再生原理は、リード電極23から一定のセンス電流を流した場合に、磁気抵抗効果素子22を構成する磁性薄膜の電気抵抗が記録媒体からの磁界により変化する現象を利用するものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、今後の更に高記録密度化、高周波化が要求されるHDD装置用の磁気ヘッドにおいては、磁気記録能力の向上が渦電流損失等の要因により不可能な状態にある。
即ち、複合型薄膜磁気ヘッドにおける磁気シールド層や上部・下部磁極層における、10MHz〜数10MHz(1MHz=106 Hz)の周波数の磁場ノイズや駆動磁場に対するシールド効果や磁気記録能力が渦電流損失のために大きく低下するという問題がある。
【0011】
これは、高周波になるにしたがって渦電流損失が大きくなって、表皮効果による記録磁界強度の低下を招くためである。
即ち、半径t〔m〕の円柱状磁性体にコイルを巻き付け、コイル電流を流した時に磁性体を流れる単位体積当たりの渦電流損失We は、τ〔m〕を磁気薄膜の半径、即ち、厚さ、f〔MHz〕を周波数、Bm 〔Wb/m2 〕を磁化の強さ、ρ〔Ω・m〕を比抵抗とした場合、
e =π2 ・τ2 ・f2 ・Bm 2 /4ρ ・・・(1)
で表されるため、比抵抗ρが大きければ、或いは、半径tが小さければ渦電流損失We が小さくなる。
【0012】
また、限界周波数fg は、ρを比抵抗、tを磁性膜の厚さ、μ0 を真空の透磁率、μd を磁性膜の透磁率とした場合、
g =4ρ/(π・μ0 ・μd ・t2 ) ・・・(2)
で表されるため、比抵抗ρが大きければ、或いは、厚さtが小さければ限界周波数fg 大きくなる。
【0013】
しかし、従来の上部磁極層27及びライトポール28は、それ自体が軟磁性体であるNiFeで構成されているため比抵抗ρが小さく、且つ、メッキによる一体形成の比較的厚い膜で形成されているので、τまたはtが大きくなり、渦電流損失We がどうしても大きく、また、限界周波数fg はどうしても小さくなるという問題がある。
【0014】
一方、磁性膜の厚さtを薄くすれば、渦電流損失We を小さく、且つ、限界周波数fg を大きくすることができるが、そうすると、総磁束量が少なくなるとい問題が生ずることになる。
【0015】
この様な問題を解決するために、薄い磁性膜と薄いAl2 3 等の非磁性膜を交互に積層させて、総磁束量を低減することなく、磁性膜全体の比抵抗ρを大きくすることが提案されている(必要ならば、特開昭52−78414号公報、特開平6−131627号公報参照)。
【0016】
しかし、上記の提案によって、磁性膜全体の比抵抗ρを大きくすることはできるものの、磁気記録用磁極層のパターニング工程等においてかなり特殊な構造・工程を用いる必要があり、微細なライトポール構造を構成することは実用的には困難である。
【0017】
また、高記録密度化の要請に応えるためには、上部磁極層27の先端部のライトポール28の幅を細くする必要があり、それに伴って磁極の断面構造が縦長になり、断面における磁化が理想的な還流磁区にならなくなるという問題もあるので、この事情を図6を参照して説明する。
【0018】
図6(b)参照
図6(b)は、上部磁極層27の概略的平面図であり、一般の磁性膜における磁区の形成及び磁化方向は、細長い方向に沿って形成されやすいので、幅細のライトポール28においては、トラック幅方向と垂直方向に磁化され易くなる。
【0019】
図6(a)参照
また、断面方向でみた場合に、断面形状が縦長になるので図において矢印で示したトラック幅方向、即ち、横方向の磁化が起こりにくくなり、磁気記録能力が低下することになる。
【0020】
したがって、本発明は、総磁束量を低減させることなく、高周波磁気記録に対して渦電流損失の小さい薄膜磁気ヘッドを提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
図1は本発明の原理的構成の説明図であり、この図1を参照して本発明における課題を解決するための手段を説明する。
なお、図1は、薄膜磁気ヘッドのライトポール近傍の概略的断面図である。
図1参照
(1)本発明は、薄膜磁気ヘッドの製造方法において、マスク電解メッキ法による電解メッキ磁性膜パターン4の形成工程と、スパッタリング法または蒸着法のいずれかによる厚さが25nm以下の絶縁層5の形成工程を交互に繰り返して、電解メッキ磁性膜パターン4を2層以上形成して磁気記録用磁極層6とすることを特徴とする。
【0022】
この様に、磁気記録用磁極層6を絶縁層5によって分離された多層膜構造とすることによって、磁気記録用磁極層6全体としての比抵抗ρを大きくすることがき、それによって、渦電流損失We を小さく、限界周波数fg を大きくすることができる。
また、絶縁層5の上にNiFe等の軟磁性膜を設けることによって、この軟磁性膜がメッキベース層となるので、磁性薄膜を電解メッキ磁性膜パターン4として選択的に形成することが可能になる。
なお、軟磁性膜の厚さが50nm以上になると、磁気記録用磁極層6全体の磁気特性にこの軟磁性膜の磁気特性が反映されるので望ましくない。
【0023】
また、多層膜構造を形成する各電解メッキ磁性膜パターン4の厚さは非常に薄く、断面形状が横長になるので、磁化の方向が横方向、即ち、トラック幅方向となり易く、さらに、各磁性薄膜を電解メッキ磁性膜パターン4として形成しているので成膜工程が簡単で、且つ、イオンミリング等によるパターニング工程が不要になる。
【0024】
また、マスク電解メッキ法による電解メッキ磁性膜パターン4の形成工程と、スパッタリング法または蒸着法のいずれかによる絶縁層5の形成工程を交互に繰り返すことによって、磁性膜のパターニング工程を要することなく、多層膜構造の高比抵抗の磁気記録用磁極層6を形成することができるので、微細なライトポールの形成が可能になり、それによって、高記録密度化が可能になる。
なお、図における、基板1は、上部磁極層の形成工程においては、ライトギャップ層に相当し、メッキベース層2は、Ti膜等の導電性膜からなり、このメッキベース層2に電極を設けることにより電解メッキを行うことになる。
【0025】
特に、電解メッキ磁性膜パターン4を電気的に分離する絶縁層5の厚さを25nm以下にしているので、磁気記録用磁極層6全体の高さの増加を抑制するとともに、薄膜化によるピンホール等の影響によりその上に設ける磁性薄膜を電解メッキ法によって形成することが可能になる。
【0026】
)また、本発明は、上記(1)において、絶縁層5として、アルミナ或いはシリコン酸化膜のいずれかを用いたことを特徴とする。
【0027】
この様に、電解メッキ磁性膜パターン4を電気的に分離する絶縁層5としては、薄膜磁気ヘッドの製造工程に用いられている、アルミナ或いはシリコン酸化膜のいずれかが、電気的特性、透磁率、及び、製造装置の共用化等の観点から好適である。
【0034】
)また、本発明は、上記(1)または(2)において、絶縁層5上に電解メッキ磁性膜パターン4を形成する際に、絶縁層5上に予めメッキベース層となる50nm以下の軟磁性膜を設けておくことを特徴とする。
【0035】
この様に、2層目以上の磁性薄膜を電解メッキ磁性膜パターン4として形成するためには、絶縁層5上に予めメッキベース層となる50nm以下の軟磁性膜を設けておくことが必要である。
【0036】
)また、本発明は、上記()において、絶縁層5の形成工程に連続して、軟磁性膜をスパッタリング法または蒸着法のいずれかによって形成することを特徴とする。
【0037】
この様に、軟磁性膜を、絶縁層5の形成方法と同じスパッタリング法または蒸着法のいずれかを用いることによって、絶縁層5と軟磁性膜とを連続形成することが可能になり、工程が簡素化されスループットが向上する。
【0038】
)また、本発明は、上記()または()において、マスク電解メッキ法による電解メッキ磁性膜パターン4の形成工程において、マスク3の側壁に付着した軟磁性膜を化学エッチング法によって除去することを特徴とする。
【0039】
電解メッキ磁性膜パターン4の形成工程において、マスク3の側壁に軟磁性膜が付着していると、マスク3の側壁にも磁性薄膜がメッキされるので、予め化学エッチング法によって除去することが望ましい。
【0040】
)また、本発明は、上記()乃至()のいずれかにおいて、マスク電解メッキ法による電解メッキ磁性膜パターン4の形成工程において、電解メッキ磁性膜パターン4がトラック幅方向に磁化される方向に磁場を印加することを特徴とする。
【0041】
一般に、磁性膜は細長い方向に磁化されやすいが、電解メッキ工程において、トラック幅方向に磁場を印加することによって、磁化の方向を再現性良くトラック幅方向にすることができる。
【0042】
)また、本発明は、()において、磁化方向を、各電解メッキ磁性膜パターン4毎に交互に反転させることを特徴とする。
【0043】
この様に、磁化方向、したがって、磁場の印加方向を交互に反転させることによって、磁気記録用磁極層6の断面において還流磁区を再現性良く形成することができる。
【0044】
)また、本発明は、上記()乃至()のいずれかにおいて、電解メッキ磁性膜パターン4の最上層を形成したのちに、30°〜60°の斜め方向からイオンを照射することによって、マスク3の側壁に付着している絶縁層5を除去することを特徴とする。
【0045】
最終的な磁気記録用磁極層6としては、マスク3の側壁に付着している絶縁層5は不所望なものであるので、傾斜イオンミリング法によって除去することが望ましい。
【0046】
【発明の実施の形態】
ここで、本発明の実施の形態の薄膜磁気ヘッドの製造工程を図2及び図3を参照して説明するが、ここでは、説明を簡単にするために、磁性膜を特性を調べるための上部磁極層の形成工程のみを取り出して説明する。
したがって、実際の複合型薄膜磁気ヘッドの製造工程においては、基板11はAl2 3 等のライトギャップ層となる。
図2(a)参照
まず、基板11上にTiメッキベース層12を設けたのち、フォトレジスト膜を塗布し、露光・現像することによって所定の開口部を有するレジストマスク13を形成し、このレジストマスク13をマスクとして、磁化方向がトラック幅方向に、即ち、図において横方向になるように磁場を印加しながら電解メッキを行うことによって厚さが約1μmのNi82Fe18膜14を形成する。
【0047】
図2(b)参照
次いで、スパッタリング法を用いて、厚さ25nm以下、例えば、25nmのAl2 3 薄膜15を形成したのち、引き続いてスパッタリング法を用いてメッキベース層となる厚さが、例えば、50nmのNi82Fe18合金からなるNiFeメッキベース層16を形成する。
【0048】
図2(c)参照
次いで、10〜25%のH2 SO4 水をエッチャントとした化学エッチングによって、レジストマスク13の側壁部に付着したNiFeメッキベース層16を除去する。
この場合、レジストマスク13の側壁部に付着したNiFeメッキベース層16は、平坦部に堆積したNiFeメッキベース層16より十分薄いので等方的なエッチングを行うことによって、レジストマスク13の側壁部に付着したNiFeメッキベース層16のみを除去することができる。
【0049】
図3(d)参照
次いで、磁化方向が第1の磁性薄膜であるNi82Fe18膜14の磁化方向と反対になるように磁場を反転させた状態で、電解メッキを行うことによって厚さが約1μmのNi82Fe18膜17を形成する。
この場合、Al2 3 薄膜15が25nm以下と非常に薄いので、ピンホール等による微小なリークが生じ、それによって、再度の電解メッキが可能になるものである。
【0050】
図3(e)参照
次いで、基板11を回転させながら、30°〜60°、例えば、45°傾斜した方向からArイオン18を照射してイオンミリングを行うことによって、レジストマスク13の側壁に付着したAl2 3 薄膜15の露出部を除去する。
なお、このイオンミリング工程において、レジストマスク13の平坦部に堆積したNiFeメッキベース層16及びAl2 3 薄膜15も除去される。
【0051】
図3(f)参照
次いで、レジストマスク13を除去することによって、2層のNi82Fe18膜14,17からなる上部磁極層が形成される。
なお、実際の上部磁極層の形成工程においては、この状態で、さらにイオンミリングを行うことによってTiメッキベース層12を露出部を除去することになる。
【0052】
この様にして形成した多層膜構造の磁性膜をSEM(走査電子顕微鏡)で観察したところ、中間に設けられた絶縁層により分離された2層構造の磁極パターンがほぼ設計通りに形成されているが確認された。
【0053】
次に、図4を参照して、本発明の実施の形態における磁性膜の透磁率特性を説明する。
図4(a)参照
図4(a)は、比較のために、従来の方法で形成した、従来と同様の厚さの約2μm、厳密には、2.05μmの単層のNi82Fe18膜の透磁率特性を示す図であり、実効透磁率μ′は約20MHzを越えると1000以下になる。
なお、μ″は無効透磁率である。
【0054】
図4(b)参照
図4(b)も、比較のために、従来の方法で、従来の半分の厚さの約1μm、厳密には、0.992μmに形成した単層のNi82Fe18膜の透磁率特性を示す図であり、実効透磁率μ′は70MHz程度まで1000を越えており、厚さが約2μの場合に比べて優れた高周波特性を有している。
【0055】
図4(c)参照
図4(c)は、本発明の実施の形態の2層構造の磁性膜の透磁率特性を示す図であり、2層のNi82Fe18膜14,17の総計の厚さの実測値は2.12μmであり、その特性としては70MHz以上の範囲まで実効透磁率μ′が1000を越えており、上記の図4(b)に示した厚さが約1μmの単層のNi82Fe18膜とほぼ同様の優れた高周波特性を示した。
【0056】
したがって、この様な2層構造にすることによって、薄膜磁性膜において得られる優れた高周波透磁率特性が得られるとともに、磁性膜全体の総磁束量を従来の厚膜磁性膜と同程度にすることができる。
【0057】
また、この様に磁気記録磁極層を多層化することによって、磁気記録磁極層を構成する各薄膜磁性膜の断面形状をトラック幅方向に細長形状にすることができ、それによって、トラック幅方向に磁化することが容易になる。
【0058】
また、電解メッキ工程において印加する磁場の方向を交互に反転させることによって、磁気記録磁極層を構成する各薄膜磁性膜の磁化方向を交互に反転させることができ、それによって、磁気記録磁極層の断面において、磁気記録磁極層として理想的な還流磁区が形成されることになり、且つ、それに伴って、各薄膜磁性膜自体の平面においては単一磁区領域となりやすく、この点からも優れた透磁率特性が得られることになる。
【0059】
次に、この様な磁気記録磁極層の形成工程を採用した複合型磁気ヘッドの製造工程を簡単に説明するが、図示は省略する。
まず、スライダーの母体となるAl2 3 −TiC基板上に、Al2 3 膜を介してNiFe合金等からなる下部シールド層を設け、Al2 3 からなるのギャップスペーサ層を介してNiFe,Ti,CoZrMoの積層構造等からなる磁気抵抗効果素子を設けて所定の形状にパターニングしたのち、磁気抵抗効果素子の両端にAu等からなる導電膜を堆積させてリード電極を形成する。
【0060】
次いで、再び、Al2 3 からなるギャップスペーサ層の上に、厚さ50〜100Å、例えば、50ÅのTa層、及び、厚さ1000Å以下、例えば、500ÅのNiFe合金からなるメッキベース層を形成したのち、レジスト膜を塗布してパターニングすることによって、所定の開口部を有するレジストマスクを形成し、電解メッキ法によって厚さが、2.5〜4.0μm、例えば、3.0μmのNi82Fe18合金からなる下部磁極層を成膜し、次いで、レジストマスクを除去したのち、Arイオンを用いたイオンミリング法によってメッキベース層の露出部を除去する。
【0061】
次いで、スパッタリング法によって厚さ0.2〜0.6μm、例えば、0.4μmのAl2 3 を堆積させてライトギャップ層としたのち、厚さが、3.0〜4.0μm、例えば、3.5μmのレジストからなる第1層間絶縁膜を介して、厚さが、2.5〜4.0μm、例えば、3.0μmのCu膜を設け、パターニングすることによって、後に形成する上部磁極層と下部磁極層の接続部を複数回巻く平面スパイラル状のライトコイル及びその両端のライト電極を形成し、次いで、再び、厚さが、3.0〜4.0μm、例えば、3.5μmのレジストからなる第2層間絶縁膜を形成してライトコイルを被覆する。
なお、この場合のライトギャップ層の厚さが、磁気ギャップの間隔、即ち、ギャップ長となる。
【0062】
次いで、厚さ50〜100Å、例えば、50ÅのTi層、及び、厚さ1000Å以下、例えば、500ÅのNiFe膜をスパッタリング法によって順次成膜してメッキベース層を形成し、次いで、レジスト層を塗布したのち、露光・現像することによって、上部磁極層に対応する形状の開口部を有するレジストマスクを設け、このレジストマスクをマスクとして、上述の図2(a)乃至図3(f)において説明した工程を行うことによって先端部が幅細のライトポールとなった上部磁極層を形成する。
【0063】
次いで、レジストマスクを除去したのち、従来と同様にArイオンを用いたイオンミリングを施すことによってメッキベース層の露出部を除去し、次いで、全面にAl2 3 膜を設けて保護膜としたのち、基板を切断し、ライトポールの長さ、即ち、ギャップ深さを調整するための研削、研磨等を含めたスライダー加工を行うことにより高周波特性に優れ、且つ、高記録密度の複合型薄膜磁気ヘッドが完成する。
【0064】
以上、本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明は実施の形態に記載した構成に限られるものではなく、各種の変更が可能であり、例えば、上部磁極層を形成する各Ni82Fe18膜の層数は、2層に限られるものでなく3層以上であっても良く、製造工程数は増えるものの、比抵抗ρをより高めるためには、層数が多い方が望ましい。
なお、ライトポールの断面において還流磁区を形成するためには、層数は偶数層であることが望ましい。
【0065】
また、上記の実施の形態の説明においては、絶縁膜としてのAl2 3 薄膜及びNiFeメッキベース層をスパッタリング法を用いて連続した工程で形成しているが、スパッタリング法に限られるものでなく、例えば、蒸着法を用いても良いものであり、また、一連の工程で形成することは必ずしも必須ではない。
【0066】
また、上記の実施の形態においては、多層のNi82Fe18膜を電気的に分離するための絶縁膜として透磁率の大きなAl2 3 を用いているが、必ずしもAl2 3 である必要はなく、SiO2 膜を用いても良いものである。
【0067】
また、上記の実施の形態においては、上部磁極層及び下部磁極層をNi82Fe18で構成しているが、この様な組成比に限られるものではなく、さらには、他の磁性膜で構成しても良いものである。
【0068】
また、上記の実施の形態の説明においては、複合型薄膜磁気ヘッドとして説明しているが、MR効果素子と複合化していない誘導型単体の薄膜磁気ヘッドも対象とするものである。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、磁気記録磁極層の上部磁極層を形成する際に、薄い絶縁膜によって電気的に分離された薄い電解メッキ磁性膜パターンからなる多層膜構造で形成しているので、総磁束量を低減させることなく比抵抗ρを大きくすることができ、それによって高周波特性を大幅に改善させることが可能になり、また、多層化することによって、上部磁極層の先端のライトポールの断面に還流磁区構造を形成することができるので、磁気記録能力を向上することができ、薄膜磁気ヘッドの高周波化、高記録密度化に寄与し、ひいては、高性能HDD装置の普及に寄与するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理的構成の説明図である。
【図2】本発明の実施の形態の途中までの製造工程の説明図である。
【図3】本発明の実施の形態の図2以降の製造工程の説明図である。
【図4】本発明の実施の形態における透磁率特性の説明図である。
【図5】従来の複合型薄膜磁気ヘッドの要部透視斜視図である。
【図6】従来の複合型薄膜磁気ヘッドの上部磁極の説明図である。
【符号の説明】
1 基板
2 メッキベース層
3 マスク
4 電解メッキ磁性膜パターン
5 絶縁層
6 磁気記録磁極層
11 基板
12 Tiメッキベース層
13 レジストマスク
14 Ni82Fe18
15 Al2 3 薄膜
16 NiFeメッキベース層
17 Ni82Fe18
18 Arイオン
21 下部シールド層
22 磁気抵抗効果素子
23 リード電極
24 下部磁極層
25 ライトコイル
26 ライト電極
27 上部磁極層
28 ライトポール
29 ライトギャップ層
30 メッキベース層
31 レジストマスク

Claims (8)

  1. マスク電解メッキ法による電解メッキ磁性膜パターンの形成工程と、スパッタリング法または蒸着法のいずれかによる厚さが25nm以下の絶縁層の形成工程を交互に繰り返して、前記電解メッキ磁性膜パターンを2層以上形成して磁気記録用磁極層とすることを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  2. 上記絶縁層として、アルミナ或いはシリコン酸化膜のいずれかを用いたことを特徴とする請求項1記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  3. 上記絶縁層上に電解メッキ磁性膜パターンを形成する際に、前記絶縁層上に予めメッキベース層となる50nm以下の軟磁性膜を設けておくことを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  4. 上記絶縁層の形成工程に連続して、上記軟磁性膜をスパッタリング法または蒸着法のいずれかによって形成することを特徴とする請求項記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  5. 上記マスク電解メッキ法による電解メッキ磁性膜パターンの形成工程において、マスクの側壁に付着した上記軟磁性膜を化学エッチング法によって除去することを特徴とする請求項または4に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  6. 上記マスク電解メッキ法による電解メッキ磁性膜パターンの形成工程において、前記電解メッキ磁性膜パターンがトラック幅方向に磁化される方向に磁場を印加することを特徴とする請求項乃至5のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  7. 上記磁化方向を、上記各電解メッキ磁性膜パターン毎に交互に反転させることを特徴とする請求項記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  8. 上記電解メッキ磁性膜パターンの最上層を形成したのちに、30°〜60°の斜め方向からイオンを照射することによって、上記マスクの側壁に付着している上記絶縁層を除去することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
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