JP4046622B2 - 跳ね上げ式門扉 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車庫等の出入口に備えて好適な跳ね上げ式門扉に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、支柱と、この支柱に一端部が回動自在に枢支されたアームと、このアームの他端部に取付けられた扉とを主要素とする跳ね上げ式門扉が知られている。この種の跳ね上げ式門扉では、扉の開閉時に扉自体が前方にせり出す課題があった。扉が道路側にせり出すと思わぬ事故を招く虞がある上に、開閉操作する際、操作者の移動を伴うため開閉操作性が悪く、また、せり出し分を考慮して設置すると扉内の利用空間が狭くなり、所定の利用空間を確保するにはせり出し分の敷地(スペース)を必要とする不都合が生ずる。
そこで、従来、このような不都合を解決するものとして、扉の開閉操作時に、扉が道路側にせり出すのを極力少なくした跳ね上げ式門扉が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−279564号公報
【特許文献2】
特開2002−339675号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この種の跳ね上げ式門扉は、扉の開閉操作時に、扉の道路側へのせり出しが少なく好ましいものである。しかしながら、この種の跳ね上げ式門扉においても扉のせり出し現象を完全に無くすことは出来ていない。また、扉を軽く動かすための手段にバランサーと引張ばねを併用しており構造が複雑になっている。因みに、特許文献1では、ガススプリングからなるバランサーと引張ばねを使用しており、特許文献2では、ばね、重錘、ガススプリング等を使用している。
また、引張ばねを使用すると急激に引張力が作用するため、扉の開閉の両終端側でスピードが加速し、衝撃を生ずる課題がある。従って、その衝撃を防止する緩衝手段を備えることとなる。
さらに、従来の跳ね上げ式門扉は、操作力の調整もできないし、また、門扉の開閉動作の設計変更が自由にできない課題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、この発明の跳ね上げ式門扉は、支柱と、該支柱に回動可能に取付けられたシャフトと、該シャフトに基端部が固設されて前方に延出する回動自在の第1アームと、該第1アームの基端側において第1アームと交差しその中間部が第1アームに枢着された第1リンクと、前記第1アームの上方において一端が支柱に枢支され、他端が該第1リンクの一端に枢着された第2リンクと、前記第1アームの下方において前記第1リンクの他端に基端部が枢着され、前記第1アームの下方に第1アームと平行に延出する第2アームと、前記第1アームと第2アームの先端に可動可能に枢着された扉と、を具備することを特徴とする。
これにより扉の開閉時に、リンク機構により第2アームを支柱側に引き込む事により扉のせり出しが無くなる。
【0006】
また、この発明の跳ね上げ式門扉は、前記シャフトには、扉の開く時には該シャフトを開方向に回動付勢し、扉の閉まる時には門扉の自重トルクを支持する方向に付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とする。
これにより扉の開閉を軽い力で操作できると共に、扉の開閉終端でも衝撃が少なくなる。
【0007】
また、この発明の跳ね上げ式門扉は、前記シャフトにはカムが回転不可に取付けられ、前記付勢手段は該カムに連係して設けられていることを特徴とする。
これにより付勢手段の付勢力を、シャフトに容易に伝達することができる。
【0008】
また、この発明の跳ね上げ式門扉は、前記シャフトにはカムが回転不可に取付けられ、該カムには支柱に沿って摺動可能なスライダーが当接され、前記付勢手段は該スライダーをカムに押圧付勢して設けられていることを特徴とする。
これにより付勢手段の付勢力を、シャフトに容易に、かつ確実に伝達することができる。また、カムのスライダーへの当接部分が、スライダーの範囲内で移動可能となるため作用点が変化し、扉の開閉位置の変化に対応して付勢力を変化させることができる。
【0009】
また、この発明の跳ね上げ式門扉は、前記付勢手段の付勢力が調整可能であることを特徴とする。
これにより扉の開閉操作が最適となるように調整できる。
【0010】
また、この発明の跳ね上げ式門扉は、前記付勢手段が圧縮ばねであることを特徴とする。
これによりばね力の調整が容易となると共に、扉の開閉位置に対応してのばね力の変化を容易とすることができる。
【0011】
さらに、この発明の跳ね上げ式門扉は、前記スライダーのカムの当接面に、凹部、凸部およびその組合せのいずれかが設けられていることを特徴とする。
これにより扉のストッパーとしたり、扉の開閉にクリック感を持たせることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図面に示す実施の形態について詳細に説明する。図1はこの発明の実施の形態を示す跳ね上げ式門扉の平面図、図2はこの発明の実施の形態を示す跳ね上げ式門扉の側面図、図3は図1A−A線断面図、図4は図1B−B線断面図、図5は図1C−C線断面図である。
【0013】
この跳ね上げ式門扉は、後方に所定の間隔で立設する支柱2、2を、前方に扉1を備える。以下では一方の支柱2部分で説明する。支柱2はこの実施の形態では断面四角形の角筒柱である。この支柱2にシャフト8が回転自在に取付けられている。このシャフト8は支柱の内部を横断して一端が外出しており、このシャフト8の外出部に第1アーム3の基端部が回転不可に固設されて前方に延出している。本例ではシャフト8がWカットされ、この部分に第1アーム3の対応する非円形穴が挿入されて回転不可に固定されている、これにより第1アーム3はシャフト8と一緒に同期して回動する。
【0014】
この第1アーム3の基端部近傍には、第1リンク5が、第1アーム3と交差し、その中間部をピン17で第1アーム3に枢支して設けられている。この第1リンク5の一端には、第1アーム3の上方において一端が支柱2に枢着された第2リンク6の他端が枢着されている。また、第1リンク5の他端には、第1アーム3の下方において第2アーム4の基端部が枢着され、前記第1アーム3の下方に第1アーム3と略平行で前方に延出している。前記扉1は前記第1アーム3及び第2アーム4の先端部に回動自在に取付けられている。
【0015】
前記シャフト8には支柱2の内部においてカム10が固定されて設けられており、シャフト8とカム10は一緒に回動するようになっている。このカム10の先端にはコロ11が回動自在に軸支されており、このコロ11に摺動自在のスライダー12が当接されている。このスライダー12は支柱2内に縦方向に配設された支持軸13、13にガイドされて摺動する。このスライダー12の下方には圧縮ばね7がスライダー12を押圧付勢して設けられている。この圧縮ばね7は前記支持軸13の下端に固定されたばね受け14にて支持して設けられる。
【0016】
前記支持軸13の上端は可動板18に固設され、この可動板18にはボルト杆19が立設され、このボルト杆19が支柱2の上端に設けたプレート16にナット15にて止められて設けられている。従って、ナット15を正逆に回転させると可動板18が進退し、それと支持軸13で連結されているばね受け14も進退するから、これにより圧縮ばね7のたわみ量を調整して圧縮ばね7のばね力(付勢力)を調整することができる。
【0017】
この構成では圧縮ばね7の付勢力は、スライダー12、コロ11及びカム10を介しシャフト8を回動させる回転トルクとして作用する。この回転トルクを受けるシャフト8の回動方向は、扉1の開方向である。シャフト8には第1アーム3が固設され、この第1アーム3の先端には扉1が設けられているので、圧縮ばね7及びカム10によりシャフト8が受ける回転トルクは、第1アーム3を介し扉1を開方向に回動させるように作用する。この回転トルクは、図14に示すようにL×Pとなる。従って、カム10のスライダー12上での当たり位置(作用点)を変えることにより発生する回転トルクを変えることができる。Pが一定であると図14(a)ではLが大きいため発生するトルクは大きく、(b)ではLが小さいため発生するトルクは小さくなる。ここでLはシャフト8の軸心からカム10のスライダー12への当たり位置(作用点)との間の長さであり、Pは圧縮ばね7のばね力(付勢力)である。
このように圧縮ばね7とカム10により発生する回転トルクは、カムの形状と圧縮ばねの力の組合せで任意に決められる。
【0018】
また、扉1の閉方向には第1アーム3、第2アーム4及び扉1等の自重トルクが作用する。この自重トルクは、扉1の全閉時から全開方向に向かうにつれて少なくなり、全開時が最も少ない。
【0019】
しかるに、圧縮ばね7の付勢力は、扉1の全閉時が圧縮されてたわみ量が大きい状態に設定しておけば、扉1が開方向に回動すると第1アーム3を介しシャフト8及びカム10も回動するから、カム10のスライダー12への当たり位置(作用点)が変わり、しかもスライダー12を介しカム10を押圧付勢している圧縮ばね7も伸長してたわみ量も小さくなるので、発生する回転トルクは徐々に小さくなる。従って、門扉の自重トルクと圧縮ばね7及びカム10により発生する回転トルクを調整することによって扉1の操作性を自由に調整することができる。
【0020】
図15は門扉の自重トルクと圧縮ばね7およびカム10により発生する回転トルクを、扉1の全閉時から全開時の全域でバランスさせた場合である。この場合では開閉時の全域で少しの外力で操作することができる。
図16は門扉の自重トルクと圧縮ばね7及びカム10により発生する回転トルクを、全閉時位置では自重トルクの方が大きく、全開位置では自重トルクの方が小さくさせた場合である。この場合は全閉位置では下がり勝手、全開位置では上がり勝手となる。このような設定は、自重トルクに対し前記L×Pのトルクをどのように設定するかで自由に調整することができる。
【0021】
しかして、扉1は回転トルクに自重トルクを越える分だけ外力をプラスすれば開閉できるので、少しの外力を加えることにより開閉操作することができる。この操作は手動でもよいし、モータであってもよい。モータの場合には、モータの駆動力はシャフト8に伝動させる。
図4は全閉時の図1B−B線断面図であり、図5は全閉時の図1C−C線断面図である。この状態では自重トルクと圧縮ばね7+カム10により発生する回転トルク(以下、単に回転トルクと称す)は、バランスしているか、自重トルクの方が少し大きく設定される。従って、全閉状態を維持する。
【0022】
この全閉状態から少しの外力を加えると、回転トルク+外力の方が大きくなるので、扉1は開く。図6は扉1が少し開いた状態であり、図7はこの時の図1C−C線に対応する断面図である。図8はさらに扉1が開いた状態であり、図9はこの時の図1C−C線に対応する断面図である。図10は扉1が全開した状態であり、図11はこの時の図1C−C線に対応する断面図である。
このように扉1が全閉状態から開いて(上げて)いくと第1アーム3は、シャフト8を中心に反時計方向に回動していく。第1リンク5も第1アーム3と一緒に回動していくが、第1リンク5の一端は第2リンク6に枢着されているため、第2リンク6がピン9を中心に描く軌跡上を動くことになる。従って、扉1を開いて(上げて)いくにしたがい第1リンク5はピン17を中心に第1アーム3及び第2アーム4に対し時計方向に回動して、第2アーム4を支柱2側に引きつける。従って、扉1は開いていくにしたがいピン28を中心に時計方向に回動する。これにより扉1の下端側が前方にせり出すことを防止できる。
【0023】
扉1を開いて(上げて)いくと、門扉の自重トルクは徐々に小さくなるが、カム10も反時計方向に回動していくため圧縮ばね7の力が弱くなると共に、カム10の作用点も移動するため発生する回転トルクも徐々に小さくなり、自重トルクとバランスし、扉1は外力を取り除いた時点でバランスし停止できる。図5、図7及び図9で、扉1を開いて(上げて)いった時のカム10の動きがよく理解できる。コロ11をカム10に回転自在に軸支したのは、カム10がスライダー12上を移動する時の摩擦抵抗を少なくしてスムーズな移動を確保するものであり、必ずしも必要ではない。コロ11を無くし、カム10とスライダー12の当接面を滑り易くしてもよい。
【0024】
図12はこの発明の他の実施の形態を示す要部断面図である。本例では支柱2の内部に筒体21が固設され、この筒体21内に圧縮ばね7が収納され、この圧縮ばね7の下部には摺動可能なばね受け14が設けられて支持され、圧縮ばね7の上部には摺動可能なピストン体23が当接されている。このピストン体23にはロッド24が固設されて筒体21の閉塞板22より外方に突出しスライダー12に連結している。また、圧縮ばね7の下部に設けられたばね受け14には、筒体21の底部より螺入されたボルト25が当接され、このボルト25を支柱2に設けた穴26よりスパナ等で調整することによってばね受け14を進退させ、圧縮ばね7のばね力を調整することができる。本例においても圧縮ばね7のばね力(付勢力)をピストン体23からスライダー12を介しカム10に伝達することができる。他は実施の形態と同様である。本例によれば前記実施の形態における支持軸13や可動板18の構成は不要となる。
【0025】
また、スライダー12のカム10との当接面には、凹部、凸部またはこれらの組合せを設けてもよい。これにより扉1の開閉時にクリック感をもたせたり、扉1のストッパとしたりすることができる。図13はこの発明の更に他の実施の形態を示す要部断面図であり、スライダー12のカム10との当接面に凹部27を設けた場合であり、他は前記実施の形態と同様である。本例によれば扉1の開閉時にカム10がスライダー12上を移動するから、その時に凹部27に落ち込み、その時にクリック感を生ずる。
【0026】
なお、前記実施の形態は、この発明を制限するものではなく、この発明は要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が許容される。例えば、スライダー12にはガイド溝を設け、カム10の先端を該ガイド溝に挿入して移動自在に当接するようにしてもよい。また、図3において可動板18を無くし、支持軸13をプレート16に直接嵌挿させ、この支持軸13の端部をねじとして、これにナット15を螺入してもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上詳細に説明した通り、この発明の跳ね上げ式門扉によれば、次のような効果を奏する。
(1)開閉時の扉のせり出しを無くすことができる。
(2)操作性が良好で軽い力で操作できる。この時の操作力は自由に調整できる。
【0028】
(3)扉の開閉動作を自由に設計できる。例えば、全閉位置では下がり勝手、全開位置では上がり勝手としたり、開閉終端での衝撃を無くしたり、扉の開閉にクリック感を持たせたり、ストッパを設けたりする如くである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態を示す跳ね上げ式門扉の平面図である。
【図2】この発明の実施の形態を示す跳ね上げ式門扉の側面図である。
【図3】図1A−A線断面図である。
【図4】図1B−B線断面図である。
【図5】図1C−C線断面図である。
【図6】扉が少し開いた状態での図1B−B線に対応する断面図である。
【図7】図6の図1C−C線に対応する断面図である。
【図8】さらに扉が開いた状態の図1B−B線に対応する断面図である。
【図9】図8の図1C−C線に対応する断面図である。
【図10】扉が全開した状態の図1B−B線に対応する断面図である。
【図11】図10の図1C−C線に対応する断面図である。
【図12】この発明の他の実施の形態を示す要部断面図である。
【図13】この発明の更に他の実施の形態を示す要部断面図である。
【図14】この発明の発生する回転トルクを説明する断面図(a)(b)である。
【図15】門扉の自重トルクとばね+カムにより発生する回転トルクの関係を示すグラフ図である。
【図16】門扉の自重トルクとばね+カムにより発生する回転トルクの関係の他例を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 扉
2 支柱
3 第1アーム
4 第2アーム
5 第1リンク
6 第2リンク
7 圧縮ばね
8 シャフト
9 ピン
10 カム
11 コロ
12 スライダー
13 支持軸
14 ばね受け
15 ナット
16 プレート
17 ピン
18 可動板
19 ボルト杆
21 筒体
23 ピストン体
24 ロッド
25 ボルト
27 凹部
Claims (7)
- 支柱と、該支柱に回動可能に取付けられたシャフトと、該シャフトに基端部が固設されて前方に延出する回動自在の第1アームと、該第1アームの基端側において第1アームと交差しその中間部が第1アームに枢着された第1リンクと、前記第1アームの上方において一端が支柱に枢支され、他端が該第1リンクの一端に枢着された第2リンクと、前記第1アームの下方において前記第1リンクの他端に基端部が枢着され、前記第1アームの下方に第1アームと平行に延出する第2アームと、前記第1アームと第2アームの先端に可動可能に枢着された扉と、を具備することを特徴とする跳ね上げ式門扉。
- 前記シャフトには、扉の開く時には該シャフトを開方向に回動付勢し、扉の閉まる時には門扉の自重トルクを支持する方向に付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の跳ね上げ式門扉。
- 前記シャフトにはカムが回転不可に取付けられ、前記付勢手段は該カムに連係して設けられていることを特徴とする請求項2記載の跳ね上げ式門扉。
- 前記シャフトにはカムが回転不可に取付けられ、該カムには支柱に沿って摺動可能なスライダーが当接され、前記付勢手段は該スライダーをカムに押圧付勢して設けられていることを特徴とする請求項3記載の跳ね上げ式門扉。
- 前記付勢手段は、付勢力が調整可能であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の跳ね上げ式門扉。
- 前記付勢手段は、圧縮ばねであることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の跳ね上げ式門扉。
- 前記スライダーのカムの当接面に、凹部、凸部およびその組合せのいずれかが設けられていることを特徴とする請求項4記載の跳ね上げ式門扉。
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