JP4046596B2 - 屋根パネルの設置構造および屋根の換気構造 - Google Patents
屋根パネルの設置構造および屋根の換気構造 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレハブ化工法によって構築される建物の屋根パネルの設置構造および屋根の換気構造に関する。
【0002】
【背景の技術】
近年、住宅の構築においては、いわゆるプレハブ化が進み、特に最近は洗練されたプランが多く生み出され、工期とともにデザイン性も注目されている。プレハブ化工法においては、床、壁、屋根等がユニット化された床パネル、壁パネル、屋根パネル等が用いられ、これらを用いるパネル工法は、工期短縮の真髄とも言える。
【0003】
パネル工法における屋根パネルは、一般に芯材や面材等によって構成されるものであり、ロックウール等の断熱材が一体的に設けられた状態に工場生産され、現場に搬入されて所定位置に設置される。
【0004】
しかしながら、従来のパネル工法においては、屋根パネルが軒桁に直接載るために屋根裏空間が密閉空間となり、このため夏場等には、屋根パネルの断熱材が吸収した熱によって屋根裏空間の温度が上昇し、屋根裏空間下方の居住性が悪くなってしまうという問題があった。
【0005】
この問題を解決する技術としては、例えば、以下に示す特許文献1に記載の技術がある。特許文献1に記載の技術は、その第5図等に示すように(図11参照)、屋根パネル101と軒桁102との間に、屋根傾斜角に等しい角度の傾斜面を有する傾斜部材103を断続的に配することにより屋根パネル101の下方に通気孔を形成するものである。
この技術においては、通気孔から外気Aが入り込んで屋根裏空間の換気が行われるため、夏場等においても、屋根パネルの断熱材が吸収した熱による屋根裏空間の温度上昇が防止されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−183846号公報、第1図、第5図
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、屋根裏空間にその下部から外気が入り込む。この屋根裏空間の下部から入り込む外気は、居住性を考慮すると好ましくない。すなわち、屋根裏空間を部屋として有効利用することを考えた場合には、何らかの対処が必要となり手間が生じる。なお、このような屋根裏空間を部屋として有効利用しようとするプランは、例えば山小屋等において多用されている。
【0008】
本発明の課題は、屋根裏空間の温度上昇を防止しながら、しかも、屋根裏空間を部屋として有効利用することを可能とする屋根パネルの設置構造および屋根の換気構造を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば図4、図8、図9、図10に示すように、
枠体と、この枠体の少なくとも上側に取り付けられる面材9b2とを有し、一端部9b11が軒1aを形成するとともに他端部9b12が棟1b側に位置した状態に屋根を構成する屋根パネル(下部屋根パネル9b)であって、
枠体内に設けられる断熱材(ロックウール9b3)と、
この断熱材(ロックウール9b3)と前記面材9b2との間に、前記一端部9b11側から他端部9b12側に向かう方向に沿って設けられる通気層9b8と、
前記一端部9b11で軒下1a1側に向けて設けられ、前記通気層9b8に外気aを取り入れるための吸気孔(外気取入孔9b7)と、
前記他端部9b12に設けられ、前記通気層9b8から外気aが抜け出るための抜出孔(通気孔9b9)とを備えた屋根パネルを設置してなる屋根パネルの設置構造であって、
軒1aと棟1bとの間には、これらに沿って梁材(中間部梁8)が設けられ、
前記屋根パネル(下部屋根パネル9b)の他端部9b12が前記梁材(中間部梁8)に支持されていることを特徴としている。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、軒1aを形成する屋根パネル(下部屋根パネル9b)の一端部9b11には吸気孔(外気取入孔9b7)が設けられ、この吸気孔(外気取入孔9b7)から取り入れられた外気aが、一端部9b11側から他端部9b12側に向かって通気層9b8を通過し、屋根棟1b側に位置する他端部9b12に形成された抜出孔(通気孔9b9)から抜け出る。これにより、屋根パネル(下部屋根パネル9b)内部には熱がこもらず、屋根パネル(下部屋根パネル9b)の温度上昇が抑えられ、屋根裏空間の温度上昇も抑えられる。なお、屋根パネル(下部屋根パネル9b)の抜出口(通気孔9b9)は、屋根棟1b部側に位置しているので、屋根裏空間の下部からは外気aが入り込まず、したがって、屋根裏空間に居住性を考慮した適度な換気を行うことができる。すなわち、屋根裏空間の温度上昇を防止しながら、屋根裏空間を部屋としても有効利用できる。
また、軒1aと棟1bとの間には、これらに沿って梁材(中間部梁8)が設けられ、屋根パネル(下部屋根パネル9b)の他端部は梁材(中間部梁8)に支持されている。すなわち、屋根パネル(下部屋根パネル9b)の他端部9b12は、棟1b部に設けられる梁材によってではなく、棟1bより軒1a側に位置する梁材(中間部梁8)によって支持されている。これにより、屋根パネル(下部屋根パネル9b)を棟1aと軒1bとにまたがるように大きく形成する必要がない。したがって、屋根パネル(下部屋根パネル9b)を安価に製造することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、例えば図1〜図3、図5〜図10に示すように、請求項1に記載の屋根パネルの設置構造を備えた屋根の換気構造であって、
前記屋根は複数の屋根パネル(下部屋根パネル9b)を設置することにより形成された切妻形式の建物(住宅1)におけるものであり、
棟1b部と建物妻面(頂部壁パネル5a)とのうちの少なくとも一方には、前記屋根パネル(下部屋根パネル9b)の抜出孔(通気孔9b9)から抜け出た外気aを外部空間に排出するための排気孔9a4(貫通孔5a7)が形成されていることを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、切妻形式の建物(住宅1)に設置された屋根パネル(下部屋根パネル9b)の抜出孔(通気孔9b9)から抜け出た外気aは、棟1b部と建物妻面(頂部壁パネル5a)とのうちの少なくとも一方に形成された排気孔9a4(貫通孔5a7)から外部空間に排出される。すなわち、換気経路を確実に確保しながら、建物(住宅1)の換気をより安定的に行うことができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の屋根パネルの設置構造を備えた屋根の換気構造であって、
前記屋根は複数の屋根パネルを設置することにより形成された寄棟形式の建物におけるものであり、
棟部には、前記屋根パネルの抜出孔から抜け出た外気を外部空間に排出するための排気孔が形成されていることを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、寄棟形式の建物に設置された屋根パネルの抜出孔から抜け出た外気は、棟部に形成された排気孔から外部空間に排出される。すなわち、換気経路を確実に確保しながら、建物の換気をより安定的に行うことができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、例えば図8、図10に示すように、請求項2又は請求項3に記載の屋根の換気構造において、
前記屋根パネル(下部屋根パネル9b)に形成された抜出孔(通気孔9b9)と前記棟1b部との間には、前記抜出孔(通気孔9b9)から抜け出た外気aが停留する停留部1b1が設けられていることを特徴としている。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、屋根パネル(下部屋根パネル9b)に形成された抜出孔(通気孔9b9)と棟1b部との間に設けられた停留部1b1によって、抜出孔(通気孔9b9)から抜け出た外気aが停留する。停留した外気aは、屋根裏空間内部の空気の流れに乗って屋根裏空間全体に行き渡る。すなわち、屋根裏空間全体にわたっての換気を行うことができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載の屋根の換気構造において、
前記棟1b部には前記排気孔9a4が形成され、
この排気孔9a4と前記屋根パネル(下部屋根パネル9b)に形成された抜出孔(通気孔9b9)とは近接していることを特徴としている。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、棟1b部には排気孔9a4が形成され、この排気孔9a4と屋根パネル(下部屋根パネル9b)に形成された抜出孔(通気孔9b9)とは近接している。これにより、屋根パネル(下部屋根パネル9b)内部には熱がこもらず、屋根パネル(下部屋根パネル9b)及び屋根裏空間の温度上昇は抑えられるが、屋根裏空間の換気量は小さくなる。すなわち、屋根裏空間上部のみの換気を行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明である屋根パネルの設置構造および屋根の換気構造の実施形態について詳細に説明する。
【0022】
図1において、符号1は住宅を示す。本発明は、図1に示すようなロッジ風の住宅1の構築に利用されるものである。この住宅1は、木造2階建てであり、パネル工法によって構築される。この住宅1の2階部分は、切妻形式の屋根の屋根裏空間を部屋として利用するものである。
【0023】
以下、住宅1(建物)のうち、本発明に係る2階部分を中心に説明する。
この住宅1は、壁や屋根等の部材がそれぞれパネル化して構成されており、これらのパネルを、図示しない係合材、ボルト、釘等によって連結しながら構築される。
住宅1の2階部分には、図1、図2に示すように、互いに対向するようにして妻方向の壁2a、2bが立設され、この妻方向の壁2a、2bに直交して連結されるようにして桁方向の壁6が立設されている。この妻方向の壁2a、2bおよび桁方向の壁、さらに、妻方向の壁2a、2bを繋ぐようにして設けられる頂部梁7および中間部梁8(梁材)に支持されるようにして、上部屋根パネル9a、下部屋根パネル9b(屋根パネル)、ケラバ屋根パネル9cが設置されている。なお、中間部梁8は、頂部梁7と桁方向の壁6の上端部との間に、その中間位置より上方に位置するように配されているため、下部屋根パネル9bは上部屋根パネル9aよりも大きく形成されている。
【0024】
妻方向の壁2a、2bは、外壁2aと内壁2bとに分かれており、それぞれ2階を構成する部分は、図3(b)、図3(c)に示すように、略三角形状に形成されており、それぞれ開口部を備える中央部壁パネル3a、3bと、この中央部壁パネル3a、3bの両側部に連結されるとともに、桁方向の壁6に連結される側部壁パネル4a、4bと、中央部壁パネル3a、3bの上端部に設置される頂部壁パネル5a(妻面)、5bと、によって構成されている。
【0025】
このうち、外壁となる妻方向の壁2a、2baの頂部に設置される頂部壁パネル5aは、図3(a)に示すように、略三角形状であり、この頂部壁パネル5aの頂部5a1および隅部5a2には、予め、略台形状の梁受合板5a3、5a4がボルト等によって固定されている。なお、頂部壁パネル5a、5bの隅部下端部の角部5a5、5b5は略直角に形成されている。略三角形状の頂部壁パネルの頂部5a1に配される、略台形状の梁受合板5a3は、上底部が上方に向くように、隅部5a2に配される梁受合板5a4は、下底部が頂部5a1から隅部5a2へと形成される斜辺に平行となるように配されている。なお、内壁となる妻方向の壁2a、2bの頂部に設置される頂部壁パネル5bは、斜辺に段差部5b7が形成されている他は、外壁となる妻方向の壁2a、2baの頂部に設置される頂部壁パネル5aと同一である。そして、図3(b)、図3(c)に示す頂部壁パネル5a、5bの頂部5a1、5b1どうしおよび隅部5a2、5b2どうしを繋ぐようにして、かつ、図示しない梁受金物を介して梁受合板5a3、5b3、5a4、5b4に支持されるようにして、H型鋼である頂部梁7および中間部梁8が設けられる。
【0026】
頂部壁パネル5a、5bにおいては、それぞれの頂部5a1、5b1に設けられる梁受合板5a3、5b3の下方には貫通孔5a7(排気孔)、5b8がそれぞれ形成されている。この貫通孔5a7、5b8によって、屋根における換気経路が確実に形成されるようになっている。
【0027】
また、それぞれ、中央部壁パネル3a、3bの両側部に連結される側部壁パネル4a、4bは、屋根を支持する斜辺を備えるとともに、桁方向の壁6に当接するようにして形成されている。なお、側部壁パネル4a、4bは、立設させた場合に中央部壁パネル3a、3bとの当接部において、頂部壁パネル5a、5bの隅部下端部に形成された角部5a5、5b5に係合する角部受5a6、5b6が形成されるように、中央部壁パネル3a、3bの高さよりも所定寸法大きくなるように形成されている。
【0028】
上部屋根パネル9aは、図8等に示すように、芯材9a1の片面に面材9a2が設けられて形成されており、棟1bを形成するように互いに対抗して設置されている。上部屋根パネル9aの、棟1b部側の互いに対抗する芯材9a1間には、外部へ通じる所定の隙間、すなわち排気孔9a4が形成されており、これにより、屋根裏空間の上部から外部へ向けて通気が確保されている。なお、芯材9a1間の隙間の上部には、雨水等の侵入を防止する棟包み9a3が設けられている。
【0029】
下部屋根パネル9bは、図1等に示すように、一端部9b11が軒1aを形成するとともに他端部9b12が棟1b側に位置した状態に屋根を構成するものである。下部屋根パネル9bは、図4(a)〜図4(d)等に示すように、芯材9b1の両面に面材9b2が設けられて形成されており、中間部梁8と桁方向の壁6の上端部との比較的大きなスパンに設置可能となるように、所定の剛性を備えている。
【0030】
下部屋根パネル9bの内部にはロックウール9b3(断熱材)が予め工場等で充填されている。このロックウール9b3によって、屋根裏の空間には断熱効果が生じ、快適な利用が可能となっている。なお、このロックウール9b3は、現場で設ける必要がないため、コストが低減されるとともに施工上安全となる。
【0031】
下部屋根パネル9bには、この下部屋根パネル9bの搬送時や施工時に用いられる、ストッパ9b4、高さ補正部材9b5、落下防止材9b6等が設けられている。
【0032】
下部屋根パネル9bには、図8、図9等にも示すように、外気取入孔9b7(吸気孔)、通気層9b8、通気孔9b9(抜出孔)等が形成されている。外気取入孔9b7は、一端部9b11の短辺方向の芯材9b1とロックウール9b3との間に軒下1a1側に向けて設けられ、前記通気層9b8に外気aを取り入れるためのものである。通気層9b8は、一体的に設けられるロックウール9b3と前記面材9b2との間に、一端部9b11側から他端部9b12側に向かう方向に沿って設けられる。外気取入孔9b7は、他端部9b12の短辺方向の芯材9b1に対して切欠状に設けられ、通気層9b8から外気aが抜け出るためのものである。
【0033】
なお、下部屋根パネル9bの上端部側の芯材9b1には、上部屋根パネルの下端部側の芯材9a1を受けるための受材9b10が取り付けられている。この受材9b10によって、上部屋根パネル9aは、下部屋根パネル9bの上端部の芯材9b1に形成された通気孔9b9を塞がない状態に設置されている。
【0034】
以下、住宅1の施工方法について説明する。2階建て住宅のうち、本発明に係る2階部分の住宅の構築について説明する。
【0035】
先ず、図5に示すように、2階部分の妻方向の壁2a、2bである中央部壁パネル3a、3bおよび側部壁パネル4a、4bや、桁方向の壁6を建て込み、周知の方法で互いに連結しながら固定する。この際、中央部壁パネル3a、3bと側部壁パネル4a、4bとの当接部においては、側部壁パネル4a、4bの高さが中央部壁パネル3a、3bの高さよりも所定寸法大きくなるように形成されていることにより、頂部壁パネル5a、5bの隅部下端部に形成された角部5a5、5b5に係合する角部受5a6、5b6が形成される。
【0036】
次に、図6(a)に示すように、頂部壁パネル5a、5bを、その隅部下端部に略直角に形成された角部5a5、5b5が、中央部壁パネル3a、3bと側部壁パネル4a、4bとによって形成された角部受5a6、5b6に係合するようにして設置する。その後、図6(b)に示すように、ダイヤル下げ振り10等を用いて中央部壁パネル3a、3bや側部壁パネル4a、4bの鉛直精度を確認し、パネルステー11等によって仮保持させておく。
【0037】
次に、図7に示すように、頂部壁パネル5a、5bの頂部5a1、5b1どうしを繋ぐようにして、かつ、梁受合板5a3、5b3に、図示しない梁受金物を介して支持されるようにして、H型鋼である頂部梁7を設ける。同様に、頂部壁パネル5a、5bの隅部5a2、5b2どうしを繋ぐようにして、かつ、梁受合板5a4、5b4に、図示しない梁受金物を介して支持されるようにしてH型鋼である中間部梁8を設ける。なお、梁受金物は、図示しないボルト等によって梁受合板5a3、5b3、梁受合板5a4、5b4に固定されるととともに、H型鋼である中間部梁8や頂部梁7は、該梁受金物に図示しないボルト等によって固定される。
【0038】
次に、図7〜図9に示すように、頂部梁7、中間部梁8、に支持されるようにして上部屋根パネル9aを設置するとともに、中間部梁8、桁方向の壁6、に支持されるようにして、上部屋根パネル9aよりも大きい下部屋根パネル9bを設置する。この際、図8に示すように、下部屋根パネル9bの下部に設けられているストッパ9b4を、桁方向の壁6に当接させて下部屋根パネル9bの位置を確定させる。
【0039】
次に、図10に示すように、天井防湿シート12を、下部屋根パネル9bの内側の中間部梁8近傍から内壁13の内側まで延在するようにして、所定の重ね幅を設けながら釘等によって下部屋根パネル9bの芯材9b1に固定して取り付ける。
この天井防湿シート12の取り付け後、内壁13の内側には石膏ボード14を、中間部梁8の下方においては、天井下地胴縁15の取付けを行う。天井下地胴縁15からは、野縁を吊り下げて天井16を形成し、この天井16によって中間部梁8が隠れるようにする。
【0040】
本実施の形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
▲1▼軒1aを形成する下部屋根パネル9bの一端部9b11には外気取入孔9b7が設けられ、この外気取入孔9b7から取り入れられた外気aが、一端部9b11側から他端部9b12側に向かって通気層9b8を通過し、屋根棟1b側に位置する他端部9b12に形成された通気孔9b9から抜け出る。これにより、下部屋根パネル9b内部には熱がこもらず、下部屋根パネル9bの温度上昇が抑えられ、屋根裏空間の温度上昇も抑えられる。なお、下部屋根パネル9bの通気孔9b9は、屋根棟1b部側に位置しているので、屋根裏空間の下部からは外気aが入り込まず、したがって、屋根裏空間に居住性を考慮した適度な換気を行うことができる。すなわち、屋根裏空間の温度上昇を防止しながら、屋根裏空間を部屋としても有効利用できる。
【0041】
▲2▼住宅1に設置された下部屋根パネル9bの通気孔9b9から抜け出た外気aは、棟1b部に形成された排気孔9a4と頂部壁パネル5aに形成された貫通孔5a7との双方から外部空間に排出される。すなわち、換気経路を確実に確保しながら、住宅1の換気をより安定的に行うことができる。
【0042】
▲3▼下部屋根パネル9bに形成された通気孔9b9と棟1b部との間に設けられた停留部1b1によって、通気孔9b9から抜け出た外気aが停留する。停留した外気aは、屋根裏空間内部の空気の流れに乗って屋根裏空間全体に行き渡る。すなわち、屋根裏空間全体にわたっての換気を行うことができる。
【0043】
▲4▼棟1b部には排気孔9a4が形成され、この排気孔9a4と下部屋根パネル9bに形成された通気孔9b9とは近接している。これにより、下部屋根パネル9b内部には熱がこもらず、下部屋根パネル9b及び屋根裏空間の温度上昇は抑えられるが、屋根裏空間の換気量は小さくなる。すなわち、屋根裏空間上部のみの換気を行うことができる。
【0044】
▲5▼軒1aと棟1bとの間には、これらに沿って梁材(中間部梁8)が設けられ、屋根パネル(下部屋根パネル9b)の他端部は梁材(中間部梁8)に支持されている。すなわち、屋根パネル(下部屋根パネル9b)の他端部9b12は、棟1b部に設けられる梁材によってではなく、棟1bより軒1a側に位置する梁材(中間部梁8)によって支持されている。これにより、屋根パネル(下部屋根パネル9b)を棟1aと軒1bとにまたがるように大きく形成する必要がない。したがって、屋根パネル(下部屋根パネル9b)を安価に製造することができる。
【0045】
なお、本実施の形態においては、上部屋根パネル9aと下部屋根パネル9bとを中間部梁8を介して当接させて設置しているが、特に上部屋根パネル9aを設置しなくてもよいことは勿論である。すなわち、下部屋根パネル9bを軒1aから棟1bまで延在させて設置してもよい。この場合、棟1b部に形成される排気孔9a4と下部屋根パネル9bに形成される通気孔9b9とを近接させておくことで以下の効果を得ることができる。すなわち、下部屋根パネル9b内部には熱がこもらず、下部屋根パネル9b及び屋根裏空間の温度上昇は抑えられるが、屋根裏空間の換気量は小さくなる。すなわち、屋根裏空間上部のみの換気を行うことができる。
【0046】
なお、本実施の形態においては、住宅1を切妻形式のものとしているが、住宅1が寄棟形式である場合にも本発明を適用できることは勿論である。
【0047】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、軒を形成する屋根パネルの一端部には吸気孔が設けられ、この吸気孔から取り入れられた外気が、一端部側から他端部側に向かって通気層を通過し、屋根棟側に位置する他端部に形成された抜出孔から抜け出る。これにより、屋根パネル内部には熱がこもらず、屋根パネルの温度上昇が抑えられ、屋根裏空間の温度上昇も抑えられる。なお、屋根パネルの抜出口は、屋根棟部側に位置しているので、屋根裏空間の下部からは外気が入り込まず、したがって、屋根裏空間に居住性を考慮した適度な換気を行うことができる。すなわち、屋根裏空間の温度上昇を防止しながら、屋根裏空間を部屋としても有効利用できる。
また、屋根パネルの他端部は、棟部に設けられる梁材によってではなく、棟より軒側に位置する梁材によって支持されている。これにより、屋根パネルを棟と軒とにまたがるように大きく形成する必要がない。したがって、屋根パネルを安価に製造することができる。
【0048】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られることは勿論のこと、切妻形式の建物に設置された屋根パネルの抜出孔から抜け出た外気は、棟部と建物妻面とのうちの少なくとも一方に形成された排気孔から外部空間に排出される。すなわち、換気経路を確実に確保しながら、建物の換気をより安定的に行うことができる。
【0049】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られることは勿論のこと、寄棟形式の建物に設置された屋根パネルの抜出孔から抜け出た外気は、棟部に形成された排気孔から外部空間に排出される。すなわち、換気経路を確実に確保しながら、建物の換気をより安定的に行うことができる。
【0050】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2又は請求項3に記載の発明と同様の効果が得られることは勿論のこと、屋根パネルに形成された抜出孔と棟部との間に設けられた停留部によって、抜出孔から抜け出た外気が停留する。停留した外気は、屋根裏空間内部の空気の流れに乗って屋根裏空間全体に行き渡る。すなわち、屋根裏空間全体にわたっての換気を行うことができる。
【0051】
請求項5に記載の発明によれば、請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載の発明と同様の効果が得られることは勿論のこと、排気孔と屋根パネルに形成された抜出孔とは近接しているため、屋根パネル内部には熱がこもらず、屋根パネル及び屋根裏空間の温度上昇は抑えられるが、屋根裏空間の換気量は小さくなる。すなわち、屋根裏空間上部のみの換気を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る住宅を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る住宅の一施工工程を示す斜視図である。
【図3】(a)は本発明に係る頂部壁パネルを示す斜視図であり、(b)は頂部壁パネルが妻方向の外壁の頂部設置された状態を示す正面図であり、(c)は頂部壁パネルが妻方向の内壁の頂部に設置された状態を示す正面図である。
【図4】本発明に係る下部屋根パネルの、(a)は全体を示す斜視図、(b)は長辺方向の断面図、(c)は上端部を示す斜視図、(d)は短辺方向の断面図である。
【図5】本発明に係る住宅の一施工工程を示す斜視図である。
【図6】(a)、(b)ともに、本発明に係る住宅の一施工工程を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る住宅の一施工工程を示す斜視図である。
【図8】上部屋根パネル及び下部屋根パネルが設置された本発明に係る住宅の妻方向の断面図である。
【図9】(a)は、本発明に係る住宅の一施工工程を示す斜視図であり、(b)は、本発明に係る住宅に設置された状態の下部屋根パネルによる屋根の換気構造を示す断面図である。
【図10】上部屋根パネル及び下部屋根パネルが設置された本発明に係る住宅の妻方向の断面図である。
【図11】従来における屋根の換気構造の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 住宅
1a 軒
1a1 軒下
1b 棟
1b1 停留部
5a 頂部壁パネル(妻面)
5a7 貫通孔(排気孔)
8 中間部梁(梁材)
9a4 排気孔
9b 下部屋根パネル(屋根パネル)
9b2 面材
9b3 ロックウール(断熱材)
9b7 外気取入孔(吸気孔)
9b8 通気層
9b9 通気孔(抜出孔)
9b11 一端部
9b12 他端部
a 外気
Claims (5)
- 枠体と、この枠体の少なくとも上側に取り付けられる面材とを有し、一端部が軒を形成するとともに他端部が棟側に位置した状態に屋根を構成する屋根パネルであって、
枠体内に設けられる断熱材と、
この断熱材と前記面材との間に、前記一端部側から他端部側に向かう方向に沿って形成される通気層と、
前記一端部で軒下側に向けて形成され、前記通気層に外気を取り入れるための吸気孔と、
前記他端部に形成され、前記通気層から外気が抜け出るための抜出孔とを備えた屋根パネルを設置してなる屋根パネルの設置構造であって、
軒と棟との間には、これらに沿って梁材が設けられ、
前記屋根パネルの他端部が前記梁材に支持されていることを特徴とする屋根パネルの設置構造。 - 請求項1に記載の屋根パネルの設置構造を備えた屋根の換気構造であって、
前記屋根は複数の屋根パネルを設置することにより形成された切妻形式の建物におけるものであり、
棟部と建物妻面とのうちの少なくとも一方には、前記屋根パネルの抜出孔から抜け出た外気を外部空間に排出するための排気孔が形成されていることを特徴とする屋根の換気構造。 - 請求項1に記載の屋根パネルの設置構造を備えた屋根の換気構造であって、
前記屋根は複数の屋根パネルを設置することにより形成された寄棟形式の建物におけるものであり、
棟部には、前記屋根パネルの抜出孔から抜け出た外気を外部空間に排出するための排気孔が形成されていることを特徴とする屋根の換気構造。 - 前記屋根パネルに形成された抜出孔と前記棟部との間には、前記抜出孔から抜け出た外気が停留する停留部が設けられていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の屋根の換気構造。
- 前記棟部には前記排気孔が形成され、
この排気孔と前記屋根パネルに形成された抜出孔とは近接していることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載の屋根の換気構造。
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