JP4045937B2 - モーター制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はモーターの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常はモーター効率の高い正弦波PWM(Pulse Wide Modulation;パルス幅変調)制御を行い、正弦波PWM制御が困難な高回転、高トルク領域では矩形波制御を行うモーター制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この出願の発明に関連する先行技術文献としては次のものがある。
【特許文献1】
特開平11−285288号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のモーター制御装置では、正弦波PWM制御から矩形波制御へ、または矩形波制御から正弦波PWM制御への切り換えが円滑に行われず、モーターの回転速度やトルクが変動するという問題がある。
【0005】
本発明は、完全な矩形波制御へ切り換えず、正弦波PWM制御が困難な高速、高トルク領域において矩形波制御と同等にモーターを安定に駆動するようにしたモーター制御装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、d軸電流指令値とd軸電流の偏差と、q軸電流指令値とq軸電流の偏差の内の少なくとも一方がしきい値を超えた時間が所定時間以上になった場合に、3相交流電圧指令値を正弦波と矩形波とを合成した中間波の3相交流電圧指令値に補正し、補正後の3相交流電圧指令値にしたがって正弦波と矩形波を合成した中間波の3相交流電圧をモーターに印加する。
【0007】
【発明の効果】
本発明によれば、完全な矩形波制御へ切り換えることなく、正弦波PWM制御が困難な高速、高トルク領域において矩形波制御と同等にモーターを安定に駆動することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
この一実施の形態では、通常の運転領域においては正弦波PWM電圧でモーターを駆動し、高速、高トルク領域では正弦波PWM波形と矩形波との中間波電圧を生成してモーターを駆動する。まず、この中間波電圧の生成方法について説明する。
【0009】
図2に、正弦波PWM制御で3相交流モーターに印加するU−V相線間電圧の生成方法を示す。図2(a)に示すように変調用三角波電圧とインバーター周波数の正弦波制御電圧とを比較し、両者の大小関係に基づいて図2(b)に示すインバーターU相出力端子と仮想中点との間の電圧Vu-0と、図2(c)に示すインバーターV相出力端子と仮想中点との間の電圧Vv-0を生成する。そして、U相中点電圧Vu-0とV相中点電圧Vv-0との差を求めることによって、図2(d)に示すU−V相線間電圧Vu-vを生成する。なお、この正弦波PWM制御における3相線間電圧Vu-vの生成方法については公知であり、詳細な説明を省略する。また、V−W相線間電圧Vv-wおよびW−U相線間電圧Vw-uの生成方法についても同様であり、それらの図示と説明を省略する。
【0010】
図2に示す正弦波PWM制御における線間電圧Vu-v、Vv-w、Vw-uの生成は、変調用三角波電圧とU、V、W相正弦波制御電圧のパターンを数値化してメモリに記憶しておき、マイクロコンピューターにより2つの数値化データを比較してパルス列状の線間電圧Vu-v、Vv-w、Vw-uのデューティー指令値を生成する。この正弦波PWM制御により生成されたパルス状の線間電圧波形のデューティー、すなわち変調用三角波電圧1周期(=線間電圧波形1周期)に占める電圧出力期間の割合は、正弦波制御電圧の変化に応じて0から100%まで変化する。
【0011】
図2(d)に示す正弦波PWM制御によるパルス列状の線間電圧波形をモーターに印加することは、モーターに正弦波電圧を印加したのと等価になり、モーターには正弦波の交流電流が流れる。
【0012】
図3に、矩形波制御において3相交流モーターに印加するU相電圧Vu-o、V相電圧Vv-o、W相電圧Vw-oを示す。矩形波制御では、インバーターにより180度(電気角)ごとに正と負の各相電圧を3相交流モーターに印加する。
【0013】
この一実施の形態では、モーターの回転速度ωが予め設定した中間波生成許可回転速度ωoよりも低いときは、効率の高い正弦波PWM制御を選択する。一方、モーター回転速度ωが中間波生成許可回転速度ωo以上のときは、dq軸電圧指令値Vd*、Vq*に基づいて正弦波PWM制御か、または正弦波PWMと矩形波との中間波制御のいずれかを選択する。
【0014】
図4は正弦波と矩形波の中間波の生成方法を示す。上述したように、モーターに印加する線間電圧は変調用三角波電圧と正弦波制御電圧との大小関係に基づいて生成され、図4(a)に示すようにパルス列状の線間電圧波形のデューティー、すなわち変調用三角波電圧1周期(線間電圧波形1周期)に占める電圧出力期間の割合は、0から100%まで変化する。ここで、正弦波PWM制御のデューティーが正側のしきい値THUを超えている期間と、負側のしきい値THLを下回っている期間は、インバーターのスイッチングを停止して電源電圧をモーターに印加したままにすると、図4(b)に示すようなU相線間電圧波形になる。
【0015】
図4に示す例では、デューティーがしきい値THUを超えている期間t1〜t2はインバーターのスイッチングを行わず、電源電圧+E/2(Eは電源電圧)を出力したままにする。同様に、負側においてもデューティーがしきい値THLを下回っている期間t3〜t4はインバーターのスイッチングを行わず、電源電圧−E/2を出力したままにする。
【0016】
正弦波PWM制御において、PWMデューティーが正負のしきい値THU、THLを超えている期間のみ、スイッチングを停止して電源電圧を出力したままにする制御を行うことによって、等価的に図5に示すような相電圧をモーターに印加することになる。図5において、正弦波PWM制御によるPWMデューティーが正負のしきい値THU、THL以下の間は、等価的な正弦波の相電圧Vu-oがモーターに印加される。一方、PWMデューティーが正負のしきい値THU、THLを超えている間は、電源電圧+E/2または−E/2が出力されたままになり、矩形波状の相電圧がモーターに印加される。なお、図5ではU相の等価相電圧のみを示すが、V相およびW相についても同様である。
【0017】
つまり、この一実施の形態では正弦波PWM制御の正弦波電圧の中途区間を矩形波電圧に変換した、正弦波と矩形波の中間波の電圧をモーターに印加する。今、図5に示すように、等価相電圧Vu-oの波形ピーク値VP(破線部)と、PWMデューティーがしきい値THUのときの等価相電圧VTHとに基づいて、「矩形波変換率」を次式で定義する。なお、図5では正弦波PWM制御による等価相電圧Vu-oの波形ピーク値Vp(破線部)と、矩形波制御によるピーク値+E/2とを等しく表しているが、正弦波PWM制御による等価相電圧Vu-oのピーク値Vpはモーターの回転速度とトルクに応じて変化するので、両者は必ずしも一致しない。
【数1】
(矩形波変換率)=(VP−VTH)/VP×100%
この矩形波変換率が低いほど正弦波に近い相電圧がモーターに印加され、矩形波変換率が高いほど矩形波に近い相電圧がモーターに印加される。なお、矩形波変換率を等価相電圧Vu-oの半周期Tに対する矩形波期間T0の割合(T0/T×100%)で定義してもよい。
【0018】
図6は矩形波変換率15%のときのU相等価相電圧波形を示し、図7は矩形波変換率65%のときのU相等価相電圧波形を示す。なお、V相およびW相の相電圧波形は位相が120度ずつ遅れるだけでU相波形と同一である。
【0019】
図1は、本願発明を電気自動車のモーター制御装置に適用した一実施の形態の構成を示す。なお、本願発明のモーター制御装置は電気自動車に限定されず、自動車以外のあらゆる産業機械に適用することができる。
【0020】
アクセルセンサー1はアクセルペダルの踏み込み量Accを検出し、車速センサー2は電気自動車の走行速度Vspを検出する。また、ブレーキセンサー3はブレーキペダルの踏み込み量Brを検出する。トルク指令値生成回路4は、予め設定されたアクセルペダル踏み込み量、ブレーキペダル踏み込み量および走行速度に対するトルク指令値のテーブルを記憶しており、このテーブルからアクセルセンサー1、車速センサー2およびブレーキセンサー3の各検出値Acc、Vsp、Brに対応するトルク指令値Tr*を表引き演算する。
【0021】
電流指令値生成回路5は、予め設定されたトルク指令値に対するdq軸電流指令値のテーブルを記憶しており、トルク指令値生成回路4からのトルク指令値Tr*に対応するdq軸電流指令値Id*、Iq*を表引き演算する。ここで、dq軸座標系はモーターMに同期して回転する座標系である。電流制御回路6は、電流指令値生成回路5からのdq軸電流指令値Id*、Iq*とモーターMに流れる実際のdq軸電流Id、Iqとの偏差を求め、この偏差にPI制御あるいはPID制御を施してdq軸電流Id、Iqをそれらの指令値Id*、Iq*に一致させるためのdq軸電圧指令値Vd*、Vq*を演算する。2/3相変換回路7は、後述する速度位相演算回路14で演算された位相θに基づいて、電流制御回路6で演算されたdq軸電圧指令値Vd*、Vq*を3相交流電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*へ変換する。
【0022】
デューティー指令値演算回路8は、2/3相変換回路7からの3相交流電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*に基づいて各相のPWMデューティー指令値Du*、Dv*、Dw*を演算する。すなわち、対応する各相の電流が0[A]のときをデューティー50%とし、各相の電流が0[A]から増加する量に応じてデューティーを50%から増加させ、各相の電流が0[A]から減少する量に応じてデューティーを50%から減少させる。
【0023】
デューティー決定回路9は、正弦波PWM制御が選択された場合には、デューティー指令値演算回路8で演算されたPWMデューティー指令値Du*、Dv*、Dw*を最終的なPWMデューティー指令値に決定する。また、中間波制御が選択された場合には、デューティー指令値演算回路8で演算されたPWMデューティー指令値Du*、Dv*、Dw*を、後述するしきい値設定回路15により設定されるPWMデューティーの正負しきい値THU、THLと比較し、PWMデューティー指令値Du*、Dv*、Dw*のデューティーが正側しきい値THUより大きいときはデューティーを100%とし、指令値Du*、Dv*、Dw*のデューティーが負側しきい値THLより小さい場合はデューティーを0%とし、指令値Du*、Dv*、Dw*のデューティーが正側しきい値THU以下で、且つ負側しきい値THL以上の場合はデューティーを指令値Du*、Dv*、Dw*のデューティーとすることによって、中間波のPWMデューティー指令値Du’、Dv’、Dw’を決定する。
【0024】
インバーター10は、デューティー決定回路9により決定された正弦波PWM制御のPWMデューティー指令値Du*、Dv*、Dw*、または中間波制御のPWMデューティー指令値Du’、Dv’、Dw’にしたがって各相のスイッチング素子によりスイッチング動作を行い、バッテリー11の直流電力を交流電力に変換して3相交流電圧Vu、Vv、Vwを生成し、モーターMに印加する。電流センサー12はモーターMに流れる3相交流電流Iu、Iv、Iwを検出する。回転センサー13は、モーターMの所定の回転角度ごとにパルス信号を出力する。速度位相演算回路14は、回転センサー13からのパルス信号の周期および単位時間当たりのパルス数に基づいてモーターMの回転速度ωと位相θを演算する。
【0025】
しきい値設定回路15は、予め設定された中間波生成許可回転速度ωoを記憶しており、モーター回転速度ωが中間波生成許可回転速度ωo以上の場合であって、q軸電圧指令値Vq*が予め設定したしきい値Vqo以上の状態がTo時間以上継続したとき、または、d軸電圧指令値Vd*がしきい値Vdo以上の状態がTo時間以上継続したときは、正弦波PWM波形から中間波を生成するためのしきい値THU、THLを出力する。この一実施の形態ではしきい値THU、THLを予め設定した固定値とし、上述した矩形波変換率が15%になる値とする。なお、しきい値THU、THLを与える矩形波変換率は15%に限定されない。モーター回転速度ωが中間波生成許可回転速度ωo未満の場合は、中間波を生成せず、正弦波PWMの電圧波形をモーターに印加するものとし、しきい値THU、THLを出力しない。
【0026】
3/2相変換回路16は、速度位相演算回路14により演算されたモーター位相θに基づいて、電流センサー12で検出されたモーター電流Iu、Iv、Iwをdq軸電流Iq、Idに変換する。
【0027】
なお、図1に示す制御ブロックの内のトルク指令値生成回路4、電流指令値生成回路5、電流制御回路6、2/3相変換回路7、デューティー指令値演算回路8、デューティー決定回路9、速度位相演算回路14、しきい値設定回路15および3/2相変換回路16は、1個または複数個のマイクロコンピューターのソフトウエア形態により実現する。
【0028】
図8は、一実施の形態のモーター制御プログラムを示すフローチャートである。このフローチャートにより、一実施の形態の動作を説明する。電気自動車のメインスイッチ(不図示)が投入されている間、このモーター制御プログラムを繰り返し実行する。
【0029】
ステップ1において、アクセルセンサー1、車速センサー2およびブレーキセンサー3によりアクセルペダル踏み込み量Acc、車速Vspおよびブレーキペダル踏み込み量Brを検出するとともに、電流センサー12および3/2相変換回路16によりdq軸電流Id、Iqを検出し、さらに回転センサー13および速度位相演算回14によりモーター回転速度ωと回転位相θを検出する。ステップ2では、トルク指令値生成回路4によりテーブルを参照してアクセルペダル踏み込み量Acc、車速Vspおよびブレーキペダル踏み込み量Brに応じたトルク指令値Tr*を表引き演算し、さらに電流指令値生成回路5によりテーブルを参照してトルク指令値Tr*からdq軸電流指令値Id*、Iq*を生成する。
【0030】
ステップ3では電流制御回路6によりdq軸電流指令値Id*、Iq*とdq軸電流Id、Iqとの偏差(Id*−Id、Iq*−Iq)を求め、この偏差にPI制御を施してdq軸電圧指令値Vd*、Vq*を演算する。続くステップ4で、2/3相変換回路7によりdq軸電圧指令値Vd*、Vq*を3相電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*へ変換する。ステップ5において、デューティー指令値演算回路8により3相電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*に基づいて各相のPWMデューティー指令値Du*、Dv*、Dw*を演算する。すなわち、対応する各相の電流が0[A]のときをデューティー50%とし、各相の電流が0[A]から増加する量に応じてデューティーを50%から増加させ、各相の電流が0[A]から減少する量に応じてデューティーを50%から減少させる。
【0031】
ステップ6では、モーター回転速度ωが中間波生成許可回転速度ωo以上か否かを確認し、ω≧ωoであればステップ7へ進み、ω<ωoのときはステップ11へ進む。モーター回転速度ωが中間波生成許可回転速度ωo未満のときは、ステップ11で超過時間Tを計時するタイマーを0にリセットする。このタイマーは、dq軸電圧指令値Vq*、Vd*が予め設定したしきい値Vqo、Vdoを超過した時間Tを計時するソフトウエアタイマーである。続くステップ12で、モーターに正弦波PWM電圧を印加する正弦波PWM制御を選択する。
【0032】
モーター回転速度ωが中間波生成許可回転速度ωo以上の場合は、ステップ7で、電流制御回路6から出力されたq軸電圧指令値Vq*が予め設定したしきい値Vqo以上か、またはd軸電圧指令値Vd*が予め設定したしきい値Vdo以上かを確認する。Vq*≧VqoまたはVd*≧Vdoのときはステップ8へ進み、Vq*<VqoかつVd*<Vdoのときはステップ11へ進む。dq軸電圧指令値Vq*、Vd*がともにそれらのしきい値Vqo、Vdoより小さいときは、ステップ11〜12で上述したようにタイマーの超過時間Tを0にリセットし、正弦波PWM制御を選択する。
【0033】
一方、q軸電圧指令値Vq*がしきい値Vqo以上のとき、またはd軸電圧指令値Vd*がしきい値Vdo以上のときはステップ8へ進み、Vq*≧Vqoの状態またはVd*≧Vdoの状態の継続時間(超過時間)Tを計時するタイマーのカウントアップを行う。続くステップ9において、超過時間Tが予め設定したしきい値To以上になったか否かを確認し、T≧Toのときはステップ10へ進み、T<Toのときはステップ1へ戻る。
【0034】
モーター回転速度ωが中間波生成許可回転速度ωo以上で、かつ、dq軸電圧指令値Vq*、Vd*の少なくとも一方がしきい値(Vqo、Vdo)以上の状態がTo時間以上継続した場合には、モーターの逆起電圧が高い状態にあって出力電圧の余裕がなく、電流制御およびトルク制御における制御余裕と十分な応答性が確保できない状態にあると判断し、正弦波PWM波形と矩形波とを合成した中間波の電圧を生成してモーターに印加する中間波制御を選択する。そして、予め設定した正弦波PWM制御から矩形波制御に切り換えるためのPWMデューティーしきい値THU、THLをデューティー決定回路9へ出力する。
【0035】
ステップ13で、デューティー決定回路9によりPWMデューティー指令値Du*、Dv*、Dw*のデューティーが正側しきい値THUより大きい場合はデューティーを100%とし、指令値Du*、Dv*、Dw*のデューティーが負側しきい値THLより小さい場合はデューティーを0%とし、指令値Du*、Dv*、Dw*のデューティーが正側しきい値THU以下で且つ負側しきい値THL以上の場合はデューティーを指令値Du*、Dv*、Dw*のデューティーとすることによって、中間波のPWMデューティー指令値Du’、Dv’、Dw’を生成する。
【0036】
ステップ14では、インバーター10により、正弦波PWM制御を選択した場合は正弦波PWMデューティー指令値Du*、Dv*、Dw*にしたがって直流電力を3相交流電力に変換し、一方、中間波制御を選択した場合は中間波PWMデューティー指令値Du’、Dv’、Dw’にしたがって直流電力を3相交流電力に変換し、3相交流電圧Vu、Vv、Vwを生成する。そしてステップ15で、3相交流電圧Vu、Vv、VwをモーターMに印加して駆動する。その後、ステップ1へ戻り上述した処理を繰り返す。
【0037】
このように、上述した一実施の形態では、d軸電圧指令値Vd*とq軸電圧指令値Vq*の内の少なくとも一方がしきい値Vdo、Vqoを超えた時間Tが所定時間To以上になった場合に、3相交流電圧指令値を正弦波と矩形波とを合成した中間波の3相交流電圧指令値に補正し、補正後の3相交流電圧指令値にしたがって正弦波と矩形波を合成した中間波の3相交流電圧をモーターに印加するようにしたので、完全な矩形波制御へ切り換えることなく、正弦波PWM制御が困難な高速、高トルク領域において矩形波制御と同等にモーターを安定に駆動することができる。
【0038】
正弦波と矩形波を合成した中間波の電圧でモーターを駆動した場合は、正弦波電圧でモーターを駆動した場合に比べて電圧利用率を向上させることができるため、同一の電源電圧でも正弦波電圧駆動の場合より大きな電流を流すことができる。中間波駆動では矩形波部分で正弦波駆動より大きな電流が流れ、その結果、電流フィードバック制御により電圧指令値が下がり、中間波の中の矩形波部分が減少する。つまり、大電流を流すのに必要な分だけ中間波の中の矩形波部分が増減することになる。したがって、モーターを高速、高トルクで駆動した場合に、逆起電圧が上昇するので正弦波制御ではモーターに大電流を流せない場合でも、中間波電圧駆動によれば大電流を流すことができ、モーターの高速、高トルク領域での回転速度制御とトルク制御が可能になる。
【0039】
また、完全な矩形波では常時電源電圧がモーターに印加されることになるため、回転速度が低い運転領域、およびモーター電流の小さい運転領域では矩形波電圧駆動を行うことができないが、上述した一実施の形態では正弦波と矩形波を合成した中間波の電圧で駆動するため、完全な矩形波電圧駆動では制御できない低速、小電流の運転領域でも矩形波電圧駆動の利点を残した中間波電圧でモーターを安定に駆動することができる。
【0040】
なお、上述した一実施の形態では、d軸電圧指令値とq軸電圧指令値の内の少なくとも一方がしきい値を超えた時間が所定時間以上になった場合に、3相交流電圧指令値を正弦波と矩形波とを合成した中間波の3相交流電圧指令値に補正し、補正後の3相交流電圧指令値にしたがって正弦波と矩形波を合成した中間波の3相交流電圧をモーターに印加する例を示した。しかし、d軸電流指令値とd軸電流の偏差と、q軸電流指令値とq軸電流の偏差の内の少なくとも一方がしきい値を超えた時間が所定時間以上になった場合に、3相交流電圧指令値を正弦波と矩形波とを合成した中間波の3相交流電圧指令値に補正し、補正後の3相交流電圧指令値にしたがって正弦波と矩形波を合成した中間波の3相交流電圧をモーターに印加するようにしても、上述した効果を得ることができる。
【0041】
さらに、一実施の形態によれば、モーターの回転速度が予め設定したしきい値より低い場合には、3相交流電圧指令値を中間波の電圧指令値に補正しないようにした。中間波電圧駆動は、モーターが高速、高トルク状態において矩形波電圧駆動と同様な効果を得ることができるが、モーターが低速、低トルク状態では正弦波電圧駆動を行う方が矩形波電圧駆動よりもモーター効率が高い。したがって、モーター回転速度に対して低速か高速かを判定するためのしきい値を設定し、モーター回転速度がしきい値より低い場合は正弦波電圧駆動を選択し、モーター回転速度がしきい値以上の場合は中間波電圧駆動を選択することによって、低速ではモーター効率を向上させ、高速では速度制御およびトルク制御の制御余裕と応答性を確保することができる。
【0042】
特許請求の範囲の構成要素と一実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、電流センサー12が電流検出手段を、3/2相変換回路16が電流変換手段を、電流指令値生成回路5が電流指令値生成手段を、電流制御回路6が電流制御手段を、2/3相変換回路7が電圧指令値変換手段を、デューティー指令値演算回路8、デューティー決定回路9およびインバーター10が電力変換手段を、しきい値設定回路15が電圧指令値補正手段をそれぞれ構成する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施の形態の構成を示す図である。
【図2】 正弦波PWM制御において3相交流モーターに印加するU−V相線間電圧の生成方法を示す図である。
【図3】 矩形波制御において3相交流モーターに印加するU−V相線間電圧を示す図である。
【図4】 正弦波PWMと矩形波との中間波の生成方法を示す図である。
【図5】 正弦波PWMと矩形波との中間波を示す図である。
【図6】 矩形波変換率15%のときのU相等価相電圧波形を示す図である。
【図7】 矩形波変換率65%のときのU相等価相電圧波形を示す図である。
【図8】 一実施の形態のモーター制御プログラムを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 アクセルセンサー
2 車速センサー
3 ブレーキセンサー
4 トルク指令値生成回路
5 電流指令値生成回路
6 電流制御回路
7 2/3相変換回路
8 デューティー指令値演算回路
9 デューティー決定回路
10 インバーター
11 バッテリー
12 電流センサー
13 回転センサー
14 速度位相演算回路
15 しきい値設定回路
16 3/2相変換回路
M 3相交流モーター
Claims (2)
- 3相交流モーターに流れる3相交流電流を検出する電流検出手段と、
前記モーターに流れる3相交流電流を前記モーターと同期して回転するdq軸座標系のdq軸電流に変換する電流変換手段と、
前記モーターのトルク指令値に応じたdq軸電流指令値を生成する電流指令値生成手段と、
前記dq軸電流を前記dq軸電流指令値に一致させるためのdq軸電圧指令値を演算する電流制御手段と、
前記dq軸電圧指令値を3相交流電圧指令値に変換する電圧指令値変換手段と、
前記3相交流電圧指令値にしたがって直流電力を交流電力に変換し、前記モーターに印加する電力変換手段とを備えたモーター制御装置であって、
前記3相交流電圧指令値を正弦波と矩形波とを合成した中間波の電圧指令値に補正する電圧指令値補正手段を備え、
前記d軸電流指令値と前記d軸電流との偏差と、前記q軸電流指令値と前記q軸電流との偏差の内の少なくとも一方がしきい値を超えた時間が所定時間以上になった場合に、前記電圧指令値補正手段は、前記3相交流電圧指令値を正弦波と矩形波とを合成した中間波の電圧指令値に補正し、前記電力変換手段は、前記電圧指令値補正手段による補正後の3相交流電圧指令値にしたがって正弦波と矩形波を合成した中間波の3相交流電圧を前記モーターに印加することを特徴とするモーター制御装置。 - 請求項1に記載のモーター制御装置において、
前記モーターの回転速度を検出する速度検出手段を備え、
前記モーターの回転速度が予め設定したしきい値より低い場合に、前記電圧指令値補正手段は、前記3相交流電圧指令値を前記中間波の電圧指令値に補正しないことを特徴とするモーター制御装置。
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