JP4045787B2 - 内燃機関の吸気制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸気通路に設けられた吸気制御弁を開閉制御して吸入空気量を各気筒毎に制御できるようにした内燃機関の吸気制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、内燃機関の吸気通路に吸気制御弁を設け、これを開閉制御することにより、内燃機関に設けられたスロットルバルブとは別に、吸入空気量を各気筒毎に制御できるようにした吸気制御装置が知られている。
【0003】
この種の吸気制御装置では、各気筒の吸気通路に設けた吸気制御弁を各々アクチュエータで独立して開閉制御できるので、内燃機関の回転速度や負荷に応じて吸気制御弁の開閉時期を制御することにより、内燃機関の低回転域において吸気行程中に発生する吸入空気の逆流を防止して出力を向上させるとか、内燃機関の部分負荷時、特にアイドリング時のポンピングロスを低減させることにより、燃費を向上させることができることが知られている。また、内燃機関の低負荷時、特にアイドリング時において片ポートのみで吸気させることになり、筒内にスワールやタンプルが発生して、燃料の霧化が良くなり燃料と空気がよく混合されることにより、燃焼を改善させることができることも知られている。
【0004】
また吸気制御弁を開閉駆動するアクチュエータとして、非通電時には吸気制御弁を吸気通路を半開する中立位置に保持し、通電時にはその通電電流及びその電流方向に応じて吸気制御弁を中立位置から吸気通路の開方向或いは閉方向に駆動する、90°揺動型のロータリソレノイドアクチュエータ(以下、単にR/Sアクチュエータ)を用いていた。
【0005】
このように非通電時に吸気制御弁を中立位置に保持するR/Sアクチュエータを用いた場合には、故障等によりR/Sアクチュエータに通電できなくても、吸気通路を閉じてしまうことがなく内燃機関を運転できるので、安全性を確保でき、しかも通電方向を切り替えることにより、吸気制御弁の開閉方向を切り替えることができるので、全開から全閉、或いは全閉から全開へと吸気制御弁を高速で駆動できる。
【0006】
しかしながら、R/Sアクチュエータを用いて吸気制御弁の開閉制御を行う場合においては、開閉制御を実行しない場合である吸気制御弁を全開位置に保持する場合であっても、必ずR/Sアクチュエータに通電する必要があり、このため、その消費電力が大きくなるという問題があった。
【0007】
この問題を解決するものとして、本出願人は、先に特開平6−58192号公報に記載された吸気制御装置を提案している。この吸気制御装置は、吸気バルブが閉じている間は、その上流の吸気通路に設けられた吸気制御弁を開閉しても、内燃機関の吸気特性に影響を与えないことから、この吸気バルブが閉じている期間に、吸気制御弁を開閉駆動するR/Sアクチュエータへの通電量を減少させて、消費電力を節減するものである。
【0008】
しかしながら、この従来の吸気制御弁10を開閉駆動するR/Sアクチュエータ20は、図10に示されるように、支軸21、磁石部材22、電磁コイル23,24、永久磁石25,26等から構成され、吸気制御弁10の支軸11に連結される支軸21は、ケーシング27内に回動自在に支持されている。支軸21の外周に磁石部材22が嵌着されていて、磁石部材22には周方向に対し対称に異極となる磁極が形成される。一対の電磁コイル23,24は、磁石部材22を間において対向させた状態でケーシング27の内壁に設けられ、また一対の永久磁石25,26は、磁石部材22を間において対向しかつ一対の電磁コイルと直交する状態で、ケーシング27の内壁に設けられている。
【0009】
このように構成されたR/Sアクチュエータ20は、電磁コイル23,24へ通電すると、電磁コイル23,24により形成される磁極と、永久磁石25,26によって形成される磁極とにより決まる位置まで磁石部材22は揺動する。この結果、磁石部材22に一体の支軸21が揺動し、吸気制御弁10は中立位置(半開位置)から全開方向又は全閉方向に揺動する。
また、電磁コイル23,24への通電を遮断すると、磁石部材22は永久磁石25,26の磁極のみによって保持される。従って、吸気制御弁10は、中立位置(半開位置)に揺動して安定する。
【0010】
上記したように、従来のR/Sアクチュエータ20は、永久磁石型トルクモータであり、そのステータには、無通電時にロータを半開状態(中立位置)にするための永久磁石が設けられ、ロータには磁石部材が設けられており、コイルに通電することでロータが回転し、半開状態から全閉側もしくは全開側に作動するようになっている。
【0011】
ところで、吸気制御弁を開閉駆動するR/Sアクチュエータは、高速作動が要求されており、そのためにモータの機械的なイナーシャを小さくする必要があり、大きな磁石部材が使用できないという制約があるため、電流を流しても大きなトルクが得られない。そのため、モータのロータを全閉状態もしくは全開状態に保持する際、モータのトルク定数(電流当り発生するトルク)が小さいので大きな保持電流が必要となり、消費電力を低減できないという問題がある。
また、従来のR/Sアクチュエータでは、中立位置への戻りをデテントトルクを利用しているため応答性の向上を期待できない。応答性を早くしようとすると、上記従来のものでは、ロータの加速もしくは減速のための大部分のトルクを、コイルに通電することによって得ているため、消費電力が大きくなるという問題がある。
更に、ステータに永久磁石を用いているため高コストになる等の欠点があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、応答性の向上を図ることができ、かつ消費電力を低減できる内燃機関の吸気制御装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の請求項1に記載の内燃機関の吸気制御装置を提供する。
請求項1に記載の内燃機関の吸気制御装置は、内燃機関の各気筒の吸気通路に設けられた吸気制御弁と、この吸気制御弁を開閉駆動するロータリソレノイドアクチュエータとを備えており、このロータリソレノイドアクチュエータのロータとステータとが、両者の間に形成されるエアギャップがロータの回転する方向に変化するように設置され、かつロータを回転させたい方向のエアギャップのみに磁束が発生するように電磁コイルがステータ内に配置されていると共に、吸気制御弁の弁体の支軸とロータリソレノイドアクチュエータのロータとが直結されたシャフト構造をしていて、このシャフト構造の一端側に非通電時に吸気制御弁を全閉位置と全開位置の中央にある中立位置(半開状態)に保持すると共に、吸気制御弁が全閉位置及び全開位置にある場合に電磁コイルへの通電を止めた時、その全閉位置及び全開位置の一方から中立位置を経て全閉位置及び全開位置の他方付近まで揺動する単一のスプリングが設けられており、吸気制御弁が、高速適合カムによって開閉される排気弁が閉じられた時点で、全閉位置から全開位置へ移動して全開位置で保持され、吸気弁が閉じられる前に全開位置から全閉位置へと戻されて全閉位置で保持されるように駆動制御されるものである。この場合、スプリングに保存される運動エネルギを利用して、吸気制御弁の開閉動作を行え、摩擦等により消失した分だけ、ロータリソレノイドアクチュエータからエネルギを補給してやればよいので、少ない消費電力で吸気制御弁を作動させることができる。また、排気弁の開状態と吸気弁の開状態とがオーバーラップするタイミングを外して、排気弁が閉じられた時点で吸気制御弁を開けるので、排気ガスが吸気側へと流れる排ガス逆流現象を防止でき、燃焼を不安定にすることはない。更には、吸気弁が閉じられる前に吸気制御弁を閉じるので、吸気の戻りである新気吹き返しを防止できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態の内燃機関の吸気制御装置について説明する。図1は、本実施形態の吸気制御装置が搭載される内燃機関のシステム構成を示している。図1に示すように、本発明の内燃機関のシステム構成は、4気筒内燃機関1と、この内燃機関1の吸気系2及び排気系3と、吸気系2の各気筒に接続する各吸気マニホールド2a〜2dに設けられ吸気制御装置4と、これらを制御する電子制御装置(ECU)5などから構成されている。
【0015】
内燃機関1は4個の気筒1a〜1dを備えている。各気筒1a〜1dには、高速適合カムによって開閉される吸気弁(図示せず)と排気弁(図示せず)とが設けられ、各気筒の吸気弁より上流の吸気マニホールド2a〜2dには、それぞれ吸気制御装置4が設けられている。吸気制御装置4が設けられた吸気マニホールド2a〜2dより上流の吸気系2には、エアクリーナ6が設けられているだけであり、本発明の内燃機関のシステム構成では、運転手のアクセル操作によって開閉されるスロットルバルブは設けられていない。各気筒1a〜1dの排気弁より下流の排気系3には、触媒部7が設けられている。
【0016】
また内燃機関1には、その運転状態を検出するセンサとして、各気筒1a〜1dのピストンが上死点(TDC)に位置するときにパルス信号を出すクランク角センサ81、気筒毎にトルクあるいは燃焼を検出する気筒判別センサ82、吸気制御装置4の吸気制御弁の開度を検出する開度センサ83、内燃機関1全体の吸入空気量を検出するエアフロメータ84及びアクセルペダルの踏込量を検出するアクセル開度センサ85などが設けられており、これらの各センサからの検出信信号は、ECU5に出力される。
【0017】
ECU5は、CPU,ROM,RAMを中心に算術論理回路として構成されており、コモンパスを介して入出力部と接続され、外部との入出力を行う。各センサからの検出信号は、ECU5に入力され、ここから後述する吸気制御装置4のロータリソレノイドアクチュエータ(R/Sアクチュエータ)に制御信号を出力する。
【0018】
次に本発明の特徴である吸気制御装置4を、図2乃至図5により説明する。図2は、吸気制御装置4の縦断面図である。吸気制御装置4は、主に吸気制御弁40及びR/Sアクチュエータ50とから構成されている。吸気制御弁40は、吸気マニホールド2a〜2d内部に設けたバタフライ型の円形弁板(弁体)41を備えている。円形弁板41は支軸42により回動自在に支持されており、吸気マニホールド2a〜2dの壁面に対し極めて狭いクリアランスを持ちながら非接触で支軸42を中心に揺動する。なお、支軸42の一端はベアリング43により吸気マニホールド2a〜2dに支持され、支軸42の他端は、R/Sアクチュエータ50に連結されている。
【0019】
また、支軸42の一端には、R/Sアクチュエータ50の非通電時に円形弁板(弁体)41を中立位置(半開状態)に保持するスプリング44が設けられている。更に、吸気制御弁40には、円形弁板41の開度を検出する開度センサ83が設けられている。
【0020】
R/Sアクチュエータ50は、強磁性体のロータ51と同じく強磁性体のステータ52とより構成されており、ロータ51は吸気制御弁40の支軸42に連結している。図3は、R/Sアクチュエータ50の横断面図である。ロータ51は、断面円形の中実棒状部51aと、中実棒状部51aの軸心(ロータの軸心)に対して対称的に配置され、中実棒状部51aの周面に設けられた2つの扇形部51bとよりなり、これらが一体的に形成されている。ステータ52には、90°毎に4つの方向にそれぞれ電磁コイル53a〜53dが配置されており、またステータ52には、電磁コイル53a,53cが設けられている部分から、ロータ51に向って先細状に突出する一対の突出部52aが形成されており、かつ同様に電磁コイル53b,53dが設けられている部分から延出して、先端が扇形部51bの円弧と同じ形状の凹状の円弧面をもつ一対の延出部52bが形成されている。
【0021】
ロータ51の扇形部51bの一側面が、ステータ52の一方の突出部52aの側面に当接することで、即ち図3に示される位置で、吸気制御弁40を全閉状態にしており、ロータ51がその扇形部51bがステータ52の延出部52bの円弧面に接するようにして回動して、ステータ52の他方の突出部52aの側面に、ロータ51の扇形部51bの他側面が当接することで、吸気制御弁40を全開状態にする。したがって、吸気制御弁40が全閉状態から全開状態への移動期間、即ち、ロータ51が全閉位置から全開位置への移動期間において、ロータ51の扇形部51bの側面とステータ52の突出部52aと間にエアギャップgが形成され、ロータ51の回動によってこのエアギャップgが変化する。即ち、ロータ51は両突出部52a間で搖動することになり、略90°の範囲で搖動する。
【0022】
図4は、R/Sアクチュエータ50の磁気回路モデルを示したものであり、(a)は、ロータ51を全閉位置に保持する磁気回路モデルであり、(b)はロータ51を全開位置に保持する磁気回路モデルである。図4(a)に示すように4個の電磁コイル53a〜53dの通電方向を設定すると、図4(a)の左上部の四半分には、反時計回りの閉回路の電流が流れ、図で示すように反時計回りの磁束が形成される。同様に図4(a)の右下部の四半分には、時計回りの閉回路の電流が流れ、時計回りの磁束が形成される。左下部及び右上部のそれぞれの四半分には、電流が流れず、磁束が形成されない。なお、磁気抵抗部がエアギャップgに相当する。したがって、図4(a)に示すような磁気回路にした場合には、ロータ51を中立位置から移動させ全閉位置に保持する吸引力が働く。
【0023】
次に、一対の電磁コイル53b,53dの通電方向を切り替える。別の一対の電磁コイル53a,53cの通電方向はそのままにしておく。これにより、図4(b)で示されるような磁気回路が形成される。即ち、図4(b)の左下部の四半分には、反時計回りの閉回路の電流が流れ、反時計回りの磁束が形成され、同様に右上部の四半分には、時計回りの閉回路の電流が流れ、時計回りの磁束が形成される。右上部及び左下部のそれぞれの四半分には、電流が流れず、磁束が形成されない。したがって、図3(b)に示すような磁気回路にした場合には、ロータ51を中立位置から移動させ全開位置に保持する吸引力が働く。
このようにして、一対の電磁コイル53b,53dの通電方向を切り替えることによって吸引方向を変えてやり、ロータ51を中立位置から全閉又は全開位置、即ち吸気制御弁40を中立状態(半開状態)から全閉又は全開状態へと切り換え保持できる。
【0024】
図5は、本発明の吸気制御装置4の模式図である。即ち吸気制御装置4は、吸気制御弁40、R/Sアクチュエータ50、スプリング44及び開度センサ83とから構成されている。R/Sアクチュエータ50は、吸気制御弁40を全開又は全閉に保つ保持力形成手段としての役割をしており、スプリング44は、吸気制御弁40を中立位置(半開状態)に戻すと共に応答性向上の役割をしている。開度センサ83は、特にアイドリング時において吸気制御弁の開度を微少な開度に保持しなければならない場合等において、開度センサ83からの信号によって電磁コイルに流れる通電量を変えることによって吸気制御弁の開度を制御できるようにしている。
【0025】
図6は、スプリング44のトルク特性を示すグラフであり、直線の傾きはスプリング44のバネ定数を示している。したがって、このスプリング44のバネ定数を適宜選択することによってこの傾きを大きくすることができ、それによって、吸気制御弁40の応答性の向上を図ることができる。
【0026】
図7は、R/Sアクチュエータ50のトルク特性を示すグラフである。即ち、図4(a)に示されたように電磁コイル53a〜53dに通電させる場合のトルク特性が、下の曲線で示され、図4(b)に示されたように電磁コイル53a〜53dに通電させる場合のトルク特性が上の曲線で示される。この場合、横軸は弁体41の角度又はエアギャップgである。一般にコイル通電によって得られる吸引力は、吸引力=α(1/x2)(α:定数、x:エアギャップ長)で表わされる。したがって、この吸引力は、x2 に反比例し、エアギャップgのエアギャップ長xが小さくなるにつれて、急激に吸引力が増大する。それ故、電磁コイルへの小さな保持電流によって、ロータ51を全閉又は全開位置に保持することができる。また、電磁コイルへの通電流を制御して、スプリング力と吸引力とをバランスさせることで、吸気制御弁の開度を調整することができる。
【0027】
以上のように構成された本発明の吸気制御装置の作動について説明する。R/Sアクチュエータ50の電磁コイル53a〜53dに図4(a)に示すような通電方向で通電すると、スプリング44によって中立位置にあるロータ51は、スプリング44のトルクに打ち勝って回転し、全閉位置に保持される。したがって、ロータ51に直結している吸気制御弁40の円形弁板41も中立(半開)状態から全閉状態に保持される。R/Sアクチュエータ50の電磁コイル53a〜53dへの通電を止めると、ロータ51及び円形弁板41はスプリング44のトルクにより回転し、ロータ51は全開付近(円形弁板41は全開付近)に到達する。この場合、摩擦及び粘性抵抗等により、ロータ51及び円形弁板41は全開には到達しない。この状態で、R/Sアクチュエータ50の電磁コイル53a〜53dに図4(b)に示すような通電方向(電磁コイル53b,53dの通電方向が切り替えられている)で再び通電すると、ロータ51は吸引されて全開位置に保持される。したがって、吸気制御弁40の円形弁板41も全開状態に保持される。
【0028】
このようにして、上記の動作(電磁コイルの通電方向の切り替え)を所望のタイミングで繰り返すことにより、内燃機関の各気筒毎の吸入空気量を制御する。
この吸気制御弁40の動作が、図8に示されている。この場合、R/Sアクチュエータ50に通電する時間を変化させることで、吸気制御弁40の全開状態及び全閉状態の保持期間を制御することができる。
【0029】
図9は、本発明の吸気制御装置4での吸気制御弁40の動作のタイミングを説明する図である。図において、0°〜720°はクランク角を示しており、高速適合カムによって作動する排気弁と吸気弁の作動状況が、それぞれ破線の山と細い実線の山とで示される。本発明の吸気制御装置4においては、内燃機関の吸気行程開始時に吸気弁と排気弁とが同時に開弁されるバルブオーバーラップを避けたタイミングで、吸気制御弁40が開弁動作するようにしている。即ち、排気弁の開弁と同時に吸気制御弁40は、全閉位置から全開位置へと開弁動作し、全開位置で保持される。したがって、気筒内や排気通路の排ガス(既燃ガス)が吸気通路へ逆流することが防止できる。
【0030】
更に吸気制御弁40は、吸気弁が閉じる前に全開位置から全閉位置へと閉弁動作し、全閉位置で保持される。これによって、吸気ポート側が負圧となって空気が吸気通路へと戻る新気吹き返しを防止でき、ポンピングロスの発生を抑制できる。
このように、本発明の吸気制御装置4においては、吸気制御弁40を開弁時期制御の特性と閉弁時期制御の特性とを併せもった制御を行うことができる。
【0031】
本発明においては、吸気制御弁40の全閉から全開へ又は全開から全閉への切換え作業は、大部分はスプリング44に蓄えられた運動エネルギにより行われ、摩擦等により消失した分だけR/Sアクチュエータ50からエネルギを補給してやればよいものであり、かつR/Sアクチュエータ50のトルクが必要となるのは、ロータ51の全閉位置付近及び全開位置付近のみである。本発明においては、R/Sアクチュエータ50がロータ51とステータ52とで形成されるエアギャップgが可変エアギャップ構造となっているために、ロータ51の全閉位置付近及び全開位置付近でのみ大きなトルク(吸引力)を発生するので、R/Sアクチュエータ50に大きな電流を流す必要がない。このように、本発明においては、スプリング及び可変エアギャップ構造とがあいまって、少ない消費電力で吸気制御弁を作動させることができる。
また、スプリング44のバネ定数を適宜選択することにより、吸気制御弁の応答性の向上も図れる。
【0032】
更に本発明の吸気制御装置においては、各気筒毎の吸気制御弁の開閉時期を調整することができ、排ガスの逆流防止や新気吹き返しが防止ができるようにその開閉時期が制御できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の吸気制御装置を適用した内燃機関のシステム構成を説明する図である。
【図2】本発明の実施の形態の吸気制御装置の縦断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の吸気制御装置のロータリソレノイドアクチュエータの横断面図である。
【図4】本発明のロータリソレノイドアクチュエータの磁気回路モデルを示しており、(a)はロータを全閉位置に保持する磁気回路モデルで、(b)はロータを全開位置に保持する磁気回路モデルである。
【図5】本発明の実施の形態の吸気制御装置の模式図である。
【図6】スプリングのトルク特性を表すグラフである。
【図7】本発明のロータリソレノイドアクチュエータのトルク特性を示すグラフである。
【図8】吸気制御弁の開閉動作を説明する図である。
【図9】吸気制御弁の開閉動作のタイミングを説明する図である。
【図10】従来の吸気制御装置を説明する図である。
【符号の説明】
4…吸気制御装置
40…吸気制御弁
41…円形弁板(弁体)
42…支軸
44…スプリング
50…ロータリソレノイドアクチュエータ(R/Sアクチュエータ)
51…ロータ
51a…中実棒状部
51b…扇形部
52…ステータ
53a〜53d…電磁コイル
83…開度センサ
Claims (1)
- 内燃機関に備えられた各気筒の吸気通路に設けられた吸気制御弁と、
非通電時には、前記吸気制御弁を前記吸気通路を半開する中立位置に保持し、通電時には、通電電流に応じて通電方向に対応した方向に前記吸気制御弁を開閉駆動するロータリソレノイドアクチュエータと、
を備えた内燃機関の吸気制御装置において、
前記ロータリソレノイドアクチュエータが、強磁性体よりなるロータと、同じく強磁性体よりなり、電磁コイルが配置されたステータとより構成され、前記ロータと前記ステータとの間に形成されるエアギャップが前記ロータの回転する方向に変化するように前記ロータと前記ステータとが設置され、かつ前記電磁コイルが前記ロータを回転させたい方向のエアギャップのみに磁束が発生するように配置されており、
前記吸気制御弁の弁体の支軸と、前記ロータリソレノイドアクチュエータの前記ロータとが直結されたシャフト構造をしていて、前記シャフト構造の一端側に、前記電磁コイルの非通電時に前記吸気制御弁を全閉位置と全開位置の中央にある中立位置(半開位置)に保持すると共に、前記吸気制御弁が全閉位置及び全開位置にある場合に前記電磁コイルへの通電を止めた時、その全閉位置及び全開位置の一方から前記中立位置を経て前記全閉位置及び全開位置の他方付近まで揺動する単一のスプリングが設けられており、
前記吸気制御弁が、高速適合カムによって開閉される排気弁が閉じられた時点で、全閉位置から全開位置へ移動して該全開位置に保持され、吸気弁が閉じられる前に該全開位置から該全閉位置へと戻され、該全閉位置で保持されることを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。
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