JP4045723B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
印字ヘッドのインク吐出口からインクを吐出して印字を行う画像形成装置に関し、特に、画像データに基づいた印字デューティの変化に応じて、インクの吐出不良を抑制することができる画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数個のインク吐出口が形成された印字ヘッドからインクを吐出して、記録用紙に印字を行うインクジェットプリンタが実用化されている。このインクジェットプリンタでは、画像データに基づく印字デューティ(単位時間当たりのインク吐出回数)で、印字ヘッドを走査しつつインク吐出口からインクを吐出して記録用紙に画像が印字される。また、このようなインクジェットプリンタでは、かかるプリンタを長期間使用せずに放置すると、インク吐出口へインクを供給するための流路であるマニホールド内で気泡が大粒状に成長するため、かかる状態で、高い印字デューティにより印字を行うと、大粒化した気泡がインク吐出口へ印字時に引き込まれ易くなり、インクの吐出不良を起こしてしまう。吐出不良のある状態で印字を行うと、印字抜けを起こすので、かかる場合には、良好な吐出状態に回復させるため、パージ処理が行われる。このパージ処理は、印字ヘッドに吸引キャップを被して密閉した後、ポンプにより負圧を発生させて印字ヘッド内部のインクを吸引する処理である。よって、かかるパージ処理を実行することにより、インクの吐出状態を回復することができる。このパージ処理は、通常、一定の間隔、例えば、5日間隔で実行される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したインクジェットプリンタでは、印字デューティの値に関わらず、一定期間が経過した場合にパージ処理が実行される。例えば、低い印字デューティで印字が行われる場合であっても、一定期間が経過した場合には、パージ処理によりインク吐出口からインクが吸引されてしまうのである。印字デューティが低い場合には、インク吐出口から単位時間当たりに吐出されるインク量が少ないため、マニホールド内の気泡がインク吐出口へ引き込まれることが少なく、吐出不良が生じ難い。よって、かかる場合にパージ処理を行うと、却ってインクの消費を早めてしまうという問題点があった。これは、パージ処理によりインクが吸引されるので、その分、インクの消耗が早まるからである。
【0004】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、画像データに基づく印字デューティの変化に応じてインクの吐出不良を抑制することができる画像形成装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために請求項1記載の画像形成装置は、インク吐出口から印字媒体上にインクを吐出する印字ヘッドと、前記印字ヘッドにおけるインクの吐出状態を回復させる回復手段とを備え、前記印字ヘッドを画像に基づく印字デューティである、第1の印字デューティ又はその第1の印字デューティより低い第2の印字デューティで駆動し、前記インク吐出口からインクを吐出して印字媒体上に画像を印字する印字手段と、前記回復手段の回復動作実行後の経過時間を計時する計時手段と、画像データから第1の印字デューティを算出するとともに、この第1の印字デューティが所定値を越えるか否かを検出する検出手段と、その検出手段により検出された前記第1の印字デューティが所定値以上であり且つ前記計時手段により計時された経過時間が所定時間を越える場合に、前記第2の印字デューティで前記印字手段を駆動させるように印字デューティを変更する制御手段とを備えている。
【0006】
この請求項1記載の画像形成装置によれば、印字媒体上に画像を印字する場合には、印字手段によって、印字ヘッドが画像データに基づく第1の印字デューティで駆動され、この駆動によりインク吐出口からインクが吐出されて印字が行われる。この印字では、印字ヘッドを駆動する第1の印字デューティが検出手段によって検出される。一方、回復手段によって、印字ヘッドのインク吐出口からインクの吐出状態が回復されると、計時手段によって、回復手段による回復動作実行後の経過時間が計時される。
【0007】
この計時手段により計時された経過時間が所定時間を超え、且つ、検出手段により第1の印字デューティが所定値以上であると検出された場合には、制御手段によって、印字手段による印字デューティが第1の印字デューティより低い第2の印字デューティに変更され、その第2の印字デューティにて印字手段による印字が行われ、インク吐出口から吐出されるインクの単位時間当たりの吐出量が低減される。
【0008】
請求項2記載の画像形成装置は、請求項1記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記計時手段により計時された経過時間が所定時間を越え、且つ、前記検出手段により検出された前記第1の印字デューティが所定値未満である場合に、前記印字手段によって、前記第1の印字デューティでの印字を実行するものである。
【0009】
請求項3記載の画像形成装置は、請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記計時手段により計時された経過時間が第1の時間間隔を越え、且つ、前記検出手段により検出された前記第1の印字デューティが所定値以上である場合に、前記第1の印字デューティを前記第2の印字デューティに変更する一方、前記計時手段により計時された経過時間が前記第1の時間間隔より長い第2の時間間隔を越えた場合に、前記回復手段による回復動作を実行した後、前記印字手段によって、前記第1の印字デューティでの印字を実行するものである。
【0010】
請求項4記載の画像形成装置は、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記印字ヘッドは印字媒体に沿って走査されるものであり、前記第1の印字デューティでの印字は、前記印字手段によって、前記印字ヘッドを第1の走査速度で走査し、その走査中に前記インク吐出口から第1の吐出周波数でインクを吐出する印字であり、前記第2の印字デューティでの印字は、前記印字手段によって、前記印字ヘッドを前記第1の走査速度より遅い第2の走査速度で走査し、その走査中に前記インク吐出口から前記第1の吐出周波数より低い第2の吐出周波数でインクを吐出する印字である。
【0011】
請求項5記載の画像形成装置は、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記印字ヘッドは印字媒体に沿って走査されるものであり、前記第1の印字デューティでの印字は、前記印字手段によって、前記印字ヘッドを第1の方向およびその第1の方向とは反対の第2の方向へ連続的に走査し、その走査中に前記インク吐出口からインクを吐出する印字であり、前記第2の印字デューティでの印字は、前記印字手段によって、前記印字ヘッドを第1の方向へ走査しつつ前記インク吐出口からインクを吐出し、その走査終了後、前記インク吐出口からのインクの吐出を所定時間停止した後に前記印字ヘッドを第2の方向へ走査しつつ前記インク吐出口からインクを吐出する印字である。
【0012】
請求項6記載の画像形成装置は、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記印字ヘッドは印字媒体に沿って走査されるものであり、前記第1の印字デューティでの印字は、前記印字手段によって、前記印字ヘッドを第1の方向およびその第1の方向とは反対の第2の方向へ走査し、その走査中に前記インク吐出口からインクを吐出する印字であり、前記第2の印字デューティでの印字は、前記印字手段によって、前記印字ヘッドを前記第1の方向または第2の方向のいずれか一方へ走査する際に前記インク吐出口からインクの吐出を吐出し、前記印字ヘッドを前記第1の方向または第2の方向の他方へ走査する際に前記インク吐出口からのインクの吐出を停止する印字である。
【0013】
請求項7記載の画像形成装置は、インク吐出口から印字媒体上にインクを吐出する印字ヘッドと、その印字ヘッドを画像データに基づく印字デューティで駆動し、前記インク吐出口からインクを吐出して印字媒体上に画像を印字する印字手段と、前記印字ヘッドにおけるインクの吐出状態を回復させる回復手段と、その回復手段の回復動作実行後の経過時間を計時する計時手段を備え、前記計時手段により計時された経過時間が第1の所定時間以上又は、この第1の所定時間より小さい第2の所定時間以上の場合に、前記回復手段による回復動作を実行させる制御手段と、前記印字手段によって印字を実行する前に、画像データから印字デューティを算出するとともに、この印字デューティが所定値を越えるか否かを検出する検出手段とを更に備え、前記制御手段は、前記計時手段により計時された経過時間が前記第1の所定時間以上の場合には、必ず前記回復手段による回復動作を実行させた後に、前記印字手段により、前記印字デューティが算出された画像データの印字を実行し、さらに、前記計時手段により計時された経過時間が前記第1の所定時間未満の場合において、前記第2の所定時間以上で、且つ、前記検出手段から検出された前記印字デューティが所定値以上である場合に、前記印字手段により、前記印字デューティが算出された画像データの印字を実行する印字動作の開始前に、前記回復動作を実行させるとともに、前記計時手段により計時された経過時間が前記第1の所定時間未満の場合において、前記第2の所定時間以上で、且つ、前記検出手段から検出された前記印字デューティが所 定値未満の場合には、前記回復動作を実行せずに、前記印字手段により、前記印字デューティを算出された画像データの印字を実行し、さらに、前記計時手段により計時された経過時間が前記第2の所定時間未満のときには、前記回復動作を実行せずに、前記印字手段により、前記画像データの印字を実行する。
【0014】
この請求項7記載の画像形成装置によれば、印字媒体上に画像を印字する場合には、印字手段によって、印字ヘッドが画像データに基づく印字デューティで駆動され、その駆動によりインク吐出口からインクが吐出されて印字が行われる。この印字では、印字ヘッドを駆動する印字デューティが検出手段によって検出される。一方で、回復手段によって、印字ヘッドのインク吐出口からインクの吐出状態が回復されると、計時手段によって、回復手段による回復動作実行後の経過時間が計時される。
【0015】
ここで、制御手段は、計時手段により計時された経過時間が所定時間を超える場合に、再び回復動作を実行させ、インクの吐出状態を回復させる。一方、計時手段により計時された経過時間が所定時間未満であっても、検出手段により第1の印字デューティが所定値以上であると検出された場合には、制御手段によって、前記印字手段による印字動作の開始前に回復手段による回復動作が実行されて、インクの吐出状態が回復される。
【0016】
請求項8記載の画像形成装置は、請求項7記載の画像形成装置の奏する効果に加え、前記制御手段は、前記印字手段による印字動作の開始前に前記回復手段による回復動作を実行させるものである。
【0017】
請求項9記載の画像形成装置は、請求項1から8のいずれかに記載の画像形成装置において、周囲の温度を計測する温度計測手段を備え、その温度計測手段により計測される温度が所定温度以上の場合には、前記所定温度未満の場合に比べて前記所定値を小さいものにする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の画像形成装置の一実施例であるインクジェットプリンタ1の斜視図であり、図中では、フレーム2を2点鎖線で図示している。尚、図1中の矢印Xはキャリッジ7を順方向へ走査する際の走査方向を示し、矢印Zは吸引キャップ14、ワイパ部材15及び保護キャップ18の進出方向を示している。
【0019】
インクジェットプリンタ(以下、単に「プリンタ」と称す。)1は、印字ヘッド6が搭載されたキャリッジ7を矢印X及び反矢印X方向へ走査(移動)することによりフルカラー印字を行うができるシリアルプリンタである。プリンタ1のフレーム2には、記録用紙Pを搬送するためのプラテンローラ3が回転可能に取着されており、このプラテンローラ3と平行にガイドロッド4及びガイド部材5が固着されている。このガイドロッド4上には、印字ヘッド6を搭載したキャリッジ7が記録用紙Pの搬送方向と直交する方向(走査方向)(図1の矢印X又は反矢印X方向)に移動可能に支持されている。
【0020】
キャリッジ7に搭載される印字ヘッド6は、4つのノズル6aを備えており、これらの各ノズル6aには、それぞれ複数のノズル口6b(図2参照)が設けられている。また、キャリッジ7には、4色分のインクが充填された4つのインクタンク8a〜8dが搭載されており、各インクタンク8a〜8dには、図1の左から順に、ブラック、シアン、マゼンダ、イエローの4色のインクが個別に充填されている。このインクタンク8a〜8dのそれぞれは、4つのノズル6aに個別にインクを供給するものである。即ち、4つのノズル6aは、図1の左から順にブラック、シアン、マゼンダ、イエローの異なる色のインクをノズル口6bから吐出して、記録用紙Pにフルカラーの印字を行うのである。
【0021】
各インクタンク8a〜8dは、それぞれ個別にキャリッジ7に着脱可能に構成されており、インクの不足したインクタンク8a〜8dを個別に交換することができる。また、キャリッジ7には、各インクタンク8a〜8dの交換をそれぞれについて検出するインクタンク交換センサ46(図3参照)が各インクタンク8a〜8dに対応して1つずつ(計4つ)設けられている。よって、インクタンク8a〜8dのそれぞれについて、交換の有無を検出することができるのである。
【0022】
また、キャリッジ7の上端面には上述したガイド部材5が当接され、このガイド部材5の下方にはキャリッジ7に固着されるベルト9が設けられている。ベルト9は、フレーム2の一側(図1右側)に設けられたキャリッジモータ(以下、「CRモータ」と称す)10によって回転駆動される駆動プーリ11と、フレーム2の他側(図1左側)に設けられる従動プーリ12との間に掛け渡されている。なお、CRモータ10には、ステップモータ又はDCモータが使用される。
【0023】
CRモータ10により駆動プーリ11が回転されると、この駆動プーリ11及び従動プーリ12間でベルト9が矢印X又は反矢印X方向へ移動される。ベルト9の移動によって、キャリッジ7は、ガイドロッド4及びガイド部材5に沿ってプラテンローラ3との平行方向、即ち、記録用紙Pに沿って走査方向へ往復移動されるのである。
【0024】
なお、キャリッジ7が矢印X方向へ走査されつつ行われる印字が順方向(第1の方向)への印字(順方向印字)であり、キャリッジ7が反矢印X方向へ走査されつつ行われる印字が逆方向(第2の方向)への印字(逆方向印字)である。
【0025】
フレーム2の他側(図1左側)には、インクの吐出状態を回復させる回復機構13が設けられている。回復機構13は、印字ヘッド6の4つのノズル6aのいずれか1つに当接して密閉する吸引キャップ14を備えている。また、吸引キャップ14の下方には、その吸引キャップ14及びワイパ部材15を印字ヘッド6の方向へ進出させるカム部材16が配設されている。このカム部材16は、クラッチ機構(図示せず)を介して、プラテンローラ3を回転駆動するLFモータ40(図3参照)と接続可能に構成されており、このカム部材16の回転により吸引キャップ14およびワイパ部材15を連動して作動させるのである。
【0026】
カム部材16の回転は、吸引ポンプ17をも駆動する。吸引ポンプ17は、吸引キャップ14の非吸引面(図1下側)に接続された吸引チューブ(図示せず)を介して吸引動作を行うものであり、印字ヘッド6のノズル6aに吸引キャップ14が当接された状態で吸引ポンプ17が作動されると、印字ヘッド6のノズル口6bからインクが吸引され、インクの吐出状態が回復される。なお、本明細書では、かかるインクの吐出状態を回復させる一連の吸引動作(回復動作)をパージ処理と称している。
【0027】
ワイプ部材15は、吸引キャップ14に対するプラテンローラ3側(図1右側)に隣接して配設されている。このワイパ部材15は、へら状に形成されており、キャリッジ7の移動に伴って、印字ヘッド6の各ノズル6aを拭うものである。ワイパ部材15は、各ノズル6aを拭う場合にカム部材16によって矢印Z方向へ進出され、各ノズル6aを拭わない場合にカム部材16によって反矢印Z方向へと後退される。また、吸引キャップ14に対する反プラテンローラ3側(図1左側)には、印字ヘッド6の4つのノズル6aをまとめて個別に覆う保護キャップ18が配設されている。よって、印字ヘッド6による印字が行われない場合に、全ノズル6aを保護キャップ18により覆ってインクの乾燥を防止することができるのである。
【0028】
図2は、印字ヘッド6、キャリッジ7及びインクタンク8a(8b〜8d)の部分断面図である。図2に示すように、印字ヘッド6の下部にはノズル6aが設けられている。このノズル6aは、せん断モード型のアクチュエータ壁21を備えており、このアクチュエータ壁21は、図2の紙面に対する垂直方向に分極された一対の圧電材料製の壁材で構成されている。このアクチュエータ壁21の幅方向(図2左右方向)には、複数のインク室(チャンネル)22が略等間隔で設けられ、隣接する各インク室22の間には、インク室22より幅が狭い空気室23が設けられている。なお、空気室23内には空気が充填されている。
【0029】
各インク室22は、アクチュエータ壁21の厚さ方向(図2上下方向)に貫通形成されており、各インク室22の下端であってノズル6aの下面には略平板状のノズル口プレート24が設けられている。ノズル口プレート24には、その厚さ方向に貫通形成されたノズル口6bが各インク室22に対応して複数設けられており、各インク室22における反ノズル口プレート24側は、マニホールド25と連通されている。マニホールド25は、各インク室22へ供給されるインクを貯留する空間であり、印字ヘッド6の内部に設けられている。このマニホールド25の上部には、インクタンク8a(8b〜8d)の内部と連通するインク流路26が接続されており、このインク流路26を介してインクタンク8a(8b〜8d)内に充填されるインクがマニホールド25へ供給されるのである。
【0030】
各インク室22の両側面を構成するアクチュエータ壁21には金属層で構成された電極(図示せず)がそれぞれ設けられており、この各電極はアース(図示せず)と電気的に接続されている。また、各空気室23の両側面を構成するアクチュエータ壁21にも金属層で構成された電極(図示せず)がそれぞれ設けられ、この各電極は後述するヘッド駆動回路44(図3参照)と電気的に接続されている。
【0031】
ヘッド駆動回路44によって、アクチュエータ壁21の両側の電極間に電圧が印加されると、各アクチュエータ壁21がインク室22の容積を増加する方向に圧電厚みすべり変形し、インク室22内の圧力が負圧となる。その後、電圧の印加を所定時間維持する。この間、インクタンク8a(8b〜8d)からインク流路26を経てマニホールド25へインクが供給され、このインクが各インク室22内へ供給される。各インク室22内に生じた圧力変動が正圧に変化するタイミングに合わせて電極に対する電圧の印加を停止すると、アクチュエータ壁21が変形前の状態に戻り、各インク室22内のインクに正圧が加えられ、各ノズル口6bからインクが吐出されるのである。
【0032】
図3は、プリンタ1の電気的構成を示したブロック図である。図3に示すように、プリンタ1には、MPU31、ROM32、RAM33、EEPROM34、制御回路37、モータ駆動回路38,39、CRモータ10、LFモータ40、操作パネル41、パルスエンコーダ42、イメージメモリ43、ヘッド駆動回路44、印字ヘッド6、セントロニクスインターフェイス(以下、「セントロI/F」と称す)45、インクタンク交換センサ46、計時回路47、とが備えられている。
【0033】
MPU31は、そのMPU31に接続された各部を制御し、後述する印字処理(図4)等を実行するものである。また、このMPU31は、ROM32に記憶されるプログラムに従って、印字タイミング信号TSおよび制御信号RSを生成し、制御回路37へ転送する。ROM32は、このプリンタ1で実行される各種の制御プログラムを記憶する書換不能なメモリであり、図4から図6のフローチャートに示すプログラムは、このROM32内に格納されている。
【0034】
RAM33は、プリンタ1の各動作の実行時に各種のデータを一時的に記憶するための書換可能なメモリである。EEPROM34は書換可能な不揮発性のメモリであり、このEEPROM34に記憶されたデータは、プリンタ1の電源オフ後も保持される。EEPROM34にはパージ間隔メモリ34aが設けられ、このパージ間隔メモリ34aには前回行われたパージ処理(吸引動作)からの経過時間に係わる計数値が記憶される。
【0035】
MPU31には、モータ駆動回路38,39、操作パネル41、パルスエンコーダ42等が接続されている。モータ駆動回路38は、上述したCRモータ10の回転駆動を制御するものであり、モータ駆動回路39は、プラテンローラ3に回転力を供給するLFモータ40の駆動を制御するためのものである。
【0036】
操作パネル41は、ユーザがプリンタ1の設定等を行う場合に各種の操作を人為的に行うためのものであり、パージボタン41aを備えている。パージボタン41aは、パージ処理を実行するためキースイッチである。よって、ユーザは、記録用紙Pへ印字された画像の印字品質を確認した後、その印字品質が粗悪である場合には、パージボタン41aを押下することによって、パージ処理を強制的に実行することができるのである。
【0037】
パルスエンコーダ42は、キャリッジ7の位置を検出するためのものであり、CRモータ10に取着されている。このパルスエンコーダ42により、CRモータ10の回転角変位が電気的パルス信号に変換されて検出され、この電気的パルス信号のパルス数に基づいて、MPU31によりCRモータ10の回転角変位が算出され、キャリッジ7の位置が検出されるのである。キャリッジ7は、パルスエンコーダ42の検出結果に基づいて、その走査方向が順方向又は逆方向に切り換えられる。
【0038】
また、MPU31、ROM32、RAM33、EEPROM34は、アドレスバス35およびデータバス36を介して互いに接続されている。アドレスバス35およびデータバス36には、また、制御回路37も接続されており、この制御回路37には、イメージメモリ43、ヘッド駆動回路44、セントロI/F45、インクタンク交換センサ46、計時回路47等が接続されている。
【0039】
制御回路37は、ゲートアレイで構成されている。この制御回路37は、上述したMPU31により生成された印字タイミング信号TSおよび制御信号RSに従い、イメージメモリ43に記憶されている画像データに基づいて、その画像データを記録用紙Pに形成するための印字データDATA、その印字データDATAと同期する転送クロックTCK、ストローブ信号STB、印字クロックCLKを生成し、ヘッド駆動回路44へ転送するものである。この制御回路37から転送される各信号DATA、TCK、STB、CLKは、ヘッド駆動回路44と制御回路37とを接続するハーネスケーブル44a〜44dを介して、ヘッド駆動回路44へ転送される。
【0040】
制御回路37は、外部機器、例えば、パーソナルコンピュータ(以下「PC」と称す)50からセントロI/F45を介して転送されてくる画像データを、イメージメモリ43に記憶させると共に、PC50からセントロニクスI/F45を介して転送されてくるセントロニクス・データに基づいてセントロニクス・データ受信割込信号WSを生成し、MPU31へ転送するものでもある。
【0041】
尚、セントロI/F45は、セントロニクス規格に準拠したパラレルインターフェイスであり、プリンタ1は、このセントロI/F45に接続されたケーブル45aを介して、PC50とデータの送受信が可能にされている。
【0042】
また、制御回路37は、ビットイメージに変換された1頁分の画像データから、記録用紙Pの1頁当たりの印字デューティ(第1の印字デューティ)を算出する。この印字デューティは、単位時間当たりのインクの吐出回数であり、1頁分の画像データから算出されるインク吐出回数(印字ドット数)dと、1頁当たりに吐出可能なインク吐出回数の最大値(最大ドット数)Dとの比(百分率)である印字密度から、キャリッジ7の走査速度、停止時間、インク吐出周波数およびノズル口6bの数に基づいて計算される。
【0043】
この印字デューティの算出は、まず、制御回路37によって、ビットイメージに変換された1頁分の画像データから、記録用紙Pの1頁当たりに印字ヘッド6の各ノズル口6bから吐出されるインクの印字ドット数dが算出される。一方で、印字ヘッド6の各ノズル口6bから1頁当たりに吐出される最大ドット数Dは予め設定されており、ノズル口6bの総数も予め所定の数に設定されている。また、キャリッジ7の走査速度および停止時間、並びに、インク吐出周波数の値は、後述する通常印字処理(図6)を行う場合、プリンタ1による印字速度が一定であれば、予め所定の値(通常値)に設定されている。このため、通常印字処理では、かかる最大ドット数Dと印字ドット数dとの比(印字密度)を印字デューティとして代用できる。よって、本明細書では、通常印字処理により通常の印字速度で全ノズル口6bを使っていわゆるベタ印字する場合の印字デューティを100%とし、また、印字しようとする画像データの印字密度の値を、その画像データを通常印字処理により通常の印字速度で印字する場合の印字デューティとして代用する。
【0044】
ヘッド駆動回路44は、上記した印字ヘッド6の駆動を制御するためのものであり、制御回路37によって制御される。具体的には、ヘッド駆動回路44は、図2に示す印字ヘッド6の各インク室22における各電極(図示せず)と電気的に接続され、制御回路37の制御に基づいて生成された各種の電圧パルス信号を、各インク室22における各電極に印加するのである。この電圧パルス信号の印加により、印字ヘッド6の各インク室22内の圧力が制御され、各ノズル口6bからインクが記録用紙Pへ吐出されるのである。
【0045】
計時回路47は計時する回路であり、プリンタ1の電源オフ後も計時を継続するために、駆動用の電池47aを備えている。計時回路47による計時動作に基づいて、制御回路37は、EEPROM34のパージ間隔メモリ34aに記憶されている計数値を逐次更新する。
【0046】
次に、図4から図6のフローチャートを参照して、上記のように構成されたプリンタ1の動作について説明する。図4は、印字処理を示したフローチャートである。この印字処理は、PC50から転送されてくる画像データに基づく印字をする場合に実行される処理である。
【0047】
この印字処理では、まず、PC50から受信したデータに印字命令があるか否か(S1)、パージボタン41aまたはインクタンク8a〜8dの交換に基づくパージ命令があるか否か(S7)、をそれぞれ判断し、そのいずれでもなければ(S1:No,S7:No)、プリンタ1の他の処理(S10)へ移行して、この印字処理を終了する。
【0048】
一方、PC50から印字命令を受信すると(S1:Yes)、印字動作(S6,S13)を開始する前に、パージ間隔メモリ34aの値を読み出し、前回のパージ処理からの経過時間を判断する(S2,S3)。その判断の結果、前回のパージ処理からの経過時間が96時間未満であれば(S2:No,S3:No)、マニホールド25やインク流路26内の気泡は十分に小さく、インクの吐出状態は未だ良好であると考えられるので、イメージメモリ43に記憶されている1ページ分の画像データを通常印字処理により印字し(S13)、この印字処理を終了する。尚、パージ間隔メモリ34aには、前回のパージ処理からの経過時間に係わる計数値が、計時回路47の動作に基づいて逐次更新されつつ記憶(格納)されている。
【0049】
前回のパージ処理からの経過時間が120時間未満96時間以上であれば(S2:No,S3:Yes)、イメージメモリ43に記憶される画像データのうち、1頁分の画像データから印字デューティが制御回路37により算出される(S4)。この算出される印字デューティは上記の通り印字密度で代用され、この印字密度の値が60%以上か否かを判断する(S5)。
【0050】
印字デューティが60%以上であれば(S5:Yes)、各ノズル口6bから吐出される単位時間当たりのインク量が大量となり、マニホールド25やインク流路26内の気泡が各インク室22へ引き込まれる恐れがあるので、図5に示す制限印字処理により1頁分の画像データの印字を行い(S6)、この印字処理を終了する。
【0051】
ここで、前回のパージ処理からの経過時間が120時間未満96時間以上であれば(S2:No,S3:Yes)、マニホールド25やインク流路26内の気泡が少し成長しているが、印字デューティが60%未満であれば(S5:No)、各ノズル口6bから吐出される単位時間当たりのインク量が少量であり、各インク室22へ引き込まれ難いと考えられるので、かかる場合には、制限印字処理(S6)及びパージ処理(S11)を行うことなく、通常印字処理による印字を行い(S13)、この印字処理を終了する。
【0052】
また、S2の処理において、前回のパージ処理からの経過時間が120時間以上であれば(S2:Yes)、マニホールド25及びインク流路26内で気泡が大粒状に成長して、かかる気泡がインク室22やノズル口6bへ引き込まれやすい状態にあるので、処理をS11へ移行し、パージ処理を実行する(S11)。よって、パージ処理によりマニホールド25やインク流路26内にある気泡を除去して、かかる気泡によるインクの吐出不良を防止(抑制)することができるのである。パージ処理の実行後は(S11)、パージ間隔メモリ34aの値を0クリアして(S12)、新しい計時動作を再び開始し、通常印字処理により1頁分の画像データの印字を行い(S13)、この印字処理を終了する。
【0053】
一方、S7の処理において、インクタンク交換センサ46によりインクタンク8a〜8dの交換が検出されるか、或いは、パージボタン41aが操作(押下)されれば(S7:Yes)、パージ処理を実行する(S8)。インクタンク8a〜8dのいずれかが交換された場合には、その交換時にインク流路26内に多量の空気が侵入して、その空気がマニホールド25やインク流路26内で気泡化して残留する。また、ノズル口6bの目詰まり等が原因の印字不良が発見されることがある。よって、かかる場合には、パージ処理(S8)を実行することにより、印字ヘッド6内、即ち、マニホールド25及びインク流路26から気泡を除去し、或いは、ノズル口6bの目詰まりを除去して、インクの吐出状態を回復するのである。
【0054】
このS8のパージ処理の実行後は(S8)、S12の処理と同様に、パージ間隔メモリ34aの値を0クリアして(S9)、新しい計時動作を再び開始し、この印字処理を終了する。
【0055】
図5は、制限印字処理のフローチャートである。図5の制限印字処理は、前回のパージ処理からの経過時間が96時間以上120時間未満であって、印字前の1頁分の画像データから算出される印字密度が60%以上である場合に実行されるものであり、パージ処理を行うことなく、インクの吐出不良を抑制して記録用紙Pに画像を印字する処理である。
【0056】
まず、上記した印字処理(図4)におけるS5の処理において、印字デューティが60%以上であれば(S5:Yes)、CRモータ10の駆動速度を通常値の1/2に設定することにより(S21)、キャリッジ7の走査速度を通常値の1/2に設定するとともに、印字ヘッド6の各ノズル口6bから吐出されるインクの吐出周波数を通常値の1/2に設定する(S22)。
【0057】
駆動速度およびインク吐出周波数の設定後(S21,S22)、キャリッジ7を図1の矢印X方向(順方向)へ走査しつつ、印字ヘッド6の各ノズル口6bからインクを吐出して印字が行われる(S23)。順方向印字処理の実行後(S23)、キャリッジ7を図1の反矢印X方向(逆方向)へ走査しつつ、印字ヘッド6の各ノズル口6bからインクを吐出して印字が行われる(S24)。
【0058】
これらの順方向印字処理(S23)及び逆方向印字処理(S24)では、S21及びS22で設定された駆動速度およびインク吐出周波数、即ち、駆動速度およびインク吐出周波数の通常値の1/2で印字が行われる。よって、CRモータ10の駆動速度および印字ヘッド6によるインクの吐出周波数を通常値に設定して印字を行う場合(S13)の印字デューティ(第1の印字デューティ)に比べて、1/2の印字デューティ(第2の印字デューティ)で印字を行うことができる。
【0059】
逆方向印字処理後は(S24)、イメージメモリ43に記憶される全画像データのうち、1頁分の画像データの印字が終了したか否かが調べられ(S25)、終了していなければ(S25:No)、処理をS23へ移行して、1頁分の画像データの印字が終了するまで(S25:Yes)、S23からS25までの処理を継続する。その後、1頁分の画像データの印字が終了すれば(S25:Yes)、イメージメモリ43から印字済みの1頁分の画像データを消去して(S26)、この制限印字処理を終了する。
【0060】
図6は、通常印字処理のフローチャートである。通常印字処理では、まず、CRモータ10、LFモータ40の駆動速度を通常値に設定することにより(S31)、キャリッジ7の走査速度を及びプラテンローラ3による記録用紙Pの搬送速度を通常値に設定すると共に、印字ヘッド6の各ノズル口6bから吐出されるインクの吐出周波数を通常値に設定する(S32)。
【0061】
駆動速度およびインク吐出周波数の設定後(S31,S32)、S34の順方向印字処理へ移行する。順方向印字処理(S33)では、キャリッジ7を図1の矢印X方向(順方向)へ走査しつつ、印字ヘッド6の各ノズル口6bからインクを吐出して印字が行われる。順方向印字処理の実行後(S33)、処理をS34の逆方向印字処理へ移行する。逆方向印字処理では、キャリッジ7を図1の反矢印X方向(逆方向)へ走査しつつ、印字ヘッド6の各ノズル口6bからインクを吐出して印字が行われる。
【0062】
これらの順方向印字処理(S33)及び逆方向印字処理(S34)では、S31及びS32で設定された駆動速度およびインク吐出周波数で印字が行われる。即ち、CRモータ10及びLFモータ40が通常の駆動速度で駆動され、且つ、印字ヘッド6から通常のインク吐出周波数でインクが吐出されて印字が行われるのである。
【0063】
逆方向印字処理後は(S34)、イメージメモリ43に記憶される全画像データのうち、1頁分の画像データの印字が終了したか否かが調べられ(S35)、終了していなければ(S35:No)、処理をS33へ移行して、1頁分の画像データの印字が終了するまで(S35:Yes)、S33からS35までの処理を継続する。その後、1頁分の画像データの印字が終了すれば(S35:Yes)、イメージメモリ43から印字済みの1頁分の画像データを消去して(S36)、この通常印字処理を終了する。
【0064】
以上説明したように、本実施例のプリンタ1によれば、前回のパージ処理からの経過時間が120時間未満96時間以上であり(S2:No,S3:Yes)、且つ、1頁分の画像データから算出された印字デューティ(第1の印字デューティ)の値が60%以上である場合には(S5:Yes)、図5の制限印字処理(S6)のS21及びS22の処理によって、キャリッジ7の走査速度、記録用紙Pの搬送速度およびインクの吐出周波数を通常値の1/2に設定(変更)して印字を行うことができる。かかる場合には、キャリッジ7の走査速度およびインクの吐出周波数を通常値に設定して印字を行う場合、即ち、通常印字処理(図6)に比べて、低い印字デューティ(第2の印字デューティ)で印字を行うことができるので、その分、各ノズル口6bから吐出される単位時間当たりのインク量を低減することができる。従って、各ノズル口6bから単位時間当たりに大量のインクが吐出されることが抑制されるので、マニホールド25やインク流路26内の気泡が各インク室22へ引き込まれることを抑制して、インクの吐出不良を抑制することができる。
【0065】
パージ処理を実行すると、インクが吸引されるので、インクの消耗を早めてしまう。しかし、上記のように低い印字デューティ(第2の印字デューティ)で印字を行うことにより、パージ処理を行わずにインクの吐出不良を抑制することができる。結果として、パージ処理の実行間隔(前回のパージ処理実行後から次回のパージ処理実行までの期間)を延長すると共に、プリンタ1において実行されるパージ処理の実行回数が低減されるので、インクを不用意に消耗させることなく、有効に使用することができるのである。
【0066】
一方で、前記したように、キャリッジ7の走査速度およびインクの吐出周波数を通常値の1/2に設定して印字を行う場合には、かかる走査速度および吐出周波数を通常値に設定して印字を行う場合に比べて、画像データを印字するために要する時間が長期化してしまう。しかし、前回の吸引動作からの経過時間が120時間未満96時間以上であり(S2:No,S3:Yes)、且つ、1頁分の画像データから算出された印字デューティ(第1の印字デューティ)の値が60%未満である場合には(S5:No)、図6の通常印字処理(S13)のS31及びS32の処理によって、キャリッジ7の走査速度およびインクの吐出周波数を通常値に設定して印字が行われるので、画像データの印字に要する時間が長期化することを防止することができる。
【0067】
しかも、1頁分の画像データから算出された印字デューティ(第1の印字デューティ)の値が60%未満である場合には(S5:No)、印字ヘッド6の各ノズル口6bから吐出される単位時間当たりのインク量自体が減少するので、キャリッジ7の走査速度およびインクの吐出周波数を通常値に設定して印字を行っても、マニホールド25やインク流路26内の気泡が各インク室22へ引き込まれ難くなるのである。
【0068】
また、前回の吸引動作からの経過時間が120時間以上である場合には(S2:Yes)、マニホールド25及びインク流路26内で気泡が大粒状に成長して、かかる気泡がインク室22やノズル口6bへ引き込まれやすい状態にあるので、かかる場合には、パージ処理(S11)を実行して、マニホールド25やインク流路26内にある気泡を除去し、インクの吐出不良を防止(抑制)することができる。しかも、かかるパージ処理(S11)の実行後は、図6の通常印字処理(S13)のS31及びS32の処理によって、キャリッジ7の走査速度、記録用紙Pの搬送速度およびインクの吐出周波数を通常値に設定して印字が行われるので、画像データの印字に要する時間が長期化することを防止できる。
【0069】
インクタンク8a〜8dの交換時には、インク流路26内に多量の空気が侵入して、その空気がマニホールド25やインク流路26内で気泡化して残留する恐れがある。しかし、インクタンク8a〜8dの交換がなされた場合、或いは、ユーザが印字品質が悪いと判断してパージボタン41aを押下した場合には(S7:Yes)、強制的にパージ処理(S8)が実行されるので、インクの吐出状態を回復させて、印字品質の低下を防止することができるのである。
【0070】
図7は、第2実施例における制限印字処理のフローチャートである。第2実施例の制限印字処理では、CRモータ10の駆動を、順方向印字処理と逆方向印字処理との間で所定時間停止することにより、通常印字処理(図6)に比べて印字デューティを低下させている。なお、前記した第1実施例と同一の部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0071】
まず、順方向印字処理(S41)では、キャリッジ7を図1の矢印X方向(順方向)へ走査しつつ、印字ヘッド6の各ノズル口6bからインクを吐出して印字を行う。順方向印字処理の実行後(S41)、処理をS42へ移行し、CRモータ10の駆動を停止して(S42)、かかる停止状態を1秒間継続する(S43:No)。この1秒間が経過すれば(S43:Yes)、処理をS44の逆方向印字処理へ移行する。逆方向印字処理では、キャリッジ7を図1の反矢印X方向(逆方向)へ走査しつつ、印字ヘッド6の各ノズル口6bからインクを吐出して印字を行う。
【0072】
なお、順方向印字処理(S41)及び逆方向印字処理(S44)では、CRモータ10及びLFモータ40を通常の駆動速度で駆動し、且つ、印字ヘッド6から通常のインク吐出周波数でインクを吐出して印字を行う。
【0073】
逆方向印字処理の実行後は(S44)、処理をS45へ移行し、CRモータ10の駆動を再び停止して(S45)、かかる停止状態を1秒間継続する(S46:No)。この1秒間が経過すれば(S46:Yes)、イメージメモリ43に記憶される全画像データのうち、1頁分の画像データの印字が終了したか否かを調べ(S47)、終了していなければ(S47:No)、処理をS41へ移行して、1頁分の画像データの印字が終了するまで(S47:Yes)、S41からS47までの処理を継続する。その後、1頁分の画像データの印字が終了すれば(S47:Yes)、イメージメモリ43から印字済みの1頁分の画像データを消去して(S48)、この制限印字処理を終了する。
【0074】
このように第2実施例の制限印字処理では、順方向印字処理(S41)と逆方向印字処理(S44)との間において、CRモータ10の駆動を所定時間停止することにより(S42,S43:No、及び、S45,S46:No)、順方向印字処理と逆方向印字処理とを連続的に実行する場合(図6の通常印字処理)に比べて、1頁分の画像データの印字に際して、印字ヘッド6の休止時間を増やし、全体としての印字デューティを低下させることができる。このように通常印字処理(図6)に比べて低い印字デューティ(第2の印字デューティ)で印字することにより、印字ヘッド6の各ノズル口6bから吐出される単位時間当たりのインク量が通常印字処理に比べて低減されるので、マニホールド25やインク流路26内の気泡が各インク室22へ引き込まれることを抑制して、インクの吐出不良を抑制することができるのである。
【0075】
図8は、第3実施例における制限印字処理のフローチャートである。第3実施例の制限印字処理では、キャリッジ7が順方向へ走査される順方向印字処理を実行した後に、キャリッジ7を逆方向へ走査する際に印字ヘッド6の駆動を停止することにより、通常印字処理(図6)に比べて印字デューティを低下させている。なお、前記した第1実施例と同一の部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0076】
まず、順方向印字処理(S51)では、キャリッジ7を図1の矢印X方向(順方向)へ走査しつつ、印字ヘッド6の各ノズル口6bからインクを吐出して印字を行う。順方向印字処理の実行後(S51)、処理をS52へ移行し、印字ヘッド6の駆動を停止しつつキャリッジ7を逆方向(図1の反矢印X方向)へ走査する(S52)。
【0077】
なお、順方向印字処理(S51)では、CRモータ10を通常の駆動速度で駆動し、且つ、印字ヘッド6から通常のインク吐出周波数でインクを吐出して印字を行う。また、S52の処理では、CRモータ10を通常の駆動速度で駆動することにより、キャリッジ7を逆方向へ走査する。
【0078】
キャリッジ7の逆方向への走査(S52)が終了すると、イメージメモリ43に記憶される全画像データのうち、1頁分の画像データの印字が終了したか否かが調べられ(S53)、終了していなければ(S53:No)、処理をS51へ移行して、1頁分の画像データの印字が終了するまで(S53:Yes)、S51からS53までの処理を継続する。その後、1頁分の画像データの印字が終了すれば(S53:Yes)、イメージメモリ43から印字済みの1頁分の画像データを消去して(S54)、この制限印字処理を終了する。
【0079】
このように第3実施例の制限印字処理では、キャリッジ7が順方向へ走査される順方向印字処理(S51)を実行した後、キャリッジ7を逆方向へ走査する際に印字ヘッド6からのインクの吐出を停止することにより(S52)、通常印字処理(図6)に比べて、1頁分の画像データの印字に際して、印字ヘッド6の休止時間を増やし、全体としての印字デューティを低下させることができる。このように通常印字処理(図6)に比べて低い印字デューティ(第2の印字デューティ)で印字することにより、印字ヘッド6の各ノズル口6bから吐出される単位時間当たりのインク量が通常印字処理に比べて低減されるので、マニホールド25やインク流路26内の気泡が各インク室22へ引き込まれることを抑制して、インクの吐出不良を抑制することができるのである。
【0080】
図9は、第4実施例における印字処理のフローチャートである。第4実施例の印字処理では、前回のパージ処理からの経過時間が96時間以上120時間未満、且つ、印字密度が60%以上である場合に、印字処理に先行してパージ処理を実行することによりインクの吐出不良を抑制している。なお、前記した第1実施例と同一の部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。また、S13の通常印字処理は、図6の通常印字処理と同様の処理であるので、その説明を省略する。
【0081】
この第4実施例では、S5の処理において、印字デューティが60%以上であれば(S5:Yes)、各ノズル口6bから吐出される単位時間当たりのインク量が大量であり、マニホールド25やインク流路26内の気泡が各インク室22へ引き込まれる恐れがあるので、パージ処理を実行する(S11)。このパージ処理によりマニホールド25やインク流路26内にある気泡は除去されるので、かかる気泡によるインクの吐出不良を防止(抑制)することができるのである。
【0082】
パージ処理の実行後は(S11)、第1実施例と同様に、パージ間隔メモリ34aの値を0クリアして(S12)、新しい計時動作を再び開始し、通常印字処理により1頁分の画像データの印字を行い(S13)、この印字処理を終了するのである。
【0083】
なお、上記各実施例において、請求項1記載の検出手段としてはS4の処理が、制御手段としては、図5のS21及びS22の処理、図7のS41からS46の処理、又は、図8のS51及びS52の処理、のいずれかが該当する。また、請求項2記載の制御手段としては図4のS5のNoの分岐が、請求項3記載の制御手段としては図4のS2のYesの分岐およびS5のYesの分岐が、それぞれ該当する。また、請求項4記載の制御手段としては図5のS21及びS22の処理が、請求項5記載の制御手段としては図7のS41からS46の処理が、請求項6記載の制御手段としては図8のS51及びS52の処理が、それぞれ該当する。請求項7記載の検出手段としては図9のS4の処理が、制御手段としては図9のS2のYesの分岐および図9のS5のYesの分岐が、それぞれ該当する。
【0084】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0085】
例えば、本実施例では、印字ヘッド6を記録用紙Pの搬送方向との直交方向へ走査可能に構成されたインクジェットプリンタ1を用いて説明したが、印字ヘッドが固定されたラインプリンタに本発明を適用しても良い。このようなラインプリンタによれば、低い印字デューティで印字を行う場合、その印字ヘッドからインクを吐出させる吐出周波数を通常値より低い値に設定すれば良いのである。
【0086】
また、本実施例では、本発明の回復手段として、印字ヘッド6の各ノズル口6bから吸引キャップ14を介してインクを吸引する回復機構13を用いて説明したが、インクの吐出状態を回復させる方式は、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、インクタンク側からインク流路やマニホールド内に正圧を印加し、その正圧によりインク流路やマニホールド内の気泡を各ノズル口から吐出させて除去する方式、いわゆる押しパージ方式を用いても良い。
【0087】
第1実施例では、図5のS21及びS22の処理において、CRモータ10の駆動速度、印字ヘッド6によるインクの吐出周波数を通常値の1/2に設定したが、かかる設定値は、通常値に比べて小さな値であれば良く、例えば、2/3又は3/4であっても良い。しかも、かかる設定値を操作パネル41の各キーの操作などによって、自由に設定できるようにしても良い。
【0088】
また、第2実施例では、図7のS43及びS46の処理において、CRモータ10の駆動を1秒間継続して停止したが、かかる停止時間は、必ずしもこれに限られるものではなく、順方向印字処理または逆方向印字処理においてCRモータ10が駆動される時間に応じて停止時間を変更しても良い。例えば、本実施例では、順方向印字処理または逆方向印字処理によりA4サイズの記録用紙Pに1ライン分の印字を行う場合にそれぞれ、CRモータ10が1秒間継続して駆動されるので、かかる駆動時間に応じて停止時間を1秒に設定したが、例えば、1ライン分の印字を行う際にCRモータ10の駆動時間が2秒間となる場合には、それに応じて停止時間を2秒としても良い。
【0089】
本実施例では、図4のS4及び図9のS4の処理において、印字デューティを制御回路37により算出したが、かかる算出をMPU31により行っても良い。また、本実施例では、図4及び図9のS4の処理において、イメージメモリ43に記憶される1頁分の画像データから印字デューティを算出したが、かかる印字デューティを、数ライン分の画像データ毎に算出したり、1ライン分の画像データ毎に算出しても良い。
【0090】
また、図4のS5及び図9のS5の処理は、前回の吸引動作からの経過時間が96時間以上である場合(S3:Yes)に実行されたが、これらのS5の処理の実行を決定する要素に、他の要素を加味するようにしても良い。例えば、プリンタ1の周囲温度を検出する温度センサを設け、その温度センサで検出される周囲温度に基づいて、判断基準となる印字デューティの大きさを変更したり、或いは、その印字デューティの判断をするか否かを選択するのである。即ち、プリンタ1の周囲温度が高い場合には、印字ヘッド6のマニホールド25やインク流路26内における気泡の成長速度が増し、短期間で大粒の気泡に成長してしまう。よって、周囲温度が所定値以上、例えば、35℃以上となる場合に、印字デューティを50%と変更したり、印字デューティを判断することなく制限印字処理やパージ処理を実行して、インクの吐出不良を回避するのである。なお、上記の場合、プリンタ1の周囲温度を検出する温度センサが、請求項10記載の温度検出手段に該当する。
【0091】
【発明の効果】
請求項1記載の画像形成装置によれば、回復手段による回復動作実行後の経過時間が所定時間を超え、且つ、第1の印字デューティが所定値以上である場合には、制御手段によって、第1の印字デューティより低い第2の印字デューティに変更されるので、回復動作実行後から所定時間が経過してインク中の気泡が或る程度成長した状態となった頃に、インク吐出口から単位時間当たりに吐出されるインク量を低減することができる。この単位時間当たりに吐出されるインク量の低減により、インク吐出口から単位時間当たりに大量のインクが吐出されることが抑制されるので、或る程度成長した気泡が印字ヘッド内部からインク吐出口へ引き込まれることを抑制して、インクの吐出不良を抑制することができるという効果がある。
【0092】
しかも、このようにして、インクの吐出不良が抑制されることにより、回復手段による回復動作の実行間隔が延長されるので、その分、回復動作の実行回数を低減して、インクの不用意な消費を抑制することができるという効果がある。
【0093】
請求項2記載の画像形成装置によれば、請求項1記載の画像形成装置の奏する効果に加え、制御手段によって、印字手段による印字デューティを第1の印字デューティより低い第2デューティに変更した場合には、印字媒体に画像を印字するために要する時間が長期化する恐れがある。
【0094】
しかし、計時手段により計時された経過時間、即ち、回復手段の回復動作実行後の経過時間が所定時間を越え、且つ、検出手段により検出された第1の印字デューティが所定値未満である場合には、制御手段によって、第1の印字デューティのまま印字手段による印字が実行されるので、印字に要する時間の長期化を防止することができるという効果がある。
【0095】
しかも、第1の印字デューティが所定値未満である場合には、印字ヘッドのインク吐出口から吐出されるインクの単位時間当たりの吐出量自体が減少するので、印字手段により印字ヘッドを第1の印字デューティのままで駆動しても、印字ヘッド内の気泡がインク吐出口へ引き込まれ難いという効果がある。
【0096】
請求項3記載の画像形成装置によれば、請求項1または2に記載の画像形成装置の奏する効果に加え、回復手段による回復動作実行後の経過時間が第1の時間間隔を越え、且つ、第1の印字デューティが所定値以上である場合、印字手段による印字デューティは、制御手段によって、第1の印字デューティより低い第2の印字デューティに変更される。一方、回復手段による回復動作実行後の経過時間が第1の時間間隔より更に長い第2の時間間隔を越える場合には、印字ヘッド内のインク中に含まれる気泡が更に大きくなるため、印字デューティを低い値に変更して印字を行ったとしても、インク吐出口へ気泡が引き込まれてインクの吐出不良を生じる恐れがある。
【0097】
しかし、回復手段による回復動作実行後の経過時間が第2の時間間隔を越えた場合には、制御手段によって、回復手段による回復動作が実行され、インク吐出口や印字ヘッド内から気泡が除去されるので、インク吐出口へ気泡が引き込まれることにより生じるインクの吐出不良を防止できるという効果がある。しかも、制御手段は、回復手段による回復動作の実行後、印字手段によって第1の印字デューティでの印字を実行するので、印字に要する時間が長期化することがないという効果がある。
【0098】
請求項4記載の画像形成装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置の奏する効果に加え、第2の印字デューティでの印字を行う場合には、印字手段によって、印字ヘッドが第1の走査速度より遅い第2の走査速度で走査され、その走査中にインク吐出口から第1の吐出周波数より低い第2の吐出周波数でインクが吐出される。このように印字ヘッドの走査速度を遅くして、インクの吐出周波数を低くすることにより、インク吐出口から単位時間当たりに吐出されるインク量を低減して、インク吐出口への気泡の引き込みを抑制することができるという効果がある。
【0099】
請求項5記載の画像形成装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置の奏する効果に加え、第2の印字デューティでの印字を行う場合には、印字手段によって、印字ヘッドを第1の方向へ走査しつつインク吐出口からインクが吐出され、その走査終了後、インク吐出口からのインクの吐出を所定時間停止した後に、印字ヘッドを第2の方向へ走査しつつインク吐出口からインクが吐出される。このように印字ヘッドの走査中でインクの吐出を所定時間停止することにより、インク吐出口から単位時間当たりに吐出されるインク量を低減して、インク吐出口への気泡の引き込みを抑制することができるという効果がある。
【0100】
請求項6記載の画像形成装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置の奏する効果に加え、第2の印字デューティでの印字を行う場合には、印字手段によって、印字ヘッドを第1の方向または第2の方向のいずれか一方へ走査する際にインク吐出口からインクの吐出が吐出され、印字ヘッドを第1の方向または第2の方向の他方へ走査する際にインク吐出口からのインクの吐出が停止される。このように印字ヘッドの走査中にインクの吐出を停止することにより、インク吐出口から単位時間当たりに吐出されるインク量を低減して、インク吐出口への気泡の引き込みが抑制することができるという効果がある。
【0101】
請求項7記載の画像形成装置によれば、印字ヘッドのインク吐出口のインクの吐出状態を回復させる回復動作の実行後、第1の所定時間が経過していなくても、第1の所定時間より小さい第2の所定時間を経過しており、かつ検出手段により印字デューティが所定値以上であると検出された場合には、再び回復動作が実行され、インクの吐出状態が回復される。印字デューティが所定値以上の場合には、インク吐出口から単位時間当たりに大量のインクが吐出されるので、回復手段による回復動作実行後から第1の所定時間が経過していなくても、第2の所定時間を経過していれば、印字ヘッド内の気泡がインク吐出口へ引き込まれてインク吐出状態が悪化する恐れがある。しかし、制御手段によれば、回復動作実行後の経過時間が第1の所定時間未満であっても第2の所定時間以上であって、印字デューティが所定値以上の場合には、印字手段による印字動作の開始前に回復手段による回復動作を実行して、インク吐出状態を回復させることができるとともに、印字不良の発生回数を減少させることができるという効果がある。更に、回復動作実行後の経過時間が第1の所定時間未満であって第2の所定時間以上であっても、印字デューティが所定値未満の場合には、回復動作を行わずに、通常の印字動作を実行するので、無駄に回復動作を行うことを防止して、インクの消費量を抑えることができるという効果がある。
【0102】
請求項8記載の画像形成装置によれば、請求項7記載の画像形成装置の奏する効果に加え、制御手段は、印字手段による印字動作の開始前に回復動作を実行させるので、印字前にインクの吐出状態を回復させて良好な印字結果を得ることができるとともに、印字の行われない場合には無駄な回復動作の実行を回避することができるという効果がある。回復動作によりインクの吐出状態は回復されるが、かかる回復動作を必要以上に実行すると、インクの消耗を不用意に早めてしまうからである。
【0103】
請求項9記載の画像形成装置によれば、請求項1から8のいずれかに記載の画像形成装置の奏する効果に加え、温度計測手段により計測される周囲の温度が所定温度以上の場合には、所定温度未満の場合に比べて定値を小さいものにするので、印字デューティの変更や回復動作の実行を周囲の温度に応じて制御することができる。例えば、周囲の温度が高い場合には、印字ヘッド内における気泡の成長速度が増し、短期間で大粒の気泡に成長してしまう。よって、周囲温度が所定値以上となる場合に制御手段を作動させれば、印字手段による印字デューティを低い印字デューティに変更することによりインク吐出口への気泡の引き込みを抑制することができ、又は、回復手段による回復動作を実行してインクの吐出状態を回復させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例であるインクジェットプリンタの斜視図である。
【図2】 印字ヘッド、キャリッジ及びインクタンクの部分断面図である。
【図3】 インクジェットプリンタの電気的構成を示したブロック図である。
【図4】 印字処理を示したフローチャートである。
【図5】 制限印字処理のフローチャートである。
【図6】 通常印字処理のフローチャートである。
【図7】 第2実施例における制限印字処理のフローチャートである。
【図8】 第3実施例における制限印字処理のフローチャートである。
【図9】 第4実施例における印字処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ(画像形成装置)
6b ノズル口(インク吐出口)
6 印字ヘッド(印字ヘッド、印字手段の一部)
7 キャリッジ(印字手段の一部)
10 CRモータ(印字手段の一部)
13 回復機構(回復手段)
38,39 モータ駆動回路(印字手段の一部)
40 LFモータ(印字手段の一部)
41a パージボタン(入力手段)
44 ヘッド駆動回路(印字手段の一部)
46 インクタンク交換センサ(入力手段)
47 計時回路(計時手段)
P 記録用紙P(印字媒体)

Claims (9)

  1. インク吐出口から印字媒体上にインクを吐出する印字ヘッドと、前記印字ヘッドにおけるインクの吐出状態を回復させる回復手段とを備えた画像形成装置において、
    前記印字ヘッドを画像に基づく印字デューティである、第1の印字デューティ又はその第1の印字デューティより低い第2の印字デューティで駆動し、前記インク吐出口からインクを吐出して印字媒体上に画像を印字する印字手段と、
    前記回復手段の回復動作実行後の経過時間を計時する計時手段と、
    画像データから第1の印字デューティを算出するとともに、この第1の印字デューティが所定値を越えるか否かを検出する検出手段と、
    その検出手段により検出された前記第1の印字デューティが所定値以上であり且つ前記計時手段により計時された経過時間が所定時間を越える場合に、前記第2の印字デューティで前記印字手段を駆動させるように印字デューティを変更する制御手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記制御手段は、前記計時手段により計時された経過時間が所定時間を越え、且つ、前記検出手段により検出された前記第1の印字デューティが所定値未満である場合に、前記印字手段によって、前記第1の印字デューティでの印字を実行することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記制御手段は、前記計時手段により計時された経過時間が第1の時間間隔を越え、且つ、前記検出手段により検出された前記第1の印字デューティが所定値以上である場合に、前記第1の印字デューティを前記第2の印字デューティに変更する一方、前記計時手段により計時された経過時間が前記第1の時間間隔より長い第2の時間間隔を越えた場合に、前記回復手段による回復動作を実行した後、前記印字手段によって、前記第1の印字デューティでの印字を実行することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 前記印字ヘッドは印字媒体に沿って走査されるものであり、前記第1の印字デューティでの印字は、前記印字手段によって、前記印字ヘッドを第1の走査速度で走査し、その走査中に前記インク吐出口から第1の吐出周波数でインクを吐出する印字であり、前記第2の印字デューティでの印字は、前記印字手段によって、前記印字ヘッドを前記第1の走査速度より遅い第2の走査速度で走査し、その走査中に前記インク吐出口から前記第1の吐出周波数より低い第2の吐出周波数でインクを吐出する印字であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
  5. 前記印字ヘッドは印字媒体に沿って走査されるものであり、前記第1の印字デューティでの印字は、前記印字手段によって、前記印字ヘッドを第1の方向およびその第1の方向とは反対の第2の方向へ連続的に走査し、その走査中に前記インク吐出口からインクを吐出する印字であり、前記第2の印字デューティでの印字は、前記印字手段によって、前記印字ヘッドを第1の方向へ走査しつつ前記インク吐出口からインクを吐出し、その走査終了後、前記インク吐出口からのインクの吐出を所定時間停止した後に前記印字ヘッドを第2の方向へ走査しつつ前記インク吐出口からインクを吐出する印字であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
  6. 前記印字ヘッドは印字媒体に沿って走査されるものであり、前記第1の印字デューティでの印字は、前記印字手段によって、前記印字ヘッドを第1の方向およびその第1の方向とは反対の第2の方向へ走査し、その走査中に前記インク吐出口からインクを吐出する印字であり、前記第2の印字デューティでの印字は、前記印字手段によって、前記印字ヘッドを前記第1の方向または第2の方向のいずれか一方へ走査する際に前記インク吐出口からインクの吐出を吐出し、前記印字ヘッドを前記第1の方向または第2の方向の他方へ走査する際に前記インク吐出口からのインクの吐出を停止する印字であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
  7. インク吐出口から印字媒体上にインクを吐出する印字ヘッドと、その印字ヘッドを画像データに基づく印字デューティで駆動し、前記インク吐出口からインクを吐出して印字媒体上に画像を印字する印字手段と、前記印字ヘッドにおけるインクの吐出状態を回復させる回復手段と、その回復手段の回復動作実行後の経過時間を計時する計時手段を備えた画像形成装置において、
    前記計時手段により計時された経過時間が第1の所定時間以上又は、この第1の所定時間より小さい第2の所定時間以上の場合に、前記回復手段による回復動作を実行させる制御手段と、
    前記印字手段によって印字を実行する前に、画像データから印字デューティを算出するとともに、この印字デューティが所定値を越えるか否かを検出する検出手段とを更に備え、
    前記制御手段は、
    前記計時手段により計時された経過時間が前記第1の所定時間以上の場合には、必ず前記回復手段による回復動作を実行させた後に、前記印字手段により、前記印字デューティが算出された画像データの印字を実行し、
    さらに、前記計時手段により計時された経過時間が前記第1の所定時間未満の場合において、前記第2の所定時間以上で、且つ、前記検出手段から検出された前記印字デューティが所定値以上である場合に、前記印字手段により、前記印字デューティが算出された画像データの印字を実行する印字動作の開始前に、前記回復動作を実行させるとともに、
    前記計時手段により計時された経過時間が前記第1の所定時間未満の場合において、前記第2の所定時間以上で、且つ、前記検出手段から検出された前記印字デューティが所定値未満の場合には、前記回復動作を実行せずに、前記印字手段により、前記印字デューティを算出された画像データの印字を実行し、
    さらに、前記計時手段により計時された経過時間が前記第2の所定時間未満のときには、前記回復動作を実行せずに、前記印字手段により、前記画像データの印字を実行することを特徴とする画像形成装置。
  8. 前記制御手段は、前記印字手段による印字動作の開始前に前記回復手段による回復動作を実行させることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
  9. 周囲の温度を計測する温度計測手段を備え、その温度計測手段により計測される温度が所定温度以上の場合には、前記所定温度未満の場合に比べて前記所定値を小さいものにすることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の画像形成装置。
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