JP4045620B2 - 回路接続用フィルム状接着剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路基板同士またはICチップや電子部品と回路基板の接続に用いられる回路接続用接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術分野】
回路基板同士またはICチップや電子部品と回路基板の接続とを電気的に接続する際には、接着剤または導電粒子を分散させた異方導電接着剤が用いられている。すなわち、これらの接着剤を相対峙する電極間に配置して、加熱、加圧によって電極同士を接続後、加圧方向に導電性を持たせることによって、電気的接続を行うことができる。一般的に、異方導電接着剤を用いた接続工程は、被接続体の一方の電極に異方導電接着剤を加熱加圧する工程(仮接続工程)と、次に仮接続した異方導電接着剤の支持体であるセパレータを剥離した後、異方導電接着剤上に仮接続した被接続体の電極に相当する電極を有する被接続体を加熱加圧する工程(本接続工程)に分けられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
セパレータの剥離は、仮接着した後の接着剤と被着体界面の剥離力が、接着剤とセパレータ界面の剥離力よりも強いことによって、達成できるものである。しかしながら、ポリイミド等の接着性の悪い表面状態の被着体に対しては、通常の仮接続工程の加熱加圧条件である80℃〜100℃の加熱と、0.5〜2.0MPaの加圧では被着体表面に対する充分な剥離力が得られないため、セパレータ剥離作業の際、セパレータに接着剤が追従して剥離してしまう。表面状態によらず接着剤と被着体界面の剥離力を充分に強くするためには、仮接続工程の加熱温度を高くするもしくは、加圧力を高くするという手段が考えられるが、熱硬化型の異方導電接着剤は成分中に加熱もしくは加圧によって硬化反応を開始すべく、潜在性硬化剤を含むものであり、接着剤と被着体界面の剥離力を充分に強くするための仮接続工程における過度の加熱加圧は、硬化反応を開始させるものである。本接続工程前の硬化の開始は、本接続時の接着剤の溶融粘度を低下させる原因となり、これによって、電極間の接着剤の排除が不十分なことを原因とする導通不良の問題、もしくは、熱衝撃試験、PCT試験、はんだリフロー温度耐熱試験等の信頼性試験において接続抵抗が増大するという問題を生ずる。
本発明は、仮接続後のセパレータ剥離作業が容易な回路接続用フィルム状接着剤を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、相対峙する回路電極を加熱、加圧によって、加圧方向の電極間を電気的に接続する加熱接着性回路接続用フィルム状接着剤であって、エポキシ系樹脂と、潜在性硬化剤と、分子量20万以上のアクリルゴムとを含有し、前記フィルム状接着剤の一方の面はセパレ−タで支持されており、加熱硬化前のフィルム状接着剤の剥離力は両面で異なり、支持体であるセパレータ側の面の剥離力(A)と他方の面の剥離力(B)とがB>Aであり、前記エポキシ系樹脂及び前記潜在性硬化剤の混合物への前記分子量20万以上のアクリルゴムの配合量は、前記他方の面を構成する前記接着剤中よりも前記セパレータ側の面を構成する前記接着剤中の方が少ないことを特徴とする回路接続用フィルム状接着剤である。アクリルゴムは、分子中にグリシジルエーテル基を有するものが好ましい。接着剤樹脂組成物の少なくとも一方の面を構成する樹脂の硬化後の40℃での弾性率が、100〜2000MPaであるものが好ましい。前記接着剤には、接着剤樹脂組成物100容量部に0.1〜20容量部の導電粒子を分散することができる。また、本発明の接着剤は、少なくとも一方の面を構成する樹脂の組成物100重量部に無機質充填材を10〜200重量部含有することもできる。無機充填材の平均粒径は3ミクロン以下が好ましく、接着剤に無機充填材が含有される場合、該無機充填材の平均粒径に比べて平均粒径の大きい導電粒子が0.2〜20体積%含有されていても良い。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる接着剤は、接着時の高信頼性を得られる接着剤として、エポキシ系樹脂とイミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミンの塩、ジシアンジアミド等の潜在性硬化剤の混合物が用いられ、加熱硬化前のフィルム状接着剤の剥離力が両面で事なることを特徴とするものである。例えば、エポキシ系樹脂とイミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミンの塩、ジシアンジアミド等の潜在性硬化剤の混合物に、分子量2万以上のフェノキシ樹脂及び/又は分子量20万以上のアクリルゴム及び/又は平均粒径3ミクロン以下の無機充填材を、接着剤樹脂組成物100重量部に対して10〜200重量部配合したフィルム状接着剤が挙げられる。
【0006】
加熱硬化前のフィルム状接着剤の剥離力が両面で異なり、支持体であるセパレータ側の面の剥離力(A)と他方の面の剥離力(B)が(B>A)であるためには、例えば、エポキシ系樹脂とイミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミンの塩、ジシアンジアミド等の潜在性硬化剤の混合物への分子量2万以上のフェノキシ樹脂の配合量が、支持体であるセパレータ側の面を構成する樹脂中の配合量(イ)と他方の面を構成する樹脂中の配合量(ロ)で(イ>ロ)であるか、エポキシ系樹脂とイミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミンの塩、ジシアンジアミド等の潜在性硬化剤の混合物への分子量20万以上のアクリルゴムの配合量が、支持体であるセパレータ側の面を構成する樹脂中の配合量(ハ)と他方の面を構成する樹脂中の配合量(ニ)で(ニ>ハ)であるか、エポキシ系樹脂とイミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミンの塩、ジシアンジアミド等の潜在性硬化剤の混合物への平均粒径3ミクロン以下の無機充填材の接着剤樹脂組成物100重量部に対する10〜200重量部の配合量が、支持体であるセパレータ側の面を構成する樹脂中の配合量(ホ)と他方の面を構成する樹脂中の配合量(ヘ)で(ホ>ヘ)である接着剤が挙げられる。
【0007】
加熱硬化前の剥離力は、以下の手段によって測定する。すなわち、幅5mm、長さ5mmに切断した接着剤を表面状態が均一のガラエポ基板とPET製セパレータに挟んだ状態で加熱温度80℃、加圧1MPa、加圧時間3秒で加熱、加圧を行う。この後、先端にクリップを装着したプッシュプルゲージのクリップでPET製セパレータを挟み、垂直方向に引き剥がす。この時のプッシュプルゲージの指針を読み取ることにより、セパレータと接着剤界面の剥離力を測定することができる。接着剤を支持体であるセパレータに保持させるためには、前記剥離力の測定法において1gf/5mm以上の剥離力があることが好ましい。さらに好ましくは剥離力は2gf/5mm以上であり、さらに好ましくは剥離力は3gf/5mm以上である。また、セパレータ側の面の剥離力(A)と他方の面の剥離力(B)が(A≧B)であると、セパレータ剥離作業で接着剤がセパレータごと被着体から剥がれてしまい、また、接着剤と被着体界面の剥離力を充分に強くするためには、仮接続工程において80℃〜100℃以上の加熱と0.5〜2.0MPa以上の加圧が必要となり、硬化反応が開始することによって、本接続時の接着剤の溶融粘度が低下し、電極間の接着剤の排除が不十分なことによって信頼性が低下する。
本発明の接着剤は、例えば、チップと有機基板を接続する場合、チップと基板の間の熱膨張係数差に基づく応力を緩和する目的で、少なくとも一方の面を構成する樹脂の接着後の40℃での弾性率は、100〜2000MPaが好ましい。接着剤の接着後の段階に相当する接着フィルム硬化物の弾性率は、例えば、レオロジ(株)製レオスペクトラDVE−4(引っ張りモード、周波数10Hz、5℃/minで昇温)を用いて測定することができる。なお、接着フィルムの硬化は、接着工程時の加熱温度及び時間と同じ条件で行い、硬化方法としては、接着フィルムをオイルバスに浸漬して行うことができる。
【0008】
また本発明において用いられる接着剤は、少なくとも一方の面を構成する接着剤がエポキシ系樹脂と、分子中にグリシジルエーテル基を有するアクリルゴム及び潜在性硬化剤を含有しているものである。
本発明で用いるアクリルゴムとしては、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルまたはアクリルニトリルのうち、少なくとも一つをモノマー成分とした重合体または共重合体が挙げられ、中でもグリシジルエーテル基を有するグリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートを含む共重合体系アクリルゴムが好適に用いられる。
これらアクリルゴムの分子量は、接着剤の凝集力を高める点から20万以上が好ましい。アクリルゴムの接着剤中の配合量は、15重量%以下では接着後の40℃での弾性率が2000MPaを越えてしまい、また40重量%以上になると低弾性率化は図れるが接続時の溶融粘度が高くなり、接続電極間、または接続電極と導電粒子界面の溶融接着剤の排除性が低下するため、接続電極間または接続電極と導電粒子間の電気的導通を確保できなくなる。このため、アクリルゴムの配合量としては15〜40wt%が好ましい。
【0009】
接着剤に配合されたアクリルゴムは、ゴム成分に起因する誘電正接のピーク温度が40〜60℃付近にあるため、接着剤の低弾性率化を図ることができる。また、接着剤にはフィルム形成性をより容易にするために、フェノキシ樹脂等の熱可塑性樹脂を配合することもできる。特に、フェノキシ樹脂は、エポキシ系樹脂をベース樹脂とした場合、エポキシ樹脂と構造が類似しているため、エポキシ樹脂との相溶性、接着性に優れる等の特徴を有するので好ましい。フィルム形成は、これら少なくともエポキシ樹脂、アクリルゴム、潜在性硬化剤からなる接着組成物を有機溶剤に溶解あるいは分散により、液状化して、剥離性基材上に塗布し、硬化剤の活性温度以下で溶剤を除去することにより行われる。この時用いる溶剤は、芳香族炭化水素系と含酸素系の混合溶剤が材料の溶解性を向上させるため好ましい。
【0010】
本発明に用いられる無機充填材としては、特に限定するものではなく、例えば、溶融シリカ、結晶質シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナ、炭酸カルシウム等の粉体が挙げられる。無機充填材の配合量は、接着剤樹脂組成物100重量部に対して10〜200重量部であり、熱膨張係数を低下させるためには配合量が大きいほど効果的であるが、多量に配合すると接着性や接続部での接着剤の排除性低下に基づく導通不良が発生するため、10〜90重量部が好ましい。また、その平均粒径は、接続部での導通不良を防止する目的で3ミクロン以下にするのが好ましい。また、接続時の樹脂の流動性の低下及びチップのパッシベーション膜のダメージを防ぐ目的で、球状フィラを用いることが望ましい。また、加熱硬化前のフィルム状接着剤の剥離力が両面で異なり、支持体であるセパレータ側の面の剥離力(A)と他方の面の剥離力(B)が(B>A)であるためには、支持体であるセパレータ側の面を構成する樹脂中へのフィラの配合量(ホ)と他方の面を構成する樹脂中へのフィラの配合量(ヘ)が(ホ>ヘ)である事が望ましい。
【0011】
本発明の接着剤には、チップのバンプや基板電極の高さばらつきを吸収するために、異方導電性を積極的に付与する目的で導電粒子を分散することもできる。
本発明において導電粒子は、例えばAu、Ni、Ag、Cuやはんだ等の金属の粒子またはこれらの金属表面に金やパラジウムなどの薄膜をめっきや蒸着によって形成した金属粒子であり、また、ポリスチレン等の高分子の球状の核材にNi、Cu、Au、はんだ等の導電層を設けた導電粒子を用いることができる。粒径は、基板の電極の最小の間隔よりも小さいことが必要で、電極の高さばらつきがある場合、高さばらつきよりも大きいことが好ましく、かつ無機充填材の平均粒径より大きいことが好ましく、1〜10μmが好ましい。また、接着剤に分散される導電粒子量は、接着剤樹脂組成物100容量部に対し0.1〜30容量部であり、好ましくは0.2〜15容量部である。
本発明の接着剤は、加熱硬化前のフィルム状接着剤の剥離力が両面で異なり、支持体であるセパレータ側の面の剥離力(A)と他方の面の剥離力(B)が(B>A)であるため、仮接続後のセパレータ剥離作業が容易である。さらに、従来の仮接続工程での加熱温度、加圧力を低減することができることから、本接続前の接着剤の硬化反応を抑制でき、結果として、接続信頼性が大幅に向上する。
【0012】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
実施例1
フェノキシ樹脂175gを酢酸エチル583gに溶解し、30%溶液を得た。次いで、マイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する液状エポキシ(エポキシ当量185)325gをこの溶液に加え、攪拌し、さらにポリスチレン系核体(直径:5μm)の表面に、Au層を形成した導電粒子を5容量%分散してフィルム塗工用溶液を得た。この溶液をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み40μm)にロールコータで塗布し、100℃、10分乾燥し厚み20μmの接着フィルム1を作製した。この接着フィルム1のセパレータ剥離力は5gf/5mmであった。
次に、フェノキシ樹脂50gと、ブチルアクリレート(40部)、エチルアクリレート(30部)、アクリロニトリル(30部)及びグリシジルメタクリレート(3部)を共重合したアクリルゴム(分子量:85万)100gを酢酸エチル350gに溶解し、30%溶液を得た。次いで、マイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する液状エポキシ(エポキシ当量185)350gをこの溶液に加え、攪拌し、さらにポリスチレン系核体(直径:5μm)の表面に、Au層を形成した導電粒子を5容量%分散してフィルム塗工用溶液を得た。この溶液をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み40μm)にロールコータで塗布し、100℃、10分乾燥し厚み20μmの接着フィルム2を作製した。この接着フィルム2のセパレータ剥離力は、15gf/5mmであった。なお、接着フィルム2の導電粒子を除いた樹脂組成物のみの動的粘弾性測定器で測定した40℃の弾性率は、1000MPaであった。
次に、接着フィルム1をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み40μm)側とし、接着フィルム2とラミネートし、厚み40μmの接着フィルム3を作製した。
次に、作製した接着フィルム3を用いて、金バンプ(面積:80×80μm、スペース30μm、高さ:15μm、バンプ数288)付きチップ(10×10mm、厚み:0.5mm)とNi/AuめっきCu回路プリント基板(電極高さ:20μm、厚み:0.8mm)の接続を以下に示すように行った。接着フィルム3(12×12mm)をNi/AuめっきCu回路プリント基板に60℃、0.5MPaで仮接続工程を行った。仮接続工程後、セパレータを剥離した。セパレータ剥離作業において、セパレータの剥離は容易であり、接着剤の剥がれは生じなかった。チップのバンプとNi/AuめっきCu回路プリント基板の位置合わせを行った後、170℃、30g/バンプ、20秒の条件でチップ上方から加熱、加圧を行い、本接続を行った。
本接続後の接続抵抗は、1バンプあたり最高で5mΩ、平均で1.5mΩ、絶縁抵抗は108Ω以上であり、これらの値は−55〜125℃の熱衝撃試験1000サイクル処理、PCT試験(121℃、2気圧)200時間、260℃のはんだバス浸漬10秒後においても変化がなく、良好な接続信頼性を示した。
【0013】
実施例2
フェノキシ樹脂50gと、ブチルアクリレート(40部)、エチルアクリレート(30部)、アクリロニトリル(30部)及びグリシジルメタクリレート(3部)を共重合したアクリルゴム(分子量:85万)100gを酢酸エチル350gに溶解し、30%溶液を得た。次いで、マイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する液状エポキシ(エポキシ当量185)350gをこの溶液に加え、攪拌し、溶融シリカ(平均粒子径:0.5ミクロン)を樹脂組成物100重量部に対して20重量部、さらにポリスチレン系核体(直径:5μm)の表面にAu層を形成した導電粒子を5容量%分散してフィルム塗工用溶液を得た。この溶液をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み40μm)にロールコータで塗布し、100℃、10分乾燥し厚み20μmの接着フィルム4を作製した。この接着フィルム4のセパレータ剥離力は10gf/5mmであった。なお、接着フィルム4溶融シリカ及び導電粒子を除いた樹脂組成物のみの動的粘弾性測定器で測定した40℃の弾性率は、1000MPaであった。
次に、フェノキシ樹脂50gと、ブチルアクリレート(40部)、エチルアクリレート(30部)、アクリロニトリル(30部)及びグリシジルメタクリレート(3部)を共重合したアクリルゴム(分子量:85万)100gを酢酸エチル350gに溶解し、30%溶液を得た。次いで、マイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する液状エポキシ(エポキシ当量185)350gをこの溶液に加え、攪拌し、さらにポリスチレン系核体(直径:5μm)の表面にAu層を形成した導電粒子を5容量%分散してフィルム塗工用溶液を得た。この溶液をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み40μm)にロールコータで塗布し、100℃、10分乾燥し厚み20μmの接着フィルム5を作製した。この接着フィルム5のセパレータ剥離力は、15gf/5mmであった。なお、接着フィルム5の導電粒子を除いた樹脂組成物のみの動的粘弾性測定器で測定した40℃の弾性率は、1000MPaであった。
次に、接着フィルム4をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み40μm)側とし、接着フィルム5とラミネートし、厚み40μmの接着フィルム6を作製した。
次に、作製した接着フィルム6を用いて、金バンプ(面積:80×80μm、スペース30μm、高さ:15μm、バンプ数288)付きチップ(10×10mm、厚み:0.5mm)とNi/AuめっきCu回路プリント基板(電極高さ:20μm、厚み:0.8mm)の接続を以下に示すように行った。接着フィルム6(12×12mm)をNi/AuめっきCu回路プリント基板に60℃、1MPaで仮接続工程を行った。仮接続工程後、セパレータを剥離した。セパレータ剥離作業において、セパレータの剥離は容易であり、接着剤の剥がれは生じなかった。チップのバンプとNi/AuめっきCu回路プリント基板の位置合わせを行った後、170℃、30g/バンプ、20秒の条件でチップ上方から加熱、加圧を行い、本接続工程を行った。
本接続後の接続抵抗は、1バンプあたり最高で5mΩ、平均で1.5mΩ、絶縁抵抗は108Ω以上であり、これらの値は−55〜125℃の熱衝撃試験1000サイクル処理、PCT試験(121℃、2気圧)200時間、260℃のはんだバス浸漬10秒後においても変化がなく、良好な接続信頼性を示した。
【0014】
【発明の効果】
以上記述したように、本発明の接着剤は、加熱硬化前のフィルム状接着剤の剥離力が両面で異なり、支持体であるセパレータ側の面の剥離力(A)と他方の面の剥離力(B)が(B>A)であるため、仮接続後のセパレータ剥離作業が容易である。さらに、従来の仮接続工程での加熱温度、加圧力を低減することができることから、本接続前の接着剤の硬化反応を抑制でき、結果として、接続信頼性が大幅に向上させることができる。
Claims (7)
- 相対峙する回路電極を加熱、加圧によって、加圧方向の電極間を電気的に接続する加熱接着性回路接続用フィルム状接着剤であって、エポキシ系樹脂と、潜在性硬化剤と、分子量20万以上のアクリルゴムとを含有し、前記フィルム状接着剤の一方の面はセパレ−タで支持されており、加熱硬化前のフィルム状接着剤の剥離力は両面で異なり、支持体であるセパレータ側の面の剥離力(A)と他方の面の剥離力(B)とがB>Aであり、
前記エポキシ系樹脂及び前記潜在性硬化剤の混合物への前記分子量20万以上のアクリルゴムの配合量は、前記他方の面を構成する前記接着剤中よりも前記セパレータ側の面を構成する前記接着剤中の方が少ないことを特徴とする回路接続用フィルム状接着剤。 - アクリルゴムが分子中にグリシジルエーテル基を有するものである請求項1記載の回路接続用フィルム状接着剤。
- 接着剤の少なくとも一方の面を構成する樹脂組成物100重量部に、無機充填材が10〜200重量部含有される請求項1又は2記載の回路接続用フィルム状接着剤。
- 無機充填材の平均粒径が3ミクロン以下である請求項3記載の回路接続用フィルム状接着剤。
- 接着剤の少なくとも一方の面を構成する樹脂の接着後の40℃における弾性率が、100〜2000MPaである請求項1〜4各項記載の回路接続用フィルム状接着剤。
- 接着剤樹脂組成物100容量部に0.1〜20容量部の導電粒子が分散されている請求項1〜5各項記載の回路接続用フィルム状接着剤。
- 接着剤に無機充填材が含有される場合、該無機充填材の平均粒径に比べて平均粒径の大きい導電粒子が分散されている請求項6記載の回路接続用フィルム状接着剤。
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