JP4044686B2 - 乾燥炉 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は箱状ワークに塗布した塗料を乾燥する乾燥炉に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車ボディの塗料を乾燥する乾燥炉として、例えば特開平2−90970号公報「塗装品乾燥炉」が提案されている。この技術は、同公報の第1図に示されるとおり、乾燥炉1(符号は公報のものを使用した。)の左右の側壁2,2側に輻射パネル4,4を取付け、輻射パネル4,4から輻射熱を発生して塗装品(特に、自動車ボディのサイドやルーフ)20を乾燥し、さらに乾燥炉1の左右の隔壁5,5の下部に吹出し口7,7を設け、吹出し口7,7から熱風を吹き出して台車19上の塗装品(特に自動車ボディのフロア)20を乾燥するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記乾燥炉1では、自動車ボディ20の下面は、サイドの吹出し口7,7から吹出した熱風で乾燥するしかない。熱風は炉の中央では流速がごく小さくなるため、加熱能力は炉の中央で最小となる。
一方、自動車ボディ20ではサイドパネルやルーフにくらべてフロアは厚い鋼板を採用する為に、温度上昇は緩慢となる。
従って、自動車ボディ20の下面中央の塗料が最も乾きにくく、この部分を乾燥させるには、十分に長い乾燥炉を設ける必要がある。炉が長ければ、設備費及び熱エネルギが嵩むことになる。
【0004】
そこで、本発明の目的は、乾燥炉を短くして設備費及び燃料費を削減することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の請求項1は、箱型ワークに塗布した塗料を乾燥するための乾燥炉において、上面と、側壁と、アンダーフロアと、前端の開口と、後端の開口とを有するハウジングと、前記ハウジングの前記側壁に配置された輻射熱パネルと、
前記箱型ワークを載せて前記ハウジング内を運ぶコンベアと、前記コンベアで運ぶ箱型ワークより低く配置された状態で前記ハウジングに設けられた対流ヒータと、前記コンベアに載せられて前記ハウジング内を移動する前記箱型ワークの下方に配置された前記対流ヒータの熱風を噴射する吹出口と、から成り、もって前記吹出口から噴射した熱風で、前記箱型ワークの下面を加熱する乾燥炉であって、前記吹出口は、前記対流ヒータに備えられ、前記箱型ワークの幅方向内側に配置されるとともに、前記吹出口の少なくとも一部が、前記箱型ワークの下面の直下に配置され、前記対流ヒータは、前記熱風を噴射する複数の吹出ダクトを前記アンダーフロアの側壁近傍に備え、前記吹出ダクトから噴射した前記熱風を前記箱型ワークの下面まで案内する案内板を、前記吹出ダクトの上下に備え、前記上下の案内板を前記箱型ワークの下面に向けて斜め上向きに延ばして前記吹出口を形成し、前記上案内板を前記吹出ダクトに上側のヒンジで回転自在に取付けるとともに、前記上側案内板をボルト及び蝶ナットで長孔に沿って移動自在に支持し、前記下案内板を前記吹出ダクトに下側のヒンジで回転自在に取付けるとともに、前記下側案内板を他のボルト及び他の蝶ナットで他の長孔に沿って移動自在に支持し、前記蝶ナットを緩めることにより前記上下の案内板の傾き角度、前記上下の案内板の幅を調整する傾き調整手段を備えたことを特徴とする。
【0006】
対流ヒータを箱型ワークより低く配置し、さらに対流ヒータの吹出口を箱型ワークの下方で箱型ワークの幅方向内側に配置した。このため、従来デッドスペースであったアンダーフロア側から箱型ワークの下面に熱風を確実に吹き付けることができる。従って、箱型ワークの下面を効率よく加熱して、下面の加熱時間を短くすることができるので、箱型ワークの乾燥時間を短くすることができる。
また、対流ヒータの吹出口から箱型ワークに熱風を吹き付ける噴流加熱であるから熱伝達係数が大きくなり、箱型ワーク下面の加熱能力を高めることができる。
さらに、対流ヒータの吹出ダクトをアンダーフロアの側壁近傍に備えたので、上方から落下した異物は吹出ダクトを避けてアンダーフロアに落下する。アンダーフロアは比較的平坦なので、落下物が付着しても除去作業が容易であり短い時間で取除くことができる。
また、案内板が、吹出ダクトから箱型ワークの下面へ向けて斜め上向きに延ばしたものである。乾燥炉のアンダーフロアを避けて、箱型ワークの下面に熱風を直接吹き付けることができるので、アンダーフロアの埃を熱風で巻上げる心配はない。
さらに、上下の案内板の傾き角度を調整することにより、例えば自動車の形状や大きさに合わせて熱風を所望の位置に吹付けることができる。加えて、上下の案内板の幅を調整して風量を調整することができる。
【0007】
請求項2は、箱型ワークに塗布した塗料を乾燥するための乾燥炉において、上面と、側壁と、アンダーフロアと、前端の開口と、後端の開口とを有するハウジングと、前記ハウジングの前記側壁に配置された輻射熱パネルと、前記箱型ワークを載せて前記ハウジング内を運ぶコンベアと、前記コンベアで運ぶ箱型ワークより低く配置された状態で前記ハウジングに設けられた対流ヒータと、前記コンベアに載せられて前記ハウジング内を移動する前記箱型ワークの下方に配置された前記対流ヒータの熱風を噴射する吹出口と、から成り、もって前記吹出口から噴射した熱風で、前記箱型ワークの下面を加熱する乾燥炉であって、前記吹出口は、前記対流ヒータに備えられ、前記箱型ワークの幅方向内側に配置されるとともに、前記吹出口の少なくとも一部が、前記箱型ワークの下面の直下に配置され、前記対流ヒータは、前記熱風を噴射する複数の吹出ダクトを前記アンダーフロアの側壁近傍に備え、前記吹出ダクトから噴射した前記熱風を前記箱型ワークの下面まで案内する案内板を、前記吹出ダクトの上下に備え、前記上下の案内板を前記箱型ワークの下面に向けて斜め上向きに延ばして前記吹出口を形成し、前記吹出ダクトに前記上下の案内板を上下のヒンジで回転自在に取付けるとともに、前記吹出ダクトに前記上下の案内板を支える第1、第2のリンクを回転自在に取付け、前記第1リンクを前記上側案内板の長孔にボルト及び蝶ナットで取付け、前記第2リンクを前記下側案内板の長孔に他のボルト及び他の蝶ナットで取付け、前記蝶ナットを緩めることにより前記上下の案内板の傾き角度、前記上下の案内板の幅を調整する傾き調整手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2によれば、請求項1と同様の作用が得られる。
すなわち、対流ヒータを箱型ワークより低く配置し、さらに対流ヒータの吹出口を箱型ワークの下方で箱型ワークの幅方向内側に配置した。このため、従来デッドスペースであったアンダーフロア側から箱型ワークの下面に熱風を確実に吹き付けることができる。従って、箱型ワークの下面を効率よく加熱して、下面の加熱時間を短くすることができるので、箱型ワークの乾燥時間を短くすることができる。
また、対流ヒータの吹出口から箱型ワークに熱風を吹き付ける噴流加熱であるから熱伝達係数が大きくなり、箱型ワーク下面の加熱能力を高めることができる。
さらに、対流ヒータの吹出ダクトをアンダーフロアの側壁近傍に備えたので、上方から落下した異物は吹出ダクトを避けてアンダーフロアに落下する。アンダーフロアは比較的平坦なので、落下物が付着しても除去作業が容易であり短い時間で取除くことができる。
また、案内板が、吹出ダクトから箱型ワークの下面へ向けて斜め上向きに延ばしたものである。乾燥炉のアンダーフロアを避けて、箱型ワークの下面に熱風を直接吹き付けることができるので、アンダーフロアの埃を熱風で巻上げる心配はない。
さらに、上下の案内板の傾き角度を調整することにより、例えば自動車の形状や大きさに合わせて熱風を所望の位置に吹付けることができる。加えて、上下の案内板の幅を調整して風量を調整することができる。
【0011】
請求項3は、対流ヒータ及び輻射熱パネルを加熱空気の循環路に並列に配置し、循環路の加熱空気をアンダーフロア側から対流ヒータ及び輻射熱パネルに供給することを特徴とする。
循環路を併用することで、対流ヒータの専用循環路や専用ファンを除去することができる。
また、対流ヒータ及び輻射熱パネルを循環路に並列に配置したことで、循環路の加熱空気を輻射熱パネルを介さないで吹出ダクトに直接送り込むことができる。このため、充分に温度の高い加熱空気を箱型ワークの下面に吹き付けることができるので、箱型ワークの下面の加熱時間をより短くすることができる。
【0012】
請求項4は、乾燥炉が、予熱区間、加熱区間及び均熱区間の3区間を有し、少なくとも加熱区間に対流ヒータを備えたことを特徴とする。
箱型ワークを昇温する加熱区間に対流ヒータを備えたので、箱型ワーク全体を略均一に昇温させることができる。この結果、加熱時間を短くして速やかに均熱区間へ移行することができるので、乾燥炉を短くして設備費を抑えることができる。
【0013】
請求項5は、乾燥炉が、予熱区間、加熱区間及び均熱区間の3区間を有し、加熱区間及び均熱区間に対流ヒータを備えたことを特徴とする。
加熱区間及び均熱区間に対流ヒータを配置したことで、箱型ワークの下面を短い時間で確実に設定温度まで加熱することができる。この結果、箱型ワークに塗料を良好に焼き付けることができる。
【0014】
請求項6は、乾燥炉が、予熱区間、加熱区間及び均熱区間の3区間を有し、予熱区間及び加熱区間に対流ヒータを備えたことを特徴とする。
予熱区間及び加熱区間に対流ヒータを備えることで、加熱区間の下流側の均熱区間に対流ヒータを備える必要がない。このため、加熱炉のなかに対流ヒータを備えない区間を比較的長く確保することができる。従って、例えば夜間に塗装ラインを止めるとき、均熱区間を夜間車両保留スペースとして使用しても、保留車両に対流ヒータから熱風を吹き付けることがないので塗料に埃が付着する虞れがない。この結果、乾燥炉の下流側に必要な夜間車両保留設備を除去することが可能となり、設備費を抑えることができる。
【0015】
請求項7は、乾燥炉が、予熱区間、加熱区間及び均熱区間の3区間を有し、予熱区間を第1予熱区間及び第2予熱区間の2区間に分け、第2予熱区間、加熱区間及び均熱区間に対流ヒータを備えたことを特徴とする。
第2予熱区間は乾燥炉の入口より奥に位置するので、入口と比較して埃が少ない。このため、埃を巻上げないで比較的早くから箱型ワークの下面に熱風を噴射することができるので、塗料に埃が付着することを防止すると共に塗料中からのやに(溶剤)の発生を抑えることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る乾燥炉(第1実施例)の断面図である。
乾燥炉1は、乾燥空間2を形成するハウジング3と、箱型ワークとしての自動車ボディ5を運搬するためにアンダーフロア7に設けたコンベア8と、自動車ボディ5を輻射熱で乾燥する輻射熱乾燥手段10(輻射熱乾燥手段10は、第1〜第5輻射熱乾燥手段11〜15からなる。)と、自動車ボディ5の下面としてのフロア5aを熱風で乾燥する熱風乾燥手段18とからなる。
なお、3aはハウジング3の前端の開口(入口)、3bはハウジング3の後端の開口(出口)、3cはハウジング3の上面である。
【0017】
この乾燥炉1は、第1予熱区間P1〜P2において第1輻射熱乾燥手段11で自動車ボディ5を乾燥し、第2予熱区間P2〜P3において第2輻射熱乾燥手段12で自動車ボディ5を乾燥し、加熱区間P3〜P4において第2〜3輻射熱乾燥手段12,13及び熱風乾燥手段18で自動車ボディ5を乾燥し、均熱区間P4〜P5において第3〜4輻射熱乾燥手段13,14及び熱風乾燥手段18で自動車ボディ5を乾燥し、区間P5〜P6において第4輻射熱乾燥手段15で自動車ボディ5を乾燥するものである。以下、構成要素を詳しく説明する。
【0018】
第1〜第5輻射熱乾燥手段11〜15は、各々を同一部材で構成したので、一例として第1輻射熱乾燥手段11について説明し、第2〜第5輻射熱乾燥手段12〜15の構成部材については同一符号を付して説明を省略する。
第1輻射熱乾燥手段11は、輻射熱を発生する輻射熱発生部20と、輻射熱発生部20につないだ循環ダクト21と、循環ダクト21の途中に配置した循環ファン22及びヒータ24とからなる。
【0019】
第1〜5輻射熱乾燥手段11〜15は、輻射伝熱法で自動車ボディ5を加熱する手段であるが、第1輻射熱乾燥手段11は自動車ボディ5の温度が120℃を超えない範囲で加熱し、第2〜5輻射熱乾燥手段12〜15はワークの温度が170℃を超えない範囲で加熱するものである。
このため、第1輻射熱乾燥手段11で予め120℃まで加熱し、次に、第2〜5輻射熱乾燥手段12〜15のうちの例えば第2〜3輻射熱乾燥手段12〜13で170℃まで加熱し、その下流側の輻射熱乾燥手段で170℃に保つことができる。このように、2段階に昇温することにより、自動車ボディ5を好適に昇温させて塗料を均一に自動車ボディ5に焼付けることができる。
【0020】
図2は図1の2−2線断面図であって、第2輻射熱乾燥手段12の位置で断面したものである。
第2輻射熱乾燥手段12の輻射熱発生部20は、ハウジング3の左右側壁30,31に取付けた断面コ字形の左右輻射パネル32,33と、左右輻射パネル32,33の中央に配置した左右仕切壁34,35(図3も参照)とからなり、加熱空気を循環する上循環エリア32a,33a及び下循環エリア32b,33bを備える。
【0021】
自動車ボディ5は、フロア5aを比較的厚い鋼板で形成し、側面としてのサイド5b,5b及びルーフ5cを比較的薄い鋼板で形成したものである。フロア5aはドライブシャフト(図示しない)を通すための凹部5dを備える。
コンベア8は、アンダーフロア7の溝7aに取付けたレール40と、レール40内に移動可能に配置したローラ41,41と、ローラ41,41を回転可能に支持した支柱42と、支柱42の上端に取付けた運搬台43とからなり、自動車ボディ5を乾燥炉1内で上流側から下流側に運搬するものである。なお、運搬台43は自動車ボディ5を載せるためのものであって、熱風を通過させる為に、格子若しくは網の台が望ましい。
【0022】
熱風乾燥手段18は、左右側壁30,31の上部に設けた吸込口45…(図1も参照)と、吸込口45…に取付けた吸込ファン46…と、吸込ファン46…で吸込んだ加熱空気を送る送気ダクト47,47と、送気ダクト47,47の出側につないだ送気管50…と、送気管50…に取付けた吹出口(ノズル)51…とからなり、ノズル51…から上向きに噴射した熱風で自動車ボディ5のフロア5aを直接加熱するものである。送気管50…及びノズル51…は対流ヒータ52を構成する。53は吸込ファン46を駆動するためのモータである。
【0023】
ノズル51…は、自動車ボディ5のフロア5aより低く配置し、かつ自動車ボディ5の下方で自動車ボディ5の幅方向内側(すなわち、自動車ボディ5の両サイド5b,5bの内側)に配置したものであって、鉛直線Lに対して所定角度δ1だけ傾けた細いパイプである。
【0024】
このため、乾燥炉1のアンダーフロア7側から自動車ボディ5のフロア5aに熱風を確実に吹き付けることができる。従って、自動車ボディ5のフロア5aを効率よく加熱して、フロア5aの加熱時間を短くすることができる。
また、ノズル51…から自動車ボディ5のフロア5aに熱風を吹き付ける噴流加熱であるから熱伝達係数が大きくなり、自動車ボディ5のフロア5aの加熱能力を高めることができる。
さらに、ノズル51を鉛直線Lに対して所定角度δ1だけ傾けたので、落下中のゴミがノズル51に入る心配はない。
【0025】
図3は本発明に係る乾燥炉(第1実施例)の斜視図であり、第2輻射熱乾燥手段12の左右輻射パネル32,33を乾燥炉1の左右側壁30,31に取付け、左右輻射パネル32,33内を左右仕切壁34,35で仕切って上循環エリア32aと下循環エリア32bとを形成し、かつ熱風乾燥手段18の吸込口45…を左右輻射パネル32,33の上部に設け、吸込口45…に吸込ファン46…を取付け、アンダーフロア7に対流ヒータ52(すなわち、送気管50…にノズル51…を取付けたもの)を配置した状態を示す。
【0026】
以上に述べた本発明に係る乾燥炉1の作用を次に説明する。
図4(a),(b)は本発明に係る乾燥炉(第1実施例)の第1作用説明図である。
(a)において、第1〜第5輻射熱乾燥手段11〜15のヒータ24…に通電し、循環ファン22…を駆動することにより、加熱空気を矢印▲1▼…,▲2▼…,▲3▼…,▲4▼…の如く循環する。同時に、熱風乾燥手段18の吸込ファン46…を駆動することにより、ハウジング3の加熱空気を送気ダクト47…から送気管50…に送りノズル51…から熱風を噴射する。
この状態で、コンベア8により自動車ボディ5をハウジング3内の第1予備加熱区間P1〜P2に搬入する。
(b)において、第1輻射熱乾燥手段11の左右輻射パネル32,33から輻射熱を矢印(破線で示す。)の如く発生して自動車ボディ5のサイド5b,5b及びルーフ5cを乾燥する。
【0027】
図5は本発明に係る乾燥炉(第1実施例)の第2作用説明図であり、自動車ボディ5を図4(a)に示す加熱区間P3〜P4まで運搬した状態を示す。
第2輻射熱乾燥手段12の左右輻射パネル32,33から輻射熱を矢印(破線で示す。)の如く発射して自動車ボディ5のサイド5b,5b及びルーフ5cを暖め、そこの塗料を乾燥する。同時に、熱風乾燥手段18のノズル51…から矢印の如く熱風を噴射し、この熱風を自動車ボディ5のフロア5aに直接吹き付けることによりフロア5aを噴流加熱する。噴射加熱は熱伝達係数が大きいため加熱能力を高めることができる。
なお、乾燥エリア2の加熱空気を熱風乾燥手段18の吸込ファン46…で矢印▲6▼,▲6▼及び矢印▲7▼,▲7▼の如く吸込口45,45に吸込む。
【0028】
ノズル51…をアンダーフロア7に配置し、かつ運搬台43を格子状に形成したので、自動車ボディ5のフロア5a全面(凹部5dを含む)に熱風を確実に吹き付けることができる。このため、フロア5aを効率よく加熱してフロア5aの加熱時間を短くできる。
また、自動車5のフロア5aを好適に昇温させることができるので、塗料を均一にフロア5aに焼付けることができる。このため、塗料に混入した防錆顔料でフロア5aを充分に保護することができるので、防錆剤の塗布を廃止することも可能である。
【0029】
さらに、図1及び図4に示すように加熱区間にノズル51…を備えたので、乾燥炉1内の昇温に合わせて自動車ボディ5のフロア5aを昇温させることができる。この結果、加熱時間を短くして速やかに均熱区間へ移行することができるので、乾燥炉1を短くして設備費を抑えることができる。
また、加熱区間で自動車ボディ5全体を均一に加熱することができるので、自動車ボディ5に塗料を良好に焼き付けることができる。
さらに、加熱区間に加えて均熱区間にもノズル51…(図1に示す。)を配置したことで、自動車ボディ5のフロア5aを確実に設定温度(170℃)まで加熱することができる。
【0030】
図6(a),(b)は本発明に係る乾燥炉(第1実施例)の加熱状態を説明するグラフであり、(a)は従来技術の項で説明した従来の乾燥炉で自動車ボディを乾燥したときの温度カーブを「比較例」として示し、(b)は図1〜図5で説明した第1実施例の乾燥炉で自動車ボディを乾燥したときの温度カーブを「実施例」として示した。縦軸は加熱温度(℃)を示し、横軸は加熱時間(分)を示す。想像線はルーフの加熱状態を示し、実線はフロアの加熱状態を示す。
【0031】
(a)は、加熱区間P3〜P4において、熱風は炉中央で流速がごく小さくなるので、フロアを設定温度(170℃)まで加熱するのに13分間(28分−15分)を要する。また、均熱区間P4〜P5も20分間(50分−30分)を要する。
一方、ルーフは、加熱区間P3〜P4において、短時間で設定温度(170℃)まに到達するので、ルーフとフロアとの昇温差が大きくなり塗料をバランスよく乾燥できない虞れがある。
【0032】
(b)は、加熱区間P3〜P4において、フロア全体に熱風を吹付けることができるので、フロアの加熱時間を8分間(23分−15分)に短縮できる。また、均熱区間P4〜P5も15分間(40分〜25分)に短縮できる。
加熱時間を5分短縮し、均熱時間を5分短縮することにより、全体で10分短縮できるので、この分だけ乾燥炉を短くすることができる。
一方、ルーフとフロアとの昇温差が小さくなり、ルーフ及びフロアの塗料をバランスよく乾燥できる。
【0033】
以下、第2実施例〜第6実施例について説明する。なお、各実施例において第1実施例と同一部材については同一符号を付して説明を省略する。
図7は本発明に係る乾燥炉のノズル(第2実施例)を示す断面図である。
熱風乾燥手段60の吹出口(ノズル)61の先端62を鉛直線に対してノズル61側に一定角度(θ)傾斜させた状態にカットして、落下物(ダクト、ゴミなど)がノズル61に入らぬようにしたものである。
【0034】
詳しくはノズル61が右上りの場合は、カット面62を鉛直線Lに対して角度θだけ時計回りに回転させる。想像線で示した様にノズル61が左上りの場合は、カット面62を鉛直線Lに対して角度θだけ反時計回りに回転させればよい。ノズル61を角度δ1だけ傾斜させ且つ先端をカットしたことで落下物の侵入をより良好に防止することができる。
【0035】
図8は本発明に係る乾燥炉(第3実施例)の断面図である。
乾燥炉70は、熱風乾燥手段72の吸込ファン76…及び対流ヒータ74をハウジング3の第1予熱区間、第2予熱区間及び加熱区間(前側半分のみ)に配置したもので、その他は第1実施例と同じ構成である。
熱風乾燥手段72は、第1、第2予熱区間及び加熱区間(前側半分のみ)の左右側壁の上部に設けた吸込口75…と、吸込口75…に取付けた吸込ファン76…と、吸込ファン76…で吸込んだ加熱空気を送る送気ダクト77と、送気ダクト77の出側につないで第1、第2予熱区間及び加熱区間(前側半分のみ)に配置した対流ヒータ74とからなる。
対流ヒータ74は送気管78…(1本のみを示す。)と、送気管78…に取付けた吹出口(ノズル)79…とからなる。
【0036】
第3実施例によれば、ハウジング3の第1、第2予熱区間及び加熱区間(前側半分のみ)にノズル79…を配置したことで、均熱区間から乾燥炉3の出口3bまでの間にノズル79…を備える必要がない。このため、乾燥炉70にノズル79…を備えない区間を比較的長く確保することができる。従って、例えば夜間に乾燥ラインを止めるとき、この区間を夜間車両保留スペースとして使用しても、塗料に埃が付着する虞れはない。
【0037】
図9は本発明に係る乾燥炉(第4実施例)の断面図である。
乾燥炉80は、熱風乾燥手段82の吸込ファン86…及び対流ヒータ84を第2予熱区間、加熱区間及び均熱区間(前側のみ)に配置したもので、その他は第1実施例と同じ構成である。
すなわち、熱風乾燥手段82は、第2予熱区間、加熱区間及び均熱区間(前側のみ)の左右側壁の上部に設けた吸込口85…と、吸込口85…に取付けた吸込ファン86…と、吸込ファン86…で吸込んだ加熱空気を送る送気ダクト87と、送気ダクト87の出側につないで第2予熱区間、加熱区間及び均熱区間(前側のみ)に配置した対流ヒータ84とからなる。
対流ヒータ84は、送気管88…(1本のみを示す。)と、送気管88…に取付けた吹出口(ノズル)89…とからなる。
【0038】
第4実施例は、ハウジング3の第2予熱区間、加熱区間及び均熱区間(前側のみ)にノズル89…を配置した。第2予熱区間は乾燥炉80の入口3aより奥に位置するので、入口3aと比較して埃が少ない。このため、埃を巻上げないでノズル89…から熱風を噴射することができるので、自動車ボディ5に塗料を良好に焼き付けることができる。
また、比較的早くから自動車ボディ5のフロア5aに熱風を吹き付けるので、塗料中からのやに(溶剤)の発生を抑えることができる。
【0039】
図10は本発明に係る乾燥炉(第5実施例)の断面図である。
乾燥炉90は、乾燥空間92を形成するハウジング93と、自動車ボディ5を運搬するためにアンダーフロア97に設けたコンベア108と、自動車ボディ5を乾燥する乾燥手段110とからなる。
93aはハウジング93の前端の開口(入口)、93bはハウジング93の後端の開口(出口)、93cはハウジング93の上面である。
【0040】
乾燥手段110は、輻射熱を発生する第1輻射熱発生部111〜第5輻射熱発生部115と、第1輻射熱発生部111〜第5輻射熱発生部115から加熱タンク118に至る吸込ダクト119(循環路124の一部)と、加熱タンク118に取付けた燃焼送風器120と、加熱タンク118から第1輻射熱発生部111〜第5輻射熱発生部115に至る供給ダクト122(循環路124の残り)と、供給ダクト122の途中に取付けた循環ファン123と、供給ダクト122につないで熱風を噴射する第1対流ヒータ125〜第3対流ヒータ127と、第1対流ヒータ125〜第3対流ヒータ127から乾燥空間92に噴射した熱風を吸込みダクト119に導く第1吸込口129a〜第5吸込口129cとからなる。
循環路124は、吸込ダクト119及び供給ダクト122からなり、燃焼送風器120は吸込ファン120a及びヒータ120bからなる。
【0041】
第1輻射熱発生部111〜第5輻射熱発生部115は、それぞれ予熱区間、加熱区間、第1均熱区間、第2均熱区間及び第3均熱区間に取付けたものであって、輻射熱で自動車ボディ5の両サイド及びルーフを乾燥するものである。
第1対流ヒータ125〜第3対流ヒータ127は、それぞれ加熱区間、第1均熱区間及び第2均熱区間に取付けたものであって、噴射した熱風で自動車ボディ5のフロア5aを直接加熱するものである。
【0042】
第1輻射熱発生部111〜第5輻射熱発生部115及び第1対流ヒータ125〜第3対流ヒータ127は、循環路124を併用するものである。従って、第1〜第3対流ヒータ125〜127の専用循環路や専用ファンを除去することができる。この結果、加熱炉90の設備費を抑えることができる。
【0043】
図11は図10の11−11線断面図であり、第2輻射熱発生部112及び第1対流ヒータ125の断面を示す。
第2輻射熱発生部112は、図10に示すようにハウジング93を予熱区間〜第3均熱区間の5区間に区切る左右の縦仕切壁98…(左側の縦仕切壁98…のみ図10に示す。)と、予熱区間〜第3均熱区間に各々取付けた左右の横仕切壁100…,101…と、左側の縦仕切壁98…及び横仕切壁100…に取付けた左側の輻射パネル102と、右側の縦仕切壁98…(図示せず。)及び横仕切壁101…に取付けた右側の輻射パネル103とからなり、左側の上下循環エリア94a,94b及び右側の上下循環エリア95a,95bを形成したものである。
【0044】
左右の輻射パネル102,103は、各々上端に吸込口129a,129aを開けたものである。
また、左右の上循環エリア94a,95aは各々吸込ダクト119につないだもので、左右の下循環エリア94b,95bは各々供給ダクト122につないだものである。
【0045】
第1対流ヒータ125は、左右の吹出ダクト138,138をアンダーフロア97の左右側壁94,95近傍に備え、かつ自動車ボディ5のフロア5aより低く配置し、吹出口146,146を自動車ボディ5の下方で自動車ボディ5の幅方向内側(すなわち、自動車ボディ5の両サイド5b,5bの内側)に配置したものであって、供給ダクト122の加熱空気を背面側から取り入れて自動車5のフロア5aに向けて吹出口146から熱風を噴射するものである。
なお、第1対流ヒータ125については次図で詳しく説明する。
【0046】
乾燥炉90のアンダーフロア97側から自動車ボディ5のフロア5aに熱風を確実に吹き付けることができる。従って、自動車ボディ5のフロア5aを効率よく加熱して、フロア5aの加熱時間を短くすることができる。
また、吹出ダクト138の吹出口146から自動車ボディ5のフロア5aに熱風を吹き付ける噴流加熱であるから熱伝達係数が大きくなり、自動車ボディ5のフロア5aの加熱能力を高めることができる。
【0047】
さらに、供給ダクト122の加熱空気を吹出ダクト138に直接送り込むことができる。この結果、充分に温度の高い加熱空気を自動車5のフロア5aに吹き付けることができる。
【0048】
また、左右の吹出ダクト138,138を左右側壁94,95側に配置したので、第1実施例のように、アンダーフロア97全体に送気管50…(図3参照)を配置する必要がない。このため、アンダーフロア97に付着した落下物の除去作業が容易になり短い時間で取除くことができる。この結果、アンダーフロア97のメンテナンスが容易になり、乾燥炉90の可動率が高まり燃料費を削減することができる。
【0049】
図12は本発明に係る乾燥炉(第5実施例)の対流ヒータを示す斜視図であり、第1対流ヒータ125を示す。
第1対流ヒータ125は、供給ダクト122に背面130側を開放した状態(図11も参照)でアンダーフロア97に取付けたボックス131と、ボックス131の上面に取付けた中間ダクト132と、中間ダクト132に着脱自在に取付けた吹出ダクト138と、吹出ダクト138から熱風を噴射するスリット139と、スリット139の大きさを調整するシャッタ手段140と、スリット139の上下辺にヒンジ145…で回転自在に取付けることで吹出口146を形成する上下の案内板147,148と、上下の案内板147,148の傾き角度δ2を調整する傾き調整手段150とからなる。
なお、シャッタ手段140及び傾き調整手段150は、案内板147,148の左右に同一部材を取付けたものであるが、以下左側の部材のみを説明する。
【0050】
吹出ダクト138は、中間ダクト132のフランジ133にボルト135…及びナット(図示しない。)でフランジ134を取付けたものである。従って、ボルト135…を緩めることで吹出ダクト138を中間ダクト132から外すことができる。このため、吹出ダクト138や上下の案内板147,148の間に付着した落下物を取除く作業や修理を簡単に短い時間で行うことができる。
【0051】
また、中間ダクト132の取出し位置を変えることにより吹出ダクト138を乾燥炉の任意位置に取付けることができる。
さらに、吹出ダクト138のスリット139から噴射した熱風を、上下の案内板147,148で案内して吹出口146から自動車ボディ5のフロア5a(図11に示す。)へ向けて噴射することができる。この結果、自動車ボディ5のフロア5aに熱風を効率よく吹き付けることができる。
【0052】
また、上下の案内板147,148を吹出ダクト138から自動車ボディ5のフロア5aへ向けて斜め上向きに延ばしたので、乾燥炉のアンダーフロア97を避けて、自動車ボディ5のフロア5aに熱風を直接吹き付けることができる。この結果、アンダーフロア97の埃を巻上げる心配はない。
さらに、吹出ダクト138を乾燥炉の側壁側に配置したことで、吹出ダクト138のスリット139に上方からの落下物が侵入し難くなる。
【0053】
シャッタ手段140は、スリット139の大きさを調整するシャッタ141と、吹出ダクト138に開けた長孔142と、長孔142に差込んでシャッタ141を吹出ダクト138に取付けたボルト143及び蝶ナット144(片側のみ示す。)とからなり、蝶ナット144を緩めることによりシャッタ141を移動してスリット139の大きさを調整するものである。
シャッタ手段140でスリット139の大きさを調整することにより、例えば自動車の形状や大きさに合わせて熱風の噴射量を調整することができる。この結果、多機種混合生産に適用することも可能である。
【0054】
傾き調整手段150は、吹出ダクト138にボルト151a及びナット151bで第1、第2のリンク152,153を回転自在に取付け、第1のリンク152を上側案内板147の長孔147aにボルト154及び蝶ナット155で取付け、第2のリンク153を下側案内板148の長孔148aにボルト154及び蝶ナット155で取付けたものであり、蝶ナット155,155を緩めることにより上下の案内板147,148の傾き角度δ2を調整するものである。
【0055】
傾き調整手段150で上下の案内板147,148の傾き角度δ2を調整することにより、例えば自動車の形状や大きさに合わせて熱風を所望の位置に吹付けることができる。このように、熱風の吹付位置を調整することにより、多機種混合生産に適用することも可能である。
【0056】
以上に述べた本発明に係る乾燥炉90の作用を次に説明する。
図13(a),(b)は本発明に係る乾燥炉(第5実施例)の第1作用説明図であり、(b)は(a)のb−b線断面(すなわち、予熱区間の断面)を示す。(a)において、熱風送風器120及び循環ファン123を駆動することにより、加熱タンク118内の加熱空気をフィルタ118a→循環ファン123→供給ダクト122から第1〜第5輻射熱発生部111〜115及び第1〜第3対流ヒータ125〜127に流す。
ここで、第2輻射熱発生部112及び第1対流ヒータ125を一例として加熱空気の流れを説明する。
【0057】
第2輻射熱発生部112に流れた加熱空気を矢印の如く下側の循環エリア94b→上側の循環エリア94a→吸込ダクト119→加熱タンク118に戻して再加熱する。
一方、第1対流ヒータ125に流れた加熱空気を白抜き矢印の如く流して吸込口129a→吸込ダクト119→加熱タンク118に戻して再加熱する。
この状態で、コンベア108で自動車ボディ5をハウジング93内の予熱区間に搬入する。
【0058】
(b)において、第1輻射熱乾燥手段111の左下循環エリア94b→左上循環エリア94aに加熱空気を流すことにより左輻射パネル102から輻射熱を矢印(破線で示す。)の如く発生させて自動車ボディ5の左サイド5b及びルーフ5cの左側を乾燥する。
同様に、第1輻射熱乾燥手段111の右下循環エリア95b→右上循環エリア95aに加熱空気を流すことにより右輻射パネル103から輻射熱を矢印(破線で示す。)の如く発生させて自動車ボディ5の右サイド5b及びルーフ5cの右側を乾燥する。
【0059】
図14は本発明に係る乾燥炉(第5実施例)の第2作用説明図であり、図13(a)の14−14線断面(加熱区間の断面図)を示す。なお、自動車ボディ5を図13(a)に示す加熱区間まで運搬したものとする。
第2輻射熱乾燥手段112で、図13(b)に示す第1輻射熱乾燥手段111と同様に、左右側からの輻射熱で自動車ボディ5の両サイド5b,5b及びルーフ5cを乾燥する。
【0060】
第1対流ヒータ125の左右の吹出ダクト138,138で、供給ダクト122の加熱空気を白抜き矢印の如く背面側から取り入れ、吹出ダクト138,138の吹出口146,146から白抜き矢印の如く乾燥空間92に熱風を噴射する。この熱風を自動車ボディ5のフロア5aに直接吹き付けることによりフロア5aを噴流加熱する。噴射加熱は熱伝達係数が大きいため加熱能力を高めることができる。
また、自動車5のフロア5aを好適に昇温させることができるので、塗料を均一にフロア5aに焼付けることができる。このため、塗料に混入した防錆顔料でフロア5aを充分に保護することができるので、防錆剤の塗布を廃止することも可能である。
【0061】
なお、フロア5aを加熱した加熱空気は自動車ボディ5の両サイド5b,5bに沿って白抜き矢印の如く上昇して、左右の吸込口129a,129aに白抜き矢印の如く吸込んで吸込ダクト119に進入させる。
【0062】
図15は本発明に係る乾燥炉(第6実施例)の概略図である。
第1〜第5実施例では各々の乾燥炉を工場の床面に沿って延ばした例を説明したが、第1〜第5実施例の乾燥炉を乾燥炉160のように高低差をつけて構成することも可能である。なお、白抜き矢印は自動車ボディの運搬方向を示す。
乾燥炉160は、第1予熱区間を床161に配置し、第2予熱区間を上がり勾配に形成し、加熱区間及び均熱区間を床上高さHの位置に配置し、出口162側を床161に配置し、第2予熱区間〜均熱区間(前側のみ)に対流ヒータ163を配置したものであり、その他の構成は第1〜第5実施例と同様である。
対流ヒータ163は、加熱空気を送る送気管164…(1本のみ図示する。)と、加熱空気を噴射する(吹出口)ノズル165…とからなる。
【0063】
ノズル165は、第1〜第4実施例のノズル51,61,79,89と同一部材であり、また対流ヒータ163は、第5実施例の第1〜第3対流ヒータ125〜127に置き換えることも可能である。
なお、対流ヒータ163は、第1〜第5実施例に合わせて所望の位置に配置することができる。
【0064】
第6実施例によれば、加熱区間及び均熱区間を床上高さHの位置に配置することにより、加熱区間及び均熱区間の下側に空間166を形成することができる。このため、空間166に乾燥炉160の構成部材(例えば、加熱空気の循環路、循環ファン及び循環空気を加熱するヒータ)を配置することができるので、比較的狭い設備空間に乾燥炉160を配置することができる。
【0065】
尚、第1〜第6実施例では、箱型ワークを自動車ボディ5とした例を説明したが、その他に例えば電車などの箱型ワークに適用することも可能である。
【0066】
第5実施例では、吹出ダクト138に上下の案内板147,148を備えた例を説明したが、例えば上側の案内板147のみを備えても同様の効果を得ることができる。
また、上下の案内板147,148の傾き角度をシャッタ手段140で調整する例を説明したが、その他の構成部材で角度を調整可能にしてもよい。さらに、角度調整は手動に限らないで、例えばシリンダを使用して自動的に調整させることも可能である。
【0067】
また、吹出ダクト138のスリット139の大きさをシャッタ手段140で調整して噴射量を調整したが、スリット139の大きさを変えないで上下の案内板147,148の幅を調整して風量を調整してもよい。
また、吹出ダクト138のスリット139の大きさを手動で調整した例を説明したが自動的に調整してもよい。
【0068】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、対流ヒータを箱型ワークより低く配置し、さらに対流ヒータの吹出口を箱型ワークの下方で箱型ワークの幅方向内側に配置した。このため、従来デッドスペースであったアンダーフロア側から箱型ワークの下面に熱風を確実に吹き付けることができる。従って、箱型ワークの下面を効率よく加熱して、下面の加熱時間を短くすることができるので、箱型ワークの乾燥時間を短くすることができる。この結果、乾燥炉を短くして設備費及び燃料費を削減することができる。
また、対流ヒータの吹出口から箱型ワークに熱風を吹き付ける噴流加熱であるから熱伝達係数が大きくなり、箱型ワーク下面の加熱能力を高めることができる。
さらに、対流ヒータの吹出ダクトをアンダーフロアの側壁近傍に備えたので、上方から落下した異物は吹出ダクトを避けてアンダーフロアに落下する。アンダーフロアは比較的平坦なので、落下物が付着しても除去作業が容易であり短い時間で取除くことができる。この結果、アンダーフロアのメンテナンスが容易になり、乾燥炉の可動率が高まり燃料費を削減することができる。
また、案内板を吹出ダクトから箱型ワークの下面へ向けて斜め上向きに延ばした。このため、乾燥炉のアンダーフロアを避けて、箱型ワークの下面に熱風を直接吹き付けることができるので、アンダーフロアの埃を熱風で巻上げる心配はない。この結果、塗料に埃が付着する虞れはない。
さらに、上下の案内板の傾き角度を調整することにより、例えば自動車の形状や大きさに合わせて熱風を所望の位置に吹付けることができる。
加えて、上下の案内板の幅を調整して風量を調整することができる。
このように、熱風の吹付位置を調整し、熱風の風量を調整することにより、多機種混合生産に適用することも可能である。
【0069】
請求項2は、請求項1と同様の効果が得られる。
すなわち、対流ヒータを箱型ワークより低く配置し、さらに対流ヒータの吹出口を箱型ワークの下方で箱型ワークの幅方向内側に配置した。このため、従来デッドスペースであったアンダーフロア側から箱型ワークの下面に熱風を確実に吹き付けることができる。従って、箱型ワークの下面を効率よく加熱して、下面の加熱時間を短くすることができるので、箱型ワークの乾燥時間を短くすることができる。この結果、乾燥炉を短くして設備費及び燃料費を削減することができる。
また、対流ヒータの吹出口から箱型ワークに熱風を吹き付ける噴流加熱であるから熱伝達係数が大きくなり、箱型ワーク下面の加熱能力を高めることができる。
さらに、対流ヒータの吹出ダクトをアンダーフロアの側壁近傍に備えたので、上方から落下した異物は吹出ダクトを避けてアンダーフロアに落下する。アンダーフロアは比較的平坦なので、落下物が付着しても除去作業が容易であり短い時間で取除くことができる。この結果、アンダーフロアのメンテナンスが容易になり、乾燥炉の可動率が高まり燃料費を削減することができる。
また、案内板を吹出ダクトから箱型ワークの下面へ向けて斜め上向きに延ばした。このため、乾燥炉のアンダーフロアを避けて、箱型ワークの下面に熱風を直接吹き付けることができるので、アンダーフロアの埃を熱風で巻上げる心配はない。この結果、塗料に埃が付着する虞れはない。
さらに、上下の案内板の傾き角度を調整することにより、例えば自動車の形状や大きさに合わせて熱風を所望の位置に吹付けることができる。
加えて、上下の案内板の幅を調整して風量を調整することができる。
このように、熱風の吹付位置を調整し、熱風の風量を調整することにより、多機種混合生産に適用することも可能である。
【0073】
請求項3は、対流ヒータ及び輻射熱パネルの循環路を併用することで、対流ヒータの専用循環路や専用ファンを除去することができる。この結果、加熱炉の設備費を抑えることができる。
また、対流ヒータ及び輻射パネルを循環路に並列に配置したことで、循環路の加熱空気を輻射熱パネルを介さないで吹出ダクトに直接送り込むことができる。このため、充分に温度の高い加熱空気を箱型ワークの下面に吹き付けることができるので、箱型ワークの下面の加熱時間をより短くすることができる。この結果、箱型ワークの乾燥時間をより短くすることができる。
【0074】
請求項4は、箱型ワークを昇温する加熱区間に対流ヒータを備えたので、箱型ワーク全体を略均一に昇温させることができる。この結果、加熱時間を短くして速やかに均熱区間へ移行することができるので、乾燥炉を短くして設備費を抑えることができる。
さらに、箱型ワーク全体を均一に加熱することで箱型ワークに塗料を良好に焼き付けることができる。
【0075】
請求項5は、加熱区間及び均熱区間に対流ヒータを配置したことで、箱型ワークの下面を短い時間で確実に設定温度まで加熱することができる。この結果、箱型ワークに塗料を良好に焼き付けることができる。
【0076】
請求項6は、予熱区間及び加熱区間に対流ヒータを備えることで、加熱区間の下流側の均熱区間に対流ヒータを備える必要がない。このため、加熱炉のなかに対流ヒータを備えない区間を比較的長く確保することができる。従って、例えば夜間に塗装ラインを止めるとき、均熱区間を夜間車両保留スペースとして使用しても、保留車両に対流ヒータから熱風を吹き付けることがないので、塗料に埃が付着する虞れがない。
この結果、乾燥炉の下流側に必要な夜間車両保留設備を除去することが可能となり、設備費を抑えることができる。
【0077】
請求項7は、乾燥炉が、予熱区間、加熱区間及び均熱区間の3区間を有し、予熱区間を第1予熱区間及び第2予熱区間の2区間に分け、第2予熱区間、加熱区間及び均熱区間に対流ヒータを備えた。第2予熱区間は乾燥炉の入口より奥に位置するので、入口と比較して埃が少ない。
このため、埃を巻上げないで比較的早くから箱型ワークの下面に熱風を噴射することができるので、塗料に埃が付着することを防止すると共に塗料中からのやに(溶剤)の発生を抑えることができる。この結果、箱型ワークに塗料を良好に焼き付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る乾燥炉(第1実施例)の断面図
【図2】図1の2−2線断面図
【図3】本発明に係る乾燥炉(第1実施例)の斜視図
【図4】本発明に係る乾燥炉(第1実施例)の第1作用説明図
【図5】本発明に係る乾燥炉(第1実施例)の第2作用説明図
【図6】本発明に係る乾燥炉(第1実施例)の加熱状態を説明するグラフ
【図7】本発明に係る乾燥炉のノズル(第2実施例)を示す断面図
【図8】本発明に係る乾燥炉(第3実施例)の断面図
【図9】本発明に係る乾燥炉(第4実施例)の断面図
【図10】本発明に係る乾燥炉(第5実施例)の断面図
【図11】図10の11−11線断面図
【図12】本発明に係る乾燥炉(第5実施例)の対流ヒータを示す斜視図
【図13】本発明に係る乾燥炉(第5実施例)の第1作用説明図
【図14】本発明に係る乾燥炉(第5実施例)の第2作用説明図
【図15】本発明に係る乾燥炉(第6実施例)の概略図
【符号の説明】
1,70,80,90,160…乾燥炉、3,93…ハウジング、3a,93a…前端の開口(入口)、3b,93b…後端の開口(出口)、3c,93c…上面、5…箱型ワーク(自動車ボディ)、5a…下面(フロア)、5b…側面(サイド)、7,97…アンダーフロア、8,108…コンベア、30,94…左側壁、31,95…右側壁、32,102…左輻射パネル、33,103…右輻射パネル、51,61,79,89,165…吹出口(ノズル)、52,74,84,163…対流ヒータ、62…ノズルの先端、124…循環路、125…対流ヒータ(第1対流ヒータ)、126…対流ヒータ(第2対流ヒータ)、127…対流ヒータ(第3対流ヒータ)、138…吹出ダクト、139…スリット、145…ヒンジ、146…吹出口、147…上側案内板、147a,148a…長孔、148…下側案内板、150…傾き調整手段、152…第1リンク、153…第2リンク、154…ボルト、155…蝶ナット、L…鉛直線、δ1,δ2…所定角度。
Claims (7)
- 箱型ワークに塗布した塗料を乾燥するための乾燥炉において、
上面と、側壁と、アンダーフロアと、前端の開口と、後端の開口とを有するハウジングと、
前記ハウジングの前記側壁に配置された輻射熱パネルと、
前記箱型ワークを載せて前記ハウジング内を運ぶコンベアと、
前記コンベアで運ぶ箱型ワークより低く配置された状態で前記ハウジングに設けられた対流ヒータと、
前記コンベアに載せられて前記ハウジング内を移動する前記箱型ワークの下方に配置された前記対流ヒータの熱風を噴射する吹出口と、
から成り、もって前記吹出口から噴射した熱風で、前記箱型ワークの下面を加熱する乾燥炉であって、
前記吹出口は、
前記対流ヒータに備えられ、
前記箱型ワークの幅方向内側に配置されるとともに、前記吹出口の少なくとも一部が、前記箱型ワークの下面の直下に配置され、
前記対流ヒータは、
前記熱風を噴射する複数の吹出ダクトを前記アンダーフロアの側壁近傍に備え、
前記吹出ダクトから噴射した前記熱風を前記箱型ワークの下面まで案内する案内板を、前記吹出ダクトの上下に備え、
前記上下の案内板を前記箱型ワークの下面に向けて斜め上向きに延ばして前記吹出口を形成し、
前記上案内板を前記吹出ダクトに上側のヒンジで回転自在に取付けるとともに、前記上側案内板をボルト及び蝶ナットで長孔に沿って移動自在に支持し、
前記下案内板を前記吹出ダクトに下側のヒンジで回転自在に取付けるとともに、前記下側案内板を他のボルト及び他の蝶ナットで他の長孔に沿って移動自在に支持し、
前記蝶ナットを緩めることにより前記上下の案内板の傾き角度、前記上下の案内板の幅を調整する傾き調整手段を備えたことを特徴とした乾燥炉。 - 箱型ワークに塗布した塗料を乾燥するための乾燥炉において、
上面と、側壁と、アンダーフロアと、前端の開口と、後端の開口とを有するハウジングと、
前記ハウジングの前記側壁に配置された輻射熱パネルと、
前記箱型ワークを載せて前記ハウジング内を運ぶコンベアと、
前記コンベアで運ぶ箱型ワークより低く配置された状態で前記ハウジングに設けられた対流ヒータと、
前記コンベアに載せられて前記ハウジング内を移動する前記箱型ワークの下方に配置された前記対流ヒータの熱風を噴射する吹出口と、
から成り、もって前記吹出口から噴射した熱風で、前記箱型ワークの下面を加熱する乾燥炉であって、
前記吹出口は、
前記対流ヒータに備えられ、
前記箱型ワークの幅方向内側に配置されるとともに、前記吹出口の少なくとも一部が、前記箱型ワークの下面の直下に配置され、
前記対流ヒータは、
前記熱風を噴射する複数の吹出ダクトを前記アンダーフロアの側壁近傍に備え、
前記吹出ダクトから噴射した前記熱風を前記箱型ワークの下面まで案内する案内板を、前記吹出ダクトの上下に備え、
前記上下の案内板を前記箱型ワークの下面に向けて斜め上向きに延ばして前記吹出口を形成し、
前記吹出ダクトに前記上下の案内板を上下のヒンジで回転自在に取付けるとともに、前 記吹出ダクトに前記上下の案内板を支える第1、第2のリンクを回転自在に取付け、
前記第1リンクを前記上側案内板の長孔にボルト及び蝶ナットで取付け、
前記第2リンクを前記下側案内板の長孔に他のボルト及び他の蝶ナットで取付け、
前記蝶ナットを緩めることにより前記上下の案内板の傾き角度、前記上下の案内板の幅を調整する傾き調整手段を備えたことを特徴とした乾燥炉。 - 前記対流ヒータ及び輻射熱パネルを加熱空気の循環路に並列に配置し、循環路の加熱空気を前記アンダーフロア側から対流ヒータ及び輻射熱パネルに供給することを特徴とした請求項1記載の乾燥炉。
- 前記乾燥炉は、予熱区間、加熱区間及び均熱区間の3区間を有し、少なくとも加熱区間に前記対流ヒータを備えたことを特徴とする請求項1記載の乾燥炉。
- 前記乾燥炉は、予熱区間、加熱区間及び均熱区間の3区間を有し、加熱区間及び均熱区間に前記対流ヒータを備えたことを特徴とする請求項1記載の乾燥炉。
- 前記乾燥炉は、予熱区間、加熱区間及び均熱区間の3区間を有し、予熱区間及び加熱区間に前記対流ヒータを備えたことを特徴とする請求項1記載の乾燥炉。
- 前記乾燥炉は、予熱区間、加熱区間及び均熱区間の3区間を有し、前記予熱区間を第1予熱区間及び第2予熱区間の2区間に分け、第2予熱区間、加熱区間及び均熱区間に前記対流ヒータを備えたことを特徴とする請求項1記載の乾燥炉。
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