本発明の最良の形態である実施例を図面を参照して以下に説明する。
まず、実施例1を図1〜図13を参照して説明する。なお、以下の説明における前後は車両前進時の前後である。
図1および図2は、本実施例のパワーテールゲート装置11が適用された車両12の後部を示すもので、車体13の後端側に開閉可能にテールゲート15が設けられている。つまり、車体13の上部を形成するルーフ部16の後端部にはヒンジ17が設けられており、このヒンジ17を介して車幅方向に沿う軸線を中心に揺動するようにテールゲート15が支持されている。また、テールゲート15にはガス式のアウタステー18が連結されており、開閉時にアウタステー18の付勢力で重量バランスが調整される。ここで、テールゲート15は、ヒンジ17の揺動中心を中心として図1に示す全閉状態と図2に示す全開状態との間で揺動する。
ヒンジ17は、図3に示すように、ルーフ部16のルーフパネル20に固定される固定側部材21とテールゲート15に連結される揺動側部材22とこれらを回転可能に連結させるヒンジ軸23とを有しており、ルーフ部16のルーフパネル20およびその下側の複数枚具体的には三枚のパネル25,26,27で構成される車幅方向に延在する閉断面形状のルーフレール28にヒンジ取付ボルト30およびナット31を介して固定側部材21が取り付けられている。ここで、ルーフレール28の下側にはブラケット33がヒンジ取付ボルト30で共締めされており、このブラケット33は、ヒンジ取付ボルト30に取り付けられるとともに前方に延出し前側においてルーフレール28の下側に当接することでヒンジ17の取り付け剛性を向上させている。なお、ルーフレール28にはヒンジ取付ボルト30を囲むようにカラー34,35がパネル25,26間およびパネル26,27間に設けられている。
車体13のルーフ部16には、図4に示すように、テールゲート15を自動的に開閉するための本実施例のパワーテールゲート装置11が設けられている。このパワーテールゲート装置11は、ルーフ部16のルーフパネル20と、インナカバー36およびルーフライニング37との間に設けられている。
パワーテールゲート装置11の駆動機構部38は、図5および図6に示すように、電動モータ40とギヤボックス41とを有しており、ギヤボックス41には図示は略すが内部にウォームギヤとホイールギヤとが設けられこれらが電動モータ40の回転力を適宜減速させる。
また、駆動機構部38は、車幅方向における一側の側面にギヤ部43が形成された直線形状のラック44と、このラック44をその長さ方向を車体前後方向に沿わせた姿勢で支持するとともに車体前後方向に沿って直線状にスライドさせるように案内するガイドレール45とを有している。その結果、ラック44は直線運動する直動式ラックとなっている。
さらに、駆動機構部38は、ギヤボックス41とラック44との間に伝達ギヤ47を有しており、この伝達ギヤ47にはギヤボックス41からの出力で回転する中間ギヤ部48とラック44のギヤ部43に噛み合うピニオンギヤ部49とが同軸に形成されている。
以上により、駆動機構部38は、電動モータ40を正逆回転させることにより、ギヤボックス41を介して伝達ギヤ47を回転させ、この伝達ギヤ47のピニオンギヤ部49にギヤ部43において噛み合うラック44をガイドレール45に沿って車体前後方向に往復動させることになる。つまり、駆動機構部38は、電動モータ40の回転運動をラック44の直線運動に変換する。
ラック44には、ギヤ部43に対し反対側の側面に車幅方向に沿う連結軸51が取り付けられており、この連結軸51を介して、直線形状のロッド52の一端側が回転自在に連結されている。また、図4に示すように、ロッド52の他端側には、車幅方向に沿う連結軸53を介して、下側に凸の円弧状に湾曲する湾曲アーム54の一端側が回転自在に連結されている。さらに、この湾曲アーム54の他端側には、車幅方向に沿う連結軸55を介して、テールゲート15に固定されたブラケット56が回転自在に連結されている。なお、湾曲アーム54の上側の端縁部には、湾曲アーム54の湾曲形状と同心の円弧状に湾曲するアーム側スライダ部60が設けられており、湾曲アーム54はこのアーム側スライダ部60が車体側の複数の荷重受部87〜90(後述する)で支持されることによって、ヒンジ17の揺動中心Oを中心とした円弧状をなし、かつヒンジ17の揺動中心Oを中心として円弧状に移動する。
以上により、駆動機構部38において電動モータ40の駆動によりラック44が直線的にスライドすることでラック44の連結軸51が車体前後方向に直線運動し、その結果、ラック44が後方にスライドするとロッド52が連結軸51を中心に回転しつつ後方に移動しかつ湾曲アーム54が連結軸53を中心に回転しつつ円弧状に旋回してテールゲート15を押すことになり図4に示す状態から図7に示す状態となるようにテールゲート15を開作動させる。逆に電動モータ40の駆動によりラック44が前方にスライドするとロッド52を介して引かれる湾曲アーム54が円弧状に旋回しつつテールゲート15を引くことになり図7に示す状態から図4に示す状態となるようにテールゲート15を閉作動させる。ここで、図7に示すように、ラック44が後端位置までスライドした位置がテールゲート15の全開位置となり、図4に示すように、ラック44が前端位置までスライドした位置がテールゲート15の全閉位置となる。
図4に示すようにラック44が前端位置にあってテールゲート15が全閉位置にある状態で、ラック44の連結軸51の位置からロッド52は後方かつ若干下方の斜め方向に延出することになる。つまり、テールゲート15が全閉位置にある状態で、ロッド52の後端、言い換えれば湾曲アーム54の前端の連結軸53はロッド52の前端の連結軸51よりも後方かつ若干下方に位置することになる。
また、図4に示すようにテールゲート15が全閉位置にある状態で湾曲アーム54は下側凸に湾曲しつつ連結軸53の位置から後方かつ若干下側に延出することになる。つまり、テールゲート15が全閉位置にある状態で湾曲アーム54の後端の連結軸55は、湾曲アーム54の前端の連結軸53よりも後方且つ若干下方に位置することになる。加えて、テールゲート15が全閉位置にある状態で湾曲アーム54の前端の連結軸53および後端の連結軸55は、湾曲アーム54の下端部より上側に位置することになる。
他方、図7に示すようにラック44が後端位置にあってテールゲート15が全開位置にある状態で、ラック44の連結軸51の位置からロッド52は後方かつ若干下方の斜め方向に延出することになる。つまり、テールゲート15が全開位置にある状態で、ロッド52の後端、言い換えれば湾曲アーム54の前端の連結軸53はロッド52の前端の連結軸51よりも後方かつ若干下方に位置することになる。ここで、テールゲート15が全開位置にある状態での連結軸53の位置はテールゲート15が全閉位置にある状態での連結軸53の位置よりも後方かつ若干下方になる。
また、図7に示すようにテールゲート15が全開位置にある状態で湾曲アーム54は下側凸に湾曲しつつ連結軸53の位置から後方かつ上側に延出することになる。つまり、テールゲート15が全開位置にある湾曲アーム54の後端の連結軸55は、湾曲アーム54の前端の連結軸53よりも後方かつ上方に位置することになる。ここで、テールゲート15が全開位置にある状態での連結軸55の位置はテールゲート15が全閉位置にある状態での連結軸55の位置よりも若干後方かつ上方になる。
実施例1において、湾曲アーム54には、上述した円弧状に湾曲するアーム側スライダ部60が図8に示すように車幅方向における連結軸53の突出方向に対し反対の側方に突出するように屈曲形成されている。湾曲アーム54は、鉄製の基材61と、この基材61のアーム側スライダ部60の側であって連結軸53の突出方向に対し反対側および湾曲の内径側および外径側を被覆するように固定された樹脂製のスライド部材62とを有している。
ここで、連結軸53は、湾曲アーム54の取付穴64に挿通された状態で軸線方向一側に形成されたフランジ部65において湾曲アーム54に当接しており、この状態で湾曲アーム54からフランジ部65とは反対側に突出する軸部66に、二重のブッシュ67,68が嵌められ、さらに、外側のブッシュ68がロッド52の穴部69に嵌められている。また、軸部66のブッシュ67,68から突出する部分に、外側のブッシュ68に当接するようにワッシャ70が嵌められ、さらに樹脂製のスライダ71がワッシャ72を介して嵌められる。この状態で軸部66が加締められて湾曲アーム54、連結軸53、ロッド52およびスライダ71等が連結状態となる。なお、スライダ71は連結軸53よりも軸線方向外側に環状に突出する対向部73を有している。
車幅方向においてアーム側スライダ部60と対向する位置には、アーム側スライダ部60のスライド部材62の連結軸53に対し反対側の対向部76を案内することで湾曲アーム54および連結軸53の必要以上の車幅方向一側への移動を規制するガイド部77を有する金属製のガイド部材78が車体13側に前述のブラケット33を介して固定されて設けられている。つまり、図3に示すようにヒンジ取付ボルト30およびナット31を介して車体13のルーフレール28にヒンジ17と共締めされるブラケット33に例えば溶接で図4等に示すガイド部材78が固定されている。また、車幅方向において、湾曲アーム54に取り付けられた連結軸53のスライダ71と対向する位置には、このスライダ71の対向部73を案内することで連結軸53および湾曲アーム54の必要以上の車幅方向逆側への移動を規制する金属製のガイド部材80が車体13側に固定されて設けられている。つまり、湾曲アーム54は、これらガイド部材78,80で車幅方向両側が案内されながら旋回するようになっており、これらガイド部材78,80は湾曲アーム54の旋回の全範囲で車幅方向の移動の規制が可能な長さを有している。
ガイド部材78は、ガイド部77が車幅方向において湾曲アーム54側に凸状をなしている。そして、ガイド部材78のガイド部77より上側の板部82および下側の板部83には、それぞれ、湾曲アーム54のスライド部材62の対向部76よりも連結軸53側のスライド部85に摺接して湾曲アーム54の荷重を受ける荷重受部87〜90が、湾曲アーム54の移動方向に間隔をあけて複数具体的には二カ所ずつ配置されている。これら荷重受部87〜90は、すべての車幅方向における位置をスライド部85と重なり合わせるように設けられており、このスライド部85に摺接するようになっていて、アーム側スライダ部60つまり湾曲アーム54の移動を案内する。このようにガイド部材78に支持される荷重受部87〜90は、ガイド部材78、ブラケット33、ヒンジ取付ボルト30およびナット31を介して車体13のルーフレール28に取り付けられる。
荷重受部87〜90は、それぞれが同構成となっており、図8において荷重受部87,88のみを図示して説明すると、ガイド部材78の取付穴92に湾曲アーム54に対し反対側から挿通された状態で、軸線方向一側に形成されたフランジ部93においてガイド部材78に当接することで車幅方向に沿う支持軸94と、この支持軸94のガイド部材78から突出する軸部95に嵌められるブッシュ96と、ブッシュ96に嵌められることでブッシュ96を介して支持軸94に回転自在に支持される樹脂製のガイドローラ97と、軸部95のブッシュ96から突出する部分に嵌められる二重のワッシャ98,99とを有している。ここで、ワッシャ98,99よりも突出する軸部95が加締められることで支持軸94およびガイドローラ97等がガイド部材78に連結される。以上のようにして、荷重受部87〜90のガイドローラ97は軸線を車幅方向に沿わせた状態でガイド部材78に支持されることになる。
荷重受部87は、図4に示すように、テールゲート15が閉状態にあるときのアーム側スライダ部60の後部の上側位置に設けられている。より具体的に、この荷重受部87は、テールゲート15が全閉状態にあるとき、湾曲アーム54のテールゲート15側の連結軸55の前側近傍であってしかも湾曲アーム54の下端部よりも後側となる位置に設けられている。また、この荷重受部87は、図7に示すようにテールゲート15が全開状態にあるとき、湾曲アーム54のロッド52側の連結軸53の上方となる位置に設けられている。
荷重受部88は、図4に示すように、テールゲート15が閉状態にあるときのアーム側スライダ部60の後部の下側位置に設けられている。より具体的に、この荷重受部88は、テールゲート15が全閉状態にあるとき、湾曲アーム54のテールゲート15側の連結軸55の前側近傍であってしかも湾曲アーム54の下端部よりも後側となる位置に設けられている。また、この荷重受部88は、図7に示すようにテールゲート15が全開状態にあるとき、湾曲アーム54のロッド52側の連結軸53とほぼ重なる位置に設けられている。さらに、この荷重受部88は、上記した荷重受部87のほぼ真下となる下方位置に配置されている。
荷重受部89は、図4に示すように、テールゲート15が閉状態にあるときのアーム側スライダ部60の前部の上側位置に設けられている。より具体的に、この荷重受部89は、テールゲート15が全閉状態にあるとき、湾曲アーム54のロッド52側の連結軸53の後側近傍であってしかも湾曲アーム54の下端部よりも前側となる位置に設けられている。また、この荷重受部89は、図7に示すようにテールゲート15が全開状態にあるとき、湾曲アーム54から離間する位置に設けられている。
荷重受部90は、図4に示すように、テールゲート15が閉状態にあるときのアーム側スライダ部60の前部の下側位置に設けられている。より具体的に、この荷重受部90は、テールゲート15が全閉状態にあるとき、湾曲アーム54のロッド52側の連結軸53の後側近傍であってしかも湾曲アーム54の下端部よりも前側となる位置に設けられている。また、この荷重受部90は、図7に示すようにテールゲート15が全開状態にあるとき、湾曲アーム54から離間する位置に設けられている。さらに、この荷重受部90は、上記した荷重受部89とヒンジ17の揺動中心Oとを結んだ線の延長線上に配置されている。
以上の構成の実施例1のパワーテールゲート装置11によれば、図4に示すテールゲート15の全閉状態から電動モータ40の駆動によりラック44を後方に直線移動させ、このラック44によりロッド52を介して湾曲アーム54を旋回させてテールゲート15を開作動させると、特にその初期においては、図9に示すようように、ラック44によりロッド52を介して押圧される湾曲アーム54にロッド52の延長方向後方への荷重F1が発生することになるが、そのうちの湾曲アーム54の移動方向とは異なる方向に生じる分力F1’を、前部上側の荷重受部89が効果的に受けることになる。また、テールゲート15の全閉状態から電動モータ40の駆動によりラック44を後方に直線移動させ、このラック44によりロッド52を介して湾曲アーム54を旋回させてテールゲート15を開作動させると、テールゲート15はアウタステー18の付勢力を受けて開方向に移動することになり、その結果、図9および図10に示すように、湾曲アーム54には上方向にアウタステー18の付勢力による荷重F2が発生することになるが、後部上側に設けられた荷重受部87は常にアーム側スライダ部60の上側位置に位置するためこの荷重F2を効果的に受けることになる。
他方、図7に示すテールゲート15の全開状態から電動モータ40の駆動によりラック44を前方に直線移動させ、このラック44によりロッド52を介して湾曲アーム54を旋回させてテールゲート15を閉作動させると、特に初期において、図11に示すように、湾曲アーム54にはアウターステー18の付勢力により上方向に荷重F3が発生することになるが、後部上側に設けられた荷重受部87はアーム側スライダ部60の上側に位置するためこの荷重F3を効果的に受けることになる。
また、図7に示すテールゲート15の全開状態から電動モータ40の駆動によりラック44を前方に直線移動させ、このラック44によりロッド52を介して湾曲アーム54を旋回させてテールゲート15を閉作動させると、特にその終期において、図12に示すように、湾曲アーム54にはラック44の方向にロッド52に沿って荷重F4が発生することになるが、前部下側に設けられた荷重受部90はアーム側スライダ部60の下側かつ前側に位置するためこの荷重F4のうち湾曲アーム54の移動方向ではない下方かつ前方の分力F4’を効果的に受けることになる。
さらに、ラック44によりロッド52を介して湾曲アーム54を旋回させてテールゲート15を開作動させた時に、特にその終期において、万が一テールゲート15が上側に障害物に衝突すると、図13に示すように、湾曲アーム54に下方向の荷重F5が発生することになるが、後部の下側位置に設けられた荷重受部88がこの荷重F5を効果的に受けることになる。
以上に述べた実施例1のパワーテールゲート装置11によれば、上下に揺動することがない直動式のラック44を用いるため、ラック44を車室側で覆うカバーであるインナカバー36およびルーフライニング37を高い位置に配置でき、乗員の頭部上側のヘッドクリアランスを確保することができる。加えて、ラック44にロッド52を介して湾曲アーム54が連結されているため、ピニオンギヤ部49を含む電動モータ40およびギヤボックス41をテールゲート15の開口よりも前側に離して設けることができる。また、湾曲アーム54に設けられたアーム側スライダ部60に摺接して荷重を受ける車体13側の荷重受部87〜90が湾曲アーム54の移動方向に沿って複数間隔をあけて配置されているため、湾曲アーム54の移動の方向や位置等によって異なる荷重の方向に合わせて荷重受部87〜90を配置でき、湾曲アーム54の荷重を効果的に受けることができる。
また、ラック44によりロッド52を介して湾曲アーム54を旋回させてテールゲート15を開作動させると、テールゲート15はアウタステー18の付勢力を受けて開方向に移動することになり、その結果、湾曲アーム54には上方向に荷重が発生することになるが、湾曲アーム54の移動方向に沿って設けられた荷重受部87〜90のうちテールゲート15が閉状態にあるときのアーム側スライダ部60の後部の上側位置に設けられた荷重受部87でこの荷重を効果的に受けることができる。また、開状態からラック44によりロッド52を介して湾曲アーム54を引くと、特にその初期において湾曲アームにはアウターステー18の付勢力により上方向に荷重が発生するが、湾曲アーム54の移動方向に沿って設けられた荷重受部87〜90のうちテールゲート15が閉状態にあるときのアーム側スライダ部60の後部の上側位置に設けられた荷重受部87でこの荷重を効果的に受けることができる。このように単一の荷重受部87で開閉時の荷重を効果的に受けることができる。
さらに、ラック44によりロッド52を介して湾曲アーム54を旋回させてテールゲート15を開作動させると、特にその初期においては、ロッド52から湾曲アーム54にテールゲート15方向の荷重が発生することになるが、そのうちの湾曲アーム54の移動方向と異なる方向の分力を、湾曲アーム54の移動方向に沿って設けられた荷重受部87〜90のうちテールゲート15が閉状態にあるときのアーム側スライダ部60の前部の上側位置に設けられた荷重受部89で効果的に受けることができる。
加えて、ラック44によりロッド52を介して湾曲アーム54を引いてテールゲート15を閉作動させると、特にその終期においては、湾曲アーム54にラック44の方向に荷重が発生することになるが、そのうちの湾曲アーム54の移動方向と異なる方向の分力を、湾曲アーム54の移動方向に沿って設けられた荷重受部87〜90のうちテールゲート15が閉状態にあるときのアーム側スライダ部60の前部の下側位置に設けられた荷重受部90で効果的に受けることができる。
さらに、ラック44によりロッド52を介して湾曲アーム54を旋回させてテールゲート15を開作動させた時に、特にその終期において、万が一テールゲート15が障害物に衝突すると湾曲アーム54に下方向の荷重が発生することになるが、湾曲アーム54の移動方向に沿って設けられた荷重受部87〜90のうちテールゲート15が閉状態にあるときのアーム側スライダ部60の後部の下側位置に設けられた荷重受部88でこの荷重を効果的に受けることができる。
加えて、荷重受部87〜90が、テールゲート15用のヒンジ取付ボルト30を介して車体13に取り付けられているため、ヒンジ中心Oと荷重受部87〜90との位置決めを精度良く行うことができ、テールゲート15の開閉がスムーズとなる。
次に、実施例2を図14〜図16を参照して実施例1との相違部分を中心に説明する。なお、実施例1と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
実施例2において、湾曲アーム54のアーム側スライダ部60には、先端側のみを被覆するように樹脂製の対向部76が固定されており、アーム側スライダ部60のこの対向部76よりも車幅方向における連結軸53側の基材61からなる部分がスライド部85となっている。
また、実施例2において、テールゲート15が閉状態にあるときのアーム側スライダ部60の後部の上側位置に設けられる荷重受部87は、ガイド部材78の取付穴92に挿通された状態で軸線方向一側に形成されたフランジ部93においてガイド部材78に当接することで車幅方向に沿う支持軸94を有している。また、この支持軸94のガイド部材78から突出する軸部95に、ワッシャ104が嵌められ、さらにブッシュ96が一対嵌められており、一対のブッシュ96に樹脂製のガイドローラ97が回転可能に嵌められている。さらに、実施例2の荷重受部87は、支持軸94の軸部95が他方のガイド部材80の取付穴101に挿通され、このガイド部材80からさらに突出する部分が加締められている。軸部95のブッシュ96とガイド部材80との間の部分にはワッシャ102およびカラー103が嵌められている。
加えて、実施例2において、スライダ71はロッド52と共通の一つのブッシュ67に嵌合されている。
さらに、実施例2において、テールゲート15が閉状態にあるときのアーム側スライダ部60の後部の下側位置に設けられる荷重受部88はガイド部材78に対し着脱可能とされている。
つまり、ガイド部材78には、図15に示すように、下部の板部83の下端側からアーム側スライダ部60と平行するように延出する延出板部105が形成されている。そして、この延出板部105には取付穴106が形成されており、この取付穴106に環状の凸部109において嵌合させられた状態でガイドブロック108がこれに螺合させられるネジ部材107およびワッシャ110によって延出板部105に取り付けられている。このガイドブロック108は、ネジ部材107の螺合が解除されることでガイド部材78から取り外される。
加えて、実施例2において、テールゲート15が閉状態にあるときのアーム側スライダ部60の前部の上側位置に設けられる荷重受部89、およびテールゲート15が閉状態にあるときのアーム側スライダ部60の前部の下側位置に設けられる荷重受部90もガイド部材78に対し着脱可能とされいる。
つまり、ガイド部材78には、図16に示すように、上部の板部82の上端側および下部の板部83の下端側からそれぞれアーム側スライダ部60と平行するように延出する延出板部105が形成されており、これらの延出板部105にそれぞれ取付穴106が形成されている。そして、荷重受部89,90においては、荷重受部88と同様に、これらの延出板部105の取付穴106に環状の凸部109において嵌合させられた状態でガイドブロック108がそれぞれに螺合させられるネジ部材107およびワッシャ110によって延出板部105に取り付けられている。これらのガイドブロック108は、それぞれネジ部材107の螺合が解除されることでガイド部材78から取り外される。
以上に述べた実施例2のパワーテールゲート装置によれば、荷重受部88〜90が、着脱可能に設けられているため、経時変化により荷重受部88〜90が摩耗し湾曲アーム54との位置関係がずれてもこれを交換することで位置関係を元に戻すことができる。
また、荷重受部88〜90は、高さの異なる複数種類のガイドブロック108を準備しておくことで、適した高さのガイドブロック108を取り付けることにより湾曲アーム54との位置関係つまりスライド部85との間の隙間の大きさを容易に調整することができる。この場合、荷重受部88〜90の位置調整部分がガイドブロック108となっているため、位置調整を容易に行うことができる。なお、高さの異なるガイドブロック108を準備するのではなく、ガイドブロック108と延出板部105との間にシムを噛ませ、このシムの厚さを調整することでガイドブロック108の位置調整を行うようにしても良い。
なお、上記した実施例1および実施例2において、ガイドローラ97の外周側であってスライド部85と摺接する部分に別途樹脂を貼り付けるようにしても良い。