JP4043888B2 - 画像入力装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は「撮像光学系による被写体像を撮像手段により入力する画像入力装置」に関する。この発明は特に、デジタルカメラのように「撮像光学系による被写体像を撮像手段により電気信号化して入力する画像入力装置」に対して好適に適用できる。
【0002】
【従来の技術】
デジタルカメラ等の画像入力装置には、撮影者が画像入力装置を構えたときの手ブレ量に代表される「ブレ」の程度を検出するブレ検出手段を有しているものが多い。このようにブレを検出すると、検出されたブレ状態に応じて撮影条件に適合するように露光タイミングをずらせることにより、ブレの影響を有効に軽減して画像入力を行うことができる。
【0003】
さらに、ブレ補正手段を用いて「撮像面もしくは、撮像面上の被写体像を変位させ、被写体像と撮像面との相対的な変位を小さくし」て露光を行うブレ補正方式も種々提案されている。
【0004】
従来提案されたブレ補正方式は何れも、ブレ補正手段の応答動作が理想的である場合を前提としている。しかしながら、現実にはブレ補正手段を構成するセンサ、回路、アクチュエータ、機構の応答性能は完全ではあり得ず、如何に応答性を考慮して設計を行なっても、ミリセカンドオーダーの応答遅れが不可避的に残存してしまう。
【0005】
このような「ブレ補正手段の応答遅れ」を考慮したブレ補正として、特開平5−204012号公報等に、ブレ補正手段の「予測制御」を行う方法が提案されているが、予測制御では制御が煩雑になるし、予測しにくいブレの場合は逆に性能劣化を惹起しかねない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は上述した事情に鑑み、画像入力装置における「ブレ補正の応答遅れによるブレ補正効果の劣化」を簡易かつ有効に軽減することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の画像入力装置は「撮像光学系による被写体像を撮像手段により入力する画像入力装置」であって、ブレ検出手段と、ブレ補正手段と、ブレ補正制御手段と、ブレ極値検出手段と、撮影開始操作手段とを有する。
この明細書において「ブレ」は、「手ブレ」が代表的であるが、これに限らず、画像入力装置を自動車や飛行機、遠隔操作の走行体等に装着した場合の被装着体によるブレ等をも含む。
【0008】
画像入力装置はレンズシャッタカメラのようなアナログカメラであることもできるし、「撮像光学系による被写体像を撮像手段により電気信号化して入力するデジタルカメラ」であることもできる。
【0009】
「ブレ検出手段」は、画像入力装置のブレ量を検出する。ブレ検出手段は従来からデジタルカメラ等に関連して種々のものが提案されており、この発明の画像入力装置においても、これら公知の種々のブレ検出手段を適宜利用することができる。
【0010】
「ブレ補正手段」は、撮像面および/または撮像面上の被写体像を変位させて、ブレの影響を補正する手段である。即ち、ブレ補正手段は、撮像面と被写体像の相対的な変位速度を0もしくは小さくすることにより、被写体像が撮像面上で「できるだけ変位しない」ようにする。
【0011】
この目的のため、ブレ補正手段は「撮像面あるいは被写体像、もしくは撮像面と被写体像」を変位させる。ブレ補正手段も従来からデジタルカメラ等に関連して種々のものが提案されており、この発明の画像入力装置においても、これら公知の種々のブレ補正手段を適宜利用できる。
【0012】
「ブレ補正制御手段」は、ブレ検出手段の出力から、ブレ補正手段における補正のための変位駆動量を演算し、ブレ補正手段を駆動させる。
ブレ補正制御手段は、画像入力装置のシステムを制御する「システムコントローラ(CPUやマイクロコンピュータにより構成される)」の演算・制御機能として構成できる。
【0013】
「ブレ極値検出手段」は、ブレ検出手段の出力により、ブレの向きが変化するブレ量の極値を検出する。「ブレ」はその名が示すように振動的であり「振れの向き」は交互に反転する。上記「ブレの向きが変化する」とは、この「振れの向きの反転」を意味する。
【0014】
「ブレ量」は、ブレ検出手段により検出されるブレの程度である。ブレには往復2つの向きがあるので、時間軸を横軸にとってブレ量を表せば「2次元の振動的な曲線」となる。このような曲線を考えたとき、フレの向きの反転は、上記曲線における「極値(時間微分が0となる時点)」に対応する。
【0015】
ブレを表す上記曲線は振動的であるので、極値には極大値と極小値とがあることになる。極値は上記の如く、ブレ検出手段が検出するブレ量を時間で微分したときの微分値が0となる時点であるから、時間的に変化するブレ量の微分演算により検出することができる。従って「ブレ極値検出手段」は、上記システムコントローラ」の演算機能として構成することができる。
【0016】
「撮影開始操作手段」は、撮影開始を指示するための操作を行うための手段である。例えば、レリーズスイッチがこれに当たる。
【0017】
この発明の画像入力装置は「撮影開始操作手段の操作により撮影開始が指示されたとき、ブレ極値検出手段によるブレ量の極値の検出以後に露光を開始する」ことを基本とするものである。
【0018】
露光は、極値の検出後「直ちに露光を開始」するようにすることもできるが、「ブレ極値検出手段によりブレ量の極値が検出されてから所定時間経過後に露光を開始する」ようにすることもできる。この場合の「所定時間」は、ブレ補正手段の応答遅れ時間に等しく設定することができる。
【0019】
ブレ量の極値として前記極大・極小を検出する場合、極大・極小に拘わらず極値を検出した後あるいはその所定時間後に露光を開始するようにできるが、ブレの向きの「正方向から負方向への変化(極大)」と「負方向から正方向への変化(極小)」との2種類の変化のうち、所定の一方が検出された場合のみに露光を開始するようにしても良い。
【0020】
上記ブレ補正手段は「圧電アクチュエータを駆動源とするもの」として構成することができる。
この場合、ブレ極値検出手段がブレ量の極値(極大・極小)のうち「極値直後における圧電アクチュエータへの印可電圧を増加させる極値」の検出以後に露光を開始する。
【0021】
上記請求項1記載の画像入力装置においては「ブレ極値検出手段によるブレ量の極値の検出後、露光開始までの間に、ブレ補正手段の駆動を開始」する。そして、直後の補正動作方向への動作幅が広くなる方向に、ブレ補正手段の駆動開始位置を所定量ずらして、ブレ補正手段の駆動を開始する。
【0022】
請求項1記載の画像入力装置は「ブレ検出手段の出力により、ブレの周波数を検出するブレ周波数検出手段」を有することができる。この場合、ブレ補正手段の「駆動開始位置に対する所定のずらし量」をブレ周波数検出手段の検出結果に応じて変化させることができる(請求項2)。
【0023】
あるいはまた、上記駆動開始位置に対する所定のずらし量を「シャッタ秒時または焦点距離、もしくはその両方に応じて変化させる」ことができる。
「ブレ周波数検出手段」は、上記システムコントローラの演算機能として構成できる。
【0024】
上記基本となる画像入力装置は「シャッタ秒時が所定値よりも長いときは、ブレ極値検出手段による極値の検出を待たずに露光を開始する」ように構成することができる(請求項3)。この場合、上記「ブレ周波数検出手段」によりブレ周波数を検出し、検出されたブレ周波数に応じて上記「所定のシャッタ秒時」を変化させることもできる。
【0025】
上記基本となる記載の画像入力装置はまた「露光開始から所定時間内にブレ極値検出手段により逆の極値が検出された場合は直ちに露光を中止し、再露光を開始する」ように構成することができる(請求項4)。
ここに「逆の極値」とは、極大に対する極小、極小に対する極大である。即ち、請求項4記載の画像入力装置では、例えば「ブレ量の極小」の検出後に露光を開始し、その露光中(露光開始から所定時間内)にブレ量の極大が検出されたら、実行中の露光をやめて「露光を新たにやり直す」のである。
【0026】
この場合「再露光の開始前にブレ補正手段を一旦リセットする」ことが好ましい。また、請求項4記載の画像入力装置において、上記「露光開始から所定時間内」における所定時間を、シャッタ秒時に応じて変化させることができる。
【0027】
また、上記請求項4記載の画像入力装置において「再露光回数が所定の回数を越えた場合」は、ブレ極値検出手段による極値検出に関わらず、露光を継続するようにすることができる。
【0028】
上記基本となる画像入力装置はまた、ブレ検出手段及びブレ補正手段を複数組有することができ、この場合には、ブレ極値検出手段により「1つのブレ検出手段の出力(ブレ量)の極値」を検出する(請求項5)。
【0029】
この場合、ブレ量の極値を検出するべきブレ検出手段は「カメラを水平に構え(セットし)た状態での上下方向のブレを検出するブレ検出手段」として一義的に定めておいても良いし、「カメラを横撮りで構え(セットし)たか、縦撮りで構え(セットし)たかを撮影姿勢検出手段で検出し、この撮影姿勢検出手段により天地方向(上下方向)と判断された方向のブレ量を検出するブレ検出手段」としてもよい。「撮影姿勢検出手段」としては一般的な重力センサ等を用いることができる。
【0030】
請求項5記載の画像入力装置においては「複数のブレ検出手段の出力を比較し、ブレ振幅が最も大きいブレ検出手段がどれであるかを確定する最大ブレ方向確定手段」を用いることにより、この最大ブレ方向確定手段により確定された方向におけるブレ量の極値の検出とこれを利用した露光開始タイミングの制御を行うようにできる(請求項6)。
【0031】
「最大ブレ方向」は、各ブレ検出手段が検出するブレ量の隣接する極値間の差を演算し、演算結果の大小を比較することで確定できる。
【0032】
あるいはまた、複数のブレ検出手段の出力を比較し、ブレ周波数が最も小さいブレ検出手段がどれであるかを「最小ブレ周波数方向確定手段」により確定し、この最小ブレ周波数方向確定手段により、ブレ周波数が最も小さいと判断された方向のブレ量を検出するブレ検出手段の極値の検出とこれを利用した露光開始タイミングの制御を行うようにできる。
【0033】
最小ブレ周波数方向は、各ブレ検出手段が検出する隣接極値間の時間差の逆数を演算し、演算結果の大小を比較することで確定できる。
従って、最小ブレ周波数方向確定手段や最大ブレ方向確定手段は、前述のシステムコントローラの演算機能として構成できる。
【0034】
請求項1〜10の任意の1に記載の画像入力装置は「デジタルカメラ」として実施することができる。また、基本となる画像入力装置はレンズシャッタカメラ等のアナログカメラとしても実施できる。
【0035】
以下、この発明の基本思想を簡単に説明する。
説明の具体性のため、画像入力装置としてデジタルカメラを想定し、ブレ補正は「ブレによる被写体像の変動をキャンセルするように撮像面を変位させる」ことにより行うものを想定する。
【0036】
図1(a)において、縦軸はブレ量、補正量、横軸は時間を表している。
図1(a)において、実線で示す曲線1−1は画像入力装置であるデジタルカメラのブレによる「撮像面上における被写体像の変動の様子」を表している。また、破線で示す曲線1−2は「被写体像の変動をキャンセルするように変位する撮像面の動き」を表している。曲線1−2は、曲線1−1を時間軸方向へ時間:Δtだけ平行移動させたものになっている。即ち、時間:Δtは前述した「ブレ補正手段の応答遅れ」である。
【0037】
ブレ補正手段の応答遅れ:Δtが0であれば、撮像面は被写体像の変動に完全に合致して変位し、ブレの存在に拘わらず撮像面と被写体像との間に相対的な変位はなく、ブレの影響を完全に除去することができる。しかし実際には必ず応答遅れ:Δtが存在する。応答遅れ:Δtは「デジタルカメラごとに固有の値」でミリセカンドのオーダーであるが、出荷前に実測により特定できる。
【0038】
有限の応答遅れ:Δtがあると、曲線1−1と1−2とは時間軸方向にずれ、例えば、図1(a)の時点:Aで示す部分で見た場合、被写体像と撮像面との間には曲線1−1、1−2の差分として「空間的なずれ」が存在し、この空間的なずれは10μmオーダーである。
【0039】
図1(a)の如く、応答遅れ:Δtが存在している状況のもとで、時点:Aでレリーズスイッチを「全押し」して直ちに露光を開始し、区間:A〜Bで露光を行った場合を考えて見る。このような露光方式を「露光a」と称する。
【0040】
図1(b)〜(d)において、符号Sは撮像面、点:Qは撮像面の中心を模式的に表している。また、点:Pは被写体像における代表的な点(以下「代表点」と言う)を模式的に表している。このとき、露光aが行われる間(A〜B間)における撮像面中心:Qと被写体像の代表点:Pとの位置関係がどのようになるかを考える。
【0041】
図1(b)は時点:Aにおける両者の位置関係を示している。このとき、図1(a)に示すように、代表点:Pはブレの影響により、デジタルカメラ内の基準の撮像面位置に対して曲線1−1に従って下方へ変位しており(図1(b)に示す丸印の矢印方向)、撮像面中心は代表点:Pの変位を時間:Δt遅れで追従して下方へ変位している(同(b)の+印の矢印方向)。
【0042】
時点:Aの状態から時間の経過と共に、撮像面中心:Qと代表点:Pとの間隔は狭まり、図1(a)において曲線1−1、1−2が交叉する時点:Gにおいては両者が一致する。図1(c)はこのときの状態を示している。
【0043】
この時点:Gにおいては、曲線1−1は極値(極小)をすぎて極大側へ向いつつあり、代表点:Pの変位の向きは上向きに反転している。一方、撮像面中心:Qは、曲線1−2に従って曲線1−2の極小へ向いつつあり、変位の向きはなお下方へ向いている。
【0044】
このため、時点:Gにおいては、図1(c)に示すように、代表点:Pの変位の向きと、撮像面中心:Qの変位の向きとは互いに逆向きとなっている。さらに時間が経過し、露光の終了する時点:Bにおいては、曲線1−1、1−2ともに上方へ向い、代表点:P、撮像面中心:Qの位置関係は図1(d)に示すようになり、両者の変位の向きは共に上向きである。
【0045】
図1(d)において、符号:P’は、時点:Aにおける代表点:Pの位置を示している。図1(b)〜(d)に示すように、露光aにおいて露光が行われている間に、被写体像と撮像面とは図1(d)に示す距離:Xだけ「ずれる」ことになる。このずれ量:Xを、撮像面と被写体像との「実効的な残留ブレ」とよぶ。「実効的な残留ブレ」は、露光時間内に発生したブレ量と、ブレ補正によって補正できた量との差であり、「補正しきれなかった分」である。
【0046】
このように、レリーズスイッチ全押しとともに露光を開始する「露光a」では、露光時間内に被写体像と撮像面とが「実効的な残留ブレ:X」だけ相対的に変位するため、撮影された画像には残留ブレ:Xに応じた「像のぼけ」が生じ、撮影画像の解像度を低下させてしまう。
【0047】
図1(e)は、上に説明した露光aの場合における「残留ブレ(撮像面中心:Qと代表点:Pとの間隔)」が時間(横軸)と共に変化する様子を示している。図に示されているように、実効的な残留ブレは「露光時間内の残留ブレの変化の最大幅」である。
【0048】
図1(a)に示す露光bと露光cは、この発明の場合であり、露光bにおいては、時点:Aにおいてレリーズスイッチが全押しされたのち、ブレ量(曲線1−1)の変化を追跡し、(時点:Aから時間:T後の)時点:Cにおいて曲線1−1が極値(極小)を取り「ブレの向きが反転」するのを検出してから露光を開始し、時点:C〜D間に露光を行う。
【0049】
このときの、撮像面中心:Qと代表点:Pとのずれ量である「残留ブレ」の変化を、図1(e)に倣って図1(f)に示す。この図に示された「実効的な残留ブレ」を図1(e)に示す露光aの場合と比較すれば明らかなように、露光bでは、露光aよりも実効的な残留ブレが有効に減少している。
【0050】
露光cでは、時点:Aにおいてレリーズスイッチが全押しされたのち、ブレ量(曲線1−1)の変化を追跡し、(時点:Aから時間:T後の)時点:Cにおいて曲線1−1が極値(極小)を取り「ブレの向きが反転」するのを検出してからさらに所定時間後(図の例では応答遅れ時間:Δt後)の時点:Eから露光を開始し、時点:E〜F間に露光を行う。
【0051】
このときの、撮像面中心:Qと代表点:Pとのずれ量である「残留ブレ」の変化を図1(e)に倣って図1(g)に示す。図示のように「実効的な残留ブレ」は露光bの場合に比しても一段と減少している。
【0052】
このように、この発明で実施される露光b、露光cによれば、ブレ補正手段における応答遅れに起因する「実効的残留ブレ」を有効に軽減させることができ、実効的な残留ブレによる撮影画像における「像のぼけ」を有効に軽減して、撮影画像の解像度低下を小さくできる。
【0053】
実効的な残留ブレは、上述の如く「露光時間内の残留ブレの変化の最大幅」であるから、残留ブレが0でなくても、残留ブレ自体に変化がなければ、実効的な残留ブレは0であり、例えば、残留ブレ自体が10画素分でも30画素分でも、被写体像は撮像面に対して移動しないのでブレの影響を除去できることになる。
【0054】
この発明ではこの事実を利用し、「ブレ補正手段の応答遅れの影響を抑えるため、ブレの向きが一定の部分で(即ち、露光時間内にブレ量の変化の極値を含まないようにして)露光する」のである。
【0055】
換言すると、「1」直線的な一方向のブレ状態で露光が完了すれば、応答遅れが有ったとしても実効的な残留ブレは0となり、「2」ブレの変化が直線的でなくとも一方向のブレ状態で露光が完了すれば、実効的な残留ブレは比較的小さくて済むが、「3」露光時間内にブレの向きが変化(ブレ量の変化が極値を通過)すると応答遅れによる実効的な残留ブレが大きな量となる(図1(e)参照)ので、この発明では、上記「1」、「2」の状態を実現しようとするのである。
【0056】
ブレの代表格である手ブレでは、「ブレの周波数」は概ね5〜10Hzの範囲にあることが知られている。上記周波数は画像入力装置の使用者により、カメラの形態により、更には同じ使用者でも体調や精神状態などによって「ばらつく」が上記範囲を大きく逸脱することはない。
【0057】
この点に着目すると、手ブレの場合には、一度ブレの向きが反転する(ブレ量の変化が極値を通過する)とその後50〜100ms程度は「同一の向き」のブレが続く確率が高くなるので、この発明では、ブレ量の変化の極値(ブレの向きの変化)を検出し、その後から露光を開始することにより、上記「1」、「2」の状態で露光が行われる確率が高くなるようにする。一般的なブレの場合も、この考え方を敷衍して、上記「1」、「2」の状態で露光が行われる確率が高くなるようにできる。
【0058】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を説明する。図2〜図4に、この発明を実施できる画像入力装置であるデジタルカメラの模式的構成図を3例挙げる。以下、これらについて簡単に説明するが、煩雑を避けるため、混同の恐れがないと思われるものについては図2〜図4を通じて同一の符号を付する。
【0059】
図2に示す画像入力装置は、撮影レンズ系の一部のレンズを光軸に対して直角方向にシフトし、結像面上の被写体像を変位させることによって、ブレ補正を行なう方式(「レンズシフト方式」)のものである。
【0060】
鏡胴ユニット10Aは、レンズL1、L2、ローパスフィルタF、CCDエリアセンサ等の撮像素子ユニットISを有している。
被写体からの光はレンズL1、L2により撮像ユニットIS側へ導光され、ローパスフィルタFを介して撮像素子ユニットISの受光面上に被写体像として結像する。即ち、レンズL1、L2、ローパスフィルタFは「撮像光学系」を構成する。また撮像素子ユニットISの受光面が「撮像面」である。
【0061】
撮像素子ユニットISから出力される画像信号は被写体像を電気信号に変換したものであり、A/D変換器11でデジタル信号に変換され、画像処理部12を介してシステムコントローラ15に入力される。即ち、撮像素子ユニットIS、A/D変換器11、画像処理部12は「撮像手段」を構成する。
【0062】
画像入力手段(カメラ)の手ブレは、ぶれ検出部16で検出され、ぶれ検出回路部17で信号化される。これら、ぶれ検出部16、ぶれ検出回路部17は「ブレ検出手段」を構成する。
【0063】
一方、カメラ操作部18はレリーズスイッチやモードスイッチ等を含み、レリーズスイッチは「撮影開始を指示するための撮影開始操作手段」を構成する。
【0064】
システムコントローラ15はマイクロコンピュータ等で構成され、その機能として「ブレ補正制御手段(図中の、ぶれ補正制御部)」、「ブレ極値検出手段(図中の、ぶれ極値検出部)」、「ブレ周波数検出手段(図中の、ぶれ周波数検出部)」等が設定されている。メモリ群19には各種データや制御プログラムが格納され、また、撮像により入力された画像データを記憶できるようになっている。
【0065】
ぶれ検出部16、ぶれ検出回路部17により構成される「ブレ検出手段」によるブレ情報がシステムコントローラ15に入力されると、同コントローラ15は「ブレ補正制御手段」として、ブレ補正手段における補正のための変位駆動量を演算し、ブレ補正手段を駆動させる。
【0066】
即ち、システムコントローラ15から出力される変位駆動量の情報は、ぶれ補正駆動回路20に送られ、同回路20は補正用アクチュエータ22を駆動し、伝達部23を介してレンズL2を光軸に直交する方向へ変位させる。変位されるレンズL2の位置は補正系位置検出部25により検出され、システムコントローラ15に入力される。システムコントローラ15は補正系位置検出部25からの信号に基づき、レンズL2の変位をフィードバック制御する。
【0067】
補正用アクチュエータ22と伝達部23とで構成される、ぶれ補正ユニット24と、ぶれ補正駆動回路20と補正系位置検出部25とは「ブレ補正手段」を構成し、撮像面上における被写体像を変位させる。システムコントローラ15はまた、鏡胴駆動回路26によりレンズ駆動系27を介してレンズL1を光軸方向へ変位させ、ズーミングやフォーカシング等を行う。
【0068】
図3に示す画像入力装置(カメラ)は、被写体結像光路内に配置された頂角可変プリズムP1(レンズL1、L2、ローパスフィルタF、撮像素子ユニットISとともに鏡胴ユニット10Bを構成する)の頂角を変化させることにより、撮像面上における被写体像を変位させてブレ補正を行なう方式(「頂角可変プリズム方式」)のものである。図2と同一の符号を付した部分の作用は図2におけると同様である。
【0069】
「ブレ補正制御手段」としてのシステムコントローラ15は、ブレ量に応じて、ぶれ補正駆動回路20により補正用アクチュエータ22を動作させ、伝達部23を介して頂角可変プリズムP1の頂角を変化させる。この頂角変化に伴い、被写体像が撮像面(撮像素子ユニットISの受光面)に対して、図の上下方向に変位してブレ補正が行われる。
【0070】
頂角可変プリズムP1の頂角変化は補正系位置検出部25Aで検出されてシステムコントローラ15にフィードバックされる。頂角可変プリズムP1と補正用アクチュエータ22と伝達部23とは、ぶれ補正ユニット24Aを構成する。ぶれ補正ユニット24Aと、ぶれ補正駆動回路20と、補正系位置検出部25Aとは「ブレ補正手段」を構成する。
【0071】
図4に示す画像入力装置(カメラ)は、撮像面(撮像素子ユニットISの受光面)を撮像光学系の光軸に直交する方向へ変位させることにより、撮像面を被写体像に対して変位させてブレ補正を行う方式(「結像面シフト方式」)のものである。図2と同一の符号を付した部分の作用は図2におけると同様である。
【0072】
「ブレ補正制御手段」としてのシステムコントローラ15は、ブレ量に応じて、ぶれ補正駆動回路20により(積層型圧電素子等による)補正用アクチュエータ22を動作させ、伝達部23を介して撮像素子ユニットISを図の上下方向に変位させる。この変位に伴い、被写体像に対して撮像面(撮像素子ユニットISの受光面)が、図の上下方向に変位してブレ補正が行われる。
【0073】
撮像素子ユニットISの変位位置は補正系位置検出部25Bで検出されてシステムコントローラ15にフィードバックされる。この画像入力装置では、撮像素子ユニットISと伝達部23と補正用アクチュエータ22とが、ぶれ補正ユニット24Bを構成する。
【0074】
ぶれ補正ユニット24Bと、ぶれ補正駆動回路20と、補正系位置検出部25Aとは「ブレ補正手段」を構成する。
【0075】
なお、図2〜図4に示す各画像入力装置において、撮像素子ユニットISとA/D変換器11と画像処理部12の部分を「フィルム」に置き換えれば、各装置はアナログカメラとなる。
【0076】
説明を若干補足すると、ブレ補正はカメラ上下方向のブレと左右方向のブレの双方を同時に補正する構成とする場合が多いが、図2〜図4では、簡略化のため、1方向のブレを検出し、その方向のみのブレ補正を行なう図としている。
【0077】
また、補正系位置検出によるフィードバックを行ないフィードバック制御を行う構成としているが、ある程度の補正量精度が確保できれば、必ずしもフィードバック制御である必要はない。さらに、補正用アクチュエータと駆動される部材(シフトされるレンズや頂角可変プリズム、撮像素子ユニット)の間に、「伝達部」を介在させているが、アクチュエータで直接駆動する方式でも良い。
【0078】
図2〜図4に示した各カメラは、撮像光学系L1、L2、Fによる被写体像を撮像手段IS、11、12により入力する画像入力装置であって、画像入力装置のブレ量を検出するブレ検出手段16、17と、撮像面および/または撮像面上の被写体像を変位させて、ブレの影響を補正するブレ補正手段20、24、25、(20、24A、25A)、(20、24B、25B)と、ブレ検出手段の出力から、ブレ補正手段における補正のための変位駆動量を演算し、ブレ補正手段を駆動させるブレ補正制御手段15と、ブレ検出手段の出力により、ブレの向きが変化するブレ量の極値を検出するブレ極値検出手段15と、撮影開始を指示するための撮影開始操作手段18とを有する。
【0079】
そして、以下に説明するように、撮影開始操作手段18の操作により撮影開始が指示されたとき、ブレ極値検出手段15によりブレ量の極値の検出以後に、露光を開始するのである。
【0080】
図6と図7に「ブレ補正と露光の手順を表すフローチャート」を示す。この手順は、上に説明した図2〜図4のカメラに適宜に適用できる。なお、図6、図7のフローチャートにおいてはブレ補正を「手ブレ補正」としているが、フローチャートにおける「手ブレ」は、手ブレのみならず、前述した「一般的なブレ」を意味するものである。
このフローチャートでは請求項2記載の発明が実施されており、「ブレ極値検出手段によるブレ量の極値の検出」は#21(「極値検出」)で実行され、所定時間経過後に露光を開始することは#24(「ウエイト」)、#25(「露光開始」)で実行され、#24の「ウエイト(待期)」の待期時間:Tdが「所定時間」である。
【0081】
図4のカメラにおいて、撮像素子ユニットISを変位駆動する補正用アクチュエータ22として「積層型圧電素子」を例示したが、積層型圧電素子は補正用アクチュエータとして好適なものであり、図2に示すカメラにおけるレンズL2を変位させる補正用アクチュエータ22や、図3のカメラにおいて頂角可変プリズムP1の頂角を変化させるための補正用アクチュエータ22としても用いることができる。
【0082】
積層型圧電素子による駆動は、コイルと永久磁石を用いる電磁駆動に比して応答性が高く、比較的大きな駆動力を得られる利点があるが、電圧を加えていった場合と、減らしていった場合とで挙動が同じにならないという特性がある。
【0083】
図5(a)は、上記特性:電圧−変位特性のヒステリシスの典型的な1例を示している。このようなヒステリシスがあると、例えば、図4のカメラのように撮像素子ユニットを変位させてブレ補正を行う際に、印加電圧を増加させる場合と減少させる場合とで、ブレ補正動作が異なることになり、ブレ補正の誤差を生じることになる。
【0084】
このような「ヒステリシスによるブレ補正誤差」を回避する方法として、加電圧方向と減電圧方向の変位特性をそれぞれカメラ内の記憶部(メモリ群19)に記憶しておく方法が考えられるが、専用のメモリ容量を必要とし制御も煩雑となる。
【0085】
請求項8記載の画像入力装置では、ブレ補正手段を「圧電アクチュエータを駆動源とするもの」として構成し、ブレ極値検出手段が、ブレ量の極値(極大・極小)のうち「極値直後における圧電アクチュエータへの印可電圧を増加させる極値」の検出以後に露光を開始する。このようにして、印加電圧の増減のうち何れか一方の変位特性のみで、ブレ補正を極力完結させるようにする。
【0086】
図6、7に示すフローチャートにおける#21の「所定方向極値」が「極値直後における圧電アクチュエータへの印可電圧を増加させる極値」に相当する極値である。
【0087】
例えば、ブレの向きが正方向(図1で右上がり)のときは、撮像素子ユニットの変位もブレの向きと同じ向きに駆動されるが、このときの積層型圧電素子に印加する電圧の変化の方向として、増加の方向と減少の方向の何れかを対応させることになる。
【0088】
図5(a)のようなヒステリシスを示す積層型圧電素子を用いた補正系を用いる場合、同図(b)に示す如く、正方向(印加電圧増加方向)の変位特性も負方向(印加電圧減少方向)の変位特性も、数本の直線で置き換えることになるが、図5(b)から明らかなように、誤差は負方向の近似直線の方が大きい。
【0089】
そこでこのような場合、補正系の変位特性が直線に近くなる「印加電圧を増加させる」状態でブレ補正を行い、極値のうちの極小(ブレの向きが負から正に変化する)を検出したときだけ露光を開始させるようにする。このようにすることにより、正方向の変位特性だけを「詳細データ」として保持していれば良好なブレ補正効果を実現できる。勿論、露光途中でブレの向きが反転することも考えられるので、負方向の変位特性のデータも保持するに越したことはない。
【0090】
このように正・負両方向とも変位特性のデータをカメラ内に保持している場合でも「より誤差が少ない方向の補正」を優先的に行なうことにより、ブレ補正効果をより高めることができる。即ち、積層型圧電素子をアクチュエータとして用いる場合、上の場合で言えば、「積層型圧電素子への印加電圧を増加させる方向のブレ補正を行なえるような向き」の極値を検出してから露光を開始するのが好ましい。
【0091】
積層型圧電素子駆動に限らず、伝達系に片方向のばねを用いた場合などでも上記と同様の「動作方向による差異」が発生するため、この場合も上記と同様にして、動作方向による差異に起因するブレ補正誤差を軽減できる。
【0092】
極値検出が行われている「ある時点」でのブレの向きが負(図1(a)で下向き)であれば、次に検出される極値の後のブレの向き正であることになり、従って、ブレ量の検出の最中に「これからどちら方向へ補正駆動をするのか」を知ることができる。
【0093】
一方において、実行するブレ補正が「最大補正量」の中に収まるか否かは、補正効果に及ぼす影響が大きい。
【0094】
従って、ブレ検出において「ブレ極値検出手段によるブレ量の極値の検出後、露光開始までの間にブレ補正手段の駆動を開始する」ようにし(図6、図7のフローチャートの#23(「手ブレ補正動作再開」))、極値の検出待ちをしている間に「ブレ補正の開始位置を、これから動作させる方向への動作幅が広くなる位置」にずらしておけば(請求項5 図6、7のフローチャートの#19(「補正スタート位置演算」)、#20(「補正スタート位置設定」))、実行するブレ補正が最大補正量からはみ出す確率を減らすことができる。このように、ブレ補正開始動作を露光直前まで待つことにより、より効果的なブレ補正動作を行なうことができる。
【0095】
デジタルカメラ等では、ブレ補正効果を撮影者が視認できるように、第1レリーズ(シャッタ半押し)でブレ補正動作を開始するのが普通であるが、このようなカメラにおいても、第2レリーズ動作によりブレ補正動作を一時中止し、露光直前から再び開始することにより、請求項1に記載の発明を適用できる(図6、7のフローチャートにおける#11(「手ぶれ補正動作一旦中止」))。
【0096】
請求項1記載の発明を実施するに際しては「これから動作させる方向への動作幅が広くなる位置」をどこに設定すれば、確率的に最良の補正効果が得られるかが問題となる。検出される極値後のブレが、露光時間中同一の向きに続く確率が高ければ、上記位置を「これから動作させる方向とは逆の端」に設定するのが好ましいが、露光中にブレの向きが反転する確率がある程度存在する場合は、「これから動作させる方向とは逆の方向にも多少の動作範囲を残した位置」とするのが好ましい。
【0097】
実行するブレ補正が最大補正量から大きくはみ出すと「露光中にブレの向きが反転する」ことによる問題以上の悪影響が補正効果に現れる。従って、実行するブレ補正が最大補正量からはみ出すことは避けるべきであり、そのため、状況によっては「逆方向にも多少の動作範囲は残す」ことが必要となる。
【0098】
この場合「逆方向にも動作範囲を残す」べき状況は、露光時間:Tsが長いときや、撮影レンズ系の焦点距離:Zpが長い(望遠側)のとき(望遠側では開口数が小さくなるため被写体像が暗くなり、必然的に長い露光時間を必要とする)である。従って、ブレ補正の駆動開始位置に対する所定のずらし量を「シャッタ秒時または焦点距離、もしくはその両方に応じて変化させる」のが良い。
【0099】
また、ブレには撮影者個人等の特徴が有るので、レリーズ半押し状態等でブレの周波数を「ブレ周波数検出手段」で計測(図6、7のフローチャートの#4(「ぶれ周波数の検出」)、#9(「ぶれ周波数確定」))すると、ぶれ周波数が高いほど露光中におけるブレの向きの反転が生じる確率が高くなるから、ブレの周波数の特性:Fbに合わせて、補正開始位置を最適化することも有効である。
【0100】
「ブレ周波数検出手段」は、上記システムコントローラの演算機能として構成できる。
【0101】
シャッタ秒時が「ブレの周期に対して十分に短か」ければ、上述した効果を期待できるが、「シャッタ秒時がブレの周期に対して比較的長い」場合は、極値まで待って露光を開始しても、露光途中にブレの向きが再び反転する確率が高くなり、本件発明を適用させても効果を十分なに発揮できない。
【0102】
この発明においては、極値の検出待ちをする分だけシャッタタイムラグが増大するので、上記効果を十分に発揮できない状況においては上記のブレ補正の制御(極値を検出した後に露光を開始する)を行わない方が良い。
【0103】
図6、7に示されたフローチャートの手順では、上記の事情に鑑み「シャッタ秒時が所定値よりも長いときは、ブレ極値検出手段による極値の検出を待たずに露光を開始する」ようにしている。
【0104】
即ち、図6、7のフローチャートの手順では、#12(「極値待ち実施?」)において、極値検出による露光待ちを実施するかどうかの判定基準となる露光待ち秒時:T1を実際のシャッタ秒時:Tsと比較し、Ts<T1が満たされない場合(シャッタ秒時:Tsが所定値:T1以上)は、露光待ちを実施しないブレ補正シーケンス#13(「補正スタート位置設定」)へ進む。
【0105】
また上記判定基準秒時:T1を撮影者個人のブレ周波数特性:Fbにより可変とする。即ち、図6、7のフローチャートの#10(「露光待ち可否秒時(T1)演算」)において、露光待ち秒時:T1をブレ周波数特性:Fbの関数として演算する。周波数:Fbが大きい場合(=小刻みなブレ)は判定基準秒時:T1を短くし、周波数:Fbが小さい場合は露光待ち秒時:T1を長くして、それぞれ「極値待ち露出」を取りやめる基準を変更する。
【0106】
また、図6、7のフローチャートの#26(「タイマーON(Tt=0)」)において、露光開始からの時間:Ttをカウントし始め、#27(「最大ぶれ方向での逆方向の極値検出?」)で、露光開始直前の極値(説明中の例で極小)と逆の極値(極大)が検出されたときは、#31(「露光リセット秒時内?」)で極大の検出された時間:Ttが所定の時間:Tr内の場合は#34(「露光中断」)で露光を中止し、#25(「露光開始」)で再露光を開始する。
【0107】
この場合、#35(「手ブレ補正動作一旦中止」)で、再露光前に一旦、ブレ補正動作を中断し、#36(「補正スタート位置再設定」)で補正開始位置を設定し直して再露光へと進むことにすると、再露光の場合も再露光でない場合と同等のブレ補正効果を期待することができる。
【0108】
この場合の再設定される補正開始位置:Psは、#19(「補正スタート位置演算」)で演算された開始位置:Psとは、補正動作範囲中心(撮像素子ユニットを変位させる場合であれば、撮像光学系の光軸と撮像面中心が一致している位置)に関して対称位置となる。
【0109】
上記の動作により、露光時間内に極値が存在して図1(e)、(f)のような状況を極力回避でき、補正開始位置をずらしている場合の「逆向きのブレによる補正範囲オーバー」を回避できる(補正開始位置をずらすのは、想定された方向のブレがある程度持続することを見越しているためであり、露光開始直後にブレ方向が変化すると、容易に補正範囲をオーバーしてしまう)。
【0110】
一方で露光終了間際でのブレ方向の変化は、図1(e)や(f)のような状況になるが、補正量オーバーの面では問題無い。無制限に再露光を許容すると、シャッタタイムラグが増大し、逆にブレを増大させる副作用も考えられるため「露光のやり直し」は、所定の時間:Tr内に逆向きの極値が検出された場合に限ることが望ましい。
【0111】
なお、上述の時間:Trの性格上、時間:Trは「シャッタ秒時:Tsによって可変」としておくのが好ましい。即ち、露光時間:Tsが長い場合は、撮影者もブレを警戒するためシャッタタイムラグが多少長くても問題ないが、シャッタ秒時:Tsが短くなるにつれ「ブレへの警戒」が薄れるため、シャッタタイムラグも短くなるようにするのである。
【0112】
また、再露光を何度も繰り返すことはシャッタタイムラグと同じことになり好ましくない。従って、再露光の繰返し回数の上限:N1を定め、#32(「再露光回数所定回数内?」)で、再露光の回数:NrがN1を越えた場合は、再露光を断念し、露光を継続する。
【0113】
「ブレ補正」は、光軸の縦方向の傾きと横方向の傾きの2方向を補正する場合が多く、ブレ検出手段及びブレ補正手段を2組有している。このような場合「縦方向と横方向の極値が同時に発生する確率」は極めて低く、各方向のブレに対して、この発明のブレ補正を同時適用することは困難である。
【0114】
そこでこの場合には、ブレ極値検出手段により、「1つのブレ検出手段の出力(ブレ量)の極値」を検出する。
【0115】
ブレ極値検出を行う方向は「一般的にブレ量が多いとされる縦方向(カメラを水平に構えた状態での上下方向)」とすることができ、このようにすると、画像入力装置を単純な構成とすることができる。然し反面、カメラを縦長に構えた撮影の場合等には対応出来ない。
【0116】
これを避けるためには「撮影姿勢検出手段」を設けて天地方向に相当する方向のブレ極値を検出するように構成することができる。撮影姿勢検出手段としては一般的な重力センサ等を用いることができる。
【0117】
上の説明では「縦方向のブレ量が大きい」としたが、ブレには個人差が有るから撮影者によっては横方向のブレ量が大きくなる場合もあるし、撮影時の状況によっても、横方向のブレ量が大きくなるような状況(無理な姿勢で横方向が不安定な場合や一脚を用いた場合等)も生じ得る。
【0118】
このような場合には、撮影状況に応じて「ブレの具合」により、どの方向の極値を検出するかを決定するのが良い。即ち「複数のブレ検出手段の出力を比較し、ブレ振幅が最も大きいブレ検出手段がどれであるかを確定する最大ブレ方向確定手段」を用いることにより、この最大ブレ方向確定手段により確定された方向におけるブレ量の極値の検出とこれを利用した露光開始タイミングの制御を行うようにする。
【0119】
一方で、この発明が効果を有効に発揮するのは、必ずしもブレ量が大きい方向ではなく、ブレ量の変化の周波数が小さい(ブレがゆっくりである)方向であることから、説明中の実施の形態では、ブレ検出部の出力を比較し、ブレ周波数が小さい方向を確定する「最小ブレ周波数方向確定手段」を有し、ブレがゆっくりの方向の極値を検出するようにしている。
【0120】
即ち、図6、7のフローチャートの#4(「最大ぶれ方向検出」)、#9(「最大ぶれ方向確定」)で、最大ブレ方向を確定し、#21(「最大ぶれ方向での所定方向の極値検出?」)、#27(「最大ぶれ方向での逆方向の極値検出?」)で最大ブレ方向の極値を検出している。
【0121】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば新規な画像入力装置を実現できる。
この発明による画像入力装置は、「ブレ量の変化の向きが反転する極値」を検出してから露光を開始するので、露光中にブレの向きが変化する確率が低下し、「ブレ補正手段の応答遅れに起因する実効的な残留ブレ」を軽減した画像入力を行い得る確率が増加する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の基本原理を説明するための図である。
【図2】この発明を実施できる画像入力装置の1例であるデジタルカメラの構成を説明するための図である。
【図3】この発明を実施できる画像入力装置の1例であるデジタルカメラの別の構成を説明するための図である。
【図4】この発明を実施できる画像入力装置の他の例であるデジタルカメラの他の構成を説明するための図である。
【図5】ブレ補正手段の駆動源としての圧電アクチュエータの動作特性の1例を説明するための図である。
【図6】ブレ補正の手順を示すフローチャートの一部である。
【図7】ブレ補正の手順を示すフローチャートの一部である。

Claims (10)

  1. 撮像光学系による被写体像を撮像手段により入力する画像入力装置であって、
    画像入力装置のブレ量を検出するブレ検出手段と、
    撮像面および/または撮像面上の被写体像を変位させて、上記ブレの影響を補正するブレ補正手段と、
    上記ブレ検出手段の出力から、上記ブレ補正手段における補正のための変位駆動量を演算し、上記ブレ補正手段を駆動させるブレ補正制御手段と、
    上記ブレ検出手段の出力により、ブレの向きが変化するブレ量の極値を検出するブレ極値検出手段と、
    撮影開始を指示するための撮影開始操作手段とを有し、
    上記撮影開始操作手段の操作により撮影開始が指示されたとき、上記ブレ極値検出手段によるブレ量の極値の検出以後に、露光を開始するようにし、
    ブレ極値検出手段によるブレ量の極値の検出後、露光開始までの間に、ブレ補正手段の駆動を開始し、
    直後の補正動作方向への動作幅が広くなる方向に、ブレ補正手段の駆動開始位置を所定量ずらして、ブレ補正手段の駆動を開始することを特徴とする画像入力装置。
  2. 請求項1記載の画像入力装置において、
    ブレ検出手段の出力により、ブレの周波数を検出するブレ周波数検出手段を有し、ブレ補正手段の駆動開始位置に対する所定のずらし量を上記ブレ周波数検出手段の検出結果に応じて変化させることを特徴とする画像入力装置。
  3. 撮像光学系による被写体像を撮像手段により入力する画像入力装置であって、
    画像入力装置のブレ量を検出するブレ検出手段と、
    撮像面および/または撮像面上の被写体像を変位させて、上記ブレの影響を補正するブレ補正手段と、
    上記ブレ検出手段の出力から、上記ブレ補正手段における補正のための変位駆動量を演算し、上記ブレ補正手段を駆動させるブレ補正制御手段と、
    上記ブレ検出手段の出力により、ブレの向きが変化するブレ量の極値を検出するブレ極値検出手段と、
    撮影開始を指示するための撮影開始操作手段とを有し、
    上記撮影開始操作手段の操作により撮影開始が指示されたとき、上記ブレ極値検出手段によるブレ量の極値の検出以後に、露光を開始するようにし、且つ、
    シャッタ秒時が所定値よりも長いときは、ブレ極値検出手段による極値の検出を待たずに露光を開始することを特徴とする画像入力装置。
  4. 撮像光学系による被写体像を撮像手段により入力する画像入力装置であって、
    画像入力装置のブレ量を検出するブレ検出手段と、
    撮像面および/または撮像面上の被写体像を変位させて、上記ブレの影響を補正するブレ補正手段と、
    上記ブレ検出手段の出力から、上記ブレ補正手段における補正のための変位駆動量を演算し、上記ブレ補正手段を駆動させるブレ補正制御手段と、
    上記ブレ検出手段の出力により、ブレの向きが変化するブレ量の極値を検出するブレ極値検出手段と、
    撮影開始を指示するための撮影開始操作手段とを有し、
    上記撮影開始操作手段の操作により撮影開始が指示されたとき、上記ブレ極値検出手段によるブレ量の極値の検出以後に、露光を開始するようにし、且つ、
    露光開始から所定時間内にブレ極値検出手段により逆の極値が検出された場合は直ちに露光を中止し、再露光を開始することを特徴とする画像入力装置。
  5. 撮像光学系による被写体像を撮像手段により入力する画像入力装置であって、
    画像入力装置のブレ量を検出するブレ検出手段と、
    撮像面および/または撮像面上の被写体像を変位させて、上記ブレの影響を補正するブレ補正手段と、
    上記ブレ検出手段の出力から、上記ブレ補正手段における補正のための変位駆動量を演算し、上記ブレ補正手段を駆動させるブレ補正制御手段と、
    上記ブレ検出手段の出力により、ブレの向きが変化するブレ量の極値を検出するブレ極値検出手段と、
    撮影開始を指示するための撮影開始操作手段とを有し、
    上記撮影開始操作手段の操作により撮影開始が指示されたとき、上記ブレ極値検出手段によるブレ量の極値の検出以後に、露光を開始するようにし、且つ、
    ブレ検出手段及びブレ補正手段を複数組有し、
    ブレ極値検出手段が、1つのブレ検出手段の検出するブレ量の極値を検出することを特徴とする画像入力装置。
  6. 請求項5記載の画像入力装置において、
    複数のブレ検出手段の出力を比較し、ブレ振幅が最も大きいブレ検出手段がどれであるかを確定する最大ブレ方向確定手段を有し、この最大ブレ方向確定手段により確定された方向におけるブレ量の極値の検出とこれを利用した露光開始タイミングの制御を行うことを特徴とする画像入力装置。
  7. 請求項1〜6の任意の1に記載の画像入力装置において、
    ブレ極値検出手段によるブレ量の極値の検出以後、所定時間経過後に露光を開始することを特徴とする画像入力装置。
  8. 請求項1〜7の任意の1に記載の画像入力装置において、
    ブレ補正手段が、圧電アクチュエータを駆動源とするものであり、
    ブレ極値検出手段が、ブレ量の極値のうち、極値直後における上記圧電アクチュエータへの印可電圧を増加させる極値の検出以後に、露光を開始することを特徴とする画像入力装置。
  9. 請求項3〜8の任意の1に記載の画像入力装置において、
    ブレ極値検出手段によるブレ量の極値の検出後、露光開始までの間に、ブレ補正手段の駆動を開始することを特徴とする画像入力装置。
  10. 請求項3〜9の任意の1に記載の画像入力装置において、
    直後の補正動作方向への動作幅が広くなる方向に、ブレ補正手段の駆動開始位置を所定量ずらして、ブレ補正手段の駆動を開始することを特徴とする画像入力装置。
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