JP4043286B2 - 浮体式ゲート装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、浮体式ゲート装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、河川の増水や高潮を防ぐための水門や河川堰は、水門柱を構築し、水門柱に鉛直方向に移動自在に設けられた水門扉を移動させる構造が主流であった。しかし、この構造の水門は、水門柱の構築を必要としているため、水門を構築する際に大規模な工事となることから経済性が良くなかった。そこで、最近では、水門柱の構築を不要としたフラップゲート方式の水門が提案されている。
フラップゲート方式の水門は、ゲート内部へ空気を注入する一方、ゲート内部の水を排出し、ゲートの見かけの比重を軽くしてゲートを立て起こし、水門としての機能を果たすものである。また、ゲートを使用しない時は、ゲート内部の空気を排出し、水を流入させることでゲートを水底に寝かせて収納するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このようなフラップゲート方式の水門は水底に基礎が構築され、その基礎にゲートが回動自在に取り付けられており、しかも、ゲートは基礎から外れないように強固に取り付けられているので、メンテナンスは水中作業となり、その作業が困難であることから、作業能率の低下を招く。
また、フラップゲート方式の水門は、ゲートを収納するための大型の収納部を水底に構築する必要があり、施工コストの高騰を招く。
【0004】
そこで、本発明の課題は、ゲートを取り外して陸上でメンテナンスができる浮体式ゲート装置を提供することである。また、他の課題は、ゲートを収納する水底の収納部を小さくして施工コストの低減を図った浮体式ゲート装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、例えば、図1〜図8に示すように、水底に設置され、水流又は波のせき止め用の浮体式ゲート装置1であって、水底に設置される基礎部5と、一部が前記基礎部5に固定され、膨張時に水上に突出する膨縮可能な袋状の浮体2と、この浮体2内に空気を給排気する給排気手段28と、前記浮体2を収納可能な収納部51と、収縮時に前記浮体2を前記収納部51へ回収する引き込み手段4と、前記浮体2の外面に設けられ、可撓性を有するとともに格子状に形成されて前記浮体2を補強する補強材23と、前記補強材23のそれぞれの格子により囲まれる空間を覆うように設けられ、前記補強材23に回動可能に接続された複数の防護材24と、を備えていることを特徴とする。
【0006】
ここで、一例として、浮体式ゲート装置を沿岸部の海底に設置した場合で説明する。 上記のように、請求項1記載の発明によれば、高波が発生するおそれのある場合に、給排気手段から浮体内に空気を送り込むと、浮体は膨張し、浮力によって収納部から起き上がって水上に突出する。これにより、押し寄せてきた波を浮体が抑えることができる。
逆に、波が静穏になれば、給排気手段から浮体内の空気を排出すると、浮体は収縮して浮力がなくなるので浮体は基礎部に沈降する。この時、引き込み手段が浮体を収納部へ回収する。
また、浮体の外面に補強材を設けることにより、その内側の浮体を保護できる。
また、補強材は可撓性を有するため、浮体の膨張収縮にともなって変形し、浮体と補強材とが離れることがない。また、補強材は格子状部材であるため、軽量化が図られ、浮体を円滑に浮上させることができる。
また、補強材を介して防護材を設けることにより、水中や水面付近の浮遊物等は、耐摩耗層に直接接触しない。よって、耐摩耗層が破損するのを防止でき、浮体の耐用年数を延ばすことができる。また、耐摩耗層を覆う複数の防護材を備えていることから、防護材が破損すれば、破損した部分だけ交換できる。
【0007】
請求項2記載の発明は、例えば、図1〜図8に示すように、請求項1記載の浮体式ゲート装置1であって、前記浮体2を前記基礎部5に対して着脱自在とする連結手段3を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明によれば、浮体は基礎部に対して着脱自在とする連結手段を備えているため、浮体のメンテナンスを行う際には、基礎部から連結手段により浮体を外すことができ、作業の容易な場所、例えば、陸上のドック等に運搬してメンテナンスが行うことができる。
【0009】
請求項3記載の発明は、例えば、図11〜図19に示すように、請求項1または2記載の浮体式ゲート装置1であって、前記浮体2には、隣接する他の浮体式ゲート装置1の浮体2を連結するための継手部27が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明によれば、複数の浮体を継手部によって連結することにより、所望の幅及び大きさの浮体式ゲート装置が構築できる。
【0011】
請求項4記載の発明は、例えば、図11〜図19に示すように、水底に設置され、水流又は波のせき止め用の浮体式ゲート装置10であって、水底に設置される基礎部9と、この基礎部9に連結され、起倒可能な水流せき止め用の止水部材11と、この止水部材11の自由端に連結され、膨張時に水上に突出する膨縮可能な袋状の浮体6と、この浮体6内に空気を給排気する給排気手段13と、前記浮体6を収納可能な収納部91と、前記浮体6の外面に設けられ、格子状に形成されて前記浮体6を補強する補強材63と、前記補強材63のそれぞれの格子により囲まれる空間を覆うように前記補強材63に設けられた複数の防護材64と、前記防護材64間の継ぎ目に設けられ、弾性を有するシール部材12と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
ここで、一例として、浮体式ゲート装置を沿岸部の海底に設置した場合で説明する。 上記のように、請求項4記載の発明によれば、高波が発生するおそれのある場合に、給排気手段によって浮体内に空気を送り込むと、浮体は膨張し、浮力によって収納部から起き上がって水上に突出する。同時に、浮体に連結された止水部材も浮体の浮力によって基礎部から起き上がる。これにより、押し寄せてきた波を浮体が抑えることができる。
逆に、波が静穏になれば、給排気手段によって浮体内の空気を排出すると、浮体は収縮して浮力がなくなるので止水部材は自重で基礎部に沈降し、止水部材に連結された浮体も収納部に沈降する。
【0013】
請求項5記載の発明は、例えば、図11〜図19に示すように、請求項4記載の浮体式ゲート装置10であって、前記止水部材11を前記基礎部9に対して着脱自在とする連結手段7を備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明によれば、止水部材は着脱可能な連結手段を介して連結されているため、浮体や止水部材のメンテナンスを行う際には、基礎部から連結手段により浮体や止水部材を取り外すことができ、作業の容易な場所、例えば、陸上のドック等に運搬してメンテナンスが行うことができる。
【0015】
請求項6記載の発明は、例えば、図11〜図19,図24に示すように、請求項4記載の浮体式ゲート装置10であって、前記止水部材11の歪を測定する歪測定手段13fと、この歪測定手段13fにより得られた前記浮体6の歪が所定の値より大きい場合に、浮体6内から空気を排気するように前記給排気手段13を制御する空気量制御手段17とを備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の発明によれば、歪測定手段により得られた止水部材の歪が所定の値より大きい場合には、空気量制御手段が給排気手段を制御して浮体内から空気を排気するので、浮体が常に適正な浮力を維持することができる。
【0017】
請求項7記載の発明は、例えば、図11〜図19に示すように、請求項4または5記載の浮体式ゲート装置10であって、前記止水部材11の自由端を前記浮体6が収納される方向に引き込む引き込み手段8が設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項7記載の発明によれば、引き込み手段が止水部材の自由端を浮体が収納される方向に引き込むと、止水部材はその基端部を回動軸として回動し、基礎部上に伏せた状態となる。この過程において、引き込み手段が所定の回動方向に止水部材を引き込むことにより、浮体が収納される方向と反対側へ止水部材が回動することを防止して、止水部材を正しい位置に確実に沈降させることができる。
【0019】
請求項8記載の発明は、例えば、図11〜図19に示すように、請求項7記載の浮体式ゲート装置10であって、前記引き込み手段8は、前記止水部材11の自由端に接続されたワイヤ82と、このワイヤ82を前記浮体が収納される方向に巻きとるウインチ81とを備えていることを特徴とする。
【0020】
請求項8記載の発明によれば、ワイヤの一端部を止水部材の自由端に接続し、このワイヤをウインチによって巻きとることにより、簡単な装置で止水部材を正しい位置に確実に沈降させる引き込み手段としての役割を果たすことができる。
【0021】
請求項9記載の発明は、例えば、図11〜図19に示すように、請求項1〜5のいずれかに記載の浮体式ゲート装置1,10であって、前記浮体2,6内に水を注排水する注排水手段14,20を備えていることを特徴とする。
【0022】
請求項9記載の発明によれば、注排水手段から浮体内に水を注入することにより、浮体内に注水された水は浮体の下方に溜まるため、浮体内の水が浮体のおもりとなって浮体の安定感を増すことができる。
【0023】
請求項10記載の発明は、例えば、図1〜図19に示すように、請求項1〜9のいずれかに記載の浮体式ゲート装置1,10であって、前記浮体2,6は、気密性を有する気密層21,61と、この気密層21,61の外面に設けられ、耐摩耗性を有する耐摩耗層22,62とを備えていることを特徴とする。
【0024】
請求項10記載の発明によれば、浮体を膨張させて水流をせき止めるゲートとして使用している場合に、気密層は浮体内部の空気量を安定して維持することができる。また、耐摩耗層は水流による衝撃等に耐え、気密層の劣化や損傷を防止する。
【0025】
請求項11記載の発明は、例えば、図11〜図19に示すように、請求項4,5,7,8のいずれかに記載の浮体式ゲート装置10であって、前記浮体6の側端部の一方には、膨縮可能な補助浮体66が設けられていることを特徴とする。
【0026】
請求項11記載の発明によれば、例えば、浮体式ゲート装置を複数並べて既設の防波堤間に設置する場合には、補助浮体を膨張させることにより、補助浮体が浮体同士あるいは浮体と防波堤との隙間を埋めることができる。
【0027】
請求項12記載の発明は、例えば、図11〜図19,図24に示すように、請求項1〜11のいずれかに記載の浮体式ゲート装置1,10であって、前記浮体2,6の内圧を測定する内圧測定手段13eと、この内圧測定手段13eにより得られた浮体2,6の内圧が所定の値より低い場合に、浮体2,6内に空気を給気するように前記給排気手段13を制御する空気量制御手段17と、を備えたことを特徴とする。
【0028】
請求項12記載の発明によれば、内圧測定手段により得られた浮体の内圧が所定の値より低い場合には、空気量制御手段が給排気手段を制御して浮体内に空気を給気するので、浮体が常に適正な浮力を維持することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る実施の形態の浮体式ゲート装置について詳細に説明する。
〔第1の実施の形態〕
最初に、浮体式ゲート装置の構成について説明する。
図1及び図2に示すように、浮体式ゲート装置1は、河川や、沿岸の構造物の一部に設けられ、増水した河川の流水や高潮をせき止めるものであり、浮体2、連結手段としての連結装置3、引き込み手段としての引き込み装置4、基礎部5等を備えている。
【0036】
浮体2は、袋状に形成されており、図1に示すように、内部に空気を注入することによって膨張して水底から下端部を支点として起き上がり、増水した河川の流水や高潮をせき止める。浮体2は、膨張した状態において下端部の方がすぼまる形状となっており、上端部は側断面視円弧状になっており、さらに、平面視においては図4に示すように長円状になっている。また、図2に示すように、浮体2は、内部から空気を排出することによって収縮して水底に沈降し、水底に収納される。
浮体2は、図3〜図10に示すように、気密層21、耐摩耗層22、補強材23、防護材24、係止軸25、回動部26、継手部27、給排気手段としての空気注入排出部28、補助板29とを備えている。
【0037】
気密層21は、図5に示すように、柔軟性を有し、かつ、浮体2内部と外部との間の空気や水の通過を防止する層であり、例えば、柔軟性及び気密性に優れたナイロン等の繊維から構成されるのが好ましい。
耐摩耗層22は、図5に示すように、気密層21の外面に接着されており、柔軟性を有し、かつ、浮体2外部からの波力による気密層21の劣化や損傷を防止する層である。耐摩耗層22は、例えば、柔軟性及び耐摩耗性に優れた塩化ビニル樹脂等の樹脂から構成されるのが好ましい。
なお、連結装置3に連結された浮体2の下端部において、気密層21及び耐摩耗層22の一部は切り欠かれて注排水手段としての注排水部20を形成しており、浮体2外部から内部への多少の水の流入を可能としている。これにより、過剰な空気圧の作用による浮体2の破損を防止できる。
【0038】
補強材23は、図3〜図5に示すように、耐摩耗層22の外面に配置されており、気密層21及び耐摩耗層22の補強ができる程度の強度を有するとともに、気密層21及び耐摩耗層22の変形に追随して変形可能な、例えば、径の小さいワイヤを用いるのが好ましい。補強材23となるワイヤは、耐摩耗層22の外面に格子状に配置されており、図3に示すように、耐摩耗層22上のほぼ鉛直方向に鉛直ワイヤ23aが所定間隔おきに配置され、その鉛直ワイヤ23aと交差するように耐摩耗層22上のほぼ水平方向に水平ワイヤ23bが所定間隔おきに配置されている。また、鉛直ワイヤ23aは、耐摩耗層22の外面に沿って、浮体2の下端部から上端部を跨いで周回するように配置され、その両端は後述する回動部26に係止されている。また、水平ワイヤ23bは耐摩耗層22の外面上の水平方向に配置され、鉛直ワイヤ23aと交差する部分で鉛直ワイヤ23aと接合されている。なお、鉛直ワイヤ23aと水平ワイヤ23bの配置は逆でもよい。
【0039】
防護材24は、図5に示すように、流木等の浮遊物が耐摩耗層22に接触するのを防護するものであり、高い剛性を有する鋼板等から構成されている。防護材24は、隣接する2本の鉛直ワイヤ23aと隣接する2本の水平ワイヤ23bとによって囲まれてできた四角形とほぼ同じ大きさに形成されている。また、防護材24は、水平ワイヤ23bにヒンジ(図示しない)を介して回動可能に接続されており、耐摩耗層22の膨張及び収縮に伴って防護材24が回動するようになっている。
【0040】
係止軸25は、図3、図6、図7、図9、図10に示すように、回動部26を回動可能に支持するものであり、例えば、鋼管等から構成されている。また、係止軸25は、図6、図7に示すように、連結装置3に着脱自在に連結されている。
回動部26は、図3、図9、図10に示すように、鉛直ワイヤ23aを支持するとともに、浮体2が回動する際の支点となる部分である。回動部26は、略輪形状の金具等から形成され、鉛直ワイヤ23aの両端部が回動部26内に埋設されている。また、回動部26のほぼ中心には、係止軸25の径より少し大きな径の孔が形成されており、係止軸25を挿通可能としている。
【0041】
継手部27は、図3、図8に示すように、複数の浮体2を連結するものであり、浮体2の側面の下端部から上端部まで延在するようにして設けられており、支持材27a、接続材27bを備えている。
支持材27aは、強化プラスチック等の硬質材から構成されており、中空、かつ、略四角柱形状に形成されている。また、隣接する浮体2の支持材27aと対面する部分には、支持材27a同士を接続する接続材27bをはめ込むための孔が形成されている。
接続材27bは、略H形状の硬質ゴム等から構成されており、支持材27aに形成された孔を介して隣接する浮体2のそれぞれの支持材27aにわたって接続材27bをはめ込むことにより、隣接する浮体2を接続するものである。
【0042】
空気注入排出部28は、図1、図2に示すように、注入部28a、排出部28bを備えている。
注入部28aは、浮体2を起き上がらせる際に浮体2内に空気を注入する部分であり、注入ポンプ28c、注入管28d、取付部材28eを備えている。
注入ポンプ28cは、例えば、汎用のエアポンプが用いられ、基礎部5内の遮水された場所に設置されている。
【0043】
注入管28dは、注入ポンプ28cから送り出される空気を浮体2内に導くものであり、例えば、柔軟性を有するゴム等の材料から形成されている。また、注入管28dは、一端が注入ポンプ28cに接続され、他端が浮体2の切り欠かれた部分を通って浮体2内に位置するように設置されている。なお、注入管28dには、例えば、バルブ(図示しない)と内圧測定手段としての圧力センサ(図示しない)を設け、浮体2内の内圧が所定の値より低い場合に、浮体2内に空気を給気するように注入ポンプ28cを空気量制御手段によって制御してもよい。ここで、空気量制御手段(図示しない)は、マイクロコンピュータが所定のプログラムを実行することで実現する。
取付部材28eは、注入管28dを浮体2の内面に取り付けるものであり、空気の注入時に注入管28dが浮体2内部から外れないように注入管28dを保持する役割を果たしている。
排出部28bは、浮体2を収納する際に浮体2から空気を排出するものであり、例えば、開閉弁等で形成されており、浮体2の上端部に設けられている。
【0044】
補助板29は、図3、図4に示すように、内圧を受ける浮体2の上端部の丸みを帯びた部分の強度を補うためのものである。補助板29は、強化プラスチックや樹脂等で構成されるとともに、浮体2の外面に合わせて形成され、一つの浮体に2枚ずつ設けられており、部分的に水流をせき止める役割を果たしている。
【0045】
連結装置3は、図6、図7に示すように、浮体2を基礎部5に対して着脱自在に連結するものであり、固定部31、可動部32、駆動軸33を備えている。
【0046】
固定部31は、浮体2の係止軸25を支持するとともに、その一部が基礎部5に埋設されており、浮体2を取り付けた際のアンカーとなるものである。基礎部5から突出した固定部31はフック形状に形成されており、その凹所31aは係止軸25の外周のほぼ半分を支持するようになっている。なお、一つの連結装置3には、固定部31が2つ並んで設けられている。
【0047】
可動部32は、2つの固定部31の間に設けられ、固定部31と同様、フック形状に形成されている。可動部32の凹所32aは固定部31の凹所31aが支持しきれない係止軸25の外周のほぼ半分を支持するようになっている。また、可動部32は、駆動軸33に取り付けられ、駆動軸33の回転に伴って回動するようになっており、可動部32の凹所32aが固定部31の凹所31aに対向する位置まで回動した際に、固定部31と可動部32が係止軸25を両側から挟み込んで支持するようになっている。
【0048】
駆動軸33は、可動部32を回動するものであり、その端部はモータ(図示しない)に接続されている。また、駆動軸33は、固定部31の側面のほぼ中央部分を貫通し、支持される係止軸25とほぼ平行となるように設けられている。
【0049】
引き込み装置4は、図1、図2に示すように、浮体2が起き上がった状態では、増水した河川の流水や高潮の流れ方向に対向して浮体2を安定させ、浮体2を収縮させて沈降させる際には、浮体2を後述する収納部51に回収するものである。引き込み装置4は、ウインチ41、安定案内ケーブル42を備えている。
【0050】
ウインチ41は、浮体2の状態に合わせて安定案内ケーブル42を巻いたり伸ばしたりするものである。浮体2が起き上がった状態、すなわち、ゲートとして機能しているときは、浮体2が水圧や波力によって傾倒しないよう、安定案内ケーブル42に張力がかかる程度に安定案内ケーブル42を巻いて浮体2を安定させる。一方、浮体2を収納する際には、ウインチ41を巻いて浮体2が収納部51に納まるように浮体2を案内する。
【0051】
安定案内ケーブル42は、上述のように浮体2を安定あるいは案内するものである。安定案内ケーブル42は、径の大きなワイヤ等で構成され、一端はウインチ41のドラムに取り付けられており、他端は、浮体2の上端部を乗り越えて係止軸25に設けられた安定案内ケーブル42専用の取付部(図示しない)に接続されている。
【0052】
基礎部5は、水底に設置されており、浮体式ゲート装置10を設置するための基盤となるものである。基礎部5は、コンクリートによって形成され、その上面には、浮体2を収納するための収納部51が設けられている。
収納部51は、収縮した浮体2が納まる程度に形成された基礎部5上の凹所である。
【0053】
浮体式ゲート装置1を構築するには、最初に陸上のドック内で鉄筋及びコンクリートによって基礎部5を構築する。その際、基礎部5の上面には、浮体2を収納する収納部51となる凹所を設けておく。また、連結装置3を基礎部5の収納部51以外の場所に埋設し、収納部51をはさんだ連結装置3に対向する位置にウインチ41を設置する。その後、基礎部5を曳航し、所定位置の水底に沈設する。
次いで、陸上のドック等で製作された浮体2を曳航し、安定案内ケーブル42専用の取付部に安定案内ケーブル42を接続したのち、浮体2を水底に沈める。
次いで、連結装置3のモータ(図示しない)を駆動して駆動軸33を回転させ、可動部32の凹所32aを固定部31の凹所31aから離すように回動させる。
次いで、係止軸25を固定部31の凹所31aにはめ込み、可動部32が係止軸25を挟むように可動部32を回動させ、係止軸25を連結装置3に取り付ける。
次いで、安定案内ケーブル42をウインチ41で巻いて浮体2を収納部51へ収納させ、浮体式ゲート装置1の設置は完了する。
【0054】
なお、浮体2を複数連結する際には、隣接する浮体2の両方の支持材27aにわたって接続材27bを取り付ければよい。
また、浮体2は、最初に袋状の気密層21の外面に耐摩耗層22を接着する。次いで、耐摩耗層22の外面に鉛直ワイヤ23a、水平ワイヤ23bを配置し、水平ワイヤ23bに防護材24を回動自在に取り付ける。最後に、浮体2の側面に支持材27a、補助板29を取り付けて浮体2が形成される。
【0055】
次に、浮体式ゲート装置1の動作について説明する。
河川の増水や高潮が発生するおそれのあるときは、注入ポンプ28cから注入管28dを介して浮体2内部に空気が送り込まれて浮体2が膨張し、係止軸25を中心に回動部26が回動し、浮体2は徐々に起き上がる。その際、浮体2の起き上がりに合わせてウインチ41により安定案内ケーブル42を伸ばし、浮体2を安定させながら浮体2を起き上がらせる。浮体2が完全に起き上がると、ウインチ41を止め、安定案内ケーブル42はある程度の張力がかかった状態で浮体2を支持する。そして、河川の増水や高潮が浮体2に(図1においては右方向から)押し寄せると、波は起き上がった浮体2に衝突し、波の大部分のエネルギーが減衰される。
河川の増水や高潮が静まり、浮体2内部の空気を排出部28bから抜くと、浮体2は収縮しながら徐々に沈降していく。その際、ウインチ41により安定案内ケーブル42を巻くことで、係止軸25を中心に回動部26が回動し、浮体2は収納部51へ案内される。
【0056】
本実施の形態の浮体式ゲート装置1によれば、浮体2の内部に空気を注入することによって膨張して収納部51から起き上がって河川の増水や高潮をせき止め、浮体2の内部から空気を排出することによって収縮して水底に沈降する膨縮可能な袋状の浮体2を用いているため、水底に設けられる収納部51は、浮体2が収縮したときの大きさでよい。また、浮体2は、連結装置3に着脱自在に連結されているため、浮体2の係止軸25を連結装置3から外し、浮体2を作業船上や陸上のドックに運搬してからメンテナンスをすることができ、水中でのメンテナンス作業が不要となり、作業能率を向上させることができる。
【0057】
また、浮体2は、気密層21を備えているため、浮体2を膨張させて水の流れをせき止めるゲートとして使用している際に、浮体2内部の空気が抜けて浮体2が収縮して沈むのを防止できる。また、浮体2は、気密層21の外面に耐摩耗層22を備えているため、気密層21の劣化や損傷を防止できるほか、耐摩耗層22自身は劣化や損傷がしにくいので、浮体式ゲート装置1の耐用年数を延ばすことができる。さらに、浮体2を補強する鉛直ワイヤ23a及び水平ワイヤ23bが耐摩耗層22の外面に設けられているため、浮体2の耐用年数を延ばすことができる。また、耐摩耗層22を保護する防護材24が水平ワイヤ23bに設けられているため、耐摩耗層22が流木等の浮遊物によって損傷するのを防止できるほか、浮体2の耐用年数を延ばすことができる。
【0058】
さらに、浮体2には、継手部27が設けられているため、複数の浮体2を継手部27によって連結することにより、所望の大きさの浮体式ゲート装置1を構築できる。また、浮体式ゲート装置1は一つの浮体2で構成するよりも、複数の浮体2を連結して構成した方が一つの浮体2の大きさは小さくなる。よって、浮体2のメンテナンスが容易になる。
【0059】
なお、浮体式ゲート装置は、本実施の形態に限定されるものではない。例えば、浮体式ゲートの構築方法や浮体の構造は、発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば他の方法、材料を用いることも可能である。また、河川が増水していなくても、浮体を起き上がらせることでダムとしての機能を果たすことができる。
【0060】
〔第2の実施の形態〕
最初に、浮体式ゲート装置の構成について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の機能を有する構成要素については簡潔に説明する。
図11に示すように、浮体式ゲート装置10は、浮体6、連結手段としての固定装置7、引き込み手段としての引き込み装置8、基礎部9、止水部材としての止水壁11、シール部材12、給排気手段としての給排気部13、注排水手段としての注排水部14等を備えている。
【0061】
浮体6は、止水壁11の自由端に連結され、膨張時に水上に突出する大きさに形成されている。また、図11に示すように、浮体6は、膨張した状態において両側端部を閉塞された円筒状となっている。浮体6は、浮体2と同様、内部に空気を送り込むことによって水底から浮上し、内部から空気を排出することによって収縮して水底に沈降し、水底に収納される。
また、浮体6は、図12〜図17に示すように、気密層61、耐摩耗層62、補強材としての係留索63、防護材64、浮体係留部65、補助浮体としてのエアバッグ66とを備えている。
【0062】
気密層61は、図12〜図14に示すように、例えば、スーパー繊維層61aとゴム層61bとから構成されている。気密層61を作成するには、まず、格子状に編まれたスーパー繊維層61aを両面側からゴム層61bによって挟み込み、一体化させて膜材料を作成する。この膜材料を、図13に示すように、二層に積み重ね、さらにこの二層構造とされた膜材料を図14に示すように、互いの端部をずらして接合することにより、気密層61が形成される。すなわち、気密層61は、作成した膜材料4枚分の厚みを有することになり、浮体6として十分な強度を発揮する。なお、膜材料どうしの接合は、自然加硫接着剤によって行うが、浮体6が小さければ、加硫釜に入れて強制加硫加工を施してもよい。
【0063】
耐摩耗層62は、図14に示すように、第1の実施の形態と同様、気密層61の外面に設けられており、例えば、細いワイヤによって編まれた網が用いられる。なお、気密層61及び耐摩耗層62は、上記のものに限らず、必要な強度、耐摩耗性を発揮するものであれば材質を問わない。
【0064】
係留索63は、耐摩耗層62の外面に設けられており、気密層61及び耐摩耗層62を補強するほか、浮体6を止水壁11に係留する役割も担っている。係留索63は、格子状に形成され、耐摩耗層62の外面に沿って、浮体6の下端部から上端部を跨いで周回するように配置され、その複数の両端は図16に示す止水壁11の自由端の先端部に設けられた複数の浮体係留部65に係留されている。なお、係留索63は、軽量化を図るため、気密層61に用いられるものと同様のスーパー繊維から形成されている。
【0065】
防護材64は、図11,図15,図16に示すように、耐摩耗層62を覆うように複数設けられており、例えば、軽量で高い剛性を有するFRP(繊維強化プラスチックス)から構成されている。防護材64は、図15に示すように、一定の大きさに形成されており、各側縁部が内側に折り返されている。この折り返された部分が図16(a)に示すように、取付金物64aを介して係留索63に取り付けられている。また、図15(c)に示すように、防護材64間の継ぎ目には、弾性を有するシール部材12が取り付けられている。
【0066】
なお、シール部材12は、防護材64間の継ぎ目以外にも、図18,図19に示すように、浮体6と止水壁11との間、止水壁11と固定装置7との間、止水壁11間に取り付けられて、水の通過を阻止するものであり、弾性を有する材料、例えば、ゴムから形成されている。このシール部材12は、略Ω字状に形成されており、浮体6と止水壁11との間に取り付けるときは、一端部が浮体6の下端部の防護材64の表面にボルトにて取り付けられ、他端部が止水壁11の上端部にボルトにて取り付けられる。なお、上記他の取り付け箇所においても取り付け方は同様である。
【0067】
浮体係留部65は、図16に示すように、止水壁11の自由端の先端部に設けられ、浮体6を係留する部分であって、ヒンジ構造とされている。また、浮体係留部65は、係留索63の端部に対応する位置に同数設けられ、係留索63用の係留軸65a、係留軸65a用の回転部65b、支持板65c、止水壁11用の係留軸65d、係留軸65d用の回転部65eを備えている。
係留軸65aは、回転部65bを回転自在に支持するものであり、両端部が2枚の支持板65cの上部に嵌め込まれて固定されている。
回転部65bは、係留索63の両端部を支持するものであり、例えば、滑車等から形成され、係留軸65aに回転自在に支持されている。
支持板65cは、係止軸65aを支持するとともに、係留索63を交換する場合に、係止軸65aを着脱できるものとされている。なお、両支持板65cはいずれも、わずかな隙間をあけて回転部65bを軸支している。
係留軸65dは、回転部65eを回転自在に支持するものであり、両端部が2枚の支持板65cの下部に嵌め込まれて固定されている。
回転部65eは、止水壁11と浮体6とを繋ぐためのものであり、例えば、滑車等から形成され、係留軸65dに回転自在に支持されている。
なお、止水壁11に設けられた連結索65fは、回転部65eの外周に形成された溝に沿って係止されており、浮体6と止水壁11とを連結している。
【0068】
エアバッグ66は、例えば、図17に示すように、複数の浮体6を既設の防波堤92間に並べて設置した際に、防波堤92と接触する浮体6の側端部の一方に設けられている。エアバッグ66は、浮体6と同じ膜材から形成され、内部に空気を送り込んだり排出したりすることで膨張及び収縮させることができる。
なお、エアバッグ66への給排気は、後述する給排気ポンプ13a、給排気管13bを兼ねてもよいし、別系統で設けてもよい。また、エアバッグ66のうち、防波堤92と接触する部分には、鋼板や強化樹脂等、耐摩耗性に優れた材料を貼り付けておくことで、エアバッグ66の保護を図っている。また、エアバッグ66は、浮体6の両側端部に設けてもよい。
【0069】
固定装置7は、図18に示すように、基礎部9に対して着脱自在に設けられており、止水壁11の下端部を回動自在に支持し、固定部71、回動部72、支持軸73、基礎部9に設けられた穴部74を備えている。
この固定装置7は、ヒンジ構造を備え、固定部71に支持軸73が取り付けられ、回動部72がこの支持軸73に回動自在に支持されているものである。そして、止水壁11の下端部に取り付けられたワイヤ等が回動部72の外周に形成された溝に嵌め込まれて固定装置7と止水壁11とが連結されている。なお、上述のように、固定装置7の上端部と止水壁11の下端部との間にはシール部材12が取り付けられており、止水処理が施されている。また、固定装置7は、ピン(図示しない)を介して穴部74に固定されており、ピンを外すことによって容易に穴部74から取り外すことができ、これにより浮体6や止水壁11、固定装置7のメンテナンスが可能となる。
【0070】
引き込み装置8は、図11及び図24に示すように、基礎部9側から止水壁11の自由端を浮体が収納される方向に引き込むものである。また、引き込み装置8は、浮体6が起き上がった状態では、止水壁11を安定させ、浮体6を収縮した場合には、止水壁11を所定の方向に倒すことにより浮体6を後述する収納部91に案内するものである。引き込み装置8は、ウインチ81、ワイヤで形成された安定案内ケーブル82を備えている。
ウインチ81は、図24に示すように、付近の防波堤上に設置されている。一方、ウインチ81から延びる安定案内ケーブル82は、地中あるいは水中を通って基礎部9に到達し、図11に示すように、基礎部9上の中継部83で中継された後、止水壁11の上端部に接続されている。
【0071】
基礎部9は、水底に設置されており、浮体式ゲート装置10を設置するための基盤となるものである。基礎部9は、コンクリートによって内部が中空に形成され、その内部には、給排気部13及び注排水部14の一部が設けられている。
収納部91は、収縮した浮体6が納まるように海底を浚渫し、コンクリートを打設して形成された部分であり、基礎部9の岸側に隣接して設けられている。
【0072】
止水壁11は、図11に示すように、上端部が上述のように浮体6に連結され、下端部が固定装置7を介して基礎部9に回動自在に連結されて起倒可能とされている。また、止水壁11と浮体6とが連結されて、一つの水流せき止め用のゲートとして機能しており、例えば、鋼製の壁体から形成されている。止水壁11は、図19に示すように、複数のH形鋼を格子状に組み合わせて構築された複数の躯体11aと、各躯体11aの一方の面に取り付けられた鋼板11bとを備えている。なお、止水壁11には、電気防食処理が施され、長期間海中に設置しても錆びないように処理されている。また、止水壁11は、一定の大きさに形成された壁体を複数連結することによって形成されている。
【0073】
給排気部13は、浮体6内に空気を送り込んだり、浮体6内の空気を排出するものであり、図24に示すように、給排気ポンプ13a、給排気管13b等を備えている。
給排気ポンプ13aは、浮体6の設置位置付近の構造物、例えば、防波堤上に設けられている。一方、給排気ポンプ13aから延びる給排気管13bは、隣接する防波堤内部から基礎部9の内部の空間に導かれている。基礎部9内の給排気管13bには、後述する電磁バルブ13c、流量計13d、圧力センサ13eが取り付けられており、給排気管13bはさらに基礎部9上に突出し、止水壁11に沿って配置され、さらに、浮体6の下端部から浮体6内部へと挿入されて浮体6内に末端が配置されている。なお、浮体6内の空気の給気及び排気もこの給排気管13bにより行われる。
【0074】
注排水部14は、浮体6内に水を注入したり、浮体6内の水を排出するものであり、図24に示すように、注水ポンプ14a、排水ポンプ14b、取水管14c、注水管14d、排水管14e等を備えている。
注水ポンプ14aは、海中から水を取り込み、浮体内へ注水するポンプであり、基礎部9の内部に設けられている。海中から水を取り込む取水管14cは、注水ポンプ14aから延びて海中に開口しており、途中には後述する電磁バルブ14gが設けられている。浮体6内へ注水する注水管14dは、注水ポンプ14aから延びて基礎部9上に突出し、止水壁11に沿って配置され、さらに、浮体6の下端部から浮体6内部へと挿入されて浮体6内の下方で末端が配置されており、途中には、電磁バルブ14g、後述する流量計14hが2つずつ設けられている。
【0075】
排水ポンプ14bは、浮体6内の水を排出するポンプであり、基礎部9の内部に設けられている。浮体6内から水を排出する排水管14eは、途中まで注水管14dと兼ねており、一方の電磁バルブ14gで分岐して排水ポンプ14bに接続されている。さらに、排水ポンプ14bから延びる排水管14eは、基礎部9から防波堤上へと導かれ、海に向かって開口している。
なお、浮体6内へ注入される水や浮体6から排出される水の流れは、電磁バルブ14gの切り替えによって制御される。
【0076】
浮体式ゲート装置10を海中に構築するには、まず、図20に示すように、施工海域をグラブ式浚渫船Aにより床掘りを行う。ここで、床掘りを行うのは浮体式ゲート装置10を設置した際の水深を十分に確保するためである。なお、床掘りはポンプ式浚渫船を用いてもよい。床掘り後、後述する水中導枠202を敷設するための基準となる基準杭201を打ち込み、砂撒き船Bにより海底にほぼ一様に砂を撒く。
次に、クレーン台船Cを用いて、海底に打ち込む杭の位置の案内をする水中導枠202を基準杭201に沿って海底に敷設する。水中導枠202を敷設した後、基準杭201を海底面で切断し、杭打ち船Dにより水中導枠202にしたがって鋼管杭203を海底地盤に打ち込む。
【0077】
次に、鋼管杭203の頭部の高さを揃えるため、コンクリートミキサ船Eにより、鋼管杭203の頭部にコンクリートを打設する。
次に、基礎部9となる中空のコンクリート製のブロックを吊下げ台船Fで海底に沈設する。なお、基礎部9が浮き上がらないよう、図21に示すように、基礎部9の内部にバラストの役割を果たすコンクリートを打設する。
【0078】
次に、ガット船及びトレミー台船Gを用いて基礎部9の周囲の埋め戻しを行う。なお、埋め戻しの際に、基礎部9の一方側の海底を基礎部9の天端とほぼ同じ高さにしておく。他方側は、基礎部9が埋まる程度まで埋め戻しを行う。そして、この一方側の海底にコンクリート用の型枠を設置し、コンクリートミキサ船Eにより、コンクリートを打設する。また、他方側には、潜水士により張石が施される。
【0079】
次に、浮体6を基礎部9に設置する。ここで、浮体6を陸上のドックから設置場所まで運搬する方法について説明すると、図22に示すように、浮体6に吊り枠204を取り付け、起重機船Jで吊り枠204と固定装置7を吊りながら海底に仮置きする。次に、浮体6を膨張させるとともに、吊下げ台船Fにて固定装置7を吊りながら、曳船Iによって設置場所まで曳航する。
そして、吊下げ台船Fの位置決めを行った後、曳船Iにて浮体6を牽引して浮体6に張力をかけながら固定装置7を基礎部9上に設置し、ピンにて固定する。この際、安定案内ケーブル82、給排気部13、注排水部14等を設置して浮体式ゲート装置10は構築される。
【0080】
なお、船舶の往来が激しい航路に浮体式ゲート装置10を構築するには、図23(a)〜(c)に示すように、航路を3つのブロックに分割し、1つのブロックごとに施工を行う。これにより、船舶の航行を妨害することなく浮体式ゲート装置10を構築できる。また、各作業船を図23(d)〜(g)に示すように配船することにより、上述のどの作業も1つのブロック内で行うことが可能である。なお、図23(d)は床掘り、図23(e)は管打ち込み、図23(f)は基礎据え付け、図23(g)はコンクリート打設時の配船である。
【0081】
以上の手順で構築された浮体式ゲート装置10は、図24に示すように、制御システム100によって管理されており、全体監視カメラ15及び天端レベル監視カメラ16、内圧測定手段としての圧力センサ13e、歪測定手段としての歪ゲージ13f、流量計13dの検出結果に基づいて空気量制御手段17が制御する電磁バルブ13c、流量計14hの検出結果に基づいて水量制御手段18が制御する電磁バルブ14gを備えている。また、空気量制御手段17及び水量制御手段18は、マイクロコンピュータが所定のプログラムを実行することで実現する。
なお、この制御システム100の各構成は、浮体式ゲート装置10の制御手段として、当該浮体式ゲート装置10の構成の一部として組み込んでもよい。
【0082】
全体監視カメラ15は、浮体6のとおりや浮体6全体の状態を監視するものであり、例えば、図24に示すように、両岸の防波堤上に設置されている。全体監視カメラ15が撮影した画像は、中央監視室19に送られ、管理者が浮体式ゲート装置10の近くにいなくても浮体6の状態を把握できるようになっている。
天端レベル監視カメラ16は、浮体6の天端の高さを監視するものであり、全体監視カメラ15と同様、両岸の防波堤上に設置されている。天端レベル監視カメラ16が撮影した画像は、中央監視室19に送られ、管理者は、浮体6の上端が防波堤の天端とほぼ同じ高さに位置するかどうかを判断する。
【0083】
圧力センサ13eは、浮体6内の内圧を測定するものであり、例えば、図24に示すように、給排気管13bの途中に取り付けられている。なお、浮体6内の内圧を測定するには、圧力センサ13eより後方の給排気管13bに取り付けた電磁バルブ13cを閉鎖して測定する。
歪ゲージ13fは、止水壁11の歪を測定するものであり、止水壁11の鋼板11bに溶接にて取り付けられている。なお、この歪ゲージ13fは溶接対応型のものが用いられ、溶接時の熱にも十分耐久性を発揮するものである。この歪ゲージ13fが止水壁11の歪を測定し、この歪から浮体6の係留張力を求める。
これらのデータは、リアルタイムで中央監視室19に送られ、管理者が浮体6の状態を常に確認できるようになっている。
【0084】
流量計13dは、浮体6内への空気の注入量や浮体6からの空気の排出量を測定するものである。
流量計14hは、浮体6内への水の注入量や浮体6からの水の排出量を測定するものである。
電磁バルブ13c,14gは、流量計13dや流量計14hの付近に取り付けられており、中央監視室19からの制御信号によって開閉を行うことができる。
中央監視室19の空気量制御手段17は流量計13dのデータを取り込み、水量制御手段18は水の流量計14hのデータを取り込んで、浮体が適切な状態となるように給排気部13、注排水部14、電磁バルブ13c,14gを制御する。
なお、浮体式ゲート装置10の監視は、中央監視室19からだけではなく、配管の監視室(図示しない)や、カメラの監視室(図示しない)からも行うことが可能である。
【0085】
ここで、浮体6を起き上がらせる手順について説明する。
河川の増水や高潮が発生するおそれのある時は、図25に示すように、給排気ポンプ13aを作動させ、浮体6内部に空気を注入する(S1,S2)。この時、給排気管13bの途中に設けた流量計13dにより、浮体6内に注入した空気量を計測し、所定の量に到達するまで空気を注入し、浮体6及び止水壁11を浮上させる(S3)。
浮体6を浮上させるのと並行して、水量制御手段18により排水ポンプ14bを作動させ、以前の沈降時に給水した浮体6内部の水を排水する(S4,S5)。この時、排水管14eの途中に設けた流量計14hにより、排水量を計測し、所定の量に到達すれば排水ポンプ14bを停止する(S6〜S8)。
【0086】
以上のように、浮体6内部に空気を注入するとともに、浮体6内部の水を排水することで大きな浮力が発生し、浮体6及び止水壁11が浮上する(S9)。なお、浮上する浮体6の挙動は、全体監視カメラ15によって監視される(S10)。なお、監視にあたっては、全体監視カメラ15が撮影した画像によって行う。
次に、空気量制御手段17が浮上後の浮体6内の空気量と内圧の測定を指示し、流量計13d及び圧力センサ13eによって、浮体6内に注入した空気量から浮体6内の空気量を算出するとともに、給排気管13b内に設置した圧力センサ13eにより、浮体6の内圧を測定する。ここで、浮体6の内圧が所定の値より低い場合には、空気量制御手段17により給排気ポンプ13aを作動させ、浮体6内への給気を行う(S12)。なお、内圧が高ければ、排気を行うことも可能である。
【0087】
さらに、浮体6が浮上した後の浮体6の位置を確認する(S13)。浮体6の位置は、現場の監視船と、全体監視カメラ15及び天端レベル監視カメラ16とによって行われる(S14)。
浮体6内の空気量、内圧、浮体6の位置が所望の状態になれば給排気ポンプ13aを停止する(S15)。なお、浮体6を浮上させた後も、浮体6の挙動、位置、内圧、空気量は監視を続ける。また、空気量制御手段17は、止水壁11に取り付けた歪ゲージ13fにより、浮体6の歪を測定して係留張力を求め、適正値かどうかを判断する(S16)。ここで、係留張力が適正値を大きく超えた場合には、空気量制御手段17が給排気ポンプ13aを制御し、浮体6内部の空気を排気する。
【0088】
次に、浮体6を収納部91に収納する手順について説明する。
河川や海が静穏になれば、図26に示すように、空気量制御手段17が給排気ポンプ13aを作動させ、浮体6内部の空気を排出する(S17,S18)。この時、給排気管13bの途中に設けた流量計13dにより、浮体6内から排出される空気量を計測しながら行う。
浮体6がある程度収縮してきたところで、電磁バルブ14gを作動させて取水管14c及び注入管14dを開放し、浮体6内部に水を注入する(S19,S20)。この時、取水管14c及び注入管14d内の途中に設けた流量計14hにより、注水量を計測し、浮体6内がほぼ満水になれば、電磁バルブ14gを作動させて取水管14c及び注入管14dを閉鎖する(S21〜S23)。
【0089】
以上のように、浮体6内部から空気を排出するとともに、浮体6内部に水を注水することで浮力が失われ、浮体6及び止水壁11は水中に漂った状態となる。ここで、ウインチ81を起動し、安定案内ワイヤ82によって浮体6を収納部91側へ徐々に沈降させる(S24,S25)。なお、沈降する浮体6の挙動は、全体監視カメラ15によって監視される(S26)。
次に、浮体6が沈降した後の浮体6内の残存空気量を確認する(S27)。空気量制御手段17により、排出した空気量と注水した水量から浮体6内の残存空気量を算出する。ここで、浮体6の空気量が所定の値より多い場合には、空気量制御手段17により給排気ポンプ13aを作動させ、浮体6内の排気を行う(S28)。
【0090】
さらに、浮体6が沈降した後の浮体6の位置を確認する(S29)。浮体6の位置は、監視船に備え付けたソナーを用いて水深を測定と、全体監視カメラ15及び天端レベル監視カメラ16とによって確認される(S30)。また、必要に応じてダイバーが潜って目視にて確認する。
浮体6内の空気量、浮体6の位置が所望の状態になれば給排気ポンプ13aを停止する(S31)。なお、浮体6を沈降させた後は、止水壁11の重量と安定案内ワイヤ82の張力によって止水壁11の伏せた状態を維持し、浮体6を収納部91に維持できる。
【0091】
なお、浮体式ゲート装置10のメンテナンスは、図27に示すように、まず、浮体式ゲート装置10の設置海域を仮閉鎖し、水中作業にて固定装置7を基礎部9から取り外す(S32,S33)。
次に、吊下げ台船にて浮体6、固定装置7、止水壁11を陸上のドックまで曳航する(S34)。ドックに曳航後、浮体6等の点検及び補修を行う(S35)。点検及び補修としては、例えば、気密層61や耐摩耗層62の補修や張り替え、係留索63や防護材64の交換、固定装置7や止水壁11に取り付けられた電気防食用電極の交換等がある(S36)。
点検及び補修後、吊下げ台船にて浮体6、固定装置7、止水壁11を設置位置まで曳航し、水中作業にて固定装置7を基礎部9に取り付ける(S37,S38)。
【0092】
本実施の形態の浮体式ゲート装置10によれば、浮体6は止水壁11を介して固定装置7に連結されているので、例えば水深の深い場所に浮体式ゲート装置10を設置する際に、浮体6を巨大化せずに止水壁11の長さを長くするだけでよく、水深の変化に合わせて浮体6の大きさを変える必要がない。また、浮体6を収納部91に収納する際には、止水壁11を水底に沈降させれば浮体6もつられて沈降するので、引き込み装置8の安定案内ワイヤ82の先端を止水壁11に取り付ければよく、破損しやすい浮体6に取り付ける必要がなくなる。
【0093】
さらに、浮体6にはエアバッグ66が設けられているので、例えば、浮体式ゲート装置10を既設の防波堤92間に設置する際に、エアバッグ66が浮体6の両端と防波堤92との隙間を埋めることができる。よって、浮体式ゲート装置10の止水性を向上できる。
【0094】
また、空気量制御手段17が制御する給排気部13によって浮体6内に空気を注入するとともに、水量制御手段18が制御する注排水部14によって浮体6内の水を排出することで、浮体6を起き上がらせることができる。浮上した浮体6は全体監視カメラ15及び天端レベル監視カメラ16によって監視でき、さらに、浮体6の状態は圧力センサ13eや歪ゲージ13fによって監視できる。同様に、給排気部13によって浮体6内の空気を排出するとともに、注排水部14によって浮体6内に水を注入することで、浮体6を収納部91に収納できる。よって、浮体6の起伏に必要な動作を空気量制御手段17及び水量制御手段18によって制御できるので、常に適正な浮力が浮体6にかかるように、浮体6内の空気量及び水量を良好に維持できる。
【0095】
なお、浮体式ゲート装置は、本実施の形態に限定されるものではない。例えば、浮体の材料はゴムやスーパー繊維に限らず、樹脂等でもよい。また、止水壁はH型鋼で形成するものに限らず、コンクリートや樹脂等を用いてもよい。
一方、浮体式ゲート装置は、河川が増水していなくても、浮体を起き上がらせることでダムとしての機能を果たすことができる。
【0096】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、浮体は非使用時に収縮させて収納できるので、収納部を小さくできる。
また、浮体の外面には補強材を備えているので、その内側の浮体を保護できる。 また、補強材は可撓性を有する格子状部材であるため、浮体の膨張収縮にともなって変形し、浮体と補強材とが離れることがない。
また、補強材は格子状部材であるため、軽量化が図られ、浮体を円滑に浮上させることができる。
また、補強材を介して防護材を設けることにより、水中や水面付近の浮遊物等は、耐摩耗層に直接接触しない。よって、耐摩耗層が破損するのを防止でき、浮体の耐用年数を延ばすことができる。また、耐摩耗層を覆う複数の防護材を備えていることから、防護材が破損すれば、破損した部分だけ交換できるため、交換作業が容易であり、経済性に優れている。
【0097】
請求項2記載の発明によれば、浮体は基礎部に対して着脱自在とする連結手段を備えているため、浮体の水中でのメンテナンス作業は不要となり、作業効率を向上できる。
【0098】
請求項3記載の発明によれば、複数の浮体を継手部によって連結することにより、所望の幅及び大きさの浮体式ゲート装置が構築できる。よって、種々の地域に設置可能な浮体式ゲート装置とすることができる。
【0099】
請求項4記載の発明によれば、止水部材が自重で基礎部に沈降することにより、止水部材に連結された浮体を円滑に収納部に収納できる。また、浮体式ゲート装置を設置水深が深くなっても、浮体を大きくせずに止水部材を長くするだけでよいので、水深の変化に合わせて浮体の大きさを変える必要がない。
【0100】
請求項5記載の発明によれば、止水部材は着脱可能な連結手段を介して連結されているため、浮体や止水部材、連結手段の水中でのメンテナンス作業は不要となり、作業効率を向上できる。
【0101】
請求項6記載の発明によれば、歪測定手段により得られた止水部材の歪が所定の値より大きい場合には、空気量制御手段が浮体内から空気の排気を行い、常に適正な浮力が維持できるので、装置各部の保護を図り、保守性が向上する。
【0102】
請求項7記載の発明によれば、引き込み手段が所定の回動方向に止水部材を引き込むことにより、浮体が収納される方向と反対側へ止水部材が回動することを防止して、止水部材を正しい位置に確実に沈降させることができる。
【0103】
請求項8記載の発明によれば、引き込み手段は、止水部材の自由端に接続されたワイヤと、このワイヤを浮体が収納される方向に巻きとるウインチとを備えているので、簡単な装置で止水部材を正しい位置に確実に沈降させる引き込み手段としての役割を果たすことができる。
【0104】
請求項9記載の発明によれば、注排水手段から浮体内に水を注入することにより、浮体内に注水された水は浮体の下方に溜まるため、浮体内の水が浮体のおもりとなって浮体の安定感を増すことができる。
【0105】
請求項10記載の発明によれば、浮体は気密層と耐摩耗層とを備えているので、気密層は浮体内部の空気を安定して維持することができる。また、耐摩耗層は水流による衝撃に耐え、気密層の劣化や損傷を防止する。よって、浮体の長寿命化を図ることができる。
【0106】
請求項11記載の発明によれば、浮体式ゲート装置を複数並べて既設の防波堤間に設置する場合には、補助浮体を膨張させることにより、補助浮体が浮体同士あるいは浮体と防波堤との隙間を埋めることができる。よって、浮体式ゲート装置の止水性を向上できる。
【0107】
請求項12記載の発明によれば、内圧測定手段により得られた浮体の内圧が所定の値より低い場合には、空気量制御手段が浮体内に空気を給気するので、浮体が常に適正な浮力を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における浮体式ゲート装置の使用時の状態を説明するための側断面図である。
【図2】上記実施の形態における浮体式ゲート装置の未使用時の状態を説明するための側断面図である。
【図3】上記実施の形態における浮体式ゲート装置を説明するための正面図である。
【図4】上記実施の形態における浮体式ゲート装置を説明するための平面図である。
【図5】上記実施の形態における浮体式ゲート装置の浮体の構造を説明するための縦断面図である。
【図6】上記実施の形態における浮体式ゲート装置の連結装置の構造を説明するための側面図である。
【図7】上記実施の形態における浮体式ゲート装置の連結装置の構造を説明するための正面図である。
【図8】上記実施の形態における浮体式ゲート装置の継手部の構造を説明するための横断面図である。
【図9】上記実施の形態における浮体式ゲート装置の回動部の構造を説明するための側面図である。
【図10】上記実施の形態における浮体式ゲート装置の回動部の構造を説明するための正面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態における浮体式ゲート装置の使用時及び未使用時の状態を説明するための側断面図である。
【図12】上記実施の形態における浮体式ゲート装置の気密層の構造を説明するための斜視図である。
【図13】上記実施の形態における浮体式ゲート装置の気密層の構造を説明するための縦断面図である。
【図14】上記実施の形態における浮体式ゲート装置の気密層及び耐摩耗層の構造を説明するための縦断面図である。
【図15】上記実施の形態における浮体式ゲート装置の防護材の構造を説明するための平面図及び側断面図である。
【図16】上記実施の形態における浮体式ゲート装置の浮体係留部の構造を説明するための側断面図である。
【図17】上記実施の形態における浮体式ゲート装置のエアバッグの設置位置を説明するための平面図である。
【図18】上記実施の形態における浮体式ゲート装置の固定装置の構造を説明するための側断面図及び正面図である。
【図19】上記実施の形態における浮体式ゲート装置の止水壁の構造を説明するための側面図である。
【図20】上記実施の形態における浮体式ゲート装置の設置手順を説明するための概要図である。
【図21】上記実施の形態における浮体式ゲート装置の設置手順を説明するための概要図である。
【図22】上記実施の形態における浮体式ゲート装置の浮体の曳航手順を説明するための概要図である。
【図23】上記実施の形態における浮体式ゲート装置の施工手順を説明するための概要図である。
【図24】上記実施の形態における浮体式ゲート装置の制御システムを説明するための概要図である。
【図25】上記実施の形態における浮体を浮上させる際のフローチャートである。
【図26】上記実施の形態における浮体を収納部に沈降する際のフローチャートである。
【図27】上記実施の形態における浮体式ゲート装置のメンテナンスをする際のフローチャートである。
【符号の説明】
1,10 浮体式ゲート装置
2,6 浮体
21,61 気密層
22,62 耐摩耗層
23,63 補強材
24,64 防護材
27 継手部
3 連結装置
4,8 引き込み装置
7 固定装置
11 止水壁
13d,14h 流量計
13c,14g 電磁バルブ
13e 圧力センサ
13f 歪ゲージ
15 全体監視カメラ
16 天端レベル監視カメラ
17 空気量制御手段
51,91 収納部
66 エアバッグ

Claims (12)

  1. 水底に設置され、水流又は波のせき止め用の浮体式ゲート装置であって、
    水底に設置される基礎部と、
    一部が前記基礎部に固定され、膨張時に水上に突出する膨縮可能な袋状の浮体と、
    この浮体内に空気を給排気する給排気手段と、
    前記浮体を収納可能な収納部と、
    収縮時に前記浮体を前記収納部へ回収する引き込み手段と、
    前記浮体の外面に設けられ、可撓性を有するとともに格子状に形成されて前記浮体を補強する補強材と、
    前記補強材のそれぞれの格子により囲まれる空間を覆うように設けられ、前記補強材に回動可能に接続された複数の防護材と、
    を備えていることを特徴とする浮体式ゲート装置。
  2. 請求項1記載の浮体式ゲート装置であって、
    前記浮体を前記基礎部に対して着脱自在とする連結手段を備えていることを特徴とする浮体式ゲート装置。
  3. 請求項1または2記載の浮体式ゲート装置であって、
    前記浮体には、隣接する他の浮体式ゲート装置の浮体を連結するための継手部が設けられていることを特徴とする浮体式ゲート装置。
  4. 水底に設置され、水流又は波のせき止め用の浮体式ゲート装置であって、
    水底に設置される基礎部と、
    この基礎部に連結され、起倒可能な水流せき止め用の止水部材と、
    この止水部材の自由端に連結され、膨張時に水上に突出する膨縮可能な袋状の浮体と、
    この浮体内に空気を給排気する給排気手段と、
    前記浮体を収納可能な収納部と、
    前記浮体の外面に設けられ、格子状に形成されて前記浮体を補強する補強材と、
    前記補強材のそれぞれの格子により囲まれる空間を覆うように前記補強材に設けられた複数の防護材と、
    前記防護材間の継ぎ目に設けられ、弾性を有するシール部材と、
    を備えていることを特徴とする浮体式ゲート装置。
  5. 請求項4記載の浮体式ゲート装置であって、
    前記止水部材を前記基礎部に対して着脱自在とする連結手段を備えていることを特徴とする浮体式ゲート装置。
  6. 請求項4記載の浮体式ゲート装置であって、
    前記止水部材の歪を測定する歪測定手段と、
    この歪測定手段により得られた前記浮体の歪が所定の値より大きい場合に、浮体内から空気を排気するように前記給排気手段を制御する空気量制御手段と、
    を備えたことを特徴とする浮体式ゲート装置。
  7. 請求項4または5記載の浮体式ゲート装置であって、
    前記止水部材の自由端を前記浮体が収納される方向に引き込む引き込み手段が設けられていることを特徴とする浮体式ゲート装置。
  8. 請求項7記載の浮体式ゲート装置であって、
    前記引き込み手段は、前記止水部材の自由端に接続されたワイヤと、
    このワイヤを前記浮体が収納される方向に巻きとるウインチと、
    を備えていることを特徴とする浮体式ゲート装置。
  9. 請求項1〜5のいずれかに記載の浮体式ゲート装置であって、
    前記浮体内に水を注排水する注排水手段を備えていることを特徴とする浮体式ゲート装置。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の浮体式ゲート装置であって、
    前記浮体は、気密性を有する気密層と、
    この気密層の外面に設けられ、耐摩耗性を有する耐摩耗層と、
    を備えていることを特徴とする浮体式ゲート装置。
  11. 請求項4,5,7,8のいずれかに記載の浮体式ゲート装置であって、
    前記浮体の側端部の一方には、膨縮可能な補助浮体が設けられていることを特徴とする浮体式ゲート装置。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の浮体式ゲート装置であって、
    前記浮体の内圧を測定する内圧測定手段と、
    この内圧測定手段により得られた浮体の内圧が所定の値より低い場合に、浮体内に空気を給気するように前記給排気手段を制御する空気量制御手段と、
    を備えたことを特徴とする浮体式ゲート装置。
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