JP4043202B2 - 洗濯乾燥機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗濯および乾燥運転を順次行なうものであって、特に乾燥運転を効率良く行なうことができる洗濯乾燥機に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来、この種洗濯乾燥機は、図15に示すように、外郭を形成する本体51内に有底円筒状の水槽52が弾性支持機構53を介して吊持され、この水槽52内には洗濯物を収容する縦形の回転槽54が配設されている。この回転槽54は、周壁に多数の透孔54aを有し、内底部には撹拌体55が設けられている。そして、前記水槽52の上端開口部には、内蓋56を設けて開・閉可能な構成となすと共に、かかる水槽52の上下部に両端部が夫々連通接続された温風循環路57が設けられている。この温風循環路57は、乾燥運転時に水槽2内に向けて温風を吐出供給するため、途中に送風機58aおよびヒータ58bからなる温風発生装置58を備えている。なお、前記水槽52の底部には機外に連通する排水弁59が設けられている。
【0003】
上記構成により、洗濯時には排水弁59を閉じ水槽52および回転槽54内に給水し貯留した状態にて、収容された洗濯物を撹拌体55の回転動作により洗濯し、また脱水時には排水弁59を開放した状態にて回転槽54および撹拌体55を同期して高速回転させることで、多数の透孔54aを通して遠心脱水する。次いで、乾燥運転に移行し、回転槽54および撹拌体55を同期して低回転回転しつつ、温風循環路57から温風が図中矢印方向に水槽52の上部から供給されることに伴い、洗濯物から水分を奪いつつ両槽間に排出されたいわゆる排気風は、水槽52の下部から温風循環路57内に吸い込まれるように流入し、上部の温風発生装置58を経て再び温風化され、水槽52内に供給される温風の循環供給により乾燥運転が進められる。
【0004】
ところで、上記従来の場合、脱水運転から乾燥運転に移行するが、脱水運転終了時に、洗濯物が回転槽4内面にはりついたままであると、乾燥運転において、温風が洗濯物にうまく当たらず、乾燥時間が長くなったり、あるいは洗濯物の一部分のみに温風が当たって、均一乾燥ができないといった不具合がある。
【0005】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、洗濯、脱水および乾燥を行なうものにおいて、乾燥時間の短縮、乾燥むら防止に寄与できる洗濯乾燥機を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、貯水可能な水槽と、
この水槽内に設けられ収容された洗濯物の洗濯および脱水並びに乾燥を行なう回転槽と、
この回転槽内底部に設けられた撹拌体と、
両端部が前記水槽に連通して形成された循環風路と、
この循環風路内に設けられた送風装置および加熱装置と、
前記循環風路を流れる空気を除湿する除湿ユニットと、
脱水運転終了時に、前記回転槽および撹拌体を回転させて該回転槽にかかる回転負荷により湿布状態の洗濯物重量を判定し、前記撹拌体を回転させて該撹拌体にかかる回転負荷により前記湿布状態の洗濯物重量を判定し、前記回転槽および撹拌体回転による洗濯物量判定が重量大であって且つ前記撹拌体回転による洗濯物重量判定が重量小である程、回転槽への洗濯物のはりつきが大であると判定する判定手段と
を備えてなるところに特徴を有する。
【0007】
脱水運転終了時に回転槽を回転させることにより湿布状態の洗濯物重量を判定するとき、洗濯物が回転槽内面にはりついていると、回転槽の回転負荷が大きく、洗濯物重量が大であると判定する。また、洗濯物が回転槽内面にはりついていない(洗濯物が回転槽の底面にあると)と、回転負荷が小さく、洗濯物重量が小であると判定する。ところが、洗濯物が回転槽内の実際の洗濯物重量が多いと、重量判定結果は大を判定するものであるから、はりつきによる洗濯物重量大であるのか、実際の洗濯物重量が大によるものかが判らず、はりつきの有無が実際に判らないことがある。
【0008】
しかるに、この請求項1の発明においては、脱水運転終了時に、回転槽を回転させることにより湿布状態の洗濯物重量を判定する(以下、回転槽および撹拌体回転による洗濯物重量判定という)ことに加え、撹拌体を回転させることにより洗濯物重量を判定し(以下、撹拌体回転による洗濯物重量判定という)、両洗濯物重量判定結果に基づいて、回転槽への洗濯物のはりつきの有無を判定するから、はりつきの有無を確実に判定できるようになる。すなわち、撹拌体回転による洗濯物重量判定の場合、同一洗濯物重量の条件下で、洗濯物が撹拌体上にあれば、回転負荷が大きく洗濯物重量大と判定し、洗濯物が撹拌体上にないか或いは少ししか載っていない時には洗濯物重量小と判定する。従って、回転槽および撹拌体回転による洗濯物重量判定が洗濯物重量大であって、撹拌体回転による洗濯物重量判定結果が大であるときには、実際の洗濯物重量が大であってはりつきはないと判定できる。また、同じく回転槽および撹拌体回転による洗濯物重量判定が洗濯物重量大であっても、撹拌体回転による洗濯物重量判定結果が小であるときには、洗濯物のはりつきが有ると判定できる。この結果、この請求項1の発明によれば、洗濯物のはりつきの度合いを確実に判定できる。従って、はりつきが有った場合にはそのはりつきを適宜修正することが可能であり、乾燥時間の短縮、乾燥むら防止に寄与できるようになる。
【0009】
請求項2の発明においては、判定手段により、はりつき有りが判定されたときには、回転槽および撹拌体をフリーラン状態とし、撹拌体のみを当該フリーラン状態における回転方向とは逆方向へ回転させるようにしたから、洗濯物のはりつきを確実に解消することができるようになる。
請求項3の発明においては、判定手段により、はりつき有りが判定されたときには、回転槽と撹拌体とを相互に反対方向へ回転させるようにしたから、洗濯物のはりつきをさらに確実に解消することができるようになる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施例につき図1ないし図10を参照しながら説明する。まず、図1は洗濯機全体の概略構成を示す縦断側面図で、外郭を形成する本体1の上面中央部には、洗濯物の出し入れ口を開閉する蓋2を備え、その前方には図示しない表示部や各種のキースイッチを有する操作パネル3が配設されていると共に、その内方には洗濯および乾燥運転の全般を制御すべく制御装置4が設けられている。
【0021】
そして、本体1の内部には、上面を開口した貯水可能な有底筒状の水槽5が、複数の弾性支持装置6(1個のみ図示)を介して設けられており、その最低部位の排水口5aには、排水弁7が連通接続され、さらに排水ホース8を経て機外に導出されている。また、本体1の上端部には、中央部位を開口した槽カバー9が嵌合被着され、その開口部位には、内蓋10が開閉回動可能に設けられている。前述の水槽5は、上面開口部が内蓋10により塞がれることにより、洗濯時の貯水槽であると共に、後述する乾燥時における乾燥室としても有効に機能する。
【0022】
上記構成の水槽5の内部には、洗濯物を収容し回転可能な回転槽11が配設されている。この回転槽11は、水槽5と略同様の上面を開口し、底部を含む全周壁に多数の透孔11aを有する縦形円筒状をなす。さらにこの回転槽11の内底部の中心には撹拌体12が回転可能に設けられており、上端部には、バランスリング13が固着されている。そして、これら回転槽11および撹拌体12は、水槽5の外底部に装着されたモータ14により回転駆動されるように、図示しないクラッチ機構を介して洗い行程では撹拌体12のみが駆動され、脱水運転や乾燥運転時には撹拌体12と回転槽11とが同期して回転されるようになっている。但し、回転槽11は乾燥運転時では脱水運転の高速回転に比して低速回転されるように制御される。
【0023】
前記水槽5の側方において、その下部から上端部にかけて循環風路15を形成している。この循環風路15は、その一端が水槽5下部の排水口5aよりやや上部に開口連通すると共に、他端たる温風供給口15aが水槽5の上面開口を臨む前記槽カバー9に連通開口したダクト構成としている。この循環風路15には、水槽5内に温風を循環供給するための送風装置16と、その加熱装置としてPTCヒータ17とが設けられている。
【0024】
これにより生成された温風は、図中実線矢印で示すように上端部から、水槽5(回転槽11)内に吐出される一方、下端部の水槽5下部からは乾燥に寄与した後の水分を含んだ温風(排気)が流入し、再び加熱温風化されて水槽5内に供給する循環を繰り返す。
【0025】
除湿ユニット18は、本実施例では空冷式の除湿手段として機能するに構成されたもので、冷風ファン装置19を備えて構成されている。この冷風ファン装置19は、外気を取り込み循環風路15の下半部外周面に当てることにより、この外周面より外気にて冷却し、もって、内部の温風(排気)が冷却されて水分が凝縮して滴下し、排水弁7を経て外部に排出される。従って、温風が除湿され、これにより乾いた空気は、送風装置16およびPTCヒータ17により再び温風化されて水槽5内部に順次供給される。上記循環風路15の前記PTCヒータ17の直前における上流側には、温度センサ20が設けられている。
【0026】
次に図2に示す洗濯乾燥機の電気的構成について述べる。100Vの商用交流電源21には、ダイオードブリッジからなる整流回路22および平滑コンデンサ23、24を備えた直流電源回路25が接続され、これには定電圧回路26とモータ駆動回路であるインバータ主回路27が接続されている。このインバータ主回路27は、例えばIGBTからなるスイッチング素子27a〜27fを三相ブリッジ接続することにより構成されている。そして、この各相ブリッジの出力端子がモータ14のステータの各相巻線に接続され、以てモータ14は、インバータ主回路27により駆動制御される。なお、インバータ主回路27の各スイッチング素子27a〜27fは、制御装置4により制御される。
【0027】
制御装置4は、マイクロコンピュータを主体にROM、RAMなどを有し、前記操作パネル3の各種スイッチによる操作入力や前記温度センサ20を始め後述する各種センサの検知信号の入力に基づき、洗濯、脱水および乾燥運転を制御するとともに、そのための制御プログラムや各種データを記憶しており、判定手段としての機能も有している。
【0028】
一方、前記交流電源21の電源端子21aには、駆動回路28が接続され、他方の電源端子21bと上記駆動回路28との間には、給水弁29、排水弁7、送風装置16、PTCヒータ17、冷風ファン装置19および報知手段たる報知ブザー30が接続されている。さらに、制御装置4には、前記操作パネル3のこれも報知手段たる表示部31が接続されている。
【0029】
さらにまた、制御装置4には、操作パネル3の各種スイッチの操作回路32からの操作信号が入力されるのを始め、モータ14の回転速度を検知する回転速度センサ33、水槽5(および回転槽11)内の水位を検知する水位センサ34、前記温度センサ20からの信号が与えられるようになっている。
【0030】
さて、上述のように構成した本実施例の作用を、上記制御装置4の制御内容とともに説明する。図3には、制御装置4に含まれるマイクロコンピュータの制御動作を示している。この図3のフローチャートは、例えば自動コースを選択してスタートスイッチをオンしたときに開始されるようになっている。この場合、回転槽11内に洗濯物を予め投入しておく。
【0031】
しかして、ステップS1では、回転槽11内に水をいれる前の、いわゆる乾布状態で洗濯物重量を判定する。この判定の方法は、図4に示されている。ステップR1においては、例えばモータ14に予め定められた電力を通電して撹拌体12のみを回転させ、ステップR2において、モータ14の回転速度の所定時間に対する上昇度合いを測定する。そして、ステップR3において、その上昇度合いに基づいて、乾いた状態の洗濯物重量を判定する。この場合、上がり度合いが緩やかなほど洗濯物重量が多いと判定する。
【0032】
そして図3のステップS2では、判定された洗濯物重量が予め定められた許容値を超えたか否かを判断する。この判断の趣旨は次にある。すなわち、回転槽11で行なう洗濯運転および脱水運転における洗濯物の許容量は比較的大きいが、乾燥運転では、槽容積に対して乾燥容量が多大となることがある。従って、判定された洗濯物重量が予め定められた許容値を超えたときには、洗濯物を乾燥まではできないと判断し、ステップS3に移行して、適正乾燥ができない旨を、報知ブザー30に報知させるとともに、表示部31に表示させ、この自動コースを終了する。この後は、使用者が適宜1回の洗濯物量を減らすなどして再度自動コースを開始すれば良い。
【0033】
上記ステップS2において、判定された洗濯物重量が予め定められた許容値を超えていないと判定されたときには、ステップS4に移行して、洗濯運転を行なう。
この洗濯運転は、周知のように、次のことを行なう。まず、前記ステップS1で判定した洗濯物重量に応じた水位となるように給水し、この給水のときに洗剤を図示しない洗剤投入器により回転槽11内に投入する。そして、回転槽11は回転させずに撹拌体12を正逆回転させる。これを所定時間行なう。これにより、回転槽11内の洗濯物が洗剤洗いされる。この後、排水、給水を実行した後、回転槽11は回転させずに撹拌体12を正逆回転させて、すすぎ洗いを行なう。なお、すすぎ洗い前に、中間脱水すすぎを実行するようにしてもよい。
【0034】
次のステップS5では脱水運転を実行する。この脱水運転では、排水を実行した上で、回転槽11および撹拌体12を図10の矢印Ka方向に高速回転させることを設定された時間行なう。
そして、ステップS6では、はりつき判定を行なう。このはりつき判定の制御内容は図5に示されている。ステップT1においては、モータ14に決められた電力を供給して回転槽11および撹拌体12の回転を立上げ、その時の回転速度が所定速度に達するまでの時間を検出し、ステップT2では、回転槽11および撹拌体12が最高回転速度に達したところで、モータ14を断電してフリーランさせ、回転停止するまでの時間を検出する。そしてステップT3では、ステップT1とステップT2との検出結果に基づいて洗濯物重量を「大」、「中」、「小」のいずれかに判定する。つまり、ステップT1、ステップT2での検出時間がともに長いときに洗濯物重量が大であると判定する。
【0035】
そしてステップT4により、撹拌体12のみを正逆回転させ、そのときの回転速度を測定し、回転速度が遅い方から速くなるにつれて、「大」、「中」、「小」のいずれかであると判定する。この後、ステップT3とこのステップT4との洗濯物重量から、はりつきの有無および度合いを判定する。この判定は、図6に示すデータから行なう。すなわち、制御装置4が有するROMには、この図6に示すデータが記憶されている。例えば、ステップT3での洗濯物重量判定結果(以下、回転槽および撹拌体回転による洗濯物重量判定結果という)と、ステップT4での洗濯物重量判定結果(以下、撹拌体回転による洗濯物重量判定結果という)とから、はりつきの程度の大小を判定する。例えば、回転槽および撹拌体回転による洗濯物重量判定結果が大であって、撹拌体回転による洗濯物重量判定結果が大であるときには、(a)欄から判るように、はりつき無しと判定する。
【0036】
この後、図3のステップS7に示すように、判定結果がはりつき有りか否かを判断し、はりつきが無しのときには、撹拌体回転による洗濯物重量判定(ステップT4と同様の判定動作)を実行し、ステップS9で、その判定結果に応じて、温風温度を設定する。この温風温度の設定は、図7に示すように、洗濯物重量が大であるほど、温風温度を低く設定する。さらに、ステップS10に移行して、上述の判定結果に応じて、乾燥度検出のためのモータ負荷量判定動作の時間間隔を設定する。この設定は、図8に示すように、重量判定結果が「大」のときに、時間間隔を「30分」に、「中」のときに「20分」に、「小」のときに「10分」に設定する。
【0037】
また、前記ステップS7において、はりつきが有り(図6の「中」あるいは「大」)のときには、ステップS11に移行して、はりつき解消処理を実行する。これは回転槽11および撹拌体12を脱水運転時での回転方向(前述した図10の矢印Ka方向)とは反対方向(同図の矢印Kb方向)へ回転させる(反転させる)ことを行なう。
【0038】
しかして、ステップS10の後には、乾燥運転を実行する。すなわち、回転槽11および撹拌体12を低速回転(例えば45〜80rpm)させると共に、送風装置16およびPTCヒータ17がオン動作して温風が生成され、循環風路15の上端部から温風が水槽5内に供給される。なお、同時に除湿ユニット18を構成する冷風ファン装置19も駆動され、取り込まれた外気は図1中に示す破線矢印方向へ送り込まれる。
【0039】
しかして、水槽5の上面は槽カバー9および内蓋10により閉鎖されているので、温風は上部開口から漏れることなく洗濯物に吹き当てられ、乾燥されてゆく。そして、乾燥に寄与した後の水分を多量に含んだ排気温風は、回転槽11の透孔11aなどを経て、図示実線矢印で示すように水槽5の下部から、循環風路15に吸入されるように流入する。しかるに、温風(排気)が流入した循環風路15の下半部には除湿ユニット18が設けられているので、実線矢印方向に流れる温風に対して、当該循環風路15の外周囲を逆方向(破線矢印)に流れる外気たる冷風により冷却され、温風中の水分は凝縮されて滴下し排水弁7を介して随時排出される。
【0040】
このようにして乾燥運転が行なわれる中で、ステップS10にて設定された時間間隔で、乾燥度検出のためのモータ負荷量判定がなされる。このモータ負荷量判定は、次のように行なわれる。すなわち、回転槽11の回転を止め且つ前記PTCヒータ17の加熱動作を止めた状態で、モータ14に所定の電力を与えて回転させて、前記撹拌体12のみを回転させる。そして、撹拌体12の回転速度を測定することにより、モータ負荷量を判定する。図9には、モータ負荷量と乾燥率との関係を示しており、乾燥率が高くなるにつれてモータ負荷量が小さくなることが判る。従って、モータ負荷量の目安としてモータ14の回転速度を測り、これに基づいて乾燥率を検出する。そして、所定の乾燥率が検出されると、ただちに乾燥運転を終了するか、あるいは、冷風循環による仕上げ運転を所定時間行なってから乾燥運転を終了する。
【0041】
このような本実施例によれば、次の効果を得ることができる。
脱水運転終了時に、回転槽11および撹拌体12回転による洗濯物量判定と、撹拌体12回転による洗濯物量判定との判定結果に基づいて、回転槽11への洗濯物のはりつきの度合いを判定するから、はりつきの度合いを確実に判定できる。従って、はりつきが有った場合にはそのはりつきを適宜修正することが可能であり、乾燥時間の短縮、乾燥むら防止に寄与できる。
また、はりつき有りが判定されたときには、回転槽11を反転させるようにしたから、洗濯物のはりつきを確実に解消することができる。
【0042】
また、本実施例によれば、脱水運転終了時に洗濯物重量を判定し、その判定重量に応じて乾燥時の温風温度を設定するようにしたから、乾燥時間の短縮、乾燥むら防止に寄与できる。すなわち、洗濯物重量が大である場合には、温風温度を高くすると、洗濯物の表面だけが乾いて全体が一様に乾くことが少ない。また洗濯物重量が小である場合には、乾燥しやすいから温風温度を高くして乾燥時間の短縮を図ったほうが良く、従って、判定重量に応じて乾燥時の温風温度を設定することで、洗濯物量が多い場合の乾燥時間の短縮、少ない場合の乾燥むら防止に寄与できる。
【0043】
さらに、本実施例によれば、モータ負荷量を判定することで乾燥度を判定するが、回転槽11の回転を止め且つPTCヒータ17の加熱動作を止めた状態でモータ負荷量判定を行なうから、誤差の少ないモータ負荷量判定結果を得ることができ、この結果、乾燥度判定精度も良くなる。
この場合、脱水終了時に洗濯物重量を判定し、その判定重量に応じて乾燥運転時のモータ負荷量判定時間間隔を決定するようにしているから、洗濯物重量が大なるときでも乾燥時間が長くなることを極力防止できる。
【0044】
本発明は、上記実施例に限定されず、次のように変更して実施できる。
ステップS11では、はりつき解消処理として、回転槽11および撹拌体12を脱水運転時の回転方向に対して反対方向に回転させるようにしたが、回転槽11と撹拌体12とを逆方向に回転させるようにしても良い。この場合、本発明の第2の実施例に関連する図11のように、脱水運転終了時に、回転槽11および撹拌体12が矢印Ka方向へ回転している中で(ステップP1)、モータ14を断電して回転槽11および撹拌体12をフリーラン状態とし(ステップP2)、この状態で、撹拌体12のみを逆方向(矢印Q方向)へ回転させる(ステップP3)と良い(図12参照)。この場合には、はりつき解消をさらに確実化できる。
【0045】
また、上記実施例では、モータ負荷量判定時間間隔を洗濯物量に応じて設定するようにしたが、乾燥運転時の温風温度の上昇値または絶対値に基づいて、モータ負荷量判定を実行するようにしても良い。すなわち、本発明の第3の実施例に関連する図13には、乾燥運転の進行に伴う、温風温度の変化の一例を示している。この図13中の時点Aにおいては、温風温度が急に上がっている(ΔT)。これは、回転槽11内の洗濯物の収容状態に変化があったことを意味している。このような変化時には、乾燥の進み具合にも変化が発生する。このようなタイミングで、乾燥度(モータ負荷量)を検出することは適正である。また、この図13において、時点Bでは、温風温度が絶対温度Taに達している。これは、洗濯物がほぼ乾燥完了状態になったことを意味している。このようなタイミングでも、乾燥度を検出することは適正である。
しかるに乾燥運転時の温風温度の上昇値または絶対値に基づいて、モータ負荷量判定を実行することにより、適正タイミングで乾燥度検出を行なうことができる。つまり、必要なときに乾燥度判定を行なうことができる。
【0046】
さらに、上記実施例では、乾燥運転時に回転槽11および撹拌体12を連続回転させるようにしたが、回転槽11を複数の回転角度位置で順次止めるようにしても良い。この場合、本発明の第4の実施例として示す図14のように、回転槽11を例えば角度10°ごとの回転角度位置で順次所定時間止めるようにしても良い。このようにする趣旨は次にある。すなわち、洗濯物のはりつき有無の判定をしないような場合には、洗濯物が回転槽11にはりついたまま、乾燥運転を行なうことも考えられる。この場合に回転槽11を連続回転させていると、温風が洗濯物の表面にしか触れず、乾燥が進まないことがある。しかるに上述したように、乾燥運転時に、回転槽11を複数の回転角度位置(例えば10°ごと)で順次所定時間止めるようにしたから、温風供給口15aから出る温風が停止状態の洗濯物に通るようになり、乾燥が進み、乾燥時間の短縮、乾燥むら防止に寄与できる。
【0047】
【発明の効果】
本発明は以上の説明から明らかなように、洗濯、脱水および乾燥を行なうものにおいて、乾燥時間の短縮、乾燥むら防止に寄与できるといった優れた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す洗濯乾燥機全体の縦断側面図
【図2】電気回路図
【図3】制御装置の制御内容を示すフローチャート
【図4】乾布での洗濯物重量判定フローチャート
【図5】はりつき判定フローチャート
【図6】はりつき判定のデータテーブルを示す図
【図7】洗濯物重量から温風温度を設定するためのデータテーブルを示す図
【図8】洗濯物重量からモータ負荷量判定時間間隔を設定するためのフローチャート
【図9】モータ負荷量と乾燥率との関係を示す図
【図10】回転槽および撹拌体の回転の様子を説明するための概略平面図
【図11】本発明の第2の実施例に関わるはりつき解消制御のフローチャート
【図12】回転槽および撹拌体の回転の様子を説明するための概略平面図
【図13】本発明の第3の実施例に関わる温風温度変化の一例を示す図
【図14】本発明の第4の実施例に関わり、回転槽の回転の様子を説明するための概略平面図
【図15】従来例を示す図1相当図
【符号の説明】
1は本体、4は制御装置(判定手段)、11は回転槽、12は撹拌体、14はモータ、15は循環風路、16は送風装置、17はPTCヒータ(加熱装置)、18は除湿ユニット、19は冷風ファン装置、17はインバータ主回路、30は報知ブザー、31は表示部を示す。

Claims (3)

  1. 貯水可能な水槽と、
    この水槽内に設けられ収容された洗濯物の洗濯および脱水並びに乾燥を行なう回転槽と、
    この回転槽内底部に設けられた撹拌体と、
    両端部が前記水槽に連通して形成された循環風路と、
    この循環風路内に設けられた送風装置および加熱装置と、
    前記循環風路を流れる空気を除湿する除湿ユニットと、
    脱水運転終了時に、前記回転槽および撹拌体を回転させて該回転槽にかかる回転負荷により湿布状態の洗濯物重量を判定し、前記撹拌体を回転させて該撹拌体にかかる回転負荷により前記湿布状態の洗濯物重量を判定し、前記回転槽および撹拌体回転による洗濯物重量判定が重量大であって且つ前記撹拌体回転による洗濯物重量判定が重量小である程、回転槽への洗濯物のはりつきが大であると判定する判定手段と
    を備えてなる洗濯乾燥機。
  2. 判定手段により、はりつき有りが判定されたときには、回転槽および撹拌体をフリーラン状態とし、撹拌体のみを当該フリーラン状態における回転方向とは逆方向へ回転させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の洗濯機乾燥機。
  3. 判定手段により、はりつき有りが判定されたときには、回転槽と撹拌体とを相互に反対方向へ回転させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の洗濯機乾燥機。
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