JP4042339B2 - 光走査装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光走査装置にかかり、特に、画像情報に基づき半導体レーザ(LD)等の発光源を点灯し、該発光源から出力された光ビームによって感光体を光走査することにより画像を形成するレーザビームプリンタ、デジタル複写機等の電子写真装置に設けられた光走査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のレーザビームプリンタやデジタル複写機には、光ビームを感光材料や感光体上に走査させる光走査装置が設けられている。この種の光走査装置としては、例えば図8に示すようなものがある。図8に示す光走査装置は、光源200から射出された光ビームを、集光レンズ群202を介して回転多面鏡204へ照射すると共に、該回転多面鏡204に照射された光ビームを該回転多面鏡204の回転に伴って移動する反射面204Aによって反射することにより、結像レンズ206を介して感光体ドラム208の軸方向に沿って走査露光するように構成したものである。なお、回転多面鏡204の回転によって光ビームが走査される方向を主走査方向、主走査方向と直交する方向を副走査方向という。
【0003】
近年のデジタル化技術の進歩と画像処理技術の発達に伴って、光走査装置の高解像度化がますます進み、一般的な光走査装置のビーム径である50μmから80μmよりも小さいドットで画像を形成する要求が高まってきている。例えば、1200dpiの解像度を得るためには21μm、2400dpiの解像度を得るためには11μm単位での画像解像力が要求される。そこでこのような光走査装置は、半導体レーザ(以下、LDという)の光強度や点灯時間等を高精度に調整することで、高解像度で画像を形成できるようにしている。
【0004】
ところで、レーザプリンタやデジタル複写機などの画像形成装置は、温度変動等に起因する光走査装置の変形やレンズの歪により、光ビームの焦点位置が変動する。焦点位置が変動すると感光体上のビーム径が変化し、画質としては光走査装置のビーム径よりも小さいドットで画像形成するような細線や、ハーフトーン等の再現性が悪化する。
【0005】
図9には、LDの発光パワーを一定にした場合の種々のビーム径における光強度分布を示す。図9に示すように、LDの発光パワーが一定でも、焦点位置がずれてビーム径が太くなると、光ビーム中心での光強度が低下することがわかる。
【0006】
図10(a)には主走査方向及び副走査方向のビーム径が適正な場合の描画状態を示し、図10(b)には主走査方向のビーム径が太くなった場合の描画状態を示し、図10(c)には副走査方向のビーム径が太くなった場合の描画状態を示す。
【0007】
図10(a)に示すように、主走査方向の線幅は副走査方向のビーム径に依存し、副走査方向の線幅は主走査方向のビーム径とレーザ点灯時間に依存する。副走査方向の線幅が1ドット以下のような場合、レーザ点灯時間によって光ビームの中心光強度が異なる。
【0008】
図10(b)に示すように、主走査方向のビーム径が太くなると、同じレーザ点灯時間に対する光ビームの中心強度が低下して画像形成幅が減少するため、副走査方向の線幅が細くなる。
【0009】
図10(c)に示すように、副走査方向のビーム径が太くなると、光ビームの中心強度が低下し、画像が形成される幅が狭くなるため、主走査方向の線幅が細くなる。
【0010】
また、図10(b)、(c)に示した状態よりさらにビーム径が太くなると、細線が描画できなくなってしまう、という問題がある。さらに、同様の理由により、ビーム径が太くなるとハイライト部の再現性やハーフトーンの再現性も悪化する。
【0011】
そこで、この種の問題を解決するために、特開平1−292311号公報や特開平7−20395号公報に記載の技術では、ビーム検出手段により走査ビームのビーム径の変動を検出し、該検出結果に基づいて光走査装置内部の光学部品を移動させて光ビームの焦点位置を調整して感光体上のビーム径を安定させている。
【0012】
特開平1−292311号公報に記載の技術では、図11に示すように、感光体210と等価な位置にCCD212を配置し、レーザ素子216に図12(A)に示すようなON/OFFする信号を入力することにより光ビームをCCD212に照射する。CCD212上の露光分布は図12(B)に示すように、レーザ光束のスポット径に応じた強弱分布となるので、CCD212の各画素の出力は図12(C)に示すような分布となり、該信号(各画素の出力信号)に基づいて、コントラスト比を算出して光ビームのビーム径変動を検出する。そして、その結果に基づいてコリメータレンズ214を光軸方向に焦点調整手段218としてのステッピングモータで移動させて感光体210上のビーム径を安定化させている。
【0013】
また、特開平7−20395号公報に記載の技術では、図13に示すように、感光体220と等価な位置に光センサ222、224を配置し、光センサ222、224の出力信号から主走査方向と副走査方向のビーム径変動をそれぞれ検出し、その結果に基づいて主走査方向のビーム径変動はコリメータレンズ226を、副走査方向のビーム径変動はシリンドリカルレンズ228を夫々光軸方向に圧電素子で移動させて感光体上のビーム径を安定化させている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平1−292311号公報及び特開平7−20395号公報のいずれについても、光学部品を機械的に移動させるため、圧電素子やステッピングモー夕などの移動機構が必要となり、装置の構成が複雑となるため、小型化、低コスト化が困難である、という問題がある。
【0015】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、温度変化などの影響によりビーム径が変動しても、簡単な構成で良好な画質を維持することができる光走査装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、画像情報に基づいて光ビームを出力する発光源を点灯し、前記発光源から出力される光ビームによって感光体を光走査する光走査装置であって、前記発光源を駆動する駆動手段と、主走査方向及び副走査方向のビーム径変動を検出する検出手段と、前記検出手段による副走査方向のビーム径変動の検出結果に基づいて前記光ビームの定常の光強度変化させて前記ビーム径変動を抑制するように前記駆動手段を制御した後、前記検出手段による主走査方向のビーム径変動の検出結果に基づいて前記発光源に流れる駆動電流の駆動電流波形のオーバーシュート量を調整することによって前記光ビームの立ち上がりの光強度変化させて前記ビーム径変動を抑制するように前記駆動手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、駆動手段は発光源を駆動し、検出手段は半導体レーザなどの発光源より出力される光ビームの主走査方向及び副走査方向のビーム径変動を検出する。制御手段は検出手段による副走査方向のビーム径変動の検出結果に基づいて発光源より出力される光ビームの定常の光強度変化させてビーム径変動を抑制するように駆動手段を制御する。例えば、検出手段による検出結果に変動があった場合に、検出手段の検出結果に基づいて半導体レーザ等の発光源の駆動電流や駆動電圧を増減させることにより、ビーム径変動や光量変動により変動した光ビーム中心での光強度を適正な状態に維持することが可能となる。
【0018】
続いて制御手段は検出手段による主走査方向のビーム径変動の検出結果に基づいて発光源に流れる駆動電流の駆動電流波形の立上り時のオーバーシュート量を調整することによって光ビームの立上がりの光強度を変化させてビーム径変動を抑制するように制御することより、ビーム径変動による立上り時の光強度の低下を改善することが可能となる。
【0019】
従って、このように制御手段が半導体レーザを制御することにより、光学部品を機械的に移動することなく、発光源から出力される光ビームを適正な状態に維持することができるので、簡単な構成で高解像度の細線再現性や中間調の再現性を維持することができ、良好な画質を維持することができる。
【0020】
また、光ビームの立ち上がりの光強度が変化するように発光源を先に制御すると、光ビームの定常の光強度が変化するように制御する際に立ち上がりの光強度を変化させてしまうが、上述のように光ビームの定常の光強度が変化するように発光源を制御した後に、発光源に流れる駆動電流の駆動電流波形のオーバーシュート量を調整することによって光ビームの立上りの光強度が変化するように駆動手段を制御することにより、調整精度が悪化することなくビーム径に対する調整を行なうことができる。
【0021】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御手段は、前記検出手段による検出結果において、前記主走査方向のビーム径が大きくなった場合には前記オーバーシュート量を大きくするように調整し、また前記主走査方向のビーム径が小さくなった場合には前記オーバシュート量を小さくするように調整することによって前記光ビームの立ち上がりの光強度を変化するように前記駆動手段を制御することを特徴としている。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、制御手段が、検出手段により検出された副走査方向のビーム径が変動していれば光ビームの定常の光強度が変化するように駆動手段を制御する。すなわち、副走査方向のビーム径が大きくなった場合には半導体レーザ等の発光源の駆動電流を増加し、副走査方向のビーム径が小さくなった場合には半導体レーザ等の発光源の駆動電流を減少することにより、副走査方向のビーム径変動や光量変動により変動した光ビーム中心での光強度を適正な状態に維持することができるので、副走査方向のビーム径変動による画質の劣化を防止することができる。
【0024】
続いて制御手段が、検出手段により検出された主走査方向のビーム径が変動していれば発光源に流れる駆動電流の駆動電流波形のオーバーシュート量を調整することによって光ビームの立上りの光強度が変化するように駆動手段を制御する。すなわち、主走査方向のビーム径が大きくなった場合には、半導体レーザ等の発光源の駆動電流波形の立上り時オーバーシュート量を大きくし、主走査方向のビーム径が小さくなった場合には、半導体レーザ等の発光源の駆動電流波形の立上り時オーバーシュート量を小さくすることにより、主走査方向のビーム径変動による立上り時の光強度の低下を改善することができるので、高解像度の細線再現性やハーフトーンの再現性を維持することができ、良好な画質を維持することができる。
【0025】
また、主走査方向のビーム径に対する調整(立上りの光強度の調整)を先に行なうと、副走査方向のビーム径に対する調整時に定常の光強度を変化させるので、先に調整した立上りの光強度が副走査方向の調整時に変化してしまうが、上述のように、副走査方向のビーム径に対する調整行なってから主走査方向のビーム径に対する調整を行なうことにより、調整精度が悪化することなくビーム径に対する調整を行なうことができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0032】
図2に本発明の実施の形態に係る光走査装置の概略構成を示す。
【0033】
図2に示す光走査装置10は、後述する回転多面鏡の偏向面に偏向面より幅広の光束を入射させるオーバーフィルドタイプの光学系を適用している。
【0034】
図2において光源部は略ガウシアン分布の光ビームを発光する本発明の発光源としての半導体レーザ(以下、LDという。)12を備え、該LD12の光ビーム射出側には縦横に異なる広がり角を有する光ビームがその焦点位置から発光された場合に該光ビームを略平行光とする作用を有するコリメータレンズ14、中央部の光ビームのみを通過させるビーム整形用のスリット16、及び入射した光ビームを後述する回転多面鏡の偏向面近傍に副走査方向に収束させるシリンドリカルレンズ18が配置されている。
【0035】
なお、前記LD12は、後述する制御装置に接続されており、この制御装置は、画像情報に基づいて前記LD12の光ビーム出力を変調するように制御する。
【0036】
また、コリメータレンズ14は、LD12との間隔がコリメータレンズ14の焦点距離よりも約1mm短くなる位置に配置されており、この配置により、コリメータレンズ14を通過した光ビームは、略平行光とならず緩い発散光となる。
【0037】
シリンドリカルレンズ18の光ビーム射出側の延長先には、射出された光ビームを反射する平面ミラー20が配置されている。平面ミラー20の反射側には、複数の同一面幅の偏向面(鏡面)を側面部に有する正多角柱の形状をなすと共に、図示しない駆動手段により矢印方向に中心軸を回転中心にして等角速度で回転する回転多面鏡22が配置されている。
【0038】
また、平面ミラー20と回転多面鏡22の間には、二枚組のレンズ24a、24bからなるfθレンズ24が配置されている。オーバーフィルド光学系の場合、fθレンズ24は、平面ミラー20により反射された緩い発散光を回転多面鏡22の画幅より広い細長い線像として主走査方向に収束させる。これにより、複数の偏向面をまたがるように収束する。
【0039】
さらにfθレンズ24は、回転多面鏡22により偏向された光ビームが再びfθレンズ24を通過するように配置されており、再度通過した光ビームを後述する感光体上に光スポットとして収束させると共に、該光スポットを感光体上で主走査方向に略等速度で移動させる機能を有する。
【0040】
また、回転多面鏡22に対してfθレンズ24が配置されている側には、回転多面鏡22により偏向された画像記録用の光ビームを反射する平面ミラー26とシリンドリカルミラー28を有し、光ビームはシリンドリカルミラー28で反射された後、下部に配置された感光体30上に至る。なお、図2ではシリンドリカルミラー28を用いているが、平面ミラーやシリンドリカルレンズであっても良い。シリンドリカルミラー28及びシリンドリカルレンズは、副走査方向に光ビームを収束させるパワーを持ち、回転多面鏡22の偏向面のばらつきにより生じる感光体30上での副走査方向の位置ずれ(面倒れ)を補正する機能を持つので好ましい。
【0041】
感光体30は、光ビームに感応する感光材料がその表面に塗布された細長い円柱状の形状を有しており、主走査方向が、この感光体の長手方向に一致するように配置されている。すなわち、回転多面鏡22の回転方向と共に感光体30上に収束された光スポットは、主走査方向に沿って感光体30上を移動し、走査線での画像記録が可能となる。
【0042】
また、感光体30は、その回転軸を中心として図示しない駆動手段によりー定の回転速度で回転し、感光体30上での走査線を副走査方向に順次移動させる。
【0043】
さらに、これらの走査線における画像記録が行われる書き出し位置を設定するために、fθレンズ24を通過した経路上には、光ビームを折り返す平面ミラー32、副走査方向にビームを結像させるシリンドリカルレンズ34、およびSOSセンサ36が配置されている。
【0044】
SOSセンサ36は、後述する制御装置に接続されており、制御装置はSOSセンサ36の出力信号を検出した時点から所定時間経過した後、画像信号の変調を開始する。
【0045】
さらに、SOSセンサ36を走査した後の光路上、かつ感光体へ画像を形成する領域外のシリンドリカルミラー28を反射した経路上には、光ビームのビーム径変動を検出するために、光ビームを折り返す平面ミラー38及び検出手段40が配置されている。検出手段40は、感光体30と略等価な位置に配置されているため、感光体30上のビーム径の変化量と、検出手段40上でのビーム径の変化量は等しくなる。すなわち、検出手段40によってビーム径変動を検出することができる。
【0046】
光源であるLD12は画像情報に基づいて画像信号の変調が行なわれて光走査を行なうが、検出手段40は、画像の書き出し位置を設定するためのSOSセンサ36を該LD12によって走査した後で、画像形成する領域より以前の領域に配置されている。
【0047】
検出手段40は、図3に示すように、ホルダ42の内部に素子列の方向が副走査方向と同一となるように配置された1次元CCDセンサ44とフォトセンサ46を配置し、フォトセンサ46の前面にスリット48を設けた構成とされている。
【0048】
図4はビーム径の変動に対する1次元CCDセンサ44とフォトセンサ46の出力信号を示したものであり、図4(a)はビーム径が適正な状態の電流信号を示し、図4(b)は主走査方向のビーム径が太くなった場合の電流信号を示し、図4(c)は副走査方向のビーム径が太くなった場合の電流信号を示し、図4(d)は主走査方向及び副走査方向のビーム径が太くなった場合の電流信号をそれぞれ示す。このように検出手段40に入射される光ビームのビーム径を検出手段40の出力信号から容易に判断することができる。この出力信号に基づいて、光ビームの定常の光強度と立ち上がりの光強度を調整することが可能となっている。
【0049】
検出手段40は、図5に示すように制御装置80に接続され、検出手段40の検出結果が制御装置80に出力されるようになっている。また、制御装置80は、ROM、RAM、CPU、及び周辺装置からなるマイクロコンピュータからなり、上述したように画像情報に基づいてLD12の光ビーム出力を変調する制御や後述する光ビーム径の調整等の光走査装置の各種制御を行うようになっている。さらに、制御装置80は、後述するLD駆動回路90に接続され、LD駆動回路90の制御も行なうように構成されている。
【0050】
図6には光ビームの定常の光強度と立上りの光強度を調整するためのLD駆動回路90を説明するための図を示す。なお、制御装置80及びLD駆動回路90は本発明の制御手段に相当する。
【0051】
図6に示すようにLD駆動回路90には、LD12に所定電流値のバイアス電流を流すためのバイアス電流源50とLD12に所定電流値のスイッチング電流を流すためのスイッチング電流源52が設けられている。
【0052】
バイアス電流源50とスイッチング電流源52は、それぞれ抵抗R1、R2を介して接地されている。また、バイアス電流源50とスイッチング電流源52は、それぞれイネーブル(ENB)端子54と接続されており、ENB端子54からENB信号が入力されることによって機能するようになっている。
【0053】
バイアス電流源50はLD12と接続されている。また、LD12は立上りの光強度を変化させるためのRLC回路56を介して、電源端子58と接続されており、電源端子58から所定の電圧が印加されるようになっている。
【0054】
すなわちバイアス電流源50によって、LD12には所定電流値のバイアス電流が流れるようになっている。なお、このバイアス電流源50は、LD12がコヒーレントな光を出力するために必要な閾値電流未満となるように設定されている。
【0055】
また、電源端子58には、LD12と並列に負荷抵抗RLが接続されている。LD12と負荷抵抗RLは、それぞれnpn型のトランジスタ60、62のコレクタと接続されている。トランジスタ60、62のエミッタは、共にスイッチング電流源52と接続され、ベースはスイッチ64と接続されている。スイッチ64は、トランジスタ60、62のベース電流を制御することにより、コレクタからエミッタに流れる電流のON/OFFを制御するようになっている。
【0056】
スイッチ64はVIDEO端子66と接続されている。スイッチ64の駆動はVIDEO端子66からのVIDEO信号に基づいて行われる。これにより画像データに基づいて変調された光ビームが生成される。
【0057】
一方、LD12のパッケージ内には、LD12の出力光量をモニタするためのフォトダイオードPDが設けられており、フォとダイオードPDはLD12の出力光量に対応した電流を出力する。この電流は図示しない電流一電圧変換器によりモニタ電圧に変換されて、コンパレータ68のプラス端子側に入力される。
【0058】
コンパレータ68のマイナス側は、基準電圧端子70と接続されており、基準電圧端子70から所定の基準電圧が入力されるようになっている。すなわちコンパレータ68では、モニタ電圧と基準電圧とを比較し、その結果を出力するようになっている。
【0059】
すなわち、検出手段40の検出結果に基づいて制御手段80により基準電圧を変化させることで、光ビームの定常の光強度を変化させることができる。
【0060】
コンパレータ68の出力は、S/H回路72と接続され、S/H回路72はスイッチング電流源52と接続されている。S/H回路72は、コンパレータ68の出力に基づいて、スイッチング電流源52で設定されているスイッチング電流を変化させ、モニタ電圧が基準電圧と一致するようなスイッチング電流を生成するようになっている。
【0061】
LD12は閾値電流を超えるとコヒーレントな光を出力し、その光強度はLD12を流れる電流(駆動電流)と比例する特性を有する。従って、S/H回路72はモニタ電圧が基準電圧と一致するようにスイッチング電流を変化させることにより、基準電圧で設定される所定の光強度の光ビームを出力するように、LD12の光出力制御を行うことができる。
【0062】
また、S/H回路72はS/H(Sample/Hold)端子74と接続されており、S/H端子74からSample信号またはHold信号が入力されるようになっている。S/H回路72はSample信号が入力されている期間にLD12の光出力を制御し、それ以外の期間、すなわちHold信号が入力されている期間は、光出力制御の結果を保持するようになっている。
【0063】
LD12と接続されたRLC回路56の抵抗Rには、抵抗値制御端子57が接続され、検出手段40の検出結果に基づき、制御手段80の制御により抵抗Rの抵抗値を変化させることで立上りの光強度を変化させることができるように構成されている。
【0064】
続いて、上述のように構成された光走査装置において、光ビームの定常の光強度と立上りの光強度を変化させる手順を説明する。なお、図1には、本実施の形態に係る光走査装置の制御装置80における光ビームの定常の光強度と立上りの光強度の補正手順を示すフローチャートである。
【0065】
図1に示すように、制御装置80は、ステップ100でLD12を点灯した後、ステップ102へ移行する。ステップ102では、検出手段40、本実施の形態では、副走査方向に素子列を配置した1次元CCDセンサ44により、副走査方向のビーム径変動を検出し、検出結果が制御装置80に入力される。副走査方向のビーム径変動は、図4に示したようにCCDセンサ44の出力レベルの変動と、ビームを受光したCCDセルの数(図4では副走査方向位置と記載)となってあらわれる。すなわち、CCDセンサ44を使用することで、副走査方向のビーム径変動をビーム径の変動として検出することもできるし、光量の変動として検出することもできる。
【0066】
ステップ104では、ステップ102における検出結果が、予め図示しないメモリ(制御装置80に設けられたROM等)内に記憶しておいた許容値を超えたか否か判定される。該判定が肯定された場合は、ステップ106へ移行して、調整用Look Up Table(LUT)を使用してLD駆動回路の基準電圧を求め、基準電圧を変化させることで、定常の光強度を調整する。すなわち、副走査方向のビーム径が大きくなった場合にはLD12の駆動電流を増加させるように基準電圧端子70に入力する基準電圧を変化させ、ビーム径が小さくなった場合にはLD12の駆動電流を減少させるように基準電圧端子70に入力する基準電圧を変化させることにより、ビーム径変動又は光量変動により変動した光ビーム中心での光強度を適正な状態に維持することができる。このようにすることにより、副走査方向のビーム径変動による画質の劣化を防止することができる。また、ステップ104の判定が否定された場合には、ステップ108へ移行する。
【0067】
なお、本実施の形態では、1次元CCDセンサ44を使用して副走査方向のビーム径変動を検出するようにしたが、センサは1次元CCDに限るものではなく、2次元CCDセンサやフォトセンサ等の他の検出デバイスを使用してもよい。また、検出対象は、ビーム径の変動ではなく1ドット分の光ビームを点灯した時の最大(ピーク)光量を検出し、この最大光量から定常の光強度の調整値を求めるようにしてもよい。
【0068】
ステップ108では、検出手段40、本実施の形態では副走査方向に長手の開口を有するスリット48が前面に配置されたフォトセンサ46により、主走査方向のビーム径変動を検出し、検出結果が制御装置80に入力される。
【0069】
ステップ110では、ステップ108の検出結果が、予め図示しないメモリ(制御装置80のROM等)内に記憶しておいた許容値を超えたか否か判定される。該判定が肯定された場合には、ステップ112へ移行して、調整用Look Up Table(LUT)を使用してLD駆動回路90のRLC回路定数を求め、本実施の形態の場合は抵抗Rの抵抗値を変化させる信号を抵抗値制御端子57に入力することで抵抗Rの値を変化させ、LD駆動電流波形の立上り時のオーバーシュート量を変化させて立上りの光強度を調整する。すなわち、主走査方向のビーム径が大きくなった場合にはLD駆動電流波形の立上り時オーバーシュート量を大きくし、ビーム径が小さくなった場合にはLD駆動電流波形の立上り時オーバーシュート量を小さくすることにより、主走査方向のビーム径変動による立上り時の光強度の低下を改善することができる。このようにすることにより、高解像度の細線再現性やハーフトーンの再現性を維持することができる。また、ステップ110の判定が否定された場合には、一連の処理を終了する。
【0070】
すなわち、図7に示すビーム径変動に対する調整の一例で説明すると、図7(A)に示すノミナルのビーム径が大きくなり(中心光量が低下)、図7(B)に示すように、描画状態が変動した(線幅が細くなった)場合には、LD駆動電流を調整することにより定常の光強度を調整して副走査方向のビーム径を補正する。そして、駆動電流波形のオーバーシュート量を調整することにより光立上り時の光強度を調整して主走査方向のビーム径を補正する(図7(C))ことにより、主走査方向及び副走査方向のビーム径変動に対する補正を行なうことができる。なお、図7(A)はノミナルの描画状態、LD駆動波形及び光強度特性を示し、図7(B)はビーム径が大きくなった場合の描画状態、LD駆動波形及び光強度特性を示し、図7(C)は図7(B)を補正した場合の描画状態、LD駆動波形及び光強度特性を示す。
【0071】
このように副走査方向のビーム径変動に対する調整を行った後に主走査方向ビーム径の変動に対する調整を行うことで、温度の変化などの影響によりビーム径が変動しても、主走査方向と副走査方向のビーム径の調整を精度よく行うことができる。つまり、主走査方向の調整(立上りの光強度の調整)を先に行うと、副走査方向の調整時に定常の光強度を変化させるので、先に調整した立上りの光強度が副走査方向の調整時に変化してしまう(定常の光強度の変動分が立上りの光強度に加算されてしまう)。従って、主走査方向と副走査方向の調整順序を入替えると調整精度が悪化してしまうが、本実施の形態では、上述したように、副走査方向のビーム径変動に対する調整を行った後に主走査方向ビーム径の変動に対する調整を行うので、調整精度が悪化することなく調整を行なうことができ、これにより、高解像度の細線再現性や中間調の再現性を維持することができ、良好な画質を維持することができる。
【0072】
なお、上記の実施の形態では、フォトセンサ46により主走査方向のビーム径変動を検出するようにしたが、センサはフォトセンサ46に限るものではなく、2次元CCDセンサ等の他の検出デバイスを使用するようにしてもよい。2次元CCDセンサを使用する場合には、CCD受光面上で光ビームを1ドット分の時間だけパルス点灯し、受光画像から主走査方向のビーム径と副走査方向のビーム径を検出することが可能である。
【0073】
また、上記の実施の形態では、CCDセンサ44によって副走査方向のビーム径変動を検出するようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、主走査方向のビーム径変動を検出するフォトセンサ46の前面に設けられたスリット48を走査方向に対して傾けて配置し、フォトセンサから得られる時間と電流の関係から副走査方向のビーム径も検出することも可能である。
【0074】
また、検出手段40は、上記の実施の形態のようにビームの変動を直接検出してよいし、温度センサなどにより温度変動を検出するようにようにしてもよい。温度センサを使用する場合には、予め温度変動量に対するビーム径変動量を求めておき、その関係値をLUTとしてメモリ内に記憶しておくことにより、温度変動量からビーム径変動量、すなわち、調整すべき定常の光立上りの光強度を推定することが可能となる。
【0075】
さらに、上記の実施の形態では、検出手段40を走査開始側に配置するようにしたが、これに限るものではなく、走査終端側の画像形成領域外に設けるようにしてもよいし、SOSセンサ36を走査する前の光路上に設けるようにしてもよい。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、発光源より出力される光ビームの状態を検出し、該検出結果に基づいて光ビームの定常の光強度が変化するように発光源を制御した後に、光ビームの立上りの光強度が変化するように発光源を制御することにより、光ビーム中心での光強度を適正な状態に維持することができると共に、ビーム径変動による立上り時の光強度の低下を改善することができるので、温度変化などの影響によりビーム径が変動しても、簡単な構成で良好な画質を維持することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態に係る光走査装置における光ビームの定常の光強度と立上りの光強度の補正手順を示すフローチャートである。
【図2】 本発明の実施の形態に係る光走査装置の概略構成を示す斜視図である。
【図3】 検出手段の構成を示す図である。
【図4】 ビーム径の変動に対する1次元CCDセンサとフォトセンサの出力信号を示す図であり、(a)はビーム径が適正な状態の各出力信号を示し、(b)は主走査方向のビーム径が太くなった場合の各出力を示し、(c)は副走査方向のビーム径が太くなった場合の各出力を示し、(d)は主走査方向及び副走査方向のビーム径が太くなった場合の各出力を示す。
【図5】 ビーム径変動の補正を行なう制御系を示すブロック図である。
【図6】 光ビームの定常の光強度と立上りの光強度を調整するためのLD駆動回路を説明するための図である。
【図7】 ビーム径変動に対する調整の一例を示す図であり、(A)はノミナルの描画状態、LD駆動電流波形及び光強度特性を示し、(B)はビーム径が大きくなった場合の描画状態、LD駆動電流波形及び光強度特性を示し、(C)は(B)を補正した場合の描画状態、LD駆動電流波形及び光強度特性を示す。
【図8】 従来の光走査装置の一例を示す図である。
【図9】 LDの発光パワーを一定にした場合の種々のビーム径における光強度分布を示す図である。
【図10】 主走査方向と副走査方向のビーム径の変動による描画状態を示す図であり、(a)は主走査方向及び副走査方向のビーム径が適正な場合の描画状態を示し、(b)は主走査方向のビーム径が太くなった場合の描画状態を示し、(c)は副走査方向のビーム径が太くなった場合の描画状態を示す。
【図11】 従来の光走査装置におけるビーム径補正手段の一例を示す図である。
【図12】 従来の光装置におけるビーム径の補正を説明するための図であり、(A)はレーザドライバからの信号を示し、(B)はレーザ光のビーム径と露光分布との関係を示し、(C)はCCDからの出力信号を示す。
【図13】 従来の光走査装置におけるビーム径補正手段のその他の例を示す図である。
【符号の説明】
10 光走査装置
12 半導体レーザ
40 検出手段
44 1次元CCDセンサ
46 フォトセンサ
48 スリット
50 バイアス電流源
52 スイッチング電流源
56 RLC回路
68 コンパレータ
70 基準電圧端子
72 S/H回路
80 制御装置
90 LD駆動回路
PD フォとダイオード
R 抵抗

Claims (2)

  1. 画像情報に基づいて光ビームを出力する発光源を点灯し、前記発光源から出力される光ビームによって感光体を光走査する光走査装置であって、
    前記発光源を駆動する駆動手段と、
    主走査方向及び副走査方向のビーム径変動を検出する検出手段と、
    前記検出手段による副走査方向のビーム径変動の検出結果に基づいて前記光ビームの定常の光強度変化させて前記ビーム径変動を抑制するように前記駆動手段を制御した後、前記検出手段による主走査方向のビーム径変動の検出結果に基づいて前記発光源に流れる駆動電流の駆動電流波形のオーバーシュート量を調整することによって前記光ビームの立ち上がりの光強度変化させて前記ビーム径変動を抑制するように前記駆動手段を制御する制御手段と、
    を備えた光走査装置。
  2. 前記制御手段は、前記検出手段による検出結果において、前記主走査方向のビーム径が大きくなった場合には前記オーバーシュート量を大きくするように調整し、また前記主走査方向のビーム径が小さくなった場合には前記オーバシュート量を小さくするように調整することによって前記光ビームの立ち上がりの光強度を変化するように前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
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