JP4042168B2 - 制動エネルギ回生装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、減速時に制動エネルギを回収する回生制動を行い、回生制動により回収したエネルギを加速時の駆動力として利用する回生駆動を行う制動エネルギ回生装置を備えた車両の駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両の中には、減速時の制動エネルギを、加速時の駆動力として利用する制動エネルギ回生装置を備えたものがある。すなわち、駆動輪に連結されると共にリザ−バタンクおよびアキュムレ−タに接続されたポンプ・モータを設けて、減速時には駆動輪によりポンプ・モータを駆動させて、リザ−バタンク内の作動オイルをアキュムレ−タに制動エネルギとして蓄圧し(回生制動)、加速時には、アキュムレ−タに蓄圧されている圧力(回収された制動エネルギとなる回生エネルギ)でもってポンプ・モータを駆動する(回生駆動)するようにしたものがある(例えば特開昭61−175152号公報参照)。
【0003】
回生制動時の回生制動力は、ブレーキペダルの操作量に応じた大きさとなるようにされ、また回生駆動時の駆動力はアクセルペダルの操作量に応じた大きさとされる(特開昭61−175154号公報、特開昭61−175153号公報、特開平2−117453号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
回生制動は、アクセルペダル操作量が所定値以下となる減速時に行われるが、回生制動によって制動エネルギをより十分回収するために、回生制動時にはエンジンと駆動輪との連結を遮断することが考えられている。
【0005】
しかしながら、回生制動時に、エンジンと駆動輪との連結を遮断するものにあっては、その連結と遮断とが頻繁に繰り返されるような事態を生じ易く、運転性を阻害する大きな原因になる、ということが判明した。
【0006】
このような原因を追及したところ、定常走行時等おいて、運転者によってはアクセルペダルを短時間の間に開方向と閉方向とで微妙にON、OFF操作するものがあり、このアクセルペダルのON、OFF操作によって回生制動を行う状態と行わない状態とに頻繁に切換えられて、エンジンと駆動輪との連結、遮断が頻繁に繰り返される、ということが判明した。
【0007】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、回生制動時にエンジンと駆動輪との連結を遮断するようにしたものにおいて、この連結と遮断との頻繁な繰り返しを防止あるいは低減できるようにした制動エネルギ回生装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手段を採択してある。すなわち、
アクセルペダル操作量が所定値以下のときに制動エネルギを回収する回生制動を行い、アクセルペダル操作量が前記所定値よりも大きいときに回生制動により回収したエネルギを駆動力として利用する回生駆動を行う制動エネルギ回生装置を備えた車両の駆動装置において、
回生制動時には、エンジンと駆動輪との連結を遮断するように設定され、
アクセルペダル操作量が前記所定値よりも大きい状態から該所定値以下の状態へと変化したとき、アクセルペダルが頻繁に開方向と閉方向との間で繰り返し操作されることに起因してエンジンと駆動輪との連結、遮断が頻繁に繰り返されてしまう事態を防止するために、エンジンと駆動輪との連結を遮断するための指令を所定時間禁止するように設定されている、
ようにしてある。
0009
上記解決手段を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2〜請求項5に記載のとおりである。
0010
【発明の効果】
請求項1に記載された発明によれば、回生制動時に、エンジンと駆動輪との連結を遮断することにより、つまり回生制動時に駆動輪によってエンジンを強制回転させないようにして、この分燃費をより向上させることができる。そして、アクセルペダル操作量が所定値以下になっても即座にエンジンと駆動輪との連結を遮断する指令を行うことなく、所定時間遅延して遮断指令を行うようにしてあるので、アクセルペダルが頻繁に開方向と閉方向との間で繰り返し操作された場合でも、エンジンと駆動輪との連結、遮断が頻繁に繰り返されてしまう事態を防止あるいは低減することができる。
0011
請求項2によれば、ブレーキペダル操作量が大きいということは減速の意志が強いと判断されるとき、つまり、その後短時間の間にアクセルペダル操作量が増大される可能性が低くて、エンジンと駆動輪との連結、遮断が頻繁に繰り返される可能性の低いときであると判断することができ、このときは回生制動へ移行するまでの所定時間を小さくして、すみやかに回生制動を行って制動エネルギを十分回収する上で好ましいものとなる。
0012
請求項3によれば、制動エネルギ回生装置が過回転されるのを防止して、その保護や耐久性向上の上で好ましいものとなる。
0013
請求項4によれば、所定車速以下にまで車速が低下したときは回生制動を許容して、制動エネルギ回収の上で好ましいものとなる。
0014
請求項5によれば、回生制動が開始されたときに、回生制動力を徐々に増大させることにより、ブレーキペダル操作に対して違和感を与えないようにする上で好ましいものとなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1において、1FLは左前輪、1FRは右前輪、1RLは左後輪、1RRは右後輪である。エンジン2の発生トルクつまり駆動力は、電磁式のクラッチ6、自動変速機7、プロペラシャルト3を介してデファレンシャルギア4に伝達された後、左駆動軸5Lを介して左駆動輪1RLに伝達されると共に、右駆動軸5Rを介して右後輪1RRに伝達される。自動変速機7は、実施例では、トルクコンバ−タと多段変速歯車機構とから構成されて、多段変速歯車機構は、実施例では前進4段、後進1段とされている。
【0016】
自動変速機7(の出力軸)とプロペラシャフト3との間には、チェ−ンあるいは歯車を利用した動力伝達機構11が介在され、この動力伝達機構11には、電磁クラッチ12を介してポンプ・モータ13が連結されている。動力伝達機構11は、駆動輪としての後輪1RL、1RRに常時連結されているもので、これにより、上記クラッチ12が接続されていることを条件として、ポンプ・モータ13が駆動輪と連結されることになる。
【0017】
ポンプ・モータ13は、後述するように斜板式の容量可変式とされて(前記特開昭61−175152号公報に開示のものと同じ形式)、その一方の連結口が配管14を介して作動オイルを貯溜したリザ−バタンク15に接続されると共に、他方の連結口が配管16を介してアキュムレ−タ17に接続されている。配管16には電磁式の制御弁18が接続されており、この制御弁18は、ポンプ・モータとアキュムレ−タ17とを遮断した状態と、ポンプ・モータ13からアキュムレ−タ13への作動オイルの流れのみを許容する状態と、アキュムレ−タ17からポンプ・モータ13への作動オイルの流れのみを許容する状態とを切換える。
【0018】
アクセルペダル操作量が所定値以下(実施例ではアクセル開度が零)とされた減速時の回生制動時には、クラッチ12が接続され、かつ制御弁18がポンプ・モータ13からアキュムレ−タ17へと作動オイルが流れる状態とされる。この状態において、ポンプ・モータ13は、駆動輪からの駆動力(運動エネルギ)によって回転駆動されて、リザ−バタンク15内の作動オイルを吸引、加圧して、アキュムレ−タ17へ蓄圧する。この回生制動時には、クラッチ6が切断されることによりエンジン2と駆動輪1RL、1RRとの連結が遮断されて、エンジンブレーキが利かない状態とされて、このエンジン2を駆動輪によって強制回転させない分だけ、制動エネルギがより十分に回収されて、燃費向上となる。また、回生制動時にはエンジン2が停止されて、エンジン2をアイドル運転しなくてすむ分より一層燃費向上となる。
【0019】
アクセルペダル操作量が所定値よりも大きくなった回生駆動時には、クラッチ12が接続され、かつ制御弁18が、アキュムレ−タ17からポンプ・モータ13へと作動オイルが流れる状態とされる。この状態において、アキュムレ−タ17からの高圧の作動オイルによってポンプ・モータ13が回転駆動され、このポンプ・モータ13を車両の走行駆動源として、駆動輪が駆動される。この回生駆動時においても、クラッチ6が切断されると共に、エンジン2が停止されている。なお、回生駆動を行うのに十分なアキュムレ−タ圧力が無いときは、回生駆動を行うことなくエンジン2による駆動が行われ、このときはクラッチ6が接続される。
【0020】
上記回生制動あるいは回生駆動を行わないときは、制御弁18は、ポンプ・モータ13とアキュムレ−タ17とを遮断した状態とし、かつクラッチ12が切断されている(ポンプ・モータ13が停止状態とされる)。
【0021】
図1において、21アクセルペダル、22はブレーキペダル、23はエンジン2のスタ−タモ−タ、24はエンジン2の出力制御を行う出力調整手段である。この出力調整手段24は、エンジン駆動時においてスロットル開度を電磁的に駆動するスロットルアクチュエ−タと、燃料噴射弁とを含むものとなっており、燃料噴射弁からの燃料カットを行うことによりエンジン2が停止される。
【0022】
アクセルペダル21の操作量に応じたスロットル開度を示すスロットル特性は、実施例では2種類設定されて、適宜切換、使用されるようになっている。より具体的には、図6に示すように、アクセルペダル操作量に応じたスロットル開度(目標スロットル開度)を示す特性線として、第1特性と第2特性とがあらかじめ作成、記憶されている。図中実線で示す第1特性は、アクセルペダル操作量が所定値AP1以下の小さい領域では、アクセルペダルの操作量に関わらずスロットル開度が零され、所定値AP1を越えると、アクセルペダルの操作量が大きくなるにつれてスロットル開度が零から徐々に大きくなるように設定されている。このように、第1特性は、アクセルペダル操作量が所定値AP1以下の小さい領域では、スロットル開度が零とされる遊びが設定されたものとなっている。
【0023】
これに対して図中破線で示す第2特性は、上記遊びが設定されてなくて、アクセルペダルの操作量が零から増大するのに応じて、スロットル開度が零から徐々に増大するように設定されている。このように、第2特性は、第1特性に比して、遊びの領域が小さくされている(図6では遊びが零の設定を示す)。なお、スロットル弁は、図6に示す第1特性あるいは第2特性の中から選択された特性となるように、電磁的に駆動制御されるようになっている(目標スロットル開度とするフィ−ドバック制御)。そして、回生駆動を行う場合には、遊びが存在する第1特性が選択され、エンジン2のみによる駆動を行う場合は遊びの無い第2特性が選択される。
【0024】
容量可変式のポンプ・モータ13の一例が模式的に図2に示される。この図2において、31はポンプ軸であり、このポンプ軸と一体回転するように、シリンダ32およびピストン33が設けられている。シリンダ32は、その回転に応じて、順次、前述した配管14、16に連通される。ピストン33は、傾斜板34によって、シリンダ32に対する相対変位量が変更されるようになっており、図中実線で示す中立位置(ポンプ軸31と直交する位置)では、シリンダ32に対するピストン33の相対変位量は零とされて、ポンプ・モータ13からの吐出量は、ポンプとして使用するときもモータとして使用するときもいずれにあっても零とされる。
【0025】
傾斜板34を、中立位置から図2においてθPで示す方向に傾斜させると、ピストン33がシリンダ32に対して相対変位されて、配管14側から配管16側へと作動オイルを流す態様となる(ポンプ機能)。そして、傾斜板34の傾斜角度(傾転角)が大きくなるにつれて、ピストン33のシリンダ32に対する相対変位量が増大して、配管14側から配管16側へと作動オイルを流す量つまり吐出量が増大され、最大傾転角がθPとして示される。
【0026】
傾斜板34を、中立位置から図2においてθMで示す方向に傾斜させると、ピストン33がシリンダ32に対して相対変位されて、配管16側から配管14側へと作動オイルを流す態様となる(モータ機能)。そして、傾斜板34の傾斜角度(傾転角)が大きくなるにつれて、ピストン33のシリンダ32に対する相対変位量が増大して、配管16側から配管14側へと作動オイルを流す量つまり吐出量が増大され、最大傾転角がθMとして示される。
【0027】
傾斜板34の傾転角の調整が、油圧式の制御弁35によって行われる。この制御弁35のシリンダ35a内にピストン35bが摺動自在に嵌合されて、このピストン35bが傾斜板34に連結されている。つまり、ピストン35bの変位位置が、ポンプ・モータ13の傾転角を決定することになる。
【0028】
ピストン35bによって画成されたシリンダ35aの2室35c、35dに対する制御油圧の給排を制御することによって、ピストン35bの変位位置つまり傾転角が変更される。制御油圧は、ポンプ軸31により駆動されるポンプ(図示略)によって発生され、また制御油圧の室35a、35bに対する給排制御は、切換制御弁(図示略)によって行われる。
【0029】
ピストン35bは、通常は、リタ−ンスプリング36e、35fによって中立位置となるように付勢されている。室35c、35dへの制御油圧給排を制御する前記切換制御弁は、デュ−ティ制御によって、ピストン35bが所望位置となるように制御される。ピストン35bがシリンダ35aのストロ−ク端に位置したときは、室35c、35dへの制御油圧の給排は不要であり(デュ−ティ制御による漏れ量なし)、この分制御油圧の消費が少なくなって燃費向上となる。このため、実施例では、ポンプ側あるいはモータ側共に、極力最大傾転角あるいはこの付近でもって使用するように、つまりポンプ・モータ13のもっとも効率のよくなる態様でもって使用するように、その最大傾転角(を決定するストッパ36、37の位置)を次のように設定してある。
【0030】
すなわち、車両の減速時には、加速時に比して、車両の走行抵抗分に対応した分だけポンプ・モータ13の要求駆動力が小さくなる(モータとして使用する加速時は、走行抵抗分の駆動力を加味して出力する必要があるが、ポンプとして使用する減速時には、走行抵抗がポンプ・モータ13を駆動する力として機能する)。このことと、前述した最大傾転角のときがもっともポンプ・モータ13の効率がよくなるということとから、実施例では、ポンプとして使用するときの最大傾転角θPを、モータとして使用するときの最大傾転角θMよりも所定分小さくしてあり(θP<θM)、このθP<θMを満足するようにポンプ側最大傾転角θPを決定するストッパ36の位置、モータ側最大傾転角θMを決定するストッパ37の位置を設定してある。
【0031】
図3において、Uはマイクロコンピュ−タを利用して構成された制御ユニット(コントロ−ラ)であり、各種センサ(検出手段)からの信号が入力されると共に、各種アクチュエ−タに対して制御信号を出力する。制御ユニットUは、演算部や判別部さらには決定部等の機能を行うCPU、記憶部としのてROM、RAMを備えている。
【0032】
センサS1はアクセルペダル21の操作量(アクセル開度)を検出するものである。センサS2はブレーキペダルの操作量を検出するものである。センサS3は、アキュムレ−タ17の圧力(蓄圧圧力)を検出するものである。センサS4は車速を検出するものである。センサS6はエンジン回転数を検出するものである。センサS7はスロットル開度を検出するものである。また、制御ユニットUは、駆動輪1RL、RRに付設された主ブレーキとしての油圧式の摩擦ブレーキの制動力を調整するブレーキアクチュエ−タをも制御するようになっている。
【0033】
回生駆動時における回生エネルギの利用の仕方、および回生制動時の制動エネルギの回収の仕方の基本が、図4に示される。すなわち、回生駆動時においては、アクセルペダル21の操作量に応じて要求駆動力(目標駆動力)が設定されるが、前述した遊びの範囲では、回生エネルギのみを利用した駆動とされる(エンジン停止)。アクセルペダル21の操作量が大きくなると、回生駆動に加えて、エンジン2による駆動が行われる。図5は、回生駆動時において、アクセルペダル21の操作量が所定値AP1よりも小さいASとされているときに、要求駆動力FAよりも最大回生駆動力が大きいときの状態を示しており、この要求駆動力FAを満足するように、ポンプ・モータ13の傾転角が調整されることになる。
【0034】
アクセルペダル21の操作量が上記遊びの範囲でも、回生駆動のみでは要求駆動力を満足させることができないときは、エンジンによる駆動が行われる(回生駆動とエンジン駆動との併用)。また、回生駆動が不可能なときは、エンジン2のみによる駆動が行われる。
【0035】
回生制動時には、ブレーキペダル22の操作量に応じて要求制動力(目標制動力)が設定され、このブレーキペダル操作量に対しても、アクセルペダル21の場合と同じように遊びが設定される(AP1に対応したBP1の設定)。すなわち、ブレーキペダル22の操作量が所定値BP1以下のときは、回生制動のみによる制動が行われる。また、ブレーキペダル22の操作量が、BP1を越えると、回生制動に加えて、ブレーキアクチュエ−タを制御することにより通常のブレーキ(油圧式の摩擦ブレーキ)も作動される。ブレーキペダルが踏み込み操作されていない減速時にも回生制動が行われるが、このときの目標制動力は、ある一定値としてもよいが、例えば車速が大きいほど大きくなるように設定するのが好ましい。
【0036】
制御ユニットUによる制御のうち、回生制動時のクラッチ6の断続制御に着目して、図7のフロ−チャ−トを参照しつつ説明する。なお、以下の説明でRはステップを示す。また、図7のフロ−チャ−トは、アクセルペダル操作量が所定値以下つまり零のときを示し、原則として回生制動を行う状況にある場合を前提としている。
【0037】
先ず、R1において、フラグが1であるか否かが判別されるが、このフラグは、1のときがエンジン2が停止しているときを示す。フラグは0にイニシャライズされているので、当初はR1の判別でYESとなって、R2に移行してフラグが1にセットされた後、R3において、タイマのカウント時間tが0にクリアされる。
【0038】
R4では、現在エンジン2が停止しているか否かが判別される。このR4の判別でNOのときは、R8において、待ち時間つまり回生制動を開始するまでの所定時間(遅延時間)TAが設定される。この待ち時間TAは、図8に示すように、ブレーキペダル操作量が大きいほど小さくなるように設定される。より具体的には、待ち時間TAは、ブレーキペダル操作量が零のときが最大とされて、ブレーキペダル操作量が増大するにつれて徐々に小さくされ、ブレーキペダル操作量が所定値以上大きくなると、最小の一定値とされる。
【0039】
R8の後、R9において、タイマカウント時間tが、所定の待ち時間TAよりも大きいか否かが判別される。このR9の判別でNOのときは、R10に移行して、燃料カットがOFFつまりエンジン2が停止されることなく回転が維持される。次いで、R11において、クラッチ6が接続されたままとされる。このR10、R11を経るときが、回生制動の開始を禁止している状態となる。
【0040】
前記R9の判別でYESのときは、R12において、燃料カットの指令が行われることにより燃料カットされてエンジン2が停止され、次いでR13において、クラッチ6を切断する指令が行われることによりクラッチ6が切断されて、エンジン2と駆動輪との連結が遮断される。このR12、R13を経るときが回生制動が行われるときである。
【0041】
前記R4の判別でYESのときは、R5においてフラグが0にリセットされ、次いでR6において、アクセルペダルに遊びが設定される(第1特性の選択)。なお、R6の処理は、アキュムレ−タ圧力が、回生駆動を行える程度に十分高い場合を前提としており、アキュムレ−タ圧力が十分でない場合は、エンジン2のみによる駆動を行うべく、第1特性が選択されるものである。
【0042】
変形例(図9〜図11)
【0043】
図9〜図11は、車速が所定車速よりも大きくて回生制動を禁止している状態から所定車速以下の状態となって回生制動を開始するときに、ブレーキペダル操作に対して違和感を与えないようにする場合の例を示す。
【0044】
先ず、図9は、エンジン2のアイドル回転数を調整する回転数調整手段部分の構成例を示す。この図9において、エンジン2の吸気通路41には、スロットル弁SVをバイパスするバイパス通路43が設けられ、このバイパス通路43には、電磁式のISCバルブ44が接続されている。ISCVバルブ44は、少なくとも開度大の状態と開度小(零を含む)の状態をとり得るようになっている。
【0045】
図11には、車速が所定車速よりも大きい状態から所定車速以下になるときのタイムチャ−トを示している。車速が所定車速よりも大きくて回生制動が禁止されているt1までの時点では、回生制動力が零とされる。そして、回生制動力が期待できないため、ISCバルブの開度を小さい状態として、大きなエンジンブレーキを得るようにしてある。
【0046】
車速が所定車速よりも小さくなるt1以後は、回生制動が開始されるが、回生制動力は、図4に示すような目標制動力に向けて徐々に大きくされていき、t1から所定時間TB経過したt2時点において目標制動力に到達される。この回生制動の開始に伴って、ISCバルブ44の開度が大きい状態とされて、エンジンブレーキが小さい状態とされる。なお、クラッチ6は、回生制動力が目標制動力となったt2時点で切断されるようにしてあるが、t1時点で切断するようにしてもよい(この場合は、t1以後はエンジンブレーキが零となる)。
【0047】
図11に示すような制御のうち、t1〜t2の間に着目した制御例が図10のフロ−チャ−トに示され、以下この図10について説明する。まず、R20において、アクセルペダルがONつまり踏み込み操作されて否かが判別される。このR20の判別でYESのときは、R21においてフラグが0にリセットされた後R22へ移行し、R20の判別でNOのときは、R21を経ることなくR22へ移行する。
【0048】
R22では、現在の車速が、所定車速Vmax 以下であるか否かが判別される。このR22の判別でNOのときは、R23に移行してフラグが1にセットされる(回生制動の禁止)。この後、R24において、後述するタイマカウント値nが0にリセットされる。
【0049】
R22の判別でYESのときは、R25において、フラグが1であるか否かが判別、つまり前回回生制動が禁止されていた状態であるか否かが判別される。このR25の判別でNOのときは、図11の制御の対象外なので、そのままリタ−ンされる。R25の判別でYESのとき(図11のt1時点のとき)は、R26において、目標制動力に対応したポンプ・モータ13の傾転角Kに対して、所定の減少係数n/TB(≦1)を乗算して、今回の傾転角Kを得る。このnは、初期値が零で、時間の経過と共に増大されて、やがてTBよりも大きくなるタイマカウント値である。
【0050】
R26の後、R27において、上記nがカウントアップされた後、R28において、nが所定時間TB以上であるか否かが判別される。このR28の判別でNOのときは(図11でt2へ到達する前の時点となる)、R29において、クラッチ6を接続したままとし、次いでR30においてISCバルブ44の開度が大きい状態とされる(小さいエンジンブレーキ)。
【0051】
R28の判別でYESのとき(図11のt2時点となったとき)は、R31においてフラグが0にリセットされた後(目標回生制動力となる通常の回生制動への完全復帰を示す)、R32においてクラッチ6が切断される。この後、R33において、ISCバルブ44の制御がOFFされる(回生制動への完全復帰によりエンジン2が停止されるため)。
【0052】
以上実施例について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば次のような場合をも含むものである。
【0053】
アクセルペダル操作量が小さいときは回生駆動のみを行い、アクセルペダル操作量が大きいときはエンジンのみによる駆動を行い、アクセルペダル操作量が中間のときには回生駆動とエンジンによる駆動とを併用するようにしてもよい。
【0054】
ブレーキペダル操作量が小さいときは回生制動のみを行い、ブレーキペダル操作量が大きいときは摩擦ブレーキのみによる制動を行い、ブレーキペダル操作量が中間のときは、回生制動と摩擦ブレーキによる制動とを併用するようにしてもよい。
【0055】
回生エネルギ装置は、油圧式に限らず電気式等適宜の形式のものを採択することができる。ただし、制動エネルギの蓄積を十分行う上で、また大きな駆動力を確保する上で、さらにはコストの点からも、実施例に示すような油圧式とするのが好ましい。
【0056】
アクセルペダル操作量あるいはブレーキペダル操作量は、ストロ−クのかわりに踏力でもって示すようにしてもよい。
【0057】
回生制動時あるいは回生駆動時には、エンジン2をアイドル運転しておくようにしてもよい。
【0058】
回生駆動時あるいは回生制動時においてエンジン2と駆動輪とを遮断する場合、自動変速機7(の多段変速歯車機構)を、運転者のレンジ位置選択に優先して強制的にニュ−トラルにすることにより達成するようにしてもよく、この場合は別途クラッチ6を設けることが不要になる。また、自動変速機7よりもエンジン2側においてポンプ・モータ13を連結してもよいが、このときは、上述のような自動変速機7のニュ−トラルを利用したエンジンと駆動輪との連結の遮断を行うことはできない。
【0059】
フロ−チャ−トに記載された各ステップは、その機能内容を示す上位表現に手段の名称を付して表現できるものである。
【0060】
本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として記載された内容のものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す駆動系統の全体図。
【図2】ポンプ・モータの一例を模式的に示す図。
【図3】本発明の制御系統例を示す図。
【図4】回生駆動と回生制動とを行う領域設定例を示す図。
【図5】図4の部分拡大図。
【図6】アクセルペダル操作に対する遊び設定の有無に応じた、2種類のスロットル開度特性例を示す図。
【図7】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図8】ブレーキペダル操作量に応じた回生制動開始までの遅延時間の設定例を示す図。
【図9】エンジンのアイドル回転数調整手段の一例を示す図。
【図10】本発明の変形例での制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図11】図10に示す制御内容を示すタイムチャ−ト。
【符合の説明】
1FR、1RR:駆動輪
2:エンジン
6:クラッチ(エンジンと駆動輪との連結、遮断用)
7:自動変速機
13:ポンプ・モータ
15:リザ−バタンク
17:アキュムレ−タ
21:アクセルペダル
22:ブレーキペダル
23:スタ−タモ−タ
24:出力調整手段
U:制御ユニット

Claims (5)

  1. アクセルペダル操作量が所定値以下のときに制動エネルギを回収する回生制動を行い、アクセルペダル操作量が前記所定値よりも大きいときに回生制動により回収したエネルギを駆動力として利用する回生駆動を行う制動エネルギ回生装置を備えた車両の駆動装置において、
    回生制動時には、エンジンと駆動輪との連結を遮断するように設定され、
    アクセルペダル操作量が前記所定値よりも大きい状態から該所定値以下の状態へと変化したとき、アクセルペダルが頻繁に開方向と閉方向との間で繰り返し操作されることに起因してエンジンと駆動輪との連結、遮断が頻繁に繰り返されてしまう事態を防止するために、エンジンと駆動輪との連結を遮断するための指令を所定時間禁止するように設定されている、
    ことを特徴とする制動エネルギ回生装置。
  2. 請求項1において、
    ブレーキペダル操作量が大きいときの前記所定時間が、ブレーキペダル操作量が小さいときよりも小さくされている、ことを特徴とする制動エネルギ回生装置。
  3. 請求項1において、
    車速が所定車速よりも大きいときに、回生制動を禁止するように設定されている、ことを特徴とする制動エネルギ回生装置。
  4. 請求項3において、
    車速が前記所定車速よりも大きくて回生制動が禁止されている状態から該所定車速以下の状態へと変化したとき、回生制動を行うように設定されている、ことを特徴とする制動エネルギ回生装置。
  5. 請求項4において、
    回生制動が禁止されている状態から回生制動が開始されるとき、回生制動力が目標値へ向けて徐々に大きくなるように設定されている、ことを特徴とする制動エネルギ回生装置。
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