JP4042073B2 - 平面型モータ、ステージ装置、及び露光装置 - Google Patents

平面型モータ、ステージ装置、及び露光装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平面型モータ、ステージ装置、及び露光装置に係り、より詳細には可動子と固定子を有し、その可動子を非接触で2次元駆動する平面型モータ、該平面型モータの可動子が一体的に取り付けられた移動体を含むステージ装置、及び該ステージ装置を備えた露光装置の関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体素子、液晶表示素子等を製造するためのリソグラフィ工程では、マスク又はレチクル(以下、「レチクル」と総称する)に形成されたパターンを投影光学系を介してレジスト等が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の基板(以下、適宜「感応基板又はウエハ」という)上に転写する露光装置が用いられている。この種の装置としては、感応基板としてのウエハが搭載されたウエハステージを所定量X、Y2次元方向に移動させて所定の露光位置へ位置決めするステッピング動作と、その位置決め状態でレチクルのパターンを投影光学系を介して感応基板上のショット領域に転写する露光動作とを繰り返す静止露光型(ステップ・アンド・リピート方式ともいう)の縮小投影型露光装置(いわゆる「ステッパ」)や、このステッパを改良し、レチクル上の所定のスリット状領域を照明光で照明しながら、レチクルとウエハとを投影光学系に対して所定の走査方向に同期移動させ、レチクル上のパターンを投影光学系を介してウエハ上に逐次転写するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置が実用化されている。
【0003】
いずれのタイプの露光装置でも、ウエハを高精度に露光位置に位置決めする必要があるため、ウエハはウエハホルダ上に真空吸着等によって保持され、このウエハホルダがステージ装置を構成するウエハテーブル(移動体)上に固定される。従来、かかるテーブルは、テーブルと機械的に接触した駆動装置によって、機械的な案内面に沿って駆動され移動可能となっていた。したがって、XY平面上で該テーブルを移動するため、ステージ装置は、テーブルをX方向に駆動するXステージと、該テーブルをXステージと一体的にY方向へ駆動するYステージとを備えていた。
【0004】
これに対して最近、ウエハをより高速に、機械的な案内面の精度等に影響されず高精度に位置決めするとともに、かつ機械的な摩擦を回避して長寿命とするために、ウエハが載置された平板状の移動体を支持部材上に浮上支持し非接触で駆動することにより、ウエハを位置決めするステージ装置の開発が進められている。かかるステージ装置の実現にあたり、その鍵となる技術は、可動子を固定子から浮上させ、XY平面内の所定方向(回転方向を含む)に駆動して可動子を移動させる平面型モータの技術である。こうした平面型モータの駆動方式には、可変磁気抵抗駆動方式及びローレンツ電磁力駆動方式がある。
【0005】
可変磁気抵抗駆動方式の平面型モータとしては、現状では、ソイヤモータのように可変磁気抵抗駆動方式のリニアパルスモータを2軸分結合させた構造が主流である。この可変磁気抵抗駆動方式のリニアパルスモータは、通常、凸凹状の歯部が長手方向に沿って等間隔に形成された板状の磁性体によって構成された固定子と、該固定子の凸凹状の歯部と対向し、この凸凹状歯部とは異なる配列の凸凹部を有する複数の電機子コイルが永久磁石を介して連結された可動子とを備える。そして、各時点における固定子との可動子との間の磁気抵抗を最小にしようとして発生する力を利用して、可動子を駆動する。すなわち、各電機子コイルに供給されるパルス電流の電流値及び位相を調整・制御することにより可動子をステップ状に歩進動作させる。
【0006】
かかるソイヤモータ型はリニアパルスモータを移動平面上に2軸分連結した構成であり、平面移動できる可動子の各軸方向駆動部が分離しているので、可動子が重くなる。かかる不都合を改善するため、例えば特公昭60−22583号公報に開示されているような、1つの駆動部にて平面移動可能な発展型の平面型モータも提案されている。
【0007】
また、ローレンツ電磁力駆動方式の平面型モータは、互いに直交する方向の電流Iと磁束密度Bとにおいて、フレミングの左手の法則によって決定される方向に発生する、
F=I×B×L
ここで、F:電流経路に発生する力
L:電流経路の長さ
で表されるローレンツ電磁力Fを利用して駆動力を得る平面型モータである。従来のローレンツ電磁力駆動方式の平面型モータとしては、例えば米国特許(USP)第5196745号公報に開示されているような平面型モータの技術が提案されている。この平面型モータでは、可動子(又は固定子)上にX軸方向駆動用の磁石を極性が交互となるようにX軸方向に配列するとともに、Y軸方向駆動用の磁石を極性が交互となるように、X軸方向駆動用の磁石の配列と交差させることなくY軸方向に配列している。また、固定子(又は可動子)上に、X軸方向駆動用の多相コイルをX軸方向に配列するとともに、Y軸方向駆動用の多相コイルをX軸駆動用コイルと交差させることなく配列している。そして、X軸方向駆動用の磁石と対向しているX軸方向駆動用の多層コイルに電流を流してローレンツ電磁力を発生させることによりX軸方向の推力を発生させ、また、Y軸方向駆動用の磁石と対向しているY軸方向駆動用の多層コイルに電流を流してローレンツ電磁力を発生させることによりY軸方向の推力を発生させている。
【0008】
また、固定子と可動子とを非接触とするための機構としては、可変磁気抵抗駆動方式の平面型モータでは、空気浮上方式が主に採用されており、ローレンツ電磁力駆動方式では、空気浮上方式又は磁気浮上方式が主に採用されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の平面型モータは上記のように構成されているので、以下のような不都合があった。
【0010】
すなわち、従来の可変磁気抵抗式の平面型モータでは、強磁性体間あるいは強磁性体と永久磁石との間の磁気的吸引力反発力により高推力を得るものであるが、電流無励磁状態での推力むら即ち推力コギングを低減することが本質的に困難であった。また、電流励磁による発生推力は可動位置により変化するため定推力を得るためには高次な電流パターンが必要とされていた。これは位置決め安定性のみならず制御安定性をも低下させる原因となっていた。
【0011】
また、可変磁気抵抗式モータは強磁性体に電機子コイルを巻くいわゆる有鉄心コイルを構成しており電機子コイルインダクタンスが大きいため、応答性に優れておらず、改善のため高い電圧源を必要とし、効率的とはいえなかった。
【0012】
さらに、有鉄心コイルでは励磁電流による鉄心の磁気飽和が生じるため、高電流域までの推力線形性が得られにくく、制御系設計が複雑となる不都合もあった。
【0013】
一方、従来のローレンツ電磁力式の平面型モータでは、制御性、推力線形性、位置決め性に優れているものの、磁石やコイルの配列の制限により駆動に寄与する磁石及びコイルの数を多くできないので、発生推力を大きくすることが困難である。したがって、ウエハホルダや基板テーブルのようなある程度の重量物を搭載した可動子を高速に移動させることが困難であった。
【0014】
本発明は、かかる事情の下になされたものであり、その第1の目的は、制御性、推力線形性、及び位置決め性に優れ、かつ大きな推力を発生することができる平面型モータを提供することにある。
【0015】
また、本発明の第2の目的は、搭載した対象物を高速に移動可能であり、かつ高精度で位置決めできるステージ装置を提供することにある。
【0016】
また、本発明の第3の目的は、基板の高速移動及び高精度位置決めによって、スループットを向上して高精度の露光を行うことができる露光装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、矩形状の磁極面を有する少なくとも1つの永久磁石(54N、54S)を含む平板状発磁体(52)と;前記永久磁石(54N、54S)の第1の磁極面の一辺の半分の長さを一辺とする矩形にほぼ内接する電流経路を有する第1電機子コイル(64a)と、前記第1電機子コイル(64a)に並べて配置され、前記第1電機子コイル(64a)とほぼ同形状を有する第2電機子コイル(64b)とから成る第1コイル対(64)を少なくとも1つ含み、前記第1の磁極面に対向して配設された第1平板状コイル群(61)と;前記電機子コイル(64a、64b)の各々を流れる電流値及び電流方向の少なくとも一方を制御する駆動制御装置(19,20)とを備え、前記平板状発磁体(52)は、前記磁極面と平行な面内を前記第1平板状コイル群(61)に対して相対移動する平面型モータである。
【0018】
本請求項1の平面型モータでは、平板状発磁体が発生した磁束と駆動制御装置が第1平板状コイル群に供給した電流との相互作用によって第1及び第2電機子コイルで発生したローレンツ電磁力によってモータ駆動を行う。すなわち、可動子が第1平板状コイル群を備える場合には、電機子コイルで発生したロレーンツ力が可動子を駆動する推力となり、一方可動子が平板状発磁体を備える場合には、このローレンツ電磁力の反力が可動子を駆動する推力となる。
【0019】
かかるローレンツ電磁力は各電機子コイルの電流経路の各所で発生するが、コイルの電流経路として通常の形状、例えば、円形状や矩形状の各電機子コイルの電流経路では、対向する位置を流れる電流同士はそれらの値は同一であり、電流方向は互いに逆方向となる。しかしながら、平板状発磁体を構成する永久磁石が発生した磁束の第1平板状コイル群における磁束密度を考えると、永久磁石の第1の磁極面の中心に対向する位置における磁束密度が最も高く、第1の磁極面の周辺に対向する位置ほど磁束密度が小さくなる。したがって、各電機子コイルの電流経路において互いに対向する位置で発生するローレンツ電磁力について、第1の磁極面の中心に対向する位置により近い位置のローレンツ電磁力の方が大きくなり、第1の磁極面の中心に対向する位置により近い位置で発生したローレンツ電磁力の方向の力が各電機子コイルに作用する力となる。こうした、対向する電流経路の位置についての力の電流経路全てに関する合力が各電機子コイルについて働く力となり、モータ駆動力の源となる。
【0020】
かかる電機子コイルに働く力を効率よく発生させるとともに、平板状発磁体の前記磁極面と平行な面内における第1平板状コイル群に対する相対移動の間においても電機子コイルに働く力を安定して発生させ、かつ、電機子コイルの配列性をよくするために、本請求項1の平面型モータでは、前記第1の磁極面を矩形状とし、かつ、各電機子コイルの電流経路の形状をこの第1の磁極面の一辺の半分の長さを一辺とする矩形にほぼ内接する形状としている。
【0021】
そして、電機子コイルを2つを1組の第1のコイル対として、この第1のコイル対を平面的に配列し、各第1のコイル対を構成する各電機子コイルに供給する電流値及び電流方向を駆動制御装置が制御することにより推力を制御している。
【0022】
したがって、請求項1の平面型モータによれば、平板状発磁体で配列される各永久磁石及び第1平板状コイル群で配列される第1コイル対には専用の駆動方向は存在しないので、広範囲及び高密度に永久磁石及び第1コイル対を配列することが可能である。そして、駆動制御装置によって第1平板状コイル群を構成する各電機子コイルに流れる電流値及び電流方向を調整することにより、駆動に寄与する永久磁石及び電機子コイルの数を多くできるので、制御性、推力線形性、及び位置決め性に優れたローレンツ電磁力方式の長所を生かしつつ、大きな推力を発生することができる。
【0023】
請求項2に記載の発明は、請求項1の平面型モータにおいて、前記平板状発磁体(52)は、マトリクス状に配列され、隣接する磁極の極性が異なる複数の永久磁石(54N、54S)を備えることを特徴とする。
【0024】
これによれば、電機子コイルの配列平面において、磁束方向がこの配列平面に垂直であり、前記第1の磁極面の大きさを半周期であるとともに磁極面の境界点における磁束密度が零であり、変化が急峻な磁束密度の空間分布を得ることができる。したがって、各電機子コイルに供給される電流値及び電流方向を調整することにより、駆動に寄与する永久磁石及び電機子コイルの数を多くできるとともに、各電機子コイルに働く力を大きくできるので、ローレンツ電磁力方式の長所を生かしつつ、大きな推力を発生することができる。
【0025】
請求項3に記載の発明は、請求項1の平面型モータにおいて、前記平板状発磁体(52)は、前記第1の磁極面と反対側の第2の磁極面側で、前記複数の永久磁石(54N、54S)を支持する第1磁性体部材(53)を更に備えることを特徴とする。
【0026】
これによれば、平板状発磁体の第1磁極面(すなわち、第1平板状コイル群との対向面)と反対側の第2の磁極面側での磁気回路が第1磁性体部材を介して構成されるので、安定した磁気回路が構成できるとともに、磁束を第1磁性体部材の中に閉じ込めることができるので、第2の磁極面側に配設される部材に対する平板状発磁体に起因する磁気の影響を防止できる。
【0027】
請求項4に記載の発明は、請求項1の平面型モータにおいて、前記第1電機子コイル(64a)の電流経路はほぼ正方形であるとともに、前記第2電機子コイル(64b)の電流経路はほぼ正方形であることを特徴とする。
【0028】
請求項1の平面型モータは、前述のように、各電機子コイルのそれぞれにおいて対向する位置における磁束密度の相違を利用して推力を得ている。各電機子コイルの電流経路が、第1の磁極面の一辺の半分の長さを一辺とする正方形にほぼ内接する形状である場合には、各対向位置間における磁束密度の相違を大きくするには、電流経路を正方形とすることが有利である。請求項4の平面型モータでは、これを考慮して、各電機子コイルの電流経路の形状をほぼ正方形とするので、大きな推力を発生することができる。
【0029】
請求項5に記載の発明は、請求項1の平面型モータにおいて、前記第2電機子コイル(64b)は、前記第1電機子コイル(64a)の電流経路が内接する矩形の対角線方向の1つである所定方向に配置されることを特徴とする。
【0030】
これによれば、第1電機子コイルに働くローレンツ電磁力と第2電機子コイルに働くローレンツ電磁力とは互いに方向がほぼ平行となる。すなわち、第1電機子コイルと第2電機子コイルの電流経路とを互いに逆回りに設定すると双方のローレンツ電磁力の方向は互いにほぼ同一方向となり、また、双方の電流経路の回り互いに同一とすると双方のローレンツ電磁力の方向は互いにほぼ逆方向となる。
【0031】
したがって、請求項5の平面型モータによれば、第1電機子コイルの電流経路と第2電機子コイルの電流経路とを互いに逆回りとして、第1電機子コイルと第2電機子コイルとから成る第1コイル対に供給する電流を一体的に制御することにより推力を増大することができる。
【0032】
請求項6に記載の発明は、請求項5の平面型モータにおいて、前記第1平板状コイル群(61)は、前記所定方向に沿って配列された複数の前記第1コイル対(64)を備えることを特徴とする。
【0033】
請求項5の平面型モータでは、第1電機子コイルの電流経路の中心点と第2電機子コイルの電流経路の中心点とが、それぞれ前記永久磁石の第1の磁極面の1つの対角線上の点にほぼ対向していると、第1コイル対に電流が供給された場合、第1電機子コイルに働く力と第2電機子コイルに働く力との合力の方向は、所定方向、すなわち第1電機子コイルに対する第2電機子コイルの配列方向に平行となる。したがって、請求項6の平面型モータでは、これを考慮して、この所定方向に第1コイル対を配列しているので、所定方向に関して平板状発磁体と第1平板状コイル群とを安定して相対移動させることができる。
【0034】
請求項7に記載の発明は、請求項5の平面型モータにおいて、前記第1コイル対(64)を構成する前記第1電機子コイル(64a)及び前記第2電機子コイル(64b)とほぼ同形状で該第1、第2電機子コイル(64a、64b))に異なる側でそれぞれ隣接し、前記第1の磁極面に対向して配置された第3電機子コイル(65a)と第4電機子コイル(65b)とから成る第2コイル対(65)を更に備え、前記第1コイル対(64)と前記第2コイル対(65)とによって、前記第1の磁極面とほぼ重なる外形を有し、前記第1平板状コイル群(61)を構成する第1コイルユニット(63)が形成されていることを特徴とする。
【0035】
これによれば、第1コイル対で発生するローレンツ電磁力の合力の方向と第2コイル対で発生するローレンツ電磁力の合力の方向とは互いに交差する。したがって、第1コイル対に供給する電流値と第2コイル対に供給する電流値とを調節することにより、任意の方向への推力を発生することができる。
【0036】
請求項8に記載の発明は、請求項7の平面型モータにおいて、前記第1平板状コイル群(61)は、マトリクス状に配列された複数の前記第1コイルユニット(63)を備えることを特徴とする。
【0037】
これによれば、任意の方向への推力を発生できる第1コイルユニットがマトリクス状に配列されているので、平板状発磁体と第1平板状コイル群との相対移動を任意の直線方向及び任意の回転方向について、広い範囲にわたって、大きな推力で高速に実行することができる。
【0038】
請求項9に記載の発明は、請求項5の平面型モータにおいて、前記第1平板状コイル群(61)について前記平板状発磁体(52)側とは反対側に、前記第1平板状コイル群(61)とほぼ平行に配設され、前記永久磁石(54N、54S)の第1の磁極面の一辺の半分の長さを一辺とする矩形にほぼ内接する電流経路を有する第5電機子コイル(84a)と、該第5電機子コイル(84a)と前記所定方向に並べて配置され、前記第5電機子コイル(84a)とほぼ同形状を有する第6電機子コイル(84b)とから成る第3コイル対(84)を少なくとも1つ含む第2平板状コイル群(81)を更に備え、前記第1平板状コイル群(61)と前記第2平板状コイル群(81)とは、各電機子コイルに流れる電流の位相を同じにした際に、前記第1平板状コイル群(61)に発生する力の位相と前記第2平板状コイル群(81)に発生する力の位相とがずれるように配置されることを特徴とする。
【0039】
前述した請求項5の平面型モータの場合には、例えば、第1コイル対に供給する電流の値と方向を変化させずに前記平板状発磁体と第1平板状コイル群とを相対移動させると、この相対移動に伴って第1コイル対に働く力の大きさが変化する。すなわち、ある方向の推力でその相対移動をさせていると、ある時点で推力が零となったり、推力の方向が逆となったりする。こうした推力の変化は、その相対移動の方向に関する電機子コイルの大きさをほぼ1/2周期とする周期で起こる。推力の方向が逆になることに対しては第1コイル対に供給する電流の方向を逆にすることで、その相対移動の方向への推力を維持することが可能であるが、推力の変化を抑制するには複雑な供給電流値の制御が必要となる。
【0040】
請求項9の平面型モータでは、このことを考慮して、第1平板状コイル群における第1コイル対の配列とずらして、第1コイル対と同等の第3コイル対を第2平板状コイル群において配列している。この結果、第1コイル対と第3コイル対とに流れる電流を同相とした場合に第1平板状コイル群に発生する力と、第2平板状コイル群に発生する力の位相が異なることになる。したがって、簡単な電流値制御でも、平板状発磁体と第1平板状コイル群との相互作用力による推力の変化を、平板状発磁体と第2平板状コイル群との相互作用力によって補うことができるので、全体として安定した推力を発生することができる。なお、第1コイル対と第3コイル対との配列のずれは、第1平板状コイル群における第1コイル対の配列の1/4周期とすることが望ましい。
【0041】
請求項10に記載の発明は、請求項9の平面型モータにおいて、前記第3コイル対(83)を構成する前記第5電機子コイル(84a)及び前記第6電機子コイル(84b)とほぼ同形状で該第5、第6電機子コイル(84a、84b)に異なる側でそれぞれ隣接し、前記第1平板状コイル群(61)に対向して配置された第7電機子コイル(85a)と第8電機子コイル(85b)とから成る第4コイル対(85)を更に備え、前記第3コイル対(84)と前記第4コイル対(85)とによって、前記第1の磁極面とほぼ重なる外形を有し、前記第2平板状コイル群(81)を構成する第2コイルユニット(83)が形成されていることを特徴とする。
【0042】
これによれば、第3コイル対で発生するローレンツ電磁力の合力の方向と第4コイル対で発生するローレンツ電磁力の合力の方向とは互い交差する。したがって、第3コイル対に供給する電流値と第4コイル対に供給する電流値とを調節することにより、任意の方向への推力を発生することができる。そして、任意の方向への推力について、平板状発磁体と第1平板状コイル群との相互作用力による推力の変化を、平板状発磁体と第2平板状コイル群との相互作用力によって補うことができるので、全体として安定した推力を発生することができる。
【0043】
請求項11に記載の発明は、請求項10の平面型モータにおいて、前記第2平板状コイル群(81)は、マトリクス状に配列された複数の前記第2コイルユニット(83)を備えることを特徴とする。
【0044】
これによれば、任意の方向への推力を発生できる第2コイルユニットがマトリクス状に配列されているので、平板状発磁体と第2平板状コイル群との相対移動を任意の直線方向及び任意の回転方向について、平板状発磁体と第1平板状コイル群との相互作用力による推力の変化を、平板状発磁体と第2平板状コイル群との相互作用力によって補うことができるので、広い範囲にわたって、安定した大きな推力を発生することができる。
【0045】
請求項12に記載の発明は、請求項10の平面型モータにおいて、前記駆動制御装置(19,20)は、選択された前記第1コイル対(64)には第1駆動信号を供給し、選択された前記第2コイル対(65)には第2駆動信号し、選択された第3コイル対(84)には、前記第1駆動信号とは位相の異なる第3駆動信号を供給し、選択された第4コイル対(85)には、前記第2駆動信号とは位相の異なる第4駆動信号を供給することを特徴とする。
【0046】
上述した請求項10の平面型モータの場合は、前述のように、第1コイル対と第3コイル対とは、ずれて配列され、また、第2コイル対と第4イル対とは、ずれて配列されている。請求項12の平面型モータでは、これを考慮して、第1駆動信号と第3駆動信号との位相をずらし、かつ、第2駆動信号と第4駆動信号との位相をずらしているので、平板状発磁体と第1平板状コイル群との相互作用力による推力の変化を、平板状発磁体と第2平板状コイル群との相互作用力によって効果的に補うことができる。
【0047】
請求項13に記載の発明は、請求項1の平面型モータにおいて、前記電機子コイル(64a,64b)を前記平板状発磁体側とは反対側で支持する第2磁性体部材(62)を更に備えることを特徴とする。
【0048】
これによれば、電機子コイルの平板状発磁体側とは反対側での磁気回路が第2磁性体部材を介して構成されるので、安定した磁気回路が構成できるとともに、磁束を第2磁性体部材の中に閉じ込めることができる。したがって、電機子コイルの平板状発磁体側とは反対側に配設される部材に対する磁気の影響を防止できる。
【0049】
請求項14に記載の発明は、請求項1の平面型モータにおいて、前記平板状発磁体(52)と前記第1平板状コイル群(61)との間に配置され、非磁性体から成る平板状部材(68)を更に備えるとともに、前記平板状発磁体(52)は、前記第1磁極面側に複数の空気吹出し口を有することを特徴とする。
【0050】
これによれば、複数の空気吹出し口から吹き出された空気が平板状部材に吹き付けられることにより、平板状発磁体と平板状部材とが非接触となり、この非接触状態が維持される。また、平板状部材は非磁性体なので、平板状磁性体が発生する磁束に影響を与えることがない。したがって、平面型モータとしての推力を維持しつつ、平板状発磁体と平板状部材(ひいては、第1平板状コイル群)との非接触状態を簡易に達成できるので、小さな推力で高速の相対移動を簡易に行うことが可能となる。
【0051】
請求項15に記載の発明は、請求項1の平面型モータにおいて、前記電機子コイル(64a,64b)を冷却する冷却装置(75,76,79)を更に備える。
【0052】
請求項1の平面型モータでは、電機子モータに電流を供給すると電機子モータが発熱する。この発熱により周囲温度が上昇することになるが、こうした温度上昇により周囲部材は熱膨張することになる。こうした熱膨張は、この平面型モータにより駆動対象物体を精度よく駆動制御しようとする際の精度低下要因となる。
【0053】
請求項15の平面型モータでは、これを考慮して、冷却装置によって発熱体である電機子コイルを冷却することとしているので、駆動対象物体を精度よく駆動することができる。
【0054】
請求項15の平面型モータにおいて、冷却装置の構成には様々考えられるが、請求項16に記載の発明のように、前記電機子コイル(64a、64b)がその一方の面に配置された第2磁性体部材(62)と、前記電機子コイル(64a、64b)の前記第2磁性体部材(62)と反対側に配置された、非磁性体から成る平板状部材(68)との間の空間(66)に冷媒を供給する冷媒供給装置を備えて冷却装置を構成することが可能である。ここで、請求項17に記載の発明のように、各電機子コイル(64a、64b)を樹脂剤(67)によって第2磁性体部材(62)に固定することが可能である。これによれば、冷媒の流れる経路をなめらかな形状とでき、冷媒の流れをスムーズなものとできるので、効率的な冷却を行うことができる。
【0055】
また、請求項18に記載の発明のように、前記電機子コイルと該電機子コイルを前記平板状発磁体側とは反対側で支持する第2磁性体部材との間に配設された複数のペルチェ素子を備えて冷却装置を構成することも可能である。
【0056】
なお、請求項16及び請求項17の平面型モータにおける冷却方式と請求項18の平面型モータにおける冷却方式を併せて採用することも可能であり、この場合には冷却効率が向上する。
【0057】
請求項19に記載の発明は、請求項1〜18のいずれかに記載の平面型モータと;前記平板状発生磁体(52)及び前記第1平板状コイル群(61)の一方と一体的に移動する移動体とを備えるステージ装置である。
【0058】
これによれば、請求項1〜18のいずれかに記載の平面型モータで、移動体を駆動するので、優れた制御性、推力線形性、及び位置決め性を有するとともに、大きな推力で高速に移動体を移動できる。
【0059】
請求項20に記載の発明は、第1物体に形成されたパターンを第2物体に転写する露光装置において、請求項19に記載のステージ装置を、前記第1物体及び前記第2物体の少なくとも一方の位置決めをする位置決め装置として具備することを特徴とする。
【0060】
これによれば、請求項19に記載のステージ装置でウエハ等を精度よく高速に位置決めするので、スループットを向上しつつ高い露光精度で露光することができる。
【0061】
請求項21に記載の発明は、矩形状の磁極面を有する少なくとも1つの磁石(54N,54S)を含む平板状発磁体(52)と;前記磁石(54N,54S)の磁極面に対向して配置され、前記磁石(54N,54S)の磁極面の面積内に入る、前記磁石の磁極面の一辺の半分の長さを一辺とする矩形の一対の電機子コイル(64a,64b)で構成されるコイル対(64)と;前記コイル対(64)の各々に流れる電流値及び電流方向の少なくとも一方を制御する駆動制御装置(19,20)とを備え、前記コイル対(64)の各々の電機子コイル(64a,64b)に流れる電流値及び電流方向の少なくとも一方を制御することによって前記コイル対(64)と前記磁石(54N,54S)との間に発生するローレンツ電磁力の合力により、平板状発磁体(52)は、前記磁極面と平行な面内を前記コイル対(64)に対して相対移動することを特徴とする平面型モータである
【0062】
本請求項21の平面型モータでは、平板状発磁体が発生した磁束と駆動制御装置がコイル対に供給した電流との相互作用によって各コイルで発生したローレンツ電磁力によってモータ駆動を行う。すなわち、可動子がコイル対を備える場合には、電機子コイルで発生したロレーンツ力が可動子を駆動する推力となり、一方可動子が平板状発磁体を備える場合には、このローレンツ電磁力の反力が可動子を駆動する推力となる。そして、一対の電機子コイルをコイル対として、このコイル対を構成する各電機子コイルに供給する電流値及び電流方向を駆動制御装置が制御することにより推力を制御している。
【0063】
したがって、請求項21の平面型モータによれば、平板状発磁体で配列される各永久磁石及びコイル対には専用の駆動方向は存在しないので、広範囲及び高密度に永久磁石及びコイル対を配列することが可能である。そして、駆動制御装置によってコイル対を構成する各電機子コイルに流れる電流値及び電流方向を調整することにより、駆動に寄与する永久磁石及び電機子コイルの数を多くできるので、制御性、推力線形性、及び位置決め性に優れたローレンツ電磁力方式の長所を生かしつつ、大きな推力を発生することができる。
【0065】
また、本発明のような平面型モータでは、ローレンツ電磁力は各電機子コイルの電流経路の各所で発生するが、コイルの電流経路として通常の形状、例えば、円形状や矩形状の各電機子コイルの電流経路では、対向する位置を流れる電流同士はそれらの値は同一であり、電流方向は互いに逆方向となる。しかしながら、平板状発磁体を構成する磁石が発生した磁束のコイル対の位置における磁束密度を考えると、磁石の磁極面の中心に対向する位置における磁束密度が最も高く、該磁極面の周辺に対向する位置ほど磁束密度が小さくなる。したがって、各電機子コイルの電流経路において互いに対向する位置で発生するローレンツ電磁力について、磁石の磁極面の中心に対向する位置により近い位置のローレンツ電磁力の方が大きくなり、磁極面の中心に対向する位置により近い位置で発生したローレンツ電磁力の方向の力が各電機子コイルに作用する力となる。こうした、対向する電流経路の位置についての力の電流経路全てに関する合力が各電機子コイルについて働く力となり、モータ駆動力の源となる。
【0066】
れを考慮して、本発明では、磁極面を矩形状とし、かつ、各電機子コイルの電流経路の形状をこの磁極面の一辺の半分の長さを一辺とする矩形状として、各電機子コイルに働く力を効率よく発生させるとともに、平板状発磁体の前記磁極面と平行な面内におけるコイル対に対する相対移動の間においても電機子コイルに働く力を安定して発生させ、かつ、電機子コイルの配列性をよくしている。
【0067】
また、請求項21の平面型モータにおいて前記磁石の構成は様々考えられるが、請求項22に記載の発明のように、前記平板状発磁体を構成する前記少なくとも1つの磁石は、永久磁石又は電磁石、あるいは永久磁石及び電磁石の任意の組み合わせとすることができる。
【0068】
【発明の実施の形態】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図15に基づいて説明する。図1には、第1の実施形態に係る露光装置100の全体的な構成が概略的な構成が示されている。なお、この露光装置100は、いわゆるステップ・アンド・スキャン露光方式の投影露光装置である。
【0069】
この露光装置100は、光源1及び照明光学系(2、3、5〜7)を含む照明系、マスクとしてのレチクルRを保持するマスクステージとしてのレチクルステージRST、投影光学系PL、感応基板としてのウエハWをXY平面内でXY2次元方向に駆動するステージ装置、及びこれらの制御系等を備えている。
【0070】
前記照明系は、光源1、コリメータレンズ、フライアイレンズ等(いずれも図示せず)からなる照度均一化光学系2、リレーレンズ3、レチクルブラインド5、リレーレンズ6及び折り曲げミラー7(この内、照度均一化光学系2、リレーレンズ3、6及び折り曲げミラー7によって照明光学系が構成される)等を含んで構成されている。
【0071】
ここで、この照明系の構成各部についてその作用とともに説明すると、光源1で発生した露光光としての照明光ILは不図示のシャッターを通過した後、照度均一化光学系2により照度分布がほぼ均一な光束に変換される。照明光ILとしては、例えばKrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光、あるいはF2 エキシマレーザ光等のエキシマレーザ光、銅蒸気レーザやYAGレーザの高調波、あるいは超高圧水銀ランプからの紫外域の輝線(g線、i線等)等が用いられる。
【0072】
照度均一化光学系2から射出された光束は、リレーレンズ3を介して、レチクルブラインド5に達する。このレチクルブラインド5は、2枚の可動ブレード45A、45Bを有する可動ブラインド(以下、この可動ブラインドを適宜「可動ブラインド45A、45B」と呼ぶ)と、この可動ブラインド45A、45Bの近傍に配置された開口形状が固定された固定ブラインド46とから構成される。可動ブラインド45A、45Bの配置面はレチクルRのパターン面と共役となっている。固定ブラインド46は、例えば4個のナイフエッジにより矩形の開口を囲んだ視野絞りであり、その矩形開口の上下方向の幅が可動ブラインド45A、45Bによって規定されるようになっており、これによりレチクルRを照明するスリット状の照明領域IAR(図6参照)の幅を所望の大きさに設定できるようになっている。可動ブラインド45A、45Bは、可動ブラインド駆動機構43A、43Bによって開閉方向に駆動されるようになっており、この駆動機構43A、43Bの動作が不図示のメモリに格納されたプロセスプログラムと呼ばれるファイル内のマスキング情報に応じて主制御装置20によって制御されるようになっている。
【0073】
レチクルブラインド5を通過した光束は、リレーレンズ6を通過して折り曲げミラー7に至り、ここで鉛直下方に折り曲げられて回路パターン等が描かれたレチクルRの照明領域IAR部分(図6参照)を照明する。
【0074】
前記レチクルステージRST上にはレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、レチクルRの位置決めのため、照明光学系の光軸IX(後述する投影光学系PLの光軸AXに一致)に垂直な平面内で2次元的に(X軸方向及びこれに直交するY軸方向及びXY平面に直交するZ軸回りの回転方向に)微少駆動可能に構成されている。
【0075】
また、このレチクルステージRSTは、不図示のレチクルベース上をリニアモータ等で構成されたレチクル駆動部(図示省略)により、所定の走査方向(ここではY軸方向とする)に指定された走査速度で移動可能となっている。このレチクルステージRSTは、レチクルRの全面が少なくとも照明光学系の光軸IXを横切ることができるだけの移動ストロークを有している。
【0076】
レチクルステージRST上にはレチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)16からのレーザビームを反射する移動鏡15が固定されており、レチクルステージRSTのステージ移動面内の位置はレチクル干渉計16によって、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出される。ここで、実際には、レチクルステージRST上には走査方向(Y軸方向)に直交する反射面を有する移動鏡と非走査方向(X軸方向)に直交する反射面を有する移動鏡とが設けられ、レチクル干渉計16は走査方向に1軸、非走査方向には2軸設けられているが、図1ではこれらが代表的に移動鏡15、レチクル干渉計16として示されている。
【0077】
レチクル干渉計16からのレチクルステージRSTの位置情報はステージ制御系19及びこれを介して主制御装置20に送られ、ステージ制御系19では主制御装置20からの指示に応じてレチクルステージRSTの位置情報に基づいてレチクル駆動部(図示省略)を介してレチクルステージRSTを駆動する。
【0078】
なお、不図示のレチクルアライメント系により所定の基準位置にレチクルRが精度良く位置決めされるように、レチクルステージRSTの初期位置が決定されるため、移動鏡15の位置をレチクル干渉計16で測定するだけでレチクルRの位置を十分高精度に測定したことになる。
【0079】
前記投影光学系PLは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置され、その光軸AX(照明光学系の光軸IXに一致)の方向がZ軸方向とされ、ここでは両側テレセントリックな光学配置となるように光軸AX方向に沿って所定間隔で配置された複数枚のレンズエレメントから成る屈折光学系が使用されている。この投影光学系PLは所定の投影倍率、例えば1/5(あるいは1/4)を有する縮小光学系である。このため、照明光学系からの照明光ILによってレチクルRの照明領域IARが照明されると、このレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してレチクルRの回路パターンの縮小像が表面にフォトレジストが塗布されたウエハW上に形成される。
【0080】
前記ステージ装置は、ベース21と、このベースの上面の上方に数μm程度のクリアランスを介して不図示のエアベアリングによって浮上支持された基板ステージ18と、この基板ステージ18をXY面内で2次元駆動する駆動装置50とを備えている。ここで、上記エアベアリングに空気ポンプ59から空気(エアー)が供給されている。
【0081】
前記基板ステージ18上には、ウエハホルダ25が固定され、このウエハホルダ25によってウエハWが例えば真空吸着によって保持されている。
【0082】
また、基板テーブル18上にはウエハレーザ干渉計(以下、「ウエハ干渉計」という)31からのレーザビームを反射する移動鏡27が固定され、外部に配置された前記ウエ干渉計31により、基板テーブル18のXY面内での位置が例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。
【0083】
ここで、実際には、図2に示されるように、基板テーブル18上には走査方向であるY軸方向に直交する反射面を有する移動鏡27Yと非走査方向であるX軸方向に直交する反射面を有する移動鏡27Yとが設けられ、ウエハ干渉計31は走査方向に1軸、非走査方向には2軸設けられているが、図1ではこれらが代表的に移動鏡27、ウエハ干渉計31として示されている。基板テーブル18の位置情報(又は速度情報)はステージ制御系19及びこれを介して主制御装置20に送られ、ステージ制御系19では主制御装置20からの指示に応じて前記位置情報(又は速度情報)に基づいて駆動装置50を制御する。
【0084】
また、基板テーブル18上には、不図示のオフアクシス方式のアライメント検出系の検出中心から投影光学系PLの光軸までの距離を計測するベースライン計測等のための各種基準マークが形成された基準マーク板FMが固定されている。
【0085】
前記駆動装置50としては、本実施形態では、ベース21上面に埋め込まれた固定子60と、基板ステージの底面(ベース対向面)に固定された可動子51とから成る平面型モータが使用されている。以下の説明においては、この駆動装置50を、便宜上、平面型モータ50と呼ぶものとする。以下、この平面型モータ50の構成各部について、その周辺の部材を含めて詳細に説明する。
【0086】
前記可動子51は、図2のステージ装置周辺の概略斜視図に示されるように、基板ステージ18の底面に一体的に貼り付けられた強磁性体材料から成る平板状の強磁性体部材53と、この強磁性体部材53の底面(ベース対向面)に固定された平板状発磁体52とから構成されている。
【0087】
図3には、この可動子51の構成が示されている。なお、この図3では可動子51の構成の理解を容易にするため、及び図示の都合上、紙面下方向を+Z方向としており、図1及び図2とは上下を逆にして可動子51の構成が示されている。可動子51は、平板状発磁体52と強磁性体材料から成る平板状の強磁性体部材53とを備えることは前述の通りである。この平板状発磁体52は、図3に示されるように、固定子60に対向する側(図3の紙面上側)の磁極面がN極であり、この磁極面の一辺がほぼ2Lの長さの正方形である複数の永久磁石54Nと、固定子60に対向する側の磁極面がS極であり、この磁極面の一辺がほぼ2Lの長さの正方形である複数の永久磁石54Sとから成る(以下、永久磁石54N及び永久磁石54Sを総称して、「永久磁石54」とも呼ぶ)。永久磁石54Nと永久磁石54Sとは同一の磁力の磁石であり、強磁性体部材53上で交互にマトリクス状に配列されいる。
【0088】
また、この可動子51を構成する永久磁石54相互間には空気吹出し口の役目を兼ねる微少隙間が形成されており、これらの隙間を介して基板テーブル18の上部に接続された空気チューブを介して前記空気ポンプから供給される加圧空気がベース21の上面に向かって吹き出され、ベース21の上面と平板状発磁体52との間の空気層の静圧(いわゆる隙間内圧力)により可動子を含む基板ステージ18が、前記の如く浮上支持されている(図1、図2参照)。
【0089】
図4には、前述した平面型モータ50の固定子60を含むベース21の一部破断した概略断面図が示されている。この図4に示されるように、ベース21は、断面が長方形の枠部材69と、この枠部材の高さ方向の中央部やや下方に架設された強磁性体材料から成る平板状の強磁性体部材62と、枠部材の上部開口を閉塞する状態で一体的に取り付けられたセラミック等の非磁性体材料から成る平板状部材68とを備えている。
【0090】
前記強磁性体部材62の上面に、ペルチェ素子をそれぞれ介して複数のコイルユニット63が配置されている。これらの複数のコイルユニット63によって平板状コイル群61が構成され、この平板状コイル群61と前記強磁性体部材62とによって、前述した平面型モータ50の固定子60が構成されている。なお、平板状コイル群61を構成するコイルユニット63の配置等については後述する。前記ペルチェ素子75には、図1に示される冷却制御機79から冷却用電流が供給される。また、強磁性体部材62のコイルユニット63配列面の反対側の面上には、放熱のためのフィン部材76が配設されている。
【0091】
前記平板状部材68と枠部材69と強磁性体部材62とで囲まれる閉空間66は、ここでは、平板状コイル群61を冷却するための冷却液(冷媒)の通路とされている。すなわち、この閉空間66のY方向一側には、流入口71が設けられ、Y方向の他側には流出口(排出口)72が設けられている。そして、図1に示される冷媒供給装置としての冷却制御機79から冷却液(例えば、水又はフロリナート(商品名))が流入口71を介して該閉空間66に送り込まれ、該空間内部を通過するときに平板状コイル群61との間で熱交換を行い、平板状コイル群61で発生した熱を吸収して高温となった冷却液が流出口72を介して外部に排出されるようになっている。この場合、流出口72を介して排出された冷却液は液通路を介して前記冷却制御機79に戻され、ここで再び冷却されて前記閉空間66に送り込まれるようになっている。但し、必ずしもこのような冷却液の循環経路を構成することなく、熱吸収後の冷却液を外部に排出するようにしても良い。なお、本実施形態では、冷却制御機79、ペルチェ素子75、及びフィン部材76とから冷却装置が構成されている。
【0092】
図5には、前述した平板状コイル群61の構成が示されている。平板状コイル群61は、図5(A)に示されるように、マトリクス状に配列された複数のコイルユニット63から構成されている。このコイルユニット63は、図5(B)に示されるように、4つの電機子コイル64a、64b、65a、及び65bから成る。そして、図5(C)に示されるように、電機子コイル64aと電機子コイル64bとからコイル対64が構成され、それぞれの電機子コイルの電流経路は逆回りに設定されている。このコイル対64に供給される駆動電流は、ステージ制御系19によってその電流値及び電流方向が制御されるようになっている。また、図5(D)に示されるように、電機子コイル65aと電機子コイル65bとからコイル対65が構成され、それぞれの電機子コイルの電流経路は逆回りに設定されている。このコイル対65に供給される駆動電流もステージ制御系19によって電流値及び電流方向が制御される。
【0093】
本実施形態の走査型露光装置100においては、図6に示されるように、レチクルRの走査方向(Y軸方向)に対して垂直な方向に長手方向を有する長方形(スリット状)の照明領域IARでレチクルRが照明され、レチクルRは露光時に−Y方向に速度VR で走査(スキャン)される。照明領域IAR(中心は光軸AXとほぼ一致)は投影光学系PLを介してウエハW上に投影され、照明領域IARに共役なスリット状の投影領域、すなわち露光領域IAが形成される。ウエハWはレチクルRとは倒立結像関係にあるため、ウエハWは速度VR の方向とは反対方向(+Y方向)にレチクルRに同期して速度VW で走査され、ウエハW上のショット領域SAの全面が露光可能となっている。走査速度の比VW /VR は正確に投影光学系PLの縮小倍率に応じたものになっており、レチクルRのパターン領域PAのパターンがウエハW上のショット領域SA上に正確に縮小転写される。照明領域IARの長手方向の幅は、レチクルR上のパターン領域PAよりも広く、遮光領域STの最大幅よりも狭くなるように設定され、走査(スキャン)することによりパターン領域PA全面が照明されるようになっている。
【0094】
以下、本実施形態におけるウエハWの移動時の各部の作用について説明する。まず、本実施形態におけるウエハWの移動、すなわち、平面型モータ50における可動子51の移動の原理の概要を、図7〜図13を参照して説明する。
【0095】
図7には、平板状発磁体52が発生する磁力線の概要が示されている。なお、図7(A)においては、磁力線が実線矢印で示されている。図7(A)に示されるように、平板状発磁体52を構成する永久磁石54Nは−Z方向(紙面下向き)の磁力線を発生し、また、永久磁石54Sは+Z方向(紙面上向き)の磁力線を発生する。そして、強磁性体部材53及び強磁性体部材62と共に磁気回路を構成する。なお、以下の説明では、永久磁石54Nと永久磁石54Sとは同一の磁力の永久磁石であるとする。
【0096】
このとき、強磁性体部材62付近、すなわち平板状コイル群61が配設されるZ位置の磁束密度Bは、図7(B)に示されるような分布となる。すなわち、永久磁石54の磁極面の中心点に応じた位置で磁束密度Bの絶対値が最大となり、この点から磁極面の周辺部に応じた位置へ行くほど磁束密度Bの絶対値は小さくなり、永久磁石54Nと永久磁石54Sとの境界面に応じた位置で磁束密度Bは零となる。また、磁束密度Bの分布は、磁極面の中心点に応じた位置を中心として、±Y方向について対称となっている。図7(B)では、磁力線の方向が+Z方向の場合に磁束密度Bの値を正とし、磁力線の方向が−Z方向の場合に磁束密度Bの値を負としている。また、図7ではY方向に関する磁束密度Bの分布が示されているが、X方向に関する磁束密度Bの分布も図7(B)の分布と同様となる。
【0097】
図8及び図9には、図7(B)に示された分布の磁束密度Bの環境中における1つのコイル対64に働く力が示されている。なお、図8では、永久磁石54a、54bの最小配列単位である2×2のマトリクス状配列に対する1つのコイル対64の場合を想定している。なお、以下の説明では、この2×2のマトリクスの中心を原点OとしたXY座標系を用いていており、また、電機子コイル64a及び電機子コイル64bの電流経路はX方向又はY方向のいずれかに平行となるようにしている。
【0098】
まず、図8(A)のように、コイル対64が紙面右下の永久磁石54Nの磁極面にのみ対向、すなわちコイル対64の中心座標が(L、−L)であり、電機子コイル64a及び電機子コイル64bの電流経路はX方向又はY方向のいずれかに平行である場合を考える。また、電機子コイル64aには紙面左回り(反時計回り)で電流値Iの電流が流れ、したがって電機子コイル64bには紙面右回り(時計回り)で電流値Iの電流が流れている場合を考える。
【0099】
このとき、コイル対64に働く力は図8(B)に示すようになる。すなわち、電機子コイル64aに働く力の内、X成分はY軸方向に沿って流れる電流に関して発生するローレンツ電磁力Fa1、Fa3であるが、ローレンツ電磁力Fa3を発生させる電流経路は永久磁石54Nと永久磁石54Sとの境界部近傍なので、ローレンツ電磁力Fa3は非常に小さく(ほぼ零に)なる。一方、電機子コイル64aに働く力の内、Y成分はX軸方向に沿って流れる電流に関して発生するローレンツ電磁力Fa2、Fa4であるが、ローレンツ電磁力Fa2を発生させる電流経路は永久磁石54Nと永久磁石54Sとの境界部近傍なので、ローレンツ電磁力Fa4は非常に小さく(ほぼ零に)なる。したがって、電機子コイル64aに働く力は、ローレンツ電磁力Fa1とローレンツ電磁力Fa4の合力であり、そのX成分が−X方向のローレンツ電磁力Fa1となり、Y成分が+Y方向のローレンツ電磁力Fa4となる。ところで、前述した永久磁石54が発生する磁束密度Bの分布のXY対称性から、ローレンツ電磁力Fa1とローレンツ電磁力Fa4とではそれぞれの大きさが同じである。したがって、電機子コイル64aに働く力の方向は紙面左上45°方向となる。
【0100】
また、電機子コイル64bに働く力は、電機子コイル64aの場合と同様に考えることができ、大きさが互いに同一である、−X方向のローレンツ電磁力Fb3と+Y方向のローレンツ電磁力Fb2の合力となる。すなわち、電機子コイル64bに働く力の方向も紙面左上45°方向となる。したがって、コイル対64に働く力Fは電機子コイル64aに働く力と電機子コイル64bに働く力との合力なので、その方向は紙面左上45°方向の方向となる。この結果、永久磁石54Nを含む可動子51は、紙面右下45°方向に駆動される。
【0101】
なお、コイル対64が紙面左下の永久磁石54Sの磁極面にのみ対向する場合には、永久磁石54Nの場合と比べて磁力線の方向が逆となるので、図8(B)に示された力と反対向きの力が働くことになる。また、図8(A)の状態においてコイル対64の電流方向を逆にした場合も、図8(B)に示された力と反対向きの力が働くことになる。
【0102】
図8(B)に示された力による駆動の結果、永久磁石54とコイル対64との位置関係が図8(C)に示されるようになる。なお、図8(C)では、コイル対64の中心位置座標が(u,−u)(L/2<u<L)とする。
【0103】
このとき、コイル対64に働く力は図8(D)のようになる。すなわち、電機子コイル64aに働く力の内、X成分はY軸方向に沿って流れる電流に関して発生するローレンツ電磁力Fa1N 、Fa1S 、Fa3N 、Fa3S である。ここで、電機子コイル64aの同一の辺に発生するローレンツ電磁力Fa1N とローレンツ電磁力Fa1S との合力Fa1を考えると、前述した磁束密度Bの分布の対称性及びそれぞれのローレンツ電磁力を生じさせる電流経路の長さを考慮すると、−X方向のローレンツ電磁力Fa1N の大きさの方が+X方向のローレンツ電磁力Fa1S の大きさよりも大きくなる。したがって、合力Fa1は−X方向の力となる。これと同様にして、ローレンツ電磁力Fa3N とローレンツ電磁力Fa3S との合力Fa3も−X方向の力となる。また、電機子コイル64aに働く力の内、Y方向の成分はX軸方向に沿って流れる電流に関して発生するローレンツ電磁力Fa2N 、Fa2S 、Fa4N 、Fa4S に関しては、前述した磁束密度Bの分布の対称性及びそれぞれのローレンツ電磁力を生じさせる電流経路の長さを考慮すると、ローレンツ電磁力Fa2N とローレンツ電磁力Fa2S との合力Fa2は+Y方向の力であり、また、ローレンツ電磁力Fa4N とローレンツ電磁力Fa4S との合力Fa4は+Y方向の力である。ところで、やはり磁束密度Bの分布の対称性及びそれぞれのローレンツ電磁力が生じる電流経路の長さを考慮すると、合力Fa1と合力Fa4との大きさは同一であり、かつ、合力Fa2と合力Fa3との大きさは同一である。したがって、電機子コイル64aに働く力は図8(B)の場合と比べて小さくなるが、その方向は、紙面左上45°方向となる。
【0104】
また、電機子コイル64bに働く力については、X成分はY軸方向に沿って流れる電流に関して発生するローレンツ電磁力Fb1(+X方向の力)、Fb3(−X方向の力)である。ここで、ローレンツ電磁力Fb3を発生させる電流経路の方がローレンツ電磁力Fb1を発生させる電流経路よりも永久磁石54Nの中心点に対応する位置(座標(L、−L))に近いので、ローレンツ電磁力Fb3の大きさの方がローレンツ電磁力Fb1の大きさよりも大きくなる。したがって、電機子コイル64bに働く力のX成分であるローレンツ電磁力Fb3とローレンツ電磁力Fb1との合力は−X方向の力となる。一方、電機子コイル64bに働く力の内、Y方向の成分はX軸方向に沿って流れる電流に関して発生するローレンツ電磁力Fb2(+Y方向の力)、Fb4(−Y方向の力)であるが、ローレンツ電磁力Fb2を発生させる電流経路の方がローレンツ電磁力Fb4を発生させる電流経路よりも永久磁石54Nの中心点に対応する位置(座標(L、−L))に近いので、ローレンツ電磁力Fb2の大きさの方がローレンツ電磁力Fb4の大きさよりも大きくなる。したがって、電機子コイル64bに働く力のY成分であるローレンツ電磁力Fb2とローレンツ電磁力Fb4との合力は+Y方向の力となる。ところで、前述した磁束密度Bの分布の対称性より、電機子コイル64bに働く力のX成分とY成分との大きさは互いに同一であるので、電機子コイル64bに働く力は図8(B)の場合と比べて小さくなるが、その方向は紙面左上45°の方向となる。
【0105】
したがって、コイル対64に働く力Fは電機子コイル64aに働く力と電機子コイル64bに働く力との合力なので、その大きさは図8(B)の場合と比べて小さくなるが、その方向は紙面左上45°方向である。この結果、永久磁石64Nを含む可動子51は、紙面右下45°方向に駆動される。なお、コイル対64に供給される電流の電流値及び電流方向が変化しなければ、図8(C)において、コイル対64の中心座標(u,−u)が座標(L/2,−L/2)に近づくほどコイル対64に働く力は小さくなる。
【0106】
こうして可動子51が紙面右下45°方向に連続的に駆動され、コイル対64の中心位置座標が(L/2,−L/2)となる。
【0107】
このとき、コイル対64に働く力は図8(D)のように零となる。すなわち、電機子コイル64aに働く力の内、X成分はY軸方向に沿って流れる電流に関して発生するローレンツ電磁力Fa1N 、Fa1S 、Fa3N 、Fa3S である。ここで、前述した磁束密度Bの分布の対称性及びそれぞれのローレンツ電磁力を生じさせる電流経路の長さを考慮すると、電機子コイル64aの同一の辺に発生するローレンツ電磁力Fa1N とローレンツ電磁力Fa1S とは力の向きが互い逆方向であり、かつ、それぞれの力の大きさが同一である。すなわち、ローレンツ電磁力Fa1N とローレンツ電磁力Fa1S との合力Fa1は零となる。これと同様にして、ローレンツ電磁力Fa3N とローレンツ電磁力Fa3S との合力Fa3も零となる。したがって、電機子コイル64aに働く力のX成分は零となる。また、電機子コイル64aに働く力の内、Y成分はX軸方向に沿って流れる電流に関して発生するローレンツ電磁力Fa2N 、Fa2S 、Fa4N 、Fa4S に関しても、前述した磁束密度Bの分布の対称性及びそれぞれのローレンツ電磁力を生じさせる電流経路の長さを考慮すると、ローレンツ電磁力Fa2N とローレンツ電磁力Fa2S との合力Fa2は零であり、また、ローレンツ電磁力Fa4N とローレンツ電磁力Fa4S との合力Fa2も零となる。したがって、電機子コイル64aに働く力は零となる。
【0108】
また、電機子コイル64bに働く力については、X成分はY軸方向に沿って流れる電流に関して発生するローレンツ電磁力Fb1(+X方向の力)、Fb3(−X方向の力)であるが、磁束密度Bの対称性を考慮すると、これらの力は大きさが同一、かつ方向が互いに逆方向なので、これらの力の合力は零となる。これと同様にして、電機子コイル64bに働く力のY成分であるローレンツ電磁力Fb2とローレンツ電磁力Fb4との合力も零となる。したがって、電機子コイル64bに働く力は零となる。
【0109】
したがって、コイル対64に働く力は零となる。こうして、コイル対の中心位置が座標(L/2,−L/2)の場合にコイル対64に働く力が零となるのは、もっぱら磁束密度Bの分布の対称性によるものであり、コイル対64に供給される電流の電流値や電流方向を変化させても変わらない。
【0110】
次に、永久磁石54とコイル対64との位置関係が図9(C)に示されるような位置関係、すなわち、コイル対64の中心位置座標が(u,−u)(0<u<L/2)となった場合を考える。
【0111】
このとき、コイル対64に働く力は図9(D)に示す通りとなる。すなわち、電機子コイル64aに働く力の内、X成分はY軸方向に沿って流れる電流に関して発生するローレンツ電磁力Fa1N 、Fa1S 、Fa3N 、Fa3S である。ここで、電機子コイル64aの同一の辺に発生するローレンツ電磁力Fa1N とローレンツ電磁力Fa1S との合力Fa1を考えると、前述した磁束密度Bの分布の対称性及びそれぞれのローレンツ電磁力を生じさせる電流経路の長さを考慮すると、図8(D)の場合とは反対に、−X方向のローレンツ電磁力Fa1N の大きさの方が+X方向のローレンツ電磁力Fa1S の大きさよりも小さくなる。したがって、合力Fa1は+X方向の力となる。これと同様にして、ローレンツ電磁力Fa3N とローレンツ電磁力Fa3S との合力Fa3も+X方向の力となる。また、電機子コイル64aに働く力の内、Y成分はX軸方向に沿って流れる電流に関して発生するローレンツ電磁力Fa2N 、Fa2S 、Fa4N 、Fa4S に関しては、前述した磁束密度Bの分布の対称性及びそれぞれのローレンツ電磁力が生じる電流経路の長さを考慮すると、図8(D)の場合と反対に、ローレンツ電磁力Fa2N とローレンツ電磁力Fa2S との合力Fa2は−Y方向の力であり、また、ローレンツ電磁力Fa4N とローレンツ電磁力Fa4S との合力Fa4も−Y方向の力である。ところで、やはり磁束密度Bの分布の対称性及びそれぞれのローレンツ電磁力を生じさせる電流経路の長さを考慮すると、図8(D)の場合と同様に、合力Fa1と合力Fa4との大きさは同一であり、かつ、合力Fa2と合力Fa3との大きさは同一である。したがって、電機子コイル64aに働く力の方向は、紙面右下45°方向となる。
【0112】
また、電機子コイル64bに働く力については、X成分はY軸方向に沿って流れる電流に関して発生するローレンツ電磁力Fb1(+X方向の力)、Fb3(−X方向の力)である。ここで、ローレンツ電磁力Fb3を発生させる電流経路の方がローレンツ電磁力Fb1が発生する電流経路よりも永久磁石54Nの中心点に対応する位置(座標(L/2、−L/2))から遠いので、ローレンツ電磁力Fb3の大きさの方がローレンツ電磁力Fb1の大きさよりも小さくなる。したがって、図8(D)の場合とは反対に、電機子コイル64bに働く力のX成分であるローレンツ電磁力Fb3とローレンツ電磁力Fb1との合力は+X方向の力となる。一方、電機子コイル64bに働く力の内、Y成分はX軸方向に沿って流れる電流に関して発生するローレンツ電磁力Fb2(+Y方向の力)、Fb4(−Y方向の力)であるが、ローレンツ電磁力Fb2を発生させる電流経路の方がローレンツ電磁力Fb4が発生する電流経路よりも永久磁石54Nの中心点に対応する位置(座標(L/2、−L/2))から遠いので、ローレンツ電磁力Fb2の大きさの方がローレンツ電磁力Fb4の大きさよりも小さくなる。したがって、図8(D)とは反対に、電機子コイル64bに働く力のY成分であるローレンツ電磁力Fb2とローレンツ電磁力Fb4との合力は−Y方向の力となる。ところで、前述した磁束密度Bの分布の対称性より、電機子コイル64bに働く力のX成分とY成分との大きさは互いに同一であるので、その方向は紙面右下45°方向となる。
【0113】
したがって、コイル対64に働く力Fは電機子コイル64aに働く力と電機子コイル64bに働く力との合力なので、図8(D)の場合と反対に、その方向は紙面右下45°方向である。この結果、永久磁石64Nを含む可動子51は、紙面左上45°方向に駆動される。なお、コイル対64に供給される電流の電流値及び電流方向が変化しなければ、図9(C)において、コイル対64の中心座標(u,−u)が座標(L/2,−L/2)から遠ざかるほどコイル対64に働く力は大きくなる。
【0114】
以上のようにして、コイル対64の中心位置座標(u,−u)の値uを変化させながらコイル対64に働く力を求めると、この力の方向は必ず紙面左上45°方向又はこの方向の逆方向である紙面右下45°方向であることが判る。すなわち、あるときにコイル対64の中心位置座標(u,−u)であり、電機子コイル64a及び電機子コイル64bの電流経路がX方向又はY方向のいずれかに平行である場合には、コイル対64の中心位置座標(u,−u)やコイル対64に供給される電流の電流値によってその大きさは異なるが、電機子コイル64aと電機子コイル64bとの配列方向(すなわち、紙面左上45°方向又は紙面右下45°方向に可動子51を駆動することができる。
【0115】
図10には、以上のような場合において、コイル対64に供給される電流の電流値と電流方向を一定としたとき(図10(A)参照)のコイル対64の中心位置座標(u,−u)によるコイル対64に働く力Fの変化の様子が示されている(図10(B)参照)。なお、図10(A)では、図8及び図9において、電機子コイル64aの電流が左回りの場合に電流値Iを正としている。また、図10(B)では、図8及び図9において、力Fの方向が紙面左上45°方向の場合に力Fの大きさを正とし、力Fの方向が紙面右下45°方向の場合に力Fの大きさを負としている。
【0116】
図10(B)に示されるように、この場合には、コイル対64に供給される電流の電流値と電流方向を一定としたときには、周期的(周期=2L)で力Fの大きさが変化しており、周期の半分の区間(例えば、L/2<u<3L/2の区間)では力Fが正となり、周期の他の半分の区間(例えば、−L/2<u<L/2の区間)では力が負となる。
【0117】
したがって、コイル対64に供給される電流の電流値と電流方向を一定としたときには、一方向に継続的に可動子51を継続的に駆動し続けることはできないが、電流方向を値uに応じて変化させることにより、一方向に継続的に可動子51を駆動し続けることを実現することができる。例えば、図11には、コイル対64に正の力Fを継続的に働かせる電流制御の一例が示されている。すなわち、図11(A)に示されるように、周期の半分の区間(例えば、L/2<u<3L/2の区間)では電流値Iを正とし、周期の他の半分の区間(例えば、−L/2<u<L/2の区間)では電流値Iを負(すなわち、図8及び図9において、電機子コイル64aの電流が右回り)とする。したがって、コイル64に働く力Fは、図11(B)に示されるように、負の力となることはなく周期的(周期=L)な正の力Fとなる。この結果、図8及び図9における紙面右下45°方向に継続的に可動子51を駆動し続けることができる。
【0118】
また、図12には、コイル対64に、図8及び図9における紙面右下45°方向の力を継続的に働かせる電流制御の一例が示されている。すなわち、図12(A)に示されるように、周期の半分の区間(例えば、L/2<u<3L/2の区間)では電流値Iを負とし、周期の他の半分の区間(例えば、−L/2<u<L/2の区間)では電流値Iを正とする。したがって、コイル64に働く力Fは、図12(B)に示されるように、正の力となることはなく周期的(周期=L)な負の力となる。この結果、図8及び図9における紙面左上45°方向に継続的に可動子51を駆動し続けることができる。
【0119】
したがって、コイル対64を電機子コイル64aと電機子コイル64bとの配列方向に配列し、コイル対64に供給する電流を制御することにより、この方向に沿って可動子51を自在に駆動することができる。
【0120】
なお、図11及び図12では、コイル対64に供給する電流に関して、電流値Iの絶対値を一定として、電流方向のみをコイル対64と永久磁石54との位置関係に応じて変化させたが、力Fの大きさは電流値Iにより制御することができるので、電流値Iの絶対値もコイル対64と永久磁石54との位置関係に応じて変化させることにより、コイル対64に働く力(すなわち、コイル対64に起因する可動子51の推力)を均一化することができる。例えば、電流値Iが正又は負の各区間のそれぞれの中央部における電流値Iの絶対値に比べて、各区間の周辺部へ行くほど電流値の絶対値を大きくすることにより、コイル対64に働く力Fの均一化を図ることができる。
【0121】
なお、以上のことは、コイル対64の中心位置が座標(u,u)の場合にも、コイル対64に働く力Fの方向を除いて同様である。
【0122】
以上では、コイル対64の中心位置が永久磁石54の磁極面の対角線上の点に応じた位置にあり、電機子コイル64a及び電機子コイル64bの電流経路がX方向又はY方向のいずれかに平行である場合について説明したが、コイル対64の中心位置が永久磁石54の磁極面の対角線上の点に応じた位置にない場合、または、電機子コイル64a及び電機子コイル64bの電流経路はX方向又はY方向のいずれにも平行でない場合にも、図8及び図9と同様にして、コイル対64に働く力を求めることにより、コイル対64と永久磁石54との相対位置関係に応じて、コイル対64に働く力及びその反力である可動子51に付与される推力を求めることができる。
【0123】
また、以上ではコイル対64について説明したが、図5(D)に示されるコイル対65についても同様のことがいえる。例えば、コイル対64の中心位置が永久磁石54の磁極面の対角線上の点に応じた位置(すなわち、コイル対65の中心位置が座標(u,±u))であり、電機子コイル65a及び電機子コイル65bの電流経路がX方向又はY方向のいずれかに平行である場合には、コイル対65に働く力の方向が、図8及び図9において紙面右上45°方向又は紙面左下45°方向であることを除いて、コイル対65の場合と同様である。また、コイル対65の中心位置が永久磁石54の磁極面の対角線上の点に応じた位置にない場合、または、電機子コイル65a及び電機子コイル65bの電流経路はX方向又はY方向のいずれにも平行でない場合にも、コイル対64の場合と同様に、コイル対65と永久磁石54との相対位置関係に応じて、コイル対65に働く力及びその反力である可動子51に付与される推力を求めることができる。
【0124】
次に、コイル対64とコイル対65とから成るコイルユニット63(図5(B)参照)による可動子51の駆動について説明する。
【0125】
コイル対64及びコイル対65のいずれか一方のみに電流が供給されているときには、電流が供給されているコイル対のみによる駆動となり、前述のコイル対64による駆動態様又はコイル対65による駆動態様の通りとなる。コイル対64及びコイル対65の双方に電流が供給されている場合には、コイルユニット63に働く力は、コイル対64に働く力とコイル対65に働く力との合力となる。ところで、コイルユニット63を構成するコイル対64とコイル対65とでは電機子コイルの配列方向が互いに直交しているので、コイル対64に働く力とコイル対64に働く力とは互いに交差する方向となる。したがって、コイルユニット63と永久磁石54との位置関係に応じて、コイル対64及びコイル対65に供給する電流それぞれの電流値及び電流方向を制御することにより、コイルユニット63に働く力の大きさ及び方向を任意に制御することができる。
【0126】
図13には、典型的な例として、コイルユニット63が永久磁石54Nに完全に対向し、コイル対64に供給する電流の電流値とコイル対65に供給する電流の電流値とを同一とした場合における、コイル対64及びコイル対65の電流方向によるコイルユニット63に働く力の方向が示されている。なお、力Fの説明図である図13(B)、(D)、(F)、(H)では、電流経路の各辺に発生するローレンツ電磁力が実線矢印で示されて、また、これらのローレンツ電磁力の合力、すなわちコイルユニット63に働く力が太線矢印で示されている。
【0127】
図13(A)に示されるように、電機子コイル64aの電流経路が左回りであり、電機子コイル65aの電流経路が左回りである場合には、図13(B)に示されるように、±X方向の力は互いに相殺されて、+Y方向の力の成分のみが残る。したがって、コイルユニット63に働く力の方向は+Y方向となる。また、図13(C)に示されるように、電機子コイル64aの電流経路が左回りであり、電機子コイル65aの電流経路が右回りである場合には、図13(D)に示されるように、±Y方向の力は互いに相殺されて、−X方向の力の成分のみが残り、コイルユニット63に働く力の方向は−X方向となる。また、図13(E)に示されるように、電機子コイル64aの電流経路が右回りであり、電機子コイル65aの電流経路が左回りである場合には、図13(F)に示されるように、±Y方向の力は互いに相殺されて、+X方向の力の成分のみが残り、コイルユニット63に働く力の方向は+X方向となる。さらに、また、図13(G)に示されるように、電機子コイル64aの電流経路が右回りであり、電機子コイル65aの電流経路が右回りである場合には、図13(H)に示されるように、±X方向の力は互いに相殺されて、−Y方向の力の成分のみが残り、コイルユニット63に働く力の方向は−Y方向となる。
【0128】
図13では、コイル対64に供給する電流の電流値とコイル対65に供給する電流の電流値とを同一としたが、これらの電流値を変化させることにより、所望の方向で所望の大きさの力をコイルユニット63に働かせることができる。
【0129】
また、図13では、コイルユニット63を永久磁石54Nに完全に対向させたが、コイルユニット63と永久磁石54との任意の位置関係の場合に、コイル対64及びコイル対65に供給する電流の電流値及び電流方向を制御することにより、所望の方向へ所望の大きさの力をコイルユニット63に働かせることができる。すなわち、可動子51を所望の方向へ所望の大きさの力で駆動することができる。
【0130】
なお、可動子51を所望の方向へ移動又は所望の位置に停止させるときには、可動子51の平板状発磁体52に対向するコイルユニット63の内、電流を供給するものとして選択されたコイルユニット63(例えば、全てのコイルユニット63)の全てについて、それぞれが可動子に付与する力が同一となるように、選択された各コイルユニット63へ供給する電流の電流値及び電流方向を制御すればよい。また、可動子51を回転させるときには、可動子51の平板状発磁体52に対向するコイルユニット63の内、電流を供給するものとして選択されたコイルユニット63(例えば、可動子51の周辺部分に対向するコイルユニット63)の位置に応じて、異なる方向の力を付与するように、選択された各コイルユニット63へ供給する電流の電流値及び電流方向を制御すればよい。
【0131】
したがって、本実施形態の平面型モータ50によれば、平板状発磁体52と前記平板状コイル群61との位置関係に応じて、電流を供給するコイルユニット63を選択し、選択されたコイルユニット63に供給する電流の電流値及び電流方向を制御することにより、XY平面内において所望の方向(回転方向を含む)及び所望の推力で、可動子51を駆動することができる。
【0132】
なお、平板状発磁体52を構成する各永久磁石54及び平板状コイル群61を構成するコイルユニット63には専用の駆動方向は存在しないので、双方とも稠密に永久磁石54及びコイルユニット63を配列することが可能であり、かつ、駆動に寄与する永久磁石54及び電機子コイルの数を多くできるので、可動子51に対して大きな推力を付与することができる。また、平板状コイル群61を構成するコイルユニット63へ供給する電流の電流値及び電流方向を調整することにより、制御性、推力線形性、及び位置決め性に優れた可動子51の駆動ができる。
【0133】
本第1の実施形態に係るステージ装置では、前述の如く、ウエハWをウエハホルダ25を介して保持する基板ステージ18に可動子51が取り付けられているので、主制御装置20ではステージ制御系19を介して上記のようにして可動子51を駆動制御することにより、これと一体的に基板ステージ18及びウエハWをXY面内で自在に移動させることができる。これを更に詳述すると、所望の方向に所望の推力で可動子、すなわち基板ステージ18を移動させるにあたって、主制御装置20では、ステージ制御系19を介してウエハ干渉計31の計測値(位置情報又は速度情報)をモニタして、その時点の可動子51と固定子とのXY面内での相対位置関係を求める。そして、主制御装置20ではこの求めた相対位置関係と基板ステージを駆動すべき目標位置に応じて各コイルユニット63に供給すべき電流値及び電流方向を演算により決定し、ステージ制御系19に指令を与える。これにより、ステージ制御系19では、指令に応じて各コイルユニット63に与える電流値び電流方向を制御する。この際、主制御装置20では目標位置に対する距離に応じて基板ステージ18の速度をも制御する。
【0134】
ここで、主制御装置20は、移動の各時点ごとに、ウエハ干渉計31から通知された位置情報(又は速度情報)に基づいて、各コイルユニット63に供給する電流の電流値及び電流方向を求めることも可能であるが、制御応答が十分に早くできない場合には、移動を開始させるときにその後のある期間においてウエハWが所望の軌跡及び所望の速度となるような、各コイルユニット63に供給する電流の電流値及び電流方向を時系列で求めることも可能である。こうした場合には、主制御装置20は、移動の各時点ごとに、ウエハ干渉計31から通知された位置情報(又は速度情報)に基づいて所望の軌跡からのずれを求め、その後において各コイルユニット63へ供給する電流の電流値及び電流方向を修正するとともに、修正した期間以後の所定期間に関する各コイルユニット63に供給する電流の電流値及び電流方向を時系列で求める。そして、ステージ制御系19は、修正された情報に基づいて各コイルユニット63に対する電流制御を行う。
【0135】
次に、前述のステージ装置を含む露光装置100における露光動作の流れについて簡単に説明する。
【0136】
まず、レチクルローダにより、転写したいパターンが形成されたレチクルRがレチクルステージRSTにロードされる。同様に、ウエハローダにより、露光したいウエハWが基板テーブル18にロードされる。
【0137】
このとき、基板ステージ18は、所定のウエハローディングポジションにて、ベース状に浮上支持されており、かつそのローディングポジションに所定時間停止状態を維持するように主制御装置20によりウエハ干渉計の計測値に基づいてステージ制御系19を介してサーボ制御されている。従って、このローディングポジションでの待期時には、平面型50の固定子60を構成するコイルユニット63に電流が供給されており、このコイルユニット63における発熱による温度上昇を防止すべく、主制御装置20では冷却機79、ペルチェ素子75を用いてコイルユニット63の冷却を前述のようにして行っている。
【0138】
次に、主制御装置20により、不図示のレチクル顕微鏡、基板テーブル18上の基準マーク板FM、不図示のアラインメント検出系を用いてレチクルアラインメント、ベースライン計測等の準備作業が所定の手順に従って行われた後、アラインメント検出系を用いてEGA(エンハンスト・グローバル・アラインメント)等のアラインメント計測が実行される。こうした動作において、ウエハWの移動が必要な場合には、前述したように、主制御装置20がステージ制御系19を介してステージ装置内の各コイルユニット63の電流を制御し、可動子51を移動させることによりウエハWを移動させる。こうしたのアライメント計測の終了後、以下のようにしてステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行われる。
【0139】
この露光動作にあたって、まず、ウエハWのXY位置が、ウエハW上の最初のショット領域(ファースト・ショット)の露光のための走査開始位置となるように、基板テーブル18が移動される。この移動は、主制御装置20によりステージ制御系19を介して、平面型モータ50を構成する各コイルユニット63の電流を前述のように制御することにより行われる。同時に、レチクルRのXY位置が、走査開始位置となるように、レチクルステージ18が移動される。この移動は、主制御装置20によりステージ制御系19及び不図示のレチクル駆動部等を介して行われる。
【0140】
そして、ステージ制御系19が、レチクル干渉計16によって計測されたレチクルRのXY位置情報、ウエハ干渉計31によって計測されたウエハWのXY位置情報に基づき、不図示のレチクル駆動部及び平面型モータ50を介してレチクルRとウエハWとを同期移動させる。この同期移動とともに走査露光が行われる。
【0141】
以上のように制御されながら行われる走査露光により、一つのショット領域に対するレチクルパターンの転写が終了すると、基板テーブル18が1ショット領域分だけステッピングされて、次のショット領域に対する走査露光が行われる。
【0142】
このようにして、ステッピングと走査露光とが順次繰り返され、ウエハW上に必要なショット数のパターンが転写される。したがって、本実施形態の露光装置100によれば、平面型モータ50を備えたステージ装置によりウエハWを精度よく高速に位置決めするので、スループットを向上しつつ高い露光精度で露光することができる。
【0143】
本実施形態において、平板状コイル群61の各電機子コイル及び各ペルチェ素子75の強磁性体部材62への固定あたっては、例えば図14に示されるように、樹脂接着剤67を使用して、冷却液の流路を滑らかに整形してもよい。このようにすれば、冷却液の流れをスムーズなものとできるので、効率的な冷却を行うことができる。
【0144】
あるいは、図15に示されるように、ベース21内部に設けられた強磁性体部材62の上下の閉空間の内、下側の閉空間の一端に流入口71を設け、上側の閉空間の他端に排出口72を設けるとともに、各電機子コイルの中空部を介して前記両閉空間が連通するように、ペルチェ素子75、強磁性体部材62、及びフィン部材76に上下方向の貫通孔を設けてもよい。かかる場合には、流入口71を介して下側の閉空間に流入した冷却液は、フィン部材76との間で熱交換を行うとともに前記各貫通孔及び各電機子コイルの内部空間を通って上側の閉空間に流入し、最終的に排出口72から外部に排出される。この場合、図15からも明らかなように、冷却液の流れにより電機子コイルの内面側まで効率よく冷却され、更にフィン部材までも冷却することができるので、冷却効率が一層向上する。
【0145】
《第2の実施形態》
以下、本発明の第2の実施形態を図16〜図20に基づいて説明する。なお、以下の説明にあたって、同等の要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。本実施形態は、第1の実施形態と比べて、平面型モータの固定子が2つの平板状コイル群を備える点に特徴を有している。以下、この特徴点について説明する。
【0146】
図16には、本実施形態における平面型モータの固定子80を含むベース21の概略断面図が示されている。固定子80は、図16に示されるように、前記平板状コイル群61と、この平板状コイル群61の紙面下側に配設され、複数のコイルユニット83から成る平板状コイル群81と、各コイルユニット63、83を可動子51側とは反対側で支持する、強磁性体材料から成る平板状の前記強磁性体部材62とを備える。ここで、各コイルユニット83と強磁性体部材62との間には各コイルユニット63、83を冷却するためのペルチェ素子75が配設され、また、強磁性体部材62のコイルユニット63、83配列面の反対側の面上には、放熱のためのフィン部材76が配設されている。
【0147】
図17には、平板状コイル群81の構成が示されている。平板状コイル群81は、平板状コイル群61と同様に、図17(A)に示されるように、マトリクス状に配列された複数のコイルユニット83から構成されている。このコイルユニット83は、図17(B)に示されるように、4つの電機子コイル84a、84b、85a、及び85bから成る。そして、図17(C)に示されるように、電機子コイル84aと電機子コイル84bとから、コイル対64と等価なコイル対84が構成され、それぞれの電機子コイルの電流経路は逆回りに設定されている。このコイル対84に供給される電流は、ステージ制御系19によってその電流値及び電流方向が制御される。また、図17(D)に示されるように、電機子コイル85aと電機子コイル85bとから、コイル対65と等価なコイル対85が構成され、それぞれの電機子コイルの電流経路は逆回りに設定されている。このコイル対85に供給される電流も、ステージ制御系19によってその電流値及び電流方向が制御される。
【0148】
図18には、平板状コイル群61と平板状コイル群81とのXY平面における位置関係が示されている。図18に示されるように、平板状コイル群81におけるコイルユニット83の配列は、平板状コイル群61におけるコイルユニット63の配列に対して、X方向及びY方向の配列位相がそれぞれ90°(すなわち、位置がL/2)だけずれている。
【0149】
前述の図7(B)に示された分布の磁束密度Bの環境中において、コイルユニット83に働く力は、前述のコイルユニット63の場合と同様であるが、永久磁石54との位置関係による力の大きさの変化の位相が異なる。この力の変化の位相の相違を、前述のコイル対64に働く力とコイル対84に働く力とを例にとって説明する。
【0150】
図19には、コイル対64に働く力とコイル対84に働く力の変化の相違が示されている。ここで、コイル対64に流れる電流I1 及び働く力F1 を実線で示し、コイル対84に流れる電流I2 及び働く力F2 を点線で示している。なお、図19には、前述の図10の場合と同様に、コイル対64に供給される電流及びコイル対84供給される電流のそれぞれの電流値と電流方向を一定とした(図19(A)参照)、コイル対64及びコイル対84のそれぞれの中心位置座標(u,−u)におけるコイル対64及びコイル対84に働く力Fの変化の様子が示されている(図19(B)参照)。なお、図19(A)では、電機子コイル64aの電流が左回りの場合にその電流値I1 を正とし、電機子コイル84aの電流が左回りの場合にその電流値I2 を正としている。また、図19(B)では、図10(B)の場合と同様に、力F1 、F2 の正負を表している。
【0151】
図19(B)に示されるように、コイル対64に供給される電流の電流値と電流方向を一定としたときには、周期的(周期=2L)で力F1 の大きさが変化しており、周期の半分の区間(例えば、L/2<u<3L/2の区間)では力F1 が正となり、周期の他の半分の区間(例えば、−L/2<u<L/2の区間)では力F1 が負となる。一方、コイル対84に供給される電流の電流値と電流方向を一定としたときには、周期的(周期=2L)で力F2 の大きさが変化しており、周期の半分の区間(例えば、0<u<Lの区間)では力F2 が正となり、周期の他の半分の区間(例えば、−L<u<0の区間)では力F2 が負となる。すなわち、コイル対64に働く力とコイル対83に働く力とで、永久磁石54との位置関係による力の大きさの変化の位相が90°だけ異なっている。
【0152】
したがって、電流I1 、I2 の電流方向を値uに応じて変化させて、同時に供給することにより、安定した推力で可動子51を駆動し続けることを実現することができる。例えば、図20には、コイル対64及びコイル対84に働く力の合力として、(−1,1)方向の力を継続的かつ安定的に働かせる電流制御の一例が示されている。すなわち、図20(A)に示されるように、コイル対64については、周期の半分の区間(例えば、L/2<u<3L/2の区間)では電流値I1 を正とし、周期の他の半分の区間(例えば、−L/2<u<L/2の区間)では電流値I1 を負とする。この場合、コイル対84については、コイル対64に比べ位相が90°だけずれた状態とする。すなわち、周期の半分の区間(例えば、0<u<Lの区間)では電流値I2 を正とし、周期の他の半分の区間(例えば、−L<u<0の区間)では電流値I2 を負とする。この結果、コイル64に働く力F1 とコイル84に働く力F2 との合力F3 は、図20(B)に示されるように、力F3 の大きさが零となることなく常に正の力となるとともに、前述の図11に示したコイル対64単独の場合と比べて飛躍的に安定な力となる。したがって、所定方向に安定した推力で継続的に可動子51を駆動し続けることができる。
【0153】
なお、図20では、コイル対64及びコイル対84に供給する電流に関して、電流値I1 、I2 の絶対値を一定として、電流方向のみを永久磁石54との位置関係に応じて変化させたが、力F1 、F2 の大きさは電流値I1 、I2 によって制御できるので、電流値I1 、I2 の絶対値も永久磁石54との位置関係に応じて変化させすことにより、合力F3 (すなわち、可動子51の推力)を更に均一化することができる。
【0154】
以上のコイル対64とコイル対84との力の位相関係は、そのままコイルユニット63とコイルユニット83との力の位相関係として成立する。したがって、本実施形態によれば、第1の実施形態の場合における可動子51への印加推力が零となる場合を解消できるので、非常に安定した推力で可動子51(ひいてはウエハW)を駆動することができる。
【0155】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、変形が可能である。例えば、上記の実施形態では、可動子に永久磁石を配列し、固定子に電機子コイルを配列したが、可動子に電機子コイルを配列し、固定子に永久磁石を配列することも可能である。また、上記の実施形態では、永久磁石を稠密に配列するとともに電機子コイルを稠密に配列したが、図21に示されるように、永久磁石間や電機子コイル間に少々の隙間を設けても、同様の効果を奏することができる。
【0156】
また、上記の実施形態では、可動子の固定子からの浮上にエアガイド機構を用いたが磁気浮上機構を採用することも可能である。さらに、平板状発磁体において、任意の永久磁石に代えてその永久磁石と同様な方向に磁力線を発生する電磁石を使用することも可能である。
【0157】
また、本発明は、紫外線を光源にする縮小投影露光装置、波長10nm前後の軟X線を光源にする縮小投影露光装置、波長1nm前後を光源にするX線露光装置、EB(電子ビーム)やイオンビームによる露光装置などあらゆるウエハ露光装置、液晶露光装置等に適応できる。また、ステップ・アンド・リピート機、ステップ・アンド・スキャン機、ステップ・アンド・スティッチング機を問わない。但し、ウエハ等の周囲環境を真空とする必要のある、波長10nm前後の軟X線を光源にする縮小投影露光装置、波長1nm前後を光源にするX線露光装置、EB(電子ビーム)やイオンビームによる露光装置などで本発明を採用する場合には、可動子の固定子からの浮上機構にエアガイド機構を用いることはできず、磁気浮上機構等を採用することが必要となる。
【0158】
また、上記の実施形態では、コイル対を構成する2つの電機子コイルを一括で電流駆動制御したが、各電機子コイルごとに電流駆動制御することも可能である。さらに、複数の同種のコイル対をブロック単位に電流駆動制御することも可能である。
【0159】
さらに、上記実施形態では電機子コイルの冷却用に冷却液を使用したが、冷媒となる流体であれば気体冷媒を使用することが可能である。
【0160】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、請求項1〜請求項18に係る平面型モータによれば、平板状発磁体で配列される各永久磁石には専用の駆動方向は存在しないので、広範囲の領域かつ高密度に永久磁石を配列することが可能であり、かつ、駆動制御装置によって平板状コイル群を構成する各電機子コイルに流れる電流値及び電流方向を調整することにより、駆動に寄与する永久磁石及び電機子コイルの数を多くできるので、制御性、推力線形性、及び位置決め性に優れたローレンツ電磁力方式の長所を生かしつつ、大きな推力を発生することができる。
【0161】
また、請求項19に係るステージ装置によれば、本発明の平面型モータで移動体を駆動するので、優れた制御性、推力線形性、及び位置決め性を有するとともに、大きな推力で高速に移動体を移動できる。
【0162】
また、請求項20に係る露光装置によれば、本発明のステージ装置でウエハ等を精度よく高速に位置決めするので、スループットを向上しつつ高い露光精度で露光することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1の露光装置のステージ装置周辺の構成を示す斜視図である。
【図3】可動子51の構成を示す図である。
【図4】ベース21の構成を示す図である。
【図5】コイルユニット63の構成を示す図である(A〜D)。
【図6】図1の露光装置の走査露光の原理を説明するための図である。
【図7】平面型モータ50における磁力線の概要を説明するための図である(A、B)。
【図8】コイル対64に働く力を説明するための図である(A〜D)。
【図9】コイル対64に働く力を説明するための図である(A〜D)。
【図10】コイル対64に働く力を説明するための図である(A、B)。
【図11】コイル対64に働く力を説明するための図である(A、B)。
【図12】コイル対64に働く力を説明するための図である(A、B)。
【図13】コイルユニット63に働く力を説明するための図である(A〜H)。
【図14】ベース21の変形例の構成を示す図である。
【図15】電機子コイルの冷却方法の変形例の構成を示す図である。
【図16】第2の実施形態の固定子80の構成を示す図である。
【図17】コイルユニット83の構成を示す図である(A〜D)。
【図18】コイルユニット63とコイルユニット83との位置関係を示すための図である。
【図19】コイル対64及びコイル対84に働く力を説明するための図である(A、B)。
【図20】コイル対64及びコイル対84に働く力の合力を説明するための図である(A、B)。
【図21】永久磁石及び電機子コイルの配列の変形を説明するための図である。
【符号の説明】
19 ステージ制御系(駆動制御装置の一部)
20 主制御装置(駆動制御装置の一部)
21 ベース
50 平面型モータ
51 可動子
52 平板状発磁体
53 強磁性体部材(第1磁性体部材)
54 永久磁石
60 固定子
61 平板状コイル群
62 強磁性体部材(第2磁性体部材)
63 コイルユニット(第1コイルユニット)
64 コイル対(第1コイル対)
64a 電機子コイル(第1電機子コイル)
64b 電機子コイル(第2電機子コイル)
65 コイル対(第2コイル対)
65a 電機子コイル(第3電機子コイル)
65b 電機子コイル(第4電機子コイル)
68 平板状部材
75 ペルチェ素子(冷却装置の一部)
76 フィン部材(冷却装置の一部)
79 冷却制御機(冷媒供給装置、冷却装置の一部)
80 固定子
83 コイルユニット(第2コイルユニット)
84 コイル対(第3コイル対)
84a 電機子コイル(第5電機子コイル)
84b 電機子コイル(第6電機子コイル)
85 コイル対(第4コイル対)
85a 電機子コイル(第7電機子コイル)
85b 電機子コイル(第8電機子コイル)
W ウエハ

Claims (22)

  1. 矩形状の磁極面を有する少なくとも1つの永久磁石を含む平板状発磁体と;
    前記永久磁石の第1の磁極面の一辺の半分の長さを一辺とする矩形にほぼ内接する電流経路を有する第1電機子コイルと、前記第1電機子コイルに並べて配置され、前記第1電機子コイルとほぼ同形状を有する第2電機子コイルとから成る第1コイル対を少なくとも1つ含み、前記第1の磁極面に対向して配設された第1平板状コイル群と;
    前記電機子コイルの各々に流れる電流値及び電流方向の少なくとも一方を制御する駆動制御装置とを備え、
    前記平板状発磁体は、前記磁極面と平行な面内を前記第1平板状コイル群に対して相対移動する平面型モータ。
  2. 前記永久磁石は正方形状であり、前記平板状発磁体はマトリクス状に配列され、隣接する磁極の極性が異なる複数の永久磁石を備えることを特徴とする請求項1に記載の平面型モータ。
  3. 前記平板状発磁体は、前記第1の磁極面と反対側の第2の磁極面側で、前記複数の永久磁石を支持する第1磁性体部材を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の平面型モータ。
  4. 前記第1電機子コイルの電流経路はほぼ正方形であるとともに、前記第2電機子コイルの電流経路はほぼ正方形であることを特徴とする請求項1に記載の平面型モータ。
  5. 前記第2電機子コイルは、前記第1電機子コイルの電流経路が内接する矩形の対角線方向の1つである所定方向に配置されることを特徴とする請求項1に記載の平面型モータ。
  6. 前記第1平板状コイル群は、前記所定方向に沿って配列された複数の前記第1コイル対を備えることを特徴とする請求項5に記載の平面型モータ。
  7. 前記第1コイル対を構成する前記第1電機子コイル及び前記第2電機子コイルとほぼ同形状で該第1、第2電機子コイルに異なる側でそれぞれ隣接し、前記第1の磁極面に対向して配置された第3電機子コイルと第4電機子コイルとから成る第2コイル対を更に備え、
    前記第1コイル対と前記第2コイル対とによって、前記第1の磁極面とほぼ重なる外形を有し、前記第1平板状コイル群を構成する第1コイルユニットが形成されていることを特徴とする請求項5に記載の平面型モータ。
  8. 前記第1平板状コイル群は、マトリクス状に配列された複数の前記第1コイルユニットを備えることを特徴とする請求項7記載の平面型モータ。
  9. 前記第1平板状コイル群について前記平板状発磁体側とは反対側に、前記第1平板状コイル群とほぼ平行に配設され、前記永久磁石の第1の磁極面の一辺の半分の長さを一辺とする矩形にほぼ内接する電流経路を有する第5電機子コイルと、該第5電機子コイルと前記所定方向に並べて配置され、前記第5電機子コイルとほぼ同形状を有する第6電機子コイルとから成る第3コイル対を少なくとも1つ含む第2平板状コイル群を更に備え、
    前記第1平板状コイル群と前記第2平板状コイル群とは、各電機子コイルに流れる電流の位相を同じにした際に、前記第1平板状コイル群に発生する力の位相と前記第2平板状コイル群に発生する力の位相とがずれるように配置されることを特徴とする請求項5に記載の平面型モータ。
  10. 前記第3コイル対を構成する前記第5電機子コイル及び前記第6電機子コイルとほぼ同形状で該第5、第6電機子コイルに異なる側でそれぞれ隣接し、前記第1平板状コイル群に対向して配置された第7電機子コイルと第8電機子コイルとから成る第4コイル対を更に備え、
    前記第3コイル対と前記第4コイル対とによって、前記第1の磁極面とほぼ重なる外形を有し、前記第2平板状コイル群を構成する第2コイルユニットが形成されていることを特徴とする請求項9に記載の平面型モータ。
  11. 前記第2平板状コイル群は、マトリクス状に配列された複数の前記第2コイルユニットを備えることを特徴とする請求項10記載の平面型モータ。
  12. 前記駆動制御装置は、選択された前記第1コイル対には第1駆動信号を供給し、選択された前記第2コイル対には第2駆動信号し、選択された第3コイル対には、前記第1駆動信号とは位相の異なる第3駆動信号を供給し、選択された第4コイル対には、前記第2駆動信号とは位相の異なる第4駆動信号を供給することを特徴とする請求項10に記載の平面型モータ。
  13. 前記電機子コイルを前記平板状発磁体側とは反対側で支持する第2磁性体部材を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の平面型モータ。
  14. 前記平板状発磁体と前記第1平板状コイル群との間に配置され、非磁性体から成る平板状部材を更に備えるとともに、
    前記平板状発磁体は、前記第1磁極面側に複数の空気吹出し口を有することを特徴とする請求項1に記載の平面型モータ。
  15. 前記電機子コイルを冷却する冷却装置を更に備える請求項1に記載の平面型モータ。
  16. 前記冷却装置は、前記電機子コイルがその一方の面に配置された第2磁性体部材と、前記電機子コイルの前記第2磁性体部材と反対側に配置された、非磁性体から成る平板状部材との間の空間に冷媒を供給する冷媒供給装置を備える請求項15に記載の平面型モータ。
  17. 前記電機子コイルは、樹脂剤によって前記第2磁性体部材に固定されることを特徴とする請求項16に記載の平面型モータ。
  18. 前記冷却装置は、前記電機子コイルと該電機子コイルを前記平板状発磁体側とは反対側で支持する第2磁性体部材との間に配設された複数のペルチェ素子を備える請求項15に記載の平面型モータ。
  19. 請求項1〜18のいずれかに記載の平面型モータと;
    前記平板状発生磁体及び前記第1平板状コイル群の一方と一体的に移動する移動体とを備えるステージ装置。
  20. 第1物体に形成されたパターンを第2物体に転写する露光装置において、請求項19に記載のステージ装置を、前記第1物体及び前記第2物体の少なくとも一方の位置決めをする位置決め装置として具備することを特徴とする露光装置。
  21. 矩形状の磁極面を有する少なくとも1つの磁石を含む平板状発磁体と;
    前記磁石の磁極面に対向して配置され、前記磁石の磁極面の面積内に入る、前記磁石の磁極面の一辺の半分の長さを一辺とする矩形の一対の電機子コイルで構成されるコイル対と;
    前記コイル対の各々に流れる電流値及び電流方向の少なくとも一方を制御する駆動制御装置とを備え、
    前記コイル対の各々に流れる電流値及び電流方向の少なくとも一方を制御することによって前記コイル対と前記磁石との間に発生するローレンツ電磁力の合力により、平板状発磁体は、前記磁極面と平行な面内を前記コイル対に対して相対移動することを特徴とする平面型モータ。
  22. 前記平板状発磁体を構成する前記少なくとも1つの磁石は、永久磁石又は電磁石、あるいは永久磁石及び電磁石の任意の組み合わせであることを特徴する請求項21に記載の平面型モータ。
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