JP4041643B2 - 粥用調味料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粥用調味料に関する。更に詳しくは、粥を摂食するときに用いる調味料であって、粘度安定剤および粘度付与剤の添加によって適度な粘度が付与された粥用調味料に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまで、粥の摂食時に使用する調味料としては、練り梅、海苔つくだ煮のような高粘度のペースト状タイプか、ふりかけのような乾燥タイプのものが使われている。しかし、これらは粘度が高すぎることや、乾燥具材が粥になじみにくいこと等のために粥に良く分散しないという問題があった。
また、中華粥等では、ハチミツが使用されることがあるが、粥上での静止性(粥表層部への残留性)が悪く、外観的に良くなかった。
その他、粥のトッピングとして、ドライフルーツ、氷砂糖、黒砂糖、ごま、香菜、きな粉、バター、ジャム等が、また付け合わせのおかずとしては、腐乳、ピータン、梅干し、つくだ煮等が用いられている。
しかし、これまでは、本発明の調味料のように、粥の摂食時に使用するものであって、粥用に適した液状の粘性調味料は存在しなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、上記のような粥用調味料の現状を考慮し、摂食時に粥に加えたとき、粥上の一定の位置、特に表層部で静止することができ、流れ落ちたり、内部に浸透してしまうことがなく、かつ軽くかき混ぜるだけで、粥と自然に混ざるような特性を持った粥用液状粘性調味料の開発を目的として研究を行った。すなわち、予め調味料で調味された完成品の味付け粥(特開昭56−17888号公報)ではなく、粥の摂食時に少量を添加して粥を美味しく食べられるようにする液状粘性調味料の開発が本発明の目的とするところである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、砂糖、醤油、塩、みりん、だし等の基本調味料を使用して作製した調味液に、粘度安定剤としてキサンタンガムを、粘度付与剤としてワキシーコンスターチ加工澱粉を添加して適度な粘性が付与された調味料、具体的には最終的に1000〜7500cp、好ましくは1500〜5000cpの粘度を有するように調味料を調製したところ、かかる調味料が上記目的に適合する粥用の液状粘性調味料であることが分かった。
本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
【0005】
請求項1記載の本発明は、粥の摂食時に粥上に戴置する調味料であって、調味液に、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナンもしくはそれらの加工物の少なくとも一つから選ばれた粘度安定剤およびコーン、タピオカ、馬鈴薯、甘薯、小麦、米、くず粉から得られた澱粉もしくはそれらの加工澱粉の少なくとも一つから選ばれた粘度付与剤を添加してなる粘度が1000cp以上乃至7500cp以下である粥用調味料である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に係る調味料は、調味液に粘度安定剤および粘度付与剤を添加することによって、適切な粘性を付与した液状調味料である。
調味液は、基本的な調味料である砂糖、醤油、食塩、みりん、だし等の中から適宜選択し、配合することによって得られる。なお、所望により、香料、食用色素などの常用の成分を適宜加えることができる。
粘度安定剤としては、粘度を安定させるものでよく、例えばキサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン等が用いられ、さらにこれらの加工物も使用でき、これらの1種あるいは2種以上を組み合わせて用いる。
また、粘度付与剤としては、粘度を付与するものでよく、例えばコーン、タピオカ、馬鈴薯、甘薯、小麦、米、くず粉などがあり、これらから得られた澱粉、例えばコンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉等の他にそれらの加工澱粉があり、これらの1種あるいは2種以上を組み合わせて用いる。
【0007】
本発明に係る調味料は、調味液1000重量部に対して粘度安定剤を0.1〜10.0重量部、粘度付与剤を0.1〜40.0重量部添加することにより、最終的に1000〜7500cp、好ましくは1500〜5000cpの粘度を有するように調製する。
なお、粥を摂食する際に、本発明に係る調味料の他に、例えば練り梅、海苔のつくだ煮、乾燥ふりかけ、野菜のペースト状物やカット品、畜肉製品、魚介類等を適宜加えることは、一般健常人に対しては何ら制約はない。しかし、お年寄りや乳幼児のように咀嚼能力や嚥下能力にハンディキャップのある人や病人などのように臨床症状により食事制限が必要な人などにあっては、栄養士や医師の指示に従って、その状態や症状などに応じて素材、サイズ、性状などを選択する必要がある。
【0008】
このようにして得た調味料は、粥の摂食時に使用される。すなわち、容器に盛り付けた粥の上に適量の調味料を加えると、該調味料は粥上の一定の位置で静止し、流れ落ちたり、内部に浸透してしまうことがない。そのため、粥上に調味料自体やその添加物に起因する色彩が賦与された状態となり、美しい外観を呈する。しかも、摂食の際に軽くかき混ぜるだけで、調味料は粥と自然に混ざり合う。
【0009】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により詳しく説明する。
実施例1
本発明に係る粥用調味料(組成:キサンタンガム2重量部、ワキシーコーンスターチ加工澱粉30重量部、砂糖100重量部、醤油30重量部、食塩20重量部、みりん150重量部、残りを水で調整し合計1000重量部としたもの;なお、キサンタンガムは商品名:エコーガム、大日本製薬 (株)製を、ワキシーコーンスターチ加工澱粉は商品名:日食ネオビスC−10、日本食品化工(株)製を用いた。)と市販調味料のそれぞれについて粘度を測定すると共に、これら調味料を粥上に加えたときの静止性、粥へのなじみ易さを官能検査により評価した。結果を第1表に示す。
粘度の測定には、(株)東京計器製のB型粘度計を使用した。回転数は30回転/分に設定し、No.1〜4のローターをサンプルに合わせて適宜使用して調味料の粘度測定を行った。測定時のサンプルの品温は摂食時の平均的な調味料温度の50℃に設定した。
静止性の評価は、粥250g上に、各調味料を10g添加して1分間放置後の粥上での静止性を目視判定することによって実施した。なお、評価は経験豊富な20名のパネラーにより下記の基準で行い、平均値を求めた。
◎:流れ落ちずに完全に静止する、○:ほぼ静止する、△:やや流れる、×:流れ落ちてしまう
なじみ易さの評価は、粥250g上に各調味料を10g添加し、実験用シュパーテルを用いて1秒間に1回転のスピードで10回攪拌したときの各調味料の粥への分散の程度を、各調味液由来の色彩が粥と混ざり粥の着色分布が均一であるかどうかを目視判定することによって行った。なお、評価は経験豊富な20名のパネラーにより下記の基準で行い、平均値を求めた。
◎:完全に均一に分散する、○:ほぼ均一に分散する、△:やや分散が悪い、×:非常に分散が悪い
【0010】
【表1】
第 1 表
Figure 0004041643
【0011】
表から明らかな通り、市販品であるねり梅や海苔のつくだ煮等の高粘度製品は静止性が良いが、粥へのなじみが悪い。また、ハチミツはなじみ易さはほぼ良好であるが、静止性に劣っている。これに対して、本発明に係る調味料は、静止性となじみ易さの両方において優れており、総合評価が良好である。
【0012】
実施例2
粘度調整をした各種調味料を作製し、それぞれの粘度における粥上での静止性、粥へのなじみ易さを評価した。粘度の測定方法や官能検査による評価方法は実施例1と同じである。得られた結果を第2表に示した。
調味料の作製は、砂糖100重量部、醤油30重量部、食塩20重量部、みりん15重量部からなる調味液に、キサンタンガム(商品名:エコーガム、大日本製薬 (株)製)2重量部、ワキシーコーンスターチ加工澱粉(商品名:日食ネオビスC−10、日本食品化工(株)製)0〜50重量部加え、残りを水で調整して合計量が1000重量部となるように実施した。
この調味料について、実施例1と同様にして粘度測定、静止性、なじみ易さについて評価した。
【0013】
【表2】
第 2 表
Figure 0004041643
【0014】
第2表から明らかなように、静止性については、No.1〜3の低粘度域の調味料は粥上から流れ落ちてしまい良くなかったが、No.5以降のものは、粘度が高くなるにつれて良好であった。また、なじみ易さについては、No.3〜9の調味料、特にNo.6、7の調味料が良好であった。しかし、低粘度域、特にNo.1、2の調味料は澱粉濃度が低く、粥の澱粉質となじみにくく、分散性に劣っていた。これらの調味料のなじみ易さが劣っている原因としては、静止性が悪いことも一因と考えられる。一方、高粘度域、特にNo.10、11の調味料は、かき混ぜたときに調味料と粥とが分散しにくく、なじみにくかった。
以上の結果から総合的に評価すると、粥上での静止性が良く、外観が良好で、しかも粥になじみ易くなる為に必要な調味料の粘度は、1000〜7500cp、好ましくは1500〜5000cpであることが分かる。
【0015】
実施例3
下記の第3表に記載した処方に従って粘度調整した各種調味料を作製し、それぞれについて粥上での静止性、粥へのなじみ易さの評価およびそれらの総合評価を行った。得られた結果を第4表に示す。
なお、本実施例においては、キサンタンガムは商品名:エコーガム、大日本製薬 (株)製を用い、タピオカ加工澱粉は商品名:ばら(アセチル化架橋澱粉)、松谷化学(株)製を用いた。
【0016】
【表3】
第 3 表
Figure 0004041643
【0017】
【表4】
第 4 表
Figure 0004041643
【0018】
実施例4
下記の第5表に記載した処方に従って粘度調整した各種調味料を作製し、それぞれについて粥上での静止性、粥へのなじみ易さの評価およびそれらの総合評価を行った。なお、この実施例では、タマリンドガムとして商品名:グリロイド3S、大日本製薬 (株)製をい、ワキシーコーンスターチ加工澱粉は、商品名:日食ネオビスC−10、日本食品化工(株)製を、タピオカ加工澱粉は商品名:ばら(アセチル化架橋澱粉)、松谷化学(株)製を、馬鈴薯加工澱粉は商品名:ファリネックスVA70、松谷化学(株)製を、それぞれ用いた。
【0019】
【表5】
第 5 表
Figure 0004041643
【0020】
【表6】
第 6 表
Figure 0004041643
【0021】
第6表より明らかなように、調味料の粘度を本発明で特定している範囲内にしたものは、総合的に優れているとの評価が得られた。
【0022】
【発明の効果】
本発明の粥用調味料は、粘度が1000cp以上乃至7500cp以下となるように調製されているため、粥の摂食時に粥上に載置したとき、粥上の一定の位置で静止し、流れ落ちたり、内部に浸透してしまうことがなく、かつ摂食時に軽くかき混ぜるだけで粥と自然に混ざるような特性を持っている。このような効果は、摂食時の粥が低温、常温および加温されたもののいずれであっても奏することができる。
【0023】
本発明の粥用調味料は、粥への馴染みがよいため、粥を常食とすることが多い人に対しても、食事のバラエティー増加、食欲増進、栄養吸収率アップなどの効果を期待することができる。

Claims (1)

  1. 粥の摂食時に粥上に戴置する調味料であって、調味液に、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナンもしくはそれらの加工物の少なくとも一つから選ばれた粘度安定剤およびコーン、タピオカ、馬鈴薯、甘薯、小麦、米、くず粉から得られた澱粉もしくはそれらの加工澱粉の少なくとも一つから選ばれた粘度付与剤を添加してなる粘度が1000cp以上乃至7500cp以下である粥用調味料。
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