JP4041256B2 - 基板チャック装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、IC,LSI等の半導体デバイス、液晶ディスプレイ装置などを製造する工程でこれらの基板を真空吸着保持する基板チャック装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスや液晶ディスプレイデバイスなどの製造工程では、基板を基板チャック装置で真空吸着保持して各種の処理を施している。特にパターン付きウェハ基板の場合、これらの製造工程の影響で基板自体に反りが発生することが知られている。最近は、プロセスの変化やウェハの大口径化が影響して、ウェハ基板の反りの量が規定値の0.1mm以上になるものが現れるようになった。
【0003】
図1は従来の基板チャック装置の概略構成の断面構造を示す図である。図1(A)は反り量が規定値の0.1mm未満のウェハ基板30が基板チャック装置上に搭載された状態を、図1(B)は反り量がこの規定値よりも十分に大きいウェハ基板32が基板チャック装置上に搭載された状態を、図1(C)はウェハ基板30が基板チャック装置に吸着保持された状態をそれぞれ示す。
【0004】
基板チャック装置10は、円板状のチャック本体12と、このチャック本体12の外周に沿って設けられたリング状のリム14と、このリム14の内側に設けられた無数の円柱状の突起ピン(図示せず)と、チャック本体12、リム14及びウェハ基板30によって形成される密閉空間を真空にするための真空経路16とを含んで構成される。リム14は、ウェハ基板30の外周形状と同等又はそれよりも若干小さな形状をしている。また、図示していない突起ピンは、チャック本体12上におけるウェハ基板30の平面度を維持するものであり、リム14内のチャック本体12上に2〜4mm間隔で無数に配置された、リム14と同じ高さの円柱状のピンで構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図1に示すような従来の基板チャック装置に、反りの量が規定値の0.1mm未満のウェハ基板を搭載した場合、図1(A)に示すように、リム14付近ではウェハ基板30とリム14との間隔がほぼ0.1mm未満になる。この状態で真空経路16から空気を吸引することによって、ウェハ基板30はリム14に密着し、チャック本体12とリム14とウェハ基板30とによって密閉空間が形成される。さらに、この密閉空間が真空状態になることによって、ウェハ基板30全域が基板チャック装置10に均等な吸着力で保持されるようになる。
【0006】
ところが、図1(B)に示すように、ウェハ基板32のように反りの量が規定値の0.1mmよりも十分に大きいものを搭載した場合、リム14付近ではウェハ基板32とリム14との間隔が0.1mmよりも十分大きくなるため、真空経路16から空気を吸引しても、リム14とウェハ基板32との間の間隙部分から空気がリークするために、ウェハ基板32とリム14とが密着しなくなり、図1(B)のようにウェハ基板32は反ったままで基板チャック装置10に吸着されないという問題があった。
【0007】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、反りが十分に大きな基板であっても真空吸着保持することのできる基板チャック装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された基板チャック装置は、基板を吸着保持するチャック本体と、前記基板の形状に従って前記チャック本体に設けられた第1のリムと、前記第1のリムの内側に設けられた第2のリムと、前記基板と前記チャック本体と前記第2のリムとによって形成される第1の空間を吸気する吸気経路と、前記基板と前記チャック本体と前記第1のリムと前記第2のリムとによって形成される第2の空間と前記第1の空間とを接続するオリフィスとを含んで構成されるものである。
【0009】
ウェハ基板の反りは、図1(B)からも明らかなように、基板の中心から外周に向かうほど大きくなっている。すなわち、基板の中心付近の反り量は小さい。このことは、第1のリム付近における基板の反り量が規定値以上であったとしても、基板中心付近の反り量、すなわち第2リム付近における反り量は規定値未満であることを意味する。そこで、吸気経路を介して、第1の空間から吸気を行うことによって、基板は第2のリムに接触し、第1の空間が徐々に真空状態になる。基板が第2のリムに接触することによって、第1のリム付近における基板の反り量は減少し、規定値未満となる。そして、第1の空間が真空状態になると、今度はオリフィスを介して第2の空間の吸気が行われるようになり、基板と第1のリムとが接触するようになる。そして、第1及び第2の空間が真空状態となり、ウェハ基板31全域が基板チャック装置1に均等な吸着力で保持されるようになる。
【0010】
請求項2に記載された基板チャック装置は、請求項1において、前記オリフィスが前記第2のリム近傍の前記チャック本体側に設けられているものである。オリフィスは第1の空間と第2の空間との間を接続するものなので、どこに設けてもよいように思えるが、第1の空間側に設けられるオリフィスは、第1の空間を効率的に真空状態にするために、真空経路から最も遠い場所に設けることが望ましい。同様に、第2の空間側に設けられるオリフィスは、第2の空間を効率的に真空状態にするために、真空経路に最も近い(第1のリムから最も遠い)場所に設けることが望ましい。従って、第2のリム近傍にオリフィスを設けることが最も効率的に第1及び第2の空間を真空状態にすることができる。
請求項3に記載された基板チャック装置は、請求項1において、前記第1のリムと前記第2のリムとが相似形で構成されているものである。第1のリムは、基板の形状に従ってチャック本体に設けられているので、その形状は基板に依存するが、第2のリムは基板の内側に設けられるので、その形状は任意である。従って、相似形の方が好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を添付図面に従って説明する。図2は本発明に係る基板チャック装置の概略構成を示す図であり、図2(A)は基板チャック装置を上面から見た図であり、図2(B)は図2(A)のA−A面の断面図である。この実施の形態に係る基板チャック装置1は、円板状のチャック本体2と、このチャック本体2の外周に沿って設けられたリング状の外側リム4と、この外側リム4の内側に設けられたリング状の内側リム3と、チャック本体2、内側リム3及びウェハ基板(図示せず)によって形成される内側密閉空間7を真空にするための真空経路6と、内側密閉空間7とチャック本体2、外側リム4及びウェハ基板(図示せず)によって形成される外側密閉空間8とを接続するオリフィス51〜54とを含んで構成される。オリフィス51とオリフィス53、オリフィス52とオリフィス54は、チャック本体2内部にそれぞれ形成されたオリフィス接続路55,56を介して接続されている。なお、外側リム4と内側リム3との間、内側リム3と真空経路6との間には、ウェハ基板30の平面度を維持するための円柱状の突起ピン(図示せず)が2〜4mm間隔で無数設けられている。また、外側リム4は、ウェハ基板30の外周形状と同等又はそれよりも若干小さな形状をしている。
【0012】
図2に示す基板チャック装置1がどのようにして、反りの大きい基板を吸着するのか、その動作例を図3を用いて説明する。図3は、反り量が規定値の0.1mmよりも十分に大きいウェハ基板31が搭載され、それがどのようにして吸着保持されるのかを示す図である。まず、最初に、反り量が規定値0.1mmよりも大きいウェハ基板31が搭載されると、図1(B)に示す場合と同様に外側リム4付近ではウェハ基板31と外側リム4との間隔が0.1mmよりも十分大きくなる。しかしながら、この状態の場合に、内側リム3とウェハ基板31の下面との間隔は0.1mm以下になっているので、真空経路6を介して空気の吸引を行うと、内側リム3とウェハ基板31が接触し、チャック本体2、内側リム3及びウェハ基板31によって内側密閉空間7が形成される。真空経路6を介して空気の吸引が継続して行われると、この内側密閉空間7が真空状態になる。
【0013】
このとき、内側リム3とウェハ基板31が接触することによって、ウェハ基板31と外側リム4との間隔は規定値0.1mm以下になる。この状態で、引き続き真空経路6を介して空気の吸引が行われると、オリフィス51、オリフィス接続路55及びオリフィス53、並びにオリフィス52、オリフィス接続路56及びオリフィス54をそれぞれ介して外側密閉空間8内の空気が内側密閉空間7を介して真空経路6から吸引されるようになる。このとき、ウェハ基板31と外側リム4との間隔は規定値0.1mm以下になっているので、ウェハ基板31は外側リム4に容易に吸着するようになる。そして、外側密閉空間8内も徐々に真空状態となる。外側密閉空間8と内側密閉空間7の両方が真空状態になることによって、ウェハ基板31全域が基板チャック装置1に均等な吸着力で保持されるようになる。
【0014】
なお、上述の実施の形態では、内側リム3が一つの場合について説明したが、基板の口径が大きい場合には、内側リムを複数設けてもよい。また、外側密閉空間8と内側密閉空間7を接続するオリフィスを2箇所に設ける場合について説明したが、これに限らず、1又は3箇所以上設けてもよい。チャック本体の形状が円板状の場合を説明したが、これ以外の四角形や楕円形など基板の形状に合わせて適宜変形可能なことはいうまでもない。また、内側リムと外側リムの形状が相似形の場合について説明したが、これも任意であり、両方の形状が異なっていてもよい。すなわち、反りの方向が基板の方向で異なる場合には、第2のリムの形状を楕円形状とし、反りの大きい方向と短軸方向、反りの小さい方向と長軸方向が一致するようにウェハ基板を設置して、吸着保持するようにしてもよい。
【0015】
【発明の効果】
本発明の基板チャック装置によれば、真空吸着保持可能な規定値よりも大きな反りの基板でも確実に真空吸着保持することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の基板チャック装置の概略構成を示す図である。
【図2】 本発明に係る基板チャック装置の概略構成を示す図である。
【図3】 反り量が規定値よりも十分に大きいウェハ基板が搭載され、それがどのようにして吸着保持されるのかを示す図である。
【符号の説明】
1…基板チャック装置、2…チャック本体、3…内側リム、4…外側リム、51〜54…オリフィス、6…真空経路、7…内側密閉空間、8…外側密閉空間
Claims (4)
- 基板を吸着保持するチャック本体と、
前記基板の形状に対応させて前記チャック本体に設けられた外側リムと、
前記チャック本体の前記外側リムの内側に設けられた内側リムと、
前記基板と前記チャック本体と前記内側リムとによって形成される内側空間を吸気する吸気経路と、
前記基板と前記チャック本体と前記外側リムと前記内側リムとによって形成される外側空間における前記内側リムの近傍と前記内側空間における前記内側リムの近傍とを接続するオリフィスとを有し、
前記外側空間が、前記吸気経路によって吸気される前記内側空間よりも前記オリフィスを介して遅れて吸気されるように構成することを特徴とする基板チャック装置。 - 請求項1に記載の基板チャック装置において、
前記チャック本体に設けられた前記外側リムと前記内側リムとが相似形で構成されていることを特徴とする基板チャック装置。 - 請求項1又は2に記載の基板チャック装置において、
前記内側リムに対する前記基板の反り量が0.1mm以下の状態で前記内側空間を吸気して前記基板を前記内側リムに接触させた際、前記外側リムに対する前記基板の反り量が0.1mm以下になるように前記内側リムと前記外側リムとを配置して構成することを特徴とする基板チャック装置。 - 請求項1又は2又は3に記載の基板チャック装置において、
前記チャック本体上の前記内側リムの内側及び前記内側リムと前記外側リムとの間には、前記内側リム及び前記外側リムと同じ高さの多数のピンが配置されていることを特徴とする基板チャック装置。
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