JP4040744B2 - 椅子の座板の取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブロー成形によって形成されたシェルの座部に、クッション体を含む座板を取り付ける椅子の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の椅子の構造の代表的なものとして、実開平4-86446号公報記載の椅子が公知である。同公報に記載の椅子は、中空成形されたシェルが用いられ、シェルによって椅子の背もたれ部と座部とが一体化されている。シェルの座部には、クッション体を有する座板が、シェルに穿設された止め穴を利用して、金属製の止め具によって取り付けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記実開平4-86446号公報記載の椅子の場合、クッション体に、水平方向に力がかかると、クッション体がシェルからはずれやすく、また、シェルが歪みやすいという問題がある。
【0004】
また、シェルの上面のみにクッション体取付用の穴を穿設しているために、留め具等の部品を、この穴からシェルの内部に落としてしまう虞もあり、椅子の製造組立時に手間がかかるという問題もある。
【0005】
本発明は、従来の技術が有する上述のような問題点に鑑みてなされたもので、ブロー成形によって、背もたれ部と座部とが一体化されたシェルを有する椅子において、シェルの強度を向上させるとともに、クッション体がシェルの座部からはずれにくく、使い勝手のよい椅子の座板の取付構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、次のようにして上記課題を解決している。
(1) 上部シェルと下部シェルとからなる座部を有するシェルをブロー成形し、このシェルの座部に、クッション体及び表皮材を有する座板を取り付けてなる椅子において、前記シェルの座部を複数箇所で、当該箇所の上部シェル及び下部シェルを下方及び上方に向けて互いに凹入させることによって、両者を当接又は一体化させて、ねじ挿通孔を有するねじ取付部を形成し、前記座板における前記シェルのねじ取付部と対応する箇所に、下向きのねじ受け部を突設し、このねじ受け部をねじ取付部に嵌合させた状態で、前記シェルの座部下方から取付ねじをねじ取付部のねじ挿通孔に挿通してねじ受け部に螺合させることにより、前記座板を前記シェルの座部に取り付ける。
【0007】
(2) 上記(1) 項において、座板に位置決め用突起を形成するとともに、シェルに、前記位置決め用突起が嵌合する凹部を形成する。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら説明する。
【0009】
図1は、本実施形態の取付構造が適用された椅子の分解斜視図である。この椅子は、シェル(10)と、シェル(10)の上面に取り付けられる座板(12)等とをもって構成されている。
【0010】
シェル(10)は、座部(14)と背もたれ部(16)とからなり、これらの座部(14)及び背もたれ部(16)は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂をブロー成形することによって、一体的に形成されている。シェル(10)の座部(14)には、表面にクッション体(18)及び表皮材(20)を具備する座板(12)が、4本の取付ねじ(22)によって、後述する方法で取り付けられる。
【0011】
図2は、シェル(10)の平面図である。シェル(10)の外周部に沿った適所には、座板(12)をシェル(10)に取り付けるためのねじ取付部(24)が、後述する要領で合計4箇所形成されている。
【0012】
図3は、図2のIII-III線に沿った断面図である。シェル(10)の座部(14)は、ブロー成形によって一体的に形成された上部シェル(14a)及び下部シェル(14b)からなっている。ねじ取付部(24)は、上部シェル(14a)及び下部シェル(14b)の前記4箇所の部分を、ブロー成形時に、それぞれ下方及び上方に凹入成形して、この凹入成形された部分同士を、互いに圧接又は一体化することによって形成されている。これらのねじ取付部(24)には、図1で示した取付ねじ(22)用のねじ挿通孔(24a)が穿設されている。
【0013】
図4は、座板(12)の平面図、図5は、図4のV-V線に沿った断面図である。図4及び図5に示すように、座板(12)には、ほぼ中央後寄りの部分に平面視十字形の位置決め用突起(26)が突設されている。一方、座部(14)の上面の位置決め用突起(26)と対応する位置には、凹部(28)が形成されている。
【0014】
このため、組み立ての際に、位置決め用突起(26)を、図1に示す座部(14)に形成された凹部(28)に嵌合させながら、座板(12)をシェル(10)に載置することによって、座板(12)はシェル(10)に対して位置決めされ、椅子の組み立てを容易に行うことができる。
【0015】
図4及び図5に示すように、座板(12)の下面には、取付ねじ(22)が螺合するねじ受け部(30)が、4箇所突設されている。これらのねじ受け部(30)は、図3に示すねじ取付部(24)と嵌合して、シェル(10)の座部(14)の下方から取付部(24)に挿通された取付ねじ(22)によってねじ止めされるようになっている。
【0016】
次に、本実施形態の座板の取付構造を適用した椅子の組立順序について説明する。
【0017】
図6は、組み立てられた状態の椅子を示す側断面図である。まず、予め、座板(12)に、クッション体(18)及び表装材(20)を取り付ける。
【0018】
次いで、座板(12)のねじ受け部(30)をシェル(10)のねじ取付部(24)に嵌合させながら、シェル(10)に載置する。このとき、位置決め用突起(26)がシェル(10)の凹部(28)に嵌合するため、座板(12)のシェル(10)に対する前後左右の位置決めは容易に行われる。
【0019】
この状態で、シェル(10)の各ねじ取付部(24)の下方から、ねじ(22)を挿通してねじ受け部(30)に螺合させ、シェル(10)に座板(12)を固定する。そして、脚部(32)にシェル(10)を、ボルト及びナット(34)を溶接した取付金具によって取り付ける。その結果、座板(12)は、図6に示すように取り付けられる。
【0020】
このように、本実施形態によれば、シェル(10)の上部シェル(14a)及び下部シェル(14b)を、互いに凹入成形することにより、両者を圧接若しくは一体化させて、ねじ取付部(24)を形成し、このねじ取付部(24)からねじ(22)を挿通して、ねじ受け部(30)に螺合させることによって、座板(12)を固定している。このため、従来の椅子の問題点であるクッション体(18)の横ずれ、取付金具のシェル(10)内部への落下等を防止することができ、座板(12)を確実にシェル(10)に固定することが可能となる。
【0021】
また、シェル(10)を凹入成形しているので、シェル(10)の肉厚を厚くすることなく、シェル(10)の強度及び剛性を向上させることができる。そのため、シェル(10)の製造に必要な材料を減らすことができ、椅子の製造コストを低減することが可能となる。
【0022】
本実施形態では、座部(14)と背もたれ部(16)とが一体成形された椅子に、本発明の取付構造を適用した場合について説明したが、本発明は、これに限らず、座部(14)と背もたれ部(16)とが分離されている椅子、或いは、座部(14)のみを有する椅子にも適用可能である。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(a) 請求項1の発明によると、シェルの強度及び剛性を向上させることができるので、耐久性の高い椅子を提供できる。
【0024】
(b) 請求項2の発明によると、座板に位置決め用突起を形成し、シェルに形成した凹部に、この位置決め用突起を嵌合させた状態で、シェルに座板を取り付けるようにしているため、組立時に、座板のシェルに対する位置決めを容易に行うことができ、椅子の組立作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の取付構造が適用された椅子の要部を示す分解斜視図である。
【図2】 本実施形態の椅子に使用されるシェルの平面図である。
【図3】 図2のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】 本実施形態の椅子の座板の平面図である。
【図5】 図4のV−V線に沿った断面図である。
【図6】 本実施形態の取付構造により、組み立てられた椅子を示す側断面図である。
【符号の説明】
(10)シェル
(12)座板
(14)座部
(16)背もたれ部
(18)クッション体
(20)表皮材
(22)ねじ
(24)ねじ取付部
(24a)ねじ挿通孔
(26)位置決め用突起
(28)凹部
(30)ねじ受け部
(32)脚部
(34)ボルト及びナット
Claims (2)
- 上部シェルと下部シェルとからなる座部を有するシェルをブロー成形し、このシェルの座部に、クッション体及び表皮材を有する座板を取り付けてなる椅子において、
前記シェルの座部を複数箇所で、当該箇所の上部シェル及び下部シェルを下方及び上方に向けて互いに凹入させることによって、両者を当接又は一体化させて、ねじ挿通孔を有するねじ取付部を形成し、前記座板における前記シェルのねじ取付部と対応する箇所に、下向きのねじ受け部を突設し、このねじ受け部をねじ取付部に嵌合させた状態で、前記シェルの座部下方から取付ねじをねじ取付部のねじ挿通孔に挿通してねじ受け部に螺合させることにより、前記座板を前記シェルの座部に取り付けてなることを特徴とする椅子の座板の取付構造。 - 座板に位置決め用突起を形成するとともに、シェルに、前記位置決め用突起が嵌合する凹部を形成してなることを特徴とする請求項1記載の椅子の座板の取付構造。
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