JP4119226B2 - 椅子における背凭れ等の取付構造 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、椅子における背凭れ、座または肘掛け等の基板を、支杆に取り付けるための取付装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属パイプの支杆に背凭れを取り付けるパイプ椅子等においては、背凭れを合成樹脂製のものとし、両脇にパイプ支杆を挿入する嵌合部を形成したものが知られている(例えば特許文献1および2参照)。
【0003】
【特許文献】
実公昭42−16757号公報(第2欄、第1〜3図)。
【特許文献】
実公平2−3329号公報(第3欄、第1〜3図)。
【0004】
このような従来構造は、背凭れを強固かつ簡単に取り付けられるので有利ではあるが、デザイン上の要求や背凭れのクッション性能上の要求から、パイプ支杆に木製の基板を取り付けて、その前面にクッションとなるパッド材を取り付ける旧来の構造を選択したいとの要求もある。このような場合、パイプ支杆と基板との取付部がどうしても見苦しくなり、デザイン上不利となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、椅子の背凭れ等を、金属パイプ製の管状支杆に体裁良くかつ強固に取り付けることができるとともに、基板へのパッド材の取付をも考慮した椅子における背凭れ等の取付構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
背凭れ等の基板の裏面に、管状支杆を支着した椅子における背凭れ等の取付構造において、
前記基板と管状支杆との間に前記管状支杆の上端を覆う上部カバー部と、該上部カバー部の前部から垂下して前記基板と管状支杆との隙間を閉塞する下部カバー部とを備えるカバー部材を設け、かつ上部カバー部の下面に、管状支杆の上端開口部に嵌合する嵌合部を設ける。
【0007】
(2) 背凭れ等の基板の裏面に、管状支杆を支着した椅子における背凭れ等の取付構造において、
前記基板と管状支杆との間に前記管状支杆の上端を覆う上部カバー部と、該上部カバー部の前部から垂下して前記基板と管状支杆との隙間を閉塞する下部カバー部とを備えるカバー部材を設け、該カバー部材を管状支杆に対して上下昇降可能に取り付けるとともに、前記カバー部材を上昇させたときに上部カバー部と管状支杆の上端との間に露呈する下部カバー部の上部に、前記基板の表面にパッド材を取り付けるためのねじ止め作業用の作業孔を設ける。
【0008】
(3) 背凭れ等の基板の裏面に、管状支杆を支着した椅子における背凭れ等の取付構造において、
前記基板と管状支杆との間に前記管状支杆の上端を覆う上部カバー部と、該上部カバー部の前部から垂下して前記基板と管状支杆との隙間を閉塞する下部カバー部とを備えるカバー部材を設け、前記管状支杆の前面に、基板を前記管状支杆に螺着するためのねじ座を設け、かつ下部カバー部に、ねじ座が嵌合する上下方向の長孔を設ける。
【0009】
( 4 ) 上記( 1 ) 項において、カバー部材を管状支杆に対して上下昇降可能に取り付けるとともに、前記カバー部材を上昇させたときに上部カバー部と管状支杆の上端との間に露呈する下部カバー部の上部に、前記基板の表面にパッド材を取り付けるためのねじ止め作業用の作業孔を設ける。
【0010】
( 5 ) 上記( 1 ) 、 ( 2 ) または ( 4 )項において、管状支杆の前面に、基板を前記管状支杆に螺着するためのねじ座を設け、かつ下部カバー部に、ねじ座が嵌合する上下方向の長孔を設ける。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明を実施した椅子を後方から見た部分斜視図であって、座(1)の後端下部から上方に延びる金属パイプ製の2本の管状支杆(2)の上端部の前面に背凭れ(3)が取付けられている。
【0012】
この椅子においては、管状支杆(2)に対する背凭れ(3)の取付けに本発明取付構造が適用されている。その詳細を図2〜図6を参照して以下に詳述する。
【0013】
本発明の取付構造には、図2及び図3に詳細に示すカバー部材(4)を用いる。図2は、カバー部材(4)を管状支杆(2)から離した状態で、その斜め後方から見た斜視図であり、図3は、カバー部材(4)を管状支杆(2)に嵌合した状態で、その斜め前方から見た斜視図である。
【0014】
カバー部材(4)は、好適には合成樹脂材料の一体成型品とされる。
図2及び図3から分かるように、カバー部材(4)は、半球状の上部カバー部(5)と、この上部カバー部の前両側部から垂下して長く延びる下部カバー部(6)とから構成されてる。この下部カバー部(6)は、後述するように、取り付けられた状態において背凭れ(3)と管状支杆(2)の前部の丸み部分との間の隙間を閉塞する部分である。
【0015】
図3に示すように、カバー部材(4)の前面は平面状をなしており、上部カバー部(5)の前面は、全面的に穿設した大きな開口(7)を有し、下部カバー部(6)の前面には、上部から中間部にかけての中央に長孔(8)が、また、下端部の中央に下方に開口する丸孔(9)が形成されている。
【0016】
また、図2に示すように、上部カバー部(5)の円弧形の下面からは、短く下方に垂下する断面半円弧状の嵌合部(10)が一体に形成されている。この嵌合部(10)は、後述するように管状支杆(2)の上端の開口部の内部に嵌合する部分である。
【0017】
管状支杆(2)には、その上端部に2個のねじ座(11)が溶接されている。ねじ座(11)は、前述のカバー部材(4)の長孔(8)の中間と丸孔(9)とに対応する位置において管状支杆(2)の上端部に配設されている。
【0018】
管状支杆(2)に背凭れ(3)の木製の基板(12)をねじ止めした状態を示す断面図である図4に示されているように、ねじ座(11)は、雌ねじを切った円筒部(11a)とその前端に形成した鍔部(11b)とを備えている。鍔部(11b)は、管状支杆(2)の外面に接する部分で、その厚さは、カバー部材(4)の前面の長孔(8)及び丸孔(9)を穿設した部分の厚みより若干厚いものとされている。
【0019】
図4において、ねじ座(11)に螺入されているのは、基板(12)を取り付けるねじ(13)であり、基板(12)には、パッド材(15)(図6)取付用の取付孔(14)が設けられている。
【0020】
図5は、パッド材(15)の取り付けを説明する図で、木ねじ(16)がパッド材(15)を基板(12)にねじ止めする部材である。図6は、このようにして組み立てた椅子の管状支杆(2)と背凭れ(3)の基板(12)とパッド材(15)の縦断面図である。
【0021】
組立てにあたっては、まず図2に示す管状支杆(2)の上端部に、そのねじ座(11)をカバー部材(4)の長孔(8)及び丸孔(9)に差し込んだ状態で、カバー部材(4)を下方に下ろし、その嵌合部(10)を管状支杆(2)の上端に嵌め込む。このように嵌め込んだ状態が図3に示されている。
【0022】
ついで、図4に示すようにカバー部材(4)の前面に基板(12)を当て、前方より2本のねじ(13)を、ねじ孔にそれぞれ通して、管状支杆(2)のねじ座(11)に螺入させて、基板(12)を管状支杆(2)に固定する。このように固定しても、前述のようにねじ座(11)の鍔部(11b)の厚さは、カバー部材(4)の前面の長孔(8)及び丸孔(9)を穿設した部分の厚みより若干厚いので、長孔(8)の許す範囲内で、カバー部材(4)は上方に、例えば図4に点線で示す位置まで摺動的に上昇させることができる。
【0023】
図5に、このようにしてカバー部材(4)を持ち上げた状態を示している。この状態において、木ねじ(16)を、後方より、カバー部材(4)の上部カバー部(5)と管状支杆(2)の上端との間から、基板(12)に穿設された取付孔(14)を通してパッド材(15)の支持板に螺着させる。パッド材(15)は、図示はしていないがその上部がフック掛けにより基板(12)に取り付けられており、このようにその下部を基板(12)に螺着することにより、しっかりと固定される。この最終状態が図6に示されている。
【0024】
上述の実施形態では、本発明の取付構造を背凭れに適用しているが、本発明は、その向きを変えるだけで、座や肘掛けの取り付けにも同様に適用することができる。
【0025】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、管状支杆を背凭れ等の裏面に取り付けるに際して、カバー部材により、背凭れ等の裏面に対する管状支杆の側面の隙間を埋めるとともに、取付用のねじ等が露呈しないようにし、かつ管状支杆の上端を隠し、スマートな感覚を付与するとともに、取り付けを簡易に、かつ強固確実に行うことができる。
さらに、カバー部材の上部と管状支杆の上端との係合を確実なものとすることができる。
【0026】
請求項2記載の発明によれば、管状支杆を背凭れ等の裏面に取り付けるに際して、カバー部材により、背凭れ等の裏面に対する管状支杆の側面の隙間を埋めるとともに、取付用のねじ等が露呈しないようにし、かつ管状支杆の上端を隠し、スマートな感覚を付与するとともに、取り付けを簡易に、かつ強固確実に行うことができる。
さらに、パッド材の取付作業を容易に行なうことができるとともに、パッド材取付用の木ねじの頭部が露呈することがなく、デザイン上有利となる。
【0027】
請求項3記載の発明によれば、管状支杆を背凭れ等の裏面に取り付けるに際して、カバー部材により、背凭れ等の裏面に対する管状支杆の側面の隙間を埋めるとともに、取付用のねじ等が露呈しないようにし、かつ管状支杆の上端を隠し、スマートな感覚を付与するとともに、取り付けを簡易に、かつ強固確実に行うことができる。
さらに、管状支杆に取り付けた後のカバー部材の上下摺動を可能とすることができる。
【0028】
請求項4記載の発明によれば、パッド材の取付作業を容易に行なうことができるとともに、パッド材取付用の木ねじの頭部が露呈することがなく、デザイン上有利となる。
【0029】
請求項5記載の発明によれば、管状支杆に取り付けた後のカバー部材の上下摺動を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を備える椅子の上部の後方斜視図である。
【図2】 同じく、カバー部材と、これを取り付ける前の椅子の管状支杆の上部との後方斜視図である。
【図3】 同じく、管状支杆に嵌合させたカバー部材の前方斜視図である。
【図4】 同じく、背凭れの基板に取り付けた管状支杆とカバー部材の縦断側面図である。
【図5】 同じく、パッド材取り付け寸前の状態の基板、管状支杆及びカバー部材を後方から見た斜視図である。
【図6】 同じく、取り付け完了後のパッド材、基板、カバー部材及び管状支杆の縦断面図である。
【符号の説明】
(1)座
(2)管状支杆
(3)背凭れ
(4)カバー部材
(5)上部カバー部
(6)下部カバー部
(7)開口
(8)長孔
(9)丸孔
(10)嵌合部
(11)ねじ座
(11a)円筒部
(11b)鍔部
(12)基板
(13)ねじ
(14)取付孔
(15)パッド材
(16)木ねじ
Claims (5)
- 背凭れ等の基板の裏面に、管状支杆を支着した椅子における背凭れ等の取付構造において、
前記基板と管状支杆との間に前記管状支杆の上端を覆う上部カバー部と、該上部カバー部の前部から垂下して前記基板と管状支杆との隙間を閉塞する下部カバー部とを備えるカバー部材を設け、かつ上部カバー部の下面に、管状支杆の上端開口部に嵌合する嵌合部を設けたことを特徴とする椅子の背凭れ等の取付構造。 - 背凭れ等の基板の裏面に、管状支杆を支着した椅子における背凭れ等の取付構造において、
前記基板と管状支杆との間に前記管状支杆の上端を覆う上部カバー部と、該上部カバー部の前部から垂下して前記基板と管状支杆との隙間を閉塞する下部カバー部とを備えるカバー部材を設け、該カバー部材を管状支杆に対して上下昇降可能に取り付けるとともに、前記カバー部材を上昇させたときに上部カバー部と管状支杆の上端との間に露呈する下部カバー部の上部に、前記基板の表面にパッド材を取り付けるためのねじ止め作業用の作業孔を設けたことを特徴とする椅子の背凭れ等の取付構造。 - 背凭れ等の基板の裏面に、管状支杆を支着した椅子における背凭れ等の取付構造において、
前記基板と管状支杆との間に前記管状支杆の上端を覆う上部カバー部と、該上部カバー部の前部から垂下して前記基板と管状支杆との隙間を閉塞する下部カバー部とを備えるカバー部材を設け、前記管状支杆の前面に、基板を前記管状支杆に螺着するためのねじ座を設け、かつ下部カバー部に、ねじ座が嵌合する上下方向の長孔を設けたことを特徴とする椅子の背凭れ等の取付構造。 - カバー部材を管状支杆に対して上下昇降可能に取り付けるとともに、前記カバー部材を上昇させたときに上部カバー部と管状支杆の上端との間に露呈する下部カバー部の上部に、前記基板の表面にパッド材を取り付けるためのねじ止め作業用の作業孔を設けた請求項1記載の椅子における背凭れ等の取付構造。
- 管状支杆の前面に、基板を前記管状支杆に螺着するためのねじ座を設け、かつ下部カバー部に、ねじ座が嵌合する上下方向の長孔を設けた請求項1、2または4に記載の椅子における背凭れ等の取付構造。
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