JP4040430B2 - 櫛刃型旋盤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、櫛刃型旋盤に係り、さらに詳細には工具ホルダや工具ホルダの装着部上に切粉が堆積することを防止するためのカバーを備えた櫛刃型旋盤に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4に概略的に示すように、櫛刃型旋盤は、主軸台1に水平にかつ回転自在に支持された主軸3の軸心と平行なZ軸方向へ相対的に移動自在のサドル5上に、Z軸方向に対して直交するX軸方向へ水平に移動自在にスライド7を載置支持した構成である。そして、前記スライド7上に、工具9を備えた工具ホルダ11をX軸方向に適宜間隔に装着した構成である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記構成のごとき従来の櫛刃型旋盤においては、一般的な旋盤と同様に、切削油や切粉等が外部へ飛散しないように、主軸台1やスライド7等を含めて加工領域全体を覆う本体カバーを設けた構成もあるが、前記スライド7の部分を覆うカバーが設けられていないのが一般的である。
【0004】
したがって、従来は、前記スライド7の上や工具ホルダ11上に切粉が堆積し、堆積した切粉が加工中の工具やワークにからみ付くことがあるなどの問題があった。
【0005】
また、スライド上に切粉が堆積すると、工具ホルダを着脱交換する度にスライド上面を清掃する必要があり、工具ホルダの着脱交換の迅速化を図る上において問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述のごとき従来の問題に鑑みてなされたもので、請求項1に係る発明は、X軸方向に移動自在のスライド上に工具ホルダを着脱交換可能の櫛刃型旋盤において、前記スライド上の工具ホルダ装着部の少なくともX軸方向の両側に配置したホルダカバーに、前記スライド上に工具ホルダを装着したときに当該工具ホルダの前面下部を覆う下部プレートをX軸方向に長く設けると共に、前記工具ホルダの上面に備えたX軸方向の突条部の前面とほぼ同一平面をなす上部プレートを前記下部プレートと一体的にX軸方向に長く設け、前記スライドの周囲を覆った本体カバーに、前記スライドに対して前記工具ホルダを着脱するための開口部を設け、この本体カバーの開口部に対して着脱可能に設けた上部カバーの前面下端縁を、前記工具ホルダに設けた前記突条部の前面及び前記上部プレートの前面に相対的に摺動可能に接触して設けた構成である。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の櫛刃型旋盤において、前記本体カバーに、前記下部プレート及び上部プレートの前面に接触して相対的に移動自在のワイパーを設けた構成である。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の櫛刃型旋盤において、前記上部カバーの前面を傾斜して設けた構成である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明するに、前述した従来の構成と同一の機能を奏する構成部分には同一符号を付することとして重複した説明は省略する。
【0010】
図1〜図3を参照するに、X軸方向(図1においては紙面に垂直な方向)に移動自在のスライド7上には、複数の工具9(図2参照)を着脱交換可能に備えた工具ホルダ13が複数のTボルト等の適宜の固定具(図示省略)によって着脱可能に取付けてある。
【0011】
上記工具ホルダ13は、Z軸方向の前面(図1においては左側面)に前記複数の工具9を装着するための複数の工具装着部15(図3参照)をX軸方向に適宜間隔に備えた構成であって、上記各工具装着部15に装着した工具9に対してクーラントを供給するために、前記各工具装着部15に対応してクーラント噴出孔17が設けられている。
【0012】
また、前記工具ホルダ13の上面には、当該工具ホルダ13の着脱を容易に行い得るように、取手19が設けてあると共に、工具ホルダ13の上面で前面側には、X軸方向に長い突条部21(図1参照)が形成してある。なお、前記工具ホルダ13の下面には、組立時に前記工具装着部15の芯高さを調整するためのベースプレート23が一体的に取付けてある。
【0013】
上記構成より理解されるように、工具ホルダ13は、取手19を把持してスライド7に対して着脱することができるものであり、複数の工具9を工具ホルダ13に対して予めセットした状態で工具交換を行うことができ、複数の工具9の交換を迅速,容易に行い得るものである。
【0014】
前記スライド7に装着した工具ホルダ13上や工具ホルダ13を装着する工具ホルダ装着部に切粉等が堆積することを防止するために、前記スライド7の上面には、工具ホルダ13を着脱するための工具ホルダ装着部を囲繞するホルダカバー25がボルト等の取付具を介して着脱可能に取付けてある。
【0015】
上記ホルダカバー25は、図1に示すように、前記スライド7に対して工具ホルダ13の着脱が容易に行われ得るように上部側は開口してあって、前記工具ホルダ13を装着する工具ホルダ装着部のX軸方向の両側を区画するサイドプレート25Aと前記工具装着部の後側(図1においての右側)を区画する後部プレート25Bとを一体に備えた構成であって、平面視したときには前側(図1において左側)を開口したコ字形状に構成してある。
【0016】
そして、前記ホルダカバー25の前側(図1において左側)には、スライド7に装着した工具ホルダ13の前面下部を覆うための下部プレート27がX軸方向に長く設けてあり、この下部プレート27の長手方向の中央部には、前記工具ホルダ13を着脱する際の干渉を回避するための切欠部29(図3参照)が設けてある。この切欠部29は、図1に示すように、前記工具ホルダ13の前側下部に形成した段差部13Aの後側に重なるように位置するものである。
【0017】
前記下部プレート27の上部にはX軸方向に長い上部プレート31が一体的に取付けてある。この上部プレート31は、前記切欠部29のX軸方向の両側において前記下部プレート27の上部に一体に設けてあるものであって、この上部プレート31の前面(図1においての左側面)は、前記工具ホルダ13の上面に備えた前記突条部21の前面とほぼ同一平面に設けてある。なお、下部プレート27と上部プレート31は一体的であるから、一体物から構成することができるものである。
【0018】
前記スライド7上への切粉等の飛散を防止するために、前記サドル5の前側(図1において左側)には、サドル5及びスライド7の前側下部を覆う下部カバー33(サドル5に対する取付構造は図示省略)が設けてあり、この下部カバー33の上部は、前記下部プレート27の下端縁の後面に重なり合うように接触して相対的に摺動可能に構成してある。
【0019】
そして、前記工具9によるワークの切削加工時における切粉やクーラントが周囲に飛散することを防止するために、前記スライド7の上方を覆う本体カバー35が設けてあり、この本体カバー35には、前記スライド7に対して前記工具ホルダ13の着脱を行うために、前記工具ホルダ13を通過自在の開口部37が形成してある。
【0020】
上記開口部37には、上部カバー39が着脱可能に取付けてある。上記上部カバー39は、前記開口部37の内周縁に備えた周縁プレート41(図2参照)に設けた螺子孔43と対応する貫通孔45を備えた蓋部47を備えており、この蓋部47の上面には取手49が取付けてある。
【0021】
そして、前記上部カバー39における蓋部47の下面でX軸方向の中央部分には、前記ホルダカバー25の上方を覆い、かつ前側(図1において左側)が低くなるように傾斜した傾斜カバー51が設けてあり、この傾斜した傾斜カバー51の前側下端縁は、前記工具ホルダ13における前記突条部21の前面及び前記上部プレート31の前面に重なり合うように接触して相対的にX軸方向へ摺動可能に構成してある。
【0022】
前記上部カバー39における前記傾斜カバー51のX軸の両側方において、前記上部プレート31の上方部を閉じるために、前記本体カバー35の下面には、閉止板53(図3参照)が設けてあると共に、前記下部プレート27及び上部プレート31の前面に付着した切粉等を掻き落すためのワイパー55が、前記下部カバー33と本体カバー35とを連結したカバーブラケット57に取付けてある。
【0023】
以上のごとき構成において、複数の工具9を装着した工具ホルダ13を、ホルダカバー25に囲繞された領域内でスライド7上に装着固定し、かつ上部カバー39を本体カバー35の開口部37に取付けると、工具ホルダ13における段差部13Aと下部プレート27の切欠部29とが前後方向(図1において左右方向)に重なり合うように接合し、当該部分から前記工具ホルダ13の装着領域内へ切粉やクーラントが進入することが防止される。
【0024】
また、上部カバー39における傾斜カバー51の前側下端縁と工具ホルダ13における突条部21及び上部プレート31が前後方向に重なり合うように接触し、当該部分から工具ホルダ装着部に対して切粉等が進入することを防止するものである。
【0025】
さらに、前記工具ホルダ13のX軸方向の両側は下部プレート27及び上部プレート31によって閉じられた態様にあり、かつ上部プレート31の上方は閉止板53によって閉じられているので、切粉等が工具ホルダ13の装着部に対して入り込むようなことがないものである。
【0026】
そして、主軸3に保持されたワークの切削加工時にスライド7がX軸方向に移動すると、上下のプレート31,27が一体的にX軸方向に移動するので、当該上下のプレート31,27の前面に付着した切粉等はワイパー55によって掻きとられることとなり、切粉等を効果的に落下することができるものである。
【0027】
さらにまた、上部カバー39に傾斜部を形成して傾斜カバー51を備えた構成であることにより、切粉等の落下を効果的に行うことができると共に、作業者が工具9等を覗き見る場合、傾斜カバー51の傾斜に沿って覗き見ることができ、前側へ大きく回り込む必要がなく、工具9の監視を容易に行い得るものである。
【0028】
【発明の効果】
以上のごとき説明より理解されるように、本発明によれば、スライドに対して工具ホルダを装着する工具ホルダ装着部への切粉,クーラント等の入り込みを効果的に防止できる。したがって、工具ホルダを交換する度に切粉等を清掃し除去する必要がなく、工具交換等を迅速に行うことができ、前述したごとき従来の問題を解消し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る旋盤の工具ホルダ装着部の構成を概略的に示す断面説明図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る旋盤の工具ホルダ装着部の構成を概略的に示す平面説明図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る旋盤の工具ホルダ装着部の構成を概略的に示す正面説明図である。
【図4】従来の構成を概略的に示した説明図である。
【符号の説明】
1 主軸台
3 主軸
5 サドル
7 スライド
9 工具
13 工具ホルダ
15 工具装着部
21 突条部
25 ホルダカバー
27 下部プレート
29 切欠部
31 上部プレート
33 下部カバー
35 本体カバー
39 上部カバー
47 蓋部
51 傾斜カバー
55 ワイパー
Claims (3)
- X軸方向に移動自在のスライド上に工具ホルダを着脱交換可能の櫛刃型旋盤において、前記スライド上の工具ホルダ装着部の少なくともX軸方向の両側に配置したホルダカバーに、前記スライド上に工具ホルダを装着したときに当該工具ホルダの前面下部を覆う下部プレートをX軸方向に長く設けると共に、前記工具ホルダの上面に備えたX軸方向の突条部の前面とほぼ同一平面をなす上部プレートを前記下部プレートと一体的にX軸方向に長く設け、前記スライドの周囲を覆った本体カバーに、前記スライドに対して前記工具ホルダを着脱するための開口部を設け、この本体カバーの開口部に対して着脱可能に設けた上部カバーの前面下端縁を、前記工具ホルダに設けた前記突条部の前面及び前記上部プレートの前面に相対的に摺動可能に接触して設けたことを特徴とする櫛刃型旋盤。
- 請求項1に記載の櫛刃型旋盤において、前記本体カバーに、前記下部プレート及び上部プレートの前面に接触して相対的に移動自在のワイパーを設けたことを特徴とする櫛刃型旋盤。
- 請求項1又は2に記載の櫛刃型旋盤において、前記上部カバーの前面を傾斜して設けたことを特徴とする櫛刃型旋盤。
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JP2002310954A JP4040430B2 (ja) | 2002-10-25 | 2002-10-25 | 櫛刃型旋盤 |
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WO2016052224A1 (ja) * | 2014-10-03 | 2016-04-07 | シチズンホールディングス株式会社 | 工具ホルダ用のカバー装置 |
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2002
- 2002-10-25 JP JP2002310954A patent/JP4040430B2/ja not_active Expired - Lifetime
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