JP4040177B2 - 立体造形装置、立体造形方法及び立体造形制御プログラムを記録した媒体 - Google Patents

立体造形装置、立体造形方法及び立体造形制御プログラムを記録した媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、未硬化の光硬化性流動材料を露光により硬化し、3次元の立体造形物を造形する立体造形装置、立体造形方法及び立体造形方法制御プログラムを記録した媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光硬化性樹脂を含む未硬化の光硬化性流動材料を選択的に露光して所定形状の硬化層を形成するとともに、その硬化層を順次積層することで、形状の複雑な物体や組立体を一体造形可能にした立体造形装置が知られており、この立体造形装置においては、積層される各層の硬化層を高精度かつ迅速に形成することが要求される。
【0003】
この種の立体造形装置としては、例えば特公平2−48422号公報に記載されたものがある。この装置では、未硬化の光硬化性流動材料を収容した容器中に昇降式のプラットホームを配設している。一層の硬化層は以下の過程によって形成される。まず、プラットホーム(二層目以降は硬化層及びプラットホーム)をその上面と光硬化性流動材料の自由液面との間の距離が積層ピッチ(積層される一層分の層厚)を超える位置に沈め、プラットホーム上に未硬化の光硬化性流動材料を自動的に積層させ、次いでプラットホームをその上面と自由液面との間の距離が積層ピッチ量になる位置に上昇させた状態で、積層した光硬化性流動材料に選択的に露光して所定形状に硬化させる。このようにして順次硬化層を形成し、比較的迅速に立体造形物を造形できるようになっている。
【0004】
この種の立体造形装置は形状の複雑な部品を低コストかつ短時間で試作するのに好適であるため、様々な分野の立体造形モデルの造形に用いられている。そのため近年では迅速な造形作業に加えて、造形精度の向上と、より広範な用途に対応させ得ることが要求されるようになってきた。例えば、造形された物体を高温に曝される部品、例えば自動車の排気マニホールドの試作品としたり、高温高圧に曝されるプラスチック成形用の型として用いたりすることが要求されている。
【0005】
しかし、このような高温高圧に耐え得るような立体造形物を造形するためには、高粘度の光硬化性流動材料を用いる必要があり、上述のようにプラットホームを未硬化の光硬化性流動材料中に沈めて、その上に自動的に光硬化性流動材料層を形成する方式では、粘度の高い一層分の光硬化性流動材料をプラットホーム上に迅速に延展させることができなかった。
【0006】
そこで、特公平7−10566号公報に記載されるように、未硬化の光硬化性流動材料を強制的に下層の硬化層上に供給するディップコート方式が提案された。この方式では、高粘度の光硬化性流動材料を使用しつつ、迅速に光硬化性流動材料を下層上に延展させることが可能となっている。
この装置は所定の光によって硬化し得る未硬化の光硬化性流動材料を収容し該流動材料の自由液面を形成する容器と、自由液面と略直交する方向に移動するよう前記容器中に移動可能に設けられた可動プラットホームと、容器から未硬化の光硬化性流動材料を汲み上げて前記可動プラットホーム上に供給する流動材料供給手段(以下ディッパという)と、可動プラットホームの移動方向に対して直交する方向に移動可能に設けられ該移動により前記可動プラットホーム上の未硬化の光硬化性流動材料の表面部を平坦化するスクレーパと、を備えている。
【0007】
そして可動プラットホームをその上面と自由液面との間の距離が積層ピッチ量になる位置に配置した状態で、未硬化の光硬化性流動材料をディッパにより汲み上げて可動プラットホーム上に供給し、この光硬化性流動材料の表面部を自由液面に沿って移動するスクレーパにより平坦化して、プラットホーム上の自由液面近傍に所定積層ピッチの未硬化の光硬化性流動材料層を迅速かつ均一に形成する。その後その未硬化流動材料層を所定の光により選択的に露光して光硬化性流動材料を積層硬化させるという工程を繰り返すことで、所要形状の立体を造形するようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したディップコート方式の立体造形装置を用いた場合でも、実用的な立体造形モデルを造形するためには、光硬化性流動材料を十分薄い積層ピッチで延展させる必要があり、その時の光硬化性流動材料の粘度は5万cps以下でなければならない。上述したディップコート方式の立体造形装置では、立体造形の工程は常温(約20℃)で行われている。そのため常温で5万cps以上の粘度を持つ光硬化性流動材料を用いることができないという問題がある。
【0009】
しかし、高粘度の光硬化性流動材料の粘度を下げることができれば、現在液体状態で粘度が高すぎて、立体造形物を造形するための光硬化性流動材料として用いることのできない光硬化性樹脂を用いることもでき、より広範な用途に対応できる立体造形物を造形することができる。
さらに、高粘度の光硬化性流動材料の粘度を下げることによって、迅速に造形作業が行えるようになり、より薄い積層ピッチの立体造形物を造形することができるため、さらに造形精度が向上できる。
【0010】
ところで、一般に光硬化性樹脂は加熱によってその粘度が低下し、流動性が増すという性質を持っている。例えばある耐熱性の光硬化性流動材料は、従来の立体造形装置で造形が行われている20℃での粘度は7万cpsであるが、約40℃に加熱すると粘度が3万cpsに下がる。
また、光硬化性樹脂及びビーズ等の微粒子を含む未硬化の光硬化性流動材料は、振動によって一時的にその粘度が低下するシクソトロピー流体であり、分子間の結合力で互いにゆるく結合した状態に保たれており、そのため粘度の高い液体となっている。この粘度の高い液体に外部から振動を与えることによって、分子間の結合を破壊し、液体の粘度を下げて流動性を増すことができる。
【0011】
そこで本発明は、上述のディップコート方式の立体造形装置に、さらに加熱手段及び振動手段を備え、高粘度の光硬化性流動材料を加熱及び振動することによってその粘度を下げ、精度よく薄くコーティングする立体造形装置、立体造形方法及び立体造形制御プログラムを記録した媒体を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため、請求項1記載の発明は、所定の光によって硬化し得る未硬化の光硬化性流動材料を収容する容器と、水平方向に延在する上面部を有し、鉛直方向に移動可能に前記容器内に設けられた可動プラットホームと、前記容器から未硬化の光硬化性流動材料を汲み上げて前記可動プラットホームの上面部に供給する流動材料供給手段と、前記可動プラットホームの前記上面部に対して平行方向に移動可能に設けられ、前記可動プラットホーム上の光硬化性流動材料の表面部を平坦化して所定層厚の未硬化材料層を形成するスクレーパと、前記可動プラットホーム上の前記未硬化材料層を選択的に硬化して所定層厚の硬化層を形成するために所定の光を選択的に露光する露光手段と、前記硬化層を下層の硬化層上に順次積層して立体を造形するよう前記可動プラットホーム、前記流動材料供給手段及び前記スクレーパの移動、並びに前記露光手段の作動を制御する制御手段と、を備え、さらに、前記光硬化性流動材料を加熱する少なくとも一つの加熱手段を有し、加熱手段が、前記流動材料供給手段を介して、前記流動材料供給手段が汲み上げた未硬化の光硬化性流動材料を所定温度に保つように加熱することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、流動材料供給手段が汲み上げた光硬化性流動材料を加熱することができ、可動プラットホーム上に供給される光硬化性流動材料の粘度を下げることができる。
また、請求項2に記載の発明は、所定の光によって硬化し得る未硬化の光硬化性流動材料を収容する容器と、水平方向に延在する上面部を有し、鉛直方向に移動可能に前記容器内に設けられた可動プラットホームと、前記未硬化の光硬化性流動材料を前記可動プラットホームの上面部に供給する流動材料供給手段と、前記可動プラットホームの前記上面部に対して平行方向に移動可能に設けられ、前記可動プラットホーム上の光硬化性流動材料の表面部を平坦化して所定層厚の未硬化材料層を形成するスクレーパと、前記可動プラットホーム上の前記未硬化材料層を選択的に硬化して所定層厚の硬化層を形成するために所定の光を選択的に露光する露光手段と、前記硬化層を下層の硬化層上に順次積層して立体を造形するよう前記可動プラットホーム、前記流動材料供給手段及び前記スクレーパの移動、並びに前記露光手段の作動を制御する制御手段と、を備え、さらに、前記光硬化性流動材料を加熱する少なくとも一つの加熱手段を有し、該加熱手段が、前記スクレーパにより前記可動プラットホーム上の光硬化性流動材料の表面部が平坦化されるときに、該スクレーパを介して前記可動プラットホーム上の前記光硬化性流動材料の表面部を所定温度に加熱することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、スクレーパが可動プラットホーム上に供給された光硬化性流動材料の表面を平坦化する際に、可動プラットホーム上の光硬化性流動材料の表面部を加熱することができ、その粘度を下げることができる。
請求項3に記載の発明は、所定の光によって硬化し得る未硬化の光硬化性流動材料を収容する容器と、水平方向に延在する上面部を有し、鉛直方向に移動可能に前記容器内に設けられた可動プラットホームと、前記容器から未硬化の光硬化性流動材料を汲み上げて前記可動プラットホームの上面部に供給する流動材料供給手段と、前記可動プラットホームの前記上面部に対して平行方向に移動可能に設けられ、前記可動プラットホーム上の光硬化性流動材料の表面部を平坦化して所定層厚の未硬化材料層を形成するスクレーパと、前記可動プラットホーム上の前記未硬化材料層を選択的に硬化して所定層厚の硬化層を形成するために所定の光を選択的に露光する露光手段と、前記硬化層を下層の硬化層上に順次積層して立体を造形するよう前記可動プラットホーム、前記流動材料供給手段及び前記スクレーパの移動、並びに前記露光手段の作動を制御する制御手段と、を備え、さらに、前記光硬化性流動材料を加熱する少なくとも一つの加熱手段を有し、該加熱手段が、前記流動材料供給手段を介して、前記流動材料供給手段が汲み上げた未硬化の光硬化性流動材料を所定温度に保つように加熱するとともに、前記スクレーパにより前記可動プラットホーム上の光硬化性流動材料の表面部が平坦化されるときに、該スクレーパを介して前記可動プラットホーム上の前記光硬化性流動材料の表面部を所定温度に加熱することを特徴とする。
この構成によれば、流動材料供給手段が汲み上げた光硬化性流動材料を加熱することができ、可動プラットホーム上に供給される光硬化性流動材料の粘度を下げることができるとともに、スクレーパが可動プラットホーム上に供給された光硬化性流動材料の表面を平坦化する際に、可動プラットホーム上の光硬化性流動材料の表面部を加熱することができ、その粘度を下げることができる。
【0015】
請求項4記載の発明は、前記加熱手段が、さらに前記容器を介して、前記光硬化性流動材料を加熱することを特徴とする。
この構成によれば、容器内で予め加熱された光硬化性流動材料を、汲み上げ時に又はスクレーパが可動プラットホーム上に供給された光硬化性流動材料の表面を平坦化する際にも加熱することができ、可動プラットホーム上で光硬化性流動材料を迅速に延展することができるので、高粘度の光硬化性流動材料を用いても薄い積層ピッチで精密な立体造形物を造形することができる。
【0016】
また、請求項記載の発明は、前記光硬化性流動材料に所定の周波数を有する振動を与える少なくとも一つの振動手段を備えたことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、光硬化性流動材料に振動を与えることによって、その粘度を局所的に低下することができる。
請求項記載の発明は、前記振動手段が、前記容器を介して該容器内の前記光硬化性流動材料に振動を与えることを特徴とする。
この構成によれば、容器内の光硬化性流動材料の粘度を局所的に低下することができる。
【0018】
請求項7記載の発明は、前記振動手段が、前記流動材料供給手段を介して、前記可動プラットホームの上面部に供給される前記未硬化の光硬化性流動材料に振動を与えることを特徴とする。
この構成によれば、流動材料供給手段によって可動プラットホーム上に供給される光硬化性流動材料に振動を加えてその粘度を低下させることができる。
【0019】
請求項8記載の発明は、前記振動手段が、前記スクレーパにより前記可動プラットホーム上の光硬化性流動材料の表面部が平坦化されるときに、該スクレーパを介して前記可動プラットホーム上の前記光硬化性流動材料の表面部に振動を与えることを特徴とする。
この構成によれば、スクレーパが可動プラットホーム上に供給された光硬化性流動材料の表面を平坦化する際に振動して、可動プラットホーム上の光硬化性流動材料の表面部に振動を与え、その粘度を局所的に低下させることができる。
【0020】
さらに請求項9に記載の発明は、前記振動手段が、前記容器、前記流動材料供給手段及び前記スクレーパのそれぞれによって、前記光硬化性流動材料に振動を与えることを特徴とする。
この構成によれば、容器内の光硬化性流動材料、流動材料供給手段が汲み上げた光硬化性流動材料及び可動プラットホーム上の光硬化性流動材料の表面部に共に振動を与えることができ、より安定的に光硬化性流動材料の粘度を局所的に低下することができるので、高粘度の光硬化性流動材料を用いても薄い積層ピッチで精密な立体造形物を造形することができる。
【0021】
請求項10記載の発明は、前記流動材料供給手段が、前記可動プラットホームに対して移動可能なディッパを有し、前記加熱手段が、前記ディッパに形成され、所定温度の温水を通すジャケットを有することを特徴とする。
【0022】
請求項11に記載の発明は、所定の光によって硬化し得る未硬化の光硬化性流動材料を収容する容器と、水平方向に延在する上面部を有し、鉛直方向に移動可能に前記容器内に設けられた可動プラットホームと、前記容器から未硬化の光硬化性流動材料を汲み上げて前記可動プラットホームの上面部に供給する流動材料供給手段と、前記可動プラットホームの前記上面部に対して平行方向に移動可能に設けられ、前記可動プラットホーム上の光硬化性流動材料の表面部を平坦化して所定層厚の未硬化材料層を形成するスクレーパと、
前記可動プラットホーム上の前記未硬化材料層を選択的に硬化して所定層厚の硬化層を形成するために所定の光を選択的に露光する露光手段と、前記硬化層を下層の硬化層上に順次積層して立体を造形するよう前記可動プラットホーム、前記流動材料供給手段及び前記スクレーパの移動、並びに前記露光手段の作動を制御する制御手段と、を備え、さらに、前記光硬化性流動材料を加熱する少なくとも一つの加熱手段を有し、該加熱手段が赤外線により、前記ディッパを加熱して前記プラットホームの上面部に供給される前記光硬化性流動材料を所定の温度に加熱するか、前記スクレーパを加熱して前記プラットホームの前記光硬化性流動材料の表面部を所定の温度に加熱するか、もしくは、前記プラットホームの前記光硬化性流動材料の表面部を直接所定の温度に加熱するか、のうち少なくとも1つの機能を有することを特徴とする
【0023】
請求項12に記載の発明は、容器内に収容した所定の光によって硬化し得る未硬化の光硬化性流動材料を用いて立体造形物を造形する方法であって、水平方向に延在する上面部を有する可動プラットホームを、前記容器内の光硬化性流動材料中に導入して、該可動プラットホームの上面部が前記光硬化性流動材料の上部自由液面から所定距離を隔てるよう配置するステップと、前記未硬化の光硬化性流動材料を前記可動プラットホームの上面部に供給するステップと、所定層厚の未硬化材料層を形成するよう前記可動プラットホーム上に供給された未硬化の前記光硬化性流動材料の表面部を平坦化するステップと、前記未硬化材料層の硬化層を形成するとともに該硬化層を下層の硬化層上に積層するよう前記未硬化材料層を選択的に露光するステップと、を含み、さらに、前記可動プラットホームの上面部に供給するよう前記容器から汲み上げた未硬化の光硬化性流動材料を所定温度に加熱し、又は、前記可動プラットホーム上に供給された未硬化の前記光硬化性流動材料の表面部を所定温度に加熱するステップを含むことを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、前記光硬化性流動材料に所定の周波数を有する振動を与えるステップを含み、該ステップで与える振動を、前記未硬化材料層を選択的に露光するステップの開始前に停止するステップを含むことを特徴とする。
この構成によれば、容器内の光硬化性流動材料、ディッパが汲み上げた光硬化性流動材料及び可動プラットホーム上の光硬化性流動材料の表面部を任意に加熱するとともに振動を与えることができ、さらに安定的に光硬化性流動材料の粘度を下げることができるので、高粘度の光硬化性流動材料を用いても薄い積層ピッチで精密な立体造形物を造形することができる。
【0024】
請求項14に記載の発明は、コンピュータが実行可能で、容器内に収容した所定の光によって硬化し得る未硬化の光硬化性流動材料を用いて立体造形物を造形する立体造形制御プログラムを記録した媒体であって、水平方向に延在する上面部を有する可動プラットホームを、前記容器内の光硬化性流動材料中に導入して、該可動プラットホームの上面部が前記光硬化性流動材料の上部自由液面から所定距離を隔てるよう配置するステップと、前記未硬化の光硬化性流動材料を前記可動プラットホームの上面部に供給するステップと、所定層厚の未硬化材料層を形成するよう前記可動プラットホーム上に供給された未硬化の前記光硬化性流動材料の表面部を平坦化するステップと、前記未硬化材料層の硬化層を形成するとともに該硬化層を下層の硬化層上に積層するよう前記未硬化材料層を選択的に露光するステップと、をそれぞれ実行する処理を含み、さらに、前記可動プラットホームの上面部に供給するよう前記容器から汲み上げた未硬化の光硬化性流動材料を所定温度に加熱し、又は、前記可動プラットホーム上に供給された未硬化の前記光硬化性流動材料の表面部を所定温度に加熱するステップを実行する処理を含むことを特徴とする。
【0025】
請求項15に記載の発明は、前記光硬化性流動材料に所定の周波数を有する振動を与えるステップを実行する処理をさらに含み、該ステップで与える振動を、前記未硬化材料層を選択的に露光するステップの開始前に停止する処理を含むことを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に図面に基づいて、本発明の詳細な説明を示すが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。尚、すべての図面において、同様な構成要素は同じ参照記号及び符号を用いて示してある。
図1に、本発明に係る立体造形装置の模式図を示している。立体造形装置は光硬化性流動材料14を収容する容器10と、容器10中に移動可能に設けられた可動プラットホーム11と、容器10から未硬化の光硬化性流動材料を汲み上げて可動プラットホーム11上に供給するディッパ12と、可動プラットホーム11上に供給された光硬化性流動材料を平坦化するスクレーパ13と、を備えている。立体造形装置はさらに、3次元CAD(Computer aided design)システム20と、3次元CADシステム20に接続された制御手段30(以下コントロールユニットという)と、露光手段40とを有している。
【0027】
また、立体造形装置は加熱手段50及び振動手段60を有しており、ここで容器10、ディッパ12及びスクレーパ13はそれぞれ加熱手段50及び振動手段60に接続しており、加熱手段50及び振動手段60はコントロールユニット30によって制御され、必要に応じて容器10、ディッパ12及びスクレーパ13を加熱及び振動するようになっている。
【0028】
図1の、容器10には所定の光硬化性樹脂(例えばUV硬化性樹脂である重合性のビニル系、又はエポキシ系化合物)を含む光硬化性流動材料14が収容されており、該流動材料14は、容器10上部に水平な自由液面Lを形成している。光硬化性流動材料14にはさらに、所定温度範囲内で実質的な非収縮性を持つ平均粒径3〜70μm、好ましくは10〜60μm程度のガラス製又は樹脂製のビーズ等の微粒子が5〜70容量%、好ましくは10〜55容量%だけ配合されている。これらの微粒子は公知のシランカップリング剤によって硬化後の機械的強度を増すよう処理されている。ここで、光硬化性樹脂及び微粒子を含む上記の光硬化性流動材料14は粘度が常温で5千cps〜10万cpsのペースト状の化合物である。
【0029】
光硬化性流動材料14は、前記微粒子に変えて、直径0.3〜1μm、長さ10〜70μm、アスペクト比10〜100の範囲にあるウイスカーを含んでもよい。この場合、前記ウイスカーを光硬化性樹脂材料14に5〜30%配合する。容器10は図示されない公知の液面調整手段により光硬化性流動材料14の自由液面Lの容器10底面からの高さを一定に保つようになっている。この液面調整手段はコントロールユニット30によって制御され、温度変化及び振動による容器10内の光硬化性流動材料14の自由液面Lの位置変化を感知し、容器10内の流動材料14の量を調整して自由液面Lの容器10底面からの高さを一定にする。
【0030】
容器10中には前記自由液面Lに対し略平行な上面部11aを有する可動プラットホーム11が設けられている。可動プラットホーム11は前記自由液面Lに対して略直交方向に移動するよう図示されない公知の昇降機構によって昇降可能に案内及び支持されており、この昇降機構は、可動プラットホーム11を積層ピッチ量を単位として段階的に昇降するようになっている。
【0031】
図2に、容器10の断面詳細模式図が示されている。容器10中に配置された可動プラットホーム11の上方には該可動プラットホーム11の前後長(図2の断面と直交する方向(以下前後方向という)の長さ)とほぼ等しい長さを有するディッパ12とこれを支持する移動台15とが設けられている。ディッパ12の下面部には前後方向に所定ピッチで離間する複数の供給穴(図示していない)が設けられている。移動台15は、ガイドレール17等の公知の案内手段によって図2の断面と平行な方向(以下左右方向という)に移動可能に支持されるとともに、例えば図示されないワイヤやプーリを介してモータ駆動されるようになっている。ディッパ12は、移動台15と共に可動プラットホーム11の上面部11aに沿って左右方向に水平に移動し、この移動中に複数の供給穴を通して可動プラットホーム11上に未硬化の光硬化性流動材料14を供給する。
【0032】
また、ディッパ12の上端部は図示されないローラを介して図外の昇降駆動カムに常時係合している。ディッパ12が可動プラットホーム11から左右方向に離隔した位置にある時、ディッパ12はこの昇降駆動カムに駆動されて下降し、容器10内の光硬化性流動材料14を内部に汲み入れる。次いでこの昇降駆動カムに駆動され、容器10内の光硬化性流動材料14の自由液面Lから上下方向に所定の距離を隔てた位置まで上昇する。
【0033】
そして、この下降と上昇によってディッパ12は容器10内の未硬化の光硬化性流動材料14の一部を汲み上げ、これを未硬化流動材料としてプラットホーム11上に供給することができる。
ディッパ12と左右方向に並列して、プラットホーム11の前後長とほぼ等しい長さを有し、移動台16に支持されたスクレーパ13が設けられている。スクレーパ13は可動プラットホーム11の上面部11aに沿って左右方向に、ディッパ12と共に移動可能である。スクレーパ13は可動プラットホーム11の上面部11aに沿って移動するとき、可動プラットホーム11上の未硬化流動材料の表面部をならし、可動プラットホーム11の上面部11aの形状に対応する積層ピッチの均一な未硬化流動材料層を形成するようになっている。
【0034】
コントロールユニット30は、例えば3次元CADシステム20に接続されており、この3次元CADシステム20からのモニタリングデータに基づいて、立体造形装置全体の制御を行う。コントロールユニット30は、例えば最適露光制御、スキャン制御、エレベータ制御及びコーティング制御等を実行可能であり、さらに加熱手段50を制御する加熱制御及び振動手段60を制御する振動制御を行う。
【0035】
露光手段40は、レーザ光源43と、反射光学系42と、容器10中の可動プラットホーム11の上方に設けられたレーザ光走査装置41とを有している。ここでレーザ光源43はUV−Arレーザであり、レーザ光走査装置41は、レーザ光源43から出射したレーザ光を反射光学系42を介して偏向しつつ可動プラットホーム11上の未硬化流動材料層の表面部に集光させ、その光を可動プラットホーム11上の所定範囲内で、主・副両走査方向に走査するようになっている。
【0036】
このレーザ光走査装置41からの光による描写パターンは、造形する3次元立体造形物を硬化層の集層体としたときの各層の形状に対応するもので、その走査はコントロールユニット30によって制御されている。そして、レーザ光走査装置41によって走査される光に曝されて自由液面Lから所定深さまで流動材料14の一部が硬化する時、この一部の材料が所定積層ピッチの硬化層を形成すると同時に下層の硬化層上に積層される。
【0037】
加熱手段50としては、例えば図3に示したように、容器10の周囲にニクロム線等のリボンヒータ51を設置し、電気的エネルギーによって容器10内の光硬化性流動材料14を加熱する手段が用いられる。同様に、ディッパ12の周囲にもリボンヒータを設置し、電気的エネルギーによってディッパ12内に汲み上げられた光硬化性流動材料を加熱することもできる。さらに、スクレーパ13にリボンヒータを設置しスクレーパ13を加熱することもできる。リボンヒータは容器10、ディッパ12及びスクレーパ13に内蔵されていてもよい。また容器10、ディッパ12及びスクレーパ13はサーミスタ(図示していない)等の温度センサをも有しており、コントロールユニット30によって、所定の温度を保つよう制御されている。加熱温度は用いる光硬化性流動材料14の種類にもよるが、容器10、ディッパ12及びスクレーパ13は、光硬化性流動材料14が約30℃から約80℃の間に保温されるように加熱されることが望ましい。
【0038】
加熱手段50としては、容器10及びディッパ12の周囲を満遍なく水が介在するよう、容器10及びディッパ12の周囲にジャケット等を設置し、該ジャケット内に温水を回流させる方法を用いることもできる。
またさらに、別の加熱手段として、容器10上方に、赤外線ランプを配置し、赤外線によって容器10内の光硬化性流動材料14、ディッパ及びスクレーパを加熱する方法を用いてもよい。
【0039】
振動手段60としては、磁石スイッチ等によって容器10、ディッパ12、スクレーパ13に振動を与える方法が用いられる。振動は、図2に示したように、(ア)前後、(イ)左右、(ウ)上下、及び(エ)上下方向軸を中心とした回転、のいずれの方向にも振動可能である。振動手段60が発生する振動の周波数は10Hzから500kHzの間であることが好ましい。
【0040】
振動はその他にモータとギアを組み合わせた機械的振動によって与えられてもよい。
次に、このようにして構成された、立体造形装置の作用を述べる。
本立体造形装置を用いた立体造形物の造形において、全ての機構の作動はコントロールユニット30によって制御される。ここで、コントロールユニット30には、水平方向に延在する上面部11aを有する可動プラットホーム11を容器10内の光硬化性流動材料14中に導入して、該可動プラットホーム11の上面部11aが光硬化性流動材料14の上部自由液面から所定距離を隔てるよう配置するステップ(a)と、容器10から未硬化の光硬化性流動材料14を汲み上げて可動プラットホーム11の上面部11aに供給するステップ(b)と、所定層厚の未硬化材料層を形成するよう可動プラットホーム11上に供給された未硬化の光硬化性流動材料14の表面部を平坦化するステップ(c)と、未硬化材料層の硬化層を形成するとともに該硬化層を下層の硬化層上に積層するよう未硬化材料層を選択的に露光するステップ(d)と、ステップ(a)〜(d)を順次繰り返して目的物を形成するステップ(e)と、ステップ(a)の開始前からステップ(d)の開始前までの任意の時点で光硬化性流動材料14に所定の周波数を有する振動を与えるステップ(f)と、ステップ(f)が与えた振動をステップ(d)の開始前に停止するステップ(g)と、光硬化性流動材料14を所定温度に保つように光硬化性流動材料14を加熱するステップ(h)と、を実行する立体造形制御プログラムが予めインストールされており、この立体造形制御プログラムに従って立体造形が行われる。立体造形制御プログラムは各種の記憶媒体、例えばCD−ROM、フロッピーディスク、光ディスク、DVD−ROM、PROM等に記録されて提供されてもよい。
【0041】
図4に示しているように、まずS1において、容器10に接続した加熱手段を駆動し容器内の光硬化性流動材料を所定温度に保つように加熱する。同時にディッパ及びスクレーパに接続した加熱手段も駆動する。
次にS2において、容器に接続した振動手段を駆動し、容器内の光硬化性流動材料に所定の周波数を有する振動を与えておく。同時に可動プラットホーム11をその上面と光硬化性流動材料14の自由液面Lとの間の距離が積層ピッチ量になる位置に配置する。その時、スクレーパ13は可動プラットホーム11から左右方向に離隔した位置にあり、スクレーパ13の先端が光硬化性流動材料14の自由平面Lに接する高さに配置される。ディッパ12は、スクレーパ13と互いに左右方向に並列した状態で、スクレーパ13よりもさらに可動プラットホーム11から離隔した位置にあり、光硬化性流動材料14の自由液面Lから所定の距離を隔てた高さに配置される。
【0042】
S3において、ディッパ12に接続された振動手段60を駆動し、ディッパ12に所定の周波数を有する振動を与えると同時に、ステップ(b)によりディッパ12を光硬化性流動溶液14中に沈め、ディッパ12内に光硬化性流動溶液14を汲み入れる。この時スクレーパ13は可動プラットホーム11から左右方向により離隔する位置になるよう水平移動する。その後ディッパ12は所定高さまで上昇する。次いでディッパ12及びスクレーパ13がともに並列状態を保ったまま、可動プラットホーム11に近接するように左右方向に水平移動する。その移動とともに、ディッパ12に汲み入れられた光硬化性流動材料14は可動プラットホーム11上に供給される。
【0043】
S4において、スクレーパ13に接続された振動手段60を駆動し、スクレーパ12に所定の周波数を有する振動を与えると同時に、ステップ(c)により可動プラットホーム11上に供給された流動材料14をディッパ12と並列移動するスクレーパ13によって平坦化する。このようにして、光硬化性流動材料14から所定の積層ピッチを持つ未硬化流動材料層が形成される。
【0044】
ここでS5において、コントロールユニット30の制御により、容器10、ディッパ12及びスクレーパ13に接続された振動手段60の駆動を停止する。
次いでS6において、露光手段40からの光が、未硬化流動材料層の表面部に集光されるとともに、可動プラットホーム11上の所定領域内で主・副両走査方向に走査され、3次元CADシステム20からのモデリングデータに基づいて、選択的に未硬化流動材料層に露光して一層の硬化層が形成される。同時にこの硬化層は、下層に積層されることになる。上記の一連の過程によって、目的の立体造形物の一層分の硬化層が形成される。
【0045】
S7で、立体造形が終了したかどうかの確認が行われ、終了していなければさらに次層の硬化層を形成するために、再びS2からの作業を実行し、容器に接続した振動手段を駆動して容器内の光硬化性流動材料に所定の周波数を有する振動を与えるとともに、プラットホーム11を、可動プラットホーム11上に形成された硬化層の上面と光硬化性流動材料14の自由液面Lとの間の距離が積層ピッチ量になる位置に配置する。
【0046】
このようにして、所要形状の目的物が形成されるまで、S2〜S7の作業が繰り返される。S7における造形作業の終了の確認は、予め3次元CADシステム20からのモニタリングデータに基づいて設定されている。
ここで、S1で加熱を開始してから、容器10、ディッパ12及びスクレーパ13に接続された加熱手段50は目的物が形成されるまでの間、スイッチが入った状態で光硬化性流動材料14の温度は所定の温度、好ましくは30℃から80℃の間、に保たれている。加熱手段50のスイッチの入切は、用いる光硬化性流動材料の種類及びその粘度によって必要に応じて、設定を変えることもできる。一方露光手段40が作動して、未硬化流動材料層が光により硬化される過程においては、容器10、ディッパ12及びスクレーパ13に接続された振動手段60の駆動源のスイッチは切った状態にしておく。このようにすることで、流動材料層が硬化される際には、未硬化流動材料層の表面が振動の影響を受けず、なめらかな状態を保つことができる。
【0047】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、加熱手段が、容器内で汲み上げた光硬化性流動材料を加熱するので、可動プラットホーム上に供給される光硬化性流動材料の粘度を下げることができ、光硬化性流動材料の表面部の平坦化が容易になり、迅速な造形作業と造形精度の向上ができる。
請求項2に記載の発明によれば、加熱手段が、スクレーパを加熱することができ、スクレーパが可動プラットホーム上に供給された光硬化性流動材料の表面を平坦化する際に、可動プラットホーム上の光硬化性流動材料の表面部を加熱してその粘度を下げることができるので、光硬化性流動材料の表面部の平坦化が容易になり、迅速な造形作業と造形精度の向上ができる。
請求項3に記載の発明によれば、加熱手段が、容器内で汲み上げた光硬化性流動材料を加熱するとともに、スクレーパが可動プラットホーム上に供給された光硬化性流動材料の表面を平坦化する際に、可動プラットホーム上の光硬化性流動材料の表面部を加熱するので、可動プラットホーム上に供給される光硬化性流動材料の粘度を下げることができるので、光硬化性流動材料の表面部の平坦化が容易になり、迅速な造形作業と造形精度の向上ができる。
【0048】
請求項に記載の発明によれば、加熱手段が、容器内の光硬化性流動材料と、ディッパが汲み上げた光硬化性流動材料又は/及び可動プラットホーム上の光硬化性流動材料の表面部とを共に加熱することができ、より安定的に光硬化性流動材料の温度を所定温度に保って粘度を下げることができるので、高粘度の光硬化性流動材料を用いても薄い積層ピッチで精密な立体造形物を造形することができる。
【0049】
請求項記載の発明によれば、立体造形装置が振動手段を備えているので、光硬化性流動材料に振動を与えることができ、その粘度を局所的に低下することができるので、光硬化性流動材料のコーティング性がよくなる。
請求項記載の発明によれば、振動手段が、容器内の光硬化性流動材料に振動を与えることができ、その粘度を局所的に低下することができる。
【0050】
請求項記載の発明によれば、振動手段が、ディッパが汲み上げた光硬化性流動材料に振動を与えることができ、可動プラットホーム上に供給される光硬化性流動材料の粘度を局所的に低下することができる。
請求項記載の発明によれば、振動手段が、スクレーパを振動することができ、スクレーパが可動プラットホーム上に供給された光硬化性流動材料の表面を平坦化する際に、可動プラットホーム上の光硬化性流動材料の表面部に振動を与えることができ、その粘度を局所的に低下することができる。
【0051】
さらに、請求項記載の発明によれば、振動手段が、容器内の光硬化性流動材料、ディッパが汲み上げた光硬化性流動材料及び可動プラットホーム上の光硬化性流動材料の表面部に同時に振動を与えることができ、より安定的に光硬化性流動材料の粘度を局所的に低下することができるので、高粘度の光硬化性流動材料を用いても薄い積層ピッチで精密な立体造形物を造形することができる。
【0052】
さらに、請求項10記載の発明によれば、加熱手段がディッパに形成され、所定温度の温水を通すジャケットを有し、請求項11記載の発明によれば、加熱手段が、赤外線によりディッパー、スクレーパもしくは光硬化性流動材料の表面部のうち少なくともひとつを加熱して、可動プラットホームの上面部に供給される光硬化性流動材及び/又は可動プラットホームの上面部の光硬化性流動材の表面部を所定の温度に加熱するので、未硬化材料を容易に適温(例えば約30℃から約80℃の間)に保温できる。
【0053】
請求項12記載の発明によれば、汲み上げた光硬化性流動材料を所定温度に保つように加熱し、又は、前記可動プラットホーム上に供給された未硬化の前記光硬化性流動材料の表面部を所定温度に加熱するステップを含んでいるので、より安定的に光硬化性流動材料の粘度を下げることができ、高粘度の光硬化性流動材料を用いても薄い積層ピッチで精密な立体造形物を造形することができる。
【0054】
請求項13の発明によれば、立体造形方法がさらに、光硬化性流動材料に所定の周波数を有する振動を与えるステップを含み、そのステップが未硬化の光硬化性流動材料層を所定の光により硬化するステップの開始前に停止されるので、振動による影響を受けずに流動材料層が硬化されるため硬化層がなめらかな状態を保つことができる。
【0055】
請求項14記載の発明によれば、コンピュータが実行可能な立体造形制御プログラムを記録した媒体が、可動プラットホームの上面部に供給するよう容器から汲み上げた未硬化の光硬化性流動材料を所定温度に加熱し、又は、可動プラットホーム上に供給された未硬化の光硬化性流動材料の表面部を所定温度に加熱するステップを含んでいるので、可動プラットホーム上の光硬化性流動材料の粘度を低下させることができ、光硬化性流動材料のコーティング性がよくなる。
請求項15記載の発明によれば、光硬化性流動材料に所定の周波数を有する振動を与えるステップを含み、そのステップが、未硬化の光硬化性流動材料層を所定の光により硬化するステップの開始前に停止されるので、振動による影響を受けずに流動材料層が硬化されるため硬化層がなめらかな状態を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る立体造形装置の模式図である。
【図2】本発明に係る立体造形装置の一部を示す詳細断面模式図である。
【図3】本発明に係る、容器に接続された加熱手段の一実施例を示す図である。
【図4】本発明に係る立体造形方法の手順を示す図である。
【符号の説明】
10 容器
11 可動プラットホーム
12 ディッパ(流動材料供給手段)
13 スクレーパ
14 光硬化性流動材料
20 3次元CADシステム
30 コントロールユニット(制御手段)
40 露光手段
41 レーザ光走査装置
42 光学系
43 レーザ光源
50 加熱手段
51 リボンヒータ
60 振動手段

Claims (15)

  1. 所定の光によって硬化し得る未硬化の光硬化性流動材料を収容する容器と、
    水平方向に延在する上面部を有し、鉛直方向に移動可能に前記容器内に設けられた可動プラットホームと、
    前記容器から未硬化の光硬化性流動材料を汲み上げて前記可動プラットホームの上面部に供給する流動材料供給手段と、
    前記可動プラットホームの前記上面部に対して平行方向に移動可能に設けられ、前記可動プラットホーム上の光硬化性流動材料の表面部を平坦化して所定層厚の未硬化材料層を形成するスクレーパと、
    前記可動プラットホーム上の前記未硬化材料層を選択的に硬化して所定層厚の硬化層を形成するために所定の光を選択的に露光する露光手段と、
    前記硬化層を下層の硬化層上に順次積層して立体を造形するよう前記可動プラットホーム、前記流動材料供給手段及び前記スクレーパの移動、並びに前記露光手段の作動を制御する制御手段と、を備え、
    さらに、前記光硬化性流動材料を加熱する少なくとも一つの加熱手段を有し、
    該加熱手段が、前記流動材料供給手段を介して、前記流動材料供給手段が汲み上げた未硬化の光硬化性流動材料を所定温度に保つように加熱することを特徴とする立体造形装置。
  2. 所定の光によって硬化し得る未硬化の光硬化性流動材料を収容する容器と、
    水平方向に延在する上面部を有し、鉛直方向に移動可能に前記容器内に設けられた可動プラットホームと、
    前記未硬化の光硬化性流動材料を前記可動プラットホームの上面部に供給する流動材料供給手段と、
    前記可動プラットホームの前記上面部に対して平行方向に移動可能に設けられ、前記可動プラットホーム上の光硬化性流動材料の表面部を平坦化して所定層厚の未硬化材料層を形成するスクレーパと、
    前記可動プラットホーム上の前記未硬化材料層を選択的に硬化して所定層厚の硬化層を形成するために所定の光を選択的に露光する露光手段と、
    前記硬化層を下層の硬化層上に順次積層して立体を造形するよう前記可動プラットホーム、前記流動材料供給手段及び前記スクレーパの移動、並びに前記露光手段の作動を制御する制御手段と、を備え、
    さらに、前記光硬化性流動材料を加熱する少なくとも一つの加熱手段を有し、
    該加熱手段が、前記スクレーパにより前記可動プラットホーム上の光硬化性流動材料の表面部が平坦化されるときに、該スクレーパを介して前記可動プラットホーム上の前記光硬化性流動材料の表面部を所定温度に加熱することを特徴とする立体造形装置。
  3. 所定の光によって硬化し得る未硬化の光硬化性流動材料を収容する容器と、
    水平方向に延在する上面部を有し、鉛直方向に移動可能に前記容器内に設けられた可動プラットホームと、
    前記容器から未硬化の光硬化性流動材料を汲み上げて前記可動プラットホームの上面部に供給する流動材料供給手段と、
    前記可動プラットホームの前記上面部に対して平行方向に移動可能に設けられ、前記可動プラットホーム上の光硬化性流動材料の表面部を平坦化して所定層厚の未硬化材料層を形成するスクレーパと、
    前記可動プラットホーム上の前記未硬化材料層を選択的に硬化して所定層厚の硬化層を形成するために所定の光を選択的に露光する露光手段と、
    前記硬化層を下層の硬化層上に順次積層して立体を造形するよう前記可動プラットホーム、前記流動材料供給手段及び前記スクレーパの移動、並びに前記露光手段の作動を制御する制御手段と、を備え、
    さらに、前記光硬化性流動材料を加熱する少なくとも一つの加熱手段を有し、
    該加熱手段が、前記流動材料供給手段を介して、前記流動材料供給手段が汲み上げた未硬化の光硬化性流動材料を所定温度に保つように加熱するとともに、前記スクレーパにより前記可動プラットホーム上の光硬化性流動材料の表面部が平坦化されるときに、該スクレーパを介して前記可動プラットホーム上の前記光硬化性流動材料の表面部を所定温度に加熱することを特徴とする立体造形装置。
  4. 前記加熱手段が、さらに前記容器を介して、前記光硬化性流動材料を加熱することを特徴とする請求項1、2又は3記載の立体造形装置。
  5. 前記光硬化性流動材料に所定の周波数を有する振動を与える少なくとも一つの振動手段を備えたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の立体造形装置。
  6. 前記振動手段が、前記容器を介して該容器内の前記光硬化性流動材料に振動を与えることを特徴とする請求項5記載の立体造形装置。
  7. 前記振動手段が、前記流動材料供給手段を介して、該流動材料供給手段が汲み上げた未硬化の前記光硬化性流動材料に振動を与えることを特徴とする請求項5記載の立体造形装置。
  8. 前記振動手段が、前記スクレーパにより前記可動プラットホーム上の光硬化性流動材料の表面部が平坦化されるときに、該スクレーパを介して前記可動プラットホーム上の前記光硬化性流動材料の表面部に振動を与えることを特徴とする請求項5記載の立体造形装置。
  9. 前記振動手段が、前記容器、前記流動材料供給手段及び前記スクレーパによって前記可動プラットホーム上に供給される前記光硬化性流動材料及び前記可動プラットホーム上で平坦化される前記光硬化性流動材料のそれぞれに振動を与えることを特徴とする請求項5記載の立体造形装置。
  10. 前記流動材料供給手段が、前記可動プラットホームに対して移動可能なディッパを有し、
    前記加熱手段が、前記ディッパに形成され、所定温度の温水を通すジャケットを有することを特徴とする請求項1記載の立体造形装置。
  11. 所定の光によって硬化し得る未硬化の光硬化性流動材料を収容する容器と、
    水平方向に延在する上面部を有し、鉛直方向に移動可能に前記容器内に設けられた可動プラットホームと、
    前記容器から未硬化の光硬化性流動材料を汲み上げて前記可動プラットホームの上面部に供給する流動材料供給手段と、
    前記可動プラットホームの前記上面部に対して平行方向に移動可能に設けられ、前記可動プラットホーム上の光硬化性流動材料の表面部を平坦化して所定層厚の未硬化材料層を形成するスクレーパと、
    前記可動プラットホーム上の前記未硬化材料層を選択的に硬化して所定層厚の硬化層を形成するために所定の光を選択的に露光する露光手段と、
    前記硬化層を下層の硬化層上に順次積層して立体を造形するよう前記可動プラットホーム、前記流動材料供給手段及び前記スクレーパの移動、並びに前記露光手段の作動を制御する制御手段と、を備え、
    さらに、前記光硬化性流動材料を加熱する少なくとも一つの加熱手段を有し、
    該加熱手段が赤外線により、前記ディッパを加熱して前記プラットホームの上面部に供給される前記光硬化性流動材料を所定の温度に加熱するか、
    前記スクレーパを加熱して前記プラットホームの前記光硬化性流動材料の表面部を所定の温度に加熱するか、
    もしくは、前記プラットホームの前記光硬化性流動材料の表面部を直接所定の温度に加熱するか、のうち少なくとも1つの機能を有することを特徴とする立体造形装置。
  12. 容器内に収容した所定の光によって硬化し得る未硬化の光硬化性流動材料を用いて立体造形物を造形する方法であって、
    水平方向に延在する上面部を有する可動プラットホームを、前記容器内の光硬化性流動材料中に導入して、該可動プラットホームの上面部が前記光硬化性流動材料の上部自由液面から所定距離を隔てるよう配置するステップと、
    前記未硬化の光硬化性流動材料を前記可動プラットホームの上面部に供給するステップと、
    所定層厚の未硬化材料層を形成するよう前記可動プラットホーム上に供給された未硬化の前記光硬化性流動材料の表面部を平坦化するステップと、
    前記未硬化材料層の硬化層を形成するとともに該硬化層を下層の硬化層上に積層するよう前記未硬化材料層を選択的に露光するステップと、を含み、
    さらに、前記可動プラットホームの上面部に供給するよう前記容器から汲み上げた未硬化の光硬化性流動材料を所定温度に加熱し、又は、前記可動プラットホーム上に供給された未硬化の前記光硬化性流動材料の表面部を所定温度に加熱するステップを含むことを特徴とする立体造形物の造形方法。
  13. 前記容器から汲み上げた未硬化の光硬化性流動材料又は前記可動プラットホーム上に供給された未硬化の前記光硬化性流動材料の表面部に所定の周波数を有する振動を与えるステップを含み、
    該ステップで与える振動を、前記未硬化材料層を選択的に露光するステップの開始前に停止するステップを含むことを特徴とする請求項12に記載の立体造形物の造形方法。
  14. コンピュータが実行可能で、容器内に収容した所定の光によって硬化し得る未硬化の光硬化性流動材料を用いて立体造形物を造形する立体造形制御プログラムを記録した媒体であって、
    水平方向に延在する上面部を有する可動プラットホームを、前記容器内の光硬化性流動材料中に導入して、該可動プラットホームの上面部が前記光硬化性流動材料の上部自由液面から所定距離を隔てるよう配置するステップと、
    前記未硬化の光硬化性流動材料を前記可動プラットホームの上面部に供給するステップと、
    所定層厚の未硬化材料層を形成するよう前記可動プラットホーム上に供給された未硬化の前記光硬化性流動材料の表面部を平坦化するステップと、
    前記未硬化材料層の硬化層を形成するとともに該硬化層を下層の硬化層上に積層するよう前記未硬化材料層を選択的に露光するステップと、をそれぞれ実行する処理を含み、
    さらに、前記可動プラットホームの上面部に供給するよう前記容器から汲み上げた未硬化の光硬化性流動材料を所定温度に加熱し、又は、前記可動プラットホーム上に供給された未硬化の前記光硬化性流動材料の表面部を所定温度に加熱するステップを実行する処理を含むことを特徴とするプログラムを記録した媒体。
  15. 前記光硬化性流動材料に所定の周波数を有する振動を与えるステップを実行する処理をさらに含み、
    該ステップで与える振動を、前記未硬化材料層を選択的に露光するステップの開始前に停止する処理を含むことを特徴とする請求項14記載のプログラムを記録した媒体。
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