JP4040148B2 - キャブ下降防止装置付きキャブチルト装置 - Google Patents

キャブ下降防止装置付きキャブチルト装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャブオーバ形自動車においてキャブをシリンダ装置で持ち上げて転倒(チルト)させるキャブチルト装置であって、持ち上げたキャブが下降することを防止するキャブ下降防止装置が付設されたキャブ下降防止装置付きキャブチルト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、キャブオーバ形自動車はキャブを持ち上げてチルトさせることにより、エンジン部分の保守点検作業等が容易に行えるように構成されている。この場合、キャブは重量があるため、キャブと車体(フレーム)との間にシリンダ装置を介設し、このシリンダ装置の伸縮作動によりキャブのチルト操作を行うように構成されたキャブチルト装置が使用されることがある。
【0003】
このキャブチルト装置においては、シリンダ装置に故障が発生した時等にキャブが下降する危険を回避するために、キャブ下降防止装置が付設されている。一般的なキャブ下降防止装置は、シリンダ装置のピストンロッドの上端部に枢着されたステーと、ステーに切設された複数の歯と、シリンダ装置のシリンダに枢着され歯に噛合するロックレバーとを備えており、万一、油圧回路の故障等によってピストンロッドが下降し始めた場合にロックレバーがステーの最寄りの歯に噛合することにより、ピストンロッドの下降を阻止するように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のキャブ下降防止装置付きキャブチルト装置においては、特性上、シリンダ装置やチェック弁等からの油洩れによる微少の収縮が発生する。このとき、キャブ下降防止装置の解除操作を行うと、ステー端部とロックレバーとの係合部が干渉し合うため、解除されない場合が発生する。解除されない場合には、シリンダ装置を一度伸長作動させてから解除操作を実施した後に、シリンダ装置を短縮作動させてキャブを下降させるという煩わしい手順を実施する必要がある。
【0005】
本発明の目的は、キャブ下降防止装置の拘束を確実に解除させることができるキャブ下降防止装置付きキャブチルト装置を提供することにある。
【0006】
本発明に係るキャブ下降防止装置付きキャブチルト装置は、キャブとフレームとの間に介設されたシリンダ装置によってキャブがチルトされるように構成されているとともに、チルトされたキャブが下降することを防止するキャブ下降防止装置がシリンダ装置に付設されているキャブ下降防止装置付きキャブチルト装置であって
前記キャブ下降防止装置は、前記キャブに枢着された前記シリンダ装置のピストンロッド上端部に一端部が枢着されたステーと、前記ピストンロッド伸長時に前記ステーの下端面に係合するロックレバーとを備えており、
前記ステーは、前記下端面に前記ロックレバーが係合した時に前記キャブ側に移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
前記した手段によれば、ロックレバーの爪部がステーの下端面に干渉している状態において、解除レバーが回動されると、その回動力によってステーはキャブの方向に移動されるため、ロックレバーの爪部がステーの下端面から外れ、ステーおよびピストンロッドはシリンダに対して短縮可能な状態になる。そして、シリンダ装置が短縮作動されると、ステーおよびピストンロッドはシリンダに対して短縮作動するため、キャブは下降し水平の状態に戻ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態であるキャブ下降防止装置付きキャブチルト装置を示しており、(a)は側面図、(b)は主要部の拡大分解斜視図である。図2および図3はその作用を説明するための説明図である。
【0009】
本実施形態を図1(a)および図1(b)によって説明すると、本発明に係るキャブ下降防止装置付きキャブチルト装置は、キャブと車体(フレーム)との間に介設されてキャブのチルト操作を行うように構成されている。キャブ下降防止装置付きキャブチルト装置3はキャブ1とフレーム2との間に介設されたシリンダ装置4を備えており、シリンダ装置4はピストンロッド5の上端部がキャブ1に装備されたロストモーションリンクレバー装置7にピン8によって連結されており、シリンダ6の下端部がフレーム2にピン9によって回動自在に枢支されている。
【0010】
キャブ下降防止装置10はシリンダ装置4に付設されており、ピストンロッド5の上端部に一端部を枢着されたステー11を備えている。ステー11は剛性を有する金属材料からなり長い略H型鋼形状に形成されており、ステー11の中間部における両端辺には複数の歯12が鋸歯状に切設されている。歯12はそのキャブ側(以下、上側という。)が傾斜し、フレーム側(以下、下側という。)が端辺に対して略直角になるような略半台形形状に形成されている。
【0011】
ステー11のピストンロッド5への枢着端はキャブ1側に移動可能に構成されている。すなわち、ステー11の上端部には長孔13がステー11の長さ方向に長く開設されており、長孔13にはピストンロッド5およびロストモーションリンクレバー装置7に枢着されたピン8が回動かつ摺動自在に挿入されている。
【0012】
図2(a)において、シリンダ6の上端部にはチャンネル形状に形成されたスライドガイド14が、シリンダ6を跨ぐように配されて溶接等によって固定されており、スライドガイド14の内周とシリンダ6の外周との間にはステー11が摺動自在に挿入されている。シリンダ6の上端部におけるスライドガイド14の反対側にはブラケット15が配されて溶接等によって固定されており、ブラケット15には略ラチェット爪形状に形成されたロックレバー17の一端部がピン16によって回動自在に枢支されている。ロックレバー17の自由端部である上端部にはステー11の歯12に噛合自在な爪部18が形成されている。図1(a)において、ロックレバー17にはスプリング19の一端が係止されており、スプリング19の他端はスライドガイド14に係止されている。スプリング19はロックレバー17をその爪部18がステー11に接近する方向に常時付勢するようになっており、ロックレバー17の爪部18はロックレバー17がスプリング19で付勢されることにより、ステー11の歯12に噛合するようになっている。
【0013】
図2(a)において、ロックレバー17を枢支したピン16にはL字形状の解除レバー20がその中間部を回動自在に支承されており、解除レバー20の一方の自由端部である作用側端部21はロックレバー17にステー11の歯12との噛合を解除させる方向に係止されている。解除レバー20の他方の自由端部である力点側端部22にはケーブル23が係止されており、ケーブル23は人力またはアクチュエータ等の機械力により外力を付勢されて解除レバー20をスプリング19に抗して回動させるように構成されている。
【0014】
図1(a)において、スライドガイド14の一方の側面には停止スイッチ24が装備されており、停止スイッチ24の検出子25にはロックレバー17に突設されたプレート26が当接するようになっている。プレート26はロックレバー17がその爪部18がステー11の下端面11aと対向する位置まで回動しきった状態でのみ、停止スイッチ24の検出子25と当接するように設定されており、停止スイッチ24は検出子25にプレート26が当接したことをシリンダ装置4のコントローラ(図示せず)に送信するように設定されている。そして、コントローラは停止スイッチ24からの送信に基づいて、シリンダ装置4のピストンロッド5の伸長作動を停止するように設定されている。
【0015】
次に作用を説明する。
走行中等のキャブ1の通常状態において、キャブ下降防止装置付きキャブチルト装置3はシリンダ装置4のピストンロッド5が短縮されており、キャブ下降防止装置10におけるステー11はその略根元までスライドガイド14に挿入した状態になっている。
【0016】
エンジン部分の保守点検作業等に際して、キャブ1をキャブ下降防止装置付きキャブチルト装置3によってチルトされる場合には、シリンダ装置4のシリンダ6に油圧が供給されることにより、ピストンロッド5が伸長される。この際、ステー11の歯12の上面が上向きに傾斜されているため、ピストンロッド5の伸長に伴って上昇するステー11の歯12に対してロックレバー17は空滑りする状態になり、歯12と爪部18との噛合は発生しない。そして、ピストンロッド5と一緒にステー11が上昇してステー11の下端面11aにロックレバー17の爪部18が落ち込むと、プレート26が検出子25に当接することにより停止スイッチ24が発信するため、コントローラは停止スイッチ24からの送信に基づいて、シリンダ装置4のピストンロッド5の伸長作動を停止させる。この停止作用によって、ピストンロッド5の過度の伸長作動は自動的に防止される。
【0017】
エンジン部分の保守点検作業中等のキャブがチルトされている状態において、シリンダ装置4に故障等が発生し、キャブの荷重を受けてピストンロッド5が短縮しようとした場合、ステー11はこの短縮に追従して下降する状態になる。このとき、ステー11の歯列にスプリング19により常時押接されているロックレバー17における爪部18は、最寄りの歯12に直ちに噛合する。この噛合により、ステー11は歯12、ロックレバー17、ブラケット15を介してシリンダ6に支持された状態になる。これにより、ステー11が連結されているピストンロッド5は短縮を阻止されるため、キャブ1は下降を防止される。したがって、シリンダ装置4の故障時におけるキャブ1の下降による不慮の人身事故等を未然に防止することができる。
【0018】
保守点検作業後等にキャブを下降させたい場合には、ケーブル23によって解除レバー20をロックレバー17を持ち上げる方向に回動させることにより、ロックレバー17の爪部18と歯12との噛合を解除させればよい。ロックレバー17と歯12との噛合によるステー11についての拘束が解除された後に、キャブ1はシリンダ装置4のピストンロッド5の短縮に伴って下降される。
【0019】
ところで、従来においては、図3(a)に示されているように、シリンダ装置に図示しないチェック弁からの油洩れによる微少の収縮が発生し、ロックレバー17の爪部18がステー11の下端面11aに干渉している状態においては、ケーブル23を引いても解除レバー20を回動させることができない場合が発生していた。解除されない場合には、シリンダ装置4を一度伸長作動させることにより、図3(b)に示されているように、ステー11の下端面11aをロックレバー17の爪部18から一度離間させる。それから、図3(c)に示されているように、ケーブル23を引いて解除レバー20を回動させて、ロックレバー17の爪部18とステー11の下端面11aとの係合を解除させる。このようにして、ロックレバー17の爪部18のステー11の下端面11aとの係合を確実に解除させた後に、シリンダ装置4を短縮作動させてキャブ1下降させていた
【0020】
本実施形態においては、図1(a)に示されているように、ピストンロッド5のピン8がステー11の長孔13に長手方向に摺動自在に嵌入されていることにより、ステー11がピストンロッド5に対してキャブ1の方向に移動可能に取り付けられているため、たとえ、ロックレバー17の爪部18がステー11の下端面11aに干渉している状態においても、ケーブル23を引いて解除レバー20を回動させることができる。すなわち、ケーブル23が引かれることによって解除レバー20に回動力が作用すると、図2(a)に示されているように、その回動力はロックレバー17に対して爪部18でステー11の下端面11aを押し上げる力を付勢する。この押し上げ力を付勢されたステー11は図2(b)に示されているようにキャブ1の方向に移動することができるため、ステー11は解除レバー20の回動を妨げることなく、キャブ1の方向に移動することになる。解除レバー20が回動されると、図2(c)に示されているように、ロックレバー17が回動されるため、ステー11およびピストンロッド5はシリンダ6に対して短縮可能な状態になる。そして、シリンダ装置4が短縮作動されると、ステー11およびピストンロッド5はシリンダ6に対して短縮作動するため、キャブ1は下降し水平の状態に戻る。
【0021】
以上説明したように、本実施形態によれば、ピストンロッド5のピン8をステー11の長孔13に長手方向に摺動自在に嵌入させることにより、ステー11をピストンロッド5に対してキャブ1の方向に移動させることができるため、たとえ、ロックレバー17の爪部18がステー11の下端面11aに干渉している状態においても、ケーブル23を引いて解除レバー20を回動させてロックレバー17とステー11との係合を解除させることができる。したがって、煩わしい操作を必要とすることなく、ステー11およびピストンロッド5をシリンダ6に対して短縮させてキャブ1を下降させることができる。
【0022】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0023】
例えば、ピストンロッド5のピン8をステー11の長孔13に長手方向に摺動自在に嵌入させることにより、ステー11をピストンロッド5に対してキャブ1の方向に移動可能に構成するに限らず、達磨孔や大径孔等によってステー11をピストンロッド5に対してキャブ1の方向に移動可能に構成してもよい。
【0024】
また、長孔等をピストンロッドに設けるようにすることができる。すなわち、ピン8をステー11に固着してピストンロッド側に長孔を設けるようにする。この場合でも、前記実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ロックレバーの爪部がステーの下端面に干渉している状態においても、解除レバーを回動させてロックレバーとステーとの係合を解除させることができるため、煩わしい操作を必要とすることなく、ステーおよびピストンロッドをシリンダに対して短縮させることができ、キャブを容易に下降させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるキャブ下降防止装置付きキャブチルト装置を示しており、(a)は側面図、(b)は主要部の拡大分解斜視図である。
【図2】その作用を説明するための各一部省略一部切断部分側面図であり、(a)は解除レバーによるロックレバーの解除作用を示し、(b)はステーのキャブ方向への移動を示し、(c)は解除後を示している。
【図3】同じく比較例の各一部省略一部切断部分側面図であり、(a)はロックレバーがステー下端面に干渉している状態を示し、(b)はステー下端面をロックレバーから一度離間させる状態を示し、(c)は解除作用を示している。
【符号の説明】
1…キャブ、2…フレーム、3…キャブ下降防止装置付きキャブチルト装置、4…シリンダ装置、5…ピストンロッド、6…シリンダ、7…ロストモーションリンクレバー装置、8…ピン、9…ピン、10…キャブ下降防止装置、11…ステー、11a…下端面、12…歯、13…長孔、14…スライドガイド、15…ブラケット、16…ピン、17…ロックレバー、18…爪部、19…スプリング、20…解除レバー、21…作用側端部、22…力点側端部、23…ケーブル、24…停止スイッチ、25…検出子、26…プレート。

Claims (1)

  1. キャブとフレームとの間に介設されたシリンダ装置によってキャブがチルトされるように構成されているとともに、チルトされたキャブが下降することを防止するキャブ下降防止装置がシリンダ装置に付設されているキャブ下降防止装置付きキャブチルト装置であって
    前記キャブ下降防止装置は、前記キャブに枢着された前記シリンダ装置のピストンロッド上端部に一端部が枢着されたステーと、前記ピストンロッド伸長時に前記ステーの下端面に係合するロックレバーとを備えており、
    前記ステーは、前記下端面に前記ロックレバーが係合した時に前記キャブ側に移動可能に構成されていることを特徴とするキャブ下降防止装置付きキャブチルト装置。
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