JP4039855B2 - ε−カプロラクトン重合物の連続製造方法 - Google Patents

ε−カプロラクトン重合物の連続製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ε−カプロラクトン重合物の連続製造方法に関する。更に詳しくは、ε−カプロラクトン重合物を加熱し、減圧下もしくは不活性ガス流通下に未反応のε−カプロラクトンを連続的に除去、回収するε−カプロラクトン重合物の連続製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ε−カプロラクトンは、水酸基等の活性水素を有する開始剤と、触媒の存在下、加熱することにより開環重合させることが可能で、一般に高分子量化が困難といわれる脂肪族ポリエステルのなかにあって、容易に高分子量化できる特徴を有する。そのため多くのポリエステル原料として使用されているが、反応の速度がε−カプロラクトン濃度に依存すること、高温下においてはε−カプロラクトンが再生する解重合が起こることから、反応によりε−カプロラクトン濃度を低下させることには、限界がある。特に高融点のポリマーとの共重合物については、反応温度を高く維持する必要があり、解重合の影響を無視できない。
水酸基および/またはエステル結合を有するポリマーとε−カプロラクトンを含有する環状エステル類との反応により得られるポリマーとして、結晶性芳香族ポリエステルとラクトン類の開環重合により、ポリエステル系ブロック共重合ポリマーの製造方法が特公昭48−4116号、特公昭52−49037号、特公平8−9661号、特公平7−76263号、特開平3−263425号等の各公報に記載されている。
【0003】
この内特公昭52−49037号、特公平8−9661号、特公平7−76263号、特開平3−263425号の各公報には、残存のモノマーを除去する方法として、減圧下にて融点以上の温度で脱モノマーする方法が紹介されている。これらは何れも溶融下にて減圧処理を行なうものであるが、ε−カプロラクトンの回収方法に関する具体的な方法が示されておらず、実際にこれらの方法は長時間、連続して実施しようとする場合、十分なものではなかった。
一方、特開昭60−31525号、特公平5−23290号の各公報には、結晶性芳香族ポリエステルとラクトン類の開環重合により得られるポリエステル系ブロック共重合ポリマーを更に、融点以下、170〜215℃の温度条件にて固相の状態で重合することによるより高分子量化されたポリマーの製造方法が記載されている。これらは何れも真空下あるいはガス流通下にて加熱処理するものであるが、除去されるε−カプロラクトンの回収方法は一切記載されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ε−カプロラクトン重合物を工業的に製造する際に問題となるポリマー中のε−カプロラクトンを除去する製造方法において、連続運転が可能なε−カプロラクトンの回収方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために、鋭意検討した結果、回収されるε−カプロラクトンとカプロラクトンダイマーとの重量割合を特定することにより、重合物中に残存するε−カプロラクトンを低減することができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、減圧下もしくは不活性ガス流通下に、ε−カプロラクトン重合物を加熱し、未反応のε−カプロラクトンを該重合物から揮発させ、さらにその揮発分を含む気相部を冷却して未反応のε−カプロラクトンを回収するε−カプロラクトン重合物の製造方法であって、回収されるε−カプロラクトンのカプロラクトンダイマーに対する重量割合を5倍超にすることを特徴とするε−カプロラクトン重合物の連続製造方法を提供する。本発明では、冷却し、未反応のε−カプロラクトンを回収する工程を、20〜65℃の間に温度管理された回収工程と、−2〜30℃に温度管理された回収工程とで構成する。
本発明では、回収されるε−カプロラクトンのカプロラクトンダイマーに対する重量割合を10倍以上にしてもよい。また、ε−カプロラクトン重合物、水酸基および/またはエステル結合を有するポリマーとε−カプロラクトンとの共重合物であってもよく、水酸基および/またはエステル結合を有するポリマー、ポリエステルであってもよいさらに、本発明は、前工程として、ε−カプロラクトンの開環重合工程を更に含んでもよい
本発明は、ε−カプロラクトンを単独又は他の化合物と開環重合させる重合工程;処理装置(1)において、減圧下もしくは不活性ガス流通下に、ε−カプロラクトン重合物を加熱して、ε−カプロラクトン及びカプロラクトンダイマーを含む揮発分を該重合物から揮発させる脱モノマー工程;及び回収装置(3)において、該揮発分を含む気相部を冷却してε−カプロラクトンを液体として回収する回収工程からなるε−カプロラクトン重合物の製造方法であって、未反応のε−カプロラクトンを回収する工程を、20〜65℃の間に温度管理された回収工程と、−2〜30℃に温度管理された回収工程とで構成し、回収液中のε−カプロラクトン/カプロラクトンダイマーの重量割合が5倍超にすることにより回収工程における閉塞を防止することを特徴とするε−カプロラクトン重合物の連続製造方法を提供する。脱モノマー工程におけるε−カプロラクトン重合物の加熱温度120〜300℃であってもよい
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明における各種のε−カプロラクトン重合物について説明する。
ε−カプロラクトン重合物は、アルコール類、アミン類、水等の活性水素を含有する化合物や、有機金属化合物、金属アルコキサイド等を開始剤として、無触媒、もしくは触媒の存在下ε−カプロラクトンを開環重合せしめて得られる重合物であり、通常ポリカプロラクトンと称され、未反応のε−カプロラクトンを含有するものであれば、特に制限はない。
【0008】
即ち本発明においては、ε−カプロラクトンと共重合可能な、環状エステル類やラクタム類が用いられていてもよい。環状エステル類とは、ヒドロキシカルボン酸の二分子間環状エステル、ラクトン類が含まれる。
ラクトンとは、分子内環状エステル構造を有するものを云い、具体的には、例えばε−カプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5,5−トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラクトン等の各種メチル化カプロラクトン、α,α−ジメチル−β−プロピオラクトン、ドデカノラクトン、β−プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、3−アルキルバレロラクトン、β,β−ジアルキルバレロラクトン、ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸のラクトン、イソクマリン、クマリン、ヒドロキシクマリン、フタライド等である。これらのうち、ε−カプロラクトンが好ましく用いられる。本発明のε−カプロラクトン重合物においてε−カプロラクトンは必須成分である。
【0009】
ε−カプロラクトンは単独で開環重合させ、ε−カプロラクトン重合物を製造させることができるが、1種以上のラクトン類やヒドロキシカルボン酸の二分子間環状エステルと共重合させることも出来る。その場合、二分子間環状エステルとラクトンの重合比率は、目的とするポリマーにより種々変えることができるが、二分子間環状エステルとラクトンの組み合わせを種々選定することによって、互いに好ましい性質を付加させることができる。重合後の環状エステル類の結晶性を低下させ、調整するのに特に有用である。
【0010】
前記ヒドロキシカルボン酸の二分子間環状エステルとは、二分子のヒドロキシカルボン酸が分子間で脱水環状エステル化したものであり、例えば、一部は、下記一般式1で表される乳酸、グリコール酸、エチルグリコール酸およびジメチルグリコール酸の二分子間環状エステルであるジグリコライド、ジラクタイド、ジエチルグリコライド、メチルグリコライド、α,α−ジメチルグリコライド、トリメチルグリコライド、テトラメチルグリコライド、またL−乳酸またはD−乳酸が各々、二分子間で環状エステル化したL−ジラクタイド、D−ジラクタイド、D,L−乳酸の二分子が環状エステル化したD,L−ジラクタイド、L−乳酸またはD−乳酸の一分子ずつが環状エステル化したMESO−ジラクタイド等のジラクタイド類、あるいはα−ヒドロキシ酢酸、α−ヒドロキシ吉草酸、α−ヒドロキシイソ吉草酸、α−ヒドロキシカプロン酸、α−ヒドロキシイソカプロン酸、α−ヒドロキシ−β−メチル吉草酸、α−ヒドロキシヘプタン酸、α−ヒドロキシオクタン酸、α−ヒドロキシデカン酸、α−ヒドロキシミリスチン酸、α−ヒドロキシステアリン酸のヒドロキシ酸類の二分子間環状エステルを云う。
【0011】
【化1】
Figure 0004039855
【0012】
本発明において、ε−カプロラクトンと同時に用いられる環状エステル類は、本質的にε−カプロラクトンの沸点よりも低い沸点であることが好ましい。
本発明で云う、ε−カプロラクトン重合物は、水酸基及び/またはエステル結合を有するポリマーとε−カプロラクトンとの開環重合により得られる共重合体であってもよい。このような共重合体は、通常ポリカプロラクトンを取り扱うよりも高い温度で取り扱う必要があるため、解重合の影響がより無視できない場合が多い。
【0013】
本発明に用いられる、水酸基及び/またはエステル結合を有するポリマーのうち、水酸基を有するポリマーとしては、ポリビニルアルコール、澱粉、セルロース、セルロースエーテルがあり、これらのポリマーとε−カプロラクトンとの共重合物は、グラフト系重合に近い重合体が得られ易く、ポリオキシアルキレンエーテルはブロック系重合に近い重合体が得られ易い。
またエステル結合を有するポリマーとしては、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル/エチレン共重合体、ポリアクリレート、ポリアクリレート系共重合体、ポリアミド、ポリカーボネートが挙げられる。水酸基及びエステル結合を有するポリマーとしては、セルロースエステル、ポリエステルが挙げられる。これらは2種以上混合して使用することができる。この中で特に結晶性芳香族ポリエステルが好ましい。これらは、末端にヒドロキシル基又はカルボキシル基を持つものが好ましい。
【0014】
結晶性芳香族ポリエステルとは、主にフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等から1種以上選択される芳香族ジカルボン酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ベンタンジオール、ヘキサメチレングリコール、オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、キシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール等から1種以上選択される脂肪族ジオールから構成される結晶性を有する樹脂である。またジカルボン酸成分として、全ジカルボン酸成分中のモル分率として、こはく酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸から選択される脂肪族ジカルボン酸を用いてもよい。具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、又はこれらを中心に構成されるポリエステル系エラストマーが挙げられる。これらの好ましい融点は170℃以上である。
【0015】
反応に際しての共重合成分の比率は、目的とするε−カプロラクトン重合物の求められる性質によって異なるが、ε−カプロラクトンを含有する環状エステル類と水酸基及び/またはエステル結合を有するポリマーの共重合において環状エステル類/(水酸基および/またはエステル結合を有するポリマー)の重量比率は通常は、99/1〜1/99、好ましくは5/95〜75/25、更に好ましくは10/90〜60/40である。
ε−カプロラクトン重合物は、ε−カプロラクトン単独で、または開始剤、水酸基および/またはエステル結合を有するポリマーの存在下、加熱溶融状態にて混合、攪拌することにより得られる。
【0016】
ε−カプロラクトンの開環重合反応温度は、任意に設定されるが、120℃〜300℃、より好ましくは150〜250℃の範囲で設定される。環状エステルとして2分子環状エステルを含む場合には150〜190℃である。環状エステルがラクトン類のみにより構成される場合においては、150〜300℃、より好ましくは180〜250℃である。また、水酸基および/またはエステル結合を有するポリマーを用いる場合、その融点もしくは軟化温度より15℃低い温度〜50℃高い温度、より好ましくは軟化温度もしくは融点〜20℃高い温度が好ましい。具体的には150〜300℃、より好ましくは150〜250℃である。特に、結晶性芳香族ポリエステルを用いる場合には180〜300℃、より好ましくは225〜260℃である。
【0017】
ε−カプロラクトンと水酸基および/またはエステル結合を有するポリマーの開環重合反応は、通常、不活性ガス下もしくは反応器を重合成分にて満たした状態、即ち本質的に気相部を有しない状態で行なう。従って反応時の圧力は、常圧下または加圧下行なわれる。
環状エステル類と水酸基及び/またはエステル結合を有するポリマーとを反応させる場合の、環状エステル類、特にε−カプロラクトンの反応率は任意に設定し得るが、反応率が高い場合には環状エステル類の重合速度が低下する一方でエステル交換等の反応が進行するため、特に結晶性芳香族ポリエステルをポリマーとして使用する場合には融点が低下する。好ましい反応率は75〜99%であり、より好ましくは90〜97.5%である。残存のε−カプロラクトン濃度としては、0.3〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%である。反応時間は、用いる原料および比率、反応温度、目標とする反応率により変化するが、一般に0.2〜20時間、より好ましくは0.5〜10時間、さらには0.5〜5時間である。
【0018】
このような開環重合反応は、無触媒でも可能であるが、一般に開環重合、エステル化反応、エステル交換反応に使用し得る触媒の存在下行なってもよい。特に好適なものとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、砒素、セリウム、カドミウム、マンガンのような金属、その有機金属化合物、有機酸塩、アルコキシド、ハライド等である。特に好ましいものとしては、有機錫、有機アルミニウム、有機チタン化合物で、有機錫カルボン酸塩、有機錫ハロゲン化物、錫カルボン酸塩、錫ハロゲン化物、トリイソブチルアルミニウム、アルミニウムトリアルコキシレート、チタン酸テトラブチル、二酸化ゲルマニウム、三酸化アンチモン等である。これらの触媒は2種以上併用してもよい。
【0019】
また本発明に用いるε−カプロラクトン重合物としては、目的に応じ、水、乳酸、グリコール酸及び他のアルコールまたはカルボン酸等の分子量調節剤(連鎖移動剤)、官能基としてカルボキシル基、水酸基および他のエステル形成性基より選択される官能基を3官能以上有する化合物を用いた低分子量のポリマーを挙げることもできる。更に、本発明のε−カプロラクトン重合物には一般に用いられるポリマー添加剤である酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等が含まれていても特に制約無く、本発明のε−カプロラクトン重合物に用いることができ、これらは反応途中で反応系に添加することができる。また、本発明のε−カプロラクトン重合物製造反応の間、先に述べた共重合可能な成分はもとより、イソシアネート類、酸無水物、エポキシ基を有する化合物等を更に追加添加することも可能であり、ポリマーの性能を改質することができる。
【0020】
環状エステル類と水酸基および/またはエステル結合を有するポリマーの開環重合反応は、回分式あるいは連続式の反応器を用いて行なわれる。回分式は、樹脂取り出し時の時間経過によりε−カプロラクトンを含有する環状エステル類の反応率が変化し、その後本発明の方法により処理されるε−カプロラクトン重合物に含まれる未反応量が変化するため、連続式の反応器を用いるほうが好ましい。また、連続重合により得られる樹脂は加熱時間、加熱温度等を安定させることにより、ロット内の色相、分子量、融点等を安定させることができる。
ε−カプロラクトン重合物の分子量は、原料の構成比率に依存するが、重量平均分子量1000〜500000、より好ましくは10000〜300000である。
【0021】
以上のようにして得られたε−カプロラクトン重合物は、未反応のε−カプロラクトンおよび他の揮発性不純物を含有する。ε−カプロラクトンを開環重合反応により本質的に存在しない領域まで低減することは困難である。通常開環重合反応は残存のε−カプロラクトンの濃度に比例するため、反応終期においての減少速度は極めて遅い。ε−カプロラクトンは、重合後のポリカプロラクトン末端での解重合反応により再生する可能性があり、このこともε−カプロラクトン濃度を低減させることを困難にさせていると考えられる。同時におそらく同様の反応または熱分解反応により複数の揮発性成分が生成する。これらもまた、溶融加工時においてブリードアウト等の問題を引き起こすため、ε−カプロラクトンと同様に除去すべき物質である。
【0022】
本発明における操作はε−カプロラクトン重合物が溶融状態であっても、また固体状であってもよく、そのためε−カプロラクトンと水酸基及び/またはエステル結合を有するポリマーより得られるε−カプロラクトン重合物の融点は特に規定されないが、150℃以上が好ましく、さらには170℃以上であるときに本発明の効果がより顕著に現れる。一方融点は300℃以下、より好ましくは250℃以下である。高温下での処理はε−カプロラクトンをはじめ多くの揮発成分を生成するため、回収設備の負荷が増大し、その分本発明の効果が顕著に現れる。
【0023】
ε−カプロラクトン重合物の処理温度は、120〜300℃が好ましい。さらに好ましくは170〜250℃である。これより低いとε−カプロラクトンをはじめとする揮発成分の除去が遅く、且つ十分に除去することができない。またこれより高い温度では処理中に樹脂の物性が変化するため、得られる樹脂物性を安定に保つことが困難となり、特に熱分解等により色相等が悪化する。
本発明においてε−カプロラクトン重合物を処理する圧力は、常圧〜減圧状態である。常圧の場合、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを加熱下ε−カプロラクトン重合物と連続的に接触させて行なわれる。また、減圧状態に保つ場合の圧力は、50torr以下、より好ましくは10torr以下、さらには1torr以下である。減圧しながら、さらに不活性ガスを流通させてもよい。不活性ガスの流通量は、揮発成分の除去効率と処理時間を確認しながら任意に設定される。不活性ガスは予め望まれる処理温度付近まで加熱することが好ましい。
【0024】
本発明の製造に用いられる装置は、ε−カプロラクトン重合物を加熱保持することが可能で、全体が均一に保たれるよう工夫されたものが好ましい。装置は反応器型で攪拌羽根を有するものであってもよいし、装置自体が振動、回転し攪拌するものでもよい。さらには円柱形等もしくは塔型であってもよく、さらに2軸以上の攪拌軸を有する装置が好ましい。このような場合は連続式の処理に好適に用いられる。さらに固体状で取り扱う場合は、塔型の装置であってペレットを積極的には攪拌しない装置であっても、流通するガスが均一に流れるよう工夫されていればよく、さらには棚段式の乾燥機であってもよい。装置は保温材等を使用し、ε−カプロラクトン重合物温度が十分に高められるよう工夫することが望ましく、さらにはジャケット等を設置し、蒸気、熱媒等によりガス温度と同様の温度に加熱してもよい。装置は何れも気相部に、揮発成分を取り出すための排出口を1箇所以上に有している。
【0025】
本発明の処理時間または滞留時間は、ε−カプロラクトン重合物の処理温度、攪拌状態、初期ε−カプロラクトン濃度、目標濃度等により変化するが、一般に2分〜10時間、より好ましくは5分〜2時間の範囲内で行なわれる。これらは、処理温度等と合わせて、経済性はもとより樹脂への影響を考慮し、選定される。
本発明においては、気相部より、冷却、凝縮、凝縮物の排出の操作により揮発成分を回収する工程が必須である。このような工程は、減圧下に処理される場合には加熱下に溶融する装置と減圧に保つために設置された排気装置との間に設置され、常圧下に処理される場合には処理装置排気口に配管等を介して接続されて設置される。
なお、ε−カプロラクトン重合物は回分式に処理しても、連続的にまたは断続的に処理しても差し支えない。本発明において云う連続とは、本質的に揮発成分の回収に使用した配管、装置を遮断、又は停止し、再生あるいは洗浄を行なわないことを示し、例えば同一の回分式処理装置に接続された回収装置を、断続的に使用する場合も含まれる。特にε−カプロラクトン重合物の処理自体が、ε−カプロラクトン重合物の供給、排出を伴うような場合、洗浄が困難であり、本発明の効果がより顕著に現れる。
【0026】
前記回収装置とは何れも、冷却、凝縮および凝縮成分の排出が可能な装置である。すなわち、ある一定の温度に保つことができ、より効率良く気相部分を冷却できるよう、気相との接触面積を広くとるよう設計され、凝縮した成分が装置面もしくは装置空洞部を移動し特定の部分に集められた後、排出することが可能な装置である。このような装置としては、通常熱交換器、コンデンサーと呼ばれる装置や蒸留塔のような装置およびタンク類、排出のためのポンプ類、を組み合わせて使用される。
【0027】
このようなε−カプロラクトンの冷却、回収は、環境上の問題を回避するばかりでなく、再度精製し、使用することにより経済上もメリットがある。しかしながら、このような操作を長時間連続的に行なう場合、析出物により配管や装置内が閉塞し、減圧度の低下やガスの流通が困難となり、実質的に連続的な運転が困難であることが確認された。分析の結果、前記析出物の多くはカプロラクトンダイマーであることが判った。カプロラクトンダイマーとは、2分子のε−カプロラクトンから形成される環状2量体である。
【0028】
本発明は、回収されるε−カプロラクトンとカプロラクトンダイマーとの重量割合を限定して実施される。回収されるとは、冷却前の気相部中に含まれるε−カプロラクトンとカプロラクトンダイマーを冷却回収操作により凝縮させ、冷却回収装置より抜き出すことである。回収される量とは、冷却前の気相部中に含まれるε−カプロラクトンとカプロラクトンダイマー量から、冷却回収操作により凝縮し得なかったε−カプロラクトンとカプロラクトンダイマー量を差し引いた量を云う。本発明において、ε−カプロラクトンのカプロラクトンダイマーに対する重量割合は5倍超、好ましくは、10倍以上である。この重量割合が低いと、前述のようなカプロラクトンダイマーをはじめとする析出成分の影響により、連続的な操作は困難となる。
【0029】
回収されるε−カプロラクトンとカプロラクトンダイマーの重量割合を変化させる因子は種々存在する。例えば、重合工程では、ε−カプロラクトン量は徐々に反応により低下するが、カプロラクトンダイマーは徐々に増加する傾向があり、本質的に反応時間、反応率等、触媒の有無、種類、量等の重合条件の制御により効果的にこの2成分の重量割合を制御できる。従って、反応温度、触媒種、触媒量、水酸基量、ε−カプロラクトン使用量等が影響する。しかしながら、バッチ処理の場合には各工程の移行時間により反応率等を一定に保つことは困難であり、また減圧下未反応ε−カプロラクトン、カプロラクトンダイマーを除去する操作においても徐々に解重合によりそれぞれが生成する反応が進行し、さらに条件によって実際に除去、回収される量が変化する。
本発明においては、回収操作の温度は2以上の異なる温度に保持される。そのために2以上の回収装置を組み合わせてもよいし、同一装置内の加熱部分を2以上に分離し、それぞれ設定してもよい。
【0030】
本発明においては、気相部を通り排出される揮発成分は、まず、20〜65℃、好ましくは30〜50℃に保持された回収装置に供給される。この温度がより低いと、カプロラクトンダイマーが析出して本発明の効果は発現し得ない。逆に高いと、回収設備としての効果が低下し、実質上引き続き行なわれるより低温での回収操作にのみ依存し、無駄が多い。必要に応じて、ついで気相部を通り排出される揮発成分は、−2〜30℃、好ましくは0〜20℃に設定された回収装置に供給される。この温度がより高いと、回収装置としての能力が低下し、気相中に残存するε−カプロラクトン濃度が増加し、環境に悪影響を与えたり、真空ポンプ等の機器に悪影響を与える。逆に低いとε−カプロラクトンが結晶化してしまい、回収操作が困難となる。
装置の大きさ等は任意に設定し得る。揮発性分量、減圧度や、装置形状により変化するが、排出されるガス中の揮発成分濃度を考慮しつつ条件設定することが望ましい。
本発明においては、上記の回収装置以降に、さらに−2℃以下に保持された回収装置、または、吸着剤を充填した吸着装置を設置してもよい。このような装置は吸着成分やε−カプロラクトンの排出が困難であるため、必要に応じて2機以上を並列に配することにより、交互に加熱再生するための操作を行なう。
【0031】
次に、本発明方法の一実施態様例を図面を用いて説明する。第1図は本発明方法の一実施態様例を示すフローシートである。
まず、処理装置1はε−カプロラクトン重合物を減圧下、または不活性ガス流通下処理するための回分式装置であり、ε−カプロラクトンを含有する揮発成分は配管2を通り回収装置3に導かれる。配管2は揮発成分の析出を防止するために、処理装置1と同様の温度であり、少なくとも115℃以上である温度に維持されることが好ましい。回収装置3は30〜65℃に保持される。ついで揮発成分は回収装置4に導入される。回収装置4は−2〜30℃に保持される。回収装置4の上部に設置された配管には、場合によりより低温度の回収装置もしくは吸着塔を接続した後、不活性ガスの排出または、真空ポンプ等の減圧装置が接続される。回収装置3、4により凝縮した揮発性成分はタンク6に貯蔵され、またはされずに底部に設置されたバルブ、ポンプ等により排出される。このような装置では、処理装置1内にて処理されたε−カプロラクトン重合物を取り出し、さらに次回分の未処理のε−カプロラクトン重合物の処理を、回収装置の洗浄等を行なわずに実施する。
【0032】
さらに本発明を開環重合を含めて連続的に行う場合の実施態様例を図面を用いて説明する。第2図は一実施態様例を示すフローシートである。
連続処理装置21に接続した重合物供給口23より、ε−カプロラクトン重合物を連続的に供給し、減圧下もしくは不活性ガス流通下処理する。処理後の重合物は樹脂排出口24より、やはり連続的に排出される。揮発成分は気相部に接続された配管22を介して回収装置25および26に導入される。回収装置25は30〜65℃に保持され、回収装置26は−2〜30℃に保持される。回収装置26上部に設置された配管には、場合によりより低温度の回収装置もしくは吸着塔を接続した後、不活性ガスの排出または、真空ポンプ等の減圧装置が接続される。回収装置25、26により凝縮した揮発性成分はタンク28に貯蔵され、またはされずに底部に設置されたバルブ、ポンプ等により排出される。
本発明の効果は、さらにε−カプロラクトンの重合をも連続的に行なう場合、より好適に実施し得る。連続的に重合を行なうことにより、揮発成分としてのε−カプロラクトン量とカプロラクトンダイマー量が安定し、結果として回収装置の連続運転も安定する。またこのような運転を行なう場合、実質的に回収装置のみを停止することは困難であり、本発明によらなければ2以上の回収装置を並列に配し、一定の周期をもって切り替え、再生する操作が必要となる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお%及び部は、特に記載しない限り全て重量%および重量部を表す。
(ε−カプロラクトン濃度、カプロラクトンダイマー濃度)
島津製作所(株)製GC−14Aを用い、カラムとして内径3.2mm長さ2.1mのガラス製カラムに、PEG20M10%/ユニポートHPSを充填したものを使用した。サンプル0.5gと内部標準物質としてジフェニルエーテルを0.1gを正確に量り取り、HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)20gに溶解させた。180℃一定温度にて8分保持した後、220℃まで徐々に上昇させ、220℃に到達した状態でさらに安定に保った。窒素をキャリアーとして測定し得られた結果は内部標準法により計算し、ε−カプロラクトン濃度およびカプロラクトンダイマー濃度を求めた。
【0034】
(実施例1)
50リットルの攪拌機付き反応器上部に接続されたバルブを介して、30℃に保持したコンデンサー3と5℃に保持したコンデンサー4とを、3が下になるように直列に配置した回収装置下部に接続する。反応器と回収装置を接続する配管は、揮発成分の凝縮を防止するために加熱、保温する。コンデンサー3の下部には反応器から気相部を導入する配管と、凝縮成分を一時貯蔵するためのフラスコ6配した。コンデンサー4上部から−30℃に設定したコールドトラップを介して接続した油拡散ポンプにより減圧に保った。
ポリブチレンテレフタレート12kg、ε−カプロラクトン8kgを反応槽内にて加熱攪拌し、230℃にて1時間開環重合反応を行った。ついで、徐々に減圧にし、1torr下に1時間保持した。その後減圧状態を解除し、フラスコ6中の成分のみ取り出した。フラスコ内の成分は一部固形分を有していたが、30℃に加熱することにより均一の溶液とすることができ、取り扱い上の問題はなかった。
コールドトラップ内にはほとんど凝縮成分は確認されなかった。コンデンサー3内管部には僅かに固形分の析出が確認された。
回収装置に析出した固形分を洗浄することなく、上記の操作を10バッチ連続で操作したが、問題なく減圧操作を行なうことができた。この間、コンデンサー3内管部の固形分は増加と減少を繰り返したが、操作上問題はなかった。
10バッチ操作後にコンデンサー内部を洗浄し、すべての凝縮成分についてε−カプロラクトン量およびカプロラクトンダイマー量を確認したところ、ε−カプロラクトン/カプロラクトンダイマー比は重量比で5.3倍であった。処理後の共重合体中に含まれるε−カプロラクトンの濃度は、510〜620ppm、カプロラクトンダイマーの濃度は480〜650ppmであった。
【0035】
(実施例2)
ポリブチレンテレフタレート11.5kg、ε−カプロラクトン8.5kgを使用した以外は、実施例1と同様にして検討を行なった。
コールドトラップ内にはほとんど凝縮成分は確認されなかった。コンデンサー3内管部にはほとんど固形分の析出が確認されなかった。
回収装置に析出した固形分を洗浄することなく、上記の操作を10バッチ連続で操作したが、問題なく減圧操作を行なうことができた。
10バッチ操作後にコンデンサー内部を洗浄し、すべての凝縮成分についてε−カプロラクトン量およびカプロラクトンダイマー量を確認したところ、ε−カプロラクトン/カプロラクトンダイマー比は重量比で10.2倍であった。処理後の共重合体中に含まれるε−カプロラクトンの濃度は、470〜580ppm、カプロラクトンダイマーの濃度は430〜560ppmであった。
【0036】
(比較例1)
ポリブチレンテレフタレート、ε−カプロラクトンの他にさらにテトラブチルチタネート2gを用いた以外は実施例1と同様にして検討を行なった。
コールドトラップ内にはほとんど凝縮成分は確認されなかった。コンデンサー3内管部には特に下部を中心に固形分の析出が確認された。
回収装置に析出した固形分を洗浄することなく、上記の操作を5バッチ連続で操作したが、5バッチ目で減圧度が不安定になる傾向が確認され、コンデンサー内部を確認したところ析出した固形分によりほとんど閉塞していることが確認された。
5バッチ操作後にコンデンサー内部を洗浄し、すべての凝縮成分についてε−カプロラクトン量およびカプロラクトンダイマー量を確認したところ、ε−カプロラクトン/カプロラクトンダイマー比は重量比で2.8倍であった。5バッチ目の処理後の共重合体中に含まれるε−カプロラクトンの濃度は、680ppm、カプロラクトンダイマーの濃度は750ppmであった。
【0037】
(実施例3)
コンデンサー3を40℃に保った以外は実施例1と同様にして検討を行なった。
フラスコ壁部に一部固形分が付着していたが操作上全く問題なかった。
コールドトラップ内にはほとんど凝縮成分は確認されなかった。コンデンサー3内管部にはほとんど固形分の析出が確認されなかった。
回収装置に析出した固形分を洗浄することなく、上記の操作を10バッチ連続で操作したが、問題なく減圧操作を行なうことができた。
10バッチ操作後にコンデンサー内部を洗浄し、すべての凝縮成分についてε−カプロラクトン量およびカプロラクトンダイマー量を確認したところ、ε−カプロラクトン/カプロラクトンダイマー比は重量比で5.2倍であった。
【0038】
(実施例4)
コンデンサー3を60℃に保った以外は実施例1と同様にして検討を行なった。
フラスコ内の凝縮成分は全くの均一であり、固形分は観測されず、操作上全く問題なかった。
コールドトラップ内にはほとんど凝縮成分は確認されなかった。コンデンサー3内管部にはほとんど固形分の析出が確認されなかった。
回収装置に析出した固形分を洗浄することなく、上記の操作を10バッチ連続で操作したが、問題なく減圧操作を行なうことができた。
10バッチ操作後にコンデンサー内部を洗浄し、すべての凝縮成分についてε−カプロラクトン量およびカプロラクトンダイマー量を確認したところ、ε−カプロラクトン/カプロラクトンダイマー比は重量比で5.3倍であった。
【0039】
(比較例2)
コンデンサー3を70℃に保った以外は実施例1と同様にして検討を行なった。しかしながら、時折減圧度が低下する現象が確認され、安定性に問題があることが確認された。
フラスコ内の凝縮成分は全くの均一であり、固形分は観測されず、操作上全く問題なかった。
コールドトラップ内にはほとんど凝縮成分は確認されなかった。コンデンサー3内管部にはほとんど固形分の析出が確認されなかった。
回収装置に析出した固形分を洗浄することなく、上記の操作を10バッチ連続で操作したが、問題なく減圧操作を行なうことができた。
10バッチ操作後にコンデンサー内部を洗浄し、すべての凝縮成分についてε−カプロラクトン量およびカプロラクトンダイマー量を確認したところ、ε−カプロラクトン/カプロラクトンダイマー比は重量比で5.0倍であった。
【0040】
(実施例5)
内径30mm、L/D=42の2軸押出機に、ポリブチレンテレフタレートを供給し、さらにベント口よりε−カプロラクトンを供給する。ポリブチレンテレフタレートは予め乾燥している。2軸押出機は240℃にすべて設定されており、ポリブチレンテレフタレート溶融後、ε−カプロラクトンと混合すると同時に開環重合せしめる。押出機出には配管23を介して230℃に温度設定した栗本鉄工所製連続式ニーダー(KRC−S2V)21を接続した。KRC上部には配管22を介し、実施例1と同様にコンデンサー25、コンデンサー26、フラスコ28、コールドトラップ、真空ポンプを接続した。フラスコ28としては、加熱保持できるようジャケットを有するもので、フラスコ上部および下部にバルブを有するものを使用し、バルブ操作により減圧下においても凝縮成分を抜き出せるようにした。KRCからは減圧処理後の樹脂が連続的に取り出され、冷却後ペレット状にカットした。
ポリブチレンテレフタレート3kg/Hr、ε−カプロラクトン2kg/Hrにて供給し、2軸押出機は100rpmにて攪拌し、KRCは50rpmにて操作した。減圧度は1torrに保った。コンデンサー25およびフラスコ28を40℃に、コンデンサー26を5℃に保持した。
運転開始より60時間、連続して重合、処理運転を行なったが、コンデンサー25内部にはほとんど固形分の析出は確認されず、安定して運転することができた。
60時間後にコンデンサー内部を洗浄し、すべての凝縮成分についてε−カプロラクトン量およびカプロラクトンダイマー量を確認したところ、ε−カプロラクトン/カプロラクトンダイマー比は重量比で5.7倍であった。5時間毎にサンプリングし確認した共重合体中に含まれるε−カプロラクトンの濃度は、460〜500ppm、カプロラクトンダイマーの濃度は400〜480ppmであり、安定していた。
【0041】
(比較例3)
ポリブチレンテレフタレート2.4kg/Hr、ε−カプロラクトン1.6kg/Hrにて供給した以外は実施例5と同様にして検討を行なった。樹脂量の低減により重合時間および減圧にて処理する時間が何れも長く保たれている。
運転開始より12時間経過した時点で、コンデンサー25内部に多くの固形分の析出が確認され、フラスコ28中にも固形分がスラリー状に確認された。
運転開始より、18時間の時点で、圧力が不安定になり、ついには減圧度を1torrに維持することが困難となったため、停止した。
停止後にコンデンサー内部を洗浄し、すべての凝縮成分についてε−カプロラクトン量およびカプロラクトンダイマー量を確認したところ、ε−カプロラクトン/カプロラクトンダイマー比は重量比で4.3倍であった。
【0042】
【発明の効果】
本発明により、ε−カプロラクトン重合物より未反応のε−カプロラクトンを除去、回収する操作を連続的に行なうことが可能となる。
【0043】
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は本発明方法の一実施態様例を示すフローシートである。
【図2】第2図は本発明の方法を開環重合を含めて連続的に行う場合の実施態様例を示すフローシートである。
【符号の説明】
1:処理装置
2:配管
3:回収装置
4:回収装置
5:配管
6:タンク
7:凝縮成分排出口
21:処理装置
22:配管
23:重合物供給口
24:重合物排出口
25:回収装置
26:回収装置
27:配管
28:タンク
29:凝縮成分排出口

Claims (7)

  1. 減圧下もしくは不活性ガス流通下に、ε−カプロラクトン重合物を加熱し、未反応のε−カプロラクトンを該重合物から揮発させ、さらにその揮発分を含む気相部を冷却して未反応のε−カプロラクトンを回収するε−カプロラクトン重合物の製造方法であって、未反応のε−カプロラクトンを回収する工程を、20〜65℃の間に温度管理された回収工程と、−2〜30℃に温度管理された回収工程とで構成し、回収されるε−カプロラクトンのカプロラクトンダイマーに対する重量割合を5倍超にすることを特徴とするε−カプロラクトン重合物の連続製造方法。
  2. 回収されるε−カプロラクトンのカプロラクトンダイマーに対する重量割合を10倍以上にすることを特徴とする請求項1に記載のε−カプロラクトン重合物の連続製造方法。
  3. ε−カプロラクトン重合物が、水酸基および/またはエステル結合を有するポリマーとε−カプロラクトンとの共重合物である請求項1又は2に記載のε−カプロラクトン重合物の連続製造方法。
  4. 水酸基および/またはエステル結合を有するポリマーが、ポリエステルである請求項に記載のε−カプロラクトン重合物の連続製造方法。
  5. 前工程として、ε−カプロラクトンの開環重合工程を更に含むことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のε−カプロラクトン重合物の連続製造方法。
  6. ε−カプロラクトンを単独又は他の化合物と開環重合させる重合工程;処理装置(1)において、減圧下もしくは不活性ガス流通下に、ε−カプロラクトン重合物を加熱して、ε−カプロラクトン及びカプロラクトンダイマーを含む揮発分を該重合物から揮発させる脱モノマー工程;及び回収装置(3)において、該揮発分を含む気相部を冷却してε−カプロラクトンを液体として回収する回収工程からなるε−カプロラクトン重合物の製造方法であって、未反応のε−カプロラクトンを回収する工程を、20〜65℃の間に温度管理された回収工程と、−2〜30℃に温度管理された回収工程とで構成し、回収液中のε−カプロラクトン/カプロラクトンダイマーの重量割合が5倍超にすることにより回収工程における閉塞を防止することを特徴とするε−カプロラクトン重合物の連続製造方法。
  7. 脱モノマー工程におけるε−カプロラクトン重合物の加熱温度が120〜300℃である請求項に記載のε−カプロラクトン重合物の連続製造方法。
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