JP4039777B2 - 車両用灯具の組立装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用灯具を組み立てるラインに設置される灯具組立装置に係わり、特に、灯具または灯具構成部材といったワークを治具を介して装置本体に位置決め固定し、装置本体または治具の少なくともいずれか一方に設けた機器を駆動させることで、治具に支持されたワークに加工や検査等の所定の処理を施す灯具組立装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヘッドランプの組み立てラインでは、ワークに所定の処理を施す組立装置が複数設置されており、各々の装置本体には、ワークに所定の処理を施す機器および機器の駆動を制御する制御部が設けられ、それぞれの制御部には、機器駆動用の制御データが予め入力設定されている。
【0003】
そして、まず、第1の装置により、ワークであるランプボディ内にエイミング機構構成部材を配設する。ついで、ワークを第2の装置に移し、リフレクターをエイミング機構に支持させる。次に、ワークを第3の装置に移し、シール溝にシール材を装填し、シール脚をシール溝に係合させて、前面レンズをランプボディに圧着する。次に、ワークを第4の装置に移し、前面レンズとシール脚間をクリップや締結ねじによって機械的に締結する。最後に、ワークを第5の装置に移し、ランプを点灯させて配光検査を行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のヘッドランプの組み立てラインを構成するそれぞれの組立装置では、ワークWに対応した機器駆動条件(機器の駆動を制御する制御データ)が予め制御部に入力設定されているが、組立装置における加工、検査などの処理機能が増えるに従って、制御部に入力設定すべき制御データ量が増え、制御部の負担が増すため、それだけ高性能の制御部を必要とし、ひいては製造される灯具のコストが高くなるという問題があった。
【0005】
本発明は前記した従来技術の問題点に鑑みなされたもので、その目的は、ワークの加工や検査等に用いるための機器制御データの一部を、治具に設けた非接触式メモリカードにもたせることで、装置本体側の機器制御部の負担を軽減できる車両用灯具の組立装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用】
前記目的を達成するために、請求項1に係わる車両用灯具の組立装置においては、灯具または灯具構成部材を支持する治具と、前記治具を位置決め固定する位置決め固定手段の設けられた装置本体と、前記装置本体または前記治具の少なくともいずれか一方に設けられ、前記治具に支持された灯具または灯具構成部材に加工や検査等の所定の処理を施す機器と、前記装置本体に設けられ、前記機器の駆動を制御する制御部と、を備え、
前記治具に、前記機器の駆動手順や駆動量等の処理情報を記憶させた非接触式メモリプレートを設け、一方、前記装置本体に、前記治具が装置本体に対し位置決めされたときに前記非接触式メモリプレートに対し正対位置となる非接触式メモリ読取器を設け、前記制御部は、前記メモリ読取器を介して読み取った前記メモリプレートの処理情報に基づいて、前記機器の駆動を制御するように構成した車両用灯具の組立装置であって、
前記治具を、前記灯具または灯具構成部材が載置されて、前記装置本体を構成する治具支持台の所定位置に位置決め固定される下治具と、前記下治具と上下方向に係合して治具として一体化される上治具で構成し、
前記非接触式メモリプレートを、前記治具支持台に対し昇降動作可能な上治具支持板に対し位置決めされて懸吊状態に連結保持される前記上治具に設け、前記非接触式メモリ読取器を、前記上治具支持板に設けて、前記上治具支持板に前記上治具を連結した形態で、前記メモリプレートと前記メモリ読取器が対峙するように構成した。
(作用)治具が装置本体に対し位置決め固定されると、装置本体側のメモリ読取器と治具側のメモリプレートが正対し、メモリプレートに記憶されている処理情報が非接触式メモリ読取器に読み取られる。装置本体側の制御部は、メモリ読取器が読み取った情報に基づいて、装置本体または治具の少なくともいずれか一方に設けられている機器の駆動を制御する。
ワークの組立や加工や検査等の処理のために必要な機器駆動用の制御データの一部が治具側の非接触式メモリプレートに記憶されており、それだけ装置本体側の制御部に記憶すべき機器駆動用の制御データ量が減少する。
請求項2においては、請求項1に記載の車両用灯具の組立装置において、前記治具を、第1の灯具または灯具構成部材を支持する第1の治具と、前記第1の灯具とは仕様の異なる第2の灯具または灯具構成部材を支持する第2の治具とから構成するとともに、前記第1および第2の治具に、前記機器の駆動手順や駆動量等の処理情報を記憶させた非接触式メモリプレートをそれぞれ設けるようにした。
(作用)それぞれの治具に設けたメモリプレートに記憶されている処理情報に基づいて、装置本体または治具の少なくともいずれか一方に設けられている機器の駆動が制御される。即ち、第1の治具を用いることで、第1の灯具の組立、加工、検査などの処理を行い、第2の治具を用いることで、第2の灯具の組立、加工、検査などの処理を行う。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の態様を実施例に基づいて説明する。
【0008】
図1〜図8は、本発明の第1の実施例を示すもので、図1は第1の実施例であるヘッドランプ組立ラインの最終工程に設置される配光検査用の装置の正面図、図2は同装置の右側面図、図3は同装置に用いられる治具の一部を断面で示す正面図、図4は同治具の一部を断面で示す側面図、図5は非接触式メモリプレートの構成を示す図、図6は上治具側のコネクタ部と装置本体(上治具支持板)側のコネクタ部の挿着前のコネクタ周辺の断面図、図7は上治具側のコネクタ部と装置本体(上治具支持板)側のコネクタ部の挿着時のコネクタ周辺の断面図、図8は治具をセットした同装置の正面図である。
【0009】
これらの図において、ヘッドランプの配光検査用の装置は、正面および側面から見て、全体が矩形状のフレーム構造で、内部にスクリーン30が配置された矩形状の治具支持台10には、下治具120を載置できる台板12が設けられ、治具支持台10の上方には、上方に延びる左右一対のサイドフレーム19,19によって支持された天板20が設けられ、この天板20には、昇降機構であるエアシリンダ22によって上治具支持板24が昇降可能に設けられている。
【0010】
そして、ヘッドランプWは、下治具120(の支持枠127)によって支持された状態で、治具支持台10にセットされ、上治具支持板24に連結一体化された上治具110に設けられたコンタクト部410を介してバルブ400に給電されることで、バルブ400(図3,8参照)が点灯してヘッドランプWの配光がスクリーン30上に写し出され、作業者はこの配光を目視により検査できるようになっている。
【0011】
以下、同装置を詳細に説明する。
【0012】
符号23は、エアシリンダ22のシリンダロッドで、シリンダロッド23の下端部は上治具支持板24に連結されている。符号25は、天板20と治具支持台10間に配設されたガイドシャフトで、上治具支持板24に設けられたガイド26がこのガイドシャフト25にスライド可能に組み付けられている。符号28は、天板20と上治具支持板24間に配設された第2のガイドシャフトである。
【0013】
また、上治具支持板24下面の四箇所には、上治具110を懸吊した状態に連結保持する連結機構であるクランパー27が設けられ、クランパー27は、エアシリンダ27bによってクランプ爪27aが水平揺動できる構造となっている。。一方、上治具110には、プランジャピン116aを上板112の上方に突出した状態にばね付勢保持できる、位置決め用のプランジャ116が設けられている。
【0014】
そして、台板12上に位置決め載置した治具100に対し、上治具支持板24を下降させると、上方に突出するプランジャピン116aに上治具支持板24側の係合孔13が係合することで、上治具110が上治具支持板24に対し位置決めされる。そして、治具100(上治具110)に上治具支持板24が接した状態で、クランパー27を作動させて、上治具110の前後の側縁部を上治具支持板24とクランプ爪27aで上下方向に挟持することで、上治具支持板24に上治具110が連結一体化される。なお、後述するように、下治具120にプランジャ126が設けられて、下治具120(および上治具110)が治具支持台10(装置本体)に対し位置決めされるので、上治具110と上治具支持板24を位置決めするプランジャ116は必ずしも必要ではない。
【0015】
また、図6に示されるように、上治具支持板24には、電流供給源側の雌コネクタ510と圧搾空気供給源側の雌カプラ610,630が設けられ、一方、上治具110には、上治具110に設けられた電気機器であるヘッドランプ点灯用コンタクト部410(図3,4参照),クリアランスランプ点灯用コンタクト部430(図4参照)および近接スイッチ530(図3参照)に電気的に接続されている雄コネクタ520と、流体機器であるクリアランスランプ点灯用コンタクト昇降用エアシリンダ550に接続されている雄カプラ640と、必要に応じて他の用途に利用される雄カプラ620とが設けられている。また、雌コネクタ510内には、給電用コード511がそれぞれ接続された雌端子512,513,514,515(516),517(518)が収容され、雌カプラ630には、エアタンク611から延びるエアホース632が接続されている。
【0016】
そして、後に詳述するが、上治具支持板24に設けられたコネクタ位置決め挿脱着機構129によって、上治具支持板24に上治具110を連結する際に、上治具支持板24側の雌コネクタ510,雌カプラ610,630を上治具110側の雄コネクタ520,雄カプラ620,640にそれぞれ挿脱着できるように構成されている。
【0017】
また、下治具120の底部四隅には、方向性のない球125が回転自在に設けられて、台板12上を走行させやすいようになっているが、台板12上には、下治具120の球125がそれぞれ係合できる穴14(図3参照)が設けられ、下治具120の下板122には、プランジャピン126aを下板122の下方に突出した状態にばね付勢保持できる、位置決め用のプランジャ126が設けられている。そして、下治具120側の球125が台板12側の穴14に係合すると、プランジャピン126aが下治具120側のピン係合孔15に係合し、下治具120の底面が台板12に接した状態になるとともに、下治具120は台板12上の所定位置に位置決めされる。なお、球125と穴14は、治具100(下治具120)を台板12(装置本体)に対し水平方向にある程度位置決めする位置決め手段を構成するが、正確な位置決めは、プランジャピン126aとピン係合孔15との係合によって達成される。
【0018】
また、この装置において使用される治具100は、図3,4に示されるように、同一寸法の矩形状の上板112と下板122とが4本の支柱102(102a,102b,102c,102d)で連結された構造で、4本の支柱102は、それぞれ上下二分割できるように構成されている。
【0019】
即ち、治具100は、上板112から下方に4本の脚114(114a,114b,114c,114d)が延出する上治具110と、下板122から上方に4本の脚124(124a,124b,124c,124d)が延出する下治具120とから構成されており、それぞれの4本の脚114,124は、互いに整合する位置にあって、対角線位置にある支柱102b(102c)を構成する一対の脚114b,124b(114c,124c)は、軸方向に凹凸係合することで、上治具110と下治具120が位置決めされて、治具100として一体になるように構成されている。図3,4における符号Pは、脚114側の凹部111と脚124側の凸部121からなる凹凸係合部を示す。
【0020】
また、上治具110の脚114aの下端部内には、近接スイッチ530(図3参照)が設けられており、上治具110を懸吊支持した上治具支持台24を下降させる際に、上治具110の脚114aが対応する脚124aに対し接近した所定位置となったことを検出する。符号537(538)は、近接スイッチ530に給電する給電用コードで、上板112に固設された雄コネクタ520(図6参照)内に収容されている雄端子527(528)に接続されている。
【0021】
また、上治具110には、下治具120の支持枠127に支持されたヘッドランプWのバルブ400に給電するコンタクト部410が設けられている。コンタクト部410は、上板112から垂下された支持筒411内に、バルブ400側の端子402,403に対応したコンタクト412,413を備えた構造で、上治具支持板24(上板112)と一体に上治具110が下降し、コンタクト412,413がバルブ400の端子402,403に接続された状態に保持される。符号414,416は、コンタクト412,413に接続されてコンタクト部410から導出する給電用コードで、上板112に固設された雄コネクタ520内に収容されている雄端子523,524に接続されている(図6参照)。
【0022】
また、このヘッドランプWは、図4に示されるように、クリアランスランプが一体化されたコンビネーションヘッドランプで、このクリアランスランプのバルブ420にも、他のコンタクト部430を介して給電されるようになっている。符号435(436)は、コンタクト422(423)に接続されてコンタクト部430から導出する給電用コードで、上治具支持板112に固設された雄コネクタ520内に収容されている雄端子525(526)に接続されている(図6参照)。符号550は、コンタクト部430を昇降動作させるエアシリンダで、エアシリンダ550から延びるエアホース552は、上治具支持板112に固設された雄カプラ640に接続されている。
【0023】
図3における符号450は、上治具支持板112を上昇させる際に、下治具120に支持されたヘッドランプを持ち上げる、ワークであるヘッドランプ取り出し用のフォークで、上治具110の四隅下方に垂設されている。フォーク450は、上板112に固定されて下方に延出する垂直ロッド452と、垂直ロッド452下端部に設けられ、上方に自由に揺動できるアーム454とから構成されている。即ち、アーム454は、上方に押圧されると水平位置から支承部453回り上方に揺動できるとともに、押圧力がなくなると自重によって元の水平位置に戻る構造となっている。符号127aは、支持枠127に形成された縦溝で、フォーク450はこの縦溝127aに沿って昇降することで、支持枠127と干渉しない。
【0024】
装置本体の上端部背面には、CPU1112や記憶部1114を備えた制御ユニット1100(図2,5参照)が設けられ、CPU1112は、記憶部1114に記憶されているデータに基づいて、上治具110側のエアシリンダ550(図4参照)およびクランパ作動用エアシリンダ27b(図1,2参照)の駆動や、装置本体側の上治具支持板昇降用エアシリンダ22,コネクタ部挿脱着用エアシリンダ133やコンタクト部410,430を介してのバルブ400,420への給電等を制御するようになっている。
【0025】
図2,4,5における符号1200は、ヘッドランプの配光検査を行うために必要な種々のデータが記憶されているIDプレートで、上治具110の上部背面側に設けられている。一方、上治具支持板24のIDプレート1200と対峙する位置(上治具支持板24に上治具110を連結した場合にIDプレート1200と対応する位置)には、IDプレート1200に記憶されているデータを読取る非接触式読取器1300が設けられている。そして、制御ユニット1100内のCPU1112は、読取器1300を介して、IDプレート1200に記憶されているデータを読み取り、この読取ったデータに基づいて、ヘッドランプの配光試験を遂行するようになっている。
【0026】
即ち、IDプレート1200は、図5に示されるように、信号送受信部1202と、信号処理部1204と、データ変換部1206と、メモリ1208とから構成され、信号送受信部1202が読取器1300側の信号送受信部1302に対峙した位置において、読取器1300側の信号送受信部1302との間で電磁気的にデータ交換が可能な非接触式メモリプレートである。
【0027】
IDプレート1200のメモリ1208には、点灯電圧データ、スクリーン30に配置されたフォトセンサの受光位置データ、配光種類データ、バルブ種類データ、コンタクト部昇降シリンダ動作データ等の、治具100(下治具120)に支持されたワークであるヘッドランプWの配光検査で使用する各機器の動作条件がデータとして記憶されている。そして、このメモリ1208に記憶されているデータがデータ変換部1206によりデジタル信号からシリアル信号に変換されて、信号処理部1204,信号送受信部1202を介して読取器1300側の信号送受信部1302に受信される。
【0028】
そして、読取器1300側の信号送受信部1302に受信されたデータ(シリアル信号)は、信号処理部1304,データ変換部1306によりデジタル信号に変換され、制御ユニット1100内のCPU1112を介して記憶部1114に記憶される。そして、CPU1112は、記憶部1114に記憶したデータ(機器作動条件)に基づいて各機器を作動させることで、ヘッドランプの配光検査を実行する。
【0029】
また、下治具120の下板112には、下向きに載置したヘッドランプWの前面レンズ200の外周縁部を支持できる筒型のボディ支持枠127が設けられている。そして、下板122には、開口部123が設けられ、治具支持台10の台板12には、強化透明ガラスが配設された透明窓123aが設けられ、その下方には、ヘッドランプの配光を写すスクリーン30が水平に配設されている。スクリーン30は、図1左右方向にスライドできる構造で、ワークであるヘッドランプWの種類に応じて、その光軸Lに対し位置決めできるようになっている。
【0030】
また、上治具支持板24には、図6,7に示されるように、電源側(給電側)の雌コネクタ510とエア供給源であるエアタンク611側の雌カプラ610,630とが設けられ、一方、上治具110には、雌コネクタ510、雌カプラ610,630とそれぞれ挿脱着可能な機器側の雄コネクタ520、雄カプラ620,640が設けられている。そして、雄コネクタ520内の雄端子523,524,525(526),527(528)は、給電用コード414,416,435(436),537(538)を介してヘッドランプ点灯用コンタクト部410、クリアランスランプ点灯用コンタクト部430、近接スイッチ530にそれぞれ接続されている。また、雄カプラ640は、既に説明しているように、エアホース552を介してクリアランスランプ点灯用コンタクト昇降用のエアシリンダ550に接続されている。
【0031】
そして、上治具支持板24を下降させて、上治具110を上治具支持板24に連結する際に、スライドユニット130を下降させることで、自動的に上治具支持板24側(装置本体側)の雌コネクタ510、雌カプラ610,630を上治具110側(機器側)の雄コネクタ520、雄カプラ620,640に挿着できるようになっている。
【0032】
即ち、上治具支持板24上には、4本のロッド131で支持された第1のプレート132が水平に配設され、このプレート132の下方には、エアシリンダ133によって上下昇降動作可能な昇降プレート134が設けられている。符号135は、昇降プレート134の下降端位置を設定するストッパである。そして、この昇降プレート134の四隅には、第1スペーサ136,第2スペーサ137を介して固定ねじ138が下方に突設され、第2スペーサ137の円筒部137aにスライド板139が水平方向スライド可能に組み付けられている。符号139aは、スライド板139に設けられた、スペーサ円筒部137aと遊合する円孔を示す。
【0033】
スライド板139には、上治具110に設けられたピン係合孔710、雄コネクタ520、雄カプラ620,640にそれぞれ係合する位置決めピン700、雌コネクタ510、雌カプラ610,630が設けられて、スライドユニット130が構成されている。ピン700の先端部702は、尖頭形状に形成されて、ピン先端部702が係合孔710内に収まるように係合した場合には、ピン700が孔710に挿入されるにしたがい、スライド板139(スライドユニット130)が水平方向にスライドして、雌コネクタ510、雌カプラ610,630が雄コネクタ520、雄カプラ620,640と上下方向に挿脱着できる位置に位置決めされる。
【0034】
また、スペーサ円筒部137aの外径と円孔139aの内径との差は、ピン係合孔710の半径と同一の大きさに形成されており、位置決めピン700の中心とピン係合孔710の中心とが一致するように設定されることで、治具支持台10に対し治具100(上治具110)が多少水平方向にずれていたとしても、ピン先端部702が必ず係合孔710の内側にくるようになっている(図6におけるピン700の仮想線位置を参照)。
【0035】
このように、スライド板139に位置決めピン700、雌コネクタ510、雌カプラ610,630が一体化されて水平方向にスライド可能なスライドユニット130と、スライドユニット130を上治具支持板24に対し昇降させるエアシリンダ133と、上治具110の上板112に設けられたピン係合孔710、雄コネクタ520、雄カプラ620,640によって、コネクターの位置決め挿脱着機構129が構成されている。
【0036】
また、装置本体の背後には、図2に示されるように、治具支持台10の台板12に連続する面一の載置面42を持つ治具仮置台40が設けられ、この仮置台40には、四灯式ヘッドランプを支持できる他の治具100Aが載置されている。
【0037】
治具100Aは、治具100(上治具110,下治具120)とほぼ同一の構造であるが、下治具120Aには、四灯式ヘッドランプを下向きに載置でき、上治具110Aには、四灯式ヘッドランプの配光検査に必要な機器が配設されている点が相違する。
【0038】
次に、本実施例に示す装置を用いて、二灯式ヘッドランプの配光検査を行う工程について説明する。
【0039】
まず、最初に、装置本体に治具100をセットする。即ち、それぞれの脚114,124を上下に係合させて上治具110と下治具120とを一体化した治具100を、治具支持台10の台板12上に搬入する。下治具120側の球125,プランジャピン126aを台板12側の穴14,係合孔15にそれぞれ係合させることで、治具100を治具支持台10に対し位置決めする。
【0040】
次に、エアシリンダ22の作動により上治具支持板24を上治具110に当接する位置まで下降させ、上治具110上に突出しているプランジャピン116aに上治具支持板24側の係合孔13が係合することで、上治具110は上治具支持板24に対し位置決めされる。
【0041】
次に、エアシリンダ133を作動させてスライドユニット130を下降させると、位置決めピン700が係合孔710に挿入されるとともに、スライドユニット130側の雌コネクタ510、雌カプラ610,630が上治具110側の雄コネクタ520、雄カプラ620,640にそれぞれ挿着される。これにより、コネクタ500を介し上治具110のコンタクト部410,430に給電でき、カプラ600を介しエアシリンダ550に圧搾空気を供給できる状態となる。そして、クランパー27を作動させて、上治具支持板24と上治具110とを連結一体化する。これにより、上治具110が上治具支持板24に連結一体化される。
【0042】
次に、上治具支持板124(上治具110)を上昇させて、上治具110と下治具120間を大きく離間させ、下治具120(の支持枠127)にマスターヘッドランプ(図示せず)を下向きにセットし、マスターヘッドランプの光軸(図8符号L参照)位置に合わせてスクリーン30を左右方向所定位置に移動調整する。そして、マスターヘッドランプを取り外し、図8に示すように、ワークである二灯式ヘッドランプWを下治具120にセットする。次に、上治具支持板24(上治具110,コンタクト部410)を下降させ、コンタクト部410をヘッドランプ用バルブ400に接続し、さらにエアシリンダ550を作動させて、コンタクト部430をクリアランス用バルブ420に接続する。
【0043】
即ち、上治具支持板24は、上治具110(コンタクト部410)と一体に下降し、コンタクト412,413がバルブ400の端子402,403に接続された状態となると、上治具110の脚114が下治具120の脚124に接近した位置となり、近接スイッチ530からの信号によって、上治具支持枠24(上治具110)の下降が停止し、コンタクト412,413がバルブ400の端子402,403に接続された状態に保持される。さらに、エアシリンダ550が作動してコンタクト部430が所定量だけ下降し、コンタクト432,433がバルブ420の端子422,423に接続された状態となる。
【0044】
なお、上治具支持板24が下降する際に、フォーク450のアーム454先端部が、支持枠127に支持されているヘッドランプWに当接することになるが、フォーク450の下降に伴ってアーム454がヘッドランプ当接部に押されて上方に揺動するため、フォーク450の下降が妨げられることはない。
【0045】
また、ヘッドランプ用コンタクト412,413、クリアランスランプ用コンタクト432,433のバルブ400,420の端子402,403(422,423)への接続が終了すると、それぞれのバルブ400,420に給電が行われ、ヘッドランプおよびクリアランスランプが点灯する。
【0046】
スクリーン30上には、ヘッドランプの配光が映し出されるので、作業者は、スクリーン30上の配光のカットラインをスクリーン30に予め付けられているカットライン目安線と比較することで、ヘッドランプの配光が適切か否かを判別する。
【0047】
また、スクリーン30上の所定位置には、フォトセンサ(図示せず)が設けられており、フォトセンサが受光した光量は、制御ユニットのCPU1112を介して表示部1116(図5参照)に表示される。作業者は、この表示部1116における表示データから、ヘッドランプの光量が適性か否かを判別できる。また、作業者は、バルブ420の点灯によってクリアランスランプが的確に点灯するかどうかを視覚的に判別できる。
【0048】
所定の配光検査工程が終了すると、エアシリンダ550の作動によって、コンタクト部430が上昇してバルブ420から分離されるとともに、エアシリンダ22の作動によって、上治具支持板24が上治具110とともに上昇し、コンタクト部410が上昇してバルブ400から分離される。このときフォーク450も上治具110と一緒に上昇して、ヘッドランプWを持ち上げる(図8仮想線参照)。そこで、作業者は、ヘッドランプWをフォーク450から手前に取り出すとともに、次のヘッドランプを下治具120の支持枠127に載せる。
【0049】
そして、再び、エアシリンダ22の作動により上治具支持板24を下降させて、コンタクト部410をバルブ400に接続し、エアシリンダ550の作動によりコンタクト部430をバルブ410に接続し、バルブ400,420の点灯、配光の検査、コンタクト部430の分離、上治具支持板24の上昇(コンタクト部410の分離)、ヘッドランプWの取り出しという一連の作業を行う。
【0050】
次に、この装置本体を、二灯式ヘッドランプの配光検査に替えて、四灯式のヘッドランプの配光検査に使用したい場合、即ち、四灯式ヘッドランプの組立ラインを構成する装置として使用したい場合について説明する。
【0051】
この場合には、四灯式ヘッドランプを支持でき、2個所のヘッドランプ用バルブに給電する2ヶ所のコンタクト部を備えた、四灯式ヘッドランプに対応した構造の治具100Aに取り替える(段替えする)必要がある。なお、治具100Aは、図2に示されるように、装置本体背後の治具仮置台40上に載置されており、治具100Aには、ワークである四灯式ヘッドランプの配光検査に必要な機器の作動条件(データ)を記憶させた非接触式メモリプレートであるIDプレート1200Aが設けられている。
【0052】
まず、上治具支持板24を下降させて、上治具110の脚114と下治具120の脚124を上下に係合させて治具100として一体化する。次に、クランパー27を作動させて、上治具支持板24と上治具110間の連結を解除する。次に、上治具支持板24を上昇させ、下治具120側のプランジャ126を操作して、プランジャピン126aを係合孔15から抜き出す。そして治具100を台板12から仮置台40上にスライドさせて搬出する。次に、仮載置台40上に載置されている四灯式ヘッドランプ対応治具100Aをスライドさせて台板12上に搬入し、治具100Aを治具支持台10に対し位置決めする。
【0053】
次に、上治具支持板24を下降させ、コネクタ位置決め挿脱着機構129によって、上治具支持板24側の雌コネクタ,雌カプラを上治具110A側の雄コネクタ,雄カプラに接続し、クランパー27を作動させて、上治具支持板24と上治具110Aとを連結一体化し、これにより、段替え作業が終了する。そして、上治具支持板24を上治具110Aと一体に上昇させ、マスターヘッドランプを用いてスクリーン30の位置を調整した後、下治具120Aにワークである四灯式ヘッドランプをセットする。
【0054】
なお、上治具100Aが上治具支持板24に連結されると、上治具100A側のIDプレート1200Aと、装置本体(上治具支持板24)側の非接触式読取器1300とは、正対した形態となって、非接触式読取器1300によってIDプレート1200Aに記憶されているデータが読取られる。そして、制御ユニット1100内のCPU1112は、読取器1300を介して読み取ったデータ(IDプレート1200Aに記憶されているデータ)に基づいて、四灯式ヘッドランプの配光試験を遂行するようになっている。
【0055】
なお、前記した実施例では、上治具110(110A)の背面側に、治具で支持したワークであるヘッドランプに対する機器の処理データを記憶させたIDプレート1200(1200A)を配置するようになっているが、IDプレート1200(1200A)の配置位置は、上治具110(110A)の背面側に限るものではなく、また上治具110(110A)に限るものでもない。即ち、治具側のIDプレート1200(1200A)と装置本体側の読取器1300の配置位置は、読取器1300がIDプレート1200(1200A)の情報を読み取ることの可能な所定位置であればよい。
【0056】
また、前記した実施例では、治具仮置台40が装置本体の背後に設けられていたが、装置本体の側方に設けてもよく、あるいは、背後および側方の双方に設けてもよい。
【0057】
また、前記した実施例では、ヘッドランプの組立ラインを構成するヘッドランプ配光検査用装置として説明したが、本発明は、ヘッドランプの組立ラインを構成するエイミングスクリュー締め付け工程用装置、その他の工程用装置としても、同様に適用することができる。
【0058】
さらに、ヘッドランプの組立ラインに限らず、その他の車両用灯具の組立ラインを構成する灯具組立装置にも広く適用できる。
【0059】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る車両用灯具の組立装置によれば、非接触式メモリプレートに、治具で支持する灯具または灯具構成部材に対応した処理情報(機器の駆動手順や駆動量等の処理情報)を記憶させておくことで、灯具または灯具構成部材に加工や検査等の所定の処理を施すために装置本体側の制御部に記憶させる処理情報はそれだけ少なくて済む。したがって、装置本体に設ける制御部は構成簡潔な安価なものでよく、灯具組み付けライン全体も安価となって、製造される灯具の製造コストもそれだけ安価にできる。
請求項2によれば、灯具組み立てラインを構成する装置本体にセットされている第1の治具(第2の治具)を、第2の治具(第1の治具)に入れ替える段替えにより、この装置本体を、仕様の異なる灯具の組み立てラインにも使用できるので、単一の灯具組み立てラインによって、形状や仕様の異なる2種以上の灯具を組み立てる(製造する)ことができる。
また、第1の治具と第2の治具を入れ替える際(治具の段替えの際)には、装置本体側において必要な制御プログラムの変更や追加のための作業が少なく、それだけその作業も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例であるヘッドランプ組立ラインの最終工程に設置される配光検査用の装置の正面図
【図2】同装置の右側面図
【図3】同装置に用いられる治具の正面図
【図4】同装置に用いられる治具の側面図
【図5】非接触式メモリプレートの構成を示す図
【図6】上治具側のコネクタ部と装置本体(上治具支持板)側のコネクタ部の挿着前のコネクタ周辺の断面図
【図7】上治具側のコネクタ部と上治具支持板側のコネクタ部の挿着時のコネクタ周辺の断面図
【図8】治具をセットした同装置の正面図
【符号の説明】
10 治具支持台
14 治具支持台の台板に設けられた球係合用の穴
22 上治具昇降機構であるエアシリンダ
24 上治具支持板
27 連結機構であるクランパー
40 治具仮置台
100 二灯式ヘッドランプに対応した治具
100A 四灯式ヘッドランプに対応した治具
102 支柱
110,110A 上治具
P(111,121) 脚の凹凸係合部
112 上板
114 上治具側の脚
116 プランジャ
120,120A 下治具
122 下板
124 下治具側の脚
125 下治具に設けられた球
126 プランジャ
129 コネクタの位置決め挿脱着機構
130 スライドユニット
133 スライドユニット昇降機構であるエアシリンダ
139 スライド板
200 前面レンズ
300 ランプボディ
400 ヘッドランプ用バルブ
402,403 バルブ側の端子
410 ヘッドランプの配光検査に用いられる機器であるコンタクト部
412,413 コンタクト
414,416,418,435(436),537(538) 下治具側の給電用コード
420 クリアランスランプ用バルブ
422,423 バルブ側の端子
430 クリアランスランプの点灯検査に用いられる機器であるコンタクト部
432,433 コンタクト
500 電気配線接続用コネクタ
510 装置本体側の雌コネクタ
511 装置本体側の給電用コード
520 上治具側の雄コネクタ
530 電気機器である近接スイッチ
550 コンタクト部昇降用エアシリンダ
552 下治具側のエアホース
600 エア配管接続用カプラ
610,630 雌カプラ
611 エアタンク
620,640 雄カプラ
632 装置本体側のエアホース
700 位置決めピン
710 位置決めピン係合用の係合孔
1100 各機器の作動を制御する制御ユニット
1112 CPU
1114 制御ユニット内の記憶部
1200、1200A 非接触式メモリプレートであるIDプレート
1300 非接触式メモリ読取器
Claims (2)
- 灯具または灯具構成部材を支持する治具と、
前記治具を位置決め固定する位置決め固定手段の設けられた装置本体と、
前記装置本体または前記治具の少なくともいずれか一方に設けられ、前記治具に支持された灯具または灯具構成部材に加工や検査等の所定の処理を施す機器と、
前記装置本体に設けられ、前記機器の駆動を制御する制御部と、を備え、
前記治具には、前記機器の駆動手順や駆動量等の処理情報を記憶させた非接触式メモリプレートが設けられ、一方、前記装置本体には、前記治具が装置本体に対し位置決めされたときに前記非接触式メモリプレートに対し正対位置となる非接触式メモリ読取器が設けられ、前記制御部は、前記メモリ読取器を介して読み取った前記メモリプレートの処理情報に基づいて、前記機器の駆動を制御するように構成された車両用灯具の組立装置であって、
前記治具は、前記灯具または灯具構成部材が載置されて、前記装置本体を構成する治具支持台の所定位置に位置決め固定される下治具と、前記下治具と上下方向に係合して治具として一体化される上治具で構成され、
前記非接触式メモリプレートは、前記治具支持台に対し昇降動作可能な上治具支持板に対し位置決めされて懸吊状態に連結保持される前記上治具に設けられ、前記非接触式メモリ読取器は、前記上治具支持板に設けられて、前記上治具支持板に前記上治具が連結された形態で、前記メモリプレートと前記メモリ読取器が対峙することを特徴とする車両用灯具の組立装置。 - 前記治具は、第1の灯具または灯具構成部材を支持する第1の治具と、前記第1の灯具とは仕様等の異なる第2の灯具または灯具構成部材を支持する第2の治具とから構成されるとともに、前記第1および第2の治具には、前記機器の駆動手順や駆動量等の処理情報を記憶させた非接触式メモリプレートがそれぞれ設けられことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具の組立装置。
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