JP4039732B2 - 工事用エレベータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工事用エレベータに関する。
【0002】
【従来の技術】
図12は、従来の工事用のエレベータの一例を示す縦断面図で、ベースメントタイプの場合である。
この工事用エレベータは、ビルの建築工事が下層階から上層階に進行するに従って、移動車枠とこの移動滑車枠に吊り下げられたかごを建築中の最上階に設置したタワークレーンで段階的に2〜3階床分の高さに吊り上げる。
【0003】
図12において、工事用のビルに形成された昇降路7のピット7aの右側に形成された機械室7bの床面には、巻上機8が設置され、この巻上機8の右側には、制御盤9が設置されている。
【0004】
機械室7bの昇降路側には、そらせシーブ2A,2Bが上下に設置されている。ピット7aには、図示しない油圧緩衝器が立設されている。昇降路7の左側には、複数階の乗場の敷居が示されている。
【0005】
昇降路7には、6階の乗場の位置に対して、一対の受けビーム40が架設され、この受けビーム40の上面に固定されたアウトリガ28の更に上に移動車枠1Bが載置固定されている。
【0006】
この移動滑車枠1Bには、上部の右側にそらせシーブ2Cが、この左側にそらせシーブ2Dが組み込まれ、下部の右側にそらせシーブ2Eが、下部の左側にそらせシーブ2Fが組み込まれている。さらに、図示しない調速機も設置されている。移動滑車枠1Bの下梁には、主索固定棒18が縦に貫設されている。
【0007】
移動滑車枠1Bの上梁には、円筒部の外周に主索3の端部を巻き付けられた電動機付のロープ繰り出し機4が取付脚を介して下面に固定されている。
移動滑車枠1Bの中間梁には、主索3が数回巻き付けられるドラムとロープ把持部を備えたロープ保持機5が固定されている。
【0008】
かご11の上梁には、かごシーブ20が取り付けられている。ロープ繰り出し機4のドラム4aから垂下した主索3は、ロープ保持機5のドラムに3回巻き付けられ、昇降路7を垂下してかごシーブ20に巻装された後上昇し、そらせシーブ2Dからそらせシーブ2Cを経て昇降路7の右側を垂下している。
【0009】
この主索3は、機械室7のそらせシーブ2Aと巻上機8のシーブと左側のそらせシーブ2Bを経て昇降路7を立ち上がり、移動滑車枠1Bのそらせシーブ2E,2Fに巻装された後昇降路7を垂下し、シーブ19を介して、下端につり合いおもり21が吊り下げられている。このつり合いおもり21の下部は、ピット7aに立設された支え棒23で支持されている。
【0010】
このように構成された工事用エレベータにおいては、ビルの工事の進行に従い、チェーンブロック 22でかご11を移動滑車枠1Bに吊り下げるとともに、前述したタワークレーン24で移動滑車枠1Bが2〜3階分持ち上げられる。
【0011】
そのときには、移動滑車枠1Bの上昇に必要な長さだけ、ロープ繰り出し機4から主索が繰り出される。移動滑車枠1Bとともに持ち上げられたかご11は、ビルの内装用資材などの運搬用や作業員の昇降用として巻上機8で運転される。
【0012】
図13は、図12で示した移動滑車枠1Bが昇降路の受けビーム40に載置され固定された状態を示す部分斜視図である。
図13において、昇降路を水平に貫通した一対の受けビーム40に対して、一対のアウトリガ28が受けビーム40に直交方向に載置されている。
【0013】
これらのアウトリガ28は、角管28aとこの角管28aに両側から挿入されたビーム28bで構成され、内側のビーム28bの外側の端部を角管28aの端部から突き出した状態で用いられる。
【0014】
移動滑車枠1Bは、溝形鋼から製作された4本の下梁1aを突き合わせ溶接した各4隅に対して、縦梁1bが立設され、これらの縦梁1bの中間部に対して中梁が図12で示すように横設され、上端に上梁が溶接されている。
【0015】
図14は、図13で示した移動滑車枠1Bに組み込まれたそらせシーブ2E,2Fを示す斜視図である。
図14において、左右の下梁1aの上面には、溝形鋼から製作された一対の取付枠16Cが載置され両端を下梁1aにボルトで固定されている。これらの取付枠16Cの上面には、同じく溝形鋼から製作された支え梁45がそれぞれ載置されボルトで固定されている。
【0016】
これらの支え梁45には、そらせシーブ2E,2Fが図示しない軸受を介して支えられている。
移動滑車枠1Bを上層側の受けビーム40に移動する場合には、アウトリガ28は、内部のビーム28bを退避させた状態でタワークレーンで持ち上げられる。
【0017】
ところで、このように構成された工事用エレベータでは、建築工事が完了して商業運転用の巻上機を昇降路の最上部の機械室に設置する場合には、工事用として使用したそらせシーブなどを流用するときがある。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の工事用エレベータにおいては、商業運転用として使用する、例えばそらせシーブを巻上機や移動滑車枠から取り外すために時間がかかるだけでなく、取り外したそらせシーブの取付枠の搬出にも時間がかかる。
【0019】
また、そらせシーブの取付部分が、巻上機と共通の枠となっていた場合には、取外した後の取付部分の占める空間で、保守・点検作業の作業性が低下するおそれもある。
そこで、本発明の目的は、工事用エレベータから商業用エレベータの切替作業を容易に行うことのできる工事用エレベータを得ることである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
請求項1に対応する発明は、主索の下端が巻装される下部そらせシーブ及び巻上機が据え付けられ昇降路の下部に形成された機械室と、昇降路に仮設され主索の上部が巻装される上部そらせシーブ及び主索の端部が巻装されるロープ繰り出し機が設けられ主索を介してかごを吊り下げる移動滑車枠とを備えた工事用エレベータにおいて、上部そらせシーブを組み込むシーブ枠とロープ繰り出し機を収納するロープ繰り出し枠とで移動滑車枠を構成し、工事終了後は前記ロープ繰り出し枠を前記昇降路から搬出し前記シーブ枠を前記昇降路の頂部に設置して商業運転するようにしたことを特徴とする。
【0021】
請求項2に対応する発明の工事用エレベータは、上部そらせシーブを固定するシーブ枠の固定部に長円穴を形成したことを特徴とし、請求項3に対応する発明の工事用エレベータは、上部そらせシーブの軸にピニオンとハンドルを挿入し、ピニオンが噛み合うラックをシーブ枠に設けたことを特徴とする。
【0022】
請求項4に対応する発明の工事用エレベータは、上部そらせシーブをシーブ枠に固定する取付枠の片側の取付部に軸支部を設け、この軸支部を軸に揺動自在の取付枠の他側をシーブ枠に固定する弧状の固定部をシーブ枠に設けたことを特徴とする。
【0023】
請求項5に対応する発明の工事用エレベータは、上部そらせシーブをシーブ枠に固定する取付枠の両端が固定されるシーブ枠の取付部に長穴を形成したことを特徴とする。
【0024】
請求項6に対応する発明の工事用エレベータは、シーブ枠を昇降路に受け枠を介して仮設する横枠の上部に凸部を設け、この凸部が遊嵌する嵌合案内部をシーブ枠に形成したことを特徴とする。
【0025】
請求項7に対応する発明の工事用エレベータは、シーブ枠に回転軸を貫設し、この回転軸にピニオンとハンドルを挿入し、ピニオンが噛み合うラックを横梁に設けたことを特徴とする。
さらに、特に請求項8に対応する発明の工事用エレベータは、横枠とシーブ枠の対向部の中心部に回転連結部を設けたことを特徴とする。
【0026】
このような手段によって、請求項1に対応する発明においては、工事が完了した昇降路の頂部にシーブ枠を設置して、頂部機械室を形成し、特に請求項2に対応する発明では、かごやつり合いおもりとの関係位置に応じて、シーブの位置を長円穴で調整する。
【0027】
また、請求項3に対応する発明では、かごやつり合いおもりとの関係位置の調整作業をハンドルで回転するピニオンが噛み合うラックによって容易にし、請求項4に対応する発明では、かごやつり合いおもりとの関係角度によって、軸支部を軸に上部そらせシーブの角度を調整する。
【0028】
また、請求項5に対応する発明では、かごやつり合いおもりとの関係位置の調整作業をシーブ枠の長円穴によって容易とし、請求項6に対応する発明では、凸部と案内嵌合部によって横枠を移動させて、受け枠への取付作業を容易にする。
【0029】
さらに、請求項7に対応する発明では、ピニオンとラックによって横枠の移動を更に容易にし、請求項8に対応する発明では、かごやつり合いおもりに対するシーブ枠の関係角度の調整を回転連結部によって容易にする。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の工事用エレベータの一実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の工事用エレベータの第1の実施形態を示す縦断面図で、従来の技術で示した図12に対応し、請求項1に対応する図である。
【0031】
図1において、従来の技術で示した図12と異なるところは、移動滑車枠と巻上機の構成で、そらせシーブなどの機器の配置は図12と同一である。
すなわち、移動滑車枠1Aは、下側の下部枠6Aとこの下部枠6Aに載置されこの下部枠6Aと平面形状が同一の上部枠6Bで構成されている。
【0032】
このうち、下部枠6Aに対して、そらせシーブ2C,2D,2E,2Fが図12と同様に上下左右に配置され、この下部枠6Aの下梁の中央部に対して、図示しない圧縮コイルばねが挿入された主索固定棒18が縦に貫設されている。
【0033】
上部枠6Bは、この上部枠6Bの下梁が下部枠6Aの各四隅にボルトで固定され、この上部枠6Bの上梁の左側の下面に対して、ロープ繰り出し機4が取り付けられ、上部枠6Bの下梁の左端の上面にロープ保持機5が固定されている。
【0034】
昇降路7のピット7aの右側に形成された機械室7bに設置される巻上機8と制御盤9は、形鋼から製作された巻上機枠10に収納されている。
この巻上機枠10の左側面には、この巻上機枠10と比べて幅が狭く奥行が浅いシーブユニット12がボルトで連結され、このシーブユニット12の内部にそらせシーブ2A,2Bが上下に収納されている。
【0035】
このように構成された工事用エレベータにおいて、建物の工事の進捗に従い、移動滑車枠1Aを上層階に移動させる場合には、チェーンブロック22でかご11を吊り下げた状態でロープ繰り出し機4から主索を繰り出す。
【0036】
工事用の資材を運搬する場合には、チェーンブロック22の下端をかご11の上梁から外してかごを運転し、上層階へ移動滑車枠1Aを移動させる度に、チェーンブロック22の取付と取り外し及び主索の繰り出しを繰り返す。
【0037】
建物の工事が最上階に達して、昇降路7の上端に形成された頂部機械室にそらせシーブ2C,2D,2E,2Fを移動する場合には、かご11をチェーンブロック22で吊り下げた状態で、ロープ繰り出し機4から繰り出されロープ保持機5のドラムから出た部分の主索を切断し、主索固定棒18に接続して、図2で示すように下部枠6Aの下梁に固定する。
【0038】
この状態で、上部枠6Bを下部枠6Aに固定しているボルトを外し、タワークレーン24で上部枠6Bを吊り上げて昇降路7から搬出する。
次に、タワークレーン24で下部枠6Aを図2で示す頂部機械室13まで持ち上げ、図2に示すようにアウトリガ28を介して設置する。
【0039】
このように構成された工事用エレベータでは、下部枠6Aをベースメントタイプの昇降路の頂部機械室13にそのまま移設することで、昇降路の駆動部分の配置工事を完了することができるので、商業運転への移行のための工期を短縮することができる。
【0040】
図3は、図1で示したそらせシーブ2E,2Fのユニットの一例を示す拡大詳細斜視図で請求項2に対応する図である。
図3において、このシーブユニット15Aは、図1で示した下部枠6Aの下梁にボルトで固定される溝形鋼製の一対の取付枠16Aの上側の刃に対して、一対の長円穴16aがあらかじめ加工されている。
【0041】
各取付枠16Aの上面には、同じく溝形鋼から製作された一対の支え17が刃を外向きにして対称的に載置され、ボルトで各取付枠16Aに固定されている。
前後で対となる支え17には、そらせシーブ2E,2Fの軸が図示しない軸受と軸受座金及び軸受ナットを介してあらかじめ貫挿されている。
【0042】
このようにシーブユニットが構成された工事用エレベータにおいては、昇降路7の横断面の形状やかごとつり合いおもりの定格によって、異なる仕様のエレベータにも、左右のそらせシーブ2E,2Fの間隔を調整することで容易に対応することができる。
【0043】
なお、このシーブユニット15Aは、取付枠16Aの長さを変えることによって、図1で示した上部のそらせシーブ2C,2Dを組み込むシーブユニットにも適用することができる。
【0044】
図4は、本発明の工事用エレベータの第2の実施形態を示す拡大詳細斜視図で、図3に対応し、請求項3に対応する図である。
図4において、前述した図3で示したシーブユニット15Aと異なるところは、左右のそらせシーブ2E,2Fの間隔の調整構造である。
【0045】
すなわち、このシーブユニット15Bの一対の取付枠16Aのうち、前方の取付枠16Aには、ラック37が載置され両端が取付枠16Aに固定されている。
シーブ軸2aには、ピニオン歯車39が図示しないキーを介して圧入され、シーブ軸2aの前端には、ハンドル25がキーを介して挿入され、図示しない軸受座金と軸受ナットを介して締め付けられている。
【0046】
このように構成されたシーブユニットにおいては、左右のそらせシーブ2E,2Fの間隔を調整する場合には、支え17を取付枠16Aに固定しているボルトを緩め、ハンドル25でピニオン歯車24を回転させる。
所定の間隔に調整すると、左右の支え17の間にターンバックルの調整棒を挿入して、支え17を取付枠16Aに固定するボルトを締め付ける。
【0047】
図5は、本発明の工事用エレベータの第3の実施形態を示す部分拡大斜視図で、前述した図3及び図4に対応し請求項4に対応する図である。
図5において、前述した実施形態で示した図3及び図4と異なるところは、シーブユニット15Cを片側の軸を軸として他側を揺動可能として取付角度を調整自在としたことである。
【0048】
すなわち、一対の取付枠16Bは、両端の対向面の下端が平板26で溶接されていて、一体となっている。
この取付枠16Bが載置される下部枠の下梁6aには、左側の平板26の中心部に形成されたボルト穴と対向する位置にボルト穴6aが加工されている。
【0049】
一方、右側の平板26の中心にもボルト穴26bが加工され、右側の下梁6bの上部には、左右のボルト穴26a、26bを半径とする弧状の溝1cが加工されている。
【0050】
このように構成されたシーブユニット15Cにおいては、下部枠に組み込場合には、取付枠16Bの右端は、溝1cの中心に位置するように仮組立され、つり合いおもりが組み込まれた後に、このつり合いおもりの取付位置に合わせて調整される。
【0051】
図6は、本発明の工事用エレベータの第4の実施形態を示す部分拡大斜視図で、特に、図5に対応し、請求項5に対応する図である。
図6において、図5と異なるところは、取付枠16Cの梁への固定構造で、前後方向に調整可能としたことである。
【0052】
すなわち、前後の取付枠16Cは、短い固定枠27に両端があらかじめ溶接されている。これらの固定枠27には、下側の刃に対して一対のボルト穴が加工されている。
【0053】
下梁6a,6bには、固定枠27の長さと比べて長い溝が加工されている。
このように構成されたシーブユニット15Dにおいては、このシーブユニット15Dの下部枠への取付位置の調整を前後方向に行うことができる。
【0054】
なお、前後の取付枠16Cの左右に対して、図5で示した平板26を溶接し、左側の中心部を左側の固定枠27に段付きねじ付ピンで軸支し、右側の固定枠27の上側の刃には、図5で示した弧状の溝を形成して、シーブユニット15Dの右側を図5と同様に弧状に調整可能にしてもよい。
【0055】
図7は、本発明の工事用エレベータの第4の実施形態を示す縦断面図で、請求項1の他の実施例に対応し、前述した第1の実施形態で示した図2に対応する図である。
【0056】
図7において、前述した第1の実施形態で示した図2と異なるところは、図2で示したエレベータが昇降路の下部に巻上機を設置したベースメントタイプであったのに対し、昇降路の頂部に巻上機を備えた場合である。
【0057】
すなわち、図7で示したエレベータでは、図1で示した昇降路7の下部の機械室7bに設置された巻上機ユニット10が、昇降路7の上部に形成された機械室13に以下説明するように据え付けられている。
【0058】
この場合には、図1で示したかご11は、チェーンブロック22でアウトリガ39に仮吊りされ、主索3がロープ繰り出し機4,ロープ保持機5及び各そらせシーブ2A,2B,2C,2D,2Eと巻上機8から取り外される。
【0059】
この状態で上部枠6Bがタワークレーン24で図2で説明した手順で建物から取り外され、続いて下部枠6Aとシーブユニット12も同様に取り外される。
次に、巻上機ユニット10が機械室7bの入口から搬出され、タワークレーン24で吊り上げられて昇降路7の上端の機械室13に搬入され据え付けられる。
【0060】
短い主索3が巻上機8のつり車とそらせシーブ14を介して吊り下げられ、片側の下端にはかご11が接続され、他側の下端にはつり合いおもり21が吊り下げられる。
【0061】
この場合にも、巻上機ユニット10を製作工場から搬入することなく、建築工事の進捗状況の変化に即応して、下部の機械室7bから上部の機械室13に移設することで、たとえ建築工事の進度が変った場合でも、それに容易に対応することができる。
【0062】
次に、図8は、本発明の工事用エレベータの第5の実施形態を示す部分拡大斜視図で、請求項6に対応する図である。
図8は、アウトリガの位置を建築物側の受けビームに合わせるための構成を示し、移動滑車枠の下梁6a,6bには、下側の刃に対して溝が形成されている。
【0063】
一方、アウトリガ28の両側の上面には、下梁6a,6bに形成された溝に遊嵌する案内片29が溶接で突設されている。アウトリガ28の端部の両側には、下梁6a,6bに固定された一対のストッパクリップ30が示されている。
【0064】
このようにアウトリガ28が構成された工事用エレベータにおいては、アウトリガ28に収納されたビーム28bの両側に形成された取付穴の位置を受けビームに形成された取付穴の位置を合わせる場合には、ストッパクリップ30を外した状態でアウトリガ28の間隔と位置を調整する。
【0065】
図9は、本発明の工事用エレベータの第6の実施形態を示す部分拡大斜視図で、前述した実施形態で示した図8に対応し、請求項7に対応する図である。
図9において、第5の実施形態で示した図8と異なるところは、アウトリガの間隔の調整をハンドルとギヤーで微調整可能としたことである。
また、図10(a)は図9のA矢視拡大図、図10(b)は(a)のB−B断面図である。
【0066】
図9及び図10において、下梁6aの溝側には、軸板31の上下が図10に示すように溶接されている。この軸板31の中心には、軸穴が形成され、この軸穴には環状の軸受押え33Aが挿入され、4本のボルトで軸板31に固定されている。
【0067】
下梁6bにも、軸板31に形成された軸穴と同形の軸穴が同一軸心線上に形成され、この軸穴にも軸受押え33Aと同一品の軸受押え33Bが対称的に挿入されボルトで固定されている。
【0068】
これらの軸受押え33A,33Bには軸32が挿入され、軸受34A,34Bを介して軸受押え33A,33Bに支えられている。
この軸32の左端には、ハンドル25がキーを介して圧入され、軸受座金と軸受ナット38Aを介して軸32に固定されている。
【0069】
軸32の右端には、ピニオンギアー39がキーを介して圧入され、軸受座金と軸受ナット38Bを介して軸32に固定されている。
一方、アウトリガ28の上端の左右には、受け板38の基端が溶接され、この受け板38の後部の両側には、めねじ穴が加工されている。
【0070】
図10(b)においては、図8に示した案内片29がアアウトリガ28の上面に示されている。なお、図9においてアウトリガ28の右側にも、同様なラック37やピニオンギア39が対称的に取り付けられている。
【0071】
このように構成された工事用エレベータにおいては、アウトリガ28の間隔を受けビームの取付穴に合わせる場合には、ハンドル25を時計方向又は反時計方向に回転させることで、ピニオンギア39を介して一対のアウトリガ28の間隔を調整する。
この場合には、微小な調整を容易に行うことができる。
【0072】
図11は、本発明の工事用エレベータの第7の実施形態を示す斜視図で、前述した実施形態で示した図8及び図9に対応し、請求項8に対応する図である。
【0073】
図11においては、移動滑車枠を構成する下梁の枠組部分をアウトリガに対して回転可能に載置したことである。
【0074】
すなわち、一対のアウトリガ28の上面には、ビーム41Aが中央部に架設され、固定されている。
このビーム41Aの中央部には、高荷重用のスラスト軸受42が載置され固定されている。このスラスト軸受42の中心には、図示しない軸が縦貫している。
【0075】
一方、下梁6a,6bの中央部の間にもビーム41Bが架設され、スラスト軸受42を介して下梁6a,6bで構成する枠組部に載置されている。
アウトリガ28の両端の上面には、スラスト軸受42の厚みに対応するスペーサ44が正方形の角となる部分に対してあらかじめ挿入され、下梁6a,6bに固定されている。
【0076】
このように構成された工事用エレベータにおいては、下梁6a,6bとアウトリガ28との対置関係を90°ピッチに変えることができるので、建物の設計上の都合などで受けビームの方向が異なる昇降路にも適用することができる。
【0077】
【発明の効果】
以上、請求項1に対応する発明によれば、上部そらせシーブを組み込むシーブ枠とロープ繰り出し機を収納するロープ繰り出し枠とで移動滑車枠を構成、工事終了後は昇降路の頂部にシーブ枠を設置するので、工事用エレベータから商業用エレベータの切替作業を容易に行うことのできる工事用エレベータを得ることができる。
【0078】
請求項2に対応する発明によれば、上部そらせシーブを固定するシーブ枠の固定部に長円穴を形成することで、かごやつり合いおもりとの関係位置に応じて、シーブの位置を長円穴で調整したので、工事用エレベータから商業用エレベータの切替作業を容易に行うことのできる工事用エレベータを得ることができる。
【0079】
請求項3に対応する発明によれば、上部そらせシーブの軸にピニオンとハンドルを挿入し、ピニオンが噛み合うラックをシーブ枠に設けることで、かごやつり合いおもりとの関係位置の調整作業をハンドルで回転するピニオンが噛み合うラックによって容易にしたので、工事用エレベータから商業用エレベータの切替作業を容易に行うことのできる工事用エレベータを得ることができる。
【0080】
請求項4に対応する発明によれば、上部そらせシーブをシーブ枠に固定する取付枠の片側の取付部に軸支部を設け、この軸支部を軸に揺動自在の取付枠の他側をシーブ枠に固定する弧状の固定部をシーブ枠に設けることで、かごやつり合いおもりとの関係角度によって、軸支部を軸に上部そらせシーブに角度を調整したので、工事用エレベータから商業用エレベータの切替作業を容易に行うことのできる工事用エレベータを得ることができる。
【0081】
請求項5に対応する発明によれば、上部そらせシーブをシーブ枠に固定する取付枠の両端が固定されるシーブ枠の取付部に長穴を形成することで、かごやつり合いおもりとの関係位置の調整作業をシーブ枠の長円穴によって容易としたので、工事用エレベータから商業用エレベータの切替作業を容易に行うことのできる工事用エレベータを得ることができる。
【0082】
請求項6に対応する発明によれば、シーブ枠を昇降路に受け枠を介して仮設する横枠の上部に凸部を設け、この凸部が遊嵌する嵌合案内部をシーブ枠に形成することで、凸部を案内嵌合部によって横枠を移動させて、受け枠への取付作業を容易にしたので、工事用エレベータから商業用エレベータの切替作業を容易に行うことのできる工事用エレベータを得ることができる。
【0083】
請求項7に対応する発明によれば、シーブ枠に回転軸を貫設し、この回転軸にピニオンとハンドルを挿入し、ピニオンが噛み合うラックを横梁に設けることで、ピニオンラックによって横枠の移動を更に容易にしたので、工事用エレベータから商業用エレベータの切替作業を容易に行うことのできる工事用エレベータを得ることができる。
【0084】
さらに、特に請求項8に対応する発明によれば、横枠とシーブ枠の対向部の中心部に回転連結部を設けることで、かごやつり合いおもりに対するシーブ枠の関係角度の調整を回転連結部によって容易にしたので、工事用エレベータから商業用エレベータの切替作業を容易に行うことのできる工事用エレベータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の工事用エレベータの第1の実施形態を示す縦断面図。
【図2】本発明の工事用エレベータの第1の実施形態の作用を示す縦断面図。
【図3】本発明の工事用エレベータの第2の実施形態を示す部分拡大斜視図。
【図4】本発明の工事用エレベータの第3の実施形態を示す部分拡大斜視図。
【図5】本発明の工事用エレベータの第4の実施形態を示す部分拡大斜視図。
【図6】本発明の工事用エレベータの第5の実施形態を示す部分拡大斜視図。
【図7】本発明の工事用エレベータの図2と異なる作用を示す縦断面図。
【図8】本発明の工事用エレベータの第6の実施形態を示す部分拡大斜視図。
【図9】本発明の工事用エレベータの第7の実施形態を示す部分拡大斜視図。
【図10】(a)は図9のA矢視拡大詳細図、(b)は(a)のB−B断面図。
【図11】本発明の工事用エレベータの第8の実施形態を示す部分拡大斜視図。
【図12】従来の工事用エレベータの一例を示す縦断面図。
【図13】図12の部分拡大詳細斜視図。
【図14】図13と異なる図12の部分拡大詳細斜視図。
【符号の説明】
1A…移動滑車枠、2A,2B,2C,2D,2E,2F…そらせシーブ、3…主索、4…ロープ繰り出し機、5…ロープ保持機、6A…下部枠、6B…上部枠、7…昇降路、7b…機械室、8…巻上機、9…制御盤、10…巻上機枠、11…かご、12…シーブユニット、13…頂部機械室、15A,15B,15C,15D…シーブユニット、16A,16B,16C…取付枠、17…支え、18…主索固定棒、19…シーブ、20…かごシーブ、21…つり合いおもり、22…チェーンブロック、23…支え棒、24…タワークレーン、25…ハンドル、26…平板、27…固定枠、28…アウトリガ、29…案内片、30…ストッパクリップ、31…軸板、32…軸、33A、33B…軸受押え、34A,34B…軸受、35A,35B…キー、36…受け板、37…ラック、38A,38B…軸受ナット、39…ピニオン歯車。

Claims (8)

  1. 主索の下端が巻装される下部そらせシーブ及び巻上機が据え付けられ昇降路の下部に形成された機械室と、前記昇降路に仮設され前記主索の上部が巻装される上部そらせシーブ及び前記主索の端部が巻装されるロープ繰り出し機が設けられ前記主索を介してかごを吊り下げる移動滑車枠とを備えた工事用エレベータにおいて、前記移動滑車枠を前記上部そらせシーブを組み込むシーブ枠とこのシーブ枠に重ねられ前記ロープ繰り出し機を収納するロープ繰り出し枠とで構成し、工事終了後は前記ロープ繰り出し枠を前記昇降路から搬出し前記シーブ枠を前記昇降路の頂部に設置して商業運転するようにしたことを特徴とする工事用エレベータ。
  2. 前記上部そらせシーブを固定する前記シーブ枠の固定部に長円穴を形成したことを特徴とする請求項1に記載の工事用エレベータ。
  3. 前記上部そらせシーブの軸にピニオンとハンドルを挿入し、前記ピニオンが噛み合うラックを前記シーブ枠に設けたことを特徴とする請求項1に記載の工事用エレベータ。
  4. 前記上部そらせシーブを前記シーブ枠に固定する取付枠の片側の取付部に軸支部を設け、この軸支部を軸に揺動自在の前記取付枠の他側を前記シーブ枠に固定する弧状の固定部を前記シーブ枠に設けたことを特徴とする請求項1に記載の工事用エレベータ。
  5. 前記上部そらせシーブを前記シーブ枠に固定する取付枠の両端が固定される前記シーブ枠の取付部に長穴を形成したことを特徴とする請求項1に記載の工事用エレベータ。
  6. 前記シーブ枠を前記昇降路に受け枠を介して仮設する横枠の上部に凸部を設け、この凸部が遊嵌する嵌合案内部を前記シーブ枠に形成したことを特徴とする請求項1に記載の工事用エレベータ。
  7. 前記シーブ枠に回転軸を貫設し、この回転軸にピニオンとハンドルを挿入し、前記ピニオンが噛み合うラックを前記横梁に設けたことを特徴とする請求項6に記載の工事用エレベータ。
  8. 前記横枠と前記シーブ枠の対向部の中心部に回転連結部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の工事用エレベータ。
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