JP4039000B2 - 電磁弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧回路の油圧を制御する電磁弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子制御変速機等に用いられる油圧回路の油圧を制御するために電磁弁が用いられる。図1に従来の電磁弁の縦断面図を示す。図1に示すように、電磁弁10はバルブ部12と電磁部14から構成される。電磁弁10には、電磁部14のカプラ58を介して通電される。電流が電磁部14内のボビン54に巻きつけられているソレノイドコイル48に通電されると、電流に比例する吸引力が発生し、コア50を軸方向(この場合は左方向)に摺動させる。コア50はシャフト52と当接しており、シャフト52はバルブボディ16内のバルブ18とA位置で結合しているため、コア50が左方向に摺動するとバルブ18も左方向に摺動する。また、バルブボディ16内にはスプリング30が取付けられており、バルブ18を図示右方向に付勢しており、バルブ18とシャフト52をA位置で突き合わせている。バルブ18は大径の円筒部と小径の円筒部(20、22、24、26、28)が同軸上に交互に並んだ形状であり、このバルブ18が軸方向に摺動することでポート32、34、36、38、40、42の連通状態を切り替えて油圧を制御する。
【0003】
この電磁弁10を構成するバルブ部12と電磁部14は、バルブボディ16に設けられたフランジ16aの外周面と電磁部14のケース56の内周面を嵌合させ、ケース56の開口側エッジ部44をフランジ16aの背面にかしめることによって結合されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
フランジ16aをかしめるためには、フランジ16aの背後側、すなわち、B方向よりかしめ工具を当接させなければならない。しかしながら、バルブボディ16の図1の紙面垂直方向でのサイズが電磁部14のケース56のサイズより大きい場合、バルブボディ16が邪魔になってかしめ工具をB方向より当接させることができず、従来のかしめ手法を採用することができない。
特に、バルブボディ16内に複数のバルブ18を並列に収容し、且つ、バルブボディ16に複数の電磁部14を並列に固定する場合、上記と同様かしめ工具をB方向より当接させることができず、フランジ16aをかしめることができない。
【0005】
本発明は、バルブ部のバルブボディが電磁部のケースより太い場合にも両者が容易に固定できる電磁弁を実現することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段と作用と効果】
本発明の電磁弁は、ソレノイドコイルとそのソレノイドコイルによって駆動されるコアをケース内に収容する電磁部と、そのコアと結合されているバルブをバルブボディ内に収容するバルブ部とを備える。本発明の電磁弁は、バルブ部のバルブボディのボス外周面に穴を形成し、電磁部のケースに前記ボス外周面に遊嵌する薄肉外筒を形成し、この薄肉外筒にはその一部を前記穴に食い込ませることによって電磁部とバルブ部とを接合する食い込み部を形成し、固定する前記電磁部のケースの開口部には前記薄肉外筒の内側に内筒を形成し、この内筒の外周面とバルブボディのボスの内周面をインロー嵌合させるとともに、この内筒の内周面の全長に亘ってベアリングを設け、このベアリングで前記コアを軸方向に摺動可能に支持したことを特徴とする。
【0007】
本発明の電磁弁によれば、バルブボディのサイズが電磁部のケースの径より大きい場合でも、バルブボディのボスに対して電磁部のケースをかしめ嵌合することが可能となる。
また、バルブボディ内に複数のバルブを並列に収容し、バルブボディに複数の電磁部を並列に固定する場合、各電磁部を簡単にバルブボディに固定することができる。
さらに、コアが内筒の内周面の全長に亘って支持されるため、コアが安定して支持される。
【0008】
一方、このバルブ部と電磁部とを一体的にかしめ固定する際、バルブ部と電磁部との間には高い同軸度が要求される。このため、例えば図1に示す従来の電磁弁10においてはケース内周面とバルブボディ16のフランジ16aの外周面16bを高精度に加工しておき、この外周面16bを基準としてケース56を径方向に位置決めした状態でその全周をかしめている。しかしながら、バルブボディ16は箱型をしているためこれを回転してその外周面を加工することは困難であり、バルブボディの加工コスト増を招いていた。
【0009】
本発明の電磁弁によれば、かかる全周かしめを行なうことなくポイントでかしめを行い、且つ、外周面に比べて加工が容易な内周面を利用して同軸度を得るようにしたので、低コストでバルブ部と電磁部の同軸度を確保することが可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明を具現化した好適な実施形態を、図2〜図8を用いて説明する。図2は本実施の形態に係る電磁弁のバルブ部の部分正面図であり、図3は同バルブ部の部分側面図であり、図4は図2のIV−IV断面図である。図5はバルブ部に電磁部が固定された電磁弁の部分正面図であり、図6は同電磁弁の部分側面図であり、図7は図5の部分縦横断面図である。図8はかしめ冶具を取付けた同電磁弁の部分横断面図である。
なお、図2から図8に示す電磁弁は、バルブボディの2箇所に2個の電磁部が並列に固定されている。
【0011】
本発明の実施の形態に係る電磁弁60は、図5に示すように、油圧回路を制御するバルブ部62と、バルブ部62を駆動する電磁部64とからなる。
図2に示すように、バルブ部62のバルブボディ66のバルブ収容部位66b、66cにはバルブ(図2では図示省略されている。ただし図7に符号68で示されている)が収められており、これらのバルブの軸は平行となっている。バルブ収容部位66bの片端部にはボス66gが、バルブ収容部位66cの片端部にはボス66hが設けられている。バルブボディ66には図示しないミッションケースへの取付部位66d、66e、66fが設けられている。
【0012】
図3に示すように、ボス66g、66hは肉厚の円筒形状であり、ボス内周面66mはバルブ収容部位66bに収められたバルブと同軸となるように穴加工が施され、ボス内周面66nはバルブ収容部位66cに収められたバルブと同軸となるように穴加工が施されている。一方、ボス外周面66k、66lには加工が施されず、黒皮の状態(即ち鋳造されたときの鋳造面のまま)である。
また、図2、図4に示すように、ボス66gの外周面66kには2個の穴66iが設けられており、ボス66hの外周面66lには2個の穴66jが設けられている。2個の穴は直径上に位置している。
【0013】
バルブ部62のバルブボディ66と電磁部64のケース106は、図5、図6に示すように結合している。詳しくは後述するが、電磁部64のケース106の開口部には二重筒が形成され(図7を参照して後記する)が設けられており、バルブ部62のボス66g、66hが電磁部64のケース106の内筒と外筒の間に嵌入している。
【0014】
図7は電磁弁60の断面図であり、図の上部は非通電時を示し、下部は通電時を示す。
図7に示すように、電磁部64には、ボビン104に巻かれたソレノイドコイル98とボビン104の中空部に配設されるコア100とが備えられている。コア100には軸方向に伸縮するスプリング80の一端が取付けられ、スプリング80のもう一端はスプリング受けキャップ101に取付けられている。このスプリング受けキャップ101はスプリング80の荷重を調整する役割を有し、電磁部64のケース106の底部であるエンドプレート103の中央部に螺着している。コア100の外周にはコア100の軸方向の摺動を支えるベアリング107が設けられている。エンドプレート103はケース106に圧入され、圧入後にケース106のエッジ105がエンドプレート103の背面にかしめられることで、エンドプレート103とケース106は一体化されている。ソレノイドコイル98はケース106内に収容されている。
【0015】
一方、バルブ部62のバルブボディ66はポート82、84を有し、それぞれバルブ68の外周を囲むように形成されている。バルブ68は径の異なる円筒が交互に組み合わされた形状であり、このバルブ68が軸方向に摺動することでポート82、84間が遮断あるいは導通して油圧が制御される。
【0016】
このバルブ68は、端部に形成されたフランジ69部分でコア100と結合している。コア100には、ソレノイドコイル98に通電された電流に比例して図示右方向への電磁力が発生する。また、コア100には、スプリング80の反発力が作用するほか、供給される油圧による押圧力も反力として作用する。コア100と一体化したバルブ68が電磁力と反力との均衡を図りながら摺動することによって、電磁部64に通電される電流に比例した油圧の制御がなされる。
【0017】
先に述べたように、電磁部64を収容するケース106の開口部の内側には円筒状の内筒109があり、ケース106の本体を構成する薄肉外筒94とあいまって二重筒状となっている。この内筒109とケース106の薄肉外筒94との間にバルブ部62のボス66g、66hが嵌入して結合している。正確には、加工が施されているボス内周面66m、66nとケース106の内筒109の外周面109aがインロー嵌合している。
【0018】
また、先に述べたように、バルブ部62のボス66g、66hの外周面66k、66lには2個の穴66i、66jが設けられている。インロー嵌合しているボス内周面66m、66nとケース106の内筒外周面109aは、図8に示すように、かしめ冶具110を用いて2箇所の穴66i、66jの位置で径方向にかしめられて固定されている。詳しくは、ポンチ112を穴66i、66jに合わせてかしめ冶具110を取付け、ボルト114を締めることによりポンチ112を前進させ、ケース106の薄肉外筒94の食い込み部95をボス66g、66hの穴66i、66jに押し入れて固定する。
【0019】
以上のように、本実施例では電磁弁のバルブボディ66と電磁部のケース106を、ボス内周面とケース内壁の外周面をインロー嵌合させ、さらに、ボス外周面に設けた穴にケース106の薄肉外筒94の食い込み部95を外周から圧入して径方向にかしめることにより結合している。
【0020】
このようにすると、バルブボディ66の幅がケース106の径より大きい場合でも、電磁部のケースを径方向にかしめることよってバルブボディ66に固定することが可能となる。
また、バルブボディと電磁部との同軸度を保持するようにボスの内周面に加工を施すことは、ボスの外周面に加工を施すことより容易である。ボスの外周面は抜け止めの機能のみのため、加工を施す必要がなく黒皮でよい。このことから、ケースとの結合部位となるボスの加工コストの低減が実現する。
【0021】
また、ボス外周面に穴を設けることで、かしめる箇所は2点のみとなり、電磁部のケースのエッジの全周をボスにかしめる必要がなくなる。このことにより、かしめ加工時に隣り合う電磁部が近接していても容易にかしめることができ、電磁部を併設するときの電磁弁の併設間隔を最小限にとどめ、電磁弁全体を小型化することができる。
【0022】
以上、本発明の実施の形態の電磁弁について説明したが、本発明の適用範囲は上記の実施例に何ら限定されるものではない。すなわち、本発明は、当事者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【0023】
例えば、本実施の形態では、バルブボディに2個の電磁弁が併設されていたが、バルブボディに配される電磁弁の個数についてはこれに限らない。
例えば、本実施の形態では、バルブ部のボスに設けられた穴は2個であったが、穴の個数についてはこれに限らない。バルブ部と電磁部が固定でき、且つ、隣り合う電磁部がかしめ加工時に干渉しないように設けられていれば、穴はいくつでもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の電磁弁の縦断面図。
【図2】 本実施の形態に係る電磁弁のバルブ部の部分正面図。
【図3】 同バルブ部の部分側面図。
【図4】 図2のIV−IV断面図。
【図5】 本実施の形態に係る電磁弁の部分正面図。
【図6】 図5の電磁弁の部分側面図。
【図7】 図5の電磁弁の部分縦横断面図。
【図8】 かしめ冶具を取付けた図5の電磁弁の部分横断面図。
【符号の説明】
60:電磁弁
62:バルブ部
64:電磁部
66:バルブボディ
66b、66c:バルブ収容部位
66d、66e、66f:取付部位
66g、66h:ボス
66i、66j:穴
66k、66l:外周面
66m、66n:内周面
68:バルブ
80:スプリング
82、84:ポート
94:薄肉外筒
95:食い込み部
98:ソレノイドコイル
100:コア
101:スプリング受けキャップ
103:エンドプレート
104:ボビン
105:エッジ
106:ケース
107:ベアリング
109:内筒
109a:外周面
110:かしめ冶具
112:ポンチ
114:ボルト
Claims (1)
- ソレノイドコイルとそのソレノイドコイルによって駆動されるコアをケース内に収容する電磁部と、前記コアと結合されているバルブをバルブボディ内に収容するバルブ部とを備える電磁弁において、
バルブ部のバルブボディのボス外周面に穴を形成し、電磁部のケースに前記ボス外周面に遊嵌する薄肉外筒を形成し、この薄肉外筒にはその一部を前記穴に食い込ませることによって電磁部とバルブ部とを接合する食い込み部を形成し、固定する前記電磁部のケースの開口部には前記薄肉外筒の内側に内筒を形成し、この内筒の外周面とバルブボディのボスの内周面をインロー嵌合させるとともに、この内筒の内周面の全長に亘ってベアリングを設け、このベアリングで前記コアを軸方向に摺動可能に支持していることを特徴とする電磁弁。
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2001
- 2001-05-15 JP JP2001145046A patent/JP4039000B2/ja not_active Expired - Fee Related
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