JP4038769B2 - 長短複合紡績糸 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成繊維長繊維束と短繊維束を重ね合わせることにより、得られる高品位長短複合紡績糸に関するものである。特に本発明は、黒原着糸を含み、軽量でしかも透け感の少ない織物となり、ブラックフォーマル用途においては高い深色性とイラツキの減少が得られ、メンズスーツや高級婦人ドレス、ブラウスなどに好適な複合紡績糸を提供する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、長短複合紡績糸は色々な繊維の組合せで混繊糸として、また、色々な複合方法により様々な形態のものが作られている。しかし、更に風合や色相の改良を計るために原着糸を用いたものはない。原着糸を利用すると、原着糸の製造時に発生する均一混合の不備などにより、原着糸に繊度斑が生じたり、原着微粒子により製織など加工工程で筬や縫針の磨耗の問題があった。
【0003】
長短複合紡績糸を製造する方法としては、電気開繊方法などが知られている(例えば、特許文献1)。また、二層構造糸や繊維束と単糸との複合糸等についても知られている(例えば、特許文献2,3)。しかし、本発明のように原着糸を用いた複合紡績糸についての記載はない。
【0004】
【特許文献1】
特開昭54−17063号
【0005】
【特許文献1】
特開平6−228838号
【0006】
【特許文献1】
特開2000−17532号
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、原着糸、特にカーボンブラックを含有した、均一で色斑の無い、開繊性を向上させた易開繊黒原着糸を提供し、この易開繊黒原着糸を短繊維束と重ね合わせることにより得られる高品位な複合紡績糸を提供せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段、即ち、本発明の第1は、易開繊性長繊維束(A)と天然繊維及び又は合成繊維よりなる短繊維束(B)からなる繊維束に撚りを加えて複合紡績された長短複合紡績糸であって、易開繊性長繊維束(A)が、帯電防止剤を12重量%以上、50重量%以下含有する油剤を繊維重量に対し1.1重量%以下含有し、かつ25℃×40%RHにおいて8×108Ω以下の電気抵抗値を有する合成繊維長繊維からなり、易開繊性長繊維束(A)がカーボンブラックを含有することを特徴とする長短複合紡績糸であり、
【0009】
その第2は、易開繊性長繊維束(A)が合成繊維長繊維束である請求項1に記載の長短複合紡績糸である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における複合紡績糸について詳細に述べる。
本発明における合成繊維(A)としては、通常の合成繊維からなる。たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレートなどのポリエステルからなるフィラメント、あるいは、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミドなどのポリアミド、例えばナイロン6、ナイロン66からなるフィラメント、あるいは、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンからなるフィラメント、アクリルやアクリレート系のフィラメント等の合成樹脂からなるフィラメントを意味する。取り扱いやコストの観点からはポリエステル系繊維特にポリエチレンテレフタレートが好ましく採用される。
【0014】
ポリエステル系繊維としては、通常のポリエステル以外に共重合ポリエステルは、勿論のこと、具体的には、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ナフタリンジカルボン酸、フタル酸、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール等をあげることができる。
【0015】
合成繊維の繊度は300デシテックス以下であることが好ましい。300デシテックスを超えると電圧を高く設定しないと開繊性が劣ったものになり、生産コストが増加することと、開繊複合紡績糸としたときに複合糸の繊度が大きく成り過ぎるため好ましくない。より好ましい範囲としては10〜150デシテックスであり、さらには15から100デシテックスが一層好ましい。
【0016】
本発明における合成繊維(A)に付与する油剤は、帯電防止剤がアルキルスルホネート塩、アルキルベンゼンスルホネート塩、アルキルサルフェート塩、アルキルホスフェート塩、から選ばれる一種又はそれらの組み合せからなることがポイントである。
【0017】
帯電防止剤は繊維を良好に電気開繊させるためには必須の成分であり、油剤成分に対し12重量%以上、50重量%以下存在することが望ましい。12重量%未満であれば合成繊維の開繊性が悪くなり、本発明の合成繊維を用いた複合紡績糸の品位が劣るものとなるため本発明の範囲外とする。50重量%を超えると延伸工程において発煙が著しくなるため好ましくない。好ましい範囲としては15から40重量%であり、さらには18から30重量%が一層好ましい。
【0018】
油剤の付着量は微粒子を含有する合成繊維重量に対し1.1%以下が望ましい。1.1重量%を超えると制電性能は向上するが、油剤滴りなどの問題が発生し好ましくない。合成繊維の単糸繊度に対して、適正な油剤の付着量が存在し、例えば単糸繊度の太い場合は繊維表面積が相対的に小さくなるため少なめが良く、逆に単糸繊度の細い場合は繊維表面積が大きくなることから付着量は多めに設定することが好ましい。本発明では単糸繊度が1から2.5デシテックスの場合には0.2%から1.1%に設定すると、繊維の開繊性が良好になることを見出した。特に0.3%から0.9%が好ましく、さらには0.4%から0.7%が一層好ましい。
【0019】
上記油剤を付与することにより、後述する方法で開繊が可能となる。合成繊維の開繊性を適正に評価できるパラメータとして25℃×40%RHにおける電気抵抗値が好ましく、8×108Ω以下でればカーボンブラックを含有する合成繊維であっても良好な開繊性を示す。8×108Ωを超えると開繊性が不均一になって、短繊維との開繊複合紡績糸とした場合に斑が発生しやすくなる。ただし、1×104Ω以下にすると、制電防止剤を多量に付着させる必要が生じ、逆に開繊性が劣るものとなるため好ましくは1×105Ω以上6×108Ω以下であり、さらには1×106Ω以上4×108Ω以下が一層好ましい。
【0020】
本発明の帯電防止剤は、ポリ(オキシエチレン)アルキルアミン、ポリ(オキシエチレン)アルキルアミド、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテル、ポリ(オキシエチレン)アルキルフェニルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルスルホネート塩、アルキルベンゼンスルホネート塩、アルキルサルフェート塩、アルキルホスフェート塩、第4級アンモニウムクロライド、第4級アンモニウムサルフェート、第4級アンモニウムナイトレート、アルキルベタイン型、アルキルイミダゾイン型、アルキルアラニン型から選ばれる一種又はそれらの組み合せからなることが好ましい。これら以外の帯電防止剤では開繊性が満足するものとならない。この中でもアニオン系のアルキルスルホネート塩、アルキルベンゼンスルホネート塩、アルキルサルフェート塩、アルキルホスフェート塩が特に好ましい。その中でもスルホネート金属塩を有するものが一層好ましい。
【0021】
本発明の微粒子を含有する合成繊維に付着している油剤としては、オイル成分が40〜70部、乳化成分が5〜30部、制電剤が12〜50部の範囲で構成されていることが好ましい。オイル成分が40部未満であれば金属やセラミック等の接糸部品との摩擦係数が高くなりすぎるため、毛羽の原因となりやすい。乳化成分が5部未満であれば油分を水で希釈したときに均一に混ざりにくく、オイル付着斑になりやすいばかりでなく、ひいては毛羽や糸切れの原因となりやすい。好ましい範囲としてはオイル成分が50〜60部、乳化成分が10〜20部、制電剤が18〜30部の範囲で構成されていることが好ましい。
【0022】
本発明において、紡糸油剤のベース成分としては公知のもの、例えば鉱物油や脂肪酸エステルを便宜組み合せて使用することができる。また、乳化成分としては公知のもの、例えばグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、POEエーテル付加オイル、PEGエステル付加物オイル、レシチン、等から任意に組み合せて使用することができるが、PEGジオレート、脂肪酸アルコール、またその金属塩が特に好ましい。
【0023】
本発明の繊維は、微粒子を含有することが好ましい。微粒子を含有することで繊維表面のすべりが変化するが、上記油剤を使用することにより摩擦係数の最適化及び開繊性が向上する。
【0024】
本発明に使用できる微粒子としては、顔料、艶消剤、抗菌剤、制電剤等一般に繊維に練りこまれる微粒子なら何でも良い。微粒子がカーボンブラックにより着色されている場合であっても、本発明の開繊性に優れていることで色斑を低減することができるため、好ましい組み合せである。また、本発明の目的を損なわない範囲内でその他の艶消剤、抗菌剤、制電剤等の添加剤を含有させてもかまわないし、また他種ポリマーを含有させてもかまわない。また、顔料としては、黒原着用のカーボンブラック以外に、種々の色の顔料を用いることができる。
【0025】
微粒子の添加方法としては、例えばカーボンブラック5〜40重量%からなるマスターバッチ合成樹脂と、カーボンブラックを含有しない合成樹脂からなるマトリックスポリマーとを、混合・溶融紡糸してなる黒原着ポリエステル繊維を製造することができる。該繊維中のカーボンブラックの含有量は、繊維重量を基準としてそれぞれ0.5〜2.0重量%である。0.5重量%未満であれば、色斑が目立ち、2.0重量%を超えると、ポリマーとの混合不良が生じ繊度斑が目立つようになる。
【0026】
なお、マスターバッチとマトリックスポリマーとを溶融混合するには特別の方法を採用する必要はない。例えば、溶融前の夫々のチップを混合後溶融しても良いし、両者を別々に溶融した後紡糸直前にスタティックミキサー等を用いて静的に混合してもよい。混合後は公知の溶融紡糸方法によって繊維化される。その際の断面形状は任意であり、丸断面繊維、異形断面繊維、中空繊維いずれであってもよい。
【0027】
本発明において用いられるカーボンブラックは、チャンネルブラック、ファーネスブラック等任意のものが用いられるが、その一次粒子径が小さくなりすぎると例えばポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステル(以下、単に共重合ポリエステルと称することがある)中に配合する際粒子が凝集し易く製糸することが困難となる傾向があり、一方大きくなりすぎると黒色度が低下し易い。したがって、カーボンブラックの一次粒子径は10〜40nmの範囲内にあることが好ましい。粒子径が10nm以下であれば、扱いに困難となり、また粒子径が40nm以上であれば、紡糸する時に、ノズル内での背圧が上がり、糸切れなどの操業性不良の原因となる。
【0028】
一方、粗糸供給部から供給された天然繊維及び又は合成繊維よりなる繊維束(B)は、羊毛、綿、絹、麻、合成繊維ステープル、レーヨンステープル、およびアセテートステープルのいずれか1つ以上を用いるのが好ましい。特に羊毛が好ましい。
【0029】
得られる複合紡績糸は有する1mm以上の毛羽指数が1000ケ/10m以下であることが必要である。更には、高品位な布帛を得るためには毛羽指数は700ケ/10m以下であることがより望ましい。毛羽の発生が多いと染色後の布帛で毛羽の集中した箇所が白けて見えることから著しく布帛の品位を低下せしめることになる。
【0030】
天然繊維及び又は合成繊維よりなる繊維束(B)と合成繊維(A)よりなるフィラメントの繊維束に撚りを加えて複合紡績糸とする方法としては、牽伸された繊維束でほぼ集束状態のマルチフィラメント糸を包み込んで、ついで加撚して巻き取るか若しくは仮撚結束により巻付毛羽で糸を形成させる方法、又は牽伸された繊維束を開繊されたマルチフィラメント糸で包み込んで、しかる後に加撚して巻き取るか、若しくは仮撚結束により巻付毛羽で糸を形成させる方法がある。
【0031】
更には、粗糸供給部から供給された天然繊維及び又は合成繊維よりなる繊維束(B)に対し、フィラメント供給部から供給される合成繊維(A)をテンション機構により張力を付与した状態で供給ガイドを介して重ね合わせた天然繊維及び又は合成繊維よりなる繊維束(C)とを3〜8mm離間させて合流させた後、実撚を加えることで高品位な糸条を得ることができる。
【0032】
また、粗糸供給部から供給された天然繊維及び又は合成繊維よりなる繊維束(B)に対し、長繊維(以下フィラメントとも言う)供給部から供給される合成繊維(A)をテンション機構により張力を付与した状態で供給ガイドを介して重ね合わせた繊維束に合成繊維をガイドロ−ラ−を介して、フロントロ−ラ−の外側からテンションを付与しない状態で該合成繊維を巻きつけながら実撚を付与することでも高品位な糸条を得ることが可能である。これは、フロントロ−ラ−の外側から供給した合成繊維により、繊維束(B)をほぼ被覆したことによる効果である。
【0033】
更に上記以外の方法として、合成繊維(A)を帯電させて連続的に開繊させながら、複合紡績糸を製造する方法がある。合成繊維(A)を帯電させて連続的に開繊させる好適な方法としては、特公昭47−11248号に記載されるような截頭円錐状の電極があるが、これに限定されるものではなくコロナ放電を利用したもの、イオン化した空気を媒体とするもの、高圧電極と接触させる方法なども必要に応じて利用できる。本発明においては、粗糸供給部から供給された天然繊維及び又は合成繊維よりなる繊維束(B)に対し、フィラメント供給部から供給されるフィラメントを電気開繊装置によりフィラメントを開繊した状態で重ね合わせた後、実撚を加えることで高品位な糸条(1mm以上の毛羽指数700ケ/10m)を得ることができる。
【0034】
易開繊性を有する長繊維合成繊維(A)と短繊維束(B)の供給位置の決定は、開繊電極の位置あるいは開繊したフィラメントの専用ガイドを用いて調整が可能である。合成繊維マルチフィラメントの開繊幅の調整は開繊の電圧、供給テンション、フィラメントの専用ガイド等の調整による。
【0035】
本発明の長短複合紡績糸は、例えば図1に示す装置を用いて製造することができる。すなわち図1によれば、その装置はバックローラ1、クレードル2、フロントローラ3を順に配置し、フロントローラ3の下方にスネルワイヤ4およびさらに下方にリングとトラベラ5を備えた捲き取り装置を配置し、前記フロントローラ3の送り込み側の上方に上から静電気印加用の開繊電極6およびその下方に環状ガイド7を備えている。
【0036】
長短複合紡績糸の製造は、まずバーン8に捲かれたマルチフィラメント糸Aを解除し、ガイド9を経て電極6で静電気を印加して開繊させ、続いて環状ガイド7を通して開繊幅および供給位置を規制しつつフロントローラ3に供給する。一方粗糸Bをバックローラ1に供給し、クレードル2、フロントローラ3間でドラフトし、フリース状の短繊維束Bとしてフロントローラ3に供給する。フロントローラ3に供給された開繊したマルチフィラメント糸Aとフリース状の短繊維束Bはフロントローラ3のニップ点で混合されるが、この時、マルチフィラメントは開繊幅を短繊維フリースの最大幅の50〜300%に規制されつつ、短繊維フリース幅の中心に重ね合わせて混合される。フロントローラ3を通過したマルチフィラメントと短繊維フリースは、加撚されることにより横断面がフィラメントと短繊維の均一混合層をなす糸構造となり、スネルワイヤ4を経てリングとトラベラ5により管糸10に捲き取られる。
【0037】
以上のようにして得られる複合紡績糸は、繊維束(B)が開繊性を有する合成繊維(A)と均一に混合、施撚される。従って、毛羽の発生も少なく、また、合成繊維(A)が原着糸の場合は異色霜降り感が均一となる。さらに、毛羽が少ないことにより、製織性も向上する。
【0038】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。なお、実施例における各特性値は下記方法により測定した。
【0039】
(油剤の付着量)
給油前後の糸の重量を測定して、油剤の付着量を算出した。
【0040】
(電気抵抗値)
繊維4gの電気抵抗値を、25℃×40%RHの雰囲気下で、電気抵抗測定器(東亜電波工業社製のSM−5E型)を用いて電圧1kvの条件で測定した。
【0041】
(毛羽指数の測定)
敷島紡績株式会社製のF−インデックステスターで測定した。
【0042】
(糸断面の形状)
日立製作所株式会社製のS−3500N形走査型電子顕微鏡で観察した。
【0043】
実施例1
固有粘度が0.64のポリエチレンテレフタレートチップ95重量部と、固有粘度が0.64のポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステル80重量%と平均一次粒子径が22nmのカーボンブラック20重量%とからなるポリエステル組成物(マスターバッチ)のチップ5重量部を混合後、ルーダーを用いて290℃で溶融混合し、次いで孔径0.3mmの吐出孔を24ホール有する口金より20g/分の割合で吐出して1100m/分の速度で引き取った。得られた未延伸糸は、常法にしたがい3.3倍に延伸して、56デシテックス/24フィラメントの黒原着糸を得た。紡糸油剤は油剤成分として鉱物油57部、セチルスルホネートナトリウム塩23部、PEG(13)ジオレート13.5部、オレイルアルコール4部、オレイン酸カリウム塩2.5部の油剤Aを使用した。給油方法はオイリングローラ方法とし、黒原着糸への油剤の付着量は、0.7重量%とした。
次に図1に示す装置に繊維束(B)として梳毛粗糸1/3.0Nmをバックローラ1から供給し、バックローラ1およびクレードル2とフロントローラ3との間で全ドラフト倍率17.1倍でドラフトした。一方マルチフィラメント糸(A)として前記黒原着糸Aを用い、ガイド9を経て電極6に供給した。電極6では黒原着糸Aに−3000Vを印加して開繊させ、次いで環状ガイド7を通して開繊幅をフリースの最大幅の200%に規制し、またドラフトされたフリース状の前記粗糸Bの中心に重なるように供給位置を規制しつつ、フロントローラ3に供給し、前記フロントローラ3でドラフトされたフリース状の前記粗糸Bと重ね合わせて混合し、撚数900T/M(Z)に加撚して、番手1/40Nmの混繊糸を管糸10として捲き取った。
【0044】
この混繊糸の横断面を顕微鏡で観察したところ、図2に示すように羊毛と黒原着糸が均一に混合されていた。
【0045】
実施例2
マスターバッチレジンのカーボンブラックの添加量を30重量%に変えた以外は実施例1に従った。
【0046】
比較例1
油剤成分として帯電防止剤であるセチルスルホネートナトリウム塩を10部、乳化剤であるPEG(13)ジオレートを20.5部、オレイルアルコール9.5部、添加剤であるオレイン酸カリウム塩0.3部とした油剤Cを使用した以外は実施例1に従った。
【0047】
比較例2
油剤Aを1.5%繊維に付着させた以外は実施例1に従った。その他は同一条件とした。
【0048】
実施例3
油剤成分としてカプリル酸2エチルヘキシル50部、アルキル変性シリコーンオイル7部、セチルスルホネートナトリウム塩23部、POEアルキルフェニルエーテル20部とした油剤Bを使用した以外は実施例1に従った。
【0049】
油剤成分を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
油分の付着量、電気抵抗値、毛羽指数の評価結果を表2に示した。
【0052】
【表2】
【0053】
表2に示す結果から明らかなように、本発明の油剤を用いると連続的に黒原着糸が開繊し、黒原着糸と羊毛の繊維束とが均一に混合・施撚されため、毛羽指数が減少する。しかし、帯電防止剤が少ない場合や、オイル付着量が多すぎると開繊がされなかったり、開繊の程度が不充分となるため、均一混合が困難となり、この結果、毛羽指数が増加する。
【0054】
実施例4
繊維束(B)として綿粗糸100ゲレン/15ydを用いて全ドラフト倍率を36.4倍でドラフト後に撚数20.27t/in(Z)で加撚して番手30/1の混繊糸を作成した以外は実施例1に従った。
【0055】
この混繊糸の1mm以上の毛羽指数は615個/10mと良好であった。
【0056】
【発明の効果】
本発明の長短複合紡績糸においては、本発明の油剤を黒原着糸に使用することにより、開繊装置を用いてマルチフィラメントを連続的に開繊する事が可能となり、黒原着糸と短繊維束を均一に混繊・施撚できるため、毛羽指数の少ない高品位の混繊糸が得られるなど格別の効果を奏する。特に微粒子を含有する合成繊維長繊維を開繊させて複合紡績糸を作る場合に有効な方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の長短複合紡績糸の製造装置の概略図
【図2】 複合糸の断面図
【符号の説明】
A:合成繊維(黒原着ポリエステル)
B:短繊維束(羊毛)
1:バックローラ
2:クレードル
3:フロントローラ
4:スネルワイヤ
5:リングとトラベラ
6:開繊電極
7:環状ガイド
8:バーン
9:ガイド
10:管糸
Claims (2)
- 易開繊性長繊維束(A)と天然繊維及び又は合成繊維よりなる短繊維束(B)からなる繊維束に撚りを加えて複合紡績された長短複合紡績糸であって、易開繊性長繊維束(A)が、帯電防止剤を12重量%以上、50重量%以下含有する油剤を繊維重量に対し1.1重量%以下含有し、かつ25℃×40%RHにおいて8×108Ω以下の電気抵抗値を有する合成繊維長繊維からなり、易開繊性長繊維束(A)がカーボンブラックを含有することを特徴とする長短複合紡績糸。
- 易開繊性長繊維束(A)が合成繊維長繊維束である請求項1に記載の長短複合紡績糸。
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